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ネットワーク・ルーターを交換した(2回目)

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10年ぶりに家のWiFiルーターを交換した。

半年ほど前から、家の回線が不安定になり、先月サポート担当者に来てもらって調べてみたところ、メディアコンバータが古かったので交換してもらった。しかし、ルーターもそろそろ寿命だからと買い替えを勧められていた。

その後、いったん回線が使えるようになったのだが、3日前から不安定になり、とうとうほとんど使えなくなった。

原因がルーターにあるのか、釈然としなかったが、買い替えてみたところ。問題はすべて解決。もっと早く決断しておけばよかった。

2002年に家を新築してからのルーター買い替えは2回目だ。同じような価格帯のルーターだが、性能や機能の向上はめざましい。(以下、画像をクリックすると拡大する。)

バッファローのBLR-TX4(2002年10月~2009年5月):商品解説ページ


バッファローのWZR-HP-G300NH(2009年5月~2019年12月):商品解説ページ



迷いに迷った挙句、今回もバッファロー製を買った。選んだポイントは次の4つ。取り換え前のルーターにはどれもなかったものだ。

- 3階建て用(自宅は3階建てで、設置場所は2階)
- たくさんつないでも速度が落ちにくい「MU-MIMO」対応
- デュアルコアCPUを搭載
- ビームフォーミング機能

【Amazon.co.jp 限定】BUFFALO WiFi 無線LAN ルーター WSR-A2533DHP2-CB 11ac ac2600 1733+800Mbps デュアルバンド」(商品解説ページ



ルーターモード ランプ の解説動画



この5年の間に1階や2階では妹がFire7を使うようになり、父もiPadを使っている。また3階の僕の部屋ではパソコンやスマホ、タブレット端末のほか、Fire TVを使うようになった。とりあえず我が家のネット回線問題は解決した。


関連記事:

ネットワーク・ルーターを交換した
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8e2bb49e81eb54031806ca170c391c20


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2019年度仁科記念講演会(高柳匡先生、大栗博司先生)

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理論物理学の最前線の研究を知るためのまたとない機会である。昨日12月6日に2019年度仁科記念講演会で行われた高柳匡先生大栗博司先生の講演を聴講してきた。高柳先生は、2006年にエンタングルメント公式(笠-高柳公式)を発表したことで知られている。

2019年度仁科記念講演会
https://nishina-mf.sakura.ne.jp/project/lecture/


朝日カルチャーセンターのように一般市民向けに行われる講座と違い、今回は物理学専攻の大学生から研究者に向けた講演である。難易度はとびきり高いことは言うまでもない。一般市民ならば「大栗先生の超弦理論入門:大栗博司」をお読みになるのががいちばんよい。)

単なる物理学マニアに過ぎない僕のような者が聞いてもすべて理解できるはずがないから、おおまかなところだけでも吸収できればよいと、ゆったりとした気持ちで聴講させていただいた。

事前登録なし、先着順200名までということだったので、開始1時間前に到着したところ、すでに20名ほどの人が席をとっていた。

予定時刻までに会場は満席になり、2008年にノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生も最前列にお見えになっていた。(参考記事:「興奮!!:ノーベル物理学賞を日本人の科学者3人が独占」)

進行役は「日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」」のときに講演を聞かせていただいた須藤靖先生だ。このときの講演動画もすでに公開されている。

大栗先生も会場に到着され「お久しぶりです。」と挨拶させていただくとともに、先月の紫綬褒章受章についても「受賞おめでとうございます!」と忘れずに申し上げた。先生に最後にお目にかかったのは2016年3月の「「9次元からきた男」ブロガー特別試写会」のときだったから3年9カ月ぶりである。

講演内容で理解できたところだけでも、この記事で解説しようと思っていたが、理解がまったく及ばず頭を抱えていた。

ところが、すでに講演動画が公開されている。これをご覧いただくのがいちばんである。まさか翌日に公開されるとは思っていなかった。

2019/12/06 仁科記念講演会 東京大学 量子重力


講演1:高柳先生の講演: YouTubeで再生(動画再生開始から14分0秒後)
講演2:大栗先生の講演: YouTubeで再生(動画再生開始から1時間16分0秒後)

プログラム
挨拶 
小林 誠(仁科記念財団理事長)
山本 智(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻専攻長)  
講演1 「量子ビットの幾何学から重力へ」
高柳 匡(京都大学基礎物理学研究所教授)
講演2 「重力の条件」
大栗博司(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構機構長、カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授)


講演はもちろん僕には難し過ぎたわけだが、AdS/CFTと量子情報理論がどのように結びついているのかは理解できた。お二人の先生の説明の中に「極小曲面」がでてきたのが興味深かった。(参考記事:「ストッキングを使った極小曲面、最小面積曲面の実験」)

量子重力理論の歴史は次のとおり。

1970年:ハドロンの弦理論(南部、サスキンド、ニールセン)
1974年:弦理論が重力の理論を含む(米谷、シャーク、シュワルツ)
1976年:ホーキングの情報喪失(情報パラドックス):「ホーキング、宇宙を語る」
1988年:ループ量子重力
1997年:AdS/CFT対応、ホログラフィック原理による量子重力理論の定義(マルダセナ)
2002年:ホログラフィックQCD
2006年:エンタングルメント公式(笠-高柳公式
2008年:ホログラフィック超伝導
2009年:量子重力創発条件
2015年:量子エラー訂正符号による空間創発
2017年:創発空間のアインシュタイン方程式の導出
2019年:量子重力には対称性はないことを大栗博司、ダニエル・ハーロウが証明(参考記事

しかし、量子情報による時空の創発については、橋本幸士先生がされている深層学習を使ったご研究(参考記事:「深層学習と時空:橋本幸士先生 #MathPower」)や堀田昌寛先生が「量子情報と時空の物理 第2版: 堀田昌寛」でお書きになっている内容と、どのように関係しているのかが、僕にはよくわからなかった。

ともあれ、知的刺激に満ちた数時間を過ごさせていただいた。高柳先生、大栗先生、ありがとうございました。


最後に会場に到着するまでに、東大構内で撮影した写真を載せておこう。安田講堂を仰ぎ見たのは初めてだった。

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関連記事:

大栗博司先生がKavli IPMU機構長に就任
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/afb0f086ed0b1a75972b7f70cf568576

量子重力には対称性はない ― 大栗機構長らが証明
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f3873800958a91cedc050075c14d303c

日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d39ec747fb47e0c8418e7e167e2f60c4



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映画『アポロ11 完全版(2019)』

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月面着陸50周年に合わせ、今年7月に公開された映画『アポロ11 完全版(2019)』がネットで観れるようになった。DVDやブルーレイの発売日は未定である。

映画『アポロ11 完全版』公式サイト
http://apollo11-movie.jp/

70mmフィルムを4Kリマスターして高精細にした映画だ。本編90分は、まさに究極のリアリティで、とても50年前に撮影したものとは思えない。ぜひご覧いただきたい。

映画『APOLLO 11(原題)』(2019)-邦題:『アポロ11 完全版-アメリカ本国版の予告編』



Prime Video: 開く
YouTubeムービー: 開く


関連記事:

映画『ファースト・マン(2018)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/70be98d22d147227bc01e7d7eaa0019a

映画『ドリーム(2016)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/54307adde353ad3fba64f33914f660a1

アポロに搭載された計算尺(Pickett N600-ES)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3898318d7f4b3e84900d9ae2cb80d816


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とね日記賞の発表!(2019): 物理学賞、数学賞、他

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毎年12月10日、スウェーデンのストックホルムでアルフレッド・ノーベルの命日に行われるノーベル賞の授賞式の日程にあわせて、「とね日記賞」を発表している。今年で10回目。

ノーベル賞を僕がもらう見込みはどうもなさそうだ。ならば自分で賞を作って「あげる側」になってしまえ!という思いつきだ。

「とね日記賞」はその年に読んだ物理学書、数学書の中から自分のためになった本、この分野を勉強している学生や社会人にお勧めする本を物理学、数学など各分野に分けてそれぞれ1~2冊発表する。あとテレビドラマ賞や贈り物にふさわしい本としてクリスマス賞も設けている。


名著であっても僕がその価値を理解できなければ受賞できない。昨年以前に読んだ本は自動的に選考対象から外されるし、どんなに良書であっても読んでいなければ対象外。何より僕の学習進度や理解度や好みに影響される。

メダルも賞金も授賞式もスピーチも晩餐会も舞踏会もないから、ありがたくも何ともなく、主観だらけのアンフェアな賞だ。

今年は次の賞を発表する。今年から「洋書賞」を設けることにした。

- 物理学賞
 物理学の教科書、専門書から選考。

- 天文学賞
 物理学の教科書、専門書から選考。

- 数学賞
 数学の教科書、専門書から選考。

- 洋書賞
 洋書の教科書、専門書、科学教養書から選考。

- AI賞
 AIに関する本から選考。

- 教養書賞
 一般向け書籍から分野別に選考。

- 新人賞
 書籍出版デビューを果たした方が書いた本から選考。

- 功労賞
 科学史への貢献、ライフワークを完結されたような本から選考。

- 文学賞
 ジャンルを問わない小説、文学書から選考。

- アカデミー賞
 今年観た映画の中からよかったものを選考。

- テレビドラマ賞
 テレビドラマの中からよかったものを選考。

- クリスマス賞
 クリスマスプレゼントにふさわしい本を選考。


この1年で読んだ本は53冊で、次のような本である。通算381冊~433冊目。(参考:「400冊の理数系書籍を読んで得られたこと」)

381/ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平
382/はじめて学ぶリー環: 井ノ口順一
383/力学の誕生―オイラーと「力」概念の革新―: 有賀暢迪
384/よくわかる初等力学: 前野昌弘
385/高校生からわかる複素解析: 涌井良幸
386/量子と情報 ―量子の実在と不確定性原理―: 小澤正直
387/科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで : 三田一郎
388/完訳 天球回転論: ニコラウス・コペルニクス
389/星界の報告: ガリレオ・ガリレイ
390/テレポーテーション 瞬間移動の夢: デヴィッド・ダーリング
391/楕円関数入門: 戸田盛和
392/数理解析のパイオニアたち: V.I.アーノルド
393/天体力学のパイオニアたち 上: F.ディアク、R.ホームズ
394/天体力学のパイオニアたち 下: F.ディアク、R.ホームズ
395/ポアンカレ 常微分方程式 -天体力学の新しい方法-
396/核兵器: 多田将
397/線型代数学(新装版):佐武一郎
398/ザイマン現代量子論の基礎(新装版):J.M.ザイマン
399/テンソル解析:田代嘉宏
400/なっとくする群・環・体:野崎昭弘
401/ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン
402/神は老獪にして…: アブラハム・パイス
403/ホーキング、ブラックホールを語る:BBCリース講義
404/巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る: 本間希樹
405/ゼロからわかるブラックホール: 大須賀健
406/ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう:スティーヴン・ホーキング
407/ホーキングとペンローズが語る 時空の本質―ブラックホールから量子宇宙論へ
408/宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃: 加藤文元
409/ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書): 加藤文元
410/一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー
411/一般相対論の世界を探る―重力波と数値相対論:柴田大
412/アインシュタインここに生きる: アブラハム・パイス
413/難しい数式はまったくわかりませんが、微分積分を教えてください!: たくみ
414/はじめて学ぶ物理学 上 学問としての高校物理: 吉田弘幸
415/はじめて学ぶ物理学 下 学問としての高校物理: 吉田弘幸
416/予備校のノリで学ぶ大学数学: ヨビノリ たくみ
417/力学系カオス: 松葉育雄
418/幾何学から物理学へ: 谷村省吾
419/ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる:田中章詞、富谷昭夫、橋本幸士
420/相対論とゲージ場の古典論を噛み砕く: 松尾衛
421/ベクトル解析30講:志賀浩二
422/具体例から学ぶ 多様体:藤岡敦
423/Hirsch・Smale・Devaney 力学系入門 ―微分方程式からカオスまで― 第3版
424/QED: The Strange Theory of Light and Matter: Richard P. Feynman
425/龍雄先生の冒険 回想の内山龍雄:一般ゲージ場理論の創始者
426/時間は存在しない: カルロ・ロヴェッリ
427/量子情報と時空の物理 第2版: 堀田昌寛
428/The Order of Time: Carlo Rovelli(時間は存在しない)
429/Lumière et matière - Une étrange histoire: Richard P. Feynman(光と物質のふしぎな理論)
430/Surely You're Joking, Mr. Feynman!(ご冗談でしょう、ファインマンさん)
431/数学的な宇宙 究極の実在の姿を求めて: マックス・テグマーク
432/物理学者,機械学習を使う ー機械学習・深層学習の物理学への応用ー
433/高次元空間を見る方法: 小笠英志

今年の科学ニュース、科学出版界を象徴するキーワードは「ブラックホールと一般相対性理論、深層学習」、「物理学と深層学習、機械学習」、「IUT理論」の3つの組み合わせだと思う。


それでは2019年の「とね日記賞」を発表しよう。(書籍名と画像は本の購入ページにリンクさせておいた。)


* 物理学賞

この2冊に授賞することにした。

神は老獪にして…: アブラハム・パイス


授賞理由: 今年の4月に新聞一面のトップを飾ったのがブラックホールを直接撮影した画像だった。これが本当に正しい画像なのかは今後も精査されるようだが、ビッグニュースには違いない。そしてこの画像を得るのに使われたのが深層学習である。かのアインシュタインさえその存在に否定的だったブラックホールの姿はものすごいインパクトがある。そしてその存在の予言のもとになったのが一般相対性理論だ。本書はこの偉大な理論を構築したアインシュタインのいちばん詳しく、正確な伝記本である。数式も躊躇なく使っているため専門書として授賞させていただいた。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

神は老獪にして…: アブラハム・パイス
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d9258ed7a2d52173116ccd6e61ba0881

そして物理学賞の2冊目はこの本である。

Hirsch・Smale・Devaney 力学系入門 ―微分方程式からカオスまで― 第3版


授賞理由: 未来が不確定、予測不可能であること根拠は量子力学だけでなく、古典力学にもある。これに初めて気がついたのはフランスの数学者、アンリ・ポアンカレで彼が三体問題の微分方程式の解を研究していたときのことだった。(参考記事:「ポアンカレ 常微分方程式 -天体力学の新しい方法-」)その後、この研究領域は「力学系」と呼ばれるようになり現在も発展中である。力学系、カオス、複雑系の本は昨年秋以降、何冊も読んだが本書はその入門的な専門書としていちばんお勧めできる本である。力学系は本来は微分方程式を扱う数学の領域であるが、その発端が天体力学の研究にあったこと、物理的領域への応用が広いことから物理学の専門書として授賞させていただいた。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

Hirsch・Smale・Devaney 力学系入門 ―微分方程式からカオスまで― 第3版
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/98d451af90b7efc63aacbe4efdb330fa


* 天文学賞

一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー


授賞理由: 今年のメインテーマのブラックホールの物理を解説した本。まるで自分がブラックホール探査をしているような気分になることができ、とてもワクワクしながら読める専門書である。ブラックホールはその質量や回転の有無によってその周囲の力学的状況が変化するが、その様子を計算して見せてくれる本だ。タイトルには「一般相対性理論入門」と書かれているが、この理論を初歩から解説する本ではなく「一般相対性理論をブラックホールに応用する本」である。(ただし微積分と特殊相対性理論の初歩は解説される。)翻訳のもとになった原書の初版が刊行されたのは2000年。(日本語版刊行は2004年)解析的に求める計算に加え、その当時のコンピュータで計算できる範囲でのブラックホール探査シミュレーションを例示して学ぶことができる。つまり当時よりずっと性能が上がった現代の自分のパソコンで計算できるわけだから、興味がいっそうかき立てられるのだ。ニュートン力学での計算結果と一般相対性理論での計算結果の違いを図やグラフで示しているのがよいところ。そしてその後改訂され2016年に刊行された原書第2版は、著者のおひとりのテイラー博士のホームページから最新版のPDFファイルを無料でダウンロードできるのもありがたい。(現在の最新版は2019年4月8日版)著者ホームページへのリンクは、本書の紹介記事に記載しておいた。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c928268aab686a527be93385b45402c2


* 数学賞

この2冊に授賞することにした。

線型代数学(新装版):佐武一郎


授賞理由: たとえ読んでいないとしても、この教科書を知らない人は数学徒を名乗ってはならない。2006年には日本数学会出版賞を受賞した。読みやすい新装版が刊行された2015年に購入したが、今年ようやくこの名著を読むことができた。線形代数学をひととおり学んだ人が、2冊目、3冊目に学ぶためにお読みいただきたい。線形代数学を初めて学ぶという方には、本書は敷居が高すぎるため2016年のとね日記賞で数学賞を授賞させていただいた「線型代数[改訂版]: 長谷川浩司」のほうをお勧めする。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

線型代数学(新装版):佐武一郎
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/68045ac328ae84567ee61c91f03bb99e

そして数学賞の2冊目はこの本である。

具体例から学ぶ 多様体:藤岡敦」(Kindle版)(サポートページ


授賞理由: 微積分や線形代数もそうだが、多様体の入門書や教科書についてもこれまで数多くの良書が刊行されているため、このテーマで新しい本を書くのはハードルが高い。タイトルと表紙に惹かれていたことと、SNS上での人気が気になってKindle版を購入して読んでみた。結果的には読んで大正解。大学初年度の理系学徒が、多様体の世界にスムーズに入るために格好の本だと思う。ただし、あくまでも本書は多様体理論の導入部分、初歩の初歩を図を活用しながら解説した本であることにご注意いただきたい。その後、さらに学ぶ方のために巻末に掲載されている「読者のためのブックガイド」がとても役に立つ。「多様体の基礎: 松本幸夫著」の前にお読みになっておくとよいと思う。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

具体例から学ぶ 多様体:藤岡敦
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c4be60f615dd45e67aa39e1d8d41e8ab


* 洋書賞

QED: The Strange Theory of Light and Matter (2006): Richard P. Feynman
(Kindle版)(2014)(1986
  

授賞理由: 英語で科学教養書を読んでみたいという方のために、いちばんお勧めしたい本である。すでに刊行されている文庫本で1冊の日本語版でお読みになってもよいわけであるが、ファインマン先生の本の中で、僕がいちばん好きな本だ。ファインマン先生が研究を続けてきた「量子電磁力学(QED: Quantum Electrodynamics)がテーマだ。主な研究対象は光子と電子、そしてその相互作用である。先生が1965年に受賞したノーベル物理学賞も電子についての「繰り込み理論」であり、ファインマン先生が考案した「経路積分」そして「ファインマン図による計算」という手法を含めて量子電磁力学に含まれる。本書はフランス語版も読んで紹介記事を書いている。

英語版の紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。紹介記事は日本語で書いている。

QED: The Strange Theory of Light and Matter: Richard P. Feynman
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1860569fe58727fce5256356863001f9


* AI賞

ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる:田中章詞、富谷昭夫、橋本幸士」(Kindle版)(参考書籍
物理学者,機械学習を使う ー機械学習・深層学習の物理学への応用ー
 

授賞理由: 物理学のいくつかの領域で深層学習、機械学習が研究に使われ始めている。これら2冊の姉妹本は、この新しい領域の物理学研究の手法を日本で初めて紹介した本である。発売前からSNSでは話題になっており、著者も予想していなかったほどの売れ行きだった。しかしながら、本書は取り上げられている物理学の各分野を学んでいることを前提とすること、深層学習や機械学習の知識をある程度必要とすることから、内容を理解できる読者が限られる。この弱点を補うために著者が勧める「参考書籍」が欠かせない。コンピュータを使った物理学研究の最前線と将来に思いをはせたい方は、ぜひチャレンジしてみてほしい。

紹介記事はそれぞれ次のリンクからお読みいただきたい。

ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる:田中章詞、富谷昭夫、橋本幸士
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5edea35c359ead77cf30915e9dd28bce

物理学者,機械学習を使う ー機械学習・深層学習の物理学への応用ー
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/069b899edd696e92ffcaae55e348397e


* 教養書賞(物理学部門)

次の2冊に授賞させていただくことにした。

ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン」―アインシュタインのとんでもない遺産


授賞理由: 天文学賞を授賞した「一般相対性理論入門 ブラックホール探査: テイラー、ホイーラー」は専門書であるが、科学ファンや一般の人がブラックホールの物理学をワクワクしながら堪能したいのならば、この本がいちばんである。原書は1994年、日本語版は1997年に刊行されたが古さを感じさせない。著者はこの分野の第一人者、2017年に連星ブラックホールの初観測をしたLIGOという観測プロジェクトの推進者のソーン博士だ。本書の冒頭からブラックホールに落ちる観測者になった気分で、周囲の時間や空間、見える景色がどのように変化するか、自分自身がどのような影響を受けるかなど、ブラックホールの質量の違いに応じて自らが体験することをSF小説さながらに語ってくれる。ブラックホールの研究史が詳細に解説され、将来予定されている観測計画にいたる経緯が当事者のひとりとして語られる。そしてその予言は2015年に現実のものになり、2019年に得られたブラックホールの画像は今年最大の科学ニュースとなった。これまでのご功績に最大の経緯を払って授賞させていただく。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/76795b03e7dc89cd08dac67dc25b73ab

2冊目はこの本に授賞する。

力学の誕生―オイラーと「力」概念の革新―: 有賀暢迪


授賞理由: 年初に読んで大いに刺激を受けた縦書きの本。ニュートン力学から解析力学(一般力学)に至る力学史を詳細に解説した本である。高校物理の力学を微積分を使って解く分野を初等力学、初等力学を一般化、汎用化したものを解析力学と呼ぶが、本書で解説されるは初等力学史、解析力学史ということになる。力や運動量、運動エネルギー、位置エネルギーは高校物理でお馴染みの力学概念であるが、これらを正しく理解するまでには、科学史上の何人もの天才の頭脳をもってしてもおよそ100年間の論争が必要だったのだ。どのように彼らが誤解し、紆余曲折していたかを知ることは、理系大学生だけでなく物理を学ぶ高校生にも知っておいてほしい。発売当初に科学ファンの間で大いに話題になった。このような本にまとめるのには、とてつもない労力と時間をかけた調査が欠かせない。著者の労と本の完成度の高さに感銘を受けたので授賞させていただくことにした。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

力学の誕生―オイラーと「力」概念の革新―: 有賀暢迪
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/39015937594a6282316377ae34a6a240


* 教養書賞(天文学部門)

2冊に授賞させていただくことにした。

巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る: 本間希樹」(Kindle版


授賞理由: 2019年4月10日に発表された史上初のブラックホールの画像は、ニュース報道と新聞各紙でトップ扱いされ、非常にインパクトがあった科学ニュースとなった。2016年2月に発表された重力波の初観測では、連星ブラックホールの存在が証明されていたわけだが、ブラックホールの姿を想像するのと直接見るのとは大違いである。この画像を得るために世界規模で行われたEHTプロジェクトの日本でのリーダーである本間先生がお書きになったのがこの本だ。偉業を成し遂げるまでの道のりを、一般人向けにわかりやすくお書きになった科学教養書である。本が刊行されたのは、今年の発表の2年前の2017年4月だった。本書を刊行して以降、プロジェクトに没頭されることになる。「絶対に見てやるぞ!」という意気込みと夢に満ちた著作だ。数々の困難を克服され、素晴らしい成果を成し遂げられたことに祝意を示すために授賞させていただくことにした。発表されて以降、ブラックホール画像の正当性について、詳しい解析が行われている。今後の発表を待ちたい。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る: 本間希樹
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c847e0b9662e20720b9e6acf5cd4f370

そして2冊目はこの本。

星界の報告: ガリレオ・ガリレイ」(Kindle版


授賞理由: 今から410年前の1609年、自前の望遠鏡を月や惑星に向けたガリレイの驚きを自身でつづった貴重な観測記録。月の表面が地上と同じように凸凹だという現在では当たり前の事実は、当時としては「教会の教えに背くとんでもないこと」だった。本書は、望遠鏡の話から始まり、月、恒星、そして木星の衛星の詳細な観測記録を含む、生々しいドキュメンタリーである。本書が与えた衝撃は、やがて伝統的な宇宙観を打ち壊す動きをもたらす原動力となった。地上界と天界は摂理の異なる2つの世界ではなく、同じ法則に従っている1つの世界だという発見は「近代科学革命」をもたらし、人類の世界観を大きく変えていく。そもそも天体観測は小中学生にもわかりやすい。当たり前に思えることが実は当たり前ではなかったということに読者には気づいていただきたい。410年前の偉業に対して授賞させていただくことにした。ガリレイの異端審問に対してローマ教皇が誤りを認めて謝罪し、ガリレイが名誉を回復したのは1992年のことだった。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

星界の報告: ガリレオ・ガリレイ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2bb491710bdf48a28c30c94e1dea7b36


* 教養書賞(数学部門)

宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃: 加藤文元」(Kindle版


授賞理由: 本書は間違いなく今年いちばん売れた科学書だと言ってよい。10月には「一般書」に対して贈られる「第2回 八重洲本大賞」を授賞された。12月7日現在、累計25,500部が売れ第7刷(2,500部)の増版が決まったそうだ。科学教養書とはいえ、IUT(宇宙際タイヒミュラー)理論という数学の最前線を紹介した数学本が、これほど売れたのは日本で初めてのことではないだろうか?一般の人はもちろん、数学の専門家の先生でもワクワクしながら読むことができる。IUT理論を提唱した望月先生の論文は「未来から来た論文」とも言われ、数学界のみならず、世界に衝撃をもたらした。この論文は、世界で理解できるのは多く見積もっても数人、といわれるほどの難解さであり、論文の発表から6年以上たった現在もなおアクセプトに至っていないが、望月教授と、議論と親交を重ねてきた著者は、IUT理論は数学者ではない一般の人たちにもわかってもらえるような自然な考え方に根ざしていると考える。本書では、理論のエッセンスを一般の読者に向けてわかりやすく紹介。この理論の未来に夢を託したいという気持ちで授賞させていただいた。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃: 加藤文元
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f77f5bd8e1b3c96acd62fba729dc9b4e


* 新人賞

2冊に授賞させていただくことにした。お二人とも科学書の出版という意味では「新人」の方である。

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平」(電子版


授賞理由: 一般相対性理論を理解したいと思う人の夢をかなえる1冊だ。とはいっても、たいていの人にとって敷居が高い理論であることには違いない。本書はその敷居をぐっと下げたと言ってよいだろう。「15歳からの」というキャッチフレーズには、少し言い過ぎかなと思ったが、本書の前半は15歳の人でもじゅうぶん理解できる。途中で挫折する人もでてくるだろうが、それでも、知識欲を持ちながら読み進める経験は貴重だと思う。落ちこぼれてしまったとしても、数年後にまた読み直せばよいのだ。本書をきっかけに科学読書の醍醐味を知ってほしい。科学読書を趣味とする一人として、その間口を広げていただいた小林先生に感謝し、授賞させていただいた。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f4401f2ce79451070b7b9c089f304315

そして2冊目はこの本である。

相対論とゲージ場の古典論を噛み砕く: 松尾衛」ゲージ場の量子論を学ぶ準備として
サポートページ)(参考書籍


授賞理由: 現代物理学の標準言語である「ゲージ場の量子論」を学ぶための心の準備ができることを目指した本。古典力学や電磁気学や量子力学、線型代数やベクトル解析を聞きかじったことのある読者を対象に、現代物理学における相対論とゲージ理論の考え方の基本を、微分形式やリー代数の初歩といった数学を交えながら紹介する。ゲージ場の量子論という絶壁に挑む前に読めるこのような本は、これまでに存在しなかった。執筆中の続編にも期待しながら授賞させていただくことにした。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

相対論とゲージ場の古典論を噛み砕く: 松尾衛
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b0d1802a96037c9f99d92848b042e30a


* 功労賞

次の2冊に授賞させていただくことにした。

完訳 天球回転論: ニコラウス・コペルニクス


授賞理由: 地動説を世界で初めて提唱した歴史的な価値をもつ本。昨年9月にはその原書と対面することができた。これまで一部を文庫化した本しか知らなかったので、これほどの大著だとは知らなかった。2年前の2017年10月には刊行されていた。このような大著を翻訳してくださった高橋先生のご尽力に対して授賞させていただく。また、今年は講談社ブルーバックスからアイザック・ニュートンの『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』が42年ぶりに復刊したことも、科学ファンの間では大ニュースとなった。(参考記事:「ニュートンの『プリンキピア』がブルーバックスで復刊!」

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

完訳 天球回転論: ニコラウス・コペルニクス
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7aea68b6797e8739ac2eddc051cc111e

そして2冊目はこの本である。

龍雄先生の冒険 回想の内山龍雄:一般ゲージ場理論の創始者


授賞理由: 世間一般にはあまり知られていない内山龍雄という理論物理学者のお弟子さん方が寄稿して完成した本である。内山先生は、1954年ごろには一般ゲージ理論を完成させていたが、論文発表が1954年に定式化された楊振寧(ようしんねい)とミルズRobert L. Mills(1927―1999)によるヤン‐ミルズ理論(非可換ゲージ理論)よりも遅れたため、ノーベル賞を逃した。一般ゲージ理論は、電弱統一理論やクォーク理論に応用され、素粒子での標準的な理論となっている。一般ゲージ理論を通じて、一般相対性理論や場の理論を広めるのに寄与した。ご病気により志半ばで他界された内山先生の物理学に対するご貢献と、弟子である先生方の内山先生に対する敬愛を、広く知っていただきたく思い授賞させていただいた。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

龍雄先生の冒険 回想の内山龍雄:一般ゲージ場理論の創始者
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0648122c29b8413c5e13df83ff119756


* 文学賞

英語と日本軍 知られざる外国語教育史:江利川春雄」(Kindle版


授賞理由: 文学でも小説でもない、一般書である。今年は英語民間試験や大学入試共通テストがはらむ数々の問題が取りざたされている。そして過去20年の英語教育は失敗だったことも明らかになった。そもそも日本はこれまで、外国語をどのように教育してきたのだろうか?その歴史に僕はまったく無頓着で、無知だった。本書は特に日本の軍隊における幕末から戦後の外国語教育史を紹介したものだ。もともと外国語好きであることがあり、本書はとても興味深く読むことができた。英語を学んだことがある、すべての日本人にお勧めしたい本である。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

英語と日本軍 知られざる外国語教育史:江利川春雄
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f6ec131cc401ec90fb390a62bed94456


* アカデミー賞

今年は月面着陸50周年の記念すべき年だ。この偉業が達成されたのは1969年7月20日。人類の月面第一歩は世界中に生中継され、14億人が固唾を飲みながら見守っていたという。今年公開された次の2作品に授賞させていただくことにした。映画『アポロ11 完全版(2019)』は、先週ネット配信が始まったばかりである。

映画『ファースト・マン(2018)』


映画『アポロ11 完全版(2019)』


予告編動画を埋め込んだ紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

映画『ファースト・マン(2018)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/70be98d22d147227bc01e7d7eaa0019a

映画『アポロ11 完全版(2019)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fd06df78b3fcec05e0f287857870c8f3


* テレビドラマ賞

『家売るオンナの逆襲』、『わたし、定時で帰ります。』、『白衣の戦士!』、『G線上のあなたと私』、『ドクターX6~外科医・大門未知子~』、『時効警察はじめました』、『まだ結婚できない男』、『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』を楽しんでいた。この中から選考するのは、とても悩ましい。しかし、めちゃくちゃ楽しめたこのドラマに授賞させていただくことにする。視聴率は芳しくないのだが、それはストーリーや会話のテンポが速く、高齢者層がついていけないためだと思われる。それでもやはりクドカンは最高だ。

NHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』


NHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』公式ページ
https://www.nhk.or.jp/idaten/r/

YouTubeの動画: 検索する


* クリスマス賞

今年は月面着陸50周年であるだけでなく、映画『男はつらいよ』50周年でもある。アームストロング船長が月面へ第一歩を踏み出した翌月の1969年8月27日に男はつらいよの第1作が公開された。以後、第49作まで日本映画史に残る国民的映画として人気を博した。

クリスマスプレゼントに寅さんの本を贈ることに、僕には何のためらいもない。寅さんを演じた渥美清さんは1996年、お亡くなりになる直前に洗礼を受けてクリスチャンになっていたのだから。

男はつらいよ お帰り 寅さん」(Kindle版
知識ゼロからの寅さん入門
 

50周年を記念して、12月27日に第50作目の『男はつらいよ お帰り 寅さん』が全国ロードショー公開される。またシリーズ全49作が4Kデジタル版として修復された。

映画『男はつらいよ』公式サイト
https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/

この映画は若い人にもぜひご覧いただきたい。昭和の寛容さだけでなく、平成の間に失われた大切なものをいくつも見つけることができるはずだ。正月映画の定番である。初詣は柴又帝釈天に参拝するとよいだろう。(参考ページ:「ようこそ柴又参道へ」)

後藤久美子、「寅さん」撮影で吉岡秀隆に感謝


男はつらいよ 主題歌 (歌詞付き)


寅次郎、えんぴつを売る ~男はつらいよ「拝啓車寅次郎様より~


徹子の部屋  渥美清さん・倍賞千恵子さん(昭和54年)


渥美清の伝言: YouTubeで再生
寅さんよ永遠に、渥美清さん追悼特集: 再生リスト

第1作から第49作は、ネットで配信されている。第50作の公開前に、ご覧になっておくとよいだろう。(作品一覧

Prime Video: 検索する
YouTubeムービー: 検索する


最後になりますが本日ストックホルムでの授賞式に臨まれる先生方、ノーベル賞受賞おめでとうございます!

2019年 ノーベル物理学賞はピーブルズ博士、マイヨール博士、ケロー博士に決定!
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/671a733c37916c34a7f886bcbdf2c732

2019年 ノーベル化学賞はグッドイナフ博士、ウィッティンガム博士、吉野博士に決定!
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/85f86e05e185bca7d9f0d2b958bd310b


関連記事:

過去の「とね日記賞」一覧: 開く


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4次元以上の空間が見える: 小笠英志

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4次元以上の空間が見える: 小笠英志」(Kindle版

内容紹介:
4次元空間から宇宙人や怪獣や未来人が現れるようなシーンを空想して胸を躍らせたことはありませんか?この本ではイラスト、イメージ図、座標を駆使して、だれもが一度は思いをめぐらせた4次元空間、さらに5次元空間、6次元空間・・・を直感的にとらえられるようにしています。数学や物理によって理論的にきちんと考えきちんと考えられている”n次元”のトピックをより身近に感じることのできる本です。

2006年5月刊行、255ページ。

著者について:
小笠 英志(おがさ えいじ):
ホームページ: http://ndimension.g1.xrea.com/
Twitter: @E43051281
数学者、作家、大学教員。東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了。博士(数理科学)。元Brandeis大学visiting scholar(客員研究員)。研究テーマは、高次元結び目、1次元結び目およびその周辺。著作は『異次元への扉』(日本評論社)、『4次元以上の空間が見える』『相対性理論の式を導いてみよう、そして、人に話そう』(いずれもべレ出版)など。高次元の図形を見る、作る、動かすことがライフワーク。

小笠先生の著書: 単行本検索 Kindle版検索
小笠先生の論文: arXiv.orgで新着順に検索


理数系書籍のレビュー記事は本書で434冊目。

先日「高次元空間を見る方法: 小笠英志」を読んで紹介記事を書かせていただいたが、今回紹介するのは同じ著者が13年前にお書きになった本だ。この2冊に被るところはほとんどない。それではどう違うの?と気になったから、こちらも読ませていただいた。

前者をブルーバックス本、今回の本をベレ出版の本として説明することにしよう。どちらも「4次元以上の空間が見える」ということをウリにしているが、読者のレベルによって若干の違いがあることがわかった。

どちらも数式が使われているが、どちらかというとブルーバックス本のほうが控え目で、図版に工夫をより凝らしている。ベレ出版のほうは数式やトポロジーの数学表記を遠慮なく使って解説を行っている。とはいえ円や球、球面の方程式を書き下せる高校生以上であれば読み解くことができるはずだ。むしろ数式を使って高次元に移行していくほうがイメージしやすい。

だから「高次元が見える」かどうかは、数式がわからない人であればブルーバックス本のほうに軍、数式が理解できる人にとってはベレ出版のほうに軍配があがることだろう。

章立てはこおとおりだ。

$1 タイムマシンとSF推理小説
$2 n次元ユークリッド空間R^n
$3 n次元ユークリッド空間(c=2,3,4,5)の中のS^1、S^2
$4 n次元球面S^n(nはすべての自然数)
$5 さらにn次元の図形の例S^1×S^(n-1)(nは2以上の自然数)
$6 ここまでに残した証明の概略
$7 この本を読んだ後の進み方のいくつか

章を進めるにつれて、同じようなテーマで1次元から順に高次元へ移行する。前半はn次元ユークリッド空間と球面がテーマ、後半はトーラスやメビウスの輪などの図形を高次元化することに焦点があてられる。そして最後のほうで「多様体」への入門の入門という形で読者を大学数学の入り口へといざなってくれる。

ブルーバックス本もベレ出版の本も「高次元トポロジー」という点で共通しているが、前者はどちらかというとこの分野の中の「結び目理論」への入門書、後者はそれだけでなく「多様体理論」への入門書という傾向をもっていると思う。

僕は大学で数学を専攻していたし、「トポロジー入門: 松本幸夫」や「多様体の基礎: 松本幸夫著」や「幾何学〈1〉多様体入門:坪井俊」を読んでいたから、今回のベレ出版の本のほうが性に合っていた。そして買い置きしながら未読の「曲面結び目理論:鎌田聖一」をはやく読みたいという気持ちになった。

結び目理論は未修であるが、数学用語として「結び目(Knot)」と「絡み目(Link)」の違いがよくわかっていなかった。本書を読み、その違いがわかったのがよかった。「絡み目」とは「いくつかの結び目の集まり」のことである。

「結び目理論」理学部:河内明夫教授
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~kawauchi/InternetLecture/01.html

大学の数学で,「結び目理論」に入門するための教科書PDF。
応用の多いトポロジー・位相幾何学の一分野
https://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20141120/KnotTheoryPDFLectureNotes


本書の$5までは解説を重視している。証明は$6「ここまでに残した証明の概略」にまとめられている。僕のような読者は、この章が読み応えがあり、いちばん熱中することができるのだ。その反面、数式がわからない読者はこの章は読み飛ばしてよいと思う、

$7「この本を読んだ後の進み方のいくつか」では、本書を読んだ後に読むべき本がいくつも紹介している。教養書レベルの本、大学1、2年生向け、大学3、4年向けの洋書に分けて紹介されているのだが、本書が対象としている読者にとっては難しすぎると思った。

さらに、結び目理論やトポロジーが超弦理論で使われていることが紹介されている。そして「詳しいことは次のような本を読んでください。」とポルチンスキー博士やウィッテン博士による有名な教科書(洋書)が紹介されている。いきなり難しい参考図書や論文がでてくるのが、ブルーバックス本と共通していた。高次元トポロジーが超弦理論で極めて重要なことは言うまでもなく、先日聴講した講演会で強く印象に残っている。(参考記事:「2019年度仁科記念講演会(高柳匡先生、大栗博司先生)」)

もちろん本書では「集合・位相」、「位相空間論」、「多様体入門」などについて、代表的な教科書も紹介している。僕としては本書の次には結び目理論の入門的な教科書にチャレンジしたいと思った。

結び目理論に関する本: 単行本を検索


気軽に読めるし、Kindle版としても刊行されている。ぜひお読みいただきたい。


以下は小笠先生のその他の著書である。

高次元空間を見る方法: 小笠英志」(Kindle版)(紹介記事
異次元への扉―はさみと紙から始めてトポロジーの達人に: 小笠英志
相対性理論の式を導いてみよう、そして、人に話そう: 小笠英志」(Kindle版

  

先日紹介したのは2006年に刊行された
高次元空間を見る方法: 小笠英志」(Kindle版)(紹介記事)である。今回紹介したベレ出版の本と内容がほとんどかぶりそうなタイトルであるが、購入して内容を見たところ重複しているところはほとんどないことがわかった。ベレ出版の本よりも易しく、中学卒業程度から読める。

そして「異次元への扉―はさみと紙から始めてトポロジーの達人に: 小笠英志」であるが、この本には「ボーイサーフェス」と「クラインの壺」が解説される。これらについて小笠先生は次のような動画をお作りになっている。

Make your Boy surface


ボーイサーフェスのそのほかの動画: YouTubeで検索する

Klein bottle can be made quickly


Klein bottle=2×Möbius band


小笠先生がアップロードした動画: YouTubeチャンネル


また先生は、ボーイサーフェスについて次の論文をお書きになっている。

Make your Boy surface
https://arxiv.org/abs/1303.6448


関連記事:

高次元空間を見る方法: 小笠英志
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75af1852f22646e937628c42ea93a15d

多次元空間へのお誘い(1):はじめに
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3c2bacd624695dcad7dd2fa9feadd5bd

高次元空間の隙間の大きさ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4d65a6811aa35998e6246bb57025a974

エキゾチックな球面: 野口廣
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b3f1abb0ae2b139d53580261b22b9c87


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4次元以上の空間が見える: 小笠英志」(Kindle版


Preface

$1 タイムマシンとSF推理小説
- 事件と謎
- 解決
- 次章へのIntroduction
Digression: SF小説による"次元が4以上の空間"入門

$2 n次元ユークリッド空間R^n
- n次元ユークリッド空間R^n
- $1.2の図1、図2を数学的に文字を使って書く
- $1.2の解決を数学的に座標を使って書く
- 次元が4以上の空間は数学的に考えられる
- このようにグラフを考えると自然に4次元が必要になる
- このように方程式を考えると自然に4次元が必要になる
- 次章へのIntroduction
Digression: 正十二面体(3次元ユークリッド空間R^3内の図形の復習)

$3 n次元ユークリッド空間(c=2,3,4,5)の中のS^1、S^2
- 2次元ユークリッド空間R^2の中に円周S^1 2個
- 3次元ユークリッド空間R^3の中に円周S^1 2個
- 3次元ユークリッド空間R^3の中に円周S^1 1個と球面S^2 1個
- 4次元ユークリッド空間R^4の中に円周S^1 1個と球面S^2 1個
- 4次元ユークリッド空間R^4の中に円周S^1 2個と
5次元ユークリッド空間R^5の中に円周S^1 1個と球面S^2 2個
- 5次元ユークリッド空間R^5の中に球面S^2 2個
- 次章へのIntroduction
Digression: 我々の宇宙とn次元

$4 n次元球面S^n(nはすべての自然数)
- n次元球面S^n
- $3.7の問題(1)、(2)の略解
Digression: 錘の体積を積分を使わないで小学生に納得させる方法と高次元への一般化

$5 さらにn次元の図形の例S^1×S^(n-1)(nは2以上の自然数)
- S^2とS^1×S^1
- S^3とS^2×S^2
- S^nとS^1×S^(n-1)
Digression: 多様体
Digression: 結び目、絡み目

$6 ここまでに残した証明の概略
- 円周S^1から円周S^1への連続写像の性質
- 自明絡み目とHopf絡み目の違い
- $3.4のL_0とL_1の違い
- $5.1の答
- $5.2、$5.3の答
- 本書で見てきた以外の多様体の例

$7 この本を読んだ後の進み方のいくつか

索引

発売情報: フーリエ 熱の解析的理論(朝倉書店)

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フーリエ 熱の解析的理論(朝倉書店)

内容紹介:
後世の数学・科学技術に多大な影響を与えた19世紀フランスの数学者フーリエの主著の全訳。熱伝播の問題のためにフーリエが編み出した数学と、彼の自然思想が展開される。学術的知見に基づいた正確な翻訳に、豊富な注釈・解説を付す。

2019年12月16日刊行、500ページ。

著者について:
ジャン・バティスト・ジョゼフ・フーリエ男爵(Jean Baptiste Joseph Fourier, Baron de、1768年3月21日 - 1830年5月16日)は、フランスの数学者・物理学者。(ウィキペディア
固体内での熱伝導に関する研究から熱伝導方程式(フーリエの方程式)を導き、これを解くためにフーリエ解析と呼ばれる理論を展開した。フーリエ解析は複雑な周期関数をより簡単に記述することができるため、音や光といった波動の研究に広く用いられ、現在調和解析という数学の一分野を形成している。
このほか、方程式論や方程式の数値解法の研究があるほか、次元解析の創始者と見なされることもある。また統計局に勤務した経験から、確率論や誤差論の研究も行った。



科学史上の名著がまた1冊翻訳され、朝倉書店から刊行された。同じタイトルの本は以前翻訳され、2005年に大学教育出版から刊行され、2013年に「熱の解析的理論:ジョゼフ・フーリエ著、ガストン・ダルブー編纂」という記事で紹介したことがある。


科学史上の名著のひとつ

フランスの数学者、物理学者のジョゼフ・フーリエ(1768-1830)が1822年に著した「Theorie analytique de la chaleur」という本の日本語訳だ。(正確に言えば数学者ガストン・ダルブー(1842-1917)が編纂した1890年刊行本の日本語訳である。)これは19世紀でもっとも重要な書物のひとつと言われている。

フーリエはこの中でフーリエ級数やフーリエ変換の方法をはじめて紹介し、これを使って固体の熱伝導現象を表す偏微分方程式を解析的に解いた。この本は数理科学、応用数学上きわめて重要な意味を持っている。

 

1822年の初版本は金沢工業大学ライブラリーセンターに所蔵されていて、次のページで説明を読むことができる。

ジャン・バティスト・ジョゼフ・フーリエ (1768-1839) 熱の解析的理論 パリ, 1822年初版
http://www.kanazawa-it.ac.jp/dawn/182201.html

フランス語版の著作権はとっくの昔に切れているので、ネット上では現在次の2つの版を読むことができる。(PDFファイルとしてダウンロードも可)

1822年刊行、フーリエ著のオリジナル(見てみる
1883年刊行、フーリエ著、バロン版(見てみる)- バロン(baron)とは「男爵」の意味。

Archive.org: フランス語版を検索

フランス語版や英語版の書籍はそれぞれの国のアマゾンから購入できる。いろいろな版がでているのでお求めになるときは注意したほうがよい。ダルブー編纂の本は偏微分方程式に現代と同じ「∂」記号が使われているが、フーリエ(オリジナル)やバロンの本は「∂」のかわりに「d」が使われているからだ。(ダルブー編纂の本h「∂」を使っている。)

フランス語版:Theorie Analytique De La Chaleur:Amazon.co.jpで検索
英語版:The Analytical Theory Of Heat:Amazon.comで検索Amazon.co.jpで検索


今回刊行された日本語版について

初めて「熱の解析的理論:ジョゼフ・フーリエ著、ガストン・ダルブー編纂」を翻訳されたのは竹内貞雄先生。大学教育出版から「熱の解析的理論」が日本語版として刊行されたのは2005年のことである。この本に関しては2013年に次の記事で詳しく紹介している。

熱の解析的理論:ジョゼフ・フーリエ著、ガストン・ダルブー編纂
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5bcc7bc3efc16463743cd01d3c989622

「訳者あとがき」によると翻訳はフーリエの原書(1822)を用いたが、説明文の中に数式が入っていることが多く、現在のテキストとは違和感があるので途中からダルブー編纂(1890)のものを使ったそうだ。

この大学教育出版の「熱の解析的理論」はその後、紙の本は絶版になり電子書籍が発売された。

またフランス語原典に関しては、以下の種類のものが無料で公開されている。

1. 大学教育出版(電子書籍):開く
2. 1822原著:開く
3. Darboux編・Fourier全集t.1:開く
4. (参考)Fourier全集t.2(完):開く
5. reprint (Gabay):開く

今回、朝倉書店から刊行された翻訳書ではフーリエが出版した1822年版を中心に底本として参照している。また監訳者・訳者による歴史的解説がとても参考になるそうだ。

章立ては次のとおりだ。

第1章 序 論
第2章 熱の運動方程式
第3章 無限直方体における熱伝播
第4章 環における熱の線的変動運動
第5章 球体における熱伝播
第6章 円筒体における熱の運動
第7章 四角柱における熱伝播
第8章 立方体における熱の運動
第9章 熱の拡散
監訳者解説 フーリエ解析の泉
訳者後記
フーリエ科学論文一覧
学者名一覧
文 献


ネット上に公開されている文書について

なお、ネット上には次の文書があり、本書のエッセンスはこれら2つ文書に凝縮されている。購入を検討されている方は、前もって目を通しておくとよいだろう。

「熱の解析的理論」
熱方程式の導出に至る過程
(本書の第1章、第2章:フーリエの法則と熱伝導方程式の導出)
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1317-03.pdf

「熱の解析的理論」
Fourier 展開公式と Fourier 積分公式 その Fourier 自身による証明
(本書の第3章、第4章、第9章:フーリエ級数やフーリエ変換の導出)
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1257-8.pdf

ご覧になるとわかるが、フーリエ級数やフーリエ変換は三角関数を使った表示であり、よりエレガントなネイピア数 e の指数関数を使った表示(オイラーの公式を使った表示)にはなっていない。


関連記事:

熱の解析的理論:ジョゼフ・フーリエ著、ガストン・ダルブー編纂
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5bcc7bc3efc16463743cd01d3c989622

高校数学でわかるフーリエ変換:竹内淳
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/aa1e79d97684f88319d9d4e96e6a89a3

伝熱工学(東京大学機械工学):庄司正弘
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cdbbfe5c89a57b812d43448297966fcc

伝熱工学 (JSMEテキストシリーズ):日本機械学会
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bfd58adf704e39cb64ca95224c7262b5

なっとくする偏微分方程式:斎藤恭一
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/16d054ebc14ad1c4336f2b9f997eb00c

図解 熱力学の学び方 (第2版):北山直方
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f48fd3b842e6330e42fe682dd680e315


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フーリエ 熱の解析的理論(朝倉書店)


まえがき

第1章 序 論
 第1節 本書のテーマの説明
 第2節 諸概念と予備的諸定義
 第3節 熱伝導の原理
 第4節 熱の一様な線的運動
 第5節 細い四角柱における定常温度の法則
 第6節 閉じた空間を温めること
 第7節 三方向に広がる熱の一様運動
 第8節 固体の与えられた一点における熱運動の大きさ

第2章 熱の運動方程式
 第1節 環における熱の変動運動の方程式
 第2節 球体における熱の変動運動の方程式
 第3節 円筒体における熱の変動運動の方程式
 第4節 無限柱体における熱の一様運動の方程式
 第5節 立方体における熱の変動運動の方程式
 第6節 固体内部における熱伝播の一般方程式
 第7節 表面に関する一般方程式
 第8節 一般方程式の応用
 第9節 一般的諸注意

第3章 無限直方体における熱伝播
 第1節 問題の説明
 第2節 熱の理論における三角級数の最初の使用例
 第3節 これらの級数に関する諸注意
 第4節 一般解
 第5節 解の結果の有限表示
 第6節 任意関数の三角級数展開
 第7節 本題への適用

第4章 環における熱の線的変動運動
 第1節 問題の一般解
 第2節 離散物体間の熱伝導

第5章 球体における熱伝播
 第1節 一般解
 第2節 この解に関する諸注意

第6章 円筒体における熱の運動

第7章 四角柱における熱伝播

第8章 立方体における熱の運動

第9章 熱の拡散
 第1節 無限直線における熱の自由運動
 第2節 無限固体における熱の自由運動
 第3節 無限固体内の最も高い温度
 第4節 積分の比較

内容一覧
ダルブー版「序文」

監訳者解説 フーリエ解析の泉
訳者後記
フーリエ科学論文一覧
学者名一覧
文 献

STAR WARS忘年会@★Cafe丸ビル

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「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」が日米で同時公開された。これは見ておきたい。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け、公式HP
https://starwars.disney.co.jp/movie/skywalker.html

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」最後の予告篇 世界同時解禁


スターウォーズ: Prime Videoで検索 YouTubeで検索


映画公開の前祝いをかねて、映画好きの女友達と忘年会を12月7日にした。場所は「丸ビル1F Marunouchi Cafe」である。彼女と会うのは今年の7月に「QUEEN -HEAVEN- : コニカミノルタ プラネタリアTOKYO」に行って以来だ。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 映画公開記念 期間限定カフェ
RISE CRYSTAL CAFE
https://www.marunouchi.com/lp/starwars_pfy/#cafe

2019/12/7 STAR WARS★Cafe丸ビル



当日撮った写真を載せておこう。

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今日から急に寒くなってきました。インフルエンザにも気をつけましょう。帰宅したらうがいと手洗いをお忘れずに!


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インターネット回線を変更した

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2002年10月に家を新築してからこれまで使ってきたインターネット回線は下り100Mb/sタイプのものだった。固定IPアドレスを1つ無料で使えるのがメリットだったから、自宅サーバーを立てて動画配信やホームページを作って遊んでいたのが2005年頃のことだ。当時はYouTubeのサービスが始まっていなかった。

今月初めに10年ぶりにWiFiルーターを買い替えた。(参考: 「ネットワーク・ルーターを交換した(2回目)」)

その結果、WiFiルーターの無線LANのスピードのほうがネット回線のスピードを上回ることになり、どうも気に入らない。月額費用を抑えることもできるから、思い切って回線のほうも変更することにした。自宅サーバーはもう立てることはないから問題ない。契約したのは1Gb/sの回線で、理論上は10倍の速度になる。

今日の午後、撤去する回線業者と新設する回線業者に来てもらって、工事に立ち会った。

これまで使っていた回線のメディアコンバータ

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屋内の配線(2002年頃は各部屋に有線LANのケーブルをつないでいたが、いまはすべて無線LANにしている。)

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外からの引き込み線はこのようになる。家を設計した段階で、インターネット回線引き込みのダクトは考慮していた。

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工事後、回線速度を測っておいた。実測値は以下のとおり。

工事前: 下り65Mb/s、上り95Mb/s
工事後: 下り215Mb/s、上り245Mb/s

ベストエフォートだから、じゅうぶん満足である。

速度測定はこのページを使った。

▷ インターネットのスピードテスト - 回線速度を測定してみよう
https://selectra.jp/telecom/guides/process/speed-test


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一般相対性理論の直観的方法: 長沼伸一郎

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一般相対性理論の直観的方法: 長沼伸一郎」(日本の古本屋で検索

内容紹介:
ほぼ半世紀にわたって埋められずにきた、相対論における初等解説書と専門書の間の「中間レベル」のギャップを、いま本書が埋める。その明快なイメージ化は専門家にも刺激となろう。理工系学生・研究者の絶賛を博した「物理数学の直観的方法」の著者が満を持して放った第二弾!
1990年12月刊行、305ページ。

著者について:
長沼伸一郎(ながぬま しんいちろう)
1961年東京生まれ。1983年早稲田大学理工学部応用物理学科(数理物理)卒業、1985年同大学院中退。1987年、『物理数学の直観的方法』の出版により、理系世界に一躍名を知られる。「パスファインダー物理学チーム」代表。

ホームページ: パスファインダー物理学チーム
http://pathfind.motion.ne.jp/

長沼先生の著書: 単行本検索 Kindle版検索


理数系書籍のレビュー記事は本書で435冊目。

本書は理工系学生・研究者の絶賛を博した「物理数学の直観的方法」の著者が満を持して放った第二弾! 著者が29歳のときの著作である。

1990年頃の科学出版界を想像してみよう。インターネットは個人では使えず、大都市圏では大型書店に出向いたり、公共や大学の図書館でしか、どのような出版物がでているかを確認できなかった時代だ。シリーズ物の理学書であれば、巻末に同じレベルの本の宣伝のページで確認できていた。もちろん書評など読めないから、自分の勘だけが頼りである。大学生であれば先生や先輩が本を勧めてくれるが、それは直接履修している科目の本に限られる。

このような科学読書環境の中で、大学の教養課程レベルの物理学や数学の授業と教科書についていけなくなった学生を救ってくれる本は、ほとんどなかった。需要こそあったものの、要望を反映する場所がなかったからである。したがって1987年に刊行された「物理数学の直観的方法」は、まさに画期的であった。「初等解説書と専門書の間の「中間レベル」のギャップを埋める本」の先駆けだったのである。

その第2弾として長沼先生が1990年にお書きになったのが「一般相対性理論の直観的方法: 長沼伸一郎」だった。

アインシュタインが1916年に発表して以来、現在に至るまで、一般相対性理論を学ぶにはリーマン幾何をベースにした高度なテンソル解析の計算をしなければならず、ほとんどの大学生にとってこの難所は「物理数学の難所」のレベルをはるかに超えていた。理系大学生といえども、Newtonのような科学雑誌や講談社のブルーバックスのように単純にイラスト化されたイメージでとらえることしかできなかったのが1990年の時代背景だったのである。

そのようなわけで、本書は「物理数学の直観的方法」のように、大歓迎されるはずだった。けれども、その後の事実が証明しているように有名な本にはなっていない。それどころか本書は、僕が物理学に興味をもった2006年頃には絶版になっており、現在に至るまで入手困難な状況が続いている。幻の名著と言ってよい。近いうちに電子書籍として著者の「長沼伸一郎著作集・販売ページ」から購入できるそうだが、発売日は未定だ。この伝説の書はぜひ復刻してほしい。

本書刊行後、2000年頃から講談社の「なっとくシリーズ」や「ゼロから学ぶシリーズ」が刊行され始め、初等解説書と専門書の間の「中間レベル」のジャンルが充実してきた。主流は大学教養課程の学習内容についてである。現時点では次のようなシリーズがこのジャンルにあげられるのだと思う。

- 広江克彦さんの「趣味で物理学」シリーズ
- 結城浩さんの「数学ガール」、「数学ガールの秘密ノート」シリーズ
- 講談社の「なっとくシリーズ」
- 講談社の「ゼロから学ぶシリーズ」
- 秀和システムの「図解入門」シリーズ
- ベレ出版の「高校生からわかる」シリーズ
- ベレ出版の「まずはこの一冊から」シリーズ
- 技術評論社の「1冊でマスター」シリーズ
- 講談社ブルーバックスシリーズのうちの一部の本

一般相対性理論については広江克彦さんが2008年にお書きになった「趣味で相対論」を皮切りに、現在までに次のような本が「中間レベル」の学習者の助けとなっている。

- 趣味で相対論: 広江克彦(紹介記事)(学び方
- ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平(紹介記事
- 一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する: 石井俊全(紹介記事


「一般相対性理論の直観的方法」の詳細目次は、この記事の最後に書いておくが、本書の章立てはこのようなものだ。序文を閲覧できるようにしておいた。

序(閲覧: 1 2 3 4
第1章 われわれはどういう理由でどんなことを考えなければならないのか
第2章 特殊相対性理論
第3章 一般相対性理論
第4章 時空構造への波動論的アプローチ

第1章と第2章で、光速度不変の原理と特殊相対性理論を再考する。第3章が一般相対性理論、そして第4章は「時空構造への波動論的アプローチ」と題して、連続波動と離散波動という2つのモデルを併用するアプローチにより、粒子的な実在性をもつ量子、量子力学を代表する原理、電場、磁場、波束、重力場、重力子、ディラック場、スピノール場、ド・ブロイ波を再現している。

つまり本のタイトル「一般相対性理論の~」は第3章についてのものであって、全体がカバーする範囲は物理学全体(ただし、クォーク・モデルや原子核物理学は含まれない)と言ってよい。

幾何的アプローチを採用することで、ニュートン的・ガリレイ的な力学と特殊相対論的力学との違い、特殊相対論と一般相対論の違いがイメージしやすくなっているのが特長である。従来の教養書や教科書では特殊相対論と一般相対論は別物として解説しているからだ。

本書がなぜ爆発的に売れなかったかを考えてみると、次のような理由があげられるだろう。

- 読者が限定されるため

序文に「相対論に接して3年未満の読者は除外、第2章は高校物理を理解していない人は除外、第3章は文系の読者に対する配慮は行なっていない。」とお書きになっているように、著者みずから敷居が低くないことを言明されている。

読んでみたところ、敷居の高さはそれ以上であると僕は感じた。おそらく広江克彦さんの「趣味で相対論」のような本、または一般的な教科書でひととおり学んでからではないと、本書を読むのは無理だと思う。

- 正統的な方法で解説する本ではないため

本来、一般相対性理論は、接続や曲率などの概念を会得しながらリーマン幾何学を学んだうえで、テンソル計算をしながら学んでいくのが本道である。そして、その結果得られる「アインシュタイン方程式=重力場の方程式」がようやく理解できるのだ。

本書では、このメインルートがほとんど解説されていない。特殊相対性理論と一般相対性理論の正統的な理解をしないと、読み進めるのが相当つらいと思った。その意味で本書は初等解説書と専門書の間の「中間レベル」のではないと思う。

つまり本書を読んでも、通常の(正統的な方法での)一般相対性理論が理解できるようにはならない。

独自・独特な幾何学的モデリングと長い解説のため

著者の幾何学的なモデリングは、精緻で一般の学生の素養をはるかに超えている。これは他書にはない独自のもので、文章による解説が相当長い。数式を少なく初等的なもにしたからといって、物事が易しくなるわけではない。

本書の定性的な解説の積み重ねにどこまでついていけるかは、相当高度な読者の読解力と想像力、物理現象の理解を要求する。独創的な考え方やモデルであるから、新しいことを、次々と理解していく忍耐力が求められる本なのだ。

相対論から量子力学、素粒子物理学までの前提知識が要求されるため

本書を手に取る人の最大の動機は「一般相対性理論を直観的にイメージできるようになりたい。」ということだと思うが、第4章では、それ以上の物理学の領域が独特のやり方で展開される。

つまり、第4章で解説されている電磁気学、量子力学、場の量子論、そして素粒子物理学の知見が前提知識として要求されるのだ。必須であるとは本書に書かれていないけれども、これらを学ばずして第4章を読み解くのは無理だと思った。

このような理由により、本書は学部レベルのほとんどの人の理解力を超える本なのだ。復刻してほしい本ではあるが、売り上げが見込めるかどうかは疑問である。


それでも有用な1冊である

否定的なことばかり書いてしまったが、これは本の売れ行きばかりを気にした結果であり、学術書の価値の本質とは売り上げとは本来別だ。本書の価値は売り上げという尺度で測るべきではない。

一般相対性理論や素粒子物理学まで学んだ人が本書を読むと、その価値は一目瞭然だと思う。「直観的説明」、「直観的イメージ」というのは、2次元、3次元の空間幾何学と1次元の時間軸を使った理解であり、図形的なものだ。一般相対性理論を数式を通じて理解していても、イメージできない人がほとんどだ。また、量子的世界にしても同じことである。

直観的な幾何学モデルを提示し、改良を重ねていくなかで、正統的な教科書で学んできた物理法則、物理現象が、見事にあらわれてくる様子を見るのが本書を味わう醍醐味だ。物理法則、物理現象の解釈は著者独自のモデル化を通して与えられる。

「物理数学の直観的方法: 長沼伸一郎」のようなわかりやすさを期待してはいけないし、独創的なため、「趣味で相対論: 広江克彦」や「ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平」と比較できる本ではない。刊行された1990年時点であっても、現代であっても、物理学の副読本というジャンルの中で、本書の意義や価値はまったく変わっていないと思う。これが僕が復刊を望む理由でもある。

イメージがわかない方のために、見開きで3か所ほどサンプル・ページとして掲載しておこう。

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本書は他の本とあまりにも違うため評価は分かれることだろう。 本書に言及しているツイートを参考にしていただきたい。

本書の評判: Twitterで検索する

入手困難本である。アマゾン以外にも、以下のリンクで検索できるようにしておいた。

日本の古本屋: 検索
ヤフオク: 検索
メルカリ: 検索


関連記事:

物理数学の直観的方法 第2版
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3f0691787cd4b47a715f3d0e2c409f76

物理数学の直観的方法〈普及版〉 (ブルーバックス):長沼伸一郎
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ab9396e295687179ac3a71553b8165a1

趣味で相対論(EMANの物理学):感想
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5fe7d774a955f3bb9d8270f6113e453f

一般相対性理論に挑戦しよう!
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f4401f2ce79451070b7b9c089f304315

発売情報:一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する: 石井俊全
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1699a1c22477c269c68c02091d0ca049

重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d45a93d43478a133c6a514c980572632

重力(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ae6e91eec0ecb404b3b77d46ca04b49b

マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6e47253b0622e867f57fb15b88d18149

重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f838b8f6c2554000933187df89e08013


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一般相対性理論の直観的方法: 長沼伸一郎


序(閲覧: 1 2 3 4

第1章 われわれはどういう理由でどんなことを考えなければならないのか

第2章 特殊相対性理論
- アプローチの方法
- ガリレイ変換の場合
- 生じる問題点
- トライアル1回目
- トライアル2回目
- 立体図の作り方
- ローレンツ変換の導出
- 幾何学的操作のイメージ
- 同時性の問題
- 相対性の問題
- 幾何学的注意(1)
- 幾何学的注意(2)
- 速度の加法則
- 質量の変化
- 質量とエネルギー

第3章 一般相対性理論
- 一般相対論への移行
- 重力場へのアプローチ
- 等価原理
- 時間の遅れの値
- 特殊相対論との統合
- シュヴァルツシルト解
- ブラックホール
- 光線の湾曲
- 重力波

第4章 時空構造への波動論的アプローチ
- 基本となる思考実験
- 基本となるモデル
- モデルの問題点
- 離散波の導入
- 波束とその問題点
- E=mc^2 および反粒子について
- 重力場について
- 離散波単位の条件
- 相対論に対する確認
- 電場について
- 磁場について
- スピノールについて
- ド・ブロイ波との統合

後記

新年おめでとうございます。

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2020 元旦
読者のみなさまへ

新年おめでとうございます。昨年は当ブログをお読みいただきありがとうございました。

数えてみたところ昨年は106本の記事を投稿していました。そして2018年以前は

2018年は150本
2017年は204本
2016年は105本
2015年は111本
2014年は96本
2013年は100本
2012年は114本
2011年は145本
2010年は118本
2009年は115本
2008年は200本
2007年は148本
2006年は154本
2005年は67本

の記事を投稿していました。


趣味の読書に目標や予定をたてても、なかなかそのとおりに進まないものです。今年も興味の趣くままに読書や勉強を進めてまいります。


楽しい正月をお過ごしください。みなさまの健康とご活躍を心より願っております。


初詣は「とね神社」へお越しください。お賽銭クリックはこちらからどうぞ!それぞれのランキングサイトに投票が行われます。

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とね神社の後はリアル初詣です。東京近郊にお住まいの方は、柴又帝釈天まで足を延ばして参拝してきましょう。(参考ページ、動画:「ようこそ柴又参道へ」、「柴又帝釈天の除夜の鐘[動画]」、「東京下町散歩「柴又帝釈天」」)

正月といえば寅さんです。50周年を記念して、昨年12月27日に第50作目の『男はつらいよ お帰り 寅さん』が全国ロードショー公開されました。またシリーズ全49作が4Kデジタル版として修復されています。正月映画は(スターウォーズではなく)この映画に決まりですね。(上映館

映画『男はつらいよ』公式サイト
https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/

映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像


「男はつらいよ」舞台あいさつ、“さくら”が感涙


『男はつらいよ』新作で“主演・渥美清”が実現!その制作方法を山田洋次が語る 映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』プレミア試写会


男はつらいよ【寅さんの裏話・秘話】倍賞千恵子さんが語る


01 『男はつらいよ』ロケ地巡り 奈良・天橋立編: 再生リスト


↑ 最後の2つの動画は(再生リストを含めて)素晴らしいです。ぜひご覧ください。


NHK BSプレミアムでは元日の午後に旧作3本が放送されます。

「男はつらいよ」第1作 2020年1月1日(水)14時06分~15時39分(内容、予告編
「男はつらいよ 柴又慕情」第9作 2020年1月1日(水)15時39分~17時28分 (内容、予告編
「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」第15作 2020年1月1日(水)17時28分~19時00分(内容、予告編

第1作から第49作は、ネットで配信されています。さかのぼってご覧になるのも楽しいでしょう。(作品一覧

Prime Video: 検索する
YouTubeムービー: 検索する


おみくじはここで引けます。(画像をクリックして進みます。)




  

 

「週刊とね日記マガジン」の目次一覧(2020年1月~)

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2019年6月からまぐまぐ!でメルマガを始めましたが、2020年1月以降に配信したメルマガの目次をここに書き足してきます。

2019年6月から2019年12月に配信したメルマガの目次: 開く

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2020年1月:

第32号:
■知らなければいつでもホットトピック
■スカッとわかりたいのはだめ?(カオス理論)
■妹さんの反乱(NHK「子ども科学電話相談室」)


週刊とね日記マガジン

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ポアンカレによるカオスの発見と先見性

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拡大元画像 ニューラルネットワークによる自動彩色

先日、この連続投稿がツイッターでバズった。(連続投稿を開く

三体問題のカオス的軌道を採用することで、それまで最も効率的と考えられてきたホーマン軌道を採用する場合の半分の燃料で宇宙船を月の周回軌道に乗せることができる。ただし地球を48周、月を10周回るため2年かかるが、将来月面基地建設のための物資を運搬するためには効率的だ。



20世紀初頭、カオス現象と呼ばれるこの不規則な動きが存在することに初めて気がついたのは、フランスの数学者ポアンカレである。

ジュール=アンリ・ポアンカレ(Jules-Henri Poincaré、1854年4月29日 – 1912年7月17日):ウィキペディア
ナンシー生まれのフランスの数学者、理論物理学者、科学哲学者。数学、数理物理学、天体力学などの重要な基本原理を確立し、功績を残した。フランス第三共和制大統領・レーモン・ポアンカレはアンリの従弟(いとこ)。

彼は惑星の軌道の安定性を数学的に研究する手始めに「制限三体問題」と呼ばれるに取り組んでいた。「制限」とは「運動が平面内に限られる」という制限のことである。一般の三体問題よりは解きやすい。

しかし、それを解くための微分方程式の研究を進めるうちに、軌道が無限に分岐するという奇妙な現象に彼は気がつき、この想定外の結果に彼はとても驚くことにある。その経緯は「ポアンカレ 常微分方程式 -天体力学の新しい方法-」という記事で紹介した。ポアンカレは見つけた2つのタイプの無限分岐軌道にそれぞれ「ホモクリニック軌道」、「ヘテロクリニック軌道」という名前を与えた。

ポアンカレが研究していた時期は、1927年に発表された量子力学の「不確定性原理」が発表される20年以上前のことである。力学の微分方程式は、少なくとも数学的には未来を完全に予測するという考えが受け入れられていた。また、確率的な現象は確率論として定着していたが、物事の初期状態さえ知っていれば、未来は完全に予測できると考えられていた。未来を予測できないのは、初期状態に関する情報が不足しているからだと理解されていたのである。

ポアンカレが発見した軌道の無限分岐は、その常識を破ってしまった。初期状態がほとんど同じであっても、その後の経過は時間が経つにつれて、とても異なる状況になってしまうのだ。彼が見つけたことを図であらわすと、次のようなものになる。





ホモクリニック軌道の分岐は、次の動画で確認することができる。コンピュータのない時代に、ポアンカレはこのような軌道の姿を想像していたのだ。

ホモクリニック軌道の分岐:


初期状態が少しでも違うと結果が大幅に違ってくるということは「初期値鋭敏性」と呼ばれる、カオス現象がもつ性質の代表例だ。その後、カオス現象を研究する「カオス理論」という数学領域は1960年代以降に大発展し、カオス現象に共通する性質がいくつも見つかることになる。(1961年、エドワード・ローレンツにより、簡単な微分方程式から作られる天気予報の気象モデルの数値計算結果がカオス的な振る舞いをすることが発見された。1963年、この結果はテント写像により引き起こされるカオスとして発表された。)

天体の軌道に関する初期値鋭敏性は、次の動画で確認することができる。再生開始2分あたりから軌道が分岐する。

制限三体問題:



カオス現象では初期値鋭敏性のために予測が不可能になるわけだが、未来が決定していないということではない。正しく言えば「未来は決定しているが、予測ができない。」のである。

決定されているのに予測できない未来—世界観を覆した数学理論—
https://www.kyoto-su.ac.jp/project/st/st11_01.html

カオス現象の初期値鋭敏性は気象の世界では「バタフライ効果」として知られている。1匹の蝶の羽ばたきで大気が揺らぐ結果、数カ月、数年先の気象に影響を与えることがあるというたとえだ。コンピュータによる計算の結果、バタフライ効果が生じることが、すでに確認されている。(つまり、仮説ではない。)


天体の運動が無限分岐することの重大性を、ポアンカレは気がついていた。初期値鋭敏性や気象予報、物事の確率的振る舞いに関して、次のような文章を残している。

われわれが気づかないようなごく小さな原因によって、われわれが認めざるを得ないような重大な効果が引き起こされることがある。このようなとき、われわれはこの効果が偶然に起こったという言い方をする。もしも、われわれが自然の法則と宇宙の最初の瞬間の状態を正確に知ることができたとしたら、その後のあらゆる瞬時における同じこの宇宙の状態を、われわれは正確に予言できるはずである。しかし、たとえ自然の法則にそれ以上の秘密がなくなったとしても、われわれはその最初の状態を近似的にしか知りえない。もしもそのことが、その後の状態を同程度の近似で予見するのを許すことになるなら、このことこそがわれわれに必要なすべてであって、このときわれわれはその現象が予測され、そしてその現象は法則に支配されているというのである。

しかるに、つねに、このようになるとは限らないのであって、ときには初期条件のちょっとした違いが、最終的に起こる諸現象のなかで非常に大きな差異をもたらすようなことも起こるかもしれない。初期条件の小さな誤差が、最後に莫大な誤差を作り出すこともあるかもしれないのだ。このようにして、予測は不可能となり、われわれは偶然によって起こる現象を得るのである。

気象学者たちは、何ゆえに天気予報にこれほど苦労するのだろうか?われわれには、雨や嵐があたかも偶然に起きるように思えるのはなぜだろうか?多くの人々が雨乞いをしたり、晴天の祈りを捧げるのを不思議なことを思わないのはどうしてだろうか?しかも、その人たちは祈りによって日食や月食を起こそうとするのは、ばかげたことであると考えているにちがいないのだ。

一般に大気が不安定な平衡状態にあるような地域で大きな擾乱が生じていることがわかっている。気象学者たちは、このような平衡が不安定であり、どこかで低気圧が発生しそうであることはわかっているが、どこでそれが発生するかはわからないのだ。ある位置から緯度や経度にして10分の1度かそこらずれたあそこではなく、ここに低気圧が発生したために、その被害を免れたであろう地方に実際には被害が広がってしまうこともある。もしもこの10分の1度を知っていたら、われわれはこの災害を予見できたであろうが、しかし、観測はそこまで厳密でも正確でもない。そして、この理由のために、あたかもすべてが偶然によるものであるかのように見えるのである。

ルーレット遊びは、一見この例と何の関係もないように思えるが、実はそれほど変わりはない。100個のせくたーに等分して、それらを赤と黒に交互に塗り分けた円盤の中心軸上で、針を回転させるものと考えてみよう。もしも針が赤のセクターで止まったら私の勝ち、そうでなければ、私の負けと決める。針は、いま仮に10から20回転するとしよう。しかし、私が回転の勢いを加減することによって、早めに止まったり遅く止まったりするだろう。

針が黒のセクターで止まるか、それともその次の赤のところで止まるかを決めるには、最初に回す力がたったの1000分の1、もしくは2000分の1違うだけで十分である。これはわれわれの筋肉の感覚ではわからないほどの、またもっとも精密な機器をもってしても識別できないほどの違いである。それゆえ、私には自分がスタートさせた針がどうなるか予見するのは、不可能である。だからこそ、胸をときめかせて、幸運がやってくるのを待つのである。


カオス現象では、未来の状態がまったくランダムに決まるということではない。一見不規則に見える現象の中に秩序やパターン、異なる現象の中に共通する性質があるのだ。それらを研究するのがカオス理論であり、その性質を利用したり逆手にとって人間の生活に役立てようとするのが「カオス制御」と呼ばれる研究領域だ。冒頭のカオス的な宇宙船の軌道もカオス制御のひとつである。

気象の数値予報は観測精度やスパコンの計算速度がどんなに向上しても、完全に予報することはできない。カオス現象は初期状態において無限の精度を必要とし、そのために必要なコンピュータのメモリーや演算速度は無限でなければなないからだ。現在、数値予報で正確に予報できるのはせいぜい数日先の天気までである。(しかし、ゲリラ豪雨はまだ予報できていない。)

ポアンカレが遺した文章の中の「その被害を免れたであろう地方に実際には被害が広がってしまうこともある。」という箇所に差し掛かると、昨年の台風15号、19号による豪雨被害を思い出さずにはいられない。あらかじめ進路がわかる場合、カオス理論のバタフライ効果を利用することで、事前にごく小さな影響を大気に与えて数日後の台風の進路を変えて豪雨域を海上にずらすことが将来できるようになればと切に願っている。

物理学や天文学や気象だけでなく化学、生物学、工学、医療、経済、金融や株式など、ありとあらゆる「不規則に変化する現象がある領域」でカオス現象は見られる。カオス理論やカオス制御から得られる効用は計り知れない。


関連記事:

ポアンカレ 常微分方程式 -天体力学の新しい方法-
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Hirsch・Smale・Devaney 力学系入門 ―微分方程式からカオスまで― 第3版
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力学系カオス: 松葉育雄
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「磁石振り子」によって現れるカオス軌道とフラクタル図形
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古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ:山本義隆
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全5巻完結!:ラプラスの天体力学論(日本語版)
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発売情報: 惑星探査機の軌道計算入門: 半揚稔雄
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カオス的世界像―非定形の理論から複雑系の科学へ: イアン・スチュアート

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カオス的世界像―非定形の理論から複雑系の科学へ: イアン・スチュアート

内容紹介:
神はサイコロ遊びをするか?現代科学が抱える難問の核心にあるカオスの正体に迫る。
近年広い分野で興味を持たれているカオスに関連した自然現象を、ほとんど数式を用いずにわかりやすく説明し、豊富な例え話とともに複雑な理論へ導いていく。1992年刊(382ページ)のものに新たに4章を加えた増補新版。
1998年10月刊行、519ページ。

著者について:
イアン・スチュアート(Ian Stewart)
ウォーリック大学数学部教授。英国の第一線の数学者であり、ポピュラーサイエンス書の著者としても世界的に有名。2001年に、王立協会のフェローとなる。新聞や雑誌の記事の執筆、テレビの科学番組への出演なども積極的に行っている。著書に、『数学の秘密の本棚』『世界を変えた17の方程式』『数学で生命の謎を解く』(いずれもSBクリエイティブ)、『もっとも美しい対称性』(日経BP社)、『自然界の秘められたデザイン』(河出書房新社)などがある。

イアン・スチュアートの著書日本語版: 単行本検索 Kindle版検索
イアン・スチュアートの著書英語版: ペーパーバック検索 Kindle版検索


理数系書籍のレビュー記事は本書で436冊目。

とにかく読み応えがあり、知的興奮を与えてくれた科学教養書である。フランスの数学者アンリ・ポアンカレが20世紀初頭に(後にカオスと呼ばれるようになる)不規則な天体の軌道の有り様に気づいて以来、このカオス理論と呼ばれる数学は、さまざまな道具とアイデアを駆使して発展してきた。特に1960年代以降、コンピュータが利用され始め、1970年代以降にコンピュータ・グラフィックスが利用できるようになり、カオスは目に見える形で姿をあらわし、研究に拍車がかかった。

カオスとは一般用語では「混沌」という意味だ。自然現象や人間が営む社会活動、経済活動、そして変化するあらゆるものには、不規則で取り扱いが難しいものが多い。そのうちのいくつかは、確率的、統計的に扱うことで平均的なふるまいを把握することができる。完全にランダムでその挙動が予測できない現象も、たとえば気象予報のようにコンピュータで取り扱うことができるものがある。カオス理論の起源は天体力学だが、適用できる対象は「およそ不規則に変化するあらゆる領域」にまで広がっている。

しかし、カオス理論が扱う対象は、確率や統計学的に見られる「平均値化」とは相入れない不規則な動きをもっている。将来の動きが予測できないのだ。とはいってもまったくランダムということではなく、不規則性の中に一定の秩序や数値であらわされる法則や性質をその中に見つけることができる。そのために、人間の目からはまったく異なるカオス現象であっても、共通した手法でアプローチすることができるようになるのだ。

また、混沌の中に秩序があることがわかると、その不規則な挙動に影響を加えることで、そのカオス的挙動を利用して人間の生活に役立てることができる場合がある。「カオス制御」と呼ばれる新しい工学分野は、すでに医療分野で利用し始めただけでなく、宇宙船に対してカオス的軌道を利用することで、より燃料効率のよい形で目的地の天体まで到達させることができるようになると予想されている。

本書はまた、カオス理論の発展史を知る上でも、最良の本だと思われる。言葉を尽くして具体的に詳細を語ることで、読者にとって読みやすい本となっている。質の良さはさることながら、ページ数が多いのはそのためだ。

章立てはこのとおりである。

プロローグ:時計仕掛けかそれともカオスか?
1 秩序から混沌へ
2 万能方程式を求めて
3 誤差の法則
4 最後の普遍学者
5 単方向振子
6 ストレンジ・アトラクター
7 お天気工場
8 カオスの調理法
9 センシティブ・カオス
10 フィッグ・ツリーとファイゲンヴァリュー
11 ほんものそっくりの感触
12 再びヒペリオンについて
13 自然界の不均衡
14 バタフライを超えて
15 フォン・ノイマンの夢
16 カオスと量子
17 深遠なる思考よ、さらば
結語:神とサイコロ遊びを...

プロローグ:時計仕掛けかそれともカオスか?

この世界はニュートンが予言するように時計仕掛けなのか、それともアインシュタインが言及したように「神はサイコロを振らない」のか、それとも「振る」のか?現代物理学は「振る」ほうに軍配を上げていて、それでは「神はどのようにサイコロを振るのか?」という問いに答えるまでになっている。そこに至る過程で測定、予測可能性、理論の実証、それに対する反証など新たな疑問が生じてくる。そのかわりに、複雑に見えるものが単純なものになってしまうこともあるし、逆に、一定の構造をもたず、でたらめに見える現象も実際には単純な法則に従っているかもしれない。決定論カオスは、それ自身の法則をもち、新たな実験技術に対して指示を与える。自然界の現象は非常に多様であり、それらのあるものは、カオスの数学の物理的対応物でありうる。液体の乱流、地磁気の逆転、心臓の鼓動の不規則性、液体ヘリウムの対流パターン、天体の回転、小惑星帯の空隙、昆虫の個体数の増加、水道の蛇口から出るしずく、化学反応の進行、細胞の新陳代謝、天候の移り変わり、神経パルスの伝播、電子回路の振動現象、ブイに係留してある船の振動、ビリヤードボールの跳ね返り、気体原子の衝突、量子力学の根底にある不確定性。--- これらは、カオスの数学がこれまで扱ってきた問題のいくつかの例である。

1 秩序から混沌へ

ニュートンからラプラスまでの力学の歴史を解説し、この世界は時計仕掛けのように未来が決まっているのか?それとも確率的にしか予測できないのかについて考察を進める。また、そのどちらでもない不規則な現象が存在していることを、いくつかの例を取りあげて紹介する。ヒペリオンという惑星が見せる不規則な挙動、電卓で反復計算する際にあらわれるカオスなどである。

2 万能方程式を求めて

古代の天文学、アンティキティラと呼ばれる古代ギリシャの惑星軌道計算機、コペルニクスからニュートンの宇宙観に基づく宇宙観の歴史、オイラーからフーリエ、ラグランジュ、ハミルトンに至る解析学史、決定論的には解くことのできない現代のさまざまな問題が紹介される。

3 誤差の法則

確率論、統計学の歴史を解説し、その中で確率分布、誤差や平均はどのように現実の対象を結びついているかを論じる。多数の集団を扱う統計力学が解説される。また、その中に見られるランダム性は、実はランダムではなかったということに気づき、それは「必要な情報が不足している」ことによる見かけのランダム性であったと解釈された。また、19世紀末までに科学は数学モデルの構築に対して2つのパラダイムを獲得していた。昔からあった決定論的な微分方程式を利用する解析学、そしてもうひとつは高度に複雑なシステムにおける運動を、平均という大ざっぱな特徴を表現する統計解析であった。そして、ほとんどの科学者は単純な決定論的系がランダムな系に似た振る舞いをするということに否定的だった。

4 最後の普遍学者

アンリ・ポアンカレの登場である。彼の片方の足は19世紀に、そしてもう片方の足は20世紀に置いた格好で両足を広げ、数学史の転換点にそびえるがごとく立っていた。彼の功績のひとつは、力学系における定性的理論の基礎を築いたことである。ポアンカレには学問的な懐の深さはあったが、天体の複雑極まりない軌道を照らし出す道具は持ち合わせていなかった。このカオスの深淵に光を当てて、その美しさを照らし出すためには、コンピュータや、その関連技術の助けが必要だった。したがってポアンカレは微分方程式にもとづく定性的な理論で武装したのである。その過程で彼が利用したのがトポロジーだった。ホモクリニック軌道、ヘテロクリニック軌道は、トポロジーに対して新たに導入した「ポアンカレ断面」というアイデアによって発見された。(参照:「ポアンカレ 常微分方程式 -天体力学の新しい方法-」、「ポアンカレによるカオスの発見と先見性」)

5 単方向振子

解析的な手法では解くことができない、非線形振子の問題が取り上げられる。この問題はトポロジーの幾何学の表現に映され、「エネルギー」という視点から解く方法が発見された。そしてこの抽象空間を利用した解法は多次元化され、幾何学の多次元かが進んでいくのである。

6 ストレンジ・アトラクター

微分方程式の解の安定性についての解説が始まる。 シンク[吸い込み口]、ソース[湧き出し口]、サドル[鞍部]、リミットサイクル[極限周期軌道]など、相空間に描かれる対象、基本的な用語を図を使って説明する。そして準周期的運動の表現に必要になる形がトーラスである。この章ではまた、スメールの研究が解説される他、カオス理論に新しく追加された構造安定性、アトラクター、巻き込み写像、カントール写像などが紹介、解説される。

7 お天気工場

天気の数値予報がこの章のテーマである。大気という連続体を離散的に取り扱って計算するのが数値予報である。カオス理論はその初期値鋭敏性という性質により、観測精度をどんなに上げても、コンピュータの性能をどんなに上げても完全に天気を予測することはできない。また、初期値鋭敏性は「バタフライ効果」として知られる現象をもたらす。バタフライ効果が実際におこっていることは、計算によりすでに確認されているのだ。気象の数値予報の研究を進める中で1963年に発見されたのが、「ローレンツ・アトラクター」である。

8 カオスの調理法

カオスの研究手法として考案された「スメールの馬蹄写像」、「ロジスティック写像」が解説される。そしてロジスティック写像の中に「周期倍増型カスケード」と名付けられたカオスがあらわれていることを確認する。つまり、カオスの中に秩序が存在することが発見されたのである。この章はカオス理論の1940年代から1970年代の研究を解説した章だ。

9 センシティブ・カオス

水の流れをテーマに、カオスの奥深さが語られる。水道の蛇口から落ちる水滴は、蛇口をひねるにつれて一定間隔リズムで、次に不規則なリズムになり、層流から乱流へと変化する。この過程で2回の状態遷移がおきているのだ。また、回転する車輪で生じる振動(ウォッブル)、流体力学で見られる乱流がカオスであることが紹介される。その解明のために考案されたアイデア、数学的手法が紹介される。この章で重要な概念として解説されるのがカオス振動の「パワー・スペクトル」である。また、時系列に沿った振動の観測量は1次元である。この系列をシフトして3つの系列にして、3次元の図形としてアトラクターを構成する「パッカード-ターケンス法」という手法が紹介される。この手法によって1986年、したたり落ちる水道水の水滴からアトラクターの再構築に成功した。つまり不規則に見える水滴のしたたりには秩序があったのである。また「レスラー・アトラクター」が紹介されるのもこの章だ。

10 フィッグ・ツリーとファイゲンヴァリュー

1970年代半ばのファイゲンバウムによるウィルソンのくりこみ法を乱流に応用する研究がこの章で紹介される。キーワードはフィッグ・ツリーとファイゲンバリューだ。手始めにロジスティック写像から始めた。当時利用できたHP-65というプログラム電卓を利用して数値の反復計算を行なったのである。その後継機であるHP-67はスマホアプリとして入手できるし、プログラムは単純なので、どうせならこの機種を使ってご自身で試されるとよいだろう。(もちろん他のプログラム電卓でも構わない。ちなみにCASIO高精度計算サイトのこのページでも計算することができる。) そしてこの章で重要なことは、ファイゲンバリューなどカオスを判定するための定量的な値が存在することが発見されたということである。

11 ほんものそっくりの感触

海岸線のギザギザな形は、その部分を拡大すると、似たようなギザギザがあらわれる。自己相似形であるといってよい。この章で紹介されるのは「フラクタル」である。そして整数値をとらないフラクタル次元が解説される。またフラクタルもカオス理論にとって欠かすことができない。フラクタル次元数を測定することで、カオスの判定に使えること、乱流に対するフラクタルとカオスとう2つのアプローチは「姉妹」であることが発見される。つまり、ストレンジ・アトラクターはフラクタルだったのである。この章では「マンデルブロ集合」、「ジュリア集合」が紹介される。ただし、乱流がフラクタルであるとするのは早急だ。また、フラクタルを利用した画像圧縮技術も紹介される。

12 再びヒペリオンについて

カオス的な回転をする土星の衛星「ヒペリオン」のメカニズムが詳しく解説される。また、衛星や惑星、小惑星の公転がもたらす共鳴現象を解説する。共鳴は(エネルギー保存系の力学である)ハミルトン系の力学において特に重要で、カオスはしばしばそれらの共鳴現象として生じることが多い。共鳴現象は、また小惑星帯の空隙(ギャップ)の謎も解明した。そもそも太陽系全体は本質的にはカオス的であることが示される。

13 自然界の不均衡

生態系における動物の個体数がカオス的に変化することを紹介する。生態学(エコロジー)に関する一般的な書物や、あるいは環境保護団体からきた寄付集めの手紙を見ると、それほど読み進まないうちに「自然界の均衡」という言葉に出会う。つまり、すべての種は、人間たちによっていとも簡単に壊されてしまうような、非常にデリケートな「生命の編目」で結びつけられているとかのおとぎ話が書いてあるのだ。この種の議論にはおかしなところがたくさんある。定常状態といえども、そのまま衰弱するのではなく移動してカオスにより、安定性の破壊が生じることもある。アトラクターの概念は、このような問題にも自然かつ有用なイメージを与えてくれる。多くの人々は単純明快な答を求めるし、またほとんどの政治家たちや圧力団体は単純明快なスローガンを求める。生態系はこのような人々にとってはあまりに複雑すぎるのだ。カオス理論は、このような複雑性がもたらす問題を解決してくれるのではなく、むしろ、そのような問題があることをわれわれに認識させてくれるのである。またこの章ではカオス理論の研究がHIVウィルスや心不全など脈動する臓器の研究にも有用であることを紹介している。

14 バタフライを超えて

ランダムであることとカオスはどのように違うのかを、とても詳しく解説する。そしてそれらの違いが、現実世界における予測とどのように結びついているか、どのように応用されているかが紹介される。そして、最後にバネの製造の例をとりあげ、その歩留まりを抑え、不良な製品をどのようにして減らすことができたかという、カオス理論の工業的な応用例が紹介される。

15 フォン・ノイマンの夢

1950年頃、偉大な数学者ジョン・フォン・ノイマンは微小擾乱(バタフライ効果)に対する天候の敏感性についてはじめて耳にしたとき「天候は予測不可能ではない。それは制御できる。」と述べたそうだ。将来、優れた計算機を持つようになったら、たちまち気象現象を2つの範疇にはっきりと仕訳できるようになるだろう。安定なものと不安定なものに。そして安定なすべてのプロセスをわれわれは予測できるであろう。また不安定なすべてのプロセスをわれわれは制御できるだろう。」つまり、天候にちょっと干渉するだけで大きな効果を及ぼせるのはもうわかっているのだから、どんなに大きな効果でも望みどおりに引き起こす経済的な方法が存在するはずである。カオス制御の話だ。

ここまで読んだとき、僕は昨年の台風15号、19号による豪雨被害のことを思わずにはいられなかった。事前に予測できていれば、わずかの影響を大気に与えるだけで、数日後の台風の進路や豪雨域を海上にそらすことができたかもしれない。現在は無理だが、将来そのような技術が実現することを切に願っている。

また先日、この連続投稿がツイッターでバズった。(連続投稿を開く

三体問題のカオス的軌道を採用することで、それまで最も効率的と考えられてきたホーマン軌道を採用する場合の半分の燃料で宇宙船を月の周回軌道に乗せることができる。ただし地球を48周、月を10周回るため2年かかるが、将来月面基地建設のための物資を運搬するためには効率的だ。


フォロワーや読者の中には「カオスの初期値鋭敏性があるから、このようなことは不可能だ」と主張する方がいたが、実はそうでもない。月に到着する直前で軌道がぐにゃりと曲がっている場所がある。これは慣性に任せたカオス的軌道ではなく逆噴射して軌道修正したことによる。つまり、その場所まではカオス的軌道に任せ、最後の最後で燃料を使っているのである。また、途中で燃料をわずかに使って軌道を微修正することも可能である。このようにすればホーマン軌道の半分の燃料で済むのだ。

また、この章では脳波の研究にカオス理論のアトラクターが使われていることも紹介される。

16 カオスと量子

量子力学の不確定性原理も予測を不可能にする原因である。カオスのそれとどのように関連付けて考えればよいのだろうか?この章では、量子力学の発展史を解説した後に、まだ解明されていないこの領域の考察を深めている。

17 深遠なる思考よ、さらば

最終章は、複雑系と呼ばれる分野の解説だ。カオス理論が「単純な規則から不規則性が生まれる」ことであるのに対して複雑系は逆である。本書が刊行された頃に注目されてきたのが複雑系である。これについては、簡単に述べるにとどめ、本書の後に続編として刊行した「The Collapse of Chaos(カオスの崩壊)」で詳しく解説をするとしている。

また、この章では理論物理学者の多くが信じている「要素還元主義」について紹介している。素粒子の挙動がすべての自然現象の根源にあるとするこおの思想は、古代ギリシャからあった考え方だ。しかし、現実の問題はスケールに応じて別々の理論で理解され、それらの間に存在するギャップは大きく、それを埋めることはほぼ不可能な状況である。そのことを象徴的に示しているのが「ラングトンの蟻」という不思議なカオス現象である。この現象については、ここから始まる連投ツイートで紹介しておいた。色の数を増やしたもの、3Dバージョンにしたものなど、不思議で美しい動画が見れるので、ぜひご覧いただきたい。

ラングトンの蟻(解説動画


3Dバージョンのラングトンの蟻


ラングトンの蟻の不思議は数学的に解決されていない。不規則なカオス的挙動から、なぜ突然「道」が作られ始められるのか?蟻の運動を決める規則はごく単純なものなのだ。この謎は解明されていないし、数学的に証明もされていない。何が解明されていないかは、このスライドに書かれている。

ざっと本書の内容を章別に紹介させていただいた。絶版なので安い中古本を見つけることができたら、ぜひお読みいただきたい。


日本語版は新版と旧版が販売されている。できれば新しいほうを買ってほしい。

カオス的世界像―非定形の理論から複雑系の科学へ: イアン・スチュアート」(1998年、増補新版、519ページ)
カオス的世界像―神はサイコロ遊びをするか?: イアン・スチュアート」(1992年、初版、382ページ)
 

増補新版の検索: Amazon 日本の古本屋 ヤフオク メルカリ

増補新版の翻訳のもとになった原書はこちら。Kindle版は安く買える。

Does God Play Dice?: The Mathematics of Chaos: Ian Stewart」(Kindle版


本書の続編は「The Collapse of Chaos(カオスの崩壊)」というタイトルで1994年に刊行された。

Does God Play Dice?: The Mathematics of Chaos: Ian Stewart」(Kindle版


そして同じ著者が「神はサイコロ遊びをするか?」ではなく「サイコロは神遊びをするか?」という本を書いていることに気がついた。Kindle版はすでに発売され、ペーパーバック版は6月、ハードカバー版は9月に発売される。

Do Dice Play God?: The Mathematics of Uncertainty: Ian Stewart」(Kindle版



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カオス的世界像―非定形の理論から複雑系の科学へ: イアン・スチュアート


増補新版への序文

プロローグ:時計仕掛けかそれともカオスか?

1 秩序から混沌へ
- 不条理な論証
- 時計仕掛けの世界
- ヒペリオンへの旅
- カオス
- 電卓カオス
- ヒンズー教におけるメンテナンスの技法

2 万能方程式を求めて
- 天球の回転
- ギリシャで生まれた歯車
- 太陽中心説
- 振子の運動
- 重力(万有引力)と幾何学
- 世界の体系
- 鐘と笛
- 風と波
- 解析学が見捨ててきたもの
- 質入れされた数学
- 再定式化の時代
- 市場は大騒ぎ

3 誤差の法則
- ギャンブルで勝ちたい!
- 並の人、または「平均人」という概念
- 遺伝研究の天才=形質遺伝と正規分布
- テクノロジー・トランスファー
- オランダ生まれのカオス
- パラダイムを延命する

4 最後の普遍学者
- うっかり屋の空想家
- 数学のオスカー
- ラバーシート・ダイナミックス
- 四方八方めったらやたらに大突進
- 三角関係のもつれ
- トポロジーへの一つの疑問
- 天上のカオス

5 単方向振子
- 勝てないときはずるをする
- エネルギー曲面上の幾何学
- 非ゾウ学
- 円に線を巻きつけて
- 事実は摩擦より奇なり
- 多次元の夢
- n次元空間における幾何学

6 ストレンジ・アトラクター
- 光陰矢の如し
- シンク[吸い込み口]
- ソース[湧き出し口]
- サドル[鞍部]
- リミットサイクル[極限周期軌道]
- 典型的にはまさにこれ
- 猫を振りまわして
- 日に映る景色ではなく精神に映る景色
- 構造的安定性
- アトラクター
- 巻き込み写像
- カオスの足跡
- ポアンカレ断面
- 宙ぶらりんのソレノイド
- カントールのチーズ
- ほんもののカオス
- 痛烈なこきおろし

7 お天気工場
- 輝かしき失敗
- お天気チェス
- 0と無限大の間で
- メガフロップ
- 心の中は数学者
- 滞留せずに対流に挑む
- コンピュータのおかげです
- バタフライ効果
- その蝶をたたき落とせ
- 引き延ばしと折りたたみ

8 カオスの調理法
- 引き延ばしと折りたたみ
- レーダーから馬蹄まで
- ディナミックス・ボロニェーズ
- 磁気トラップ
- パフ・ペイストリー
- ミセス・ビートンを越えて
- ロジスティック写像
- 定常状態レジーム
- 周期倍増型カスケード
- カオスの中にある秩序
- 大きなノミ、小さなノミ

9 センシティブ・カオス
- 奥の深さを見抜くには
- ウォッブルが雪だるま式に
- ありそうもない筋書き
- 反証可能性
- 古典的室内実験
- レーザー光の照射
- 出会いと接点
- でっちあげの観測可能量
- ストレンジ・ケミストリー=化学反応の不思議
- 芭蕉再訪

10 フィッグ・ツリーとファイゲンヴァリュー
- 宇宙の大海原に漂う一本の壜
- 摂動はダメ、くりこみだ!
- 大型汎用コンピュータを使わない利点
- 蛇と熊
- くりこみ法
- ファイゲンバウムの写像
- ファイゲンバリュー
- 両刃の剣
- 空想の世界で乱流を見る
- 極寒と静寂の世界
- ヘリウムの回転運動

11 ほんものそっくりの感触
- 測定の尺度
- 雪片と海岸線の形
- 1 1/4 次元
- 「幾何学だけはやらないほうが...」
- シリコン・バレー
- 凝集と浸透
- 水と油はどうして混ざり合わないか?
- 万物と宇宙
- フラクタル偽造物
- 雲と雨
- 実は姉妹だった!
- ジンジャーブレッド・マン
- フラクタルの牛

12 再びヒペリオンについて
- 宇宙のじゃがいも
- バンパイヤ・ドッペルゲンガー
- スピン軌道の幾何学
- 潮汐摩擦
- どうして、そういうことになったのか?
- 共鳴現象
- カーターウッドのすきまとヒルダのかたまり
- 高離心率のスパイク
- 火星の掃除人
- デジタル太陽系儀
- オスカル国王への答
- 月に助けられた

13 自然界の不均衡
- サメと小エビ
- 超高速増殖ウサギ
- 成長の限界
- 状況の組み合わせ
- アオバエの産卵について
- ビートル力学
- 生命の網の目
- 流行病学におけるカオス
- HIV力学とエイズ
- 心臓停止!
- キックト・ローテイター
- 女王の屈伏
- ニワトリの心臓
- 医療数学

14 バタフライを超えて
- ランダムであるとはどういうことか
- 偶然とカオス
- 脈動する星々
- 短期予測
- 現実の世界
- Fracmat計画

15 フォン・ノイマンの夢
- ピンボールの魔術師
- 再びサドルへ戻れ
- 不規則に彗星へ
- 賢いペースメーカー
- バブロヤンツの脳波
- 脳はカオスを必要とする

16 カオスと量子
- 波動、粒子、そして量子
- 波動関数
- 箱の中の猫
- EPRパラドックス
- ボームの解釈
- ベルの不等式
- サイコロと決定論
- 穴だらけのたらい
- 「もし」の世界

17 深遠なる思考よ、さらば
- 偉大なる知性とかなりの知性
- デザイナー・カオス
- くり返しのきかない実験
- カオスへの夢遊
- リアルな数学を求める運動
- 今後さらなる変化が...
- 複雑性の保存
- 機械の中の山羊
- 単純性理論
- 代替可能性
- アリの国
- 単一性と連結性

結語:神とサイコロ遊びを...

訳者あとがき
参考文献
人名索引
事項索引

祝: 累計600万アクセス達成!

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2005年2月に始めたこのブログの累計訪問者数が昨日600万人(IP)に達した。



500万人をクリアしたのが2018年11月20日。「映画『ボヘミアン・ラプソディ(2018)』」の記事を書いた頃、「日産のゴーン元会長が初めて逮捕された」頃である。今日まで439日が経過しているので、この期間は1日あたり平均2276人の方にアクセスしていただいたことになる。500万人達成のときに予想していた「600万人に達するのは400日後、つまり2019年12月24日前後になると思われる。」よりだいぶ遅れてしまった。期間としては10パーセント、日数としては39日余計にかかったわけである。

ページ閲覧数累計のほうも2016年10月17日(たまたま僕の誕生日)に1000万PVをクリアしている。(PVはPage Viewの略) 昨日の段階で1720万PVを超えている。


「アクセス」の欄の閲覧 4,203PV、訪問者 1,727IPは昨日1日のぶんである。また日別、週別のランキング129位と135位はgooブログ全体(昨日の段階で2,910,842ブログ)の中での順位である。291万ブログあるといっても、更新されていないブログがたくさんあることに注意したい。

これまでのアクセス数とページ閲覧数の日平均は次のように推移していた。

累計0~40万アクセスの期間(2005年~2010年):日平均191アクセス、ページ閲覧数504page
累計40万~50万アクセスの期間(2010年~2011年):日平均800アクセス、ページ閲覧数2013page
累計50万~100万アクセスの期間(2011年~2012年):日平均973アクセス、ページ閲覧数3107page
累計100万~200万アクセスの期間(2012年~2014年):日平均1525アクセス、ページ閲覧数4266page
累計200万~300万アクセスの期間(2014年~2016年):日平均1502アクセス、ページ閲覧数5012page
累計300万~335万アクセスの期間(2016年~2016年):日平均1774アクセス、ページ閲覧数4825page
累計335万~400万アクセスの期間(2016年~2017年):日平均1781アクセス、ページ閲覧数5341page
累計400万~500万アクセスの期間(2017年~2018):日平均2504アクセス、ページ閲覧数7032page
累計500万~600万アクセスの期間(2018年~昨日):日平均2276アクセス、ページ閲覧数5596page



訪問者数やページ閲覧数が減ったのは、次のような外的要因の相乗効果によるものと考えている。

- ブログの人気ランキングサイトのSSL化の後、応援クリックがランキングにほとんど反映されなくなり、順位が大幅に下がったため、とね日記へのアクセス数が減った。(それ以来、ブログ人気ランキングサイトの順位はまったく信用しなくなった。)
- 科学系、教育系YouTuberに多くの読者が流れた。
- Google検索のアルゴリズム変更により、ブログの表示順位が上位に入りにくくなった。

ブログの知名度を押し上げた「事件」は過去2回あったことが「TopHatenarの分析のページ」でわかる。「200冊の理数系書籍を読んで得られたこと」、「NHKスペシャル「神の数式」の感想」を多くの方に読んでいただいたことで知名度が上がった。(昨年TopHatenarのサイトは閉鎖された。この画像は数年前のものである。)

画像クリックで拡大



浅草の「花やしき」の来園者数は年間50万人だというから日平均は1369人、「上野動物園」の来園者数は年間400万人だそうで日平均は1万人くらい。だからこのブログの1日のアクセス数2276人とは、「花やしきの1.7倍くらいで、上野動物園には遠く及ばない。」というところなのだ。

次の資料によると日本科学未来館の来館者数は年間100万人くらいなので、1日2740人。とね日記の1日2276人はかなり足りないようだ。(日本科学未来館来館者数の推移


今のペースを維持できれば次の目標の700万人に達するのは439日後、つまり2021年4月16日前後、ページ閲覧数が2000万ページに達するのは500日後の2021年6月16日前後になると思われる。

日本人がノーベル物理学賞をとったり、重力波検出のような大成果があっても世の中の人の関心はせいぜい1~2週間ほどしか続かないことがこの10年の動きを見て感じたことだ。(それは一般の事件のニュースでも同じこと。)

アクセス数を伸ばすのを第一に考えのではなく、自分が楽しめて読者の方にも参考になる記事を書くというのがブログの目的だ。だから今のペースを維持するというのが自然である。その結果、運よくアクセス数がアップするというのならば嬉しいことだ。


平均アクセス数やページ閲覧数は主に過去記事によって支えられている。たとえば昨日までの1週間の記事別アクセス数ランキングは次のとおりだ。昔書いた記事も読まれていることがわかる。僕としてはトップページへのアクセスがいちばん多いのが嬉しい。なぜなら「とね日記」というキーワードで検索し、ブログを開いていただいているわけだから。



100万アクセスを達成した2012年頃とくらべて、全体的にページ閲覧数が増えていることや、読んでいただいている記事が変化していることがわかる。

ペットの話題や料理の話題、芸能人ネタなど、より一般的な事柄を記事にすれば、アクセス数は格段にアップする。反対に物理学や数学の記事で、数式を使った専門的な記事であればあるほど、理解できる読者は少なくなりアクセス数は減る。

物理ブログ、科学ブログとしての価値はアクセス数やランキングでは測れないものだと僕は思っている。これからも記事に対する一般の方の関心事と内容の専門性のバランス感覚を大切にしていきたい。


これからも当ブログをよろしくお願いいたします。


参考リンク:

こよみの計算 > 日にち・曜日(CASIO高精度計算サイト)
http://keisan.casio.jp/has10/Menu.cgi?path=01200000%2e%82%b1%82%e6%82%dd%82%cc%8cv%8eZ%2f02000000%2e%93%fa%82%c9%82%bf%81E%97j%93%fa


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東京理科大理学部応用数学科、江川研究室のOB/OGの皆様へ

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東京理科大理学部第一部応用数学科、江川研究室のOB/OGの皆様にお伝えします。長年に渡り教鞭をとってこられた江川嘉美先生が定年退官を迎えられます。5月か6月に江川研のOB・OGによる同窓会(江川先生の退官を祝う会)を企画しております。

3月10日の最終講義および同窓会の情報をメールでお届けするため、OB・OGの方には、私までご連絡いただきたく存じます。私(1987年卒)のツイッター(@ktonegaw)を相互フォローしてDMでご連絡いただくか、 egawaken.obog@gmail.com にメールをお送りいただきますようお願いします。(メールアドレスは「えがわけん ドット おーびーおーじー」です。)

メールをお送りする際は、以下の情報を記載いただきますようお願いします。宛先は「江川研OB・OG会担当者」と書いてください。

お名前:
卒業年(西暦):
メールアドレス:

よろしくお願いいたします。

教員プロフィール: 江川 嘉美 教授
https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?832


最終講義の詳細のご連絡がありました。
下記の通りです。

         記

日時:2020/3/10(火) 15:30~16:30
場所:神楽坂キャンパス11号館 3階 11-7教室
テーマ:「整数論と関数論の思い出」

江川先生の最終講義は、以下のURLで告知されています。最終講義の部屋は、100人は入れるとのことです。

最終講義・講演情報(東京理科大学)
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20200109001.html


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ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 : 阿部 謹也

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ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 : 阿部 謹也」(Kindle版

内容紹介:
1284年6月26日、ドイツ・ハーメルンで約130人の子供が集団失踪した……

伝説化した実在未解決事件の謎を解く!
伏線を回収していくような快感が走る、歴史学の名著 【解説】石牟礼道子

《ハーメルンの笛吹き男》伝説はどうして生まれたのか。13世紀ドイツの小さな町で起こったひとつの事件の謎を、当時のハーメルンの人々の生活を手がかりに解明、これまで歴史学が触れてこなかったヨーロッパ中世社会の差別の問題を明らかにし、ヨーロッパ中世の人々の心的構造の核にあるものに迫る。新しい社会史を確立するきっかけとなった記念碑的作品。阿部史学、渾身の一作。

「ただ単に「事実」を「解明」するのではなく、そのような「伝説」を生むことになった「空気」のようなものまで浮かび上がらせる。
大学生のときに読んで、こんなに面白い歴史の本があるのかと思った。」
――柴田元幸

1988年12月1日刊行、319ページ。(単行本は平凡社から1974年刊行)

著者について:
阿部 謹也(あべ きんや): ウィキペディアの記事
1935年、東京に生まれる。1963年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。小樽商科大学教授、一橋大学教授、一橋大学学長、共立女子大学学長などを歴任。『中世を旅する人びと』『西洋中世の男と女』『中世の星の下で』『自分のなかに歴史をよむ』『ハーメルンの笛吹き男』『「世間」への旅』「阿部謹也著作集」全10巻(以上、筑摩書房)、『「世間」とは何か』(講談社)、『物語 ドイツの歴史』(中央公論新社)、『阿部謹也自伝』(新潮社)など多数の著書がある。2006年9月没。

阿部先生の著書: 書籍版検索 Kindle版検索
ハーメルンの笛吹き男: 絵本・児童書を検索 英語版検索 ドイツ語版検索 動画検索


通勤電車でのKindle本読書。今回は昨年話題になった「ハーメルンの笛吹き男」を読んでみた。この話は小学生の頃に絵本か児童書で読んだだけで、メルヘン、ファンタジー本のような印象をもっていたが、思い直してみると実際にあった事件だったのだとわかる。130人もの子供たちの失踪事件、誘拐事件だ。

そして、ここが伝説の中で子供たちが笛吹き男に連れ去られたという場所である。現在は「笛吹き男の家」と呼ばれている。
Gaststätte Rattenfängerhaus: ストリートビューで見てみる

中世のヨーロッパ世界の実際の様子、人々の生活がどのようなものであったのかはまったく知識がないし、人々の生活は困窮していたのだろう、知識も不足していて庶民の世界観はさぞ狭かったのだろうと、迷信に満ちた生活を送っていたのだろう、といろいろ想像できるわけだが、歴史学者が丹念に調べて描き出す世界を大いに楽しんだ。日ごろ読まないタイプの本を読むのは新鮮だ。

事件がおきたのは1284年6月26日である。これだけはっきりわかっているだけに、やはり実際におきたことなのだろう。その衝撃は伝説となり、後世に語り継がれている。この事件だけでひとつの学問領域と言えるほど研究され、事件の解釈をテーマにさまざまな書物が刊行され続けている。本書もそのうちの1つだ。

まず、この事件の概要、そしてその後の伝承、研究本の歴史はウィキペディアをお読みになるのがいちばんはやい。

ハーメルンの笛吹き男:
ウィキペディアの記事

筑摩書房による特設ページ:
https://www.chikumashobo.co.jp/special/hameln/

おいで子供たち。町の子を連れて消えてゆく、ハーメルンの笛吹き男の絵画10点
http://mementmori-art.com/archives/17042366.html

本書ではこの事件がおきる前、ドイツのハーメルンという村が、どのように成立していったのか、その発祥から発展の歴史が解説される。そして、事件がおきたときのこの村の状況、ヨーロッパ全体の状況が事件がおきた背景として重要なポイントとなる。

本書の章立ては次のとおりだ。

第1部 笛吹き男伝説の成立

はじめに
第1章 笛吹き男伝説の原型
第2章 1284年6月26日の出来事
第3章 植民者の希望と現実
第4章 経済繁栄の蔭で
第5章 遍歴芸人たちの社会的地位

第2部 笛吹き男伝説の変貌

第1章 笛吹き男伝説から鼠捕り男伝説へ
第2章 近代的伝説研究の序章
第3章 現代に生きる伝説の貌

私たちはとかく現代の視点から物事を判断しがちである。その事件がおきた世界にタイムトラベルをして、物事がどのような背景でおきたかを考えるのが大切だ。ネズミの駆除に成功した笛吹き男にお金を渡さなかった、約束を破ったというのは現代の視点からは「悪いこと」であるが、笛を吹いてネズミを連れ出すのは簡単なことである。労働の対価として支払うにはあまりにも大金なのだ。それに魔術的なやり方である。であるから勤労を是とするカトリック信仰の価値観に支配されていた当時の村人たちが、支払いを拒否するというのは道理なのである。

子どもたちの失踪に関しては、本書ではいくつかの説が提示され、それぞれに関して信ぴょう性が吟味されている。

- 村の青年男女を村の外に連れ出し、東方へ植民のために移民させたからという説
- 子供による十字軍だったという説
- 人身売買目的の誘拐だったという説など

そして笛吹き男は何色もの布であしらえた服装で現れたのだという。当時としてはおよそ考えられない服装である。この人物が何者であったのかということについても、いくつかの説が紹介される。

ハーメルンの笛吹き男の伝説については、微積分学の創始者のひとりライプニッツ(1646年-1716年)もメモとして残している。彼はこの伝説が真実か虚偽かという点を問題とするより、むしろ歴史的背景となる事実のうえにこの伝説が形成されたとみていた。

ライプニッツは「この伝説のなかには何か真実なものがある」と述べている。そしてこの伝説の背後に歴史的事実を認め、追求しようとする姿勢はライプニッツ以後現在にいたるまで変わらずに保たれている。

彼の調査は手書きのままで活字にならなかったから、同時代人に広範な影響を与えることはできなかったが、啓蒙思想の展開とともに伝説の謎を歴史的に解明する道を開くきっかけとなった。

知れば知るほど謎が深まる本である。13世紀に起きた実際の事件の真実が解き明かされるはずがない。それはわかっていてもぐいぐいと惹きつけられる本なのだ。

ぜひ、お読みになっていただきたい。

マルクト教会のガラス絵から模写した現存する最古の<ハーメルンの笛吹き男>の絵(1592)
拡大


ハーメルンのマルクト教会:門の向こう側に左側アーチ型窓があり、この伝説のガラス絵が嵌めこまれていた。(ストリートビューで見てみる)(ハーメルンの市内探索をされた方のページ

<ハーメルンの笛吹き男>伝説とは
日本では鎌倉時代後期にあたる1284年。ドイツ北部の小都市ハーメルンの町にネズミが大繁殖し、人々を悩ませていた。ある日、町に笛を持ち、色とりどりの布で作った衣装を着た男が現れ、報酬をくれるなら街を荒らしまわるネズミを退治してみせると持ちかけた。ハーメルンの人々は男に報酬を約束した。男が笛を吹くと、町じゅうのネズミが男のところに集まってきた。男はそのままヴェーザー川に歩いてゆき、ネズミを残らず溺死させた。しかしネズミ退治が済むと、ハーメルンの人々は笛吹き男との約束を破り、報酬を払わなかった。

約束を破られ怒った笛吹き男は捨て台詞を吐きいったんハーメルンの街から姿を消したが、6月26日の朝(一説によれば昼間)に再び現れた。住民が教会にいる間に、笛吹き男が笛を鳴らしながら通りを歩いていくと、家から子供たちが出てきて男のあとをついていった。130人の少年少女たちは笛吹き男の後に続いて町の外に出てゆき、市外の山腹にあるほら穴の中に入っていった。そして穴は内側から岩でふさがれ、笛吹き男も子供たちも、二度と戻ってこなかった。物語によっては、足が不自由なため他の子供達よりも遅れた1人の子供、あるいは盲目と聾唖の2人の子供だけが残されたと伝える。


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ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 : 阿部 謹也」(Kindle版


第1部 笛吹き男伝説の成立

はじめに

第1章 笛吹き男伝説の原型
- グリムのドイツ伝説集
- 鼠捕り男のモチーフの出現
- 最古の史料を求めて
- 失踪した日付、人数、場所

第2章 1284年6月26日の出来事
- さまざまな解釈をこえて
- リューネブルク手書本の信憑性
- ハーメルン市の成立事情
- ハーメルン市内の散策
- ゼデミューンデの戦とある伝説解釈
- 「都市の空気は自由にする」か
- ハーメルンの住民たち
- 解放と自治の実情

第3章 植民者の希望と現実
- 東ドイツ植民者の心情
- 失踪を目撃したリューデ氏の母
- 植民請負人と集団結婚の背景
- 子供たちは何処へ行ったのか?
- ヴァン理論の欠陥と魅力
- ドバーティンの植民遭難説

第4章 経済繁栄の蔭で
- 中世都市の下層民
- 賎民=名誉をもたない者たち
- 寡婦と子供たちの受難
- 子供の十字軍・舞踏行進・練り歩き
- 四旬節とヨハネ祭
- ヴォエラー説にみる<笛吹き男>

第5章 遍歴芸人たちの社会的地位
- 放浪者の中の遍歴楽師
- 差別する側の怯え
- 「名誉を回復した」楽師たち
- 漂泊の楽師たち

第2部 笛吹き男伝説の変貌

第1章 笛吹き男伝説から鼠捕り男伝説へ
- 飢饉と疫病=不幸な記憶
- 『ツァイトロースの日記』
- 権威づけられる伝説
- <笛吹き男>から<鼠捕り男>へ
- 類似した鼠捕り男の伝説
- 鼠虫害駆除対策
- 両伝説結合の条件と背景
- 伝説に振廻されたハーメルン市

第2章 近代的伝説研究の序章
- 伝説の普及と「研究」
- ライプニッツと啓蒙思潮
- ローマン主義の解釈とその功罪

第3章 現代に生きる伝説の貌
- シンボルとしての<笛吹き男>
- 伝説の中を生きる老学者
- シュパヌートとヴァンの出会い

あとがき
解説 石牟礼道子「泉のような明晰」
参考文献

日本国憲法を英語やフランス語で学ぼう

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コロナウィルス感染防止のため、いきなり全国一斉休校という異常事態になってしまった。

自由に使えるようになった時間は、読書や好きなことに集中するのがよいと思う。そのひとつとして思いついたのが日本国憲法を外国語で学ぶというもの。

公式に公布されたものであるから、実に格調が高い英文なのだ。暗唱できるようになると、とてもカッコいい。中学生にはまだ無理だと思うが、高校生以上の学生にはぜひチャレンジしてみてほしい。とりあえず前文(Preamble、プレアンブル)だけでもよいだろう。動画で公開されている朗読はリスニング教材としてもぴったりである。


英語で日本国憲法:

英語で聴こう日本国憲法


英訳をテキスト化したものは、次のサイトで読むことができる。

日本国憲法を英語で読む: 英訳およびキーワードの対訳付き
https://eigodekenpou.wordpress.com/

日本国憲法(The Constitution of Japan): 対訳は左右表示、パソコン向き
http://earthresources.sakura.ne.jp/er/EL_NK_NK.html

日本国憲法(The Constitution of Japan): 対訳は上下表示、スマホ向き
http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=174

The Constitution of Japan (英文のみ)
https://www.ndl.go.jp/constitution/e/etc/c01.html


本でじっくり学んでみたいという方には、次の2冊をおススメする。1冊目の「英語版で読む 日本人の知らない日本国憲法」のほうは、Kindle Unlimitedの対象だ。

英語版で読む 日本人の知らない日本国憲法」(Kindle版
英文対訳日本国憲法 (ちくま学芸文庫)

 


フランス語で日本国憲法:

フランス語で朗読している動画は見つからなかったが、フランス語訳はこちらで読める。公式なものであるかどうかは不明だが、もちろん格調高い翻訳だ。このページからフランスを始め、各国の憲法のフランス語訳が公開されている。

Constitution du Japon
https://mjp.univ-perp.fr/constit/jp1946.htm


日本語で日本国憲法:

英語やフランス語は無理だから、日本語で聴きたいという方は、こちらからどうぞ。全文が聴ける動画は2つ見つかった。

美声で聴く 日本国憲法 朗読:嫩子(ふたばこ)


「日本国憲法」全文を聴こう《憲法記念日》


日本国憲法誕生 全編



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大日本帝国憲法を英語やフランス語で学ぼう

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この記事に政治的な意図はない。「日本国憲法を英語やフランス語で学ぼう」という記事を書いたから、大日本帝国憲法についても書いておこうというだけである。

この記事を書こうと思ったもう一つの理由は、大日本帝国憲法が誕生するまでの歴史に興味をもったからだ。公布されたのは1889年(明治22年)2月11日のこと。完成するまで、実に22年もかかっていたのだ。誕生までの経緯は、この記事の最後で紹介する動画をご覧いただきたい。


現代語で大日本帝国憲法:

外国語で学ぶ前に、日本語で理解しておいたほうがよいだろう。日本国憲法との違いは、ここをクリックしてご確認いただきたい。

また、大日本帝国憲法の現代語訳やオリジナルの憲法全文は、次のページでお読みいただける。

大日本帝国憲法現代語訳
https://ameblo.jp/trachemys-lsa16/entry-10844679288.html

大日本帝国憲法の現代語訳
http://takadanaoki.jp/wp/2018/01/04/大日本帝国憲法の現代語訳/

中学校社会 公民/大日本帝国憲法(原文とその対訳)
https://ja.wikibooks.org/wiki/中学校社会 公民/大日本帝国憲法

大日本帝国憲法の原本の閲覧
https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/detail/detailArchives/0101000000/0000000001/00


英語で大日本帝国憲法:

英語による朗読は、この動画で聴くことができる。リスニング用教材としても利用していただきたい。

THE CONSTITUTION OF THE EMPIRE OF JAPAN 1889 - Full AudioBook


大日本帝国憲法(英語朗読): YouTubeで検索

英訳をテキスト化したものは、次のサイトで読むことができる。

The Constitution of the Empire of Japan
https://www.ndl.go.jp/constitution/e/etc/c02.html


本でじっくり学んでみたいという方には、次の3冊をおススメする。最初の2冊はKindle版のみ購入可能、Kindle Unlimitedの対象だ。

『日本国憲法』対照 和英対訳 大日本帝国憲法
現代語訳 伊藤博文が語る 明治憲法制定の由来: 伊藤博文
憲法講話: 美濃部達吉」(Kindle版)(現代語訳Kindle版

  


フランス語で日本国憲法:

フランス語で朗読している動画は見つからなかったが、フランス語訳はこちらで読める。公式なものであるかどうかは不明だが、もちろん格調高い翻訳だ。このページからフランスを始め、各国の憲法のフランス語訳が公開されている。

Constitution du 11 février 1889 du Japon
https://mjp.univ-perp.fr/constit/jp1889.htm


日本語で大日本帝国憲法:

英語やフランス語は無理だから、日本語で聴きたいという方は、こちらからどうぞ。全文が聴ける動画がいくつかアップロードされている。次の2つがお勧め。

大日本帝国憲法-1.0倍速-条文朗読


大日本帝国憲法



大日本帝国憲法の誕生までの道のり:

この2つの動画は、ぜひご覧いただきたい。最初の動画では憲法公布までの22年間のことが紹介されている。「五日市憲法」に代表されるように、全国の民衆が55もの憲法草案を独自に作成していたという史実はとても興味深い。2つめの動画では憲法制定から太平洋戦争までの道のりを解説している。(ただし、憲法公布後の日清戦争日露戦争第一次世界大戦あたりの歴史は省略されている。)

「天皇陛下や国のために命を捧げる」という考え方は、昭和に入ってから付加されたものだ。2つめの動画を見るとそれが大日本帝国憲法の精神、条文とはまったく異質のものであることがわかる。

帝国憲法はこうして誕生した 明治の国家ビジョン (2012年)


【大日本帝国】 ② 大日本帝国憲法



関連記事:

日本国憲法を英語やフランス語で学ぼう
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/740faf3b23a33a02fb63557519a4e527



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発売情報:カシオ電子辞書 XD-SX7200(2020年フランス語モデル)

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今年もカシオ電子辞書 XD-SX7200(2020年フランス語モデル)が発売された。ここ数年、毎年2月に新しいモデルがリリースされている。

フランス語学習者はもちろん、LHCから発表されるニュース・リリースをフランス語で読んだり、将来この研究所に勤務するようなことになるのだったらコンパクトな電子辞書は持っていたほうがよい。(記事内容を無理やり物理学に関連付けてしまった。)さらに、老眼が始まった方にもお勧めだ。

2020年モデル共通で、大画面化(5.2型のカラー液晶画面を採用。従来比約2.45倍の高精細表示(横864×縦480dot))がされている。(製品紹介

また2020年の一部のモデルでは、最新の広辞苑第七版が搭載されている。(追加コンテンツでも第七版は購入できる。)

広辞苑 第七版を収録
https://casio.jp/exword/contents/kojien7/

ただし、広辞苑第七版はApp StoreGoogle Playともに発売されているので、電子辞書にこだわる必要はないだろう。

また、理工系の方は「理化学モデル」を購入するとよいだろう。(2020年モデルを検索旧モデルを検索


これまで発売されたモデルの詳細は次のリンクで確認できる。

2020年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-SX7200/

2019年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-SR7200/

2018年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-Z7200/

2017年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-G7200/

2016年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-Y7200/

2015年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-K7200/

2014年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-U7200/

2013年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-N7200/

2012年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-D7200/

2011年モデル
https://casio.jp/exword/products/XD-B7200/

2010年モデル(「ロワイヤル仏和中辞典 第2版」、カラー液晶画面が搭載された最初のモデル)
https://casio.jp/exword/products/XD-A7200/

ほとんどの辞書アプリがスマホで利用できるようになった現在、フランス語学習者にとって分厚い「ロワイヤル仏和中辞典 第2版」が利用できことが電子辞書の最大のメリットだ。残念ながらこの辞書がスマホアプリとして販売される見込みは立っていない。


最新モデルを買うに越したことはないが、旧モデルでも安いのが見つかればそれはそれでよいと思う。フランス語にかかわる人にとってポイントになる大まかな変更点は次のようなものだ。

2010年->2011年
- フランス語コンテンツ1つ追加(文法中心ゼロから始めるフランス語、ネイティブ発音)
- オックスフォード現代英英辞典が第7版から第8版になった
- ツインカラー液晶搭載
- 新画像検索機能
- 本体メモリー容量が50MBから100MBになった
- ボディカラーがブラック+シルバーからホワイトに変更

2011年->2012年
- フランス語コンテンツ1つ追加(プチ・ロワイヤル仏和辞典 第3版、ネイティブ発音)
- スクロールパッドや縦書きのブックスタイル表示機能を搭載
- ダブルカードスロットになった(追加コンテンツ用)
- ボディカラーがホワイトからシルバー+ブラック+ホワイト(外側)に変更

2012年->2013年
- プチ・ロワイヤル仏和辞典が第4版になった
- プチ・ロワイヤル和仏辞典が第3版になった
- 1981年の発売以来定評のある角川類語新辞典が収録された他、国語系コンテンツの見直しが行われた
- ジーニアス和英辞典 第3版が収録された
- タッチパネル式の操作ができるようになった。
- アイコンタイプのメニューデザインが採用された
- 0.9mm薄くなり、約310g->約290gに軽量化

2013年->2014年(フランス語系コンテンツの変更なし)
- 0.1mm薄くなり、約290g->約280gに軽量化

2014年->2015年(フランス語系コンテンツの変更なし)
- カラー液晶(サブパネル)が無くなった。そのぶんキーが大きくなり入力しやすくなった。
- 約280g->約265gに軽量化
- しゃべって身につく 英会話スキット・トレーニング[電子増補版]が追加された。
- TOEICテスト新公式問題集 Vol. 3, 4が追加された。
- デジタル単語帳通信機能が追加された。
- 電池寿命が延びた:単3形アルカリ乾電池LR6(AM3)の場合:約130時間から約180時間になった。※(英和辞典の訳画面で連続表示時)

2015年->2016年(フランス語系コンテンツの変更なし)
- 日本大百科全書(ニッポニカ)が追加された
- ジーニアス英和辞典 第4版 -> 第5版
- オックスフォード 現代英英辞典(第8版)->(第9版)
- 日本文学1,000作品 -> 2,000作品

2016年->2017年(フランス語系辞書とコンテンツ、英語系辞書の変更なし)
- ハードウェアの仕様変更なし、デザインが少し変わった
- TOEICテストが新形式に対応した

2016年モデルのコンテンツ
TOEICテスト新公式問題集
TOEICテスト新公式問題集 Vol. 2
TOEICテスト新公式問題集 Vol. 3
TOEICテスト新公式問題集 Vol. 4
TOEICテスト ボキャブラリー730

2017年モデルのコンテンツ
TOEICテストスコアアップ 新形式問題付き
TOEICテストハイパー模試 5訂版 新形式問題対応
英語名演説・名せりふ集 Ver.4

- 2016年モデルの日経の以下のコンテンツが2017年モデルでなくなった
日経ビジネス 経済・経営用語辞典
増補版 論点解説 日経TEST ―あなたの経済知力を磨く―
日経TEST 公式練習問題集 「経済知力」を問う精選200問

- 生活・実用のコンテンツが大幅に増えた

2017年->2018年(フランス語系辞書とコンテンツ、英語系辞書の変更なし)
- 約265g->約270gに重くなった。デザインが少し変わった。
- TOEFL、TOEICのコンテンツに多少の変化があった。

2018年モデルのコンテンツ
TOEIC テスト 非公式問題集 至高の400問
TOEIC テスト 新形式問題 やり込みドリル
TOEIC LISTENING AND READING TEST 15日で500点突破! リスニング攻略
TOEIC LISTENING AND READING TEST 15日で500点突破! リーディング攻略

- 2017年モデルの以下のコンテンツが2018年モデルでなくなった
全セクション対応 TOEFL TESTはじめての徹底攻略! ―TOEFL iBT対応―
TOEFL TEST模擬試験&「レクチャー問題」リスニング徹底練習300問

2018年->2019年(フランス語系辞書とコンテンツ、英語系辞書の変更なし)
- 画面が大きくなった。(5.3型→5.7型タッチパネル)
- 大画面化により電池の持ちが短くなった。単3形アルカリ乾電池LR6(AM3)の場合:約180時間→約130時間
- 約270g->約285gに重くなった。デザインが少し変わった。
- 「口が覚えるフランス語(収録数:600例文)」が無くなり「文法中心 ゼロから始めるフランス語」になった。

2019年->2020年(フランス語系辞書とコンテンツ、英語系辞書の変更なし)
- 本体メモリー容量が約200MBから約500MBになった。


どのモデルも紙辞書だと分厚い「ロワイヤル仏和中辞典 第2版」が使えるのはありがたい。また巨大な紙辞書の王様として今だに君臨している「小学館ロベール仏和大辞典」に至っては絶対に持ち運べないし、新品は3万円もするから電子辞書のほうが絶対にお買い得だ。ただし、この辞典はiPhone/iPad用のアプリが物書堂から2013年に発売された。(参考記事

2012年モデルまでに搭載されていたプチ・ロワイヤル仏和、プチ・ロワイヤル和仏はともに最新の紙辞書の版に2013年のモデルで追いついている。

これらの辞書をWindowsパソコンや電子辞書でお使いになりたい方には、CD-ROM版がお勧め。(Macでは使えない。)

カシオ 電子辞書 exword 追加コンテンツ CD-ROM版 ロワイヤル仏和中辞典 プチ・ロワイヤル仏和辞典 プチ・ロワイヤル和仏辞典 XS-OH24




これら2つの辞書は物書堂から販売されている「プチ・ロワイヤル仏和辞典(第4版)・和仏辞典(第3版)」を購入すればiPhone/iPadで使うこともできる。(iPhone/iPad版はここから、Android版はここから購入できる。)

なお、初級者向けの仏和辞典の最新版「クラウン仏和辞典 第7版(2015)」(小型版)であるが、ひとつ前の第6版(2010)のiPhone/iPad版はここから、Android版はここから購入できる。


「LE PETIT ROBERT仏仏辞典」については搭載されているのがこの9年間ずっと2008年版の辞書だ、アマゾンサイトここで買える。また書籍版は昨年6月から2020年版が発売されている。(2020年製本版


また、アプリ版も何種類かでている。(日本から買えるのはこのうちの一部。)

Le Robert (Tablette et smartphone)
https://www.lerobert.com/logiciels

注目!
2019年版のLe Petit Robert 仏仏辞典」のiPhone/iPad用アプリが発売された。ちょっとお高く4900円だが、こちらもお勧めだ。「Dictionnaire Le Petit Robert de la langue francaise par Diagonal」からどうぞ。見出し語30万語。2019年の書籍版をアプリにしたものだ。

また「Dictionnaire Historique de la langue francaise」もお勧めだ。「Trio Le Robert」として格安で販売されている。


版が古い辞書はいずれ「フランス語辞典追加コンテンツ」として購入できるようになるのだと考えれば許容範囲だとも言える。PETIT ROBERT仏仏辞典は2009年版が追加コンテンツとして発売されている。


完全に満足できる品揃え、買い時というのはいつまでたってもおとずれないのかもしれない。けれども今年こそ購入に踏み切ろうという方は、以下の画像をクリックしてお求めいただきたい。

カシオ電子辞書 XD-SX7200(2020年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 XD-SR7200(2019年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 XD-Z7200(2018年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 XD-G7200(2017年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 第二外国語モデル XD-Y7000シリーズ(2016年モデル)



カシオ電子辞書 第二外国語モデル XD-K7000シリーズ(2015年モデル)



カシオ電子辞書 XD-U7200(2014年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 XD-N7200(2013年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 XD-D7200(2012年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 XD-B7200(2011年フランス語モデル)



カシオ電子辞書 XD-A7200(2010年フランス語モデル)




関連記事:

フランス語の辞書はどれがいい?
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/04d001a3857a63e9ec104903ccae1a83

ロワイヤル仏和中辞典(辞書談義)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/aed33d08239da123dcc66c5ec08f0bc7

スタンダード佛和辞典・和佛辞典
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fa9b284d2cda36dccf53c6071e057577

無料のオンライン仏和・和仏辞典を発見!
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b3cae83cd882dd93d5efb788c1ac1498

ファインマン物理学: 英語版とフランス語版
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1dbcd1e1b02616ef1363ced99a912072


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物理学科、数学科の一般常識アンケート

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高校までしか数学や物理を学んでいない人、そしてもっと早い段階で理系の勉強から離れてしまった人は、理系大学生にとっては当たり前の言葉であっても意味がわからない言葉がある。とかく人は自分中心に考えがちなものだ。自分が当然と思って話していても、相手にはまったく通じていないことがある。理系ブログを書いている僕にとって、これは注意すべきことである。

ということで、自分にとって当たり前の事がらを、ツイッターでアンケートをとってみた。どれも大学の物理学科、数学科の学生にとっては一般常識の分野名ばかりである。(アンケートは、ここから始まる連投ツイート)

僕のツイッター・アカウントをフォローしてくださっている方は、理系バイアスがかかっているから「世間一般の方」ではない。それを承知でとったアンケートである。それぞれについて、アンケート結果と正解、解説、感想などを書いておく。解説は専門的にせず、理系高校生を想定してやさしめに書くことにした。そのために正確性、厳密性が損なわれてしまうことをご了承いただきたい。

なお、提示した分野が物理学なのか、数学なのかについては、研究や発展に貢献した学者の主な研究領域を調べるとわかりやすい。

大学入学を来月に控えた新入生には、ぜひ参考にしていただきたい。記事にまとめて紹介するにはよいタイミングである。


解析学と解析力学



あなたは解析学と解析力学の違いを少しでも理解していますか?
はい: 67.7%
いいえ: 32.3%
回答数: 192票

解答: 解析学は数学の一分野、解析力学は物理学の一分野なのでまったく異なる。(ウィキペディア: 解析学 解析力学

解析学(かいせきがく、Mathematical analysis): 高校で学ぶ関数の微分・積分を、より厳密に定義して発展、応用していく分野である。代数学、幾何学と合わせ数学の三大分野のひとつである。大学の2年までに実数関数の解析学(実解析)と複素関数の解析学(複素解析、関数論)、そしてそれらの多変数化などを学ぶ。解析学は微積分をもとに、微分方程式や関数論、関数解析など多岐に渡って発達しており、現代では確率論をも含む。ただし「多変量解析」というタイトルの本は解析学ではなく統計学の分野なので間違えないように注意。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: フェルマー、デカルト、パスカル、ニュートン、ライプニッツ、テイラー、マクローリン、オイラー、フーリエ、ディリクレ、デデキント、コーシー、ワイエルシュトラス、リーマン、ルベーグ、高木貞治、アンリ・カルタン、岡潔など。

解析力学(かいせきりきがく、Analytical mechanics) : 解析力学とは、力学を数学的に整理したものである。ラグランジュ形式と正準形式(ハミルトン形式)がある。このように整理することで力学の手法はより洗練された汎用的なものになり、高校物理までの力学の計算方法では、複雑で解けない問題を楽に解くことができるようになる。解析力学では天体の運動から地上の力学、電磁気学、原子や原子核まで、あらゆるスケールの物理現象で成立している普遍的な原理を学ぶ。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: ダランベール、フェルマー、ラグランジュ、オイラー、ハミルトン

感想: やさしいアンケートだと思う。予想どおり、両者の区別ができている人が多かった。

関連記事:

解析学入門のための教科書談義
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/22c325e49cfd7c721679dbc2896b86a4

よくわかる解析力学:前野昌弘
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bd9d328483de3bc3f9a3ad14ec6fe078

無料で読めるラグランジュの『解析力学』の原書、英訳本
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/221a82d4684ba88e2c0fde79d73860e9


統計学と統計力学



あなたは統計学と統計力学の違いを少しでも理解していますか?
はい: 79.1%
いいえ: 20.9%
回答数: 191票

解答: 統計学は数学の一分野、統計力学は物理学の一分野なのでまったく異なる。(ウィキペディア: 統計学 統計力学

統計学(とうけいがく、Statistics): 統計学は、経験的に得られたバラツキのあるデータから、確率論を基礎とした応用数学の手法を用いて数値上の性質や規則性あるいは不規則性を見いだす。統計的手法は、実験計画、データの要約や解釈を行う上での根拠を提供する学問であり、幅広い分野で応用されている。現在では、医学(疫学、EBM)、薬学、経済学、社会学、心理学、言語学など、自然科学・社会科学・人文科学の実証分析を伴う分野について、必須の学問となっている。また、統計学は哲学の一分科である科学哲学においても重要な一つのトピックになっている。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: ウィリアム・ペティ、ゴットフリート・アッヘンヴァル、ガウス、アドルフ・ケトレー、フランシス・ゴルトン、イェジ・ネイマン、カール・ピアソン、レオナルド・サベージなど。

統計力学(とうけいりきがく、Statistical mechanics) : 系の微視的な物理法則を基に、巨視的な性質を導き出すための学問である。統計物理学 (Statistical physics)、統計熱力学 (Statistical thermodynamics) とも呼ぶ。歴史的には系の熱力学的な性質を気体分子運動論の立場から演繹することを目的としてルートヴィッヒ・ボルツマン、ジェームズ・クラーク・マクスウェル、ウィラード・ギブズらによって始められた。理想気体の温度と気圧ばかりでなく、実在気体についても扱う。気体だけでなく、液体、固体やそれらの状態間の相転移、磁性体、ゴム弾性などの巨視的対象も広く扱う。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: ルートヴィッヒ・ボルツマン、ジェームズ・クラーク・マクスウェル、ウィラード・ギブズなど。

感想: やさしいアンケートだと思う。予想どおり、両者の区別ができている人が多かった。

関連記事:

高校数学でわかる統計学:竹内淳
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ba393f6500440b20dd06c66dc2b800aa

悩めるみんなの統計学入門:中西達夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/da51039e6f55f5d55bdd7b700f761584

統計力学を学ぶ人のために: 芦田正巳著
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ff7a54088c9ea6fd8d6a3b2ab88c9263

統計力学〈1〉(田崎 晴明著)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/617948cd72bf22f297e999a40f63743b

統計力学〈2〉(田崎 晴明著)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb7189e7f9437ef342757a9199863e8a


関数論と関数解析



あなたは関数論と関数解析の違いを少しでも理解していますか?
はい: 31.4%
いいえ: 68.6%
回答数: 220票

解答: どちらも解析学に属する数学分野であるが、両者は異なる。関数論は複素解析とも呼ばれる複素関数の微積分学のことで理工系学部では2年次に学ぶ。関数解析は無限次元空間上での微分積分学という捉え方も可能であり、空間の概念を一般化(抽象化)および無限次元化した関数空間上で構築される数学理論を研究するもので数学科の3、4年次に学ぶ。(ウィキペディア: 関数論(複素解析) 関数解析

関数論(かんすうろん、Function theory): 関数論は複素関数論、複素解析とも呼ばれ、複素数の関数に関わる微分法、積分法、変分法、微分方程式論、積分方程式論などの総称である。複素解析の手法は、応用数学を含む数学全般、(流体力学などの) 理論物理学、(数値解析や回路理論をはじめとした) 工学などの多くの分野で用いられている。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: オイラー、ガウス、リーマン、コーシー、ワイエルシュトラスなど。

関数解析(かんすうかいせき、Functional analysis) : フーリエ変換や微分方程式、積分方程式などの研究に端を発している。特定のクラスの関数からなるベクトル空間にある種の位相構造を定めた関数空間や、その公理化によって得られる線形位相空間の構造が研究される。主な興味の対象は、様々な関数空間上で積分や微分によって定義される線型作用素(物理学では演算子と呼ばれる)の振る舞いを通じた積分方程式や微分方程式の線型代数学的取り扱いであり、無限次元ベクトル空間上の線型代数学と捉えられることも多い。また、無限次元空間上での微分 (フレシェ微分など) を扱うため、無限次元空間上での微分積分学という捉え方も可能である。関数解析で扱われるヒルベルト空間は量子力学の数学的基礎である。また、コンピュータが高度に発達した現代においては数値解析(特に有限要素法、精度保証付き数値計算)において微分方程式の解の存在を議論するためなどに使われる他、機械学習にも応用される。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: リース・フリジェシュ、ステファン・バナフ、ダフィット・ヒルベルト、イズライル・ゲルファント、ピーター・ラックス、加藤敏夫、吉田耕作、藤田宏、増田久弥

感想: 想定外の結果だった。回答された人に数学専攻の方が少なかったためだと思われる。関数論(複素関数論)は理工学部の学生であれば必須科目であるが、関数解析は通常、物理学科や工学部のシラバスには含まれていないだろうし、数学科であっても選択科目である。

関連記事:

高校生からわかる複素解析: 涌井良幸
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3fcb2512013832cedb96da38b5325a99

なっとくする複素関数:小野寺嘉孝
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/de4d9ea37c56d434505002d35e0132bf

ヴィジュアル複素解析
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2f47e7b748d4ca7022dc53305388a00b

複素解析: 小平邦彦
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f2d66f57d8e7e4bc971fedc5b204f5e9

関数解析 共立数学講座 (15):黒田成俊
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f6e43878a931431e0247782c4f9197fc


特殊相対性理論と一般相対性理論



あなたは特殊相対性理論と一般相対性理論の違いを少しでも理解していますか?
はい: 83.7%
いいえ: 16.3%
回答数: 166票

解答: どちらも物理学、アインシュタインが発表した相対性理論である。特殊相対性理論は1905年に、一般相対性理論は1915年から1916年にかけて発表された。(ウィキペディア: 特殊相対性理論 一般相対性理論

特殊相対性理論(とくしゅそうたいせいりろん、Special theory of relativity): 物体が等速運動することによって空間が縮み、時間の進みが伸びるという理論。慣性運動(高校物理で言えば無重力空間での等速直線運動)する観測者が電磁気学的現象および力学的現象をどのように観測するかを記述する、物理学上の理論である。アルベルト・アインシュタインが1905年に発表した論文に端を発する。特殊相対論と呼ばれる事もある。最も端的に述べると、重力のない状態での慣性系を取り扱った理論である。数式の導出は高校までの数学で容易に理解できる。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: アインシュタイン、ミンコフスキー、ローレンツ。

一般相対性理論(いっぱんそうたいせいりろん、General theory of relativity) : 重力場によって時空が歪むという理論のこと。アルベルト・アインシュタインが1905年の特殊相対性理論に続いて1915年から1916年にかけて発表した物理学の理論である。一般相対論とも呼ばれる。一般相対性原理と一般共変性原理および等価原理を理論的な柱とし、リーマン幾何学を数学的土台として構築された古典論的な重力場の理論であり、古典物理学の金字塔である。測地線の方程式とアインシュタイン方程式(重力場の方程式)が帰結である。時間と空間を結びつけるこの理論では、アイザック・ニュートンによって万有引力として説明された現象が、もはやニュートン力学的な意味での力ではなく、時空連続体の歪みとして説明される。高度なリーマン幾何学を理解する必要があるため、高校までの数学や物理の知識だけでは一般相対性理論を理解するのは不可能である。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: アインシュタイン、ヒルベルト。

感想: 今回のアンケートではいちばんやさしい。ほとんどの方が違いを理解しているようだ。

関連記事:

以下の3冊は、どれも特殊相対性理論と一般相対性理論の両方が学べる本である。

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f4401f2ce79451070b7b9c089f304315

趣味で相対論(EMANの物理学):感想
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5fe7d774a955f3bb9d8270f6113e453f

発売情報:一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する: 石井俊全
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1699a1c22477c269c68c02091d0ca049


物理数学とは



「物理数学」と呼ばれる分野は次のうちどれですか?
数学である。: 44.6% ← 正解
物理学である。: 55.4%
回答数: 258票

解答: 物理学で用いられるいくつかの数学的手法を総称した呼び方。特に理学部物理学科の4年次までに学ぶ物理学を理解するために必要になる数学の分野を指す。(ウィキペディア: 物理数学

物理数学(ぶつりすうがく、Physical mathematics): 物理学で用いられるいくつかの数学的手法を総称した呼び方であり、特定の数学分野を示すものではない。代表的な手法・分野は以下の通り。ある物理現象を扱う際にはこのうちいくつかの手法を複合的に用いることが多い。主に意味と計算方法を速習で学ぶ内容となっているため、厳密な証明をしながら学ぶことが要求される数学科の学生には内容が不十分である。ほとんどの教科書は物理学者、物理学科の先生が書いている。日本の大学の理学部物理学科では、次の数学分野を物理数学として教えている。線形代数、微積分、微分方程式、複素関数論、ベクトル解析、テンソル、フーリエ変換、ラプラス変換、微分幾何学、群論、特殊関数。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: 多数。それぞれの分野に貢献者がいる。

感想: 意外な結果だった。回答者には物理学専攻の学生が多いはずだから、正答率はもう少し高いと予想していた。

関連記事:

発売情報: ヴィジュアルガイド 物理数学: 前野昌弘
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1a891954f5d6e7d280caff962e4b5275

今度こそ納得する物理・数学再入門:前野昌弘
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8777ea8175e9c48e0170df5b930f42d9

物理数学の直観的方法〈普及版〉 (ブルーバックス):長沼伸一郎
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ab9396e295687179ac3a71553b8165a1

目次情報: スミルノフ高等数学教程 全12冊
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d26e1bf0916344802c90d785c535149f


数理物理学とは



「数理物理学」と呼ばれる分野は、次のうちどれですか?
数学である。: 23.3% ← 正解1
物理学である。: 39.6% ← 正解2
数学、物理学のどちらでもない。: 3.3%
数学でもあり、物理学でもある。: 33.9% ← 正解3
回答数: 245票

解答:
正解1→数理物理学とは、物理現象を記述する法則、理論を数学によって基礎づけ、正当性を保証する分野。数学者によって研究されていることが多い。
正解2→確立された物理法則から数学的推論によって物理的な結果を導き出す物理学の分野。
正解3→物理学と数学の境界をなす科学の一分野で、数学的解析に重点をおく。
(ウィキペディア: 数理物理学

数理物理学(すうりぶつりがく、Mathematical physics): 上の回答のように、人によって解釈はまちまちである。僕自身は「正解1」、つまり数学だと考えている。ウィキペディアでは、数理物理学は数学と物理学の境界を成す科学の一分野、つまり「正解3」として説明している。さらに典型的な定義は、Journal of Mathematical Physicsで与えているように、「物理学における問題への数学の応用と、そのような応用と物理学の定式化に適した数学的手法の構築」としている。数理物理学には、(関数解析学/量子力学)、(幾何学/一般相対性理論)、(組み合わせ論/確率論/統計力学)、可積分系などが含まれる。最近では弦理論が、代数幾何学、トポロジー、複素幾何学などの数学の重要分野と交流を持つと考えられている。例えば関数解析で扱われるヒルベルト空間によって量子力学が数学的に基礎付けられること、物理法則の対称性に関わるゲージ理論(ゲージ場の理論)が代数学のリー群論、リー環論によって定式化されることなどが「正解1」の例としてあげられる。(教科書をAmazonで検索

貢献した学者: 多数。それぞれの分野に貢献者がいる。

感想: 僕自身は「正解1」の「数学である」と思っていて、結果もそうなると予想していたので得られた結果は意外だった。数学専攻の人と物理学専攻の人では意見が分かれそうだ。

関連記事:

次のような記事で、この分野の本を紹介している。どのような数学理論が物理学のそれぞれの分野を基礎づけているかがわかると思う。そして、これらはどれも数学書である。ただし、著者は数学者だったり物理学者だったりまちまちだ。以下の本の著者に関して言えば、数学者はノイマン、新井朝雄、物理学者は江沢洋、中原幹夫、谷村省吾となる。

量子力学の数学的基礎: J.v.ノイマン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/09b65f36119894f5b852bbf38421af45

発売情報: ヒルベルト空間と量子力学 改訂増補版:新井朝雄
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fa4d9da634afbdb8a9dfc1ac162f7afe

量子力学の数学的構造 I:新井朝雄、江沢洋
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/196b59dc50fca361ba523036e7eeb908

量子力学の数学的構造 II:新井朝雄、江沢洋
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a4ef01e94a8c0384cec353ebe4d542e4

理論物理学のための幾何学とトポロジー I:中原幹夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ef0b2fcb7c87aabfcd68bbe2a567840e

理論物理学のための幾何学とトポロジー II:中原幹夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9fd93716929786316ee234a66ec4d32b

理工系のための トポロジー・圏論・微分幾何:谷村省吾
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3f58e5c285fe4c45a9a551593a72940a

幾何学から物理学へ: 谷村省吾
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7e5a3ea4d9f7c96514ffab0b8efcd973


記事全体の関連記事:

今回の議論の全体は、数学という巨大な論理的構築物の構造にもかかわってくる。このテーマに関しては、以下の記事をお読みいただきたい。特に新入生は最初の2つの記事を参考にしていただきたい。

大学で学ぶ数学とは(概要編)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55

『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/20e4c86d6279ba015ba36e0e79953bf5

数学の大統一に挑む:エドワード・フレンケル
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/43ca100e56e15427613b009af55c8f7d

感想: NHK数学ミステリー白熱教室
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