「趣味で量子力学:広江克彦」
内容紹介:
「波?粒子? いや、どちらでもない それは100年も前の説明だ」
「自然界は複素数の論理を使って動いている」
読者のレベルとしては、勉強が退屈になった高校生あたりを狙ってます。
容赦なく複素数やテイラー展開が出てきますが、全部説明しています。
きっと最後まで読めます。
理解できなくても、少しくらい読み飛ばしても楽しいはずです!
著者について:
広江克彦(ひろえかつひこ)
1972年生まれ。岐阜県出身。静岡大学理学部物理学科卒。同大学院修士課程修了。’00年より、物理学を解説するウェブサイト「EMANの物理学」の運営を開始。その内容が徐々に評価され、現在は農業に片足を置きつつ、執筆に励む。
2015年12月刊行、227ページ。
理数系書籍のレビュー記事は本書で292冊目。
「EMANの物理学」というサイトでおなじみの広江克彦さんが3冊目の著書を昨年12月にお出しになったので、さっそく購入。年末からじっくり読ませていただいた。
「趣味で物理学」と「趣味で相対論」が刊行されたのがそれぞれ2007年と2008年なので、かなり間が開いている。2冊刊行された後、次は量子力学になるのだろうと読者のひとりとして思いながら、サイトが更新されていくのを楽しみにしていた。
案の定、最初のうちは量子力学の記述が増えていった。けれどもその後、熱力学や統計力学のページの更新に広江さんのエネルギーが注がれるようになったのを見て「あれ?」と思ったのだ。量子力学のページはなかなか増えない。そうこうするうちに今度は物理数学のページができていた。「3冊目はどうするのだろう?」と疑問が頭をよぎる。そしてしばらくするうちにまた量子力学のページが増えていった。
本書を読むと広江さんが相当悩まれていたことが明らかにされている。僕自身サイトの更新状況や広江さんのツイートや掲示板を読んでいてそれを感じていた。普通に仕事を持っている大人にとって物理学の本を書くのは莫大なエネルギーを必要とするものだし、そのエネルギーを持続しなければならない。最初の2冊にしたってよく書き上げたものだと尊敬している。まして量子力学の入門書となるとものすごい覚悟がいる。
量子力学は入門書であれ教科書であれ、そして一般向けの教養書であれ種々様々な本が満ちあふれている。専門家の書いたものがほとんどであるし、科学史上の名著も容易に手に入る時代。すでに入門レベルから専門書まで優れた本であふれている状況なのだ。
そのような状況でどう差別化していくかということがいちばん難しい。そして次に難しいのが「ボリューム」である。伝える側に立ってみると「全部書きたい」という欲求が強くなるからだ。サイトの量子力学のページは相当なボリュームになっていたし、そこからどのように取捨選択すればよいのか。論理的な整合性をとりながらサイトを要約したり再構成したりするのはとても手間のかかる作業になってしまう。
最終的に仕上がったのは最初の2冊とほぼ同じページ数で220ページほどになった。序文に書かれているのだが原稿は一時期300ページを超えていたという。そのまま出すと値段も高くなり読者も半減してしまう。なるべく多くの人に読んでもらいたいという気持から、泣く泣く削って現在のページ数におさめたということなのだそうだ。
また本書はサイトの内容の一部をそのまま本にしたものではなく、はじめから書き直したものであることを強調しておこう。読者にとって何をどのように伝えれば効果的か、そして広江さん自身が読者に何を理解してもらいたいのか、この2つの観点で本書は完全なものに仕上がっている。そして割愛せざるを得なかった内容は「続編」に書いてみたいというお気持をもっていらっしゃるそうだ。
本書の序文を書かれたのが2013年11月、あとがきを書かれたのが2015年2月、そして刊行されたのが2015年12月であったことは、本書がいかに熟慮を重ねたうえに完成した作品であることを示している。他書との「差別化」という目標も見事にクリアしていると僕は感じた。
このような経緯で出来上がった本の章立ては次のとおりである。
第1章:ミクロの世界の謎
第2章:複素数の性質
第3章:理解を助ける計算例
第4章:確率解釈
第5章:フーリエ解析
第6章:多粒子系
第7章:解釈論争
付録
全体を通じて流れている姿勢があることに僕は気が付いた。それは「何がこの世の実在なのか?」そして「どのようなしくみでこの世界は構成されいるように見えるのか?」という2つの疑問と、それに対するあくなき追及の姿勢である。
高校物理までで学ぶ物理は力学と電磁気学で、それらは古典物理学と呼ばれているマクロな世界の理論であり法則だ。その世界では物質や力、電場や磁場、原子などはすべて有るか無いかがはっきりしているし、運動の軌跡も直線や曲線としてひととおりにあらわされる。電場や磁場もきちんとひととおりの答に帰着される。
ところがミクロの世界では物理法則の様相は全く違う。量子力学として知られているミクロの世界の物理法則では、電子をはじめ素粒子は粒子のように振る舞うこともあれば波のように振る舞うこともある。原子核のまわりの電子は位置を確率的にしか求めることができない。古典物理的世界の枠組みでしかとらえられない私たちの感覚と思考では不思議極まりない世界なのである。
だとしたらそのような不思議な世界からどのように私たちの不思議でない世界が構成されているのか?ピンポイントで実在を主張できない粒子や波動がなぜ実在する粒子や運動、エネルギーとして観測できるのか。
このような量子力学が解き明かす不思議の数々を広江さんは読者に投げかけ、読者と一緒に解き明かす。そのために数式が重要な役割を果たすのがEMANの物理学である。数式は無理と言ってあきらめてはいけない。高校卒業程度の数学を理解している意欲的な高校生ならばついていけるレベルで、広江さんは法則の数式による導出やそのために必要な数学を教えてくれている。
読者に対する疑問の投げかけ、読者と一緒に進むスタイルは広江さんの物理学の特長だ。一般向けに書かれた量子力学の科学教養書ではページ数の制限により、不思議な事例を天下りに紹介しているケースが目立つ。読者は「不思議だな。」と思う反面、思考はそこで止まってしまい、なぜ不思議なのかという空想を膨らますことができなくなってしまうのだ。
また教科書だと不思議をあまり強調すると「この本は大丈夫かしら?」とあらぬ疑いをかけられかねないので、大方の先生は無難な記述に抑えてしまう。勉強しながらワクワクしたい学生はモチベーションが下がる。(本来、教科書の目的にワクワクは含まれていないのだけど。)
そのように読者に親切なスタイルで広江さんが本を書けるのも、広江さんご自身が教科書を読んで疑問に思ったり、理解できなかったりした経験をたくさんされたからである。広江さんが教科書の行間で感じたこと、考えたこと、そしてご自身で解決されたことの数々を本書の記述に含めることで読者の視点に立った本が出来上がったのだ。その意味で入門者だけでなく、僕のようにひととおり専門書で学んだ者にもたくさんの「気付き」や「深い考察」を与えてくれる本である。
本書の中で際立って素晴らしいと感じた箇所をピックアップしてみよう。
- 複素数やフーリエ解析、エルミート演算子、行列の計算など初歩的な物理数学が含まれているので「冗長かな」とか「不要では」と最初は思ったのだが、その後の物理的な説明と考察に見事に活かされている。このように展開したことで単なる道具としての物理数学ではなくなり、物理現象や法則の根底を支えるのが数学であるということを入門者にも印象づけることに成功している。特にフェルミオン、ボソンの性質と行列の計算との密接な関連性をわかりやすく紹介していて素晴らしいと思った。
- 第4章の4.7「不確定性原理」、4.8「観測についての誤解」の箇所の説明が素晴らしい。ぜひ本書で読んでほしい。
- 第5章で何もない宇宙に粒子を1つ構成できるかどうかを挑戦するくだりがある。これは入門者の興味を掻き立て、うまくいくいかないに関わらずまるで自分が宇宙の創造者になったかのようにワクワクしながら読み進められる。そのために直前にフーリエ解析を詳しく解説したのが後になってみると冗長どころか、実に効果的だと思えた。
- 第6章「波動関数は現実の波ではなさそうだ。」に僕はハッとさせられた。1粒子系だと複素数の波動関数は3次元空間の場に紐づいているように思えてしまうが、2粒子系だと6次元空間、N粒子系だと3N次元空間になるわけだから、現実の3次元空間ではなく純粋に数学的な空間だと入門者にもよくわかると思う。
やはり「広江さんの本はいいよなー。」とご苦労をそっちのけで楽しませていただいた。新年早々、刺激のある本をご提供いただき、ありがとうございました。
みなさんもぜひ本書をお読みいただきたい。
これまでに出版されている2冊はこちら。まだお読みになっていない方はこちらからどうぞ。紹介記事はまだ書き慣れていない頃の投稿なので今よりも未熟で恥ずかしいが、それぞれリンクさせておく。
「趣味で物理学:広江克彦」(紹介記事)
「趣味で相対論:広江克彦」(紹介記事)
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第1章:ミクロの世界の謎
- 知っていてほしい大事なこと
- 光は波なのに粒々だった!?
- ド・ブロイ波
- シュレーディンガー方程式
- 変数分離法
- 重ね合わせの原理
- 3次元への拡張
- 原子の構造
- ボーア半径
- 電子は粒々なのに波でいいのか
第2章:複素数の性質
- 虚数は存在しない数か
- 加減乗除
- 複素平面
- 積の図形的意味
- 複素共役
- テイラー展開
- オイラーの公式
- 複素数の極形式表示
- 波動関数の位相の変化
第3章:理解を助ける計算例
- なぜ単純な問題を解くのか
- 井戸型ポテンシャル
- 無限に深い井戸型ポテンシャル
- 壁に向かう粒子
- トンネル効果
- 調和振動子
第4章:確率解釈
- 波動関数の規格化
- 3次元での存在確率
- 波の干渉
- 期待値
- エーレンフェストの定理
- エルミート演算子
- 不確定性原理
- 観測についての誤解
- 確率流密度
第5章:フーリエ解析
- 実フーリエ級数
- 周期を変えてみる
- 波で粒子を作る
- 複素フーリエ級数
- フーリエ変換
- 不確定性原理、再び
- 運動量の期待値の意味
- 偶関数と奇関数
- 波束の崩壊
第6章:多粒子系
- 波動関数は現実の波ではなさそうだ
- もう少し正確な原子の計算
- ボソンとフェルミオン
- 統計性とスピン
- エニオン
第7章:解釈論争
- 粒子性の正体
- シュレーディンガーの猫
- 創作小話
- ウィグナーの友人
- 多世界解釈
付録
A:位相速度と群速度
B:偏微分の座標変換
C:ガウス積分
D:ガウス分布のフーリエ変換
あとがき
参考図書
索引
内容紹介:
「波?粒子? いや、どちらでもない それは100年も前の説明だ」
「自然界は複素数の論理を使って動いている」
読者のレベルとしては、勉強が退屈になった高校生あたりを狙ってます。
容赦なく複素数やテイラー展開が出てきますが、全部説明しています。
きっと最後まで読めます。
理解できなくても、少しくらい読み飛ばしても楽しいはずです!
著者について:
広江克彦(ひろえかつひこ)
1972年生まれ。岐阜県出身。静岡大学理学部物理学科卒。同大学院修士課程修了。’00年より、物理学を解説するウェブサイト「EMANの物理学」の運営を開始。その内容が徐々に評価され、現在は農業に片足を置きつつ、執筆に励む。
2015年12月刊行、227ページ。
理数系書籍のレビュー記事は本書で292冊目。
「EMANの物理学」というサイトでおなじみの広江克彦さんが3冊目の著書を昨年12月にお出しになったので、さっそく購入。年末からじっくり読ませていただいた。
「趣味で物理学」と「趣味で相対論」が刊行されたのがそれぞれ2007年と2008年なので、かなり間が開いている。2冊刊行された後、次は量子力学になるのだろうと読者のひとりとして思いながら、サイトが更新されていくのを楽しみにしていた。
案の定、最初のうちは量子力学の記述が増えていった。けれどもその後、熱力学や統計力学のページの更新に広江さんのエネルギーが注がれるようになったのを見て「あれ?」と思ったのだ。量子力学のページはなかなか増えない。そうこうするうちに今度は物理数学のページができていた。「3冊目はどうするのだろう?」と疑問が頭をよぎる。そしてしばらくするうちにまた量子力学のページが増えていった。
本書を読むと広江さんが相当悩まれていたことが明らかにされている。僕自身サイトの更新状況や広江さんのツイートや掲示板を読んでいてそれを感じていた。普通に仕事を持っている大人にとって物理学の本を書くのは莫大なエネルギーを必要とするものだし、そのエネルギーを持続しなければならない。最初の2冊にしたってよく書き上げたものだと尊敬している。まして量子力学の入門書となるとものすごい覚悟がいる。
量子力学は入門書であれ教科書であれ、そして一般向けの教養書であれ種々様々な本が満ちあふれている。専門家の書いたものがほとんどであるし、科学史上の名著も容易に手に入る時代。すでに入門レベルから専門書まで優れた本であふれている状況なのだ。
そのような状況でどう差別化していくかということがいちばん難しい。そして次に難しいのが「ボリューム」である。伝える側に立ってみると「全部書きたい」という欲求が強くなるからだ。サイトの量子力学のページは相当なボリュームになっていたし、そこからどのように取捨選択すればよいのか。論理的な整合性をとりながらサイトを要約したり再構成したりするのはとても手間のかかる作業になってしまう。
最終的に仕上がったのは最初の2冊とほぼ同じページ数で220ページほどになった。序文に書かれているのだが原稿は一時期300ページを超えていたという。そのまま出すと値段も高くなり読者も半減してしまう。なるべく多くの人に読んでもらいたいという気持から、泣く泣く削って現在のページ数におさめたということなのだそうだ。
また本書はサイトの内容の一部をそのまま本にしたものではなく、はじめから書き直したものであることを強調しておこう。読者にとって何をどのように伝えれば効果的か、そして広江さん自身が読者に何を理解してもらいたいのか、この2つの観点で本書は完全なものに仕上がっている。そして割愛せざるを得なかった内容は「続編」に書いてみたいというお気持をもっていらっしゃるそうだ。
本書の序文を書かれたのが2013年11月、あとがきを書かれたのが2015年2月、そして刊行されたのが2015年12月であったことは、本書がいかに熟慮を重ねたうえに完成した作品であることを示している。他書との「差別化」という目標も見事にクリアしていると僕は感じた。
このような経緯で出来上がった本の章立ては次のとおりである。
第1章:ミクロの世界の謎
第2章:複素数の性質
第3章:理解を助ける計算例
第4章:確率解釈
第5章:フーリエ解析
第6章:多粒子系
第7章:解釈論争
付録
全体を通じて流れている姿勢があることに僕は気が付いた。それは「何がこの世の実在なのか?」そして「どのようなしくみでこの世界は構成されいるように見えるのか?」という2つの疑問と、それに対するあくなき追及の姿勢である。
高校物理までで学ぶ物理は力学と電磁気学で、それらは古典物理学と呼ばれているマクロな世界の理論であり法則だ。その世界では物質や力、電場や磁場、原子などはすべて有るか無いかがはっきりしているし、運動の軌跡も直線や曲線としてひととおりにあらわされる。電場や磁場もきちんとひととおりの答に帰着される。
ところがミクロの世界では物理法則の様相は全く違う。量子力学として知られているミクロの世界の物理法則では、電子をはじめ素粒子は粒子のように振る舞うこともあれば波のように振る舞うこともある。原子核のまわりの電子は位置を確率的にしか求めることができない。古典物理的世界の枠組みでしかとらえられない私たちの感覚と思考では不思議極まりない世界なのである。
だとしたらそのような不思議な世界からどのように私たちの不思議でない世界が構成されているのか?ピンポイントで実在を主張できない粒子や波動がなぜ実在する粒子や運動、エネルギーとして観測できるのか。
このような量子力学が解き明かす不思議の数々を広江さんは読者に投げかけ、読者と一緒に解き明かす。そのために数式が重要な役割を果たすのがEMANの物理学である。数式は無理と言ってあきらめてはいけない。高校卒業程度の数学を理解している意欲的な高校生ならばついていけるレベルで、広江さんは法則の数式による導出やそのために必要な数学を教えてくれている。
読者に対する疑問の投げかけ、読者と一緒に進むスタイルは広江さんの物理学の特長だ。一般向けに書かれた量子力学の科学教養書ではページ数の制限により、不思議な事例を天下りに紹介しているケースが目立つ。読者は「不思議だな。」と思う反面、思考はそこで止まってしまい、なぜ不思議なのかという空想を膨らますことができなくなってしまうのだ。
また教科書だと不思議をあまり強調すると「この本は大丈夫かしら?」とあらぬ疑いをかけられかねないので、大方の先生は無難な記述に抑えてしまう。勉強しながらワクワクしたい学生はモチベーションが下がる。(本来、教科書の目的にワクワクは含まれていないのだけど。)
そのように読者に親切なスタイルで広江さんが本を書けるのも、広江さんご自身が教科書を読んで疑問に思ったり、理解できなかったりした経験をたくさんされたからである。広江さんが教科書の行間で感じたこと、考えたこと、そしてご自身で解決されたことの数々を本書の記述に含めることで読者の視点に立った本が出来上がったのだ。その意味で入門者だけでなく、僕のようにひととおり専門書で学んだ者にもたくさんの「気付き」や「深い考察」を与えてくれる本である。
本書の中で際立って素晴らしいと感じた箇所をピックアップしてみよう。
- 複素数やフーリエ解析、エルミート演算子、行列の計算など初歩的な物理数学が含まれているので「冗長かな」とか「不要では」と最初は思ったのだが、その後の物理的な説明と考察に見事に活かされている。このように展開したことで単なる道具としての物理数学ではなくなり、物理現象や法則の根底を支えるのが数学であるということを入門者にも印象づけることに成功している。特にフェルミオン、ボソンの性質と行列の計算との密接な関連性をわかりやすく紹介していて素晴らしいと思った。
- 第4章の4.7「不確定性原理」、4.8「観測についての誤解」の箇所の説明が素晴らしい。ぜひ本書で読んでほしい。
- 第5章で何もない宇宙に粒子を1つ構成できるかどうかを挑戦するくだりがある。これは入門者の興味を掻き立て、うまくいくいかないに関わらずまるで自分が宇宙の創造者になったかのようにワクワクしながら読み進められる。そのために直前にフーリエ解析を詳しく解説したのが後になってみると冗長どころか、実に効果的だと思えた。
- 第6章「波動関数は現実の波ではなさそうだ。」に僕はハッとさせられた。1粒子系だと複素数の波動関数は3次元空間の場に紐づいているように思えてしまうが、2粒子系だと6次元空間、N粒子系だと3N次元空間になるわけだから、現実の3次元空間ではなく純粋に数学的な空間だと入門者にもよくわかると思う。
やはり「広江さんの本はいいよなー。」とご苦労をそっちのけで楽しませていただいた。新年早々、刺激のある本をご提供いただき、ありがとうございました。
みなさんもぜひ本書をお読みいただきたい。
これまでに出版されている2冊はこちら。まだお読みになっていない方はこちらからどうぞ。紹介記事はまだ書き慣れていない頃の投稿なので今よりも未熟で恥ずかしいが、それぞれリンクさせておく。
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第1章:ミクロの世界の謎
- 知っていてほしい大事なこと
- 光は波なのに粒々だった!?
- ド・ブロイ波
- シュレーディンガー方程式
- 変数分離法
- 重ね合わせの原理
- 3次元への拡張
- 原子の構造
- ボーア半径
- 電子は粒々なのに波でいいのか
第2章:複素数の性質
- 虚数は存在しない数か
- 加減乗除
- 複素平面
- 積の図形的意味
- 複素共役
- テイラー展開
- オイラーの公式
- 複素数の極形式表示
- 波動関数の位相の変化
第3章:理解を助ける計算例
- なぜ単純な問題を解くのか
- 井戸型ポテンシャル
- 無限に深い井戸型ポテンシャル
- 壁に向かう粒子
- トンネル効果
- 調和振動子
第4章:確率解釈
- 波動関数の規格化
- 3次元での存在確率
- 波の干渉
- 期待値
- エーレンフェストの定理
- エルミート演算子
- 不確定性原理
- 観測についての誤解
- 確率流密度
第5章:フーリエ解析
- 実フーリエ級数
- 周期を変えてみる
- 波で粒子を作る
- 複素フーリエ級数
- フーリエ変換
- 不確定性原理、再び
- 運動量の期待値の意味
- 偶関数と奇関数
- 波束の崩壊
第6章:多粒子系
- 波動関数は現実の波ではなさそうだ
- もう少し正確な原子の計算
- ボソンとフェルミオン
- 統計性とスピン
- エニオン
第7章:解釈論争
- 粒子性の正体
- シュレーディンガーの猫
- 創作小話
- ウィグナーの友人
- 多世界解釈
付録
A:位相速度と群速度
B:偏微分の座標変換
C:ガウス積分
D:ガウス分布のフーリエ変換
あとがき
参考図書
索引