「歴史を変えた100の大発見 数学 新たな数と理論の発見史」
内容紹介
数学の歴史を、豊富な図とイラストでビジュアルに見せた新しい図鑑。数学者たちの風変わりなエピソードとともに、数学の歴史を100のトピックスを通じて追うことで、数やその理論が人類にもたらした恩恵や、まだまだ謎に満ち溢れた数学という学問の深遠さを感じられる。まるで博物館をめぐるようにその進歩を知ることができる一冊。2014年6月28日刊行、150ページ。
著者略歴
トム・ジャクソン
英国で活躍するサイエンスライター。ブリストル大学で動物学を学び動物園で働いた後、ジンバブエやベトナムで自然保護活動を行う。20年にわたって、メキシコオオサンショウウオからゾロアスター教にいたる幅広いテーマで一般向けの啓蒙書を執筆。科学、自然誌関係だけで40冊以上の本をまとめている。現在もブリストル在住。
翻訳者略歴
冨永星
フリーランス翻訳家。京都大学数理科学系卒業後、国立国会図書館司書、自由の森学園教員などを経て、一般向け科学啓蒙書と児童書の翻訳に従事。
地元の書店で見つけた数学図鑑の決定版!この本ならば小学生(高学年)から大人まで数学の深い世界を楽しみながら人類に数学がどれほど役立っているのか楽しみながら理解することができると思う。これまでになかった新しい感覚の図鑑である。
「大学で学ぶ数学とは」という記事を書いて以来、数学全体を見渡せるような本を読んで紹介してきた。高校生には「無限をつかむ: イアン・スチュアートの数学物語」がお勧めだが、分厚い本なので途中で放り投げてしまう人がいるかもしれない。でも図鑑なら日頃読書しない人でも大丈夫だと思う。
「数学なんて使わなくても実生活では困らない。」というのもひとつの事実だ。それを僕は否定しない。
けれども「数学って何のために学ぶの?」とか「数学を学ぶと何の役に立つの?」という疑問を持った人を見かけたら、ぜひこの本を見せてほしい。ほんの数ページ眺めるだけで、役に立つとか立たないとかを超えて、数学の魅力がその人の心に焼きつくことだろう。
小学生のための学習図鑑のように安っぽくなく、当時の歴史資料からたくさんのカラー写真をていねいに選び、落ち着いた色彩感覚でイラストが描かれているので値段以上の高級感がある。だから小学生から高校生のみなさんにとっては高価な本なので、図書館を利用するかご両親にお願いしてみてほしい。大人になるまで何度読んでも買ってよかったなぁと思える本なのだ。
次の図は最初のほうに載っている数学の分野を分類したもの。大学以上で学ぶ数学は、分野の名前を聞いても内容はわかりにくいし、それぞれ分野の関係を理解するのは難しいから、このような図は初心者にはとても参考になると思う。
クリックで拡大
本で紹介している100のトピックは、以下に書いた目次をみてほしい。大学で数学を専攻した僕にとっても「えっ、こんな高度なことまで紹介しているの?」と驚かされるような事柄が含まれている。
僕が驚いたのはたとえば「非線形方程式」とか「三体問題」、「摂動理論」、「ベッセル関数」、「群論」、「超越数」、「単純リー群」、「全有限単純群の分類」など。実際に読んでみたけれど、それぞれ上手に説明してあると思った。
中学生、高校生の中には、ふだん学校で学んでいる数学の内容が、この本にはほんの少ししか書かれていないことに気がつく人がいるかもしれない。それはなぜかというと、数学全体がカバーする範囲がとても広く、深いからなのだ。中学と高校で学ぶ数学は、この本で紹介している数学のうちほんの一部に過ぎない。とはいえ学校で教えられている数学は、いちばん基礎になる部分。この本で紹介している数学のどれを学ぶためにも重要な基礎になるのだ。
「歴史を変えた100の大発見 数学 新たな数と理論の発見史」
はじめに
有史以前から中世まで
001: 数える
002: 位取り記数法
003: 計算に使う道具、アバカス
004: ピタゴラスの定理
005: リンド・パピルス
006: ゼロ
007: 音楽の数学
008: 黄金比
009: プラトンの立体
010: 論理
011: 幾何学
012: 魔方陣
013: 素数
014: パイ
015: 地球を測る
016: 10のべき、10の力
017: 今日に通じる暦
018: ディオファントスの方程式
019: インド・アラビア記数法
020: アルゴリズム
021: 暗号学
022: 代数
023: フィボナッチ数列
ルネサンスと啓蒙の時代
024: 遠近法の幾何学
025: 非線形方程式
026: 振り子の法則
027: x と y
028: 楕円
029: 対数
030: 「ネイピアの骨」
031: 計算尺
032: 複素数
033: デカルト座標
034: 落体の法則
035: 計算機
036: パスカルの三角形
037: 偶然と確率
038: 帰納法
039: 微分積分学
040: 重力の数学
041: 2進数
新しい数、新しい理論
042: e(ネイピア数)
043: グラフ理論
044: 三体問題
045: オイラーの等式
046: ベイズの定理
047: マスケリンと個人誤差
048: マルサスの学説
049: 代数の基本定理
050: 摂動理論
051: 中心極限定理
052: フーリエ解析
053: 機械式のコンピュータ
054: ベッセル関数
055: 群論
056: 非ユークリッド幾何学
057: 平均人
058: ポアソン分布
059: 四元数
060: 超越数
061: 海王星の発見
062: ウェーバー-フェヒナーの法則
063: ブール代数
064: マクスウェル-ボルツマン
065: 無理数の定義
066: 無限
067: 集合論
068: ペアノの公理
069: 単純リー群
070: 統計的手法
現代数学
071: トポロジー
072: 新しい幾何学
073: ヒルベルトの23の問題
074: 質量エネルギー
075: マルコフ連鎖
076: 集団遺伝学
077: 数学の基礎
078: 一般相対性理論
079: 量子力学の数学
080: ゲーデルの不完全性定理
081: チューリング・マシン
082: フィールズ賞
083: ツーゼと電気式コンピュータ
084: ゲームの理論
085: 情報理論
086: 測地線
087: カオス理論
088: ひも理論
089: カタストロフ理論
090: 四色定理
091: 公開鍵暗号法
092: フラクタル
093: 4次元以上
094: 全有限単純群の分類
095: 自己組織化臨界現象
096: フェルマーの最終定理
097: コンピュータによる証明
098: ミレニアム問題
099: ポアンカレ予想
100: メルセンヌ素数捜し
101: 数学用語集
数学の謎
まだ答えが見つかっていない問題
偉大なる数学者たち
訳者あとがき
索引
数学の歴史年表
図の出典
本の扉には次のような紹介文が書いてある。
路線図を確認して地下鉄を乗り継ぎ、ICカードで改札を出る。ポケットからスマートフォンを取り出し、GPSをたよりに目的地へ向かって歩き出す…。そんな私たちの日常の中には、グラフ理論、微分積分学、情報理論、フーリエ変換、暗号理論など、さまざまな数学が潜んでいます。
いっぽうで数学者は、「無限には大小があるのか?」「四次元における立方体は、どんな形をしているのか?」「『1+1=2』は本当に正しいのか?」といった、わたしたちの直感をはるかに超える問いと向き合い、論理に基づいて厳密に論を進めてきました。
本書では、そんな数学の歴史を100のトピックスに濃縮しました。数学者たちの風変わりなエピソードとともに、数学が人類にもたらした恩恵や、驚くべき大発見を、豊富なイラストで紹介します。
ようこそ、深遠で楽しい数学の世界へ!
翻訳の元になった英語版はこちらだ。3000円を切っているので、英語が読める方はこちらのほうがよいかもしれない。
「Mathematics: An Illustrated History of Numbers: Tom Jackson」
関連記事:
無限をつかむ: イアン・スチュアートの数学物語
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2307174ab3fd537695b1287f059f2304
大学で学ぶ数学とは(概要編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55
大学で学ぶ数学とは(実用数学編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/975ad3faa2f6fd558b48c76513466945
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内容紹介
数学の歴史を、豊富な図とイラストでビジュアルに見せた新しい図鑑。数学者たちの風変わりなエピソードとともに、数学の歴史を100のトピックスを通じて追うことで、数やその理論が人類にもたらした恩恵や、まだまだ謎に満ち溢れた数学という学問の深遠さを感じられる。まるで博物館をめぐるようにその進歩を知ることができる一冊。2014年6月28日刊行、150ページ。
著者略歴
トム・ジャクソン
英国で活躍するサイエンスライター。ブリストル大学で動物学を学び動物園で働いた後、ジンバブエやベトナムで自然保護活動を行う。20年にわたって、メキシコオオサンショウウオからゾロアスター教にいたる幅広いテーマで一般向けの啓蒙書を執筆。科学、自然誌関係だけで40冊以上の本をまとめている。現在もブリストル在住。
翻訳者略歴
冨永星
フリーランス翻訳家。京都大学数理科学系卒業後、国立国会図書館司書、自由の森学園教員などを経て、一般向け科学啓蒙書と児童書の翻訳に従事。
地元の書店で見つけた数学図鑑の決定版!この本ならば小学生(高学年)から大人まで数学の深い世界を楽しみながら人類に数学がどれほど役立っているのか楽しみながら理解することができると思う。これまでになかった新しい感覚の図鑑である。
「大学で学ぶ数学とは」という記事を書いて以来、数学全体を見渡せるような本を読んで紹介してきた。高校生には「無限をつかむ: イアン・スチュアートの数学物語」がお勧めだが、分厚い本なので途中で放り投げてしまう人がいるかもしれない。でも図鑑なら日頃読書しない人でも大丈夫だと思う。
「数学なんて使わなくても実生活では困らない。」というのもひとつの事実だ。それを僕は否定しない。
けれども「数学って何のために学ぶの?」とか「数学を学ぶと何の役に立つの?」という疑問を持った人を見かけたら、ぜひこの本を見せてほしい。ほんの数ページ眺めるだけで、役に立つとか立たないとかを超えて、数学の魅力がその人の心に焼きつくことだろう。
小学生のための学習図鑑のように安っぽくなく、当時の歴史資料からたくさんのカラー写真をていねいに選び、落ち着いた色彩感覚でイラストが描かれているので値段以上の高級感がある。だから小学生から高校生のみなさんにとっては高価な本なので、図書館を利用するかご両親にお願いしてみてほしい。大人になるまで何度読んでも買ってよかったなぁと思える本なのだ。
次の図は最初のほうに載っている数学の分野を分類したもの。大学以上で学ぶ数学は、分野の名前を聞いても内容はわかりにくいし、それぞれ分野の関係を理解するのは難しいから、このような図は初心者にはとても参考になると思う。
クリックで拡大
本で紹介している100のトピックは、以下に書いた目次をみてほしい。大学で数学を専攻した僕にとっても「えっ、こんな高度なことまで紹介しているの?」と驚かされるような事柄が含まれている。
僕が驚いたのはたとえば「非線形方程式」とか「三体問題」、「摂動理論」、「ベッセル関数」、「群論」、「超越数」、「単純リー群」、「全有限単純群の分類」など。実際に読んでみたけれど、それぞれ上手に説明してあると思った。
中学生、高校生の中には、ふだん学校で学んでいる数学の内容が、この本にはほんの少ししか書かれていないことに気がつく人がいるかもしれない。それはなぜかというと、数学全体がカバーする範囲がとても広く、深いからなのだ。中学と高校で学ぶ数学は、この本で紹介している数学のうちほんの一部に過ぎない。とはいえ学校で教えられている数学は、いちばん基礎になる部分。この本で紹介している数学のどれを学ぶためにも重要な基礎になるのだ。
「歴史を変えた100の大発見 数学 新たな数と理論の発見史」
はじめに
有史以前から中世まで
001: 数える
002: 位取り記数法
003: 計算に使う道具、アバカス
004: ピタゴラスの定理
005: リンド・パピルス
006: ゼロ
007: 音楽の数学
008: 黄金比
009: プラトンの立体
010: 論理
011: 幾何学
012: 魔方陣
013: 素数
014: パイ
015: 地球を測る
016: 10のべき、10の力
017: 今日に通じる暦
018: ディオファントスの方程式
019: インド・アラビア記数法
020: アルゴリズム
021: 暗号学
022: 代数
023: フィボナッチ数列
ルネサンスと啓蒙の時代
024: 遠近法の幾何学
025: 非線形方程式
026: 振り子の法則
027: x と y
028: 楕円
029: 対数
030: 「ネイピアの骨」
031: 計算尺
032: 複素数
033: デカルト座標
034: 落体の法則
035: 計算機
036: パスカルの三角形
037: 偶然と確率
038: 帰納法
039: 微分積分学
040: 重力の数学
041: 2進数
新しい数、新しい理論
042: e(ネイピア数)
043: グラフ理論
044: 三体問題
045: オイラーの等式
046: ベイズの定理
047: マスケリンと個人誤差
048: マルサスの学説
049: 代数の基本定理
050: 摂動理論
051: 中心極限定理
052: フーリエ解析
053: 機械式のコンピュータ
054: ベッセル関数
055: 群論
056: 非ユークリッド幾何学
057: 平均人
058: ポアソン分布
059: 四元数
060: 超越数
061: 海王星の発見
062: ウェーバー-フェヒナーの法則
063: ブール代数
064: マクスウェル-ボルツマン
065: 無理数の定義
066: 無限
067: 集合論
068: ペアノの公理
069: 単純リー群
070: 統計的手法
現代数学
071: トポロジー
072: 新しい幾何学
073: ヒルベルトの23の問題
074: 質量エネルギー
075: マルコフ連鎖
076: 集団遺伝学
077: 数学の基礎
078: 一般相対性理論
079: 量子力学の数学
080: ゲーデルの不完全性定理
081: チューリング・マシン
082: フィールズ賞
083: ツーゼと電気式コンピュータ
084: ゲームの理論
085: 情報理論
086: 測地線
087: カオス理論
088: ひも理論
089: カタストロフ理論
090: 四色定理
091: 公開鍵暗号法
092: フラクタル
093: 4次元以上
094: 全有限単純群の分類
095: 自己組織化臨界現象
096: フェルマーの最終定理
097: コンピュータによる証明
098: ミレニアム問題
099: ポアンカレ予想
100: メルセンヌ素数捜し
101: 数学用語集
数学の謎
まだ答えが見つかっていない問題
偉大なる数学者たち
訳者あとがき
索引
数学の歴史年表
図の出典
本の扉には次のような紹介文が書いてある。
路線図を確認して地下鉄を乗り継ぎ、ICカードで改札を出る。ポケットからスマートフォンを取り出し、GPSをたよりに目的地へ向かって歩き出す…。そんな私たちの日常の中には、グラフ理論、微分積分学、情報理論、フーリエ変換、暗号理論など、さまざまな数学が潜んでいます。
いっぽうで数学者は、「無限には大小があるのか?」「四次元における立方体は、どんな形をしているのか?」「『1+1=2』は本当に正しいのか?」といった、わたしたちの直感をはるかに超える問いと向き合い、論理に基づいて厳密に論を進めてきました。
本書では、そんな数学の歴史を100のトピックスに濃縮しました。数学者たちの風変わりなエピソードとともに、数学が人類にもたらした恩恵や、驚くべき大発見を、豊富なイラストで紹介します。
ようこそ、深遠で楽しい数学の世界へ!
翻訳の元になった英語版はこちらだ。3000円を切っているので、英語が読める方はこちらのほうがよいかもしれない。
「Mathematics: An Illustrated History of Numbers: Tom Jackson」
関連記事:
無限をつかむ: イアン・スチュアートの数学物語
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2307174ab3fd537695b1287f059f2304
大学で学ぶ数学とは(概要編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55
大学で学ぶ数学とは(実用数学編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/975ad3faa2f6fd558b48c76513466945
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