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番組告知: 天才を育てた女房(読売テレビ)、数学者 岡潔

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今夜9時から放送です。お見逃しなく!

ただし主役は奥さんのほうで、岡潔先生ではありません。


天才を育てた女房|読売テレビ
http://www.ytv.co.jp/tensai/


SPドラマ【天才を育てた女房】のキャストとあらすじ!
天海祐希、佐々木蔵之介が12年ぶりの夫婦に!
https://dorama9.com/2018/02/15/post-39656/

「天才を育てた女房」原作は?モデルの数学者・岡潔はどんな人?あらすじ・ロケ地情報も
https://nuevavista0.xyz/2018/02/20/post-9359/

【世界を驚かせた日本人】岡潔氏 三大問題を解決し世界を驚愕させた大数学者
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140619/dms1406190830002-n1.htm

【変人】孤高の数学者 岡潔の逸話がいろいろとすごい【天才】
https://matome.naver.jp/odai/2136066885874821801

松原さおり・インタビュー 父、岡潔の思い出『数学する人生』刊行記念
https://www.bookbang.jp/review/article/512310


岡潔文庫 - 奈良女子大学附属図書館
http://www.lib.nara-wu.ac.jp/oka/

岡 数学研究所 - 奈良女子大学
http://www.nara-wu.ac.jp/omi/index.html


数学者・岡潔の関連本: Amazonで検索


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福寿(渋谷区笹塚十号坂商店街、ラーメン)

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今日は午後からカフェでフランス語の授業。復習とLeçon 16(NHKテキスト11月号)を教えた。

帰宅がてらの遅いランチに、地元で創業67年のラーメン屋の「福寿」へ立ち寄る。食べログの口コミに「三代目が登場」と書かれていたのを知り、どんな方だろうと訪れたのだ。


昭和の面影を残すラーメン屋は、都内にほとんど残っていない。テレビや映画のロケにたびたび使われる店だ。僕が最後に見たのは2016年4月から放送されたNHKプレミアムドラマの「奇跡の人」だった。

宮本信子さんがラーメンを食べるシーン。奥にいるのがロックバンド銀杏BOYZの峯田和伸さん。



店に入ると、これまでのように(2代目)店主が大鍋の前にいる。そして客席側に3代目の方が。。。そしてこれまでなかった大型液晶テレビが備え付けられていた。ずっと使われていた14インチのブラウン管テレビはなくなっていた。アナログ放送終了後は地デジチューナーをつないで使い続けていたのだ。

大型液晶テレビは平昌オリンピックに合わせて設置したのだという。

画面右は3代目の方(の腕)


(あれれ、それじゃ昭和時代の撮影するときはテレビはどけるのだろうなぁ。)

注文したのはチャーシュー麺(大盛)。子供の頃から慣れ親しんだ味。




食べログの口コミの話で三代目登場って書かれていたことを店主に言うと、

「そうなんだよ。でも食べログってね、あのさ、俺って不愛想でしょ。食べログに「店主はテレビばっかり見ていて、ちっとも仕事しない。」とか「返事しない。」とか書かれちゃって。。。」という返事。

ああ、それがこの店の「ウリ」なんだよなぁ。いい味出してるよなぁと僕は思うわけ。愛想悪いラーメン屋最高!


「最近は撮影とかに使れましたか?」と尋ねると、つい先日、TBSの「世界遺産」が来て撮ってもらったとのこと。

「ついにここも世界遺産になっちゃったんだよねぇ。。」

「アハハ!世界遺産ですか!」

最近はこの他にも2回くらい撮影があったそうだ。あと雑誌の取材がひとつ。

「雑誌記者が「座右の銘は何ですか?」って聞くから『棚からぼた餅』と『果報は寝て待て』だって答えたら、記者は「冗談ですよね?」と言ってたのに、そのまま書かれちゃったわけ。」と店主。


目の前の大鍋の写真を撮らせていただいた。そしてブログで紹介していいですか?って聞いたら。

「いいよ。でもお客たくさん来ちゃうの困るなぁ。」と店主。「だって楽したいでしょ。忙しいのは大変だから。」

「それじゃ、紹介しますけど「絶対に来ないでください。」って書いておきます。」と僕。

「じゃ、そうしておいてよ。」と店主。

大鍋と2代目店主



そしてその隣に昔の炊飯窯のようなのが。。。あと「昭和の店」にしておかなければならないからエアコンはつけられないのだという。だから扇風機。




そちらは何ですか?って聞いたら店主は「もうひとつのほうはバックアップ。こちらの鍋が使えないときに使う鍋。」と教えてくれた。

「そしてこっちもバックアップ。」と3代目を指さした。「俺に何かあったときのバックアップがこいつだよ。」

「アハハ!バックアップなんですか~!」

3代目の方は33歳だという。2代目店主も高齢になってきたから、地元民としては3代目が誕生してとてもうれしい。とてもやさしそうな方だ。

そして、不愛想を自称しながら最高の愛想を振りまく2代目店主は、まだまだご健在なこともうれしかった。


日曜の午後の美味しくて楽しいひと時は、あっという間に過ぎ、店を後にした。





関連動画、関連ページ:

笹塚ラーメン福寿:幡谷ではなく笹塚である。2代目店主も出演している


福寿(食べログ)
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131808/13001062/dtlrvwlst/

笹塚で60年以上愛される老舗ラーメン店「福寿」の日本一の中華そば
http://www.masaemon.jp/entry/tokyo-sasazuka-ramen-fukuju

【第壱食】ちっちゃな頃からこの味育ち。笹塚のノスタルジック・ラーメン「福寿」
https://ddnavi.com/serial/225607/a/

【日本麺紀行】60年以上変わらない東京ラーメンを味わおう!都内屈指の正統派東京ラーメン、渋谷区笹塚の「中華そば 福寿」
http://gotrip.jp/2016/08/35972/


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マーミン量子のミステリー:デヴィッド マーミン

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マーミン量子のミステリー:デヴィッド マーミン

内容紹介:
著者のマーミン博士は、科学をいかに分かりやすい文章・スタイルで説き明かすかに強い関心をもつ世界的な物理学者。本書では、ミクロ世界の自然が決まった“部品”からできているのではなく、きわめて奇妙な確率的存在であること、そしてこの世界では、観測するという行為自体が対象に影響を与えることになり、観測そのものが原理的に不可能であること、などを平易・簡潔に解説。量子物理学と聞くと何やら複雑な数式やらを想像するが、本書はそんな心配は無用。科学をわかり易く説明することに腐心してきた学者による量子論への招待。
1994年5月刊行、160ページ。

著者について:
デヴィッド・マーミン(ウィキペディアホームページ
コーネル大学名誉教授(物理学)。米国物理学会のリリエンフェルト賞および米国物理教育学会のクロプステッグ賞を受賞。米国科学アカデミー、米国芸術科学アカデミーの会員。この数十年の間に、量子論の基礎的な問題に関する多くの著作を執筆しており、科学の啓蒙に関する明瞭さと機知には定評がある。

訳者について:
町田茂(まちだ しげる)
1926生まれ。京都大学名誉教授。理学博士。1949年東京大学卒業。広島大学講師,立教大学助教授,同教授を経て京都大学教授,現在京都大学名誉教授。主な研究分野は素粒子論,量子力学の基礎。著書に『現代科学と物質概念』(共著,青木書店),『量子論の新段階』(丸善),『基礎量子力学』(丸善),『量子力学の反乱』(学研)がある。


理数系書籍のレビュー記事は本書で356冊目。

本書は2016年10月に紹介した「マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン」の姉妹本である。

翻訳の元になった原書はこちら。1990年に出版された。目次を見ると26章から構成されており、日本語版にはその半分が含まれている。

Boojums All the Way through: Communicating Science in a Prosaic Age: N. David Mermin」(Kindle版




本書を読んだ理由は、物性物理学の権威でもあり、一般向けの科学教養書の世界でも定評があるマーミン博士が量子論に関して、どのような知見を提供してくれているかという一点に尽きる。「マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン」に感銘を受けただけに、本書も期待して読んだ。

160ページという薄い本で、量子論の中でもテーマを「量子論の物理的解釈」、「EPR論文」、「ベルの定理」に絞って解説している。章立ては次のとおり。

第1章:量子のミステリー
第2章:ひいきチームの加勢ができる?―アインシュタイン‐ポドルスキー‐ローゼンの実験形而上学
第3章:気味の悪い遠隔作用―量子論の不思議
第4章:青天の霹靂―アインシュタイン‐ポドルスキー‐ローゼンのパラドックス
第5章:ニールス・ボーアの哲学的著作
第6章:量子論の醜い混乱
第7章:夢見が悪いのはなぜ?


結論から言うと期待は外れてしまった。非常にわかりにくい。その理由は次のようなことだ。

- 長い文章が多く、読み解くのが非常に困難。
- 「~でないとは、必ずしも~ない。」のような二重否定の文章が次々に続くので、何を言いたいのかわからない箇所が多い。
- 同じ事がらを、何度も繰り返して解説しているので、冗長に見えてしまう。

本書の原書が書かれたのは1990年。アスペの実験(1982年)の後に書かれている。しかし、EPR論文で示される「奇妙な遠隔作用=量子エンタングルメント」が実験で確認されたのはもっと後で、量子テレポーテーションの実験が成功したのは1998年のことである。(参考記事)であるから、本書執筆の段階では依然として遠隔作用は奇妙なものだった。

- 1935年:EPR論文
- 1964年:ベルの定理(ベルの不等式)
- 1982年:アスペの実験(量子力学の正当性が実験により確認された。)
- 1990年:本書の執筆
- 1998年:量子テレポーテーションの実験成功(遠隔作用が実験により確認された。)

そして現代では量子コンピュータも個人で実験できるようになり(参考記事)、量子の「状態の重ね合わせ」が現実のものであることを私たちは知っている。


本書でマーミン博士はベルの定理を簡略化した思考実験を提案し、そのための実験装置を紹介、解説している。光子をひとつずつ発射して状態を観測する次のような装置だ。



実験は膨大な回数行い、結果は確率として判断、考察することになる。



偏光板を用いた実験装置。(量子消しゴム実験に相当)



ただし、量子消しゴム実験は本質的には古典的な現象であるので注意いただきたい。堀田先生はこの点に関して次の記事をお書きになっている。

「量子的」と呼ばれつつ、古典的な本質をもつ現象
http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/05/17/094449


マーミン博士は量子論を理解する物理学者として第3世代だと、ご自身でお書きになっている。量子論を創始したボーアやハイゼンベルク、アインシュタインなど第1世代の物理学者にとって、それは確かに奇妙な理論だった。現在発売されている「Newton(ニュートン) 2018年3月号」でも「シュレディンガーの猫」の問題が取り上げられ、4通りの解釈方法が紹介されている。(参考記事:「「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!:古澤明

「量子のミステリー」を知りたければ、量子力学発展史を学ぶべきであり、そのためには本書よりも次の本を読むほうがよいと思った。

量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突:マンジット・クマール
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/19d16104cb20787443c84b8692b0424b

アインシュタインの反乱と量子コンピュータ: 佐藤文隆
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9fa38724ad6881636cdff2903ee14a5b


このようなわけで、本書は強くお勧めできる本ではないというのが今日の結論だ。


関連記事:

マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6e47253b0622e867f57fb15b88d18149


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マーミン量子のミステリー:デヴィッド マーミン



訳者まえがき
日本語版への序

第1章:量子のミステリー
第2章:ひいきチームの加勢ができる?―アインシュタイン‐ポドルスキー‐ローゼンの実験形而上学
第3章:気味の悪い遠隔作用―量子論の不思議
第4章:青天の霹靂―アインシュタイン‐ポドルスキー‐ローゼンのパラドックス
第5章:ニールス・ボーアの哲学的著作
第6章:量子論の醜い混乱
第7章:夢見が悪いのはなぜ?

注および文献

Ne me quitte pas (行かないで): ジャック・ブレル

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ジャック・ブレル(ウィキペディア

今日は朝9時からフランス語を教えて過ごした。

電話で使う会話表現が今日の範囲に含まれていたのだが、電話を取り次ぐとき「お待ちください。」(英語ではHold on, please.)はフランス語で「Ne quittez pas.(ヌキテパ)」と言う。

ファッション・ブランド名にもなっているようだ。「自分のスタイルを崩さないで」という意味があるらしい。

ne Quittez pas / ヌキテパ オフィシャルサイト
http://www.nequittezpas.jp/

80年代にパリでホームステイしていたとき、恥ずかしい失敗をしたことを思い出した。たまたま電話をとった僕は「Ne quittez pas.」と言うべきところ、「Ne me quittez pas.(ヌムキテパ)」と言ってしまったのだ。意味は「行かないで。」とか「私の元から去らないでください。」になってしまう。

恋人どうしだと「Ne me quitte pas.(ヌムキットパ)」だ。ジャック・ブレルの有名なシャンソンである。tuのときの活用はquittesだが、命令形だと語尾の s が落ちて quitte になることに注意!

動詞 quitter(~を去る)の活用(一覧

je quitte
tu quittes
il/elle quitte
nous quittons
vous quittez
ils/elles quittent


フランス語学習者には僕のような恥ずかしい言い間違いをしてほしくないので、この歌を紹介しておこう。

Ne me quitte pas (Jacques Brel) - [English subtitles]


エディット・ピアフがカバーしたのがこちら。

Édith Piaf - Ne me quitte pas


セリーヌ・ディオンも歌っている。それぞれ味があって僕はどれがいちばん好きか決められない。

Celine Dion - Ne Me Quitte Pas (Simplement pour un soir - France 2 - 12/1/13) (HD)



Ne me quitte pasの歌詞と日本語訳は、次のページをご覧いただきたい。

行かないで Ne me quitte pas
http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-121.html

Ne Me Quitte Pas - 行かないで
http://udzu.blog123.fc2.com/blog-entry-100.html


T'en va pas.は文字どおり「行かないで。」という意味だ。10年前、この曲を紹介していた。

ELSA - T'en va pas
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e0f3492d19631d74ebcc7820b9f5d47f


もうすぐバレンタインデーだ。Ne me quitte pasは、さしずめこんな感じ? くだらないオチですみません。。。






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中学生から読めるNewtonライト

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昨日の夕方、いつものカフェで僕の隣の席で勉強していた中学生とおぼしき少年。

この参考書と問題集を熱心に読んでいた。

増補改訂版 語りかける中学数学: 高橋一雄



付箋紙がたくさん貼られているから、かなり読み込んでいる様子。見込みがあるなと思った。

「あのう、その参考書だけど、自分で選んだの?」と話しかけた。

「はい、そうです。」とその少年。

「あ、そう。その本はとても良いから、むかしブログに紹介記事を書いたことがあるんだよ。」と記事のページを見せた。

「そのブログ知ってます!」と少年。

「えっ!そうなの!」

中学2年生とのこと。中学生にも読まれていることに少し驚いた。というか、すごくうれしい。

これをきっかけに、少しだけ特殊相対性理論を教えてみた。少年がピタゴラスの定理を知っていることを確認してから、平面から直方体、4次元まで拡張できることを教えて、4番目の次元を時間(t)にしてから符号をマイナスにする。

つまり時間と空間はまとまって4次元の時空として存在し、特殊相対性理論は4次元のピタゴラスの定理の変形版のようなものだということ。かなりいいかげんで大ざっぱだが、これで時間と空間が時空として一体になったことを理解させることができる。

あとその結果、電気と磁気の法則をまとめたマックスウェルの4本の方程式が1本にまとめられてしまったことを「マクスウェル方程式を1本にまとめたのは誰?」という記事に載せた数式を図版を見せながら説明した。


あまり勉強の邪魔をしてはいけないから、物理学はそれくらいにして、あとはNewtonライトを勧めておいた。このシリーズなら中学生から読むことができる。

シリーズ全体の詳細はニュートンプレスのホームページでご覧になるとよい。

理系脳をきたえる! Newtonライト(Amazonで検索
http://www.newtonpress.co.jp/separate/light.html

物理は物理で面白いのだけれども、いずれ高校に進学したときに役立つという観点からだと、数学系のがよさそう。僕のお勧めは次の順番になる。


まずこの2冊。虚数と微積分。

Newtonライト『虚数のきほん』」(詳細
Newtonライト『微積のきほん』」(詳細
 


次は対数関数。三角関数は来月刊行されるそうなのでとりあえず1冊。

Newtonライト『対数のきほん』」(詳細
「Newtonライト『三角関数(仮)』」
 


そしてこの3冊。

Newtonライト『統計のきほん』」(詳細
Newtonライト『素数のきほん』」(詳細
Newtonライト『すうがくパズル』」(詳細
  


次回の記事では同じ観点から、Newtonライトの上位バージョン「別冊Newton」を紹介する予定だ。


関連記事:

高校の勉強に役立つNewton別冊
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f532e332f4823dae34a5df9d060ad96a

グラフィック・サイエンス・マガジン Newton の作り方(その1)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ec7f96712045560b6cf3d7b1e851e49e

グラフィック・サイエンス・マガジン Newton の作り方(その2)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06a11387485b7835d8147229d541497b


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高校の勉強に役立つNewton別冊

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前回の記事では中学生から読めるNewtonライトのうち、お勧め本をピックアップした。今回は高校生バージョンである。

Newton別冊で中核をなすテーマ、特に相対性理論や量子論、素粒子物理学、超弦理論(Newtonでは超ひも理論と表記)など、20世紀以降の物理学は科学を学びたいという強い動機付けになるが、高校生には自分が学んでいる物理や数学との結びつきが見えず、それらをテーマにしたNewton別冊は日頃の学習や受験勉強に直接役立つものではない。

しかし、Newton別冊には高校で学ぶ内容を扱ったものがある。今日はそのうち数学、物理、化学系について、それぞれお勧め順に紹介してみよう。理工系の大学で学ぶうえで、高校で学ぶことがらはどれも重要だ。

リンクをクリックすると旧版も表示するようにしておいた。品切れ(絶版)のものは、Amazonの中古本からお求めになるとよい。

シリーズ全体はニュートンプレスのホームページでご覧いただきたい。(NewtonライトもNewton別冊の中に位置づけられている。)

Newton別冊・ムック(Amazonで検索
http://www.newtonpress.co.jp/separate.html


数学

まずこの2冊。虚数と微積分。微積分は物理学全般に使われるし、虚数は量子論に欠かせない。

“魔法の数"虚数」(詳細
微分と積分 増補改訂版 」(詳細
 


次は指数・対数関数、ベクトル、三角関数。これらも物理学で大活躍する。

こんなに便利な指数・対数・ベクトル」(詳細
三角関数 サイン,コサイン,タンジェント」(詳細
 


そして確率・統計はこの2冊。これらも、もちろん物理学に必要になる局面が多い。

確率に強くなる」(正誤表
統計と確率ケーススタディ30」(詳細
 


物理

この2冊は特にお勧め。

ビジュアル物理」(詳細
あらゆる単位と重要原理・法則集」(詳細
 


この2冊も読んでおくとよいだろう。光は電磁波である。そして相対論は光の速度からヒントを得て発見され、また光子は量子論、素粒子物理学で重要な役割を果たしている。

光速c 増補第2版」(詳細
ニュートン力学と万有引力
 


化学

高校化学の範囲では、この3冊が刊行されている。

ビジュアル化学 第3版」(詳細
完全図解 周期表」(詳細
イオンと元素 増補改訂版」(詳細)(旧版
  


関連記事:

中学生から読めるNewtonライト
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/da6ec00cc7ef8c12a6b4a6a7cbfc14e4

グラフィック・サイエンス・マガジン Newton の作り方(その1)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ec7f96712045560b6cf3d7b1e851e49e

グラフィック・サイエンス・マガジン Newton の作り方(その2)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06a11387485b7835d8147229d541497b


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メゾンブルトンヌ ガレット屋 (渋谷区笹塚)

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今日は藤井聡太五段が羽生善治竜王に公式戦初勝利したり、平昌オリンピックでは羽生結弦選手が金メダルを、宇野昌磨選手が銀メダルを取るなど、朝からうれしい気分に満ちていた。

週一回のフランス語の授業は午後3時から、いつもは生徒2人だが今週はひとりだけである。バレンタインチョコをいただいた。星の王子さまだ!ドンピシャなチョコをよく見つけられたと思う。





今日は生徒ひとりが仕事のためお休みなので、これまで教えたことの復習にあてた。2時間のレッスンである。その後、フランス語の実地研修を兼ねて、笹塚十号坂商店街にあるガレット屋さんに連れて行き、生徒と夕食をとることにした。10年前にオープンした店で、David(ダヴィッド)さんと英子さんご夫妻が経営している。フランス語はご主人のDavidさんが話してくれる。

メゾン ブルトンヌ• ガレット屋(フランス語ホームページ
http://maisonbretonne-galette.com/

Facebook: https://www.facebook.com/galette/


2450円のコースを注文した。

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生徒が注文したのはこちら。



そして僕はこれ。



350円でデザートを追加できる。




生徒が注文したのは、こちら。季節のフルーツと蜂蜜のクレープ(Fruit de Saison-Miel)。今日はイチジクだ。



僕はバニラアイスとイチゴのシャーベット。(Coupe de Glace et Sorbet)紅白饅頭のようである。





ガレットはブルターニュ地方の家庭料理。ブルターニュはフランスの北西部。



生徒はこの店をたいそう気に入ったようで、連れてきた甲斐があった。今度はもう一人の生徒も連れてこよう。


この店で学んだ表現のうちのいくつかを復習しておく。

Je voudrais un café, s'il vous plaît.
Je veux un café, s'il vous plaît.

Bon apetit!

C'est un café.
Ce sont des cafés.

C'est bon!
C'est vraiment délicieux.

Dix ans. (10年)

Six milles quarent-huit yen (6048円)

フランス語 数字の数え方
http://www.shimauri.com/france/2006/08/post_24.html
https://leconjugueur.lefigaro.fr/frlesnombresecrits.php?printable=Y

L'addition, s'il vous plaît.


この店は有名で、たびたびテレビで紹介される。

ヒルナンデス! メゾンブルトンヌ.ガレット屋 笹塚


ブルターニュ出身のシェフが焼き上げる絶品ガレット、笹塚「メゾンブルトンヌ ガレット屋」


メゾン ブルトンヌ ガレット屋 笹塚



笹塚にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。


関連記事:

スタンダード佛和辞典・和佛辞典
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fa9b284d2cda36dccf53c6071e057577

フランス語の辞書はどれがいい?
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/04d001a3857a63e9ec104903ccae1a83

発売情報:カシオ電子辞書 XD-Z7200(2018年フランス語モデル)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1b49df68133da2c1093cd31091f73263

フランス語を教え始めた
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/da69b2a85fb8e10b225867d3fe2731da


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バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作(1985, 1989, 1990)

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タイムトラベル、タイムパラドックスをテーマにした傑作である。何年かぶりに3部作を見直してみた。個人的なブームである。

続編映画が作られ、シリーズ物になるのは初回作がヒットしたからもうひとつ作ってやろうということが多い。けれどもこの作品は明らかに違うことがわかる。パート1とパート2のエンディングで、次作へ続くストーリーが組み込まれているからだ。

パート1が公開されたのは僕が大学生だった1985年。映画のパート2で30年後の未来の2015年もすでに過去となっている。2015年として描かれていた世界に描かれていた物のほとんどは2018年になっても実現していない。

しかし、靴ひもが自動的に締まるNikeのシューズは開発されたようだ。あとマーティに襲いかかるJAWSも3DやVRでほぼ実現したといってよいだろう。あとテレビ電話もすでにある。(あまり使われていないけど。)

How To Use Nike's Auto-lacing HyperAdapt 1.0



未来社会であいかわらずブラウン管テレビが使われていたり、黒人市長どころか黒人大統領が現実のものになっている。悪役のビフ・タネンのモデルとなったドナルド・トランプが現実の世界で大統領になってしまったことなど、今から見るとちぐはぐなところ、不気味なところがいくつか見られる。

ビフのモデルはトランプ氏、「バック・トゥ・ザ…」脚本家明かす
http://www.afpbb.com/articles/-/3063967


タイムパラドックスとして、説明によく使われるのが「親殺しのパラドックス」だ。タイムマシンで自分の両親が結婚する前に行き、父親か母親を殺してしまうとどうなるかという話。親がいなくなれば自分も生まれない。それでは親を殺した自分も存在しないことになるので矛盾が生じる。だから過去に遡るタイムトラベルは不可能だという論理。

しかし、この話には逃げ道がある。親を殺した瞬間に世界が2つに枝分かれすればよいという解釈を持ち込む。ひとつの世界は親が結婚せず、自分も存在しないという世界が分岐して続く。そして、もうひとつは親を殺さずに、自分がそれからしばらくして生まれる世界。このように考えれば、全体として矛盾はなくなる。そしてその結果、パラレルワールドを受け入れることになる。

さて、この映画の3部作にはパラレルワールドがいくつあることになるのだろうか?おさらいしてみよう。3部作で描かれるのは次のとおり。

パート1では1955年と1985年
パート2では1955年と1985年と2015年
パート3では1885年と1985年



年が同じでも世界はいくつかに枝分かれしたパラレルワールドなのだから、ややこしい。特にややこしいのがパート2。

このチャートはわかりやすい。(引用元

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これを見るとパラレルワールドは6つあるように見える。しかし、年だけでなく日付まで細かく見ると、このようになる。(引用元

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ドクの飼い犬、アインシュタインの短いタイムトラベル実験を含めれば、パラレルワールドは9つになる。

次のチャートはアインシュタインのタイムトラベルが入っていない。(引用元)しかし、全部で7つしかない。パート2の真ん中の世界が重複してカウントされているようだ。

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この映画は若い人にも見てもらいたい。2つの年代に分けてツイッターでアンケートをとったところ、112名の方に回答をいただき、結果は次のようになった。世代によって違いがあることがわかった。





若い世代にも根強い人気があるとみるか、それとも若い世代にはこの映画を知らない人が多いとみるかは判断が分かれそうだ。


見どころのシーンをいくつか紹介しよう。

バック・トゥ・ザ・フューチャー(サウンドトラック)


バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムトラベル詰め合わせ


バック・トゥ・ザ・フューチャー Johnny B. Goode


バック・トゥ・ザ・フューチャー 2 NIKEの電動靴ひもシューズ


バック・トゥ・ザ・フューチャー 2 2015年の未来&ジョーズ19


バック・トゥ・ザ・フューチャー 3 時計台エピソードとマーティ家の相関関係


バック・トゥ・ザ・フューチャー 3 機関車でデロリアンを押すシーン



次の動画はかなり怖い。こじつけとは言い切れないものがある。

【バック・トゥ・ザ・フューチャー】が予告した、「9.11 同時多発テロ」



最後はおまけ。

フェイク予告 バックトゥザフューチャー パート4



ご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。

バック・トゥ・ザ・フューチャー ブルーレイ& DVD一括検索



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次期学習指導要領(高等学校、数学、情報)について思うこと

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平成34年度から実施される予定の学習指導要領について、2月14日から3月15日まで次のページで意見公募が行われている。現在の小学5年生が高校生になるときに実施されることになるはず。

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案及び高等学校学習指導要領案に対する意見公募手続(パブリックコメント)の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000958&Mode=0

数学 統計関係部分抜粋
http://www.stat.go.jp/teacher/dl/pdf/c3index/guideline/high/math.pdf

統計学習の指導のために(先生向け)「授業モデル」「補助教材」「学校教育における統計教育の位置付け」
http://www.stat.go.jp/teacher/index.htm


今回の記事では高等学校の数学および情報の教科について、思ったことを書いておこう。参考にしたのは上記のページに掲載されている4つのPDF文書、およびその下に載せた統計関係のページ、そして「寺田文行先生の「数学の鉄則」シリーズ」で紹介した1980年代、1990年代の数学の参考書、さらに現在書店で売られている数学の参考書、「学習指導要領の変遷」というページなどだ。

これらの方針を流れる思想は高校だけでなく小学校、中学校の学習指導要領にも適用されるので、それを踏まえて考えることが大切だ。また僕を含めてこのブログをお読みになる方は、自然科学を学ぶには何が優先されるべきかという視点で考えてしまいがちだが、これからの社会を担う子供にとって何が大切であるか、日本全体を活性化するために何を優先すべきかという視点も忘れてはならない。

数学および情報の教科に関して、今回の大きな変更点は次の5つだ。

- 数学の「統計、データの分析」を重視し、内容を充実させる
- 数学Cの復活、「ベクトル」が数学Bから数学Cへ移行、「行列、1次変換」は復活せず
- 数学Aから「整数」が消滅
- 「情報」をプログラミングも含めて文系理系共通で必須科目として行う
- あらゆる教科でコンピュータの活用を推進

全体的に見て「これは詰め込み過ぎだなぁ。」という感想を持った。「ゆとり教育の失敗」への反省が強い反動として表れてしまったかのようである。

どれも確かに重要なのはわかる。数学、情報以外に物理や化学などの科学、国語や社会科系の科目もあるのだから、1980年頃に高校時代を過ごした僕には隔世の感がある。日本を取り巻く社会情勢は変わったし、社会人になって必要なことは増えているのも事実だ。どれも教えておきたいという気持ちはわかるが、授業時間数は昔も今も同じである。どれを捨ててどれを取るか。。。悩ましい問題だ。

あと5つの変更点に色濃くでているのが「国内産業の活性化」、「教育情報化の推進」という国の方針だと思う。基礎的で理論を重視した分野よりも、社会に出てすぐ役に立つ技術的、応用的な分野を重視したカリキュラムとなっている。

数学はI,II,III,A,B,Cに分かれていて、このうち文理共通で必須なのは数学Iだけであるが、通常文系の生徒は数学I,A(+II,B)を、理系の生徒は数学I,II,III,A,B,Cを履修することになる。(注意:現行の過程では数学Cは教えられていない。)

つまり、現実としては次のようになる。

文系の生徒:数学I,II,A,B(または数学I,A)
理系の生徒:数学I,II,III,A,B,C


数学の「統計、データの分析」を重視

「学習指導要領の変遷」のページに「統計」が書かれていないことからわかるように、「統計、データ分析」は少なくとも1980年以降、現在に至るまで一貫して教えられている。1980年頃にも確率分布や仮説検定は教えられていた。しかし、今回の改訂を細かく見ると次の点が重要だ。

- 数学Bに標本調査、確率分布、仮説検定が追加
- 標本調査をコンピュータを使って確認する
- 日常生活、社会生活に対して数理的考察力をつける

これらが文理共通の必須学習項目になったことが最大の変更点なのだ。1980年代にも「理系であっても高校で統計は必要か?」という議論はあったし、2番目と3番目はその時代にはなかった項目だ。

統計やデータ分析はビッグデータの重要性が東日本大震災後の分析で認識されたし、医療や経済、ビジネスでも重要だ。もちろん自然科学でも不可欠だ。文理共通というのはうなづける。

しかし、統計は応用数学の範疇であり、高校レベルの基礎学力では数式の意味(たとえば確率分布)を正確に理解できるはずがない。あと数学の他の基礎的項目との間のバランスが悪くなる。僕としてはこれら3つは理系専門の項目に移動させるか、2番目と3番目を削除したいところだ。


数学Cの復活、「ベクトル」が数学Cへ移行

数学Cの復活と聞いて喜んだのはつかの間。詳しく見て唖然としてしまった。「ベクトル」が数学Bから数学Cへ移行、そして「行列」は復活しない。ベクトルと行列など線形代数に必要なことは理系専門に押しやられてしまった。文系の生徒は行列や1次変換はおろか、ベクトルさえも知らずに人生を過ごすことになってしまう。

そして理系にしても3年生になってからしかベクトルを学べないし、行列や1次変換を全く学べないのは大問題だ。数学Cを復活させたことの意味が半減してしまう。(1980年頃、僕は高校2年と3年でベクトルと行列、1次変換を学んでいた。)あと、文系の生徒は複素数だけ学んで複素平面は学ばない。これもいただけない。

この件については、ジョゼフ・アンリさん(@joseph_henri)が次の図をツイートされていた。

引用元)(拡大


引用元)(拡大



「統計、データ分析」を増やした結果、数Bにあった「ベクトル」が復活させたばかりの数Cに入れられた。そしてもともと数Cに入っていた「行列と1次変換」が押し出され、高校数学の外に捨てられてしまったことになる。

「統計、データ分析」と「行列、1次変換」はどちらも大切なことはわかりきっている。しかし、生徒や日本経済の将来を考えるとき、どちらがより重要か?と問われれば、僕は「行列、1次変換」に軍配を上げたい。


数学Aから「整数」が消滅

「統計、データ分析」を重視したせいで、「整数」が高校数学から追い出されてしまった。整数概念自体は簡単だが、高校数学は「整数問題」のことであり、思いのほか難しい。整数問題に対してのアプローチは他分野とは大きく異なり、独特なものが多いのだ。パズル的要素が大きい分野である。数列とはつながりをもつが、他の分野とは関連があまりないのが追い出された理由だと僕は思っている。


情報、プログラミングの必須化

「情報I」、「情報II」という教科。このうち文理共通で必須なのは「情報I」だ。詳細は次のページをお読みいただきたい。

2020年、次期学習指導要領~情報科:プログラミング教育のほかには?
https://edutmrrw.jp/2017/innovation/0313_2020education


僕はIT業界の人間のひとりとして、現代社会でコンピュータや情報リテラシー、情報セキュリティの重要性はじゅうぶん認識している。(もともと僕はC言語のプログラマーだった。)

この分野が学校の教育課程に組み込まれたのは平成11年度からだ。小中高を通じて「ICT利活用の促進」が行われてきている。

今回の改訂で大きく変わるのは、情報教育、プログラミングが小学校、中学校だけでなく、高校でも文理共通の必須項目になることだ。

情報リテラシーや情報セキュリティについて教えるのを義務化することには、僕は賛成したい。しかし、プログラミングの義務化には反対で、必須項目ではなく文系理系を問わない形の選択項目にしておいたほうがよいと思っている。(つまりプログラミングは情報IやIIとは切り離して科目設定する。)

そして、コンピュータの操作に関して文理共通で義務化するのであれば、文書作成ソフト、表計算ソフト、プレゼンソフトなど事務作業に役立つ範囲で教えるのがよいと思う。プログラミングは興味を持った生徒だけ、必要と感じた生徒だけが選択すればじゅうぶんだ。

まず、プログラミング言語や開発環境、OSを全生徒の授業のために準備するのが大変である。そしてそれらは数年のうちに陳腐化してしまうから、そのたびに教える内容が変わってしまう。変化についていける教師はほとんどいないだろう。外部から先生を呼ぶにしても、全校生徒に対して継続的に教えるのはコストがかかり過ぎる。

そして問題なのはその効果だ。プログラミングを学ぶのは手間のかかることであり、工学系の大学では4年間、専門学校では2年間みっちり学ぶだけの分量がある。小中高を通じて教えたとしても学習時間はどれほど取れるだろうか? 印刷されたプログラム・リストを呪文のように入力して実行したところで、もともと興味のない生徒にはほとんど意味がない。

身の回りにいる大学3年生3人に聞いてみたところ、次のような返事がもらえた。

大学生1(文系男子): 小学校、中学校プログラミングの授業はあったが、まったく覚えていない。
大学生2(文系女子): 高校ではプログラミングをやっていない。やらなくてよいと思う。
大学生3(看護系女子): 小中高でプログラミングの授業を受けたが、まったく覚えていない。必要ないと思う。

理系の生徒、プログラミングが必要だと思う生徒は、放っておいても自分で学ぶだろうし、選択科目としてあれば履修するだろう。問題はプログラミングなど将来絶対に使わないと思っている生徒に強制することなのだ。まかり間違って興味をもつかもしれないのは5パーセントくらい、残りの95パーセントの生徒は、プログラミングが嫌いになるのではと僕は思う。食いつき率が5パーセントあれば上等だと思うという意見もある。

また「情報」は大学入試の科目ではない。コンピュータ科学科や情報科学科であっても、入試科目としては設けられていない。つまり、生徒や高校はおのずと軽視することになってしまうのだ。情報リテラシーや情報セキュリティを徹底したいのならば、大学入試にもそれらを盛り込む必要がある。


あらゆる教科でコンピュータの活用を推進

教育の現場でコンピュータやタブレット端末を使うことに、僕は全面的に賛成だ。優れたコンテンツが開発されることを期待している。

デジタル版だけでも正式な教科書に 政府が閣議決定
2018/2/23 9:56
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2728984023022018CR0000/?n_cid=SNSTW001


地学について(おまけ)

物理、化学、生物と比較して人気がない地学である。僕が高校生のころは今よりも、ずっとマシだったが、地学を選択していた生徒がいちばん少なかったのは事実である。

地震、火山、気象災害が頻発しているのだから、地学をもっと教えなければいけないと思う。学問分野、研究分野としても新しいことがまだまだたくさんある分野である。しかし、他の分野と比較して地学が活発に研究されないのは、お金を生み出す産業に結び付きにくいことがいちばん大きいと思う。天文や宇宙も地学の範疇だが、宇宙開発が経済活性化に還元されるまで待つにはかなりの忍耐が必要だ。


ざっくばらんに、思ったことを書いてみた。みなさんのご意見、お考えをコメント欄、ツイッターにいただけるとうれしいです。


関連記事:

寺田文行先生の「数学の鉄則」シリーズ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/412539f939c8058c9b57368f98abce16

復刻版 チャート式 代数学、幾何学(数研出版)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/412539f939c8058c9b57368f98abce16

大学への数学(研文書院)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6124158481ed8d9d4655478643be0db8

学習参考書が電子書籍化され始めている件
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cdbd82914186c4b8dda69ab77e6efa07


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番組告知: 天才を育てた女房(読売テレビ)、数学者 岡潔

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今夜9時から放送です。お見逃しなく!

ただし主役は奥さんのほうで、岡潔先生ではありません。


天才を育てた女房|読売テレビ
http://www.ytv.co.jp/tensai/


TVerで見れるようになりました!見逃した方はこちらからご覧ください。(3月31日まで)

読売テレビ開局60年スペシャルドラマ 「天才を育てた女房」
https://tver.jp/episode/40625085



SPドラマ【天才を育てた女房】のキャストとあらすじ!
天海祐希、佐々木蔵之介が12年ぶりの夫婦に!
https://dorama9.com/2018/02/15/post-39656/

「天才を育てた女房」原作は?モデルの数学者・岡潔はどんな人?あらすじ・ロケ地情報も
https://nuevavista0.xyz/2018/02/20/post-9359/

【世界を驚かせた日本人】岡潔氏 三大問題を解決し世界を驚愕させた大数学者
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140619/dms1406190830002-n1.htm

【変人】孤高の数学者 岡潔の逸話がいろいろとすごい【天才】
https://matome.naver.jp/odai/2136066885874821801

松原さおり・インタビュー 父、岡潔の思い出『数学する人生』刊行記念
https://www.bookbang.jp/review/article/512310


岡潔文庫 - 奈良女子大学附属図書館
http://www.lib.nara-wu.ac.jp/oka/

岡 数学研究所 - 奈良女子大学
http://www.nara-wu.ac.jp/omi/index.html


数学者・岡潔の関連本: Amazonで検索

多変数複素関数論の本: Amazonで検索

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翌日に追記:

ドラマの中で岡潔先生が若き日の湯川秀樹と朝永振一郎に教えていたのは、「(1変数)複素関数論」で現代では大学2年か3年で学ぶ。当時は旧制の学校制度なので大学1年(19歳)くらい。1変数の複素関数論は1850年頃までに完成していた。日本は幕末である。

複素関数論入門
http://next1.msi.sk.shibaura-it.ac.jp/MULTIMEDIA/complex/complex.html



1変数複素関数論


多変数複素関数論


ドラマで岡潔先生が黒板に突然書き始めたのは「多変数複素関数論」だ。(ウィキペディアの記事

参考資料:

岡潔の「多変数複素関数論」の概要に,独学で入門するPDF資料まとめ。解析接続や正則性の概念を多様体上で一般化
http://study-guide.hatenablog.jp/entry/2015/12/24/岡潔の「多変数複素関数論」の概要に、独学で入

不定域イデアルの理論と多変数代数関数論への路
評伝「岡潔」のための数学ノートI(未定稿):高瀬正仁
http://www2.tsuda.ac.jp/suukeiken/math/suugakushi/sympo08/08takase.pdf

複素解析学特論(多変数)PDF文書 - 東京大学
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/web/htdocs/publication/documents/saito-lectures


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福寿(渋谷区笹塚十号坂商店街、ラーメン)

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今日は午後からカフェでフランス語の授業。復習とLeçon 16(NHKテキスト11月号)を教えた。

帰宅がてらの遅いランチに、地元で創業67年のラーメン屋の「福寿」へ立ち寄る。食べログの口コミに「三代目が登場」と書かれていたのを知り、どんな方だろうと訪れたのだ。


昭和の面影を残すラーメン屋は、都内にほとんど残っていない。テレビや映画のロケにたびたび使われる店だ。僕が最後に見たのは2016年4月から放送されたNHKプレミアムドラマの「奇跡の人」だった。

宮本信子さんがラーメンを食べるシーン。奥にいるのがロックバンド銀杏BOYZの峯田和伸さん。



店に入ると、これまでのように(2代目)店主が大鍋の前にいる。そして客席側に3代目の方が。。。そしてこれまでなかった大型液晶テレビが備え付けられていた。ずっと使われていた14インチのブラウン管テレビはなくなっていた。アナログ放送終了後は地デジチューナーをつないで使い続けていたのだ。

大型液晶テレビは平昌オリンピックに合わせて設置したのだという。

画面右は3代目の方(の腕)


(あれれ、それじゃ昭和時代の撮影するときはテレビはどけるのだろうなぁ。)

注文したのはチャーシュー麺(大盛)。子供の頃から慣れ親しんだ味。




食べログの口コミの話で三代目登場って書かれていたことを店主に言うと、

「そうなんだよ。でも食べログってね、あのさ、俺って不愛想でしょ。食べログに「店主はテレビばっかり見ていて、ちっとも仕事しない。」とか「返事しない。」とか書かれちゃって。。。」という返事。

ああ、それがこの店の「ウリ」なんだよなぁ。いい味出してるよなぁと僕は思うわけ。愛想悪いラーメン屋最高!


「最近は撮影とかに使れましたか?」と尋ねると、つい先日、TBSの「世界遺産」が来て撮ってもらったとのこと。

「ついにここも世界遺産になっちゃったんだよねぇ。。」

「アハハ!世界遺産ですか!」

最近はこの他にも2回くらい撮影があったそうだ。あと雑誌の取材がひとつ。

「雑誌記者が「座右の銘は何ですか?」って聞くから『棚からぼた餅』と『果報は寝て待て』だって答えたら、記者は「冗談ですよね?」と言ってたのに、そのまま書かれちゃったわけ。」と店主。


目の前の大鍋の写真を撮らせていただいた。そしてブログで紹介していいですか?って聞いたら。

「いいよ。でもお客たくさん来ちゃうの困るなぁ。」と店主。「だって楽したいでしょ。忙しいのは大変だから。」

「それじゃ、紹介しますけど「絶対に来ないでください。」って書いておきます。」と僕。

「じゃ、そうしておいてよ。」と店主。

大鍋と2代目店主



そしてその隣に昔の炊飯窯のようなのが。。。あと「昭和の店」にしておかなければならないからエアコンはつけられないのだという。だから扇風機。




そちらは何ですか?って聞いたら店主は「もうひとつのほうはバックアップ。こちらの鍋が使えないときに使う鍋。」と教えてくれた。

「そしてこっちもバックアップ。」と3代目を指さした。「俺に何かあったときのバックアップがこいつだよ。」

「アハハ!バックアップなんですか~!」

3代目の方は33歳だという。2代目店主も高齢になってきたから、地元民としては3代目が誕生してとてもうれしい。とてもやさしそうな方だ。

そして、不愛想を自称しながら最高の愛想を振りまく2代目店主は、まだまだご健在なこともうれしかった。


日曜の午後の美味しくて楽しいひと時は、あっという間に過ぎ、店を後にした。





関連動画、関連ページ:

笹塚ラーメン福寿:幡谷ではなく笹塚である。2代目店主も出演している


福寿(食べログ)
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131808/13001062/dtlrvwlst/

笹塚で60年以上愛される老舗ラーメン店「福寿」の日本一の中華そば
http://www.masaemon.jp/entry/tokyo-sasazuka-ramen-fukuju

【第壱食】ちっちゃな頃からこの味育ち。笹塚のノスタルジック・ラーメン「福寿」
https://ddnavi.com/serial/225607/a/

【日本麺紀行】60年以上変わらない東京ラーメンを味わおう!都内屈指の正統派東京ラーメン、渋谷区笹塚の「中華そば 福寿」
http://gotrip.jp/2016/08/35972/


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とね日記について

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はじめてこのブログをお読みになる方のための紹介記事です。

ブログを始めてから12年たちました。2006年から300冊以上の理数系書籍、一般人向けの科学教養書から大学の教科書レベルの本まで興味のおもむくまま読んでいます。そしてそれぞれの本について感想、紹介記事を書きました。


自己紹介欄には次のように書いています。

「原子のレベルではテレポーテーションの実験が成功していることに衝撃を受けたのがきっかけで、大学卒業後20年ぶりに趣味で物理学と数学の勉強をはじめました。 」

参考記事: テレポーテーションは実現している。(リンク集)

量子テレポーテーションは1998年に最初の実験が成功していたのです。この技術は物質の瞬間移動装置として将来用いられるだけでなく、現在のスーパーコンピュータの数億倍~数兆倍の計算速度をもつ「量子コンピュータ」の基礎技術としても使われます。そして量子コンピュータはもはや机上の理論ではなく、すでに部品やモジュールの一部は実現し、個人でも利用し始められているのです。(参考記事「発売情報:クラウド量子計算入門:中山茂」(感想記事)、「量子コンピュータの発展史(リンク集)」)

これらの理論や技術を理解するためには物理学や数学の知識が欠かせません。普通の会社員が市販されている本だけを読んで物理学や数学をどこまで理解できるのか?最先端の理論までたどり着くことができるのか?そのような気持ちでワクワクしながら読書を続けている日々を綴ったブログです。

次のような順番でブログを紹介させていただきます。

- 20世紀以降の物理学史
- 高校までに学べること
- 身近な現象を理解すること
- 現代物理学と現代数学の不思議なつながり
- 「まとめ記事」の紹介
- 高校生向けのお勧め記事
- 人気記事
- 学ぶことの意義、なぜ学ぶのか?


20世紀以降の物理学史

日常感覚では空間と時間の間には何ら関係があるようには見えません。けれどもアインシュタインの特殊相対性理論(1905年)によって縦横高さの3次元の空間と過去から未来へ進む1次元の時間は別々に分かれているのではなく、空間と時間はひとつにまとまり、4次元の「時空」と呼ばれる形で存在していることが明らかになりました。4次元時空が回転することで、ある人にとっては空間の中の「長さ」として見えているうちの一部が、もう一人にとっては「時間として見える」という現象がおこり、長さの縮みと時間の延びとして観測されることになります。

また、この理論から時空の中に存在している物質がもつ質量とエネルギーは等価だということもわかり、E=mc^2という数式であらわされる質量とエネルギーの間に成り立つ関係式が導き出されました。この数式は少量の物質をこの世界から消滅させるだけで膨大なエネルギーが得られることを意味しています。この数式が得られたことで原爆や原発を開発できることがわかったのです。

アインシュタインが生まれる前の1864年までに、電気と磁気がもたらすあらゆる現象は4本の基礎方程式で書き表せられることがわかり、この数式が電磁波の存在を予言しました。けれども電磁気の数式に特殊相対性理論を適用してみたところ、4本の方程式はたった1本の短い数式にまとめられることがわかりました。これは電磁気の本質が4次元の時空に存在することを示唆し、特殊相対性理論の正しさを間接的に裏付けたことになります。(参考記事:「マクスウェル方程式を1本にまとめたのは誰?」)

そして11年後に発表された、一般相対性理論(1916年)では、物体の質量によって物体の周囲の時空に歪みができることを示し、私たちが感じている重力の正体が正しく理解できるようになりました。そしてアインシュタインの予言からちょうど100年後の2016年には「重力波の直接観測に成功」して、一般相対性理論の正しさが再確認されました。これは過去100年でいちばん大きな科学上の出来事です。

その後、量子力学(1925年~)によって私たちは電子や光子をはじめミクロの世界の物理法則を解明することにも成功したのです。私たちがふだん生活しているマクロの世界は原子や素粒子が集まって構成されているわけですから、ミクロの世界でそれらがどのような法則に従って存在しているかを知るのはとても大切なことです。

ところが量子力学を受け入れたとたん、日常感覚とはかけ離れたとても奇妙なことをいくつも事実として受け入れなければならなくなってしまいました。たとえば次のようなことがあります。

- 電子には運動学的、力学的な意味での「軌道」というものが存在しない。(したがって、高校物理の原子の説明では原子核の周りを電子が回っているとされるが、これは嘘である。)
- 現実世界では観測できない複素数であらわされる量(波動関数)が必要になる。
- 電子の位置は正確には決まらず確率によってしか決まらない(不確定性原理、確率解釈)
- 電子や光子には波の性質と粒子の性質があらわれる(二重スリット実験)
- 1つの電子が同時に複数の状態をとること(状態の重ね合わせ、シュレディンガーの猫)
- 電子の状態は観測したときとしないときでは違ってしまう。(観測問題、波動関数(波束)の収縮)
- どんなに離れていても絡み合いの関係をもつ2つの電子が存在し、片方の電子にあらわれた状態の変化が瞬間的にもう一方の電子の状態に影響を与える(EPRパラドックス)

などがあります。電子はこの世界を構成する基本粒子(素粒子)のひとつで、すべての原子に含まれていますから、その性質を知るのはとても重要です。けれども、これらの量子力学の「奇妙さ」に蓋をして物理学は進められていきました。

その後1950年頃から量子力学は、実験する立場では「素粒子物理学」、理論研究する立場からは「場の量子論」という名前で呼ばれ、両者が協調する形で研究が進んでいきました。その中の理論研究から明らかになったのですが、一般相対性理論と量子力学はそれぞれ正しいにもかかわらず、一緒に使うと矛盾が生じてしまうことがわかったのです。ですから一般相対性理論と量子力学は1つの理論にまとめられません。

ブラックホールの中心は数学的には宇宙の誕生の瞬間と同じ形をしています。そこはミクロの世界であると同時に重力が非常に強い場所なので、量子力学と一般相対性理論を両方とも使わないと解明することはできません。宇宙誕生の謎を解くためには2つの理論の矛盾を解決しなければならないのです。

この矛盾を解決するために提唱され、万能なひとつの統一理論を目指して現在研究が進んでいるのが超弦理論(1984年~)です。しかし超弦理論ではなんとミクロの世界での時空は4次元ではなく10次元または11次元だというのです。そしてこの理論が明らかにしようとしている時空や物質、力や運動、エネルギーは宇宙全体に広がっているだけでなく、私たちの身の回りや私たちの体の中のことでもあるのです。超弦理論は、2013年にNHKの「神の数式 完全版」という番組で紹介され、大きな反響を呼びました。

また、1920年代後半から今日まで蓋をしてきた量子力学の「奇妙さ」は、現代になって再び注目を浴びています。その「奇妙さ」を数学としてそのまま利用する量子情報理論を工学的に応用し、量子コンピュータや量子テレポーテーションの実験が始まったのです。それは技術が進み電子や光子を1個ずつ操作できるようになったからです。またブラックホールの熱の問題の解明にも量子情報理論と超弦理論の理解は欠かせません。もともと量子情報理論は数学でしたが、現代では物理学としての側面もでてきました。

なお、量子力学の奇妙さを代表する波動関数(波束の収縮)が全然不思議でないことなど、「コペンハーゲン解釈」に関する現代の解釈について、量子情報理論がご専門の堀田先生( @hottaqu)は、この連投ツイートで解説しています。

「情報」とは物事を区別したり、その区別を伝達するために0や1のような数字の組み合わせであらわすものです。0や1は原子やその運動のように物質やエネルギーとしてこの世界に存在するものではありません。けれども近年になって情報をエネルギーに変換できることがわかり、2010年には特定の条件において実験にも成功したのです。(参考記事「情報をエネルギー変換、初の成功 href="http://j-net21.smrj.go.jp/develop/digital/entry/001-20110323-01.html" target="_blank">情報をエネルギーに変換する技術とは?」)


研究が進むにつれて解明されたこと、実現されたことはたくさんありますが、ますますワケのわからないことが増え、それらを受け入れなければ物理学を先に進めることはできません。なんだかとんでもないことになっているのだなぁと思うわけです。僕が知らなかっただけで、日常感覚では想像もつかない奇妙な現実が、常識的にこれはありえないでしょ!と思えることが、自分が生まれるはるか以前から明らかにされていたことを知って愕然としました。

いつか相対性理論や量子テレポーテーションの理解には欠かせない量子力学、そして現在最先端の理論として研究されている超弦理論を理解できるようになりたい。本当のところ、この世界はどうなっているのかを知りたい。学生時代に物理学を専攻していなくてもそう思っている人は少なからずいるはずです。かくいう僕は大学時代は数学を専攻していて物理学の知識はほとんどありませんでした。(数学にしても大学3年のときに落ちこぼれていました。)


プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』で万有引力の法則を発表し、月や惑星の運動や地上の物体の運動を微積分を使って証明したのは1687年で江戸時代前期のことです。そしてジェームズ・クラーク・マクスウェルが電磁気学の法則(マクスウェル方程式)を完成させたのは幕末の1864年です。理系を選択していても高校までの物理で計算方法を学べるのはそのあたりまでです。(原子や素粒子のことも高校で学びますが、ほんのさわり程度で計算方法は学べません。)

数学については数学IIIまで履修したとしても、学べるのは大ざっぱに言って17世紀末(江戸時代中期)までに研究、発見された内容にすぎません。

物理学にしても数学にしても、それ以降に人類が発見してきたことは大学に入ってからしか教えてもらえないのです。

科学の発展は経済や技術革新をもたらし社会通念や生活習慣に大きな影響を与えてきました。さまざまな電気製品や移動手段、通信手段が利用可能になり、私たちの生活スタイルは大きく変わりました。

とはいっても、ほとんどの人の自然や物事の理解のしかたは江戸時代や明治時代の人と大差ないのです。現代人のほとんどは相対性理論や量子力学が技術革新をもたらした根底にあるのだと知らされているだけで、それらを理解しているわけではありません。

理系の高校生が学ぶ物理や数学は、明治以来重点の置き方、教える順番や教え方は変わりましたが学習項目の点ではほとんど変わっていません。(参考記事:「復刻版 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7dee199fe31ca60820a4698e9e553cfe" target="_blank">科学教養書」として容易に手に入る時代なのです。たとえば、発表された1916年には世界中で理解できていたのは5人しかいなかったというアインシュタインの一般相対性理論も、現在では大学院ではなく物理学科の4年生のカリキュラムの中で教えられています。そして、なんと最近になって、高校卒業レベルの人でも理解できる「一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」という本まで登場しました。

小説を読んだり、音楽を聴いたりすることも人生を豊かにしてくれます。僕もそれらを楽しむのは大好きです。(小説など一般書の感想記事はここから読めます。)けれどもそれらはしょせん一人の小説家や音楽家の限られた頭の中で創作されたものにすぎません。物理学や数学のように先人の知恵や成果をもとに積み上げられてきたものではないからです。小説や音楽は感性の賜物なので物理学や数学のように論理的ではありませんから、そもそも比較することはできないわけですが、成果という観点では小説や音楽は「個人による成果」、物理学や数学は「積み上げられ発展していく成果」なのです。

相対性理論や量子力学、超弦理論という現代物理学の3大理論を目指して読書を始めると、ほどなくひとつひとつの事柄に驚かされ、ワクワクし、高揚感に満たされるようになってきました。そしてやめられなくなってしまうのです。


感想: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/943c5a3cf09a78c3b4e8e933ce379879" target="_blank">見えざる宇宙のかたち:シン=トゥン・ヤウ、スティーヴ・ネイディス
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b15d8fa5e7f3e3e5b86cf1bc8a3c3f00" target="_blank">素数に憑かれた人たち href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fa4d9da634afbdb8a9dfc1ac162f7afe" target="_blank">ヒルベルト空間と量子力学:新井朝雄
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/196b59dc50fca361ba523036e7eeb908" target="_blank">量子力学の数学的構造 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a4ef01e94a8c0384cec353ebe4d542e4" target="_blank">量子力学の数学的構造 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1050f5ac88c40f83f566ba52c142c565" target="_blank">ゲージ理論とトポロジーの年表
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ef0b2fcb7c87aabfcd68bbe2a567840e" target="_blank">理論物理学のための幾何学とトポロジー href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9fd93716929786316ee234a66ec4d32b" target="_blank">理論物理学のための幾何学とトポロジー href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5f5fc6fd565dbd789d1129c23986c849" target="_blank">アラン・コンヌ博士の非可換幾何学とは?


数学には代数(数論)、幾何、解析という大きな3つの島があり、それぞれ別々に発展してきました。それらの起源はそれぞれ古代人が経験していた「種類別に物を数え上げること」、「図形を描くこと」、「長さ、広さ、大きさなどを測ること」にあります。そしてそれぞれ「個数が多い少ない」、「形やそのつながり方」、「量の大小」という抽象的な概念の獲得につながり、計算すること、数式に表すことにより3つの領域で数学が生まれ発展していきました。

ところが1960年代以降、代数(数論)、幾何、解析という大きな3つの島に不思議なつながりがあることが次々と明らかになってきたのです。この不思議なつながりのことをラングランズ予想(ラングランズ・プログラム)と呼んでいます。

「不思議なつながり」というのは、たとえば代数の難問に対応する問題が、まったく違う姿で解析の問題として存在するということです。解析の問題としては難問ではなくなり解くことができる場合があります。これを解くことでもともとの代数の問題も解けてしまうということなのです。なぜこのような対応関係があるのかはわかっていません。

不思議な対応関係と考えられているもののひとつに「フェルマーの最終定理」の証明があります。17世紀フランスの数学者ピエール・ド・フェルマーが著書の余白に残した「フェルマー予想」は数論(代数島)の問題として提示され、350年以上たった1994年にやっと証明されて「定理」になったわけですが、これを解く鍵になったのが「志村・谷山・ヴェイユ予想」という調和解析(解析島)の問題でした。「志村・谷山・ヴェイユ予想」の証明がなされたことが「フェルマー予想」の解決につながったのです。


そして、さらに意外なことがわかってきました。数学の大統一とも呼ばれているこのラングランズ予想を研究するうちに、数学の3つの島が現実世界の物理現象とも結びついていることがわかってきました。数学という壮大なパズルのピースを「発見し」、ピースとピースのつながりを「解明していく」と未知の物理現象や物理法則が見つかりそうです。このような期待のもとにラングランズ予想は超弦理論との関係があるのかどうかも含めて現在研究が進んでいます。

なんだかとんでもないことになっているのだなぁとここでも思うわけです。ラングランズ予想については「感想:NHK数学ミステリー白熱教室」という記事で紹介しました。そしてこの番組の関連書籍「数学の大統一に挑む:エドワード・フレンケル」に詳しく解説されています。

数学は宇宙が始まるはるか以前から存在する世界のように感じられます。数学者は数学を創り出すのではなく、もともと存在しているものを発見しているにすぎないのでしょう。(参考記事:「数学の定理は「発見」か?それとも「発明」か?

このようなわけで勉強を進めれば進めるほど数学の抽象的で美しい数式や論理で記述される世界のほうが本質で、私たちが五感でとらえている物理世界のほうが影絵のようにあやふやなものに思えてくるのです。物質や空間、時間、力やエネルギーは本当に存在しているのでしょうか? href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4ba8aaf71522671511fd21d3ad6f43f2" target="_blank">実在とは何か? href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ed35400df27a2bc7e597531c08d99869" target="_blank">虚数は私たちの世界観を変えてしまった。」)


200冊の理数系書籍を読んで得られたこと」という記事にまとめてあります。200冊ぶんの書名は「最初に読んだ理数系書籍200冊の書名一覧」でご覧いただけます。

それから3年4カ月後には感想記事が300冊に達しました。201冊めから300冊めについては「300冊の理数系書籍を読んで得られたこと」という記事にまとめてあります。

超弦理論まで時間を無駄にすることなく学んでみたいという方のためには「超弦理論への最短ルート: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d37fe65a84df23cca2af7ecebb83cfc6" target="_blank">超弦理論に至る100冊の物理学、数学書籍」という記事にまとめておきました。

このほか高校生や大学1、2年生向けには「高校生にお勧めする30冊の物理学、数学書籍」や「大学で学ぶ数学とは(概要編)」がお勧めです。また数式がまったく苦手という方のためには「文系の読者にお勧めする理数系書籍リスト」という記事を書いて科学教養書を紹介しました。

地道な読書を続けた結果、始めてから1年後には相対性理論と量子力学を、6年後には量子テレポーテーションをかろうじて理解でき、7年後には超弦理論の入門書を、11年後には素粒子物理学の入門書を読み始めることができました。それぞれ次の記事に得られた感動を書いています。

- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ffc643a688ce45dec7460d107fe1392e" target="_blank">時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/dff342381e47d90aff6ed91edde198a8" target="_blank">量子光学と量子情報科学:古澤明
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6da996449afaf50f8cf0f4f84881da0e" target="_blank">初級講座弦理論 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ff65ac32a5a9b397d8833a7ca155cb68" target="_blank">初級講座弦理論 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/522960c6eb852df961348fee76463852" target="_blank">素粒子標準模型入門: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b6227a305e06bc794b4cd9dd2dcc87f8" target="_blank">祝: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/c/9f6a200bdc49a520c0a5cd9c621b2ce4" target="_blank">記事一覧(分野別)」からお入りください。


因数分解って何の役に立つの?
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4d65a6811aa35998e6246bb57025a974" target="_blank">高次元空間の隙間の大きさ
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3fff2b46269846dff3db22e01744d085" target="_blank">キス数
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/37de3579b7802d92fc837a9ef6e2095b" target="_blank">"5" href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3c2bacd624695dcad7dd2fa9feadd5bd" target="_blank">多次元空間へのお誘い(連載記事)
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/80515a1627564b9d4f52883a270dc738" target="_blank">宇宙の形、ガウスの曲面論と内在幾何(連載記事)
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ed35400df27a2bc7e597531c08d99869" target="_blank">虚数は私たちの世界観を変えてしまった。
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/398b0d7e84eb491dea9c38a15e994256" target="_blank">虚数や複素数に大小がないのはなぜ?
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e29c7f0e787464693ff26ab287b34ddd" target="_blank">複素数 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b060d7aed8c03454f25fdf81ca69c446" target="_blank">複素世界は実世界とつながっている
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea178a283a302bc851e447a0ab951ccc" target="_blank">種あかし: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c08cbe47b0a5ce8c64549d913800cb0a" target="_blank">「理科復活プロジェクト」始動!
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7b2e4afa85f1fdf5df60ced709fdd8da" target="_blank">地球を8000万個に分割してみた href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1f7229be8d4e38845e9b2b46e178d7a8" target="_blank">半地球の重力場を描いてみた href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3f12c54ce6f853263433c39c8ed7a2b0" target="_blank">ストッキングを使った極小曲面、最小面積曲面の実験
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/448a4abf90b7f8991e4a3600f2f6535e" target="_blank">鉛筆はどれくらいの時間立っていられるか?

工学、コンピュータ:
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1b2940b648bda682aa27192eb8261972" target="_blank">量子コンピュータ、量子アルゴリズムを学びたい高校生のために
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e54e4eb38380ff2ff2f51747ca7b4f75" target="_blank">安田寿明先生の「マイ・コンピュータ」3部作(ブルーバックス)
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/36db2417701c58efa1ac81343e70227b" target="_blank">NEC href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/01cf6bc6669bf0956a792bce292f97f1" target="_blank">電卓を作りたいという妄想


理系の高校生、大学受験生向けには、次の記事を書いています。

- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/709402c3bc0ad74ebb4fe0969f9f7e42" target="_blank">復刻版 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6124158481ed8d9d4655478643be0db8" target="_blank">大学への数学(研文書院)
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/412539f939c8058c9b57368f98abce16" target="_blank">寺田文行先生の「数学の鉄則」シリーズ
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cdbd82914186c4b8dda69ab77e6efa07" target="_blank">学習参考書が電子書籍化され始めている件
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cb84c7c5627fb06c83901d7f9dcc6b20" target="_blank">出題者心理から見た入試数学: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d36a9ff4f6196b3fead1b9b6ca4dcf1c" target="_blank">改訂版 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e668159189be4b635f4d38c3bf252938" target="_blank">改訂版 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/61b91ea9f2a66c66a33c507aa2c2d0c0" target="_blank">改訂版 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a42023dc1423f9bdf406723d76f81766" target="_blank">改訂版 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/71c73f4258b48518957d5995d96f81ad" target="_blank">改訂版 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/125e2f2de08d677d2ac77cb3aab3d567" target="_blank">数学の教科書が言ったこと、言わなかったこと:南みや子
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4d706bf3aeba7eb5fe876b55b8a8496c" target="_blank">数学する精神―正しさの創造、美しさの発見: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55" target="_blank">大学で学ぶ数学とは(概要編)
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/da6ec00cc7ef8c12a6b4a6a7cbfc14e4" target="_blank">中学生から読めるNewtonライト
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f532e332f4823dae34a5df9d060ad96a" target="_blank">高校の勉強に役立つNewton別冊


数は少ないですが、生物学系の記事も書いています。

- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cdba27cd80ae2ec99652d25e7fccdf26" target="_blank">二重螺旋 href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2ce183a88058ccd08d6cb1265a835405" target="_blank">DNA href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f010fe8bb444188c8229eb25876d543f" target="_blank">DNA href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8931e090c55c1ec7956ae2dcf41cae7a" target="_blank">多次元空間へのお誘い(14):DNAの複製について



どうして鏡は左右を逆に映すのに上下はそのままなの?
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/381f2242143b9804e25c95a948c8758f" target="_blank">物理学、数学の動画: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55" target="_blank">大学で学ぶ数学とは(概要編)
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9d2ac30c9f5f620ad703304d710ed90b" target="_blank">線形代数学入門のための教科書談義
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/22c325e49cfd7c721679dbc2896b86a4" target="_blank">解析学入門のための教科書談義
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e94dd49d7d8cc395e29d37927e30173d" target="_blank">ファインマン物理学(英語版)が全巻ネット公開されました。
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/364b369d567a335df2268310c175b9cc" target="_blank">英語版「ランダウ=リフシッツの理論物理学教程」がオンラインで無料公開された。
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bbc07d148199e963ac8a7ec60de2e7e1" target="_blank">無料で学べる統計学入門サイトのリンク集
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/779e59b0996c582373308c0a4facf16f" target="_blank">ちょっと気になる常微分方程式の本
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0" target="_blank">一般相対性理論に挑戦しよう!
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a8439e8e4d81d7873422737d7bd1640d" target="_blank">重力波の直接観測に成功!
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0f47de5854daf4eb38339a73791544a8" target="_blank">ファインマンの経路積分に入門しよう!
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5f0430e3fed08f6947d5efbe9559fbbd" target="_blank">解説:NHKスペシャル「神の数式」第1回:この世は何からできているのか
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7ddecf5c37c9ef0e467bb5be8f168898" target="_blank">解説:NHKスペシャル「神の数式」第2回:宇宙はどこから来たのか
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fdcf3a5173e9f55fc37c9b8d85f4128b" target="_blank">番組告知:NHK宇宙白熱教室(ローレンス・クラウス教授)
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b0d53d030bf82e8016a1071fadb16063" target="_blank">感想: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b3ab2b9875e9a2b81b055153c078439b" target="_blank">カラビ-ヤウ空間を見てみよう!
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75dfba6307d01a5d522d174ea3e13863" target="_blank">大栗先生の超弦理論入門:大栗博司
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7d229570736d1e0a174a5aca8e209f88" target="_blank">「9次元からきた男」ブロガー特別試写会の感想
- href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b3f1abb0ae2b139d53580261b22b9c87" target="_blank">エキゾチックな球面: href="http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5f45451ee92873728f3046ed36cdce71" target="_blank">算数チャチャチャ(NHKみんなのうた)


とね日記賞」です。その年に読んだ本のうち特に素晴らしいと思った本に賞をあげてしまおうというわけです。小さいながらもひとつの「価値の創出」には違いありません。とね日記賞は毎年12月10日、スウェーデンのストックホルムで開催されるノーベル賞授賞式の日程に合わせて発表しています。

ブログの紹介をしながら、リンクでたくさんの入口をつけてみました。10年以上続けていますからブログの中は迷宮のようにリンクでつながっています。ぜひ興味のある入口からお入りください。

年をとるにしたがい人は経験を積み、人生や世の中のことがよくわかるようになります。けれども自然や宇宙についての知識や理解はみずから学ばない限り、けして得られるものではありません。

さあ、勉強を始めましょう!読書や勉強から得られる知識や発見、高揚感はお金では買うことのできない価値のひとつです。


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量子的世界像 101の新知識: ケネス・フォード

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量子的世界像 101の新知識: ケネス・フォード

内容紹介:
素粒子からブラックホールまで、奇妙で驚きに満ちた量子世界をひもとく画期的入門書。この1冊で現代物理学の本質がわかる!
事象は確率に支配され、複数の状態が重ね合わさり、粒子は生成と消滅を繰り返す―古典物理学の世界観を覆す奇妙で驚きに満ちた量子世界。その全体像を見事に描き出し、量子物理学の最前線へと誘う。
すべては確率に支配され、複数の状態が重ね合わさり、粒子は生成と消滅を繰り返す──古典物理学の世界観を覆す奇妙で驚きに満ちた量子世界。考え抜かれた101の項目でその全体像を見事に描き出し、量子物理学の最前線へと誘います。
”初めての人には「一冊読むならぜひこれを!」と、物理学者には「項目を見たら、きっと読みたくなりますよ」と申し上げたい”。(監訳者・青木薫氏による巻末解説より)
2014年3月刊行、424ページ。

著者について:
ケネス・フォード
1926年生まれ。理論物理学者。ジョン・ホイーラーのもとでPh.Dを取得。ブランダイス大学、カリフォルニア大学アーバイン校、マサチューセッツ大学などで学部長などを歴任。1987年から93年まで米国物理学協会会長を務めた。


理数系書籍のレビュー記事は本書で357冊目。

通っている歯科医院の先生からお借りしたものだ。いまいち納得できない解説があるので、ぜひ読んでから教えてほしいということなのだ。せっかくだから1冊まるごと読むことにした。

ブルーバックス本のなかで、本書はレベルが高いほうである。量子物理学というくくりで量子論、量子力学、素粒子物理学の想定問答集のような本。解説は文章が中心で図版はあまりない。420ページの本で101の質問に答えているのだから、質問1つあたり平均4ページを割いていることになる。

部の構成は次のとおり。それぞれの部にどのような質問がなされているかは、記事の末尾に記しておいた。

I 原子より小さい世界
II 原子核の奥へ
III 量子世界の距離、時間、速さ
IV 何が量子化されるのか
V 原子と原子核
VI 原子核のしくみ
VII 素粒子
VIII 素粒子の不思議なふるまい
IX 相互作用
X 量子世界の保存則
XI 波と粒子
XII 波と確率
XIII 量子物理学とテクノロジー
XIV さまざまなスケールでの量子物理学
XV 量子物理学に残された謎

読者の推奨レベルとしては大栗博司先生の「重力とは何か」や「強い力と弱い力」を読んだだけでは少し足りず、さらに南部陽一郎先生の「クォーク 第2版」を読み終えたあたりの方にちょうどよい。

また、大学レベルの量子力学や場の量子論、素粒子物理の入門的な教科書で勉強中の方が副読本としてお読みになるのにもぴったりしている。

各質問に対する回答は、かなり深く切り込んでいるので「ああ、このように理解すればよいのか!」と感心することしきり。この分野の科学教養書を何冊も読んでいる人でも満足いただける本なのだ。

たとえば電子の波動性を示したド・ブロイの式 λ=h/p の説明が素晴らしかった。「12歳の少年が書いた 量子力学の教科書: 近藤龍一」では「しかしながら、ここでE=mc^2を使って導出するのは間違いだ。光子の質量mは0だからこの式は使えない。正しい導出は次のページのようにして行なう。」と書いたが、本書では(質量のある)陽子を衝突させる加速器を引き合いにして、アインシュタインの式 E=mc^2 を使った説明をしている。

また原子核物理学に関する解説は、とてもためになった。原子核の中での陽子と中性子、電子の挙動を詳しく解説した教養書は初めてである。核分裂、核融合は特に詳しく解説されている。

V 原子と原子核
- 線スペクトルとは何ですか、そこから原子について何がわかりますか
- 元素の周期表はなぜ周期的になっているのですか
- 重い原子も軽い原子も、大きさがほぼ同じなのはなぜですか
- 原子核の内部で、陽子と中性子はどんな運動をしているのですか
- 原子番号、原子質量とは何ですか

VI 原子核のしくみ
- 周期表にはなぜ終わりがあるのですか
- 放射能とは何ですか
- なぜ中性子は原子核のなかだと安定しているのに、単独だと不安定なのですか
- 核分裂するとなぜエネルギーが放出されるのですか
- 核融合でもエネルギーが放出されないのはなぜですか

そして本書の監修者の青木薫さんが巻末にお書きになっているように、日々お世話になっている量子テクノロジーや、ミクロのスケールにとどまらず、日常のスケールや宇宙スケールであらわれる量子現象を取り上げ、最先端の話題と未来への展望を語っている。量子力学に関する本はけっこう読んでいるという人にも、このあたりの話は新鮮に感じられるのではないだろうか。というのも、一般向けの量子力学の本では、不確定性原理やシュレーディンガーの猫といった原理的な部分にフォーカスされることが多く、テクノロジーの話題にまで手が回らないということになりがちだからだ。


翻訳のもとになった原書はこれである。原書は2012年10月刊行なので「ヒッグス粒子発見」の後だ。日本語版は2014年3月に刊行された。

101 Quantum Questions: What You Need to Know About the World You Can't See」(Kindle版




著者のケネス・フォードは、本書の中にもたびたび登場する伝説の物理学者ジョン・ホイーラーのもとで博士号を取得した物理学者である。1987年から93年まで米国物理学協会の会長を務めた。退任後は高校の教壇にも積極的に立ち、近年はサイエンス・ライターとしても活躍している。

つまり、本書は教育をライフワークとして位置付ける著者が、長年にわたり大学生や高校生に教えるなかで培ったノウハウを惜しみなく投入し、ライターとしての経験を生かしてまとめあげた力作なのである。


歯科医の先生の質問について

歯科医の先生が腑に落ちなかった件だが、本書の368ページから始まる「プランク長さとは何ですか。量子の泡とは何ですか。」という93番目の質問について、次のようなことを僕に聞いてきた。

「プランク長さというのが自然界で最小の長さだとして、その半分の長さを考えることに意味があるのか?それがわからない。本書での説明はどこか逃げている、答をズバリ書いていない気がする。」

プランク長さは、光速cとニュートンの重力定数G、プランク定数hという自然界の3つの基礎的定数から計算でき、プランク長さはプランクによるアイデアだ。またこの他、次のような物理量が知られている。

上からプランク温度、プランク質量、プランク時間、プランク長さ、プランク・エネルギー、プランク密度


これらは物理定数を全て 1 にするような単位系にするために考えられたものだ。これに関しては広江克彦さんが「プランク単位系」というページでお書きになっている。つまり計算上の便法として導入されたのだ。だから、プランク長さに物理的意味があるかどうかとは別の話である。

「量子泡」のアイデアを思い付いたのはジョン・ホイーラーである。ミクロの世界になればなるほど時空は泡立っているという時空概念だ。この「仮説」の根拠は、プランク長さや量子力学の不確定性原理である。

また自然のスケールの階層に関しては「大栗博司先生の超弦理論入門」でも取り上げられ、自然の階層には終わりがある、つまりこの世界にはそれ以上分割できない時間や空間があるかもしれないとお書きにになっている。(つまり仮説である。)しかし、弦理論や超弦理論では弦を記述するための背景場に実数という連続量であらわされる座標が必要であることを強調しておきたい。




もしプランク長さが最小の長さだとしたら、どのようなことになるのか、簡単な例で説明してみよう。斜辺がプランク長さの直角二等辺三角形を考えてみる。



底辺や高さはプランク長さより短いはずだ。(高さ=斜辺/√2)つまり、直角二等辺三角形は存在できない。これを突き詰めれば、私たちが慣れ親しんでいるユークリッド幾何学が成り立たず、三平方の定理も使えないから「距離」が定義できなくなってしまうのだ。

一般相対性理論でも量子泡による効果でもよいのだが、極端に曲がったとしても空間がなめらかである限り、状況は同じである。この画像では渦巻き型に変形させてみた。スマートホンの方は画像をクリックし「元のサイズで見る」とアニメーションで見ることができる。



つまり最小の長さが存在すると、これまでの幾何学とは全く異なる新しい幾何学が必要になるのである。


さて、時空はなめらかに連続しているのではなく不連続、離散的だと考えるのはどうだろうか?この仮説もプランク長さや量子力学の不確定性原理に基づいている。

時空の量子化は半世紀以上前のハートランド・スナイダーに始まるが、 最近は非可換幾何学の流行により、 量子時空が多くの研究者の興味を惹いている。「アラン・コンヌの非可換幾何学」もその例である。

ループ量子重力理論」も離散化した量子時空をベースにした理論だ。僕がこれまでに読んだのは「ループ量子重力入門:竹内薫」と「明解量子重力理論入門:吉田伸夫」の2冊。超弦理論も量子重力理論のうちのひとつである。次は「初級講座 ループ量子重力:樺沢宇紀」を読みたい。




また、大栗博司先生は時空の不連続性とは別の視点から「量子もつれが時空を形成する仕組みを解明~重力を含む究極の統一理論への新しい視点~」という発表をされている。

時空の離散化、量子化に関しては、次の資料をお読みになるとよいだろう。

一般相対論と量子論を繋ぐ、量子幾何学とは?
https://blog.goo.ne.jp/sonokininatte55/e/1a172a06b2d2fb2a6e5b489049c12546

山口哲先生のページ
http://www-het.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~yamaguch/j/research.html

量子優先の原理と時空構造(京都大学、中西穰先生、2006年)
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1524-7.pdf

時空の原子を追うループ量子重力理論(日経サイエンス)
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0404/loop.html


いずれにせよ量子時空やプランク長さは、あまりにも小さく、物理的に意味があるかどうかは、仮説の段階であり、物理的に測定できるものではない。測定できないから物理的な意味がないとまでは言わないが、プランク長さをもとにした議論をするのは注意が必要だ。

プランク長さについて、広江克彦さんは「プランク単位系」というページの「伝言ゲーム」という箇所で、次のようにお書きになっている。このページをお読みになるのがいちばんよさそうだ。

「プランク長さが我々の手に届くどんな物理現象とも掛け離れた極微のスケールなので、誰もまだ検証しようもないし、神秘性を帯びてしまって、話にどんどん尾ひれが付いてゆく。」


プランク長さの物理的意味を問うことに意味がないのであれば、歯科医の先生が考えた「プランク長さの半分」は、なおさらである。計算としては半分にできるが、物理的な意味は今のところなさそうだ。


プランク長さは測定できないが、プランク定数の値であれば光速cと万有引力定数Gとプランク定数hから計算できるほか、実験して求めることができる。これがその実験器。Amazonは何でも売っている。

プランク定数マニアの方は、こちらからお買い求めいただきたい。

プランク定数 実験器 U10700-115



この製品と実験方法の詳細は、次のページでお読みいただける。

プランク定数:阻止電圧法を使って,プランク定数の値を求める
https://www.3bs.jp/physics/experiment/atom-expt/ue5010200.htm


関連ページ:

プランク定数の測定(滋賀総合教育センター)
http://www.shiga-ec.ed.jp/www/contents/1440578636412/files/kiki_phys_10.pdf

プランク定数の測定(津山工業高等専門学校)
http://www.tsuyama-ct.ac.jp/ippan/H21_hokoku/H21_sato1.pdf

LEDを用いたプランク定数の測定実験の試行
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pesj/57/4/57_KJ00005929327/_article/-char/ja/


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量子的世界像 101の新知識: ケネス・フォード



はじめに 量子世界のものの見方

I 原子より小さい世界
- そもそも量子とは何ですか
- 量子物理学の法則はどこで成り立つのですか
- 対応原理とは何ですか
- 原子はどれくらいの大きさですか
- 原子の内部はどうなっているのですか
- 原子の内部はほとんど空っぽの空間なのに、なぜ物質は固いのですか
- 電子の大きさはどれくらいで、内部はどうなっているのですか

II 原子核の奥へ
- 原子核の大きさはどれくらいで、内部はどうなっているのですか
- 陽子と中性子の大きさはどれくらいで、内部はどうなっているのですか
- プランク定数とは何ですか
- 光子とは何ですか
- 光電効果とは何ですか
- 基本粒子、複合粒子とは何ですか
- 標準模型とは何ですか

III 量子世界の距離、時間、速さ
- 量子的な距離スケールとはどういうものですか
- こんなに違う、4つの力が及ぶ範囲
- 粒子はどれくらいの速さで動きますか
- 量子的な時間スケールとはどういうものですか
- E=mc^2とは何をあらわしているのですか
- 電荷とは何ですか
- スピンとは何ですか

IV 何が量子化されるのか
- 物理量が量子化されるとはどういうことですか
- 運動状態とは何ですか
- 励起した原子は同じ原子が別の状態にあるだけですか、それとも別の原子になったのですか
- 量子数とは何ですか
- 量子飛躍とは何ですか
- 確率は量子物理学においてどいう役割を果たしているのですか
- 量子世界において何か確実なことはあるのですか

V 原子と原子核
- 線スペクトルとは何ですか、そこから原子について何がわかりますか
- 元素の周期表はなぜ周期的になっているのですか
- 重い原子も軽い原子も、大きさがほぼ同じなのはなぜですか
- 原子核の内部で、陽子と中性子はどんな運動をしているのですか
- 原子番号、原子質量とは何ですか

VI 原子核のしくみ
- 周期表にはなぜ終わりがあるのですか
- 放射能とは何ですか
- なぜ中性子は原子核のなかだと安定しているのに、単独だと不安定なのですか
- 核分裂するとなぜエネルギーが放出されるのですか
- 核融合でもエネルギーが放出されないのはなぜですか

VII 素粒子
- レプトンとは何ですか。そのフレーバーとは何ですか
- ニュートリノにもいくつかの種類があるのですか
- ニュートリノには質量があるのですか。ニュートリノ振動とは何ですか
- 素粒子にはなぜ3世代しかないのですか
- 電子はどれも同じだとどうしてわかるのですか

VIII 素粒子の不思議なふるまい
- 素粒子はどのように種類分けされているのですか
- クォークの特徴は何ですか。なぜ単独で見つからないのですか
- 複合粒子は何種類あるのですか
- すべての粒子はフェルミ粒子かボース粒子なのですか。この2種類はどう違うのですか
- ボース-アインシュタイン凝縮とは何ですか
- ボース粒子、フェルミ粒子はなぜそのように命名されたのですか

IX 相互作用
- ファインマン図とは何ですか
- ファインマン図の重要な特徴は何ですか
- ファインマン図は、強い力、弱い力、電磁力の相互作用をどのように図式化していますか
- 粒子が崩壊するとはどういうことですか
- 散乱とは何ですか
- 散乱や崩壊の前後で保存されるのは何ですか
- 散乱や崩壊で変わるものは何ですか

X 量子世界の保存則
- 量子世界でも大きなスケールでも成り立つ四大保存則
- 量子世界だけで成り立つ絶対的な保存則はありますか
- TCP定理とは何ですか
- 部分的にしか成り立たない保存則とは何ですか
- 部分的にしか成り立たない対称性の原理とは何ですか
- 法則を破らなければ、どんなことでも起こりうるのですか
- 対称性と不変性と保存の概念はどう関係するのですか

XI 波と粒子
- 波と粒子はどこが同じで、どこが違うのですか
- ド・ブロイの式とは何ですか
- 波は量子の塊とどう関係しているのですか
- 電子の波動性と原子の大きさはどう関係しているのですか
- 回折、干渉とは何ですか
- 二重スリット実験とは何ですか
- トンネル効果とは何ですか

XII 波と確率
- 波動関数とシュレーディンガー方程式
- 波と確率にはどのような関係があるのですか
- 粒子はなぜ1ヵ所にじっとしていることができないのですか
- 不確定性原理とは何ですか
- 不確定性原理と物質の波動性
- 重ね合わせとは何ですか
- 量子世界を理解するのに波は絶対に必要ですか

XIII 量子物理学とテクノロジー
- どうやって粒子を光速近くまで加速するのですか
- どうやって高エネルギー粒子を検出するのですか
- レーザーとはどのようなしくみですか
- 電子は金属のなかでどのようにふるまうのですか
- 半導体とは何ですか
- pn接合とは何ですか。なぜそれがダイオードなのですか
- ダイオードにはどういう用途があるのですか
- トランジスタとは何ですか

XIV さまざまなスケールでの量子物理学
- 蒸発するブラックホール
- 太陽の中心部で量子物理学はどのように働いているのですか
- 超伝導とは何ですか
- 超流動とは何ですか
- ジョセフソン接合とは何ですか
- 量子ドットとは何ですか
- クォーク・グルーオンプラズマとは何ですか
- プランク長さとは何ですか。量子の泡とは何ですか

XV 量子物理学に残された謎
- 無次元数137
- エンタングルメント(量子もつれ)とは何ですか
- ヒッグス粒子はなぜ重要なのですか
- 弦理論とは何ですか
- 観測問題とは何ですか
- どうして量子なのですか

表A.1 レプトン
表A.2 クォーク
表A.3 力の粒子
表A.4 おもな複合粒子
表B.1 乗数(ヘクト、キロ、メガ、ギガ、...)
表B.2 おもな大きさ(物理量)

人名さくいん
事項さくいん

監修者解説(青木薫)

電気の基礎、第二種電気工事士試験の勉強(その1)

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女友達が第二種電気工事士試験のための勉強をしたいというので、週末に電気の基礎から教えることになった。

第二種電気工事士試験は筆記(120分)と技能(40分)の2回に分けて行われる。筆記試験に合格した人だけが技能試験を受けることができる。両方とも合格すれば一般家庭の電気工事をすることができるようになるのだ。

合格率は筆記試験が6~7割、技能試験が5~6割なので、合わせると3割~4割といったところ。ちゃんと勉強しさえすれば合格するので、国家資格としては易しいほうだ。

第二種電気工事士
http://www.shiken.or.jp/examination/e-construction02.html

エアコンの設置や電気系統の故障のときなど、部屋に電気工事士を入れなければならないときがあるが、一人暮らしの女性だと見知らぬ男性の工事士を敬遠する人がいる。だから女性の電気工事士の需要は多いのだ。

試験範囲のうち僕がいま教えられるのは、物理学と共通している電気の基礎のところだけ。あとは自分でも学びながら先生をする予定。


さしあたりオームの法則や合成抵抗値の計算など、電気の基礎から始めることにした。中学2年の理科や高校物理で学ぶことだが、さっぱり忘れているそうだ。

計算方法だけ覚えても実感がわかないので、楽しく学べるようにテスターで測定して計算することにした。僕にしてもテスターは中学のときに使ったことがあるが、理科の授業で使った記憶はないから、おそらく技術・家庭科の授業で使ったのかもしれない。そして、合成抵抗の測定はしたことがない。


Amazonで揃えたのは次のもの。

ワニ口クリップと電子パーツセット


電池と電池ボックス、テスター


持ち運びに便利なようにとダイソーで買ったミッキーマウスのバッグ



1つずつ紹介しよう。

電子パーツは秋月電子通商の通販でいろいろそろえるとかなり高くなってしまう。抵抗器やコンデンサー、LED、ダイオードなど、まとめて入っているのが欲しかった。いちばん安かったのがこれ。こちらのセットだと抵抗器ばかりでつまらない。あと写真には載せていないが、電子パーツを小分けするための小さいビニール袋をダイソーで買った。

KKmoon Arduino UNO MEGA2560 Raspberry Pi互換 スターターキット 電子部品 LED 精密ポテンショメータ ブザー コンデンサ 抵抗器付き Dセット



これだけ入っていて999円はお買い得。

パッケージリスト:
10 *白LED
10 *黄LED
10 *青LED
10 *緑LED
10 *赤LED
1 * RGB LED
2 *フォトレジスト
1 *サーミスタ
5 *ダイオード整流器(1N4007)
5 * NPNトランジスタ(PN2222)
1 * IC 4N35
1 * IC 74HC595
10 *ボタン(小)
1 *アクティブブザー
1 *パッシブブザー
1 *精密ポテンショメータ
10 * 22pfセラミックコンデンサ
10 * 104セラミックコンデンサ
5 *電解コンデンサ(10UF 50V)
5 *電解コンデンサ(100UF 50V)
10 *抵抗器(10R)
10 *抵抗器(100R)
10 *抵抗器(220R)
10 *抵抗器(330R)
10 *抵抗器(1K)
10 *抵抗器(2K)
10 *抵抗器(5K1)
10 *抵抗器(10K)
10 *抵抗器(100K)
10 *抵抗(1M)
2 *ピンヘッダー(40ピン)


ワニ口クリップは便利だ。「ブレッドボード」の使用も考えたが、初心者には回路図と配線の対応がわかりやすいほうがよい。結局こちらにした。長さが50cmのものがほとんどだが、こちらは27cmほどで使いやすい。

SODIAL(R) 10xメーターカラーの絶縁ワニ口クリップ テストリードケーブル10.8インチ




電池ボックスはリード線付きのもの。

uxcell 電池ボックス 電池ホルダー 2x1.5V 単3 単3形*2本 3V用 5個入り




肝心なのがテスターだ。安価なものには電流が測れないものが多い。そして電気工事士用としては測定カテゴリの要件を満たしてなければならない。この製品の測定カテゴリはCAT II 1000V、CAT III 600VなのでOK。電流も測ることができる。

KKmoon RM101 デジタルマルチメータ LCDマルチメータ DMMマルチメータ True RMS/DC AC電圧/電流/抵抗ダイオード容量/静電容量測定 自動 極性識別電流計電圧計オーム



ユーザーズ・ガイド(英語): URL1 URL2

このテスターの紹介動画を見つけた。




次回の記事では、使う予定の教材を紹介する。


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フランス語トレーニングペーパー(教育社、ニュートンプレス)

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今日は朝10時からフランス語を教えて過ごした。生徒は2人。


掲載写真はいまでは絶版のフランス語トレーニングペーパーという学習教材。通称は「トレペ」。1980年代始めに教育社(現在の株式会社キョーイクソフト)という出版社から発売された。(会社沿革の詳細

その後、第2外国語系のトレーニングペーパーは株式会社ニュートンプレスに引き継がれた。株式会社キョーイクソフトが取り扱っているのは小中高、受験生向けの学習教材だけである。(オンラインショップ

2000年代にニュートンプレスからクリーム色の新装版のトレーニングペーパーが刊行されたが、フランス語学習用は現在とても高い値段で取り引きされていることがわかる。

薄い緑色の表紙の初版はフランス語のほか、ドイツ語、中国語、ロシア語の本がでていた。フランス語のものは文法編1、文法編2、読解編、単語編の4種類。徹底的にフランス語を書かせるもので、大学時代僕はこれで勉強してとても力がついた。

このような教材は当時もこれだけで、今でもこれに類する学習教材は販売されていない。ぜひ復刻してもらいたいと願うのだ。需要は大きいと思う。


フランス語を教えている生徒に使ってもらってはどうかと思い、安く買える文法編1をとりあえず取り寄せた。文法編2は6000円以上するので手が出せない。

初版第1刷は教育社から発売されたが、僕が入手した1999年の第37刷はニュートンプレスから販売されたもの。1999年当時の販売価格は税別で1893円。この金額より安く買うことができた。


若い人は知らない本だろうから、どのような教材なのか写真で紹介しよう。版型は日経サイエンスと同じB5判で分厚く349ページある。

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フランス語カテゴリーのブログ記事なのに、奇しくもニュートンプレスとつながった。これは科学雑誌Newtonが、たまたま教育社から創刊されたことに起因している。(参考記事:「Newton(ニュートン)の0号と創刊号の思い出」)


Amazonで検索したい方は、こちらからどうぞ。フランス語以外は安く買えることがわかる。

フランス語トレーニングペーパー: 検索する
ドイツ語トレーニングペーパー: 検索する
中国語トレーニングペーパー: 検索する
ロシア語トレーニングペーパー: 検索する

日本の古本屋で検索する方は、こちらからどうぞ。

トレーニングペーパー: 検索する

ヤフオクで検索する方は、こちらからどうぞ。

トレーニングペーパー: 検索する

メルカリで検索する方は、こちらからどうぞ。

トレーニングペーパー: 検索する


教えている生徒のうち1人は、先週山口県と四国を旅行していました。お土産にこれをいただきました。ありがとうございます。



この旅館に宿泊したそうです。

道後温泉本館(愛媛県松山市)
https://dogo.jp/onsen/honkan


関連記事:

スタンダード佛和辞典・和佛辞典
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fa9b284d2cda36dccf53c6071e057577

フランス語の辞書はどれがいい?
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/04d001a3857a63e9ec104903ccae1a83

発売情報:カシオ電子辞書 XD-Z7200(2018年フランス語モデル)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1b49df68133da2c1093cd31091f73263

フランス語を教え始めた
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/da69b2a85fb8e10b225867d3fe2731da


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量子力学の哲学―非実在性・非局所性・粒子と波の二重性: 森田 邦久

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量子力学の哲学―非実在性・非局所性・粒子と波の二重性: 森田 邦久」(Kindle版

内容紹介:
世界の描き方はひとつではない!? 知的刺激にあふれる科学哲学の入門書が登場。
私たち自身を含めたこの世界のすべてが量子力学が扱うミクロな物質から成り立っていることを考えると、ミクロの世界の「真の姿」を理解することは、私たちが日常的に生活しているこの世界を、ひいては私たち自身を理解することにもつながるであろう。本書の目的は、量子力学が私たちに示す世界像についてこれまで提案されてきたさまざまな哲学的議論を解説することである。――はじめにより。
2011年9月刊行、240ページ。

著者について:
森田 邦久
1971年、兵庫県姫路市生まれ。大阪大学基礎工学部卒。博士(理学)、博士(文学)、いずれも大阪大学で取得。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学高等研究所助教をへて、同准教授。著書に、『科学とは何か―科学的説明から探る科学の本質』(晃洋書房)、『理系人に役立つ科学哲学』(化学同人)がある。
森田先生の著書: Amazonで検索


理数系書籍のレビュー記事は本書で358冊目。

先日紹介した「量子的世界像 101の新知識: ケネス・フォード」と同様、かかりつけの歯科医院の先生からお借りした本。新書で240ページなので一気に読むことができた。

そそっかしいのは相変わらずで、初心者向けの量子力学の入門書だと勘違いして読み始めていた。量子力学の入門書は満ちあふれているのに、新しい本を出すのにどんな意味があるのだろう?何か新しいことが書いてあるのだろうか?という気持ちだった。

しかし実際のところ、本書のキーワードは科学哲学、特に量子力学の不思議さに焦点を当てた数々の解釈を紹介する本だった。

「一般向けの科学教養書で量子力学の不思議さ、奇妙さをことさらに強調するのは、そろそろやめにしましょうよ。」という流れの正反対をいく本なのだ。何をもって「哲学」とするのかは、僕にはピンとこないのだが、著者の森田先生は科学哲学がご専門である。

副題には「非実在性・非局所性・粒子と波の二重性」という量子力学の代表的な3つの奇妙さが書かれている。この本が刊行されたのは2011年9月だということを、まずおことわりしておきたい。(東日本大震災から半年後である。)

刊行当時、量子テレポーテーションの実験が成功していることは知られていたが、量子コンピュータが現在のように注目されている時代ではなかった。だから量子力学の奇妙さに焦点を当てる本が出たとしても、それほど不思議なことではない。

また量子の非局所性とは、アインシュタインが発表したEPRパラドックスのことであり、厳密な検証が2015年に行われており、「非局所性」や「量子の絡み合い(エンタングルメント)」は当たり前の事実になっている。解釈が入る余地はもはやない。本書で紹介される解釈では「非局所性」を回避するためのさまざまなアイデアや工夫がされていたことが書かれている。結局それは不必要な努力だと、今になってみればわかるのだ。

量子の非局所性の厳密検証に成功――新方式の量子コンピュータにも道
http://eetimes.jp/ee/articles/1503/24/news125.html

量子の非局所性を厳密に検証 - 東京大学工学部
~新方式の量子暗号・量子コンピューターの実現へ~
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/shared/press//data/20150401_furusawa.pdf


ところで、現在発売中のNewton 3月号では「シュレーディンガーの猫の問題」が特集されている。これも量子力学の奇妙さの代表例のひとつ。著者の森田邦久先生は、この特集記事にも協力されている。

Newton(ニュートン) 2018年 03 月号」(詳細


この特集記事の結末では、代表的な4つの解釈を紹介して記事を締めくくっている。どの解釈でも不都合な部分が残ってしまい、どれかひとつが正しいというわけではない。この終わり方に釈然としなかった読者もいることだろうし、それぞれの解釈をもっと深く知りたいと思う読者もいたことだろう。

本書は、そのような方の要求を満たしてくれるのだ。シュレ猫だけでなく非実在性・非局所性・粒子と波の二重性に関して、量子論の創成期から最近に至るまで提唱されてきた、あらゆる解釈が紹介される。

章立てはこのとおり。(詳細目次は記事の最後に掲載した。)

第1章:量子力学は完全なのか―量子力学のなにが不思議なのか1
第2章:粒子でもあり波でもある?―量子力学のなにが不思議なのか2
第3章:不可思議な収縮の謎を解け
第4章:粒子も波もある
第5章:世界がたくさん
第6章:他にもいろいろな解釈がある
第7章:過去と未来を平等に考えてみる

量子論がどのようにして発見されたか(ドイツの鉄鋼産業のことや、黒体輻射のこと)、ボーアとアインシュタインの論争などには触れていない。とにかく徹頭徹尾「奇妙さの解釈」をとことん解説、紹介しているのである。

だから理系でない一般の方が量子力学入門書として読めるのは、せいぜい第3章まで。ここまででデコヒーレンス理論やGRW理論は紹介される。第4章以降は話が込み入ってくるのと、状態ベクトル表示を容赦なく使って説明するから、ついていけない読者がたくさんでてくることだろう。Newton 3月号のシュレーディンガーの猫の解釈を詳しく知りたい方は第4章まで読み終える必要がある。

第5章はデコヒーレンス理論の応用。理系の人ならば、まあまあついていけるが状態ベクトルでさらに落ちこぼれてしまう人がでてくるのが、この章だ。

第6章では、さらに理系の人でも初めて耳にするような解釈が紹介される。名前だけお伝えすれば、眉唾っぽいことがお分かりいただけると思う。解釈をめぐって科学哲学がいかに迷走してきたかがわかる。

- 裸の解釈1
- 裸の解釈2
- 多精神解釈1
- 多精神解釈2
- 単精神解釈
- 一貫した歴史解釈(多歴史解釈)1
- 一貫した歴史解釈(多歴史解釈)2
- 様相解釈1
- 様相解釈2

最終章は「第7章:過去と未来を平等に考えてみる」なのだが、時間を対称化することによって解釈問題の解決を試みる。僕にとっては目新しい。相対論的量子力学を導入したアプローチ。クライン-ゴルドン方程式を使った解決案が紹介されるが、これはすぐダメだとわかる。そして次に提案されるのが「交流解釈」というもの。著者の森田先生は、この解釈の将来性、可能性を信じていらっしゃるそうだ。書かれていることは理解できたが、僕にはそれほど素晴らしいものとは思えなかった。


確かに「観測問題」、「コペンハーゲン解釈」は科学史上のできごととしてあったのは事実であるし、量子力学は初めて学ぶ方には奇妙に思えることが多い。そのような方が本書を読むと、ますます混乱してきそうである。

量子コンピュータが実現するのは遠くない将来のことであり、時代は変わりつつある。EPRパラドックスはもはや不思議ではなく現実の物理現象だと確認されたわけだし、波動関数の収縮(波束の収縮)が全然不思議でないことなど、「コペンハーゲン解釈」に関する現代の解釈について、量子情報理論がご専門の堀田先生( @hottaqu)は、この連投ツイートで解説しているので、本書をお読みになる方にはお読みいただきたい。


そして初めて量子力学に入門される一般の方には、むしろこちらをお読みいただきたいのだ。現時点ではこの本がベストな選択だと思う。詳細はこのページでご確認いただける。

量子論 href="http://www.newtonpress.co.jp/separate/back_physics/mook_171205-1.html" target="_blank">詳細
アインシュタインの反乱と量子コンピュータ: href="https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6-%E9%9D%9E%E5%AE%9F%E5%9C%A8%E6%80%A7-%E9%9D%9E%E5%B1%80%E6%89%80%E6%80%A7-%E7%B2%92%E5%AD%90%E3%81%A8%E6%B3%A2%E3%81%AE%E4%BA%8C%E9%87%8D%E6%80%A7-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%A3%AE%E7%94%B0-%E9%82%A6%E4%B9%85/dp/4062881225/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1520306235&sr=8-1&tag=tonejiten-22" target="_blank">量子力学の哲学―非実在性・非局所性・粒子と波の二重性: href="https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6-%E9%9D%9E%E5%AE%9F%E5%9C%A8%E6%80%A7-%E9%9D%9E%E5%B1%80%E6%89%80%E6%80%A7-%E7%B2%92%E5%AD%90%E3%81%A8%E6%B3%A2%E3%81%AE%E4%BA%8C%E9%87%8D%E6%80%A7-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%A3%AE%E7%94%B0%E9%82%A6%E4%B9%85-ebook/dp/B009GXM2X0/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1520306235&sr=8-1&tag=tonejiten-22" target="_blank">Kindle版)は、これまで提唱された量子力学の解釈には、どのようなものがあったかということを参考までに知りたいという方がお読みになるとよいのだろう。2011年に書かれた本であり、最新の量子力学の成果を反映していないということを念頭に置いて読むべきである。


基礎物理学的な話題では、光子どうしの絡み合いに関連して、3月2日このニュースが発表されていることをお伝えして記事をしめくくろう。

光子-光子相互作用による新しい光の形態を創出 href="https://news.mynavi.jp/article/20180302-592852/" target="_blank">https://news.mynavi.jp/article/20180302-592852/


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量子力学の哲学―非実在性・非局所性・粒子と波の二重性: href="https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6-%E9%9D%9E%E5%AE%9F%E5%9C%A8%E6%80%A7-%E9%9D%9E%E5%B1%80%E6%89%80%E6%80%A7-%E7%B2%92%E5%AD%90%E3%81%A8%E6%B3%A2%E3%81%AE%E4%BA%8C%E9%87%8D%E6%80%A7-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%A3%AE%E7%94%B0%E9%82%A6%E4%B9%85-ebook/dp/B009GXM2X0/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1520306235&sr=8-1&tag=tonejiten-22" target="_blank">Kindle版



はじめに

第1章:量子力学は完全なのか―量子力学のなにが不思議なのか1
- 量子的スクラッチカード
- 色ははじめから決まっていたか?
- 電子を使って考えてみよう
- ミクロの世界には私たちが知らない「なにか」があるのか?
- 1つ目、2つ目の課題
- 余分な仮定
- 3つ目の課題

第2章:粒子でもあり波でもある?―量子力学のなにが不思議なのか2
- 光は粒子なのか波なのか
- 光は波?
- 光はやっぱり粒子?
- 結局、光は粒子なのか波なのか
- 粒子か波かを選択できる?
- 4つ目の課題
- 標準的な解釈とは?
- なにを見るかでなにが見えるかが決まる
- 相補性をどう考えるか
- 各解釈の概要

第3章:不可思議な収縮の謎を解け
- シュレーディンガーの猫
- そもそも測定ってどういうこと?
- ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる?
- 目盛りの一で測定したい場合は?
- 収縮の生じるメカニズム
- 環境との相互作用が大事
- デコヒーレンスはどのようにして起こるか
- GRW理論 vs.デコヒーレンス理論
- 測定による収縮は実験で証明できるか

第4章:粒子も波もある
- ふたたび、粒子か波か
- 粒子は波に乗って
- NO-GO(ノー・ゴー)定理
- 軌跡解釈と状況依存性
- 軌跡解釈と非局所性
- 軌跡解釈と相対性理論

第5章:世界がたくさん
- 状態は収縮しない
- デコヒーレンス理論を応用しよう
- 状態ベクトル
- どの状態で分解するのかはどう決めるのか?
- 確率にどのような意味があるのか
- 確実に金持ちになれる方法があるのだけど...
- 人工頭脳を使って正しさを証明できるか
- ふたたびどの状態で分解するかの問題
- 時間を反転できる「スーパーマン」がいたら?
- 多世界解釈で実在性と局所性は守られたか

第6章:他にもいろいろな解釈がある
- 裸の解釈1
- 裸の解釈2
- 多精神解釈1
- 多精神解釈2
- 単精神解釈
- 一貫した歴史解釈(多歴史解釈)1
- 一貫した歴史解釈(多歴史解釈)2
- 様相解釈1
- 様相解釈2

第7章:過去と未来を平等に考えてみる
- 未来が原因となって現在が決まる
- どのようなときに逆向き因果があるのか
- 因果の向きは主観的か?
- クライン-ゴルドン方程式に注目する
- 未来と過去が握手をする
- 交流解釈でミクロ世界の謎は解決するのか
- 方程式は対称なのに現実は非対称
- 量子力学を時間的に対称にする
- 非局所性をどのようにして避けるか
- 他の解釈の問題点
- 時間対称化された量子力学と多世界解釈
- 従来の量子力学と時間対象化された量子力学
- ハーディーのパラドクス
- マイナス1の確率

読書案内(量子力学の哲学に関する本)
索引

Webサービスの常時SSL化(暗号化)による混乱

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混乱の発端はこれである。

Googleが全面支持する「常時SSL」のSEO対策への影響とは
https://promonista.com/ssl/

SSL化したら検索順位はどうなる?https対応によるSEOへの影響の一例を紹介
http://lifeiscolourful.hatenablog.com/entry/ssl

WebサイトをSSL化(暗号化)しないとGoogle検索で上位に表示されなくなってしまうわけである。暗号化するとWebサイトのURLは http: から https: に変わることになる。

Webサイトの暗号化自体は方向性として正しいのだが、作成済みのサイトにさまざまな影響がでている。個人で運営しているホームページやブログについても同様だ。

この大きな動きに伴い、メジャーなブログサービスやブログランキングサイトも、自身のサイトのSSL化やユーザーSSL対応をうながす動きが2月末から始まっている。その結果、ユーザー側には次のような混乱が生じている。

- ブログランキングのINポイントやPVポイントが増えない、減ってきた。
- ブログのアクセス数が減ってきた。
- アフィリエイト収入が減ってきた。

ユーザーにとって判断や対応が難しいのは、SSL化がブログサービスとブログランキングサービスの両方で、ほぼ同時進行しているからである。

とね日記でも2週間ほど前から、次のような問題が生じていた。

- にほんブログ村での週間INポイントが500くらいから250くらいまで減ってしまった。
- にほんブログ村での日々のPVポイントが6000くらいから100くらいまで減ってしまった。
- 人気ブログランキングでの週間INポイントが500くらいから250くらいまで減ってしまった。


はじめ何が起きているのかわからなかった。新記事を投稿してもINポイントは以前のようには増えない。ブログが不正クリックだと通報されてしまったのかもしれないと疑ったこともある。しかしTwitterで検索してブログやランキングサイトのSSL化が原因だということがわかってきた。

十分とは言えないながら対応策を講じたところ、上の3つの問題は解消しつつある。僕がしたのは次の対策だ。

- 利用している3つのランキングサイトに登録している登録ブログ情報を http: から https: に変更した。
- ランキングバナー(応援クリックボタン)のURLをランキングサイトが新たに提供しているものと置き換えた。ただし、これは記事ごとに行わなければならないので、人気記事の上位50位までについて行なった。これは「にほんブログ村」と「人気ブログランキング」についてのみ作業した。
- にほんブログ村については、PVランキングのためのランキングバナーをランキングサイトが新たに提供しているものと置き換えた。


完璧を期すのなら、2005年以来投稿したすべての記事について対処しなければならない。しかしgooブログではブログ全体に対して文字列変換をするしくみがないため、ひとつずつ記事を開いて検索/置換しなければならないから、現実的には不可能だ。(アメブロは自動的にそのような自動置換をしてくれている。)

ランキングポイント対策は人気記事の上位50位までについてだけ行ったが、それ以外の記事で応援クリックしていただいても、INポイントには反映されない。ブログ全体に対する一括検索/置換機能が提供されることを期待するばかりである。ブログ全体をテキスト形式でエクスポートして、文字列置換後にインポートすればブログが完全な形で復活するという方式でも構わない。

概算したところ人気記事の上位50位までのページ閲覧数は、ブログ全体のページ閲覧数のおよそ50パーセントを占めていることがわかった。今日現在の全記事数は1722なので、ブログ全記事のうち50/1722=3パーセントの記事に全ページ閲覧数の半分が集中していることになる。51位以降については、どの記事が該当するのか調べる手段がないので効果的な対応をすることができない。

今のところgooブログは http: と https: によるアクセスを両方とも許してくれているが、もし将来 http: によるアクセスが禁止されることになると、とね日記で表示している画像はすべて表示されなくなるし、関連記事として載せているページもすべてリンク切れになってしまう。現段階ではこれをいちばん危惧している。


とね日記は書評記事がメインで、本のタイトルでGoogle検索してアクセスされることが多い。gooブログ自体が常時SSL化されたので、Google検索での影響はないのがせめてもの救いだ。

同じ問題はブログを書いている人のほとんどに生じていると思う。SSL化への対応に関しては、利用しているブログサービス、ランキングサービスが公開している情報を参考にしていただきたい。


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基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春

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基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春

内容紹介:
本書は、基礎物理の知識と物理数学の手法を動員してゲージ理論を理解し、素粒子の標準模型の全体像を把握することを目標としている。その根幹となる“素粒子の標準数式”を暗号になぞらえ、その解読に挑むというスタイルを採っている。また、付録に設けた物理数学の内容を充実させることにより、初学者にも読めるように配慮した。
2017年12月刊行、223ページ。

著者について:
川村嘉春
1961年滋賀県生まれ。1985年名古屋大学理学部物理学科卒業。1990年金沢大学大学院自然科学研究科物質科学専攻修了、学術博士、信州大学理学部物理学科助手。1999年信州大学理学部物理科学科助教授。2006年同教授。専攻は素粒子物理学。
川村先生の著書: Amazonで検索


理数系書籍のレビュー記事は本書で359冊目。

昨年末から少しずつ読み進めて、ようやく読了した。大学1年の力学から順番に学び、素粒子の標準模型の理解までたった1冊で終えてしまおうという意欲に満ちたテキストである。

素粒子の標準模型の数式はNHK「神の数式 完全版」全4回で取り上げられた。(動画検索




新学期を来月に控え、最近はTwitterで #新入生に勧める数学書2018#新入生に勧める物理学書2018 というタグで教科書を勧めるのが流行っている。

数学書で僕がお勧めしたいのは、田崎先生が無料で公開している『数学:物理を学び楽しむために』というPDF文書と『数学ガイダンス2018』だ。この2冊で大学で学ぶ数学をほぼ網羅する形で知ることができる。

数学ガイダンス2018 数学セミナー増刊」(詳細




そして物理学専攻の新入生にお勧めしたいのが「基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春」なのだ。物理学科で学ぶ基礎物理学の内容をほとんど紹介している。本書で学べるのは次のような項目だ。

ニュートン力学、解析力学、量子力学、特殊相対性理論、相対論的量子力学、場の量子論、電磁気学、量子電磁力学、ヤン・ミルズ理論、電弱理論、量子色力学、標準模型

あと本書で足りない基礎物理学の分野は、次の3つ。これらは他の本で学ぶとよいだろう。

熱力学、統計力学(古典統計、量子統計)、一般相対性理論


またそれぞれの分野を個別に学び終えている人には知識の整理に役立つし、院試対策のためにも有効だ。

本書の「まえがき」は出版社のページでご覧いただける。

臨時別冊・数理科学2017年12月
「基礎物理から理解するゲージ理論」~ ”素粒子の標準数式”を読み解く ~
http://www.saiensu.co.jp/index.php?page=book_details&ISBN=4910054701272&YEAR=2017


220ページあまりの本にもかかわらず、とても丁寧に解説している。文章と数式の割合は半分くらいずつ。数式の導出も省略されていない。しかし、まったくの初学者がこれ1冊で大学の基礎物理をすべて学んでしまおうというのには無理がある。「学問に王道なし」であるのは間違いなく、世の中そう甘くはない。

新入生の方は書店でご覧になってからお買い求めになるのがよいだろう。


関連記事:

素粒子標準模型入門: W.N.コッティンガム、D.A.グリーンウッド
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/522960c6eb852df961348fee76463852

「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa

超弦理論への最短ルート: 40冊の物理学、数学書籍
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d8deb00ae3b5b9e0e9a04f3c3ecfb11e

超弦理論に至る100冊の物理学、数学書籍
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d37fe65a84df23cca2af7ecebb83cfc6

相対論的量子力学 (量子力学選書): 川村嘉春
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/df0329251637a27bc5545d435a598ab3

大学で学ぶ数学とは(概要編)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55


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基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春



第1章 素粒子の標準数式
  1.1 素粒子の標準数式とは
  1.2 解読の手順
  1.3 本書の目的をもう一度

第2章 古典物理学
  2.1 ニュートン力学
  2.2 解析力学
  2.3 場の解析力学
  2.4 特殊相対性理論
  2.5 振り返りと見通し

第3章 量子物理学
  3.1 量子力学
  3.2 相対論的量子力学
  3.3 場の量子論
  3.4 振り返りと見通し

第4章 電磁相互作用の理論
  4.1 電磁気学
  4.2 量子電磁力学
  4.3 振り返りと見通し

第5章 ゲージ理論
  5.1 ゲージ原理
  5.2 量子電磁力学の導出
  5.3 ヤン・ミルズ理論
  5.4 ゲージ場の一般論
  5.5 振り返りと見通し

第6章 弱い相互作用の理論
  6.1 物質粒子のプロフィール
  6.2 弱い相互作用
  6.3 弱い相互作用を記述するゲージ群
  6.4 ヒグス機構
  6.5 電弱理論
  6.6 振り返りと見通し

第7章 強い相互作用の理論
  7.1 強い相互作用
  7.2 量子色力学
  7.3 漸近的自由性
  7.4 クォークの閉じ込め
  7.5 カイラル対称性の破れ
  7.6 振り返りと見通し

第8章 素粒子の標準模型
  8.1 標準模型
  8.2 小林・益川模型
  8.3 ニュートリノの物理
  8.4 標準模型の謎
  8.5 展望

付録A 本書の理解を助ける物理数学
  A.1 ベクトル
  A.2 微積分
  A.3 関数
  A.4 テンソル
  A.5 線形代数
  A.6 ベクトル解析
  A.7 群論
  A.8 ファイバー束の幾何学

付録B ギリシア文字と専門用語

参考文献
索引

ホーキング博士の訃報に接し (Stephen Hawking passed away)

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先月ポルチンスキー博士の訃報(記事)を書いたばかりなのに、また悲しいお知らせを書くことになりました。一般向けのニュースでも報じられるほど、ホーキング博士の業績、生き方は私たちの心に深く刻まれています。


宇宙物理学者として博士のご専門のブラックホールは、アインシュタイン博士の一般相対性理論から予言されたものであり、2016年の重力波の直接観測(記事)により存在が実証されました。アインシュタイン博士の誕生日にお亡くなりになったことにも不思議な縁を感じます。

私たちには2013年12月にNHKで放送された「神の数式」(動画検索)という番組で、ブラックホールの無限大の謎を提示するお姿、ブラックホールの中心で発生する謎の熱についての難問を投げかけていた先生として印象に残っています。そしてこの謎はポルチンスキー博士が発見した超弦理論のD-ブレインによって説明できるようになりました。(動画1動画2

ご訃報に接し、心から哀悼の意を表します。


【宇宙ドキュメンタリー 2016 - 2017】- ホーキング博士の宇宙


ホーキング博士「膜宇宙論」 Part 1 (再生リスト



【追悼・ホーキング博士】
昨年放送した、NHKコズミック フロント☆NEXT「ホーキング博士の提言 100年以内に宇宙へ」を、今夜と来週の2回にわたって放送します。

3/14(水)、3/21(水) 夜 11:45 BSプレミアム
http://www4.nhk.or.jp/cosmic/x/2018-03-14/10/5559/2120191/


とね日記では、博士がご存命のうちに著書の紹介をすることができませんでした。せめてもの償いに、著書の一括検索リンクを設けておきます。

ホーキング博士の著書:

日本語版(書籍): Amazonで検索
英語版(書籍): Amazonで検索
日本語版(Kindle版): Amazonで検索
英語版(Kindle版): Amazonで検索


科学者であるとともに、重度の障がい者として、そしてひとりの人間として人生を前向きに生きるためにさまざまな発言をされています。博士が残してくださった言葉をしっかり受け止め、僕もこれからの人生に活かしていきたいと思います。

名言・格言『スティーヴン・ホーキングさんの気になる言葉・英語』
http://iso-labo.com/labo/words_of_StephenWilliamHawking.html

ホーキング博士に関する名言集・格言集
http://meigen.keiziban-jp.com/ホーキング博士

偉人 スティーヴン・ホーキング 名言集(英訳付)|心の常備薬
http://medicines.aquaorbis.net/meigen/kaigai/gakusya-e/stephen-hawking

ホーキング、科学と人生を語る:スティーヴン・ホーキング名言集
https://www.lifehacker.jp/2015/10/151024stephen_hawking_quotes.html


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天に向かって続く数: 加藤文元、中井保行

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天に向かって続く数: 加藤文元、中井保行

内容紹介:
やさしい数遊びから出発し、現代数学で重要な役割をはたす《p進数》まで、ゆっくりじっくり学ぶ。初等整数論の好入門書でもある。
2016年9月刊行、216ページ。

著者について:
加藤文元: HP: http://www.math.titech.ac.jp/~bungen/index-j.html
1968年宮城県仙台市に生まれる。1993年京都大学理学部卒業。1997年京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻博士後期課程修了。その後、九州大学大学院数理学研究科(当時)助手、京都大学大学院理学研究科准教授、熊本大学大学院自然科学研究科教授を経て、東京工業大学理学院数学系教授。理学博士。専門は数論幾何学。
加藤先生の著書: Amazonで検索

中井保行
1951年京都市に生まれる。1974年京都大学工学部化学工学科卒業。1976年京都大学大学院工学研究科修了。その後、三菱重工業高砂研究所勤務を経て、高校教師となり、現在、京都府立嵯峨野高等学校教諭。京都府立高等学校数学研究会役員、京都府高等学校数学研究会役員。


理数系書籍のレビュー記事は本書で360冊目。

本書は2016年の秋に発売され、加藤先生(@fumiharukato)のツイートを見てすぐ購入していた。いつものことながら僕は読み始めるまでの積読期間が長い。なぜだろう?と不思議に思う。

p進数に入門するまでを数遊びの段階から順に積み上げ、じっくりゆっくりと進んでいく本だ。理工系の大学生ならば教養書レベル、数学と無縁な人ならば専門書だと感じる難易度である。

共著者の中井先生が教鞭をとられている京都府立嵯峨野高等学校で、加藤先生は本書で紹介されるペレリマン数列からp進数にいたる講義をしたことがあり、その内容を二人で本に書いてみようということになったという。これが本書誕生の経緯である。つまり高校生でも理解できる本だと言ってよい。

でも、ツイッターでときどき目にするp進数って何だろう?

p進大好きbot(@non_archimedean)やp進大好きbot大好きbot(@von_archimedean)というアカウントがあるくらいだし、何か特別なものということはわかる。しかし、次のような説明では何のことかさっぱりわからなかった。

小学生の頃、周りに「p進がわからない」と言っている子供は一人もいなかった。つまり皆小学生の頃からp進が分かっていたのだ。

p進はですね...。数学の、数論と言われる値域に過ごしていまして、付値や位相が、超距離から入りますので、そういったところで議論しやすいように、p進、あの、完備付値体」で。であと濃度も大きいので、多くの超越数を持つように、全不連結ぅ...ですかねぇ...。


よくありがちな勘違いとしては、pはprimeで素数だからp進数は「2、3、5、7...など素数を基数とした位取り記数法」だという解釈。でも、これだと十進数と本質的に違いはないから見当はずれだとすぐわかる。

本書のテーマは「数を拡張していくこと」だ。私たちが学び、慣れ親しんできた「自然数→整数→有理数→実数→複素数」、そしてさらに「→四元数→八元数→十六元数→...→2^n元数」という拡張の道筋以外にも「数」と認めてよいものがあること、それがp進数であることを紹介しているのだ。

p進数(p-adic number)とは、1897年にクルト・ヘンゼルによって導入された、数の体系の一つである。結論から言うと、私たちが知っている数に対してp進数はこのような関係をもって存在している。(画像は本書からの引用)



Zpはp進整数環、Qpはp進数体と呼ばれていて、それぞれ整数、有理数を拡張したものとなっている。「環」や「体」が呼び方に含まれていることからわかるように、この2つのグループのp進数は、それぞれ整数や有理数で成り立つ計算規則を満たしている。「計算することができる記号」を数と考えるならば、p進数を数と認めてよいことになる。

本書の章立ては次のとおり。

第1章:2乗してもとにもどる数
第2章:初等整数論の基礎
第3章:ペレリマン数列
第4章:無限m進数とp進数
付録A:補遺
さらに進んだ内容を知りたい読者へ

第1章は、いわゆる「数遊び」である。ここで紹介される誰でも目にしたことがある数遊びにp進数へ至るための出発点があったのだ。

5を2乗すると25で下1桁が5で同じ
25を2乗すると625で下2桁が25で同じ
625を2乗すると390625で下3桁が同じ

これって偶然だろうか?また6でも同じようなことがおこる。

6を2乗すると36で下1桁が6で同じ
76を2乗すると5776で下2桁が同じ
376を2乗すると141376で下3桁が同じ

このように「下m桁が同じ」ということは、ずっと続くのだろうか?もし、ずっと続くとしたらその数は数が一致しない部分も含めて桁数がどんどん大きくなっていく。本書のタイトル「天に向かって続く数」とは、そのように無限桁に増えていく数という意味合いからつけられている。

第2章はいわゆる「初等整数論の基礎」。「初等初等整数論」と言ってもよい。本書でカバーしている範囲を僕は「素数夜曲―女王陛下のLISP:吉田武」で学んだから、すらすら読み進んだ。次のようなことを学ぶわけである。

- 約数と倍数
- ユークリッドの互除法
- 素数と合成数
- 素因数分解の一意性
- 合同式
- 二項定理
- 二項係数と合同式
- オイラーの定理
- 中国式剰余定理
- 10進数とm進数

ここまでの段階で「天に向かって続く無限自然数」は「数かもしれない」ほどの存在である。この無限m進数は第3章以降、証明を積み重ねることで「数もどき」になり、最終的に「数と呼んでもよい」ほど確固たる地位を獲得していくのだ。

そもそも「2乗してもとにもどる数」を方程式で書けばx^2=xのことであり、変形すると

x^2-x=0
x(x-1)=0

だから、実数の範囲ではx=0または1である。この2つの解をAとBということにすれば、この2次方程式の解と係数の関係により、次が成り立っている。

A+B=1
AB=0

本書ではこのA、B以外に「2乗してもとにもどる数」が存在しているというのだ。それも2つである。この「数もどき」の無限m進数をPとQとすれば

P+Q=1
PQ=1

ということになる。詳細は省くが「第3章:ペレリマン数列」と「第4章:無限m進数とp進数」で、無限m進数のmを素数に制限して「p進整数となって整数で成り立つ計算法が満たされることを確認し、さらに割り算を導入することで「p進有理数」であることが明らかにされていく。

そのための証明はとても丁寧に書かれているので理系の素養がある高校生以上ならば、ついていけるだろう。数学とは無縁な方は証明の箇所を飛ばしてお読みになってもよい。大筋はつかめるはずなので、どのように話が進んでいくかを理解できるはずだ。話の流れを追うだけでも満足できると思う。

ペレリマン数列とは本書で解説される無限m進数のことで、白ロシア(現在のベラルーシ共和国)生まれのヤコフ・イシードロヴィッチ・ペレリマンが1911年を皮切りに出版したシリーズのうち『おもしろい数学教室』の94ページのに「2乗しても変わらない無限につづく数」として紹介されているものだ。

ネット上でp進数について本書に比較的近くやさしめな説明をしているページには、次のようなものが見つかった。難しめな説明をしているページはたくさんあるので「p進数で検索」してみるとよい。

p進展開について
http://d.hatena.ne.jp/lemniscus/20111206/1323165927

無限桁の数・無限に数字が続く数 p-進数への足がかりとして
http://materia.jp/blog/20080121.html


「さらに進んだ内容を知りたい読者へ」で、p進数を学ぶために和書2冊、洋書2冊が紹介されている。また、p進数解析、p進数解析幾何学を学ぶための和書として加藤先生ご自身の著書も紹介している。

p進数は現代数学において基本的かつ必要不可欠な概念のひとつになっている。p進数が使われているのは整数論だけではない、幾何学や解析学においてもp進数は重要な役割を果たしているのだ。

数論講義:J-P.セール
数論〈1〉Fermatの夢と類体論:加藤和也、斎藤毅、黒川信重
A Course in p-adic Analysis: Alain M. Robert」(Kindle版
p-adic Numbers: An Introduction 2nd Edition: Fernando Quadros Gouvea」(Kindle版
リジッド幾何学入門:加藤文元


僕としては、次の本もお勧めしたい。未読なのにお勧めするのは無責任だと思い、1冊注文しておいた。今回、積読本は1冊減ったわけだが、1冊注文したので積読本の冊数は変わらない。

整数論1: 初等整数論からp進数へ: 雪江明彦




以上が本書の内容である。加藤先生は数学者でいらっしゃるから数学の範囲でお書きになっている。

しかし、この不可思議な数は数学以外に何の役に立つのだろうか?現実の世界とかかわりをもっているのだろうか?物理学で使われるのだろうか? どうしてもそう思ってしまう。

調べてみると意外なことに(まだ理論や仮説の段階ではあるが)現代物理学と強いつながりがあることがわかった。

たとえばウィキペディアの「p進数」や「p-進量子力学」という項目をお読みになるとよい。

この中に次のようなことが書かれている。

プランク長よりも小さな(領域の)幾何学やトポロジーは、通常の幾何学やトポロジーには関係する必要がないと考えた。一方、まさに花の色が原子から出現するように、通常の幾何学やトポロジーがプランク長よりも小さな領域の幾何学やトポロジーから出現すると考える者もいる。現在、この問題への多くのフレームワークが提案されていて、p-進解析はその中でいくつかの完成されたものを持つ妥当な候補である。

鍵となるのはp進数の離散性である。有理数と同様、p進数は実数のように連続した数ではない。

先日紹介した「量子的世界像 101の新知識: ケネス・フォード」という本の紹介記事の中で「時空の量子化」や「プランクスケールでの空間の幾何学」について言及したが、この極微の世界の離散的な在り様を解き明かすために、p進幾何学や離散的なフラクタルポテンシャル井戸におけるエネルギーの振る舞いが使えるのではないかというアイデアである。



このほかp進数、p進解析は「場の量子論」、「経路積分」、「ローレンツ群のp進一般化」、「弦理論で対称性を交叉させるヴェネチアーノ振幅」、「p進表現論」などでの応用が研究されているようだ。


加藤先生、中井先生、本当は難しく深淵なp進数をやさしくかみ砕き、多くの人が読める形でご紹介いただき、ありがとうございました。とても興味深く読むことができました。


関連記事:

数学する精神―正しさの創造、美しさの発見: 加藤文元
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4d706bf3aeba7eb5fe876b55b8a8496c


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天に向かって続く数: 加藤文元、中井保行



第1章:2乗してもとにもどる数
- ある発見
- 2乗してもとにもどる数
- 天に向かって続く数
- この本の内容

第2章:初等整数論の基礎
- 数の概念
- 初等整数論とは
- 割り算
- 約数と倍数
- ユークリッドの互除法
- 互除法の応用
- 素数と合成数
- 素因数分解の一意性
- 素因数分解の一意性の応用
- 合同式
- 1次合同式
- 二項定理
- 二項係数と合同式
- オイラーの定理
- 中国式剰余定理
- 10進数とm進数

第3章:ペレリマン数列
- ペレリマン数列
- 第一の定義
- 第二の定義
- 第三の定義
- 解と係数の関係もどき

第4章:無限m進数とp進数
- 数に対する新しい見方
- 無限m進数
- 無限m進数の計算
- 無限m進数と1次方程式
- 無限m進数と分数
- ヘンゼルの補題
- 無限m進数の体系
- p進整数
- p進数
- p進数と近似

付録A:補遺
- 整域上のn次方程式の解の個数
- <無限桁数>中国式剰余定理と<解と係数の関係もどき>
- n乗してもとにもどる数
- 有理数の無限m進表示
- 分数べき二項定理とp進数

さらに進んだ内容を知りたい読者へ

あとがき
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