「クォーク 第2版: 南部陽一郎」(Kindle版)
内容紹介:
物質の究極的構造とそれを支配する基本法則を探る素粒子物理学はどう発展してきたか。すべての物質は何か共通の基本的な材料からできているのではないか?この考え方から出発して、物質の究極的構造を求め、それを支配する基本法則を探る素粒子物理学。それがどのように発展し、どこまで来たかを2008年にノーベル物理学賞受賞の著者が、トップクォーク発見後の視点から振り返り、将来を展望。1998年刊行、326ページ。
著者について:
南部陽一郎(なんぶよういちろう):ウィキペディアの記事
1921年生まれ。東京大学物理学科卒。大阪市立大学教授に赴任後の1952年、朝永振一郎博士の推薦によりプリンストン高等研究所へ留学。58年よりシカゴ大学教授。対称性の自発的破れ、クォークの色、ひもなどの概念を導入し、素粒子論の発展に多大の貢献をしてきている。また長年日本からの若い研究者を招いて後輩の養成にも努めてきた。1978年文化勲章受章。世界の学会から多くの栄誉を受け、米国科学アカデミー会員でもある。
理数系書籍のレビュー記事は本書で277冊目。
7月5日に急性心筋梗塞により94歳で逝去された南部陽一郎先生を追悼するための読書である。
同じ講談社ブルーバックス・シリーズから本書の初版が「クォーク―素粒子物理の最前線」として刊行されたのが1981年11月。湯川秀樹博士が逝去された2か月後のことだった。初版は267ページ。新しい成果を盛り込む形で1998年に改訂されたのがこの第2版である。
南部先生逝去のニュースが報じられたのは7月17日。弟子や孫弟子の世代のたくさんの物理学者の先生方がブログやツイッターで逝去されたことを痛み、南部先生の功績を讃えていたことに僕は胸を打たれた。
そして「ペンタクォーク」発見のニュースが飛び込んできたのはその2日前の7月15日のことである。僕はペンタクォークが南部先生の人生に対して自然が与えた勲章なのだと思うことにした。
本書は素粒子発見の歴史に沿って書かれた素晴らしい科学教養書であるが、入門者向きではないと思った。この分野の本を初めて読むのであれば現代の視点から整理した形で紹介している大栗博司先生の「強い力と弱い力」をお勧めしたい。本書はその次に読むとよいだろう。また本書は次のような方にも向いている。
- 専門的な教科書で勉強する前に素粒子物理学発展の流れをざっと予習しておきたい方。
- 専門的な教科書で学んでいるが、理論の背景や前後関係が見えにくくなってしまった方。
- 物理学科をはじめ、理数系学部学科の大学生。
本書が貴重だと思えるのは初版が刊行された1981年当時までの理論や仮説の流れが色濃く残されていることだ。たとえば次のような事柄は最近刊行されている科学教養書では知ることができない。
- 中野-西島-ゲルマンの法則
- フェルミとヤンの複合モデル
- 坂田モデル
- ハドロンのひもモデル
- ファインマンのパートンモデル
あとクォークやQCD(量子色力学)の解説もとても踏み込んで専門的である。他の科学教養書ではお目にかかれない次のような事柄も紹介されている。
- 漸近的自由性
- ウィルソンの格子理論とくりこみの新しい解釈
素粒子の標準模型や大統一理論、超対称性理論にも詳しい解説を与え、それらの理論が成り立つためにはどのようなことが必要になるか、クォーク・モデルとどのように整合するのか、どのようなエネルギー・スケールで実験をすることが必要かなど、理論と実験の両方の立場から今後の展望を述べている。
ヒッグス粒子やヒッグス場の意味についても、この粒子が発見される10年以上前であるにもかかわらず、詳しい解説や見通しを述べているのが印象的だった。
本書ではポスト・モダン的物理学のひとつとして紹介されているのが超対称性理論、カルーザ・クラインの多次元空間理論、そしてその延長にある超弦理論である。
超対称性理論については懐疑的であるが、頭ごなしに否定するのではなく「ディラック以来、理論家は数学的に美しいものは自然が採用しないはずはないという信念を抱く傾向がある。」と述べ、超対称性がどのように自発的に破れるのかがわかっていないなど、理論としてまだ完成していないこと、実験では全く証明できていないことを述べ、今後の研究や実験を見守っていこうという立場でしめくくっていいる。
標準理論裏付ける新証拠、「超対称性」に新たな痛手 LHC(2015年7月28日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3055710
超弦理論については「まだ半ばの夢の段階で、今までに得られた結果を楽観的に延長した期待なのだが、まじめにこんな期待がもてるというだけでも驚くべきことである。」としつつ、「素粒子物理学はひとつの転換期(あるいは危機と言ってもよい)に直面している。それは理論の躍進と実験能力の行き詰まりの両方がたまたま同時におこったからだ。」と述べている。
南部先生にとっては「入門書」の位置づけなのだろうけれども、僕の印象は「中級者」以上が対象だと思う。科学教養書をいくつも読んでいる僕にしても、本書をきっちり理解するためには2、3度読まなければというレベルの本だ。
ブルーバックスという小型本にこれだけたくさんの項目が詰め込まれているので、専門用語を初心者向けに解説しきれていない部分が多い。専門家にとっては論理的整合性がとれている記述なのだが、入門レベルの読者には話のつながりや意味不明な箇所が残っているのも事実である。
その意味で読者を選ぶ本ではあるが、今後も読み続けられる名著のひとつなので、まだ読んでいない方はぜひ挑戦してほしい。
南部先生は本書のほかにも科学教養書をいくつかお書きになっている。興味のある方は以下のリンクから検索してみるとよいだろう。
南部陽一郎先生の著書を: Amazonで検索する
関連記事:
興奮!!:ノーベル物理学賞を日本人の科学者3人が独占
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d7bfaa2f112a267aa1da4ecfa2a6c8f7
(注意:南部先生は1970年にアメリカ国籍を取得されたので、厳密に言えば「元日本人」である。)
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「クォーク 第2版: 南部陽一郎」(Kindle版)
まえがき
第1章:素粒子とは
- 答えがあるかどうかわからない問い
- 何か不変に保たれるものがある
- 本当にあるのか?
第2章:クォークとレプトン
- 誰も見つけていない型破りの基本粒子--クォーク
- 重い粒子、軽い粒子、その中間
- 粒子の「大きさ」とは?
- 散乱実験でわかること
第3章:クォーク探し
- 陽子、中性子の構造
- 分数電荷の粒子をさがす
第4章:加速器のいろいろ
- 強く打てば響く奥深い自然
- 加速器の原理
- 衝突型方式--カウンターパンチの底力
- 測定装置の問題
- 加速器の現在と将来
第5章:湯川理論の誕生
- 原子から原子核へ
- 湯川の中間子論
- 相対論的量子力学
- 中間子に至る発想
- 1930年代
第6章:新粒子の出現
- クーロン型と湯川型
- パイオン
- 2メソン仮説からミューオンの発見へ
- V粒子の劇的な登場
- あらゆることを試みる
第7章:素粒子の規則性と保存則
- 中野-西島-ゲルマンの法則
- 発想のカギ
- 強い相互作用とアイソスピンの保存
- πNの3-3共鳴状態
第8章:対称性と保存則
- 対称性とは
- パリティの非保存
- CPの破れ
- 自然法則は時間反転に対して不変か
第9章:ハドロンの複合モデル
- 基本粒子への期待
- フェルミとヤンの複合モデル
- 素粒子の世界での「素」と「複」
- 坂田モデル
第10章:クォークモデル
- 坂田モデルとのちがい
- クォークモデルにおけるバリオン
- 予言通りのΩ-粒子の発見
第11章:クォークモデルの進化
- クォーク複合系モデル
- 原子核とのアナロジー
- クォークは色と香りで区別する
- 9個のクォークによる模型
- 色のあるハドロンはないのか
- クォーク、整数荷電の可能性を追う
- 意外な事件J/Ψ
第12章:チャームとそれに続くもの
- 自然の奥深さを示すJ/Ψ
- J/Ψ粒子の正体
- クォークモデルを完備させた第4番目のクォーク、c
- またしても自然は人知を出し抜いた
- レプトンもクォークも6種
第13章:ひも付きのクォーク
- 1つのパラドックス
- ハドロンのひもモデル
- ひもとは何か
第14章:パートンとは
- ハドロンは軟らかい
- 無限小の点粒子
- ファインマンのパートンモデル
- クォークモデルとの比較
第15章:朝永・シュウィンガー・ファインマンのくりこみ理論
- 新しい現象を追うのにいそがしい素粒子物理
- 量子電磁力学
- 無限大の自己エネルギー
- あきらめの効用--くりこみ理論
第16章:QCD--色の量子力学
- メソン論から色力学へ
- ゲージ場とは
- 色力学
- クォークをひっつける糊--グルーオン
- 漸近的自由性
- ウィルソンの格子理論とくりこみの新しい解釈
第17章:対称性の自然破綻
- 対称性とは何か
- 対称性の自発的な破れ
- 自発的な破れのなごり--NG波
- 超伝導も対称性の破れ
- クォークの質量の由来--NJLモデル
第18章:弱い相互作用の傾いた骨組
- 神の手抜き?
- 弱い相互作用とは
- 弱い相互作用の秩序性
- チャーム・クォークがあるはず
第19章:ワインバーグ-サラムの電弱統一理論
- 湯川メソンを超えて
- Wボソン
- 電磁力と弱い力の統一へ
- 超伝導現象との対比
第20章:素粒子の標準模型I--素粒子物理の現状のまとめ
第21章:素粒子の標準模型II--フェルミオンの質量
第22章:統一場の理論
- とてつもないエネルギー...でもナンセンスとは言い切れない
第23章:大統一のプログラム
- 最後の問い
- ジョージャイ-グラショウのSU(5)大統一理論
- 大統一理論の予言
第24章:素粒子物理学のゆくえ
- 素粒子論と宇宙論との融合
- ポスト・モダン的物理学
用語解説
さくいん 巻末
内容紹介:
物質の究極的構造とそれを支配する基本法則を探る素粒子物理学はどう発展してきたか。すべての物質は何か共通の基本的な材料からできているのではないか?この考え方から出発して、物質の究極的構造を求め、それを支配する基本法則を探る素粒子物理学。それがどのように発展し、どこまで来たかを2008年にノーベル物理学賞受賞の著者が、トップクォーク発見後の視点から振り返り、将来を展望。1998年刊行、326ページ。
著者について:
南部陽一郎(なんぶよういちろう):ウィキペディアの記事
1921年生まれ。東京大学物理学科卒。大阪市立大学教授に赴任後の1952年、朝永振一郎博士の推薦によりプリンストン高等研究所へ留学。58年よりシカゴ大学教授。対称性の自発的破れ、クォークの色、ひもなどの概念を導入し、素粒子論の発展に多大の貢献をしてきている。また長年日本からの若い研究者を招いて後輩の養成にも努めてきた。1978年文化勲章受章。世界の学会から多くの栄誉を受け、米国科学アカデミー会員でもある。
理数系書籍のレビュー記事は本書で277冊目。
7月5日に急性心筋梗塞により94歳で逝去された南部陽一郎先生を追悼するための読書である。
同じ講談社ブルーバックス・シリーズから本書の初版が「クォーク―素粒子物理の最前線」として刊行されたのが1981年11月。湯川秀樹博士が逝去された2か月後のことだった。初版は267ページ。新しい成果を盛り込む形で1998年に改訂されたのがこの第2版である。
南部先生逝去のニュースが報じられたのは7月17日。弟子や孫弟子の世代のたくさんの物理学者の先生方がブログやツイッターで逝去されたことを痛み、南部先生の功績を讃えていたことに僕は胸を打たれた。
そして「ペンタクォーク」発見のニュースが飛び込んできたのはその2日前の7月15日のことである。僕はペンタクォークが南部先生の人生に対して自然が与えた勲章なのだと思うことにした。
本書は素粒子発見の歴史に沿って書かれた素晴らしい科学教養書であるが、入門者向きではないと思った。この分野の本を初めて読むのであれば現代の視点から整理した形で紹介している大栗博司先生の「強い力と弱い力」をお勧めしたい。本書はその次に読むとよいだろう。また本書は次のような方にも向いている。
- 専門的な教科書で勉強する前に素粒子物理学発展の流れをざっと予習しておきたい方。
- 専門的な教科書で学んでいるが、理論の背景や前後関係が見えにくくなってしまった方。
- 物理学科をはじめ、理数系学部学科の大学生。
本書が貴重だと思えるのは初版が刊行された1981年当時までの理論や仮説の流れが色濃く残されていることだ。たとえば次のような事柄は最近刊行されている科学教養書では知ることができない。
- 中野-西島-ゲルマンの法則
- フェルミとヤンの複合モデル
- 坂田モデル
- ハドロンのひもモデル
- ファインマンのパートンモデル
あとクォークやQCD(量子色力学)の解説もとても踏み込んで専門的である。他の科学教養書ではお目にかかれない次のような事柄も紹介されている。
- 漸近的自由性
- ウィルソンの格子理論とくりこみの新しい解釈
素粒子の標準模型や大統一理論、超対称性理論にも詳しい解説を与え、それらの理論が成り立つためにはどのようなことが必要になるか、クォーク・モデルとどのように整合するのか、どのようなエネルギー・スケールで実験をすることが必要かなど、理論と実験の両方の立場から今後の展望を述べている。
ヒッグス粒子やヒッグス場の意味についても、この粒子が発見される10年以上前であるにもかかわらず、詳しい解説や見通しを述べているのが印象的だった。
本書ではポスト・モダン的物理学のひとつとして紹介されているのが超対称性理論、カルーザ・クラインの多次元空間理論、そしてその延長にある超弦理論である。
超対称性理論については懐疑的であるが、頭ごなしに否定するのではなく「ディラック以来、理論家は数学的に美しいものは自然が採用しないはずはないという信念を抱く傾向がある。」と述べ、超対称性がどのように自発的に破れるのかがわかっていないなど、理論としてまだ完成していないこと、実験では全く証明できていないことを述べ、今後の研究や実験を見守っていこうという立場でしめくくっていいる。
標準理論裏付ける新証拠、「超対称性」に新たな痛手 LHC(2015年7月28日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3055710
超弦理論については「まだ半ばの夢の段階で、今までに得られた結果を楽観的に延長した期待なのだが、まじめにこんな期待がもてるというだけでも驚くべきことである。」としつつ、「素粒子物理学はひとつの転換期(あるいは危機と言ってもよい)に直面している。それは理論の躍進と実験能力の行き詰まりの両方がたまたま同時におこったからだ。」と述べている。
南部先生にとっては「入門書」の位置づけなのだろうけれども、僕の印象は「中級者」以上が対象だと思う。科学教養書をいくつも読んでいる僕にしても、本書をきっちり理解するためには2、3度読まなければというレベルの本だ。
ブルーバックスという小型本にこれだけたくさんの項目が詰め込まれているので、専門用語を初心者向けに解説しきれていない部分が多い。専門家にとっては論理的整合性がとれている記述なのだが、入門レベルの読者には話のつながりや意味不明な箇所が残っているのも事実である。
その意味で読者を選ぶ本ではあるが、今後も読み続けられる名著のひとつなので、まだ読んでいない方はぜひ挑戦してほしい。
南部先生は本書のほかにも科学教養書をいくつかお書きになっている。興味のある方は以下のリンクから検索してみるとよいだろう。
南部陽一郎先生の著書を: Amazonで検索する
関連記事:
興奮!!:ノーベル物理学賞を日本人の科学者3人が独占
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d7bfaa2f112a267aa1da4ecfa2a6c8f7
(注意:南部先生は1970年にアメリカ国籍を取得されたので、厳密に言えば「元日本人」である。)
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「クォーク 第2版: 南部陽一郎」(Kindle版)
まえがき
第1章:素粒子とは
- 答えがあるかどうかわからない問い
- 何か不変に保たれるものがある
- 本当にあるのか?
第2章:クォークとレプトン
- 誰も見つけていない型破りの基本粒子--クォーク
- 重い粒子、軽い粒子、その中間
- 粒子の「大きさ」とは?
- 散乱実験でわかること
第3章:クォーク探し
- 陽子、中性子の構造
- 分数電荷の粒子をさがす
第4章:加速器のいろいろ
- 強く打てば響く奥深い自然
- 加速器の原理
- 衝突型方式--カウンターパンチの底力
- 測定装置の問題
- 加速器の現在と将来
第5章:湯川理論の誕生
- 原子から原子核へ
- 湯川の中間子論
- 相対論的量子力学
- 中間子に至る発想
- 1930年代
第6章:新粒子の出現
- クーロン型と湯川型
- パイオン
- 2メソン仮説からミューオンの発見へ
- V粒子の劇的な登場
- あらゆることを試みる
第7章:素粒子の規則性と保存則
- 中野-西島-ゲルマンの法則
- 発想のカギ
- 強い相互作用とアイソスピンの保存
- πNの3-3共鳴状態
第8章:対称性と保存則
- 対称性とは
- パリティの非保存
- CPの破れ
- 自然法則は時間反転に対して不変か
第9章:ハドロンの複合モデル
- 基本粒子への期待
- フェルミとヤンの複合モデル
- 素粒子の世界での「素」と「複」
- 坂田モデル
第10章:クォークモデル
- 坂田モデルとのちがい
- クォークモデルにおけるバリオン
- 予言通りのΩ-粒子の発見
第11章:クォークモデルの進化
- クォーク複合系モデル
- 原子核とのアナロジー
- クォークは色と香りで区別する
- 9個のクォークによる模型
- 色のあるハドロンはないのか
- クォーク、整数荷電の可能性を追う
- 意外な事件J/Ψ
第12章:チャームとそれに続くもの
- 自然の奥深さを示すJ/Ψ
- J/Ψ粒子の正体
- クォークモデルを完備させた第4番目のクォーク、c
- またしても自然は人知を出し抜いた
- レプトンもクォークも6種
第13章:ひも付きのクォーク
- 1つのパラドックス
- ハドロンのひもモデル
- ひもとは何か
第14章:パートンとは
- ハドロンは軟らかい
- 無限小の点粒子
- ファインマンのパートンモデル
- クォークモデルとの比較
第15章:朝永・シュウィンガー・ファインマンのくりこみ理論
- 新しい現象を追うのにいそがしい素粒子物理
- 量子電磁力学
- 無限大の自己エネルギー
- あきらめの効用--くりこみ理論
第16章:QCD--色の量子力学
- メソン論から色力学へ
- ゲージ場とは
- 色力学
- クォークをひっつける糊--グルーオン
- 漸近的自由性
- ウィルソンの格子理論とくりこみの新しい解釈
第17章:対称性の自然破綻
- 対称性とは何か
- 対称性の自発的な破れ
- 自発的な破れのなごり--NG波
- 超伝導も対称性の破れ
- クォークの質量の由来--NJLモデル
第18章:弱い相互作用の傾いた骨組
- 神の手抜き?
- 弱い相互作用とは
- 弱い相互作用の秩序性
- チャーム・クォークがあるはず
第19章:ワインバーグ-サラムの電弱統一理論
- 湯川メソンを超えて
- Wボソン
- 電磁力と弱い力の統一へ
- 超伝導現象との対比
第20章:素粒子の標準模型I--素粒子物理の現状のまとめ
第21章:素粒子の標準模型II--フェルミオンの質量
第22章:統一場の理論
- とてつもないエネルギー...でもナンセンスとは言い切れない
第23章:大統一のプログラム
- 最後の問い
- ジョージャイ-グラショウのSU(5)大統一理論
- 大統一理論の予言
第24章:素粒子物理学のゆくえ
- 素粒子論と宇宙論との融合
- ポスト・モダン的物理学
用語解説
さくいん 巻末