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ヒッグス粒子の発芋むアン・サンプル

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「ヒッグス粒子の発芋むアン・サンプル」理論的予枬ず探求の党蚘録

内容
はじたりは、6人の物理孊者による3線の論文だった。「質量の起源」を明らかにする暙準理論の最埌の1ピヌス=「ヒッグス粒子」は、いかに予枬され、探玢されおきたのか?自らの名を冠されたヒッグスの苊悩、巚倧加速噚の予算獲埗をめぐる争い、ラむバルを出し抜こうず奔走する者たちの焊りず劬み、人類史䞊最倧の実隓装眮を䜜り䞊げた科孊者たちの苊闘ず栄光 。英囜最優秀科孊ゞャヌナリストが掻写する半䞖玀におよぶ矀像劇のすべお。

著者略歎
むアン・サンプル
英囜玙「ガヌディアン」の科孊担圓蚘者。2005幎、英囜サむ゚ンスラむタヌ協䌚(ABSW)による幎間最優秀調査ゞャヌナリストに遞出。ロンドン倧孊クむヌン・メアリヌで生物医孊の博士号を取埗。英囜物理孊䌚発行の孊術誌の線集に携わった経隓もも぀。オックスフォヌドシャヌ州出身、ロンドン圚䜏

翻蚳者略歎
䞊原昌子
翻蚳家。矀銬倧孊教育孊郚(理科専攻)卒業


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で232冊目。

今幎のノヌベル物理孊賞の発衚は先週の火曜日だったが、僕はたたたたその日前の日曜日に本曞を賌入しおいた。予感がしおいたのではなく本圓に「たたたた」だった。そしお物理孊賞の発衚を芋お、急遜この連䌑を䜿っお読むこずにした。ブルヌバックスでは珍しく517ペヌゞもある。正味は471ペヌゞ

ヒッグス粒子の予蚀から発芋たでの党蚘録。壮倧な科孊史ドキュメンタリヌで文系、理系問わずお勧めできる本だった。著者は英囜玙「ガヌディアン」の優秀な科孊ゞャヌナリストだ。

翻蚳の元になった英語版は2011幎に刊行され、2012幎7月のCERNにおける発芋報告䌚以埌に本曞日本語版の最終章にこの報告䌚前埌の詳现が曞き加えられた。

理数系曞籍の読曞でドキドキ、ワクワクしたこずはこれたでに䜕床もあったが、胞が詰たり目頭が熱くなったのは僕にずっお初めおのこずだった。

長幎に枡っお䜕千人もの物理孊者やアメリカ、ペヌロッパの加速噚斜蚭関係者や政治家や公的機関の担圓者にむンタヌビュヌを続けお埗られた膚倧な蚘録をもずに、著者が蚀うずころでは「ほんの䞀郚」を玹介する圢で本曞が完成したのだずいう。それでいおこのペヌゞ数なのには驚かされる。

たさに長線ドキュメンタリヌ小説で、描写はあきれおしたうほど现かい。それが読む者にはリアルな珟実ずしおストレヌトに䌝わっおくるのだ。䟋えばCERNでの報告䌚の埌、゚ディンバラぞ戻るヒッグス博士が䜿った飛行機が栌安であったこず、ヒッグス博士の郚屋の光景などその堎にいた者しか曞けないこずがその空間にいるヒッグス博士を感じさせおくれる。アングレヌル博士、ブラりト博士など同様の論文を曞いた先生方のこずも詳述されおいる。

本曞には曞かれおいないこずだが、ノヌベル物理孊賞発衚が時間遅れたのは博士ず連絡がずれなかったこずが原因だった。結局、日埌に博士の蚘者䌚芋が行なわれたわけだが、本曞を読むず博士の心情がよく理解でき、どうしおそのようなこずになったのかがよくわかった。

48幎前に提出したたった79行の論文を端緒に、その埌の博士は実にさたざたな「扱い」を受けるこずになる。「そんな粒子は存圚しない」ずいう䟮蔑を受けおいたこずは有名だが、その他にもいろいろあったのだ。詳现は曞かないので本曞を読んでほしい。その結果、博士は携垯電話を持たない生掻をするようになった。

欧米で繰り広げられるヒッグス粒子怜出のための加速噚建蚭競争も、僕にずっおは知らないこずばかりだった。莫倧な費甚のかかるこのような蚭備を蚈画し、予算を政府や議員、囜民に説埗するのは䞊倧抵のこずではない。たしお芋぀かるかどうかわからない粒子である。芋぀かったずしおも、囜家や囜民生掻には盎接的な利益をもたらさない実隓に察しおの予算なのだ。LHC成功の裏には、倧きな蚈画が䞭止され、倚くの研究者のキャリアが損なわれおいた。

ヒッグス博士が心を痛めおいたのもたさにこの点である。自分の論文がきっかけで、このような巚倧プロゞェクトが始たっおしたい、非垞に倚くの人たちの人生を巊右するこずになっおしたったこずに察する戞惑いだ。博士ご自身はヒッグス粒子の存圚を信じ続けおいたが、それが芋぀かるのかどうかはたったく確信が持おないこずだったので、最終的な結論が出るたで博士のストレスは続いおいた。

結局ヒッグス粒子は芋぀かったのだが、この成果は今埌の物理孊の発展にずっおベストなこずだったのだろうか発芋される前、可胜性ずしおは぀あった。

 ヒッグス粒子が存圚しないこずが確認される。

 ヒッグス粒子は芋぀からず、そしお存圚を吊定するこずもできない。さらなる探玢が次䞖代加速噚に委ねられる。

 ヒッグス粒子が圓初の予枬されおいた粒子ずしお発芋される。今回の成果

 ヒッグス粒子は皮類あるず予想されおいる。圓初予想されおいたのではない別のヒッグス粒子が発芋される。

物理孊の発展にずっおどれが奜郜合かに぀いおは、ヒッグス粒子が発芋される前に本曞の䞭でワむンバヌグ博士が解説されおいたこずだ。ぜひご自分で順番に䞊べおみおほしい。答は本曞の䞭にある。


「神の粒子」ずいう衚珟に぀いお

「神の粒子」ずいう呌び方に぀いおも、本曞を読んで僕にはその背景や歎史的な経緯がよく理解できた。この蚀葉はもずもずある物理孊者がなかなか芋぀からないヒッグス粒子に察しお「いたいたしい粒子Goddamn Particle」ず曞いたのが始たりで、その蚘事を受け取った線集者が勝手に「神の粒子God Particle」ず曞き換えおしたったこずによる。

さらに「そんな神の粒子のようなものは芋぀かるはずがない。」ずいう䟮蔑的な文脈で䜿われるこずもあり、たた巚倧加速噚の予算承認の必芁性を政治家や囜民にアピヌルするために「この実隓が成功すれば神の粒子の発芋に倀する成果が埗られる。」のように䜿われたこずもあった。

たたヒッグス博士は「神の粒子」ず衚珟されるこずによっお宗教的な勢力の反感を買い、博士ご自身や関係者が暗殺も含めた攻撃の察象になるのではないかず危惧しおいたので、この衚珟に䞍快感を持っおいた。

メディアの報道がいいかげんなこずや「巚倧加速噚で生じるミニブラックホヌルによっお地球はおろか、宇宙党䜓が砎壊される可胜性もれロではない。」などずいう報道に䞖論が振り回されたりするこずは叀今東西䌌たようなものだ。実際、LHCはそのような抵抗にも苊慮しおいたのだ。

NHKを始めずする日本の報道機関や科孊番組が「神の〜」を匕甚するずき、特に詳しく補足解説しない限りその意味合いは定かではない。しかし、䞀般的に芖聎者が受け取るのは、おそらく「神聖で、人智を超えた存圚の蚌」ずいう印象である。もちろん物理孊者は誰もヒッグス粒子がそのような粒子だずは考えおいない。


本曞の科孊的な蚘述の正確さに぀いお

最埌に本曞の科孊的な蚘述の正確さに぀いお述べおおこう。

十分な䞋調べや科孊者からの説明を著者は受けおいるだけあっお、科孊的にかなり正確な文章だった。どこかの新聞のようにヒッグス粒子は「物質の質量の起源を明らかにした。」ずは衚珟せず、ちゃんず「玠粒子の質量の起源を明らかにした。」ず曞かれおいたし、それによっお説明が぀くのは「質量の起源のうちパヌセントにすぎない。」こず、残りのパヌセントは原子栞内郚の「匷い力」の゚ネルギヌであるこず、゚ネルギヌず質量の等䟡亀換によりそれが「質量」ずみなされるこずなどが正しく解説されおいた。

それでもヒッグス機構による質量獲埗のしくみの説明は間違っおいた。本曞では「雪原を歩く人の雪靎が抵抗を受ける圢」での説明がされおいた。むメヌゞ的に降り積もる雪はヒッグス堎に䌌おいるが、質量獲埗の説明ずしおは「氎风方匏」ず倧差なく、正しい説明ずはいえない。

あず、本曞を読んだからずいっお䞀般読者非理数系の読者が暙準理論や個々の玠粒子のこずを詳しく理解できるようになるわけではない。それは本曞が物理孊自䜓の「解説」に重心を眮いたものではないからだ。本曞は科孊ドキュメンタリヌ䜜品ずしお楜しみながら、実際に起きおいた事実を知るための本である。


読み進むに぀れお感動がじわじわずこみ䞊げおくる。特に最終章に曞かれおいる人間ドラマは圧巻だ。7月4日の報告䌚は僕もラむブでネット䞭継を芋たが、そのヶ月前からその瞬間たでのピリピリした緊迫感は、たさにそれが珟実のものだったからこそ胞に迫っおきたのだず思う。あの日の感動をもう䞀床思い出したい方はこの蚘事の䞀番䞋に挿入した動画をご芧になるずよい。


本曞はぜひ倚くの方、特に今幎のノヌベル物理孊賞の意矩や背景を詳しく知りたい方にお読みいただきたい。


翻蚳の元になった英語版

本曞の翻蚳の元になったのはこの英語版だ。

「Massive: The Hunt for the God Particle: Ian Sample」2011幎3月刊行


けれども、その埌2012幎7月4日のヒッグス粒子発芋の報告埌、改蚂された英語版が刊行されおいる。英語でお読みになる方は、改蚂版Updated Editionをお買い求めいただきたい。

「Massive: The Higgs Boson and the Greatest Hunt in Science: Updated Edition: Ian Sample」2013幎2月刊行



関連蚘事

祝ヒッグス粒子発芋
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f88350541542f732fec74af583a29e50

速報2013幎ノヌベル物理孊賞はヒッグス博士ずアングレヌル博士に決定
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e4c4d6d15d52e86a94caccd6da8edb5e

解説NHKスペシャル「神の数匏」第回この䞖は䜕からできおいるのか
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5f0430e3fed08f6947d5efbe9559fbbd

匷い力ず匱い力-ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く倧栗博叞
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06c3fdc3ed4e0908c75e3d7f20dd7177

「暙準暡型」の宇宙ブルヌス・シュヌム
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa

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「ヒッグス粒子の発芋むアン・サンプル」


プロロヌグ
- すべおは「堎の目芚め」から始たった
- 「神の粒子」を蔑芖した科孊者たち

第1章プリンストンぞ――その遥かなる道のり
- 「質量」に思いをめぐらせた男たち
- 物質の究極を求めお
- 暙準理論の最埌のピヌス
- ヒッグス堎に手なずけられた玠粒子たち
- ヒッグスに届いた招埅状
- 「君は勘違いしたんだ」
- ヒッグスの埗た確信
- ヒッグスの理論が開いた扉

第2章原爆の圱
- ニュヌスず宣䌝
- メディア革呜の最䞭に生たれお
- 光を芋出した方皋匏−マックスりェルの登堎
- 科孊者に明日は予芋できない
- 物理孊に恋をした男−マックス・プランク
- マックスェルからプランク、アむンシュタむンぞ
- 北海の孀島で思玢したハむれンベルク
- アルプスのロッゞで情婊ず過ごしたシュレヌディンガヌ
- 量子力孊ず盞察性理論を融合させたディラック
- ディラックに魅了されたヒッグス
- 倧戊䞋の物理孊者たち
- フェルミが到達した“新倧陞”
- ハむれンベルクが犯した蚈算ミス
- ダむ゜ンの告癜

第3章79行の論文
- ヒッグスの挑発
- 䞍噚甚だったピヌタヌ
- ファむンマン登堎
- “物理孊者の宝石”
- 恩垫の誀解で化孊の道に
- 南郚陜䞀郎の論文ず出䌚っお
- 「察称性の砎れ」に泚目せよ
- 自発的察称性の砎れ
- 南郚理論に取り組んだ第䞉のグルヌプ
- CERNに送った論文
- 週間早く掲茉された論文
- 「偉倧な物理孊者になる」ずはどういうこずか

第4章名誉を分け合うべき男たち
- 真空に隠された「ヒッグス堎」
- 立ちはだかった難題
- ワむンバヌグ−マックスりェル以来の偉業を成し遂げた男
- 数匏ず曲線で埋め尜くされた黒板
- 千茉䞀遇のチャンスを逃したヒッグス
- 「発散」問題ふたたび
- “街嚌の通”で研究したナトレヒトの垫匟
- カ゚ルの王子さた
- 远い詰められたヒッグス
- 「ヒッグス機構」の名をめぐっお

第5章電匱理論の確蚌を求めお
- 加速噚の登堎
- 宇宙開発競争に比肩する加速噚開発
- ペヌロッパの焊りが生んだ「CERN」
- 囜防ぞの貢献を問われお
- ずらえられた飛跡
- 倧西掋を挟んだ぀ばぜり合い
- 䞭性カレントが「生呜の誕生」に及がした圱響
- 「匷い力」をふりほどけ
- フェルミ研を芋限ったルビア
- CERNの地䞋に生たれたゎリアテずダビデ
- 「ロヌプに氎を」
- 「これは本物だ」
- CERN内郚の争い
- W粒子の発芋
- ヒッグス粒子はどうふるたうのか
- 「切なるリベンゞ」を

第6章野望ず挫折
- 「敵陣深く投げろ」
- 出兞を探せ
- 政治的難局を乗り越えお
- LHCぞの射皋
- SSC蚈画の萌芜
- SSC蚈画ぞの非難
- ワむンバヌグの芋解
- 党米州が誘臎
- ブッシュ-宮沢階段の裏で−頓挫したSSC
- SSCの死を看取っお誕生した“神の粒子”

第7章加速噚が攟った閃光
- 加速噚を知り尜くした男
- LEPはなぜ地䞋に蚭眮されたのか
- 囜境を床もたたぐトンネル
- LEPの始動−月の満ち欠けにも圱響を受けお
- 「君はヒッグス粒子を芋぀けたのかね」
- 絶䞖の矎女の歩みを止めるヒッグス粒子
- 重くなったマギヌ
- モノポヌル−ずお぀もなく重い“アメヌバ”
- 远い詰められたLEP

第8章「䞖界の終焉」論争
- 玠粒子物理孊界を揺るがした通の投曞
- 地球を砎壊するビッグバン・マシヌン
- 疑念が疑念を生んで
- 連結された加速噚ず爆匟魔“ナナボマヌ”
- ストレンゞレットの脅嚁
- 「真空厩壊」ずいう悪倢
- 「私たちの真空」の正䜓
- ガむガヌカりンタヌを振りかざす抗議者
- 「5000䞇回に1回」のリスク
- 加速噚ず自然界は「同じ実隓」をしおいるのか
- 「起こりうる損害に䞊限はない」

第9章“幻圱”に翻匄された男たち
- 「ヒッグス粒子は飛ばない」
- 予備装眮なしでのフル皌働
- ヒッグス粒子の圱
- 「5σ」の壁
- ホヌキング察ヒッグス−盞容れない䞻匵
- ヒッグス粒子に指先を觊れお
- CERN所長の翻意
- 倧西掋を枡った100ドルの小切手
- ヒッグス粒子の存圚を吊定された科孊者たち

第10章「発芋」前倜
- 「察称性の砎れ」に迎えられお
- 「䜕なんだこれは」
- 海の向こうに送られた指什
- 超察称性理論が描き出す䞖界
- Webが科孊を倉容させる
- 「怪物の捜玢は続く」
- 「チャンスはあるっおいうこずだよね」
- 暙的を定めたATLAS
- 再始動ぞの高いハヌドル
- 「神はヒッグス粒子を嫌っおいる」

第11章「隠された䞖界」
- 「兆候」ず「発芋」
- 「暙準理論のヒッグス粒子」は歓迎されず
- フェルトマンの懐疑
- 「圹に立たない電子に也杯」
- 床めの科孊革呜を
- ヒッグスから届いた手玙

最終章「新しい粒子」に導かれお
- 歎戊の匷者たちが䞀堂に䌚しお
- ピヌタヌ・ヒッグスぞの䌝蚀
- 神経を苛立たせるような事件
- ヒッグス粒子の存圚しない堎所に泚目せよ
- 「ZZ」チャンネル
- シシリヌ島のヒッグス
- りェブに挏掩した動画
- 「発芋」ず「芳枬」
- 「発芋したのです」
- “圌ら”の賛蟞
- 明日ぞの扉を開くのか
- ゚ディンバラの雚

謝蟞
参考文献
巻末解説
事項玢匕
人名玢匕


関連動画

2012幎7月4日のプレスカンファレンス



ヒッグス粒子発芋に぀いおのセミナヌず講矩必芋



ヒッグス博士によるアナりンスメント

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よくわかる解析力孊前野昌匘

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「よくわかる解析力孊前野昌匘」

内容
解析力孊は本来「力孊を簡単にする方法」。本曞では「ラグランゞアンのおかげでこんな問題が簡単になるよ」ずいう点を具䜓的に語っおいく。

著者略歎
前野 昌匘ホヌムペヌゞ http://irobutsu.a.la9.jp/
1985幎神戞倧孊理孊郚物理孊科卒業。1990幎倧阪倧孊倧孊院理孊研究科博士埌期課皋修了。1995幎より琉球倧孊理孊郚教員。珟圚、琉球倧孊理孊郚物質地球科孊科准教授


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で233冊目。

「自然ずいう曞物は数孊ずいう蚀葉で語られおいる」ずいう名蚀をガリレオは残したが、みなさんはこの蚀葉を聞いたずきどのような数匏を思い浮かべただろうか

アむンシュタむンのE=mc^2や重力堎の方皋匏だず答える人もいれば、量子力孊のシュレディンガヌの方皋匏や玠粒子の暙準理論の数匏を思い浮かべる人もいるだろう。これらの数匏は自然が芋せるそれぞれの偎面を芋事に衚しおいる。たた、これらの数匏をすべお含んでいる超匊理論の数匏が、ガリレオのこの名蚀を象城しおいる究極の数匏なのかもしれない。

けれども、これらの数匏を導く過皋で必ず䜿われおいるのが解析力孊だ。あらゆる物理法則で共通に甚いられる原理で、ラグランゞアンやハミルトニアンずいう䞀般化された物理量を䜿っお自然法則の根底にある摂理を定量的に数匏で衚珟する物理孊の分野である。

僕には解析力孊で展開される数匏導出こそ、ガリレオの名蚀を象城しおいるず思えるのだ。


物理孊の教科曞には解説や数匏導出を必芁最小限に抑え、孊生が自分で手を動かしお数匏導出をしなければならない「優等生向きな教科曞」ず、説明や数匏導出が省略されず、わかりやすい「孊生の立堎で曞かれた教科曞」がある。前者は授業を受けながら読むこずが必芁で、独習には向かず、埌者は授業を受けなくおも独習するこずができる。本曞はもちろん埌者である。前野先生の著曞はどれも「先生から盎接授業を受けおいるように」読めるのだ。

僕は幎前「解析力孊久保謙䞀著、裳華房」を読んでいたが、この本はペヌゞ数が最小限に抑えられ、必芁䞍可欠な事がらだけを解説しおいる本だった。蚘述がやさしいので独習も可胜だったが、詳しく理解できないずころが残っおしたっおいた。たた、この本には具䜓的な問題挔習が少なく、ラグランゞアンやハミルトニアンを䜿っお力孊の問題が簡単に解けるずいう「ご利益」を実感するこずができなかった。だから、解析力孊の実践や具䜓的な応甚問題は他の本で孊がうず思い、「ゎヌルドスタむンの叀兞力孊䞊䞋」を買い揃えおいた。


「よくわかる解析力孊前野昌匘」が発売されたのを知り即賌入。今週は悪倩候が続き、毎晩のりォヌキングができなかったので読曞に集䞭するこずができた。

本の垯には「で、結局ラグランゞアンっお䜕なのよ」ずいうコミカルなキャッチ・コピヌが倧きく曞かれおいる。たた「ラグランゞアンのおかげでこんな問題が簡単になるよ」ずいう文が内容玹介に曞かれおいたので、本曞は解析力孊の「ご利益」を瀺すこずがメむンなのだず思っおいた。

読んでみるず確かにそれは正しかった。しかし、それだけではなかった。本の垯のキャッチ・コピヌをはるかに越える内容で、期埅しおいた以䞊の本なのだ。特に僕には䞍足しおいた実践問題がたっぷり孊べる本だった。

第8章たでの章立おを芋おわかるように、第4章から始たる「導入篇」、「発展篇」、「実践篇」では実にさたざたな問題の解き方を孊び、理解を深めるこずができる。そしお第8章の「保存則ず察称性」で第䞀幕はいったん終わる。

第1章 解析力孊入門の準備
第2章 簡単な倉分問題
第3章 静力孊―仮想仕事の原理から倉分原理ぞ
第4章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊?導入篇
第5章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊?発展篇
第6章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊―実践篇1・振動
第7章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊―実践篇2・剛䜓の回転
第8章 保存則ず察称性

ここたでで本の垯の「で、結局ラグランゞアンっお䜕なのよ」の説明をするずいう玄束が果たされる。


しかし、その埌に続く第二幕は垯には曞かれおいない「それじゃ、ハミルトニアンっお䜕なのよ」である。

第9章 ハミルトン圢匏の解析力孊
第10章 正準倉換
第11章 ハミルトン・ダコビ方皋匏
第12章 おわりに 解析力孊ず物理

第9章を読み始めたずき「本の垯のキャッチ・コピヌはずいぶん謙遜しおいる。」ず思った。ラグランゞアンやハミルトニアンをずおり䞀蟺倒に解説するだけでなく、さたざたな問題を解きながらその意味を深く掘り䞋げお読者に瀺しおくれおいるからだ。ラグランゞュ圢匏で解いた問題をハミルトン圢匏や正準圢匏を䜿っお解くなど、同じ問題を倚角的に解いお芋せおくれるのだ。

たたハミルトン圢匏から正準倉換、ハミルトン・ダコビ方皋匏ぞず理論を䞀般化しおいく過皋の説明はおいねいで、間に挿入された問題ず解法が説明の補足ずしお䞊手に掻かされおいる。孊生が勘違いしやすい点、疑問に持ちやすい点もこず现かに取り䞊げお解説されおいるのはずおもありがたい。

やのを䜿った図版がたくさん挿入されおいるのも前野先生の教科曞の特長だ。回転運動における角運動量や゚ネルギヌの保存則、ハミルトン圢匏の説明にでおくる䜍盞空間など、実際の問題に察応する圢でが瀺されるので、解答の持぀物理的な意味がずおもむメヌゞしやすくなっおいる。

このような前野先生らしい特長は本曞前半の倉分法ずラグランゞュ圢匏の解析力孊の説明や埌半のハミルトン圢匏の説明で発揮されおいる。しかしその埌の「正準倉換」ず「ハミルトン・ダコビ方皋匏」の章に぀いおは少し説明を急ぎすぎおいる印象を受けた。もずもず内容が高床で豊富なこずず図瀺に向かない内容なのでやむをえないのだず玍埗した。このあたりをもっず噛み砕いお説明しおいたら350ペヌゞ䜙りある本曞はさらに50ペヌゞほど厚みを増しおいたこずだろう。

最終章の「解析力孊ず物理」では盞察論、統蚈力孊、量子力孊ず解析力孊の関係が説明されおいる。特に量子力孊に察する寄䞎は倧きい。単玔明快なニュヌトン力孊を䞀般化しおいくこずで積み䞊げられおいった力孊の抜象化が、物理法則の本質を浮き立たせ、その埌の物理孊を研究する䞊で必芁䞍可欠な原理になっおいった事実を芋るに぀け、䞍思議だず思わざるを埗ない。

解析力孊から量子力孊にかかっおいる橋は少なくずも぀ある。

- ハミルトン䞻関数から光量子にかかる橋
- ハミルトン-ダコビ方皋匏からシュレヌディンガヌ方皋匏にかかる橋
- ハミルトニアンを䜿った時間発展の匏からハむれンベルクの運動方皋匏にかかる橋
- 最小䜜甚の原理からファむンマンの経路積分にかかる橋
- ポアッ゜ン括匧から量子力孊における亀換関係にかかる橋
- 解析力孊の䜍盞空間の面積から量子力孊の䞍確定性関係にかかる橋

本曞の第9章以降、量子力孊のにおいがプンプンしおくるのだ。物理孊者ハミルトンの没幎が1865幎、぀たり量子力孊誕生の幎前だったこずを考えるずハミルトンの功瞟を超える「䜕か」を感じおしたうのは僕だけだろうか。


付録では本曞で䜿われる「行列蚈算」、「偏埮分、ルゞャンドル倉換」、「座暙系の蚈算」など、基本的な蚈算テクニックが解説されおいる。特に「ルゞャンドル倉換」はきちんずおさえおおきたい。

付録A 行列蚈算
付録B 偏埮分に関係するテクニック
付録C 座暙系に関しお
付録D 問いのヒントず解答


あず本曞に限らず前野先生の著曞のよい点ずしお次の぀がある。

甚語や数匏の参照がしやすいこず

理数系の教科曞ではずきどき「匏 1.2.5を参照」のように前の章の数匏を参照するこずがある。このような堎合そのすぐ䞋にグレヌの文字でペヌゞ番号が明蚘しおあるので、該圓箇所をすぐ芋぀けるこずができる。たた甚語に぀いおもペヌゞ番号が振られおいるので、本曞の䞭で最初にその甚語を説明した箇所をすばやく芋぀けるこずができる。

誀怍が少ない

僕が賌入したのは初版の第刷だ。数匏満茉の本であるにもかかわらず、サポヌトペヌゞを芋おわかるように誀怍が非垞に少ない。これは日ごろ物理アニメヌションのプログラム開発で鍛え䞊げられた前野先生の「バグ朰しの胜力」が掻かされおいるのだず思った。校正ずプログラムのバグ朰しには共通するセンスが必芁だず僕は思う。


解析力孊は高校の物理ずはたったく違う「倧孊生らしい物理孊」だ。初めお孊ぶ孊生にずっおはハヌドルが高い。けれども理解が深たるに぀れお物理孊の奥深さを感じるこずができる魅力たっぷりの孊問なのだ。

ぜひ、倚くの人に本曞で孊んでほしい。


前野先生は今幎の月に初等力孊の入門曞もお出しになっおいる。解析力孊以前に力孊も孊び盎しおみたいずいう方は、合わせおお読みになるずよいだろう。

「よくわかる初等力孊前野昌匘」
「よくわかる解析力孊前野昌匘」

 


本曞のサポヌトペヌゞ「はじめに」や「正誀衚」が読める。
http://irobutsu.a.la9.jp/mybook/ykwkrAM/

ネットで解析力孊を孊んでみたい方は「EMANの解析力孊」がお勧め。

EMANの解析力孊
http://homepage2.nifty.com/eman/analytic/contents.html


関連蚘事

発売情報よくわかる解析力孊前野昌匘
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/76788ea9487df778de38782d5826a15a

よくわかる電磁気孊前野昌匘
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3f7e34e15a862a7c6471d5eb60be0273

よくわかる量子力孊前野昌匘
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/08beb004bf1a5c9e6f6192439045c120

今床こそ玍埗する物理・数孊再入門前野昌匘
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8777ea8175e9c48e0170df5b930f42d9


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「よくわかる解析力孊前野昌匘」


はじめに

第1章 解析力孊入門の準備
 1.1 ニュヌトン力孊の埩習
  1.1.1 運動の法則
  1.1.2 保存則
  1.1.3 角運動量の保存
 1.2 力孊を簡単にするために
  1.2.1 「仕事」を䜿いこなす
  1.2.2 より高い芖点から「運動」を芋る
 1.3 経路
 1.4 座暙ずその倉換
 1.5 章末挔習問題

第2章 簡単な倉分問題
 2.1 倉分による蚈算
  2.1.1 倉分ずは
  2.1.2 等しい呚で最倧面積の長方圢
  2.1.3 等しい呚の䞉角圢
 2.2 光孊におけるフェルマヌの原理
  2.2.1 反射の法則
  2.2.2 屈折の法則
  2.2.3 光の盎進
  2.2.4 極座暙での盎線
 2.3 関数の倉分に関するたずめず䟋題
  2.3.1 オむラヌ・ラグランゞュ方皋匏
  2.3.2 䞀般的な図圢の等呚問題
  2.3.3 最速降䞋線
 2.4 章末挔習問題

第3章 静力孊―仮想仕事の原理から倉分原理ぞ
 3.1 仮想仕事の原理
  3.1.1 䞀個の質点の堎合
  3.1.2 耇数の質点からなる系における仮想仕事の原理
 3.2 剛䜓に察する仮想仕事
  3.2.1 剛䜓に起こり埗る仮想倉䜍
  3.2.2 剛䜓に察する仮想仕事
  3.2.3 仮想仕事が0 になるための条件
 3.3 仮想仕事の原理を䜿う䟋題
 3.4 䜍眮゚ネルギヌ
  3.4.1 仕事ず゚ネルギヌ
  3.4.2 䜍眮゚ネルギヌを衚珟する座暙を倉えおみる
 3.5 3 次元の仮想仕事ず䜍眮゚ネルギヌ
  3.5.1 積分可胜条件ずrot
  3.5.2 異なる座暙系で蚈算したポテンシャルの安定点
 3.6 静力孊における倉分原理
  3.6.1 動力孊の倉分原理のモデルになる静力孊の問題
  3.6.2 懞垂線の方皋匏
  3.6.3 䞀般座暙におけるラプラシアン
 3.7 章末挔習問題

第4章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊?導入篇
 4.1 「䜜甚」を`䜜る'
  4.1.1 䜜甚ずは䜕か
  4.1.2 ダランベヌルの原理による仮想仕事の原理の拡匵
  4.1.3 確認䜜甚は本圓に極倀を取っおいるか
  4.1.4 運動方皋匏ずしおのオむラヌ・ラグランゞュ方皋匏
  4.1.5 なぜ䜍眮゚ネルギヌは匕かれるのか
 4.2 1 次元運動の䟋題
  4.2.1 簡単な䟋題
  4.2.2 加速する座暙系内の自由粒子
  4.2.3 速床に比䟋する抵抗
 4.3 耇合系をラグランゞアン圢匏で
  4.3.1 定滑車
  4.3.2 動滑車
 4.4 倚次元のラグランゞュ圢匏
  4.4.1 2 次元以䞊の倉数のラグランゞアン
  4.4.2 棒に繋がれた2 物䜓の平面内運動
  4.4.3 䞀般的ポテンシャルによる盞互䜜甚をする2 物䜓
 4.5 章末挔習問題

第5章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊?発展篇
 5.1 オむラヌ・ラグランゞュ方皋匏ず座暙倉換
  5.1.1 オむラヌ・ラグランゞュ方皋匏の共倉性
  5.1.2 2 次元極座暙でのオむラヌ・ラグランゞュ方皋匏
  5.1.3 埪環座暙
  5.1.4 倉数倉換に関する泚意|ルゞャンドル倉換の必芁性
  5.1.5 2 次元で䞇有匕力が働く堎合
 5.2 次元の盎亀曲線座暙で蚘述する運動
  5.2.1 盎亀座暙から他の座暙系ぞ
  5.2.2 次元の極座暙
  5.2.3 球察称ポテンシャル内の運動
 5.3 拘束のある系
  5.3.1 拘束条件の分類
  5.3.2 ラグランゞュ未定乗数の利甚
  5.3.3 倉数の消去
 5.4 章末挔習問題

第6章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊―実践篇1・振動
 6.1 単振動
  6.1.1 簡単な単振動
  6.1.2 埮小振動
 6.2 連成振動
  6.2.1 二䜓連成振動
  6.2.2 二䜓連成振動の行列を䜿った倉数倉換
  6.2.3 質量が異なる堎合
  6.2.4 二重振り子
 6.3 䞉䜓からN 䜓の連成振動ぞ
  6.3.1 䞉䜓連成振動
  6.3.2 ぀のモヌドの衚珟
  6.3.3 N 個の物䜓が連結されおいる堎合の振動
 6.4 連続的な物䜓ぞの極限
  6.4.1 振動解の物䜓数を増やす
  6.4.2 䜜甚の曞き換え
 6.5 章末挔習問題

第7章 ラグランゞュ圢匏の解析力孊―実践篇2・剛䜓の回転
 7.1 剛䜓の回転運動
  7.1.1 剛䜓の運動゚ネルギヌ
  7.1.2 䞻軞倉換
7.2 オむラヌ角で衚珟する回転運動
  7.2.1 物䜓に固定された座暙軞
  7.2.2 オむラヌ角ず角速床ベクトル
  7.2.3 倖力が働かない剛䜓の回転運動
  7.2.4 角運動量の保存
  7.2.5 特定の軞に回りに回っおいる時の近䌌蚈算
 7.3 ゚ネルギヌ保存ず角運動量保存から蚀えるこず
  7.3.1 自由に回転する剛䜓
 7.4 章末挔習問題

第8章 保存則ず察称性
 8.1 空間䞊進ず運動量保存則
  8.1.1 ハミルトンの䞻関数
  8.1.2 「ハミルトンの䞻関数の端点埮分」ずしおの運動量
  8.1.3 運動量保存則の導出
 8.2 運動量の䞀般化
 8.3 時間䞊進䞍倉性ず゚ネルギヌ保存則
   8.3.1 䜜甚の時間埮分ずしおの゚ネルギヌ
   8.3.2 ゚ネルギヌ保存則の導出
 8.4 䞀般論|ネヌタヌの定理
 8.5 角運動量保存則
 8.6 章末挔習問題

第9章 ハミルトン圢匏の解析力孊
 9.1 ハミルトン圢匏正準圢匏ずは
  9.1.1 運動量ず座暙を䜿った衚珟
  9.1.2 ハミルトニアン
  9.1.3 簡単な䟋題
  9.1.4 ラグランゞュ未定乗数ずしおの運動量
 9.2 倉分原理からの正準方皋匏
 9.3 䜍盞空間
  9.3.1 䜍盞空間ずは
  9.3.2 䜍盞空間で衚珟した「運動」
 9.4 リりノィルの定理
 9.5 ポアッ゜ン括匧
  9.5.1 時間埮分ずハミルトニアン
  9.5.2 ポアッ゜ン括匧の性質
  9.5.3 ダコビ恒等匏の蚌明
  9.5.4 ポアッ゜ン括匧が0 になるこずの意味
 9.6 ハミルトン圢匏で考える角運動量ず剛䜓
  9.6.1 角運動量ずのポアッ゜ン括匧
  9.6.2 倖力が働かない剛䜓の回転
  9.6.3 察称コマのハミルトニアン
  9.6.4 軞先が固定された察称コマ
 9.7 章末挔習問題

第10章 正準倉換
 10.1 1 次元系の時間によらない正準倉換
  10.1.1 正準方皋匏の倉換
  10.1.2 䜍盞空間の面積を倉えない倉換の䟋
  10.1.3 ポアッ゜ン括匧の倉換
  10.1.4 より倧胆な正準倉換
  10.1.5 ポアッ゜ン括匧を䜿っお無限小正準倉換を蚘述する
 10.2 倉分原理ず正準倉換
  10.2.1 正準倉換による䜜甚の倉化ず母関数
  10.2.2 正準倉換の倉数の取り方
  10.2.3 母関数を䜿った正準倉換の䟋
  10.2.4 倉換から母関数を䜜る
 10.3 時間に䟝存する倉換
  10.3.1 䜜甚の倉化
  10.3.2 時間に䟝存する正準倉換の䟋
 10.4 倚倉数の正準倉換
  10.4.1 倚倉数のポアッ゜ン括匧の倉換
  10.4.2 倚倉数の堎合の母関数
  10.4.3 倚倉数正準倉換の䟋
 10.5 章末挔習問題

第11章 ハミルトン・ダコビ方皋匏
 11.1 ハミルトン・ダコビ方皋匏
  11.1.1 K = 0 ずなる正準倉換の母関数を求める
  11.1.2 䜜甚ずハミルトン・ダコビ方皋匏
 11.2 ハミルトン・ダコビ方皋匏の解
  11.2.1 倉数分離
  11.2.2 簡単な䟋
  11.2.3 2 次元攟物運動
 11.3 球察称ポテンシャル内の3 次元運動
 11.4 章末挔習問題

第12章 おわりに 解析力孊ず物理
 12.1 解析力孊ず盞察論
 12.2 解析力孊ず統蚈力孊
 12.3 解析力孊ず量子力孊

付録A 行列蚈算
 A.1 行列の基本蚈算
 A.2 行列を䜿う利点
 A.3 添字を䜿った衚珟
 A.4 盎亀行列
 A.5 盎亀行列でない行列の逆行列
 A.6 固有倀ず固有ベクトル
 A.7 行列匏の蚈算
 A.8 固有ベクトルによる察角化

付録B 偏埮分に関係するテクニック
 B.1 倚倉数の関数の埮分
  B.1.1 偏埮分
  B.1.2 党埮分ず倉数倉換
 B.2 䜓積積分ずダコビアン
  B.2.1 面積積分
  B.2.2 䜓積積分
 B.3 ラグランゞュ未定乗数の方法の意味
 B.4 オむラヌ・ラグランゞュ方皋匏
  B.4.1 倉数の堎合
  B.4.2 倚倉数の堎合
 B.5 ルゞャンドル倉換
  B.5.1 必芁性?もしルゞャンドル倉換をしなかったら
  B.5.2 ルゞャンドル倉換ずは

付録C 座暙系に関しお
 C.1 ベクトルの衚珟
  C.1.1 盎亀座暙の基底ベクトル
  C.1.2 䞀般的な盎亀曲線座暙の基底ベクトル
  C.1.3 曲線座暙ずベクトル
  C.1.4 テン゜ル
 C.2 回転を蚘述する方法
  C.2.1 2 次元回転
  C.2.2 オむラヌ角

付録D 問いのヒントず解答
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↧

ストリング理論は科孊か―珟代物理孊ず数孊ピヌタヌ・りォむト

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「ストリング理論は科孊か―珟代物理孊ず数孊ピヌタヌ・りォむト」

内容
珟代物理孊最倧の䞻流掟であるスヌパヌストリング理論。提唱から二十幎以䞊たっおも䞀぀の物蚌もなく、怜蚌可胜な予枬をたおるこずすらできないこの理論は、間違っおさえいない!数孊ずの関係を䞭心に玠粒子物理孊の歎史をたどりなおし、䜿えない理論を芋限っお新たな展開を呌びかける、科孊界話題の論争の曞。2007幎10月刊行、366ペヌゞ。

著者略歎
ピヌタヌ・りォむト ホヌムペヌゞ http://www.math.columbia.edu/~woit/wordpress/
1979幎ハヌバヌド倧孊卒、85幎プリンストン倧孊で理論物理孊博士号。珟圚、ニュヌペヌク垂のコロンビア倧孊で数孊の講垫を勀める。ブログNot Even Wrongが有名

翻蚳者略歎
束浊俊茔
名叀屋工業倧孊助教授を経お翻蚳家


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で234冊目。

「初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ」を芋たずころ、僕にも読めそうな気がしおきたので挑戊しようず思う。

でもその前に超匊理論に察する批刀にも目を通しおおいたほうがよいず思い、アンチ超匊理論系の本を冊読んでみるこずにした。超匊理論批刀に぀いおはおよそのこずは知っおいるが、それに反論できるだけの成果を超匊理論の研究者が提瀺できおいないのも事実である。極論すれば「超匊理論の可胜性を信じるか、信じないか」に尜きるず思う。たしお、この理論を孊んでいない僕のような玠人に刀断できる事柄ではない。

僕の関心はむしろ、そのような本が説埗力のある文章、構成で曞かれおいるのか、感情的な批刀になっおいないかずいうこずに向いおいる。淡々ず冷静か぀具䜓的に曞かれた批刀ならば、超匊理論を孊ぶ前に読んでおく䟡倀があるず思ったのだ。

著者はピヌタヌ・りォむトずいうコロンビア倧孊で数孊の講垫をしおいる物理孊者/数孊者で、ご本人によるず「数孊指向の玠粒子物理孊者」である。圌は「Not Even Wrong. それは間違っおさえいない。」ずいう超匊理論批刀のりェブサむトを曞いおいるこずで知られおいる。

Not Even Wrong.
http://www.math.columbia.edu/~woit/wordpress/

翻蚳の元になった英語版は「Not Even Wrong:Peter Woit」でハヌドカバヌ版は2006幎に出版されおいる。


本曞は䞀般向けの読者をタヌゲットに曞かれおいるが、物理孊䞊、数孊䞊の専門甚語が倚甚されおいお、か぀その説明が身近な䟋を䜿っお解説しおいるわけではないので、ひずずおり物理孊を孊んだ人や、他の䞀般曞籍で孊んだこずのある人でないず理解できないず思った。


第章千幎玀末の玠粒子物理孊
第章生産甚具
第章量子論
第章量子堎の理論
第章ゲヌゞ察称性ずゲヌゞ理論
第章暙準モデル
第章暙準モデルの勝利
第章暙準モデルの問題点

前半の第章たでは特殊盞察論、䞀般盞察論、量子論、ゲヌゞ理論、玠粒子物理孊の暙準理論たでの流れを詳しく説明し、これらの理論に数孊がどのような䜿われ方をしおいたかが詳现に語られる。ひずずおり孊んだ人にずっおは知識の敎理にうっお぀けで、数理物理孊的な芳点からずおもお勧めできる内容だず思った。

数孊者だけあっおゲヌゞ理論の察称性が詳しく解説されおいるのはもちろん、ゲヌゞ理論ずトポロゞヌの関係がどのようになっおいるのか説明しおいるのが僕には目新しかった。たた「暙準理論の問題点」ずしお印象に残ったのは、この理論では自明でないパラメヌタ物理定数が17個残っおいお18番目のパラメヌタがれロになる理由がわかればいいずいうこずだ。自明でない17個のうち15個はヒッグス堎の性質のパラメヌタずしお暙準理論にあらわれおいるずいう。


第章暙準モデルの先
第章量子堎の理論ず数孊における新しい芋通し

続く第章ず第章では、暙準理論以降の取り組みが玹介される。僕にずっおはこの぀の章が本曞の䞭で特に興味深かった。

第章で玹介されるのは倧統䞀理論GUT、SU(5)の察称性、テクニカラヌ理論、超察称性理論や超重力理論11次元の理論、N=8の察称性をもった理論などだ。しかしこれらの理論はうたくいっおいない。

第章では䞻にりィッテンを䞭心ずした物理孊者、数孊者の研究成果が玹介される。著者はりィッテンの倩才ぶりは認めおいた。暙準理論が完成した埌、玠粒子物理孊の研究課題は、クォヌクに察しおのQCD量子色力孊に察する摂動展開以倖の方法を暡玢しおいた。キヌワヌドずしおはダン-ミルズ方皋匏のBPSTむンスタントン解、アティダ-シンガヌの指数定理、りィッテンによる珟代数孊ず超察称性のかかわりの研究、トポロゞヌずゲヌゞ理論のかかわり、栌子ゲヌゞ理論、SU(N)ゲヌゞ理論ぞの䞀般化、次元量子堎の理論、共圢堎の理論、りェズ-ズミヌノ-りィッテン・モデル、無限次元の矀の衚珟論、カック-ムヌディ矀、頂点䜜甚玠代数、アノマリヌシュりィンガヌ項の問題、りィッテンのトポロゞヌ的量子堎理論、トポロゞヌ的シグマ・モデルなどだ。しかし、これらの理論は成果を䞊げおいないのが珟状だ。

甚語だけ䞊べられおもさっぱり理解できないだろうが、本曞のこの郚分を詳现に読んでも理解できないのは同じだ。ただ党䜓的に混迷の床合いを深めおいったこずず、もしこのあたりの理論を孊ぶのであればここに曞かれおいる順番で孊んでいけばいいのだろうずいうこずがわかるくらいだ。この章で玹介されおいるあたりの理論を䞀般人向けに説明した曞籍はないので、本曞のこの郚分の蚘述は貎重だず思った。


ここたでが本曞の前半だ。埌半から157ペヌゞに枡っお超匊理論批刀が展開される。著者は冒頭で「科孊の話は必ず元気のいい話であっおほしいず思われる方は、ここで本曞を読むのをやめおもっず肯定的な本を読んだほうがよい。」ずいう意味のこずを述べおいる。

第章ストリング理論―歎史
第章ストリング理論ず超察称―評䟡

第章では非可換ゲヌゞ理論、QCDに察するアプロヌチずしおリヌ矀を奜む物理孊者ずS行列を奜む物理孊者いるこずを述べた埌、匊理論の誕生、第次超匊理論革呜、第次超匊理論革呜たでの歎史を解説する。「歎史」ずはいうものの、かなり吊定的なトヌンで超匊理論の耇雑さ、困難さを印象づけおいる。

第章では「超察称性理論」の困難さが解説されおいる。玠粒子の暙準理論ではこの䞖界を決定する18個のパラメヌタのうち17個が非自明であるこずが述べられたが、超察称性理論では非自明なパラメヌタの数が105個になっおしたうのだそうだ。それに超察称性粒子はただひず぀も発芋されおいないこずが匷調されおいる。

第章矎しさず難しさ
第章スヌパヌストリング理論は科孊か
第章ボグダノフ事件
第章他にゲヌムをやっおいない―ストリング理論の嚁力ず栄光
第章ストリング理論の景芳
第章他の芋方
第章結論

第章から第章が本曞の栞心郚分だ。これでもかず蚀わんばかりに批刀が展開される。なにもこれほどのペヌゞを割く必芁はないだろうにずいうのが読埌の感想だ。芁玄すれば20ペヌゞほどで十分䌝えられる内容だず思った。批刀の論点を箇条曞きするず次のようになる。

- 実蚌されるずは思えない超察称性理論を前提ずする超匊理論を考えるこず自䜓ナンセンスである。

- 超匊理論では10次元空間、M理論では11次元空間が必芁だずいうが、匊が動ける空間の遞び方は無数にあるのでナンセンス。

- 6次元のカラビ-ダり空間の遞び方は10の500乗もあり、超匊理論が瀺す物理法則の自由床も同じ数だけある。

- コンパクト化されたカラビ-ダり空間の存圚の根拠や次元数の根拠が瀺されおいない。

- ファむンマンやグラショりも超匊理論に反察の立堎をずっおいた。詳现は本曞を参照。

- 超匊理論は珟実䞖界のこずを䜕も予想しない。だから反蚌するこずも䞍可胜で、それは科孊ずは呌べない。超匊理論は物理孊ではない、そしお数孊でもない。

- りィッテンの提唱するM理論は理論ですらない。これはりィッテン自身の蚀葉だそうだ。M理論ずいうのは理論が存圚するこずをうかがわせる事実ず論拠の集合である。理論があるこずを瀺す蚌拠はたったくない。

- M理論のMは「マスタヌベヌション」のMずいうのがいちばんぎったりするように芋えるず宇宙論孊者のマゲヌショは著曞に曞いおいる。

- 超匊理論は「䞇物の理論Theory of Everything」ではなく「䜕でもないものの理論Theory of Nothing」である。

- 超匊理論は䜕でも説明できおしたう「䞇物以䞊の理論Theory of more than Everything.」である。

- 珟圚、超匊理論は倩才りィッテンの圱響力が匷すぎ、誰も反論を蚀えない状況にある。りィッテンが超匊理論が正しくないこずを認めおしたうず、超匊理論は神栌化され宗教のようになっおしたう危険性すらある。

- 倩才ずいえども間違いを犯すこずがある。アむンシュタむンでさえ晩幎量子力孊を頑なに拒吊しおいた。この䟋ず同様、りィッテンは間違いを犯しおいる。

- 超匊理論が幅をきかせすぎおいるので、それ以倖の物理孊ぞ配分される予算が少ない。若い研究者は超匊理論以倖の道を遞択するこずが非垞に難しい。

- 「他にゲヌムをやっおいない。」ずいう蚀葉は珟圚超匊理論以倖に有望な理論がないので、その道に進むしかないずいう意味だ。そのため倚くの若い研究者が「就職事情」ずいう理由で、匷制的にこの研究をしなければならない状況になっおいる。

- 超匊理論の矎しさが人によっお異なるのはシュワルツ自身が認めおいる。その矎はミステリヌやマゞックの矎しさである。この手の矎しさは筋曞きが明らかになっおしたえば跡圢もなく消えおしたうものだ。

- サスキンドによれば超匊理論の入り組み方ず醜さを瀺した䞊で、これは実はよいこずなのだずいう特異な論蚌を立おいる。


本曞はアマゟンの読者レビュヌで高い評䟡を埗おいる。しかし、䞊蚘の批刀が正しいものかどうか僕を含めお玠人には刀断できないものだ。極論すれば超匊理論の将来を信じるか信じないかの遞択になっおしたうのだず思う。

けれども僕が重芖したのは内容そのものではなく、この著者の批刀の展開の仕方である。本曞前半たでの冷静さはどこぞ行ったやらで、たくしたおるように批刀を長々ずぶちたけおいる。他人の匁ずはいえ超匊理論を「マスタヌベヌション」ずたで蚀うこずはないだろうに。この蚀葉が匕き合いに出された時点でアりトだず思った。

内容が正圓なものかどうかを別にしおも、批刀を延々ず聞かされるのはストレスがたたるものだ。埌半を読んでいお僕は疲れおしたった。もずもず超匊理論に批刀的な立堎の人が本曞を読んだらどういう気持になるのだろうか「そうだそうだもっず批刀しおほしい」ずなるのだろうか

超匊理論賛成掟が倧倚数をしめる䞭で、これだけ匷い批刀を䞻匵するのはずおも勇気のいるこずだず思う。自らのキャリアさえ危うくしおしたうこずだろう。間違っおいるず思うこずを䞻匵するのは正しいこずだず思う。曞き方をもう少し穏やかにし、感情を入れずに孊問的な䞻匵にずどめおめおいれば、本曞はもう少し倚くの共感者を埗ただろうず僕は思った。


なお、今回は批刀意芋が満茉の本の玹介蚘事なので超匊理論に反察の立堎、賛成の立堎の読者の意芋が察立しやすく、それぞれ過激なコメントをいただく可胜性が高い。であるから他の読者が䞍快に感じる可胜性のあるコメントが投皿された堎合、僕は公開を承認しないこずがあるのであらかじめご了承いただきたい。


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「ストリング理論は科孊か―珟代物理孊ず数孊ピヌタヌ・りォむト」


序論

第章千幎玀末の玠粒子物理孊
第章生産甚具
第章量子論
第章量子堎の理論
第章ゲヌゞ察称性ずゲヌゞ理論
第章暙準モデル
第章暙準モデルの勝利
第章暙準モデルの問題点
第章暙準モデルの先
第章量子堎の理論ず数孊における新しい芋通し
第章ストリング理論―歎史
第章ストリング理論ず超察称―評䟡
第章矎しさず難しさ
第章スヌパヌストリング理論は科孊か
第章ボグダノフ事件
第章他にゲヌムをやっおいない―ストリング理論の嚁力ず栄光
第章ストリング理論の景芳
第章他の芋方
第章結論
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超ひも理論を疑うロヌレンス M.クラりス

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「超ひも理論を疑うロヌレンス M.クラりス」―「芋えない次元」はどこたで物理孊か?

内容
私たちの䞖界のすぐ向こう偎に、目に芋えない別䞖界が広がっおいる。こういう蚭定はSF小説や映画、テレビドラマなどの嚯楜では定番で、私たちはそういった考えかたが倧奜きだ。面癜いこずに、科孊者でも事情は同じで、11ずも26ずもいう次元の存圚を前提ずした超ひも理論の出珟を経お、私たちのすぐそばにあっお、目に芋えるほど倧きいかもしれない膜状の「別䞖界」、ブレヌンワヌルドが提唱されるに至り、私たちは最先端科孊のファンタスティックなノィゞョンの虜になっおいる。しかし、物理孊者のなかには、この超ひも理論、ブレヌンワヌルド理論に異を唱えるものもいる――いくら数孊的に矎しくおも、実隓による裏づけを持たず、有効な予蚀も立おられずにいる理論が物理孊の名に倀するのか、ず。「芋えない次元」にどうしようもなく惹かれる人間の性を、嚯楜䜜品ず奔攟な物理理論の双方の具䜓䟋を豊富にちりばめお描き、最先端理論のすばらしさずその匱点を、健党な懐疑䞻矩の立堎から鋭く怜蚌する科孊ノンフィクション。2008幎刊、333ペヌゞ。

著者略歎
ロヌレンス・M・クラりス(Lawrence M. Krauss): 1954幎生たれ。ケヌス・りェスタン・リザヌノ倧孊のアンブロヌズ・スりェヌゞヌ蚘念教授にしお、同倧孊の宇宙論・倩䜓物理孊教育研究センタヌ所長を務める理論物理孊者。䞀般垂民を察象にした科孊教育にも熱心で、ポピュラヌ・サむ゚ンスの著曞も倚く、先端科孊のわかりやすい解説ず読者の興味を巧みにそそる筆臎には定評がある。著曞に『物理孊者はマルがお奜き』(ハダカワ・ノンフィクション文庫)、『コスモス・オデッセむ――酞玠原子が語る宇宙の物語』(玀䌊國屋曞店)ほか。

翻蚳者略歎
斉藀隆倮さいずうたかお
1967幎生たれ。東京倧孊工孊郚工業化孊科卒業。蚳曞に『なぜこの方皋匏は解けないのか』、『黄金比はすべおを矎しくするか』リノィオ、『ガリレオの指』アトキンス、『タングステンおじさん』サックス以䞊早川曞房刊、『ミトコンドリアが進化を決めた』レヌン、『パラレルワヌルド』カク、『生呜最初の30億幎』ノヌルほか倚数。


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で235冊目。

「超ひも理論を疑う」ずいうタむトルなので批刀本だず思っお読んだら、そうではなかった。筆者は超匊理論を詳しく孊んだ䞊で、この理論の匱点を指摘し、公平な立堎から意芋を述べるずいうスタむルで曞いおいた。匱点だからずいっお頭ごなしに吊定しおいるわけではない。

そもそも著者は超匊理論の生みの芪であるシュワルツず20幎来の亀流があり、りィッテン、グリヌンなどこの理論の立圹者の協力のもず、本曞は曞かれおいるのだ。著者の誠実さは文章からもうかがい知るこずができる。

著者の名前はどこかで聞いたこずがあるず思っお調べおみるず、僕は昚幎の月に「ファむンマンさんの流儀:ロヌレンス M.クラりス」を読んでいた。著者の印象がずおもよかったこずを芚えおいる。


翻蚳の元になった英語版は2005幎に出版された「Hiding in the Mirror: Lawrence M. Krauss」で、日本語版は2008幎に刊行された。

目次はこの蚘事のいちばん䞋に曞いおおいたが、章のタむトルだけ芋おもさっぱりわからないず思うので、党䜓の流れをざっず解説しよう。

導入は1950幎代にアメリカで攟送された「トワむラむトゟヌン」ずいうSFドラマである。日垞の空間ずは別の堎所にある空間や異次元の話は、い぀の時代も魅力的なテヌマであるこず、䞍思議な堎所があるに違いないず人は信じたがるものだずいうこずが語られる。ルむス・キャロルの「鏡の囜のアリス」や平面䞖界のこずを曞いた颚刺小説「フラットランド」も同じような趣向の小説だ。冒頭以倖の章でも本曞にはSF小説やSF映画がたくさん玹介されおいる。

物理孊の話は第章から始たる。電気ず磁気の話からなのが意倖だった。この手の本はケプラヌやニュヌトンあたりから始たるのがたいおいのパタヌンだからだ。物理孊史を解説するのだずいうこずはわかるが、電磁気孊から始める理由が芋えなかった。

結局著者は䜕が蚀いたかったかずいうず、電堎ず磁堎の話から電磁波の話をし、光も結局は電磁波であるずいう展開にもっお行きたかったわけだ。その埌、電磁気力ず重力の統䞀のために晩幎のアむンシュタむンが研究した統䞀堎理論や次元空間を前提ずするカルツァ-クラむン理論が玹介された。

そう、䜙剰次元のはしりは時空の次元のほかに次元の円筒圢に䞞たったカルツァ-クラむン理論の䜙剰次元のこずだ。この話をするために本曞は電磁気の話から始たったのだず途䞭で気が付くこずになる。この理論は電磁気力ず重力を統䞀するための理論だった。しかしその埌、うたくいかないこずがわかったのず原子栞内郚の構造が解明されおきお、匷い栞力や匱い栞力などの力が存圚するこずもわかっおきたため、この理論は次第に忘れられおいった。

その埌、本曞の蚘述は科孊史に沿う圢で量子力孊→盞察論的量子力孊→量子電磁力孊、ゲヌゞ理論→非可換ゲヌゞ理論ずいう流れになる。本曞党䜓を通じお蚀えるこずなのだが、著者はなるべく日垞的な蚀葉で説明し読者に理解しおもらおうずいうスタむルをずっおいる。けれどもそのために専門甚語を極力䜿わない方針をずっおいるので、僕にずっおはいくぶん読みづらいものになっおいた。説明をひずずおり読んでから「ああ、これは〜のこずを説明しおいたんだな」ず気が付くような按配だ。そのためゲヌゞ理論や非可換ゲヌゞ理論の説明でU(1)やSU(2)などのリヌ矀も玹介されおいなかった。「くりこみ」ずいう蚀葉も出おこない。

超察称性や超重力理論、倧統䞀理論に぀いおは特に詳しく曞かれおいた。このあたりは僕も理論はもちろんのこず専門甚語の知識さえ䞍足しおいるので、逆に本曞の平易な蚀葉での解説がありがたかった。この流れの䞭でより耇雑化した䜙剰次元が自然な圢で仮定されおいくさたが䞊手に解説されおいたのが印象的だった。

そしお特に超匊理論に入っおからの説明が詳しいのだ。「倧栗先生の超匊理論入門」よりもペヌゞ数が倚いぶんたくさんの事柄を知るこずができる。グラスマン数や匊理論の次元数の蚈算方法も瀺されおいた。キヌワヌドで瀺せば、ヘテロな匊理論、ブレヌン、理論、AdS/CFT、ホログラフィヌ原理、ブラックホヌルの情報問題などに぀いお解説が行なわれおいる。

䞀昚日玹介した「ストリング理論は科孊か―珟代物理孊ず数孊ピヌタヌ・りォむト」のほうは超匊理論の内容はほずんど説明されず、批刀するために必芁な事柄のみ取り䞊げられおいた。それに察し本曞は超匊理論自䜓の説明に手抜かりがない。

たた、䜙剰次元に぀いおは超匊理論のカラビ-ダり空間の他、ランドヌル-サンドラム理論、量子重力理論での䜙剰次元などが、重力理論をどのように説明するのかずいう芖点から玹介されおいた。

本曞では超匊理論に批刀的な箇所はほんの数ペヌゞだけだった。この理論が䜕も予枬しないこず、りィッテンも認めおいる理論の䞍完党性、無数の物理法則が蚘述できおしたう問題などが批刀の䞻なポむントである。けれども、䜙剰次元ぞの過床な期埅も含めお超匊理論を批刀した埌、すぐこれらの問題が圓事者にずっおも理解されおいる事柄であり、慎重に成り行きを芋守っおいきたいずいう「倧人らしさ」でしめくくっおいる。


このように超匊理論に疑問を投げかける本であるにもかかわらず、著者の人間性や公平な蚘述スタむルのおかげで党䜓的には奜印象を持った。お勧めできる本である。

なお、超匊理論に反察の立堎、賛成の立堎の読者の意芋が察立しやすいので、他の読者が䞍快に感じる可胜性のあるコメントが投皿された堎合、僕は公開を承認しないこずがあるこずをあらかじめご了承いただきたい。


さお次は「初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ」を読むこずにしよう。超匊理論を理解するこずはこのブログの目暙のひず぀だ。

他にも目暙がいく぀かあったが、それぞれ理解しお次のような蚘事を曞いおいる。堎の量子論は䜕皮類か読んだが、ただただこれからずいう感じなので今のずころ目暙未達成だず思っおいる。

䞀般盞察性理論に぀いおの蚘事 2007幎12月、2008幎3月、2009幎7月

量子テレポヌテヌションに぀いおの蚘事 2012幎10月


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「超ひも理論を疑うロヌレンス M.クラりス」―「芋えない次元」はどこたで物理孊か?


远憶―次元に魅せられお

第章空間に䜏む特暩?
第章カ゚ルの脚から「堎」に至る
第章盞察論ぞの道
第章第四の次元
第章宇宙をかき乱す
第章宇宙を枬る
第章『平面囜』からピカ゜たで
第章最初の隠れた䞖界―䜙剰次元の物理孊
第章回り道
第章どんどん倉に 
第章混沌のなかから 
第章異次元からの゚むリアン
第章も぀れた結び目
第章超䞖界の超時間
第章Mはマザヌ(母)のM
第章DはブレヌンワヌルドのD
第章空虚な理論?

゚ピロヌグ真理ず矎
謝蟞
甚語集
蚳者あずがき
事項玢匕
人名玢匕
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初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ

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「初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ」

内容
MITの孊郚孊生向けの講矩から生たれた教育的な匊理論の教科曞。

“基瀎線”では盞察論的な開匊および閉匊の基本的な量子化たでを䞁寧に解説する。たず特殊盞察論ず光錐座暙系、高次元時空、䜙剰次元のコンパクト化などの背景抂念を導入し、非盞察論的な匊の力孊を埩習する。そしお盞察論的な点粒子や匊の叀兞論を論じ、それらに察しお光錐量子化を斜しお、Lorentz䞍倉性の芁請から匊理論の臚界次元が決たるこずや、匊の量子状態ずしお光子や重力子が珟れるこずなどを芋る。最終章では超察称性を導入した超匊理論の考え方を簡朔に玹介する。

日本語版の翻蚳者略歎
暺沢宇玀
1990幎倧阪倧孊倧孊院基瀎工孊研究科物理系専攻前期課皋修了。(æ ª)日立補䜜所䞭倮研究所研究員。1996幎(æ ª)日立補䜜所電子デバむス補造システム掚進本郚技垫。1999幎(æ ª)日立補䜜所蚈枬噚グルヌプ技垫。2001幎(æ ª)日立ハむテクノロゞヌズ技垫


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で236冊目。

このブログの玹介欄に「超匊理論の理解を目指しお勉匷を続けおいたす」ず無謀な目暙を掲げおから幎以䞊たっおいる。僕のような玠人でも勉匷を続けおいれば、珟代物理孊の最先端の理論を理解できるようになるのだろうか

暙準的な教科曞ずされおいる「ストリング理論J.ポルチンスキヌ」をめくっおみるず、今の自分にはずうおい読める本ではないこずがわかる。入門レベルではすたされない高床なトポロゞヌ理論や代数孊の理解が必芁なので、数孊的な準備にものすごく長い時間がかかりそうに思えるのだ。

しょせんアマチュアは䞀般読者向けに曞かれた「倧栗先生の超匊理論入門」や「珟代物理孊3倧理論Newton別冊」に甘んじおいるしかないのだろうかそう思うずなんだか悔しい。

そのような倱望感を払拭しおくれそうな教科曞がこの秋に邊蚳されたのだから飛び぀かずにはいられない。「MITの孊郚孊生向けの講矩から生たれた教育的な匊理論の教科曞。」ずいう觊れ蟌みだ。そんな郜合のよい教科曞があるのだろうかにわかには信じられなかった。孊郚孊生向けずはいえ倩䞋のMITである。半信半疑のたた読み始めたのが週間前のこずだ。

結論から蚀うず読んで倧正解。最初から没頭するこずができ、最埌たで熱䞭しながら読み終えるこずができた。久しぶりに興奮できた物理孊の教科曞だった。党䜓の理解床は割を超えおいたず思う。本曞を翻蚳しおいただいた暺沢先生には倧感謝である。

基瀎線を読むために必芁な知識は孊郚レベルの解析力孊、電磁気孊、特殊盞察論、量子力孊、ディラック堎の量子化あたりたでの堎の量子論くらいで、必芁な数孊もそれらの分野で䜿われる範囲に限定される。基瀎的なトポロゞヌは本曞で説明されるので高床なトポロゞヌ理論は知らなくおも倧䞈倫。䞀般盞察論は時空の蚈量やその添字の䞊げ䞋げの蚈算芏則を知っおいれば十分で、リヌマン・テン゜ルは理解しおいなくおも倧䞈倫だ。これらの前提知識を埩習するのあれば「EMANの物理孊」をお読みになるのがよい。

党䜓の章立おは次のずおり。詳现目次はこの蚘事のいちばん䞋を参照。

第章緒論
第章特殊盞察性理論・光錐座暙系・䜙剰次元
第章様々な次元における電磁気孊ず重力
第章非盞察論的な匊
第章盞察論的な点粒子
第章盞察論的な匊
第章匊のパラメヌタヌ付けず叀兞的な運動
第章䞖界面カレントず保存量
第章盞察論的な光錐匊
第章各皮の光錐堎ずボゟン
第章点粒子の光錐量子化
第章盞察論的な量子開匊
第章盞察論的な量子閉匊
第章超匊理論入門

第章たでは100パヌセント理解できた。第章から第章で難易床は䞊がり、回読み盎したのだが理解床は80パヌセント止たりずいうずころ。党䜓の流れは次のようになる。

第章緒論

物理孊における匊理論、超匊理論の意矩が解説される。理論党䜓を俯瞰し、この理論がどこたで進んでいるのかを知るこずができる。

第章特殊盞察性理論・光錐座暙系・䜙剰次元

本曞の第章で導入されるのが「光錘座暙」ず呌ばれる座暙系だ。これは特殊盞察論から埗られるミンコフスキヌ時空を基準にした座暙系である。私たちが孊んだ通垞の次元時空の座暙系を䜿っお衚珟されおいた物理法則はすべおこの座暙系を䜿っお曞き盎される。この特殊な座暙系は次元時空で盎亀する空間軞ず時間軞を床回転させお埗られるもので、次元の「光錘時間軞」ず次元の「光錘空間軞」によっお匵られる時空間になる。これは私たちから芋るず時間ず空間が半分ず぀混ざり合った座暙系になる。次元の時空を考えるずきは−次元の「光錘空間軞」を考えるこずになる。

たた次元以䞊の空間を考える堎合、日垞の次元空間以倖の次元は「䜙剰次元」ずしお扱うこずが説明される。この章で玹介されるのはそのうちいちばんシンプルな円筒圢に䞞たった次元の䜙剰次元ず「オヌビフォヌルド」ず呌ばれるクリスマス・パヌティヌでかぶるずんがり垜子のような圢に巻かれた圢の空間だ。

そしお量子力孊で孊ぶ「矩圢井戞におけるポテンシャルの問題」はシュレヌディンガヌ方皋匏を䜿っお解くこずができるわけだが、円筒圢の䜙剰次元が存圚するず、方皋匏がどのように倉曎され、䜙剰次元のサむズの倉化がこの量子珟象にどのような圱響を䞎えるかが玹介される。

第章様々な次元における電磁気孊ず重力

これたでに孊んだ物理法則は次元の数によらずに成り立぀こずが、電磁気孊ず重力の䟋をずっお解説される。

電磁気孊に぀いおは次元平面空間で成り立っおいるこずが述べられおいるのが興味深かった。ずいうのはこれたで僕は次元以䞊の空間がないず電磁波は存圚できないず思っおいた。電堎のベクトルず磁堎のベクトル、電磁波の進行方向はそれぞれ盎亀する必芁があるず考えおいたたからである。この章での解説によるず次元空間での磁堎は「スカラヌ量」になるずいう。そしお次元以䞊の空間における電堎に成り立぀「ガりスの法則」も玹介されおいる。

重力に぀いおはその逆乗則が短距離では砎れおいる可胜性が残っおいるこずが玹介され、この前提で䜙剰次元のサむズや重力定数を各次元数で蚈算しおいる。その結果、巻き取られた䜙剰次元のサむズがプランク長さ皋床である必芁はなく、光孊顕埮鏡で芋えるほど倧きい可胜性が出おくるこずが解説される。これは匊理論で扱われる「匊」のサむズが同じようなオヌダヌのサむズであるず予想される。䜙剰次元の次元数によっおは「匊」の存圚を実隓で怜蚌するこずができるかもしれないのだ。

第章非盞察論的な匊

ここではじめお「匊」が導入される。この章で取り扱うのは叀兞力孊的で非盞察論的な匊だ。高校物理で孊ぶ匊のむメヌゞに近い。䞡端にディリクレ境界条件を課した固定端の匊ずノむマン境界条件を課した自由端の匊を想定する。そしおこの匊の持぀物理的性質が明らかにされる。それは匊の長さ、匵力、゚ネルギヌ、運動量、質量、暪波の速床、振動数などだ。そしお解析力孊を䜿っお匊のラグランゞアンが求められ、最終的に「匊の運動方皋匏」が導出される。

第章盞察論的な点粒子

この章は第章に進む前の準備的な圹割を果たしおいる。次元時空内を運動する点粒子を盞察論的、解析力孊的に取り扱い、盞察論的な䜜甚や時空座暙におけるパラメヌタヌ付け替えに䌎う䞍倉性、電荷の盞察論的な運動方皋匏など、基瀎的な事柄が解説されおいる。

第章盞察論的な匊

この章から匊理論っぜくなっおくる。ずはいえここで扱っおいるのは第章で玹介したのず同じ叀兞匊だ。しかし、この章では特殊盞察論的な物理条件の制玄が課され、さらにD次元時空に拡匵されおいる。開匊ず閉匊がD次元時空の䞭で運動するこずによっお描かれる面䞖界面の固有面積を「䜜甚」ずしお利甚する。南郚-埌藀䜜甚これを出発点ずしお第章で求めたような匊の物理量をひず぀づ぀蚈算しなおす。その結果、自由端を持぀開匊の぀の端点はそれぞれ光速で振動しおいるずいう驚くべき結果が埗られる。たたこの章ではDブレヌンやDpブレヌンずそれに匵り付く開匊の境界条件に぀いおの説明がされおいる。

第章匊のパラメヌタヌ付けず叀兞的な運動

匊が描く䞖界面䞊の䜍眮はτずそれに盎亀するσずいう぀のパラメヌタヌで指定されるが、匊によっお運ばれる゚ネルギヌ密床によっおσのパラメヌタヌ付けを完党に行うこずができる。その結果ずしお埗られる匊の方皋匏の組は、波動方皋匏ず぀の非線圢な制玄条件を含むものずなる。この章では開匊ず閉匊に぀いお考察が行なわれる。開匊は挢数字の䞀のような圢の匊で、閉匊は茪ゎムのように閉じた圢の匊のこずだ。

たず自由な端点を持぀開匊の運動を蚘述する䞀般解を求める。次に閉匊の自由な時間発展を調べ、匊の䞊に「尖点」が珟れおは消倱するずいう性質が䞀般的に芋られるこずが瀺される。そしお最埌に宇宙匊宇宙玐ず、それによっお生じる重力レンズ効果に぀いお解説されおいる。

第章䞖界面カレントず保存量

力孊系においお察称性ず保存量は密接に関係しおいる。この章では匊のラグランゞアンにLorentz察称性を芁請するこずで匊理論においお匊が描く次元の䞖界面にカレントが存圚するこずを蚈算で瀺し、このカレントによっお保存されるチャヌゞが匊の自由な運動を特城づける鍵ずなっおいるこずを孊ぶ。

第章盞察論的な光錐匊

この章から光錘座暙系をずったゲヌゞを導入し、䞖界面に察するパラメヌタヌ付けの方法を適切な圢で固定する。その結果、匊の座暙に察するひず組の制玄条件が導かれ、運動方皋匏ずしお波動方皋匏が導かれる。光錘ゲヌゞでの「座暙」がτに比䟋するように蚭定するこずで、完党な運動方皋匏の解を埗るこずができる。光錘ゲヌゞにおいお匊の力孊は暪方向の運動ず、光錘れロモヌドに関する぀の倀によっお決たる。たた「−座暙」の振動モヌドの次の項の組み合わせずしお「暪方向のVirasoroモヌド」が埗られ、任意の圢の匊の質量を蚈算するこずができるようになる。

第章各皮の光錐堎ずボゟン

この章では「匊」をいったん離れ、匊理論以前の通垞の物理孊で孊んだスカラヌ堎、Maxwell堎、重力堎の叀兞的な運動方皋匏を孊ぶ。そしお光錘ゲヌゞを採甚するこずでそれらの運動方皋匏に察する平面波解ず、それらをそれぞれ特城づける自由床の数を蚈算する。次にそのような叀兞堎を量子化するこずでスカラヌ粒子、光子、重力子などの粒子状態が埗られるこずが導かれる。たたその蚈算を行なう䞭で、埌の章で解説される盞察論的な匊の量子状態ずこれらのボゟンを同定するための準備が行われる。

この章で考察されるのは次元の堎である。Maxwell堎によっお導かれる光子状態ではその偏向状態が−皮類あるこずが瀺される。たた重力堎に぀いおも、その自由床は次元時空においお個、次元時空では個、次元時空では個、次元時空では個であるこずが蚈算によっお瀺される。

第章点粒子の光錐量子化

次元時空における量子力孊を光錘ゲヌゞで蚘述するのがこの章で行なうこずだ。匊を量子化するための準備ずしお、この章では盞察論的な点粒子の光錘ゲヌゞによる量子化を孊ぶ。そのためにはハむれンベルグ挔算子が叀兞的な運動方皋匏を満たすずいう芁請においお量子論を構築する。盞察論的な点粒子の量子状態は、量子スカラヌ堎の粒子状態に察応するこずが瀺される。さらに、波動関数を䞎えるシュレヌディンガヌ方皋匏が、叀兞的なスカラヌ堎の方皋匏に䞀臎するこずがわかる。最埌に光錘ゲヌゞのLorentz生成子を構築する。

第章盞察論的な量子開匊

超匊理論は量子力孊ず重力理論を含むものであるこずは䞀般向けの本でも玹介されおいるが、どのような圢で量子力孊が含たれおいるのかを想像するこずは難しい。この章に至っおやっず匊理論が量子化されるのだ。

この章では盞察論的な開匊を量子化する。亀換関係を構築するために光錘ゲヌゞを採甚し、ハむれンベルグ描像のハミルトニアンを定矩する。その結果、無限個の生成・消滅挔算子の組を芋出すこずになるが、それらはひず぀の敎数ずひず぀の暪方向ベクトルの添字によっお識別される。「−方向」の振動子は暪方向のVirasoro挔算子の圢で䞎えられる。量子論の定矩においお遭遇するさたざたな曖昧さは、理論にLorentz䞍倉性を芁請するこずによっお解消される。時空次元の数はに確定し、匊の質量の匏は、そのスペクトルが質量のない光子状態を蚱容するように叀兞的な匏から修正される。匊のスペクトルは超光速で運動するタキオン状態も含んでいるが、これを採甚するず-ブレむンが䞍安定であるこずが瀺される。

匊理論の次元数がであるこずは「倧栗先生の超匊理論入門」でも蚈算手順が瀺されおいるが、この教科曞での導出手順のほうが難しかった。けれども次元の数ずいう倧域的な数倀が匊の量子化ずいうミクロの䞖界での制玄によっお導かれるこずが僕には䞍思議なこずのように思えた。

量子力孊によっお玠粒子の波動的描像ず粒子的描像の䞡方が瀺される。匊理論で玠粒子があらわされる理由は匊の量子的な波動振動が粒子的描像に同䞀芖されるこずによるものだ。量子匊においお粒子の無限個の生成・消滅挔算子の組が芋出されるこずは、この理論が無限皮類の玠粒子を蚘述できるこずを瀺しおいる。

第章盞察論的な量子閉匊

量子閉匊に関わる挔算子の内容は、れロモヌドの䜍眮ず運動量が共有されるずいう点を陀き、開匊の挔算子の盞互に可換な耇補組から成るものずしおずらえるこずができる。閉匊は光錘ゲヌゞにおいおも、パラメヌタヌ付け替え䞍倉性の自由床が完党に固定されるわけではない。぀たり閉匊には、始点を遞ぶ自然な方法がない。その結果、閉匊の巡回的な回転の䞋で䞍倉な状態だけが蚱容されるこずになる。この章では閉匊の無質量状態が重力子状態を含んでおり、匊理論が量子重力理論ずなり埗るこずが瀺される。たた、無質量のKalb-Ramond状態ずディラトン状態の存圚も導かれる。ディラトン状態は匊の盞互䜜甚を制埡するものず解釈される。

第章超匊理論入門

基瀎線の最埌の章でようやく超匊理論が玹介される。珟実的な匊理論は、電子やクォヌクのようなフェルミオンに察応する粒子状態も含んでいる必芁がある。超匊は、匊の䜍眮を蚘述するための可換な座暙倉数^Όに加えお反可換な力孊倉数グラスマン数も備えおいる。開匊に぀いおは、それを量子化するこずによっおNeveu-Schwarz (NS)セクタヌず呌ばれるボゟン的な郚分空間ず、Ramond (R)セクタヌず呌ばれるフェルミオン的な状態を持぀郚分空間から成る状態空間が䞎えられる。この理論は、ボゟン的な自由床ずフェルミオン的な自由床が、任意の質量レベルにおいお同じであるこずを保蚌するような察称性、すなわち超察称性を備えおいる。さらにこの章ではIIA型ずIIB型の閉匊理論を調べる、これには開いた超匊の状態空間を取捚遞択しお組み合わせるこずによっお埗られる理論だ。

そしおこの章では超匊理論が成り立぀時空の次元数がであるこずが瀺されるほか、Neveu-Schwarz (NS)セクタヌず、Ramond (R)セクタヌに぀いお、それぞれ匊の振動の状態数衚珟し埗る粒子の皮類数がずおも倧きな数になるこずが、具䜓的な蚈算で瀺される。ただ基瀎線ではカラビ-ダり空間が玹介されないので、の乗ずも蚀われる超匊理論の持぀自由床が蚈算されるわけではない。

この章の最埌では、IIA型、IIB型のほかにどのようにしおE8xE8ヘテロ型、SO(32)ヘテロ型、I型の超匊理論が導かれるか、それらの匊の結合を無限倧に取った極限双察性や双察性から理論ず呌ばれる次元時空の膜の理論が埗られるこずが解説されおいる。しかし次元の匊理論も含めおそれら぀の理論を統䞀する理論の䞭倮郚は、ただわかっおいないのだ。


以䞊が基瀎線のあらたしである。「匊」ずいう新しい芁玠を出発点に眮き、これたで人類が発芋しおきた物理法則を制玄条件ずしお順番に適甚するこずで、これたでずは少し違った物理䞖界の姿が少しず぀明らかになっおいくのだ。このような圢で新しい䞖界が再構築されおいく姿を目の圓たりにするず自分が䞖界の創造䞻になったような感芚にずらわれる。これが超匊理論を孊ぶ醍醐味なのだ。

あず気が付いたこずがひず぀ある。䜙剰次元のコンパクト化は第章や第章で䟋瀺されおいるが、基瀎線党䜓を通しおみるずコンパクト化されおいない䜙剰次元ずしお蚈算が行なわれおいる。぀たり䜙剰次元がコンパクト化されおいなくおも理論は成り立っおいるわけで、コンパクト化を想定する根拠が垌薄に思えるこずだ。コンパクト化されない堎合「倧きい䜙剰次元」が存圚する根拠もなくなっおしたう。䜙剰次元のコンパクト化の根拠に぀いお泚意しながら発展線を読んでみたい。


数匏の導出は章が進むに぀れお難しくなる。けれども、最終的に埗られる結果は案倖シンプルな数匏になるので、途䞭で蚈算に぀いおいけなくなっおも、数匏から読み取れる物理的解釈は理解するこずができる。぀たり、萜ちこがれを救うしくみが本曞には内蔵されおいるのだ。各章末に蚭けられた「問題」も本曞の理解を深める䞊で圹に立぀。ただし解答は䞎えられおない。


翻蚳の元ずなったのは2009幎1月に刊行された次の本で、これが第版である。

「A First Course in String Theory: Barton Zwiebach」



この第版ではAdS/CFT察応、超匊理論 、orbifold、宇宙ひも、ひも理論のランドスケヌプ などを新しく網矅したずいう。

「初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ」
「初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ」

 


関連蚘事

発売情報初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8acd8a8c69f88d687ccd0290421c6d86

販売状況日本語の超匊理論・M理論の教科曞
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/61e4dd2232d54cf4a5f3da1aeb83975a


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「初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ」



序

初版ぞの前曞き
第版ぞの前曞き

第章緒論
- 統䞀理論ぞの道
- 物理孊の統䞀理論ずしおの匊理論
- 匊理論ずその怜蚌
- 展望ず抂芳

第章特殊盞察性理論・光錐座暙系・䜙剰次元
- 単䜍系ず理論のパラメヌタヌ
- 䞍倉距離ずLorentz倉換
- 光錘座暙
- 盞察論的な゚ネルギヌず運動量
- 光錘座暙系の゚ネルギヌず運動量
- 䜙剰次元ずLorentz䞍倉性
- コンパクト化した䜙剰次元
- オヌビフォヌルド
- 量子力孊ず矩圢井戞
- 䜙剰次元を䌎う句圢井戞

第章様々な次元における電磁気孊ず重力
- 叀兞電磁力孊
- 次元時空の電磁気孊
- 盞察論的な電磁力孊
- 高次元の球面
- 高次元における電堎
- 重力ずPlanck長さ
- 重力ポテンシャル
- 次元ずPlanck長さ
- 重力定数ずコンパクト化
- 倧きな䜙剰次元

第章非盞察論的な匊
- 暪方向の振動に関する運動方皋匏
- 境界条件ず初期条件
- 暪方向振動の振動数
- より䞀般的な匊の振動
- ラグランゞアン力孊の埩習
- 非盞察論的な匊のラグランゞアン

第章盞察論的な点粒子
- 盞察論的な点粒子の䜜甚
- パラメヌタヌ付け替え䞍倉性
- 運動方皋匏
- 電荷を持぀盞察論的な粒子

第章盞察論的な匊
- 空間内の面に関する面積汎関数
- 面積のパラメヌタヌ付け替え䞍倉性
- 時空内の面に関する面積汎関数
- 南郚-埌藀䜜甚
- 運動方皋匏、境界条件、D-ブレむン
- 静的ゲヌゞ
- 匊の匵力ず゚ネルギヌ
- 暪方向速床から芋た䜜甚
- 自由な開匊の端点の運動

第章匊のパラメヌタヌ付けず叀兞的な運動
- σのパラメヌタヌ付けの遞択
- 匊の運動方皋匏の物理的な解釈
- 波動方皋匏ず制玄条件
- 開匊の䞀般的な運動
- 閉匊の運動ず尖点
- 宇宙匊宇宙玐

第章䞖界面カレントず保存量
- 電荷の保存
- ラグランゞアンの察称性ずチャヌゞの保存
- 䞖界面においお保存するカレント
- 党運動量カレント
- Lorentz察称性ずカレント
- 募配パラメヌタヌα’

第章盞察論的な光錐匊
- τの遞択の方法
- σのパラメヌタヌ付け
- パラメヌタヌ付けの制玄条件ず波動方皋匏
- 波動方皋匏ずモヌド展開
- 運動方皋匏の光錘解

第章各皮の光錐堎ずボゟン
- 序論
- スカラヌ堎の䜜甚
- スカラヌ堎の叀兞的な平面波解
- スカラヌ堎の量子化ず粒子状態
- Maxwell堎ず光子状態
- 重力堎ず重力子状態

第章点粒子の光錐量子化
- 光錘粒子
- Heisenberg描像ずSchodinger描像
- 量子力孊的な点粒子ずスカラヌ粒子
- 光錘運動量挔算子
- 光錘Lorentz生成子

第章盞察論的な量子開匊
- 光錘ハミルトニアンず亀換子
- 振動子の亀換関係
- 調和振動子矀ずしおの匊
- 暪方向のVirasoro挔算子
- Lorentz生成子
- 状態空間の構築
- 運動方皋匏
- タキオンずD-ブレむン厩壊

第章盞察論的な量子閉匊
- モヌド展開ず亀換関係
- 閉匊のVirasoro挔算子
- 閉匊の状態空間
- 匊の結合ずディラトン
- R^1/Z_2オヌビフォヌルドにおける閉匊
- オヌビフォヌルドにおけるツむストしたセクタヌ

第章超匊理論入門
- 序論
- 反可換な倉数ず挔算子
- 䞖界面フェルミオン
- Neveu-Schwarzセクタヌ
- Ramondセクタヌ
- 状態の勘定
- 開いた超匊
- 閉じた超匊
↧
↧

初玚講座匊理論 発展線B.ツノィヌバッハ

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「初玚講座匊理論 発展線B.ツノィヌバッハ」

内容
MITの孊郚孊生向けの講矩から生たれた教育的な匊理論の教科曞。

“発展線”では、“基瀎線”で詳述した量子匊の基瀎抂念を背景に眮いお、匊理論の倚様な発展的偎面を抂芳する。D‐ブレむンず開匊を利甚したYang‐Mills堎の構築や、匊のKalb‐Ramondチャヌゞ、T双察性の抂念に぀いお説明し、D‐ブレむンの電磁堎を考察する。曎に、匊理論を利甚した玠粒子モデルやブラックホヌルの統蚈力孊、AdS/CFT察応などの応甚的な話題を玹介する。共倉な量子化に぀いおも簡単に蚀及し、最埌の郚分では匊のダむダグラムを甚いお匊の盞互䜜甚やルヌプ振幅を論じる。“発展線”は超匊理論の入門曞ずなっおいる。


日本語版の翻蚳者略歎
暺沢宇玀
1990幎倧阪倧孊倧孊院基瀎工孊研究科物理系専攻前期課皋修了。(æ ª)日立補䜜所䞭倮研究所研究員。1996幎(æ ª)日立補䜜所電子デバむス補造システム掚進本郚技垫。1999幎(æ ª)日立補䜜所蚈枬噚グルヌプ技垫。2001幎(æ ª)日立ハむテクノロゞヌズ技垫


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で237冊目。

「発展線」は実に刺激的だった。たるで50幎埌の物理の教科曞だ。でもこんな䞖界が本圓にあるのだろうかずいう感じである。

「倧栗先生の超匊理論入門」で取䞊げられおいた「AdS/CFT察応」や「クォヌク-グルヌオンプラズマ」、「ブラックホヌルの゚ントロピヌ問題」、「超匊理論による玠粒子の暙準理論の再珟」など専門的でホットな事柄が、このような入門曞でわかるようになるのだろうかもし本圓にわかるのだずしたら玠晎らしいではないか。定性的な理解にずどたるのか、それずも定量的に理解できるようになるのかに぀いおも気になるずころ。そのような気持で読み始めた。

「基瀎線」では匊および匊が存圚する次元たたは次元の時空の物理的性質がテヌマで、この「発展線」ではそこからどのような物理珟象が導き出されるかずいうこずが解説される。

章立おは次のずおり。詳现目次はこの蚘事のいちばん䞋を参照。

第章D‐ブレむンずゲヌゞ堎
第章匊のチャヌゞず電荷
第章閉匊のT双察性
第章開匊およびD‐ブレむンのT双察性
第章電磁堎を持぀D‐ブレむンずT双察性
第章Born‐Infeld理論ずD‐ブレむンの電磁堎
第章匊理論ず玠粒子物理
第章匊の熱力孊ずブラックホヌル
第章匷い盞互䜜甚ずAdS/CFT察応
第章匊の共倉な量子化
第章匊の基本的な盞互䜜甚ずRiemann面
第章匊のダむダグラムの構造ずルヌプ振幅

第章の「匊の共倉な量子化」は難しく、僕の理解床は割皋床、しかしその他の章はじゅうぶん理解でき、理解床は割以䞊だったず思う。぀たり読む䟡倀はあった。

本曞は暙準的な堎の量子論の教科曞よりは読みやすい。「発展線」では難しい数匏導出で「蚌明」が必芁になる箇所は導出を省略し、文章による説明で枈たせおいるこずによる。厳密性には欠けるが「入門曞」なのだから仕方がないこずだ。


第章D‐ブレむンずゲヌゞ堎

この章では空間を次元ずする匊理論ずしお話が進む。D‐ブレむンは「基瀎線」でも玹介されたが、この章に登堎するのは次元のDp‐ブレむンや、それに接続する開匊の物理珟象だ。ブレむンや匊は原子でできおいるわけではないので「物䜓」ず呌んでよいのか疑問が残るが、ずもかくがからの倀を取る次元の物䜓がいきなり登堎するこずに頭がクラクラしおくる。そんな䞖界っお本圓にあるのだろうかずりあえず疑問を䞞呑みしお読む必芁がある。D3‐ブレむンは私たちの䜏む次元䞖界のこずだ。

たずD‐ブレむンに接続しおいる開匊の量子化を行う。次に぀の平行なDp‐ブレむンを仮定するずそこには盞互䜜甚をするゲヌゞ堎Maxwell堎が出珟するのだ。さらにN個の重なり合ったDp‐ブレむンは、質量のないU(N)ゲヌゞ堎を持぀こずが導かれる。たた異なる次元数を持぀平行なD‐ブレむンが考察される。

この章で取䞊げられる次元空間はコンパクト化されおいないこず、぀たりナヌクリッド的な空間であるこずに泚意しよう。

第章匊のチャヌゞず電荷

この章で孊ぶのは匊理論版、超匊理論版の電磁気孊である。これによっおD‐ブレむンの物理がたすたす具䜓的になり真実性が垯びおくる。なんず匊が「チャヌゞ荷量」を持぀ようになるのだ。このチャヌゞは電荷を䞀般化したようなものでKalb-Ramon堎に結合する匊が持っおいる。点粒子がMaxwell堎に結合するずきその粒子は電荷を持っおいるわけなので、同じ理屈を匊にも圓おはめるわけだ。

電磁気孊のMaxwellゲヌゞ堎はA_Όずいう次元のベクトル堎であらわされるが、Kalb-Ramond堎ず匊の結合によっお導かれる堎はB_ΌΜずいう階の反察称テン゜ル堎ずなる。倧雑把な蚀い方をすれば私たちの䞖界の電磁堎を䞀般化したような堎が匊理論の次元空間や超匊理論の次元空間に存圚しおいるのだ。

匊のチャヌゞは匊に沿ったカレント流れずしお可芖化できる。匊は匊のチャヌゞの保存を砎るこずなくD‐ブレむンに端点を接続できる。匊の端点は電荷を持ち、そこからD‐ブレむン内に生じる電堎線が匊のチャヌゞを運ぶからである。

超匊理論におけるある皮のD‐ブレむンは、閉じた匊に起因するRamond-Ramond堎に察するチャヌゞを担う。チャヌゞを持っおいお、空間次元がコンパクト化の方向に限定されおいるようなブレむンは、䜎次元の芳枬者にずっお、Ramond-Ramond堎から次元䜎枛によっお生じおいるMaxwell堎に察しお電荷を持぀点粒子のように芋える。

第章閉匊のT双察性

空間次元が円に巻き取られるず、閉匊には皮類の圱響が及ぶ。閉匊の円に沿った方向の運動量は量子化され、たた閉匊が円を呚回するように巻き付いた新た状態も珟れる。運動量ず巻き付き状態の、円の半埄の関数ずしおの盞補的な挙動により驚くべき察称性T察称性が生じる。閉匊の理論においお、円の半埄がRのずきの物理は、円の半埄がα’/Rのずきの物理ず区別が぀かなくなるのだ。この等䟡性は、すべおの亀換関係を考慮した぀の理論の間の挔算子写像を瀺すこずによっお蚌明される。

第章開匊およびD‐ブレむンのT双察性

T双察性はDp‐ブレむンのひず぀の空間座暙が円に巻き取られおいる䞖界を、それず双察な半埄を持぀円の䞊の決たった䜍眮にD(p-1)‐ブレむンがあるような、芋た目は異なるけれども等䟡な䞖界ぞず関係づける。第の䞖界では、開匊は円に沿った運動量を持぀こずができるが、そのたわりを巻くこずはできない。第の䞖界では、開匊は双察な円に沿った運動量を持おないが、その円に巻き付くこずができる。そしおMaxwellゲヌゞ倉換を利甚しお、円の䞊においお、ゲヌゞ堎の線積分



の倀が呚期的に同定されるこずが瀺される。Dp‐ブレむンの、円に巻き付いおいる方向に沿ったゲヌゞ堎のホロノミヌは、T双察性によっお、双察な円の䞊のD(p-1)‐ブレむンの角床䜍眮に関係づけられるこずになる。

第章ず第章で匊理論や超匊理論が持぀T双察性ずいう事実によっお次元の異なる぀の䞖界で察応付けがされる互いに等䟡な物理法則が存圚するこずが説明される。第章では量子力孊で導かれる「アハラノフ-ボヌム効果」の存圚も瀺されおいる。ただしこれら぀の章では匊理論を䜿っお解説されおいるこず、䜙剰次元は぀の次元だけで円筒圢に巻かれるコンパクト化を䜿った解説が行なわれおいる。

第章電磁堎を持぀D‐ブレむンずT双察性

この章ではD‐ブレむンがその䞖界領域倚次元化された䞖界面においお電堎や磁堎を持぀状況に぀いお孊ぶ。開匊の端点はこれらの電磁堎に結合する。T双察性を利甚しお、電堎を持぀D‐ブレむンが電堎を持たずに移動しおいるD‐ブレむンず物理的に等䟡であるこずが瀺される。D‐ブレむンが光速より速く移動できないずいう制玄は、電堎の匷床がある最倧倀を超えないこずを意味しおいる。たた、磁堎を持぀Dp‐ブレむンがT双察性により、磁堎を持たずに傟いおいるD(p-1)‐ブレむンず等䟡であるこずも瀺される。それはDp‐ブレむンにおける磁堎が、溶解したD(p-2)‐ブレむンの分垃によっお生成されるものずずらえおもよい。

第章Born‐Infeld理論ずD‐ブレむンの電磁堎

この章では線圢なMaxwell理論を修正したBorn-Infeld理論ずいう非線圢電磁力孊が導入される。この理論は電堎の倧きさに最倧倀があるずいう制玄が組み蟌たれおいお、点電化が持぀静電的な自己゚ネルギヌが有限になる。぀たり繰り蟌み理論が䞍芁。そしお双察性を利甚しお、D‐ブレむンの䞖界領域における電磁堎がBorn-Infeld理論に支配される理由が説明され、この理論における電磁堎のハミルトニアンやラグランゞアンが蚈算される。぀たりD‐ブレむンの存圚によっお導かれるのは非線圢電磁気孊なのだ。

第章匊理論ず玠粒子物理

この章ではIIA型の超匊理論を前提ずし、぀のD6‐ブレむンを亀差させた配眮を蚭定するこずにより、玠粒子物理に察するひず぀の匊モデルが定矩される。ブレむンの亀差郚分における開匊状態から、カむラルフォルミオンが自然に䞎えられるが、これは玠粒子の暙準暡型においお鍵ずなる構成芁玠である。しかしこの段階では暙準理論には含たれない粒子が぀でおきおしたう。さらにオリ゚ンティフォヌルド平面ブレむンずいう鏡像ブレむンを導入するこずによっお぀の䜙分な粒子は出おこなくなりゲヌゞボゟンずカむラルフォルミオンのスペクトルが無質量な圢で出るこずで、暙準理論は非可換ゲヌゞ察称性や物質粒子が䞖代あるこずも含めお完党に再珟されるこずになる。

コンパクト化のモデュラむは調敎可胜なパラメヌタヌであり、ここから䞍郜合な無質量スカラヌ堎が生じおしたうが、これを安定化させおスカラヌ堎に質量を䞎える必芁がある。磁束コンパクト化によっおモデュラむの安定化が達成され、匊の真空モデルに関する広倧な景芳ランドスケヌプが埗られる。真空゚ネルギヌが、珟圚芳枬されおいる倀に敎合するような真空の存圚は、統蚈力孊的に芋おもっずもらしいものになる。

この章で甚いられるのはIIA型の超匊理論で、䜙剰次元はコンパクト化された次元トヌラスT6である。次元トヌラスは぀の次元トヌラスT2の積ずしお曞くこずができ、解説は亀差する次元トヌラスを䜿っお行なわれおいる。

たたこの章の「玠粒子物理の匊理論モデルの抂芳」ずいう節では、぀の超匊理論のモデルずM理論、そしおE8xE8ヘテロ型の超匊理論モデルで予想されるCalabi-Yau空間ずいうコンパクト化された䜙剰次元空間に぀いお抂説し、この章で前提ずした次元トヌラス次元ドヌナツの衚面による亀差ブレむンモデルだけが暙準理論を構築するためのモデルではないこずに蚀及しおいる。

暙準理論を再珟できるこずはよくわかったが、次元トヌラスず鏡像ブレむンを採甚するのはどうも人為的だずいう感が吊めないず僕には思えた。けれども超匊理論の空間次元数はで、私たちの空間次元数のを匕くず䜙剰次元はになる。次元の察称的なトポロゞヌによっお暙準理論が導かれるこずは人為的だず蚀い切っおしたうのも蚀い過ぎのような気がするのだ。

第章匊の熱力孊ずブラックホヌル

この章はブラックホヌルの熱力孊、぀たりホヌキング攟射や゚ントロピヌ問題の解明に぀ながる解説がされおいる。

匊の熱力孊は、匊の取り埗る量子状態の数が゚ネルギヌに察しお指数関数的に増倧するずいう性質に支配される。そのような増加率を、倧きな敎数の分割パタヌンの数をかぞえるこずによっお掚定する。゚ントロピヌの挙動から、高゚ネルギヌにおいお枩床が有限の定数、すなわちHagedorn枩床に近づくこずが導かれる。ブラックホヌルの枩床はある䞀定以䞊の枩床には䞊昇しない。それらがボゟン的な開匊に぀いお有限枩床における単䞀匊の分配関数を蚈算する。そしお匊の状態数をいかにしおブラックホヌルの゚ントロピヌの統蚈力孊的な導出に利甚できるかが説明される。匊モデルによる蚈算結果はSchwarzschildブラックホヌルの゚ントロピヌず定性的に䞀臎し、ある皮の荷電ブラックホヌルの゚ントロピヌず定量的に䞀臎するこずが瀺される。

統蚈力孊をきちんず孊んだ人にずっおは読みやすい章だ。この章でブラックホヌルの゚ントロピヌがブラックホヌルの䜓積ではなく面積に比䟋しおいるこずが瀺唆される。ただし本曞では厳密な蚌明が䞎えられおいるのではないこずもわかった。たたホヌキングパラドックスがこの章で解決されおいるわけではない。「NHKスペシャル「神の数匏」第回宇宙はどこから来たのか」ではブラックホヌル䞭心でCalabi-Yau空間の䞭を運動するD‐ブレむンによっお熱が発生するこずがCG化されおいたが、この章ではCalabi-Yau空間もD‐ブレむンも出おこない。

第章匷い盞互䜜甚ずAdS/CFT察応

この章で解説されるのは量子色力孊QCDを成り立たせる匷い盞互䜜甚匷い栞力ず次元の双極型時空である反de Sitter時空の䞭で成り立぀重力理論に物理的な等䟡性があるずいう驚くべき事実が解説される。これは「AdS/CFT察応」ず呌ばれおいる。この理論によっお「クォヌク-グルヌオンプラズマ」の性質が説明され、この珟象は超匊理論の正圓性を瀺す぀の蚌拠ずされおいる。

匊理論は匷い盞互䜜甚に察する倚くの掞察をもたらす。回転する開匊の量子状態は、匷粒子励起の鍵ずなる性質を備えおいる。䌞びおいる匊の゚ネルギヌは、話されたクォヌク-反クォヌク察のポテンシャル゚ネルギヌの挙動ずよく敎合する。さらに驚くべきこずに、ある皮のゲヌゞ理論に察しお物理的に等䟡な閉匊の理論が芋出される。その閉匊はゲヌゞ理論が存圚する空間を境界ずしお持぀ような、次元がひず぀高い空間の䞭を䌝播する。この等䟡性の䞻芁な䟋はAdS/CFT察応であるが、これは次元時空すなわち私たちの䜏む時空における超察称SU(N)ゲヌゞ理論が、次元の反de Sitter時空AdS_5を含む時空におけるIIB型の超匊理論によっお完党に等䟡になっおいるこずを瀺しおいる。この察応関係をじゅうぶんに理解するための背景ずしお、反de Sitter時空ず、これに関連する双極型空間の幟䜕を詳しく調べる。この察応を利甚するこずにより、最近発芋されたクォヌク-グルヌオンプラズマの性質を、反de Sitter時空におけるブラックホヌルの性質ず関係づけお説明するこずが可胜になる。

第章匊の共倉な量子化

匊理論のLorentz共倉な量子化においおは、すべおの匊座暙X~ÎŒ(τ,σ)が同等に扱われる。物理的な状態を遞ぶためにVirasoro挔算子の郚分集合によっお蚭定される制玄を適甚する。埗られるじょうたいは自動的に時間のラベルを備えるので、ハミルトニアンは時間発展を生成しない。最埌にPolyakov䜜甚を蚘述し、それが叀兞的には南郚-埌藀䜜甚ず等䟡であるこずが瀺されおいる。

これたでの章では光錘座暙ず光錘ゲヌゞを利甚しお匊の量子化を行なっおきた。しかしこれではLorentz察称性を明癜な圢にするこずができない。この章で解説される「Lorentz共倉な量子化」によっおはじめおこれが明癜になるのだ。通垞の量子力孊では粒子の䜍眮は挔算子ずなる䞀方、時間はパラメヌタヌのたた残る。しかしLorentz共倉な量子化においおは時間x0も粒子の䜍眮ず同等に扱われ、挔算子ずなるのだ。これを出発点ずしお、これたで解説されおきた匊の物理に察しおどのような制限を課し、修正されるべきかがこの章で解説される。

第章匊の基本的な盞互䜜甚ずRiemann面

玠粒子物理孊や堎の量子論では、粒子どうしがどのように盞互䜜甚されるかに぀いお調べるのだが、匊どうしはどのように盞互䜜甚し、それが私たちにずっお粒子の盞互䜜甚ずしお認識されるのだろうかこれがこの章のテヌマである。

盞互䜜甚に関䞎するそれぞれの開匊の䞖界面はRiemann面ず芋なされ、盞互䜜甚仮定は、それらのRiemann面のモデュラむ空間を構築するように芋なされる。盞互䜜甚をする光錘䞖界面に察する正準衚珟を䞎えるために、共圢写像が利甚される。開匊タキオンの盞互䜜甚に関する有名なVeneziano振幅が玹介される。

匊理論の前史は1970幎頃、CERNの理論家G・ベネツィアヌノや鈎朚真圊の発芋から始たった。200幎前のオむラヌによるベヌタ関数ず呌ばれる関数:B(u,v)≡Γ(u)Γ(v)/Γ(uv)を導入すれば、Venezianoによる散乱振幅をA(s,t)B(−α(s),−α(t))ず衚わされるこずを偶然発芋したのが匊理論誕生の瞬間だったのだ。

この章の解説で利甚されるのは耇玠解析で玹介される「Riemann面」の「共圢写像等角写像」だ。これに぀いおは「ノィゞュアル耇玠解析T.ニヌダム」で詳しく解説されおいるので、この章をお読みになる前に読んでおくずよいだろう。Riemann面は耇玠平面なので物理的に実圚するものではない。この章ではあくたで問題を解く道具ずしおRiemann面の共圢写像を利甚しおいるわけである。

第章匊のダむダグラムの構造ずルヌプ振幅

この章では重力の玫倖発散、぀たり重力が無限倧になる問題を匊理論でどのように解決されおいるかが論じられおいる。解決ずいうより、そもそも匊理論にはこの問題が存圚しないのだ。

散乱振幅を高い粟床で蚈算するためには、仮想的な過皋を衚すルヌプを含むダむダグラムからの寄䞎を蚈算に含めなければならない。Einsteinの重力理論においお、そのようなダむダグラムは玫倖発散を匕き起こしおしたい、短距離の珟象が手に負えない問題になる。匊理論は重力を含んでいるが、こおような玫倖発散は存圚しない。短距離の過皋に察する候補ずなるようなRiemann面は、それが明らかに安党な長距離珟象の蚘述であるず芋る解釈をも同時に蚱容するものになっおいる。この驚くべき性質を仮想開匊の過皋に関するアニュラス円環面の堎合ず、仮想閉匊の過皋に関係するトヌラス茪環面の堎合に぀いお解説しおいる。

この章で取り䞊げられおいるのはファむンマン・ダむダグラムである。トポロゞカルな意味で、この章は特に興味深かった。ずはいえ進むに぀れお難しくなっおいるので、より発展的な教科曞で孊ぶ必芁があるように思えた。

以䞊が章ごずの解説である。


党䜓的な感想

「発展線」は各章で解説されおいる個別の事柄に぀いおはよく理解できたのだ。「AdS/CFT察応」や「クォヌク-グルヌオンプラズマ」、超匊理論による玠粒子の暙準理論の再珟」などに぀いおの理解も本曞の解説で玍埗できる。「ブラックホヌルの゚ントロピヌ問題」に぀いおも基瀎的なずころたでは知るこずができた。

けれども党䜓ずしおは特に次の぀の点が疑問ずしお残った。

党䜓像が芋えない

次元時空の匊理論があり、次元時空の超匊理論は皮類あるこず、そしお぀の超匊理論は次元時空のM理論を構成しおいるこず、それずは別にp次元のDp‐ブレむンがあるこずがわかるのだが、党䜓ずしおどうなっおいるのかが芋えおこない。今の段階ではたさに「矀盲象を評す。」ずいう状況であるこずがよくわかった。超匊理論は巚倧な象であり、党䜓像象はただわかっおいない。

どのようなコンパクト化を採甚するのか

䞊の解説でおわかりのように、章によっお採甚される䜙剰次元のコンパクト化の手法が異なっおいる。コンパクト化がされないケヌスもある。それは匊理論を採甚するか、぀の超匊理論のうちどれを採甚するかずいう違いに起因するこずもあるのだろうが、本来䜙剰次元のコンパクト化の仕方は぀であるはずだ。いったいどれが本圓なのだろうかそのような疑問がどうしおも残っおしたう。

コンパクト化される䜙剰次元はどのように決たるのかがわからない

もずもずすべおの次元がコンパクト化されおいたず想定されおいるので、この質問は逆なのかもしれないが、珟圚匊理論や超匊理論の䜙剰次元の次元、次元のうち䞀郚たずえば぀たたは぀だけがコンパクト化されおいるのならば、なぜ䞀郚の次元だけがコンパクト化されおいるのかが䞍明。

この他にも疑問は残っおいるし、より高床な内容は本曞では説明されおいないこずもわかった。今だに高次元の空間やDp‐ブレむンの存圚を信じ切るこずができないでいるが、超匊理論の入門曞ずしおはずおも瀺唆に富んだよい教科曞なので、自分には無理ず決め぀けないでぜひお読みになっおいただきたい。


翻蚳の元ずなったのは2009幎1月に刊行された次の本で、これが第版でKindle版も出おいる。

「A First Course in String Theory: Barton Zwiebach」



この第版ではAdS/CFT察応、超匊理論 、orbifold、宇宙ひも、ひも理論のランドスケヌプ などを新しく網矅したずいう。

「初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ」
「初玚講座匊理論 発展線B.ツノィヌバッハ」

 


関連蚘事

発売情報初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8acd8a8c69f88d687ccd0290421c6d86

初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6da996449afaf50f8cf0f4f84881da0e

販売状況日本語の超匊理論・M理論の教科曞
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/61e4dd2232d54cf4a5f3da1aeb83975a


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「初玚講座匊理論 発展線B.ツノィヌバッハ」



第章D‐ブレむンずゲヌゞ堎
- Dp‐ブレむンず境界条件
- Dp‐ブレむンに接続しおいる開匊の量子化
- 平行なDp‐ブレむンの間の開匊
- 平行なDp‐ブレむンずDq‐ブレむンの間の匊

第章匊のチャヌゞず電荷
- 基本的な匊のチャヌゞ
- 匊のチャヌゞの可芖化
- D‐ブレむンに接続する端点を持぀匊
- D‐ブレむンのチャヌゞ

第章閉匊のT双察性
- 双察察称性ずハミルトニアン
- 閉匊の巻き付き
- 巊進波ず右進波
- 量子化ず亀換関係
- 状態の制玄条件ず質量公匏
- コンパクト化次元䜎枛ず閉匊の状態空間
- スペクトルの驚くべき䞀臎
- 党量子察称性ずしおのT双察性

第章開匊およびD‐ブレむンのT双察性
- 開匊のT双察性
- U(1)ゲヌゞ倉換
- 円におけるWilsonラむン
- D‐ブレむンず開匊ずWilsonラむン

第章電磁堎を持぀D‐ブレむンずT双察性
- 開匊に結合するMaxwellå Ž
- 電堎を持぀D‐ブレむン
- 磁堎を持぀D‐ブレむン

第章Born‐Infeld理論ずD‐ブレむンの電磁堎
- 非線圢電磁力孊の枠組み
- Born-Infeld理論
- Born-Infeld理論ずT双察性

第章匊理論ず玠粒子物理
- 亀差する぀のD6‐ブレむン
- D‐ブレむンず暙準暡型のゲヌゞ矀
- 開匊ず暙準暡型のフォルミオン
- 亀差するD‐ブレむンず暙準暡型
- 玠粒子物理の匊理論モデルの抂芳
- モデュラむの安定化ず真空モデルのランドスケヌプ

第章匊の熱力孊ずブラックホヌル
- 統蚈力孊の埩習
- 分割の数ず量子バむオリン匊
- Hagedorn枩床
- 盞察論的な粒子の分配関数
- 単䞀の匊の分配関数
- ブラックホヌルの゚ントロピヌ
- ブラックホヌルの状態の勘定

第章匷い盞互䜜甚ずAdS/CFT察応
- 序論
- 䞭間子ず量子回転匊
- 䌞びた有効匊の゚ネルギヌ
- ゲヌゞ理論のNが倧きい極限
- 質量を持぀源の重力効果
- AdS/CFT察応ぞの動機付け
- AdS/CFT察応におけるパラメヌタヌの関係
- 双極型空間ず共圢境界
- AdSの幟䜕ずホログラフィヌ
- 有限枩床におけるAdS/CFT察応
- クォヌク・グルヌオン・プラズマ

第章匊の共倉な量子化
- 序論
- 開匊のVirasoro挔算子
- 量子力孊的な状態ぞの制玄補助条件
- Lorentz共倉な状態空間
- 閉匊のVirasoro挔算子
- Polyakov匊䜜甚

第章匊の基本的な盞互䜜甚ずRiemann面
- 序論
- 盞互䜜甚ず芳枬量
- 匊の盞互䜜甚ず倧域的な䞖界面
- Riemann面ずしおの䞖界面
- Schwarz-Christoffel写像ず本の匊の盞互䜜甚
- Riemann面のモデュラむ空間
- 本の匊の盞互䜜甚
- Veneziano振幅

第章匊のダむダグラムの構造ずルヌプ振幅
- ルヌプダむダグラムず玫倖発散
- 円環面アニュラスずルヌプ開匊
- 円環面アニュラスず静電容量
- 非平面の開匊ダむダグラム
- 個の閉匊の盞互䜜甚
- 茪環面トヌラスのモデュラむ空間

参考文献に぀いお
- 文献リスト
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ミドリ色の屋根 - ルネ (1974)

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懐かしい動画を芋぀けたので玹介しおおこう。

1974幎、第3回東京音楜祭においお「ミドリ色の屋根」でグランプリ、フランク・シナトラ賞を受賞したカナダ人のルネ・シマヌルずいう少幎のこずだ。
圓時ルネは13歳。1961幎生たれだから珟圚は52歳になっおおり、今も歌手ずしお掻動を続けおいる。

りィキペディアの蚘事英語怜玢しおみる
ネット䞊のルネの画像怜玢しおみる
YouTubeにあるルネの動画怜玢しおみる

あどけない少幎が倧きなステヌゞの真ん䞭でこの切ない歌を熱唱する姿は聎衆を圧倒した。ルックスは良いし、歌唱力も抜矀だったから東京音楜祭の番組をきっかけにものすごい人気ずなった。消臭力のミゲル君など足元にも及ばない。攟送翌日だけでレコヌドの売り䞊げは䞇枚に達したずいう。

圓時の僕は声倉わりする前でこの歌を䜕床も歌っおいたこずを芚えおいる。

たず、聞いおもらいたい。

フランス語の原曲はこちら。Rene Simard - Non...Ne pleure pas (1974)



日本でヒットしたのはこちらの曲。ミドリ色の屋根 - ルネ (1974)







ためしに蚳しおみた。

ルネ・シマヌル - だめ...泣かないで (1974)
歌詞の蚳ずね

ママは窓をじっず芋おる
朝からずっず目に涙をためお
たた䌚えるずいう望みをもちながら
パパは結局
䜕も蚀わずに出お行っおしたったのに
ママず僕を眮いお
倖は朚々の葉が黄色になりかけおいる
幞せだった日々は秋のこず

(繰り返し)
だめ、泣かないで 僕はそばにいるよ
だめ、泣かないで 僕が愛しおいるから
お日さたや青い空、春になっおも
行かないでずいう声がずっず聞こえる
ママず僕はずっずここに
この家にいようよ

(間奏)
颚がドアをたたく音が聞こえる
暖炉の薪が
なぐさめおいるように歌っおくれおいる
ママが忘れられるように

(繰り返し)
い぀たでもこの家にいようよ
僕はママのそばにずっずいるから


ELSAの「T'en Vas Pas」もそうなのだけど、この曲も家族を捚おお出お行っおしたうパパの話なのだ。

ELSA - T'en va pas
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e0f3492d19631d74ebcc7820b9f5d47f


関連ペヌゞ

ファンの方のブログや掲瀺板があり、今でも掻発に投皿されおいるこずには驚かされた。

ミドリ色の屋根は氞遠に〜Rene Simardに銖ったけ〜
http://green.ap.teacup.com/rene_simard/

ルネ・シマヌルの掲瀺板
http://8123.teacup.com/renee/bbs


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発売情報 新倩文孊ペハネス・ケプラヌ

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「新倩文孊ペハネス・ケプラヌ」

内容玹介
惑星運動は叀代ギリシア以来考えられおいた円ではなく、楕円を描いおいた! ティコ・ブラヌ゚より膚倧な火星の芳枬デヌタの解析を蚗されたケプラヌは、詊行錯誀のはおに、コペルニクスはもずよりガリレオも前提ずしおいた円を脱华し、 楕円軌道の発芋にいたる。近代倩文孊ぞの扉を開いたケプラヌの第1法則、第2法則発芋プロセスの党容。ラテン語原兞より本邊初の党蚳。

著者に぀いお
Johannes Kepler 1571.12.27〜1630.11.17
1571幎、ドむツのノァむル・デァ・シュタット生たれ。テュヌビンゲン倧孊で孊んだ埌、グラヌツの神孊校で数孊・倩文孊を教える。凊女䜜『宇宙の神秘』(1596)に瀺された数孊的才胜を評䟡したティコ・ブラヌ゚に招かれ、プラハで共同研究した成果を本曞『新倩文孊』(1609)に発衚。いわゆるケプラヌの3法則のうちの楕円軌道の法則(第1法則)、面積速床䞀定の法則(第2法則)を確立。さらに『宇宙の調和』(1619)で第3法則(惑星の公転呚期の2乗ず倪陜からの平均距離の3乗が比䟋する)を提瀺し、近代科孊の基瀎を築く。たたガリレオが発芋した朚星の「衛星(satelles)」の呜名者、星圢倚面䜓の発芋者、最密充填問題の予想者ずしおも科孊史に名を残しおいる。1630幎、レヌゲンスブルクにお客死。


ケプラヌ郚䜜の邊蚳が぀いに完結した。

特に重芁なこの冊目、「新倩文孊」の日本語版は先月発売されたばかり。これも岞本良圊先生がラテン語から翻蚳された本だ。

ペハネス・ケプラヌの業瞟はネット䞊に詳しく解説しおいるペヌゞがいく぀もあるので、あえお僕が説明するたでもないだろう。圌が発芋した惑星の運動の法則は惑星の運動の幟䜕孊であり、50幎埌にアむザック・ニュヌトンによっお数孊的に蚌明され力孊の法則、䞇有匕力の法則が導かれた。そしおニュヌトンの研究成果を集倧成した著曞「プリンキピア自然哲孊の数孊的原理」は近代自然科孊の出発点ずしおあたりにも有名である。

ケプラヌの法則 解説ペヌゞ
第1法則楕円軌道の法則惑星は、倪陜をひず぀の焊点ずする楕円軌道䞊を動く。
第2法則面積速床䞀定の法則惑星ず倪陜ずを結ぶ線分が単䜍時間に描く面積は、䞀定である面積速床䞀定。
第3法則調和の法則惑星の公転呚期の2乗は、軌道の長半埄の3乗に比䟋する。

この歎史的名著が冊ずも翻蚳されたこずは、孊術的な意味においおも極めお意矩が倧きい。

ケプラヌは倚数の著䜜物を残したが、ケプラヌの法則に぀ながる代衚的なものはこの冊だ。出版された幎代は江戞時代が始たった頃。

「宇宙の神秘 新装版ペハネス・ケプラヌ著、倧槻真䞀郎岞本良圊蚳」初版は1596幎、25歳のずき出版。第版は1621幎、50歳のずき出版。日本語版は瞊曞き本。レビュヌ蚘事
「新倩文孊ペハネス・ケプラヌ著、岞本良圊蚳」1609幎、38歳のずき出版ケプラヌの第、第法則を発衚した本。
「宇宙の調和ペハネス・ケプラヌペハネス・ケプラヌ著、岞本良圊蚳」1619幎、48歳のずき出版ケプラヌの第法則を発衚した本。日本語版は暪曞き本。

  


なお「新倩文孊1609幎初版」のラテン語原兞はこのペヌゞで閲芧できる。その他の貎重曞籍はこちら。
http://www.kyoto-su.ac.jp/lib/kichosyo/kepler/index.html



関連蚘事、関連サむト

宇宙の神秘 新装版ペハネス・ケプラヌ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f6a05c374c0716ad409f1ee2c0cef0f1

束岡正剛氏も本曞に぀いおお曞きになっおいるので、あわせおお読みいただきたい。

ペハネス・ケプラヌ『宇宙の神秘』束岡正剛の千倜千冊
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0377.html

Johannes Kepler infoケプラヌに぀いおの総合情報サむト
http://www.johanneskepler.info/

ケプラヌの倚面䜓宇宙モデル倩文叀玩
http://mononoke.asablo.jp/blog/2011/07/08/5947547

日本語版「プリンキピア」が背負った䞍幞
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bff5ce90fca6b8b13d263d0ce6fc134e


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「新倩文孊ペハネス・ケプラヌ」


第1郚 仮説の比范に぀いお
◎ 第1ç«  第1の運動ず惑星に固有の第2の運動の盞違
◎ 第2ç«  離心円ず呚転円付同心円の単玔な最初の等倀ずその自然孊的理由
◎ 第3ç«  盞異なる芳点や量的に異なる仮説が理論䞊等倀ずなり䞀臎しお同䞀の惑 星行路を圢成する
◎ 第4ç«  同心円䞊の2重呚転円ないしは離心呚転円ず離心円における゚カントの 間に認められる䞍完党な等倀に
◎ 第5ç«  ゚カントもしくは第2呚転円を甚いたこの軌道の配列も実際には同䞀(な いしほが同䞀)でも惑星を平均倪陜もしくは芖倪陜ずの衝で芳枬するのに応じお同䞀の時点でどの皋床たで異なる倖芳を呈しうるか
◎第6ç«  惑星の第2の䞍敎を論蚌するプトレマむオス、コペルニクス、およびブラヌ゚説の理論䞊の等倀 たた3説を倪陜の芖運動ず平均運動に適甚したずきの盞違
第2郚 叀人の説にならった火星の第1の䞍敎に぀いお
◎ 第7ç«  どんなきっかけで火星論に出䌚ったか
◎ 第8ç«  ティコ・ブラヌ゚が芳枬し算出した火星ず倪陜の平均運動の線ずの衝の 衚およびその衚の怜蚎
◎ 第9ç«  火星の黄道䞊の䜍眮をその円軌道に還元する
◎ 第10ç«  ティコ・ブラヌ゚が倪陜の平均䜍眮ず衝になる時点を求めたさいの拠 り所である芳枬結果そのものの考察
◎ 第11ç«  火星の日呚芖差
◎ 第12ç«  火星の亀点の探求
◎ 第13ç«  黄道面ず火星軌道面の傟斜の探求
◎ 第14ç«  離心円の面がぶれずに平衡を保぀
◎ 第15ç«  倜の始めず終わりに芋えた䜍眮を倪陜の芖運動の線に還元する
◎ 第16ç«  第1の䞍敎をうたく説明するための仮説を探求する方法
◎ 第17ç«  遠地点ず亀点の動きの䞀応の探求
◎ 第18ç«  発芋された仮説による初曎の12の䜍眮の怜蚌
◎ 第19ç«  倧家たちの芋解に埓い初曎の党䜍眮により確蚌されたこの仮説に察す る初曎の緯床による論駁
◎ 第20ç«  初曎の䜍眮以倖での芳枬結果による同仮説の論駁
◎第21ç«  誀った仮説から正しさの生じる理由ずその正しさの皋床
第3郚 第2の䞍敎すなわち倪陜もしくは地球の運動の研究 あるいは運動の物理的原因に関する倚圩にしお深淵な倩文孊の鍵
◎ 第22ç«  呚転円ないし幎呚軌道は運動を均䞀化する点(゚カント)の呚囲に均䞀 に䜍眮しない
◎ 第23ç«  地球から倪陜たでの2぀の距離ず獣垯䞊の䜍眮および倪陜の遠地点を 知っお倪陜(ないしはコペルニクス説の地球)の行路の離心倀を求める
◎ 第24ç«  呚転円もしくは幎呚軌道が゚カントの点から離心しおいるこずのより 明癜な蚌拠
◎ 第25ç«  宇宙の䞭心から倪陜たでの3぀の距離から獣垯䞊の䜍眮を知り遠地点 ず倪陜もしくは地球の離心倀を求める
◎ 第26ç«  呚転円が固定点぀たり軞から、幎呚軌道(倪陜を回る地球の軌道ないしは地球を回る倪陜の軌道)も倪陜ないし地球の本䜓の䞭心から、ティコ・ブラヌ゚が倪陜の運動の均差によっお発芋した倀の少なくずも半分は離心しおいるこずの、同じ芳枬結果による蚌明
◎ 第27ç«  初曎の䜍眮ではないが同じ離心䜍眮にある火星の別の4぀の芳枬結果 から、地球軌道の離心倀、遠日点、獣垯䞊の火星の離心䜍眮ず合わせお地球の各䜍眮での軌道盞互の比を論蚌する
◎ 第28ç«  獣垯䞊の倪陜の䜍眮だけでなく離心倀1800から地球ず倪陜の距離も 想定し、同じ離心䜍眮に来る火星をかなり倚く芳枬するこずによっお、倪陜から火星たでの距離ず離心䜍眮ずがあらゆる所で䞀臎するかどうか芋る この議論により、倪陜の離心倀がちょうど1800であり、想定の正しかったこずが確認される
◎ 第29ç«  離心倀を知り倪陜ず地球の距離を定める方法
◎ 第30ç«  倪陜の地球からの距離の䞀芧衚およびその甚法
◎ 第31ç«  倪陜の離心倀を2等分しおもティコの提瀺した倪陜の均差は感知でき るような混乱をきたさないこず、および4぀の均差算出法
◎ 第32ç«  惑星を円運動させる力は源泉から離れるに぀れお枛衰する
◎ 第33ç«  惑星を動かす力は倪陜本䜓にある
◎ 第34ç«  倪陜の本䜓は䞀皮の磁石であり、自らの占める空間で自転する
◎ 第35ç«  倪陜に由来する運動も光のように遮蔜によっお惑星に届かないこずが あるか
◎ 第36ç«  倪陜から発する運動を叞る力は宇宙の広倧さによっおどの皋床匱めら れるか
◎ 第37ç«  月を動かす力はどのようにしお埗られたか
◎ 第38ç«  惑星には運動を叞る倪陜の共通な力のほかに本来の固有な力が具わっ おいる たた個々の惑星の運動は2぀の原因から成る
◎ 第39ç«  惑星に内圚する力が、゚ヌテルの倧気䞭の惑星軌道を䞀般にそう信じ られおいるような円にするには、どういう経路ず手段で運動を起こすべきか
◎第40ç«  物理孊的仮説から均差を算出する䞍完党な方法 ただしこの方法は倪陜もしくは地球の理論には十分である
第4郚 物理的原因ず独自の芋解による第1の䞍敎の真の尺床の探求
◎ 第41ç«  すでに甚いた倪陜ず衝になる䜍眮以倖での芳枬結果から長軞端、離心 倀、軌道盞互の比を調べる詊み ただし誀った条件を䌎っおいる
◎ 第42ç«  火星が遠日点の近くに来るずきの初曎の䜍眮以倖での若干の芳枬結果 ず近日点の近くに来るずきの別の若干の芳枬結果ずにより最も確実な遠日点の䜍眮、平均運動の蚂正、真の離心倀、軌道盞互の比を求める
◎ 第43ç«  惑星軌道が真円になるず想定したずきに離心倀の2等分ず䞉角圢の面 積から立おられる均差の欠陥
◎ 第44ç«  第1の䞍敎を切り離しお無芖し、ブラヌ゚ずプトレマむオス䞡倧家の 説で第2の䞍敎に由来するその螺旋の連鎖も理論的に陀倖しおも、゚ヌテルの倧気䞭を通る惑星の道は円ではない
◎ 第45ç«  惑星が円からこういう圢で倖れる自然な原因に぀いお 最初の説の怜 蚎
◎ 第46ç«  第45章の説によれば惑星の動きを衚す線はどのようにしお描けるか たたその線はどのようなものになるか
◎ 第47ç«  第45章で埗られ第46章で描こうずした卵圢面の求積法詊論 および それによっお均差を出す方法
◎ 第48ç«  第46章で描いた卵圢円呚の数倀による枬定ず分割を介した離心円の 均差の算出法
◎ 第49ç«  先の均差算出法の怜蚌ず第45章の芋解による卵圢軌道の構成原理に もずづくさらに敎備された方法
◎ 第50ç«  離心円の均差を立おるために詊みた他の6぀の方法
◎ 第51ç«  各半円䞊で遠日点からの離隔が等しいずきの火星ず倪陜の距離を調べ お察比する 同時に代甚仮説の信頌性も調べる
◎ 第52ç«  惑星の離心円は倪陜の呚転円の䞭心あるいは倪陜の平均䜍眮の点では なく倪陜の本䜓そのものの呚囲に配眮される たた  
◎ 第53ç«  初曎の䜍眮の前埌の連続的な芳枬結果によっお火星ず倪陜の距離を調 べる別の方法 


◎ 第54ç«  軌道盞互の比のいっそう粟密な怜蚌
◎ 第55ç«  第51、53章の芳枬結果ず第54章の軌道盞互の比から第45章で性急 に取りあげた仮説が誀りであるこず および  
◎ 第56ç«  以前に掲げた芳枬結果から火星の倪陜からの距離はいわば呚転円の盎 埄によっお枬り取るべきこずを蚌明する
◎ 第57ç«  どういう自然の原理によっお惑星はいわば呚転円の盎埄䞊で秀動する ようになるのか
◎ 第58ç«  第56章で蚌明し発芋した秀動も䞍適切に䜿甚するずどのようにしお 誀りが入り蟌み、惑星軌道が豊頬圢(buccosus)になるか
◎ 第59ç«  呚転円の盎埄䞊で秀動する火星の軌道が完党な楕円になるこず およ び円の面積が楕円呚䞊にある点の距離の総和を枬る尺床になるこずの蚌明
◎第60ç«  物理孊的仮説぀たり最も真正な仮説から均差の各郚分ず真正な距離を立おる方法 これたで代甚仮説ではこの䞡者を同時に行えなかった 


第5郚 緯床に぀いお
◎ 第61ç«  亀点の䜍眮の怜蚌
◎ 第62ç«  軌道面の傟斜の怜蚌
◎ 第63ç«  緯床に぀いおの物理孊的仮説
◎ 第64ç«  緯床による火星の芖差の怜蚌
◎ 第65ç«  倪陜ず合および衝ずなるずきのそれぞれの偎における最倧緯床の探求
◎ 第66ç«  脇ぞの最倧のずれは必ずしも倪陜ず衝になるずきに起こるわけでない
◎ 第67ç«  亀点の䜍眮ず火星軌道面の黄道面に察する傟斜から、火星の離心倀の 起点が平均倪陜の䜍眮を瀺す点(あるいはブラヌ゚説における倪陜の呚転円の䞭心)ではなく  
◎ 第68ç«  火星軌道面ず黄道面の傟斜角は珟圚もプトレマむオスの時代も同䞀な のか および  
◎ 第69ç«  プトレマむオスの3぀の芳枬結果の考察 および  
◎第70ç«  プトレマむオス時代の緯床ず軌道盞互の比ずを調べるための、プトレマむオスが甚いたる  
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幟䜕孊の基瀎をなす仮説に぀いおベルンハルト・リヌマン

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「幟䜕孊の基瀎をなす仮説に぀いおベルンハルト・リヌマン」

内容玹介
盞察性理論の着想の源泉ずなった、1854幎に行われたリヌマンの蚘念碑的講挔。ヘルマン・ワむルの栌調高い序文・解説で読み解くリヌマン幟䜕孊の構想。ミンコフスキヌの論文「空間ず時間」を収録。

著者略歎
ベルンハルト・リヌマン
1826‐1866幎。解析孊、幟䜕孊、数論などの分野で先駆的な業瞟を䞊げ、20䞖玀の数孊に倚倧な圱響を䞎えた数孊者。ゲッティンゲン倧孊でガりスのもず、耇玠解析の基瀎づけず倚様䜓抂念を導入したリヌマン幟䜕孊を確立。数論では「リヌマン予想」が未解決問題ずしおよく知られおいる。

翻蚳者略歎
菅原正巳
1917‐2011幎。東京垝囜倧孊理孊郚卒業。名叀屋垝囜倧孊助教授、統蚈数理研究所所員、囜立防灜科孊技術センタヌ所長などを歎任。氎文孊においお、河川流量の時系列を予枬するための「タンクモデル」の提唱者。


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で238冊目。

空間が曲がるこずに぀いお考察を深めおみたい方のために今日は貎重な本を玹介しよう。なんず1854幎に行われたリヌマンの蚘念講挔が「ちくた孊芞文庫」で読めるようになったのだ。


䞭孊生の頃、孊習図鑑で「曲がった空間」に぀いおの解説を読んだこずがある。曲がった空間の代衚䟋ずしお地球の衚面のような球面が説明に䜿われおいた。それは非ナヌクリッド幟䜕孊ずいうもので、「2本の平行線は亀わらない。」ずいう盎芳的垞識を吊定した立堎で展開する新しい幟䜕孊なのだずいう。

子䟛ながら僕は「ふヌん、そんなものか。前提条件を倉えれば党く違う幟䜕孊が成り立぀のは圓たり前なんだけどな。そんな倧げさに取り沙汰するほどすごいこずなのかな」ず思っおいた。曲面ずいうのは曲がっおいるけどそれはしょせん物䜓だ。なにも次元の空間ず呌ばなくおもよいのに。少し譲っおそれを次元空間ずしたずしおも、それはたっすぐな次元空間の䞭にある曲がった次元空間だ。特に䞍思議はない。

孊習図鑑で説明されおいた非ナヌクリッド幟䜕孊は、僕の䞀般垞識をく぀がえす皋のものではなかった。

高校生になりブルヌバックスで䞀般盞察性理論に぀いお読み、倩䜓の呚囲の空間が歪んでいるこずを知った。本来たっすぐ進む光も曲がった空間に沿っおたっすぐ進むから遠くから芋るず光線は曲線になるのだずいう。

䞍思議だず思ったが、本圓のこずを蚀えば「ふヌん、そんなものか。」ずいうのが僕の感想だ。本に曞かれおいたこずを鵜呑みにしただけで、そのこずの本質がよく理解できおいなかったのだ。

それは「次元の曲面ではなく次元の空間が曲がるこず。」であり、「数孊的な空間のこずではなく物理的に実圚する次元空間のこず。」である。

数孊的な空間なら仮想的なものにすぎないからどんなに曲がった䞖界だっお受け入れられる。でも物理的な空間が曲がっおいたずしたら宇宙を真っ盎ぐ進んでいったずしおも、い぀の間にか元の堎所に戻っおきおしたうこずもあるわけだ。そもそも空間っおいうのはからっぜの入れ物の䞭に、人間が勝手に座暙を割り圓おたものだから「次元空間が曲がる」ずいうこずの意味は䜕なのずいう感じだった。

そのように考えるようになっおから僕はあるこずが心配になった。次元の空間、぀たり曲線が存圚するためにはその曲線が含たれる次元の面が必芁になる。もしその次元の面が曲がっおいるずしたら、曲面を取り囲む次元の空間が必芁になるわけだ。小孊校で䜿う䞋敷きを湟曲できるのも、そのたわりに次元空間があるからだ。そしおその次元の空間が曲がっおいるずしたら、それを取り囲む次元空間が必芁になり。。。その埌は次元、次元、・・・無限次元の空間たで存圚しおしたうこずになる。それは数孊的な仮想空間ではなく実圚する物理空間ずしおのこずなのだ。アむンシュタむンがずんでもないこずを蚀い出したから僕の頭の䞭ではあっずいう間に無限次元空間たで存圚するこずになっおしたった。

でも、そんな心配をしなくおもいいこずがだいぶ埌になっおから - 倧人になっおから理解できるようになった。それは倧数孊者ガりス(1777幎-1855幎のおかげである。僕の心配は1827幎 - 『曲面の研究』ずいう本で解決されおいた。圌が研究しおいたのは「曲面論」ずいう次元曲面の埮分幟䜕孊だ。これによるず「曲面の性質はその曲面の䞊の点間の距離や角床などの量だけですべお衚すこずができる。」ずいう。専門的に蚀えば「内圚幟䜕」ずいうそうだ。぀たり曲面が存圚するためにはその呚囲に次元空間は必ずしも無くおよいずいうのがその意味するずころである。だから倧雑把に蚀えば曲がった次元空間を含む高次元の空間を考える必芁もなくなったのだ。

たずえば球面の方皋匏は普通 x, y, z ず半埄の r の間の関係匏ずしお衚珟されるが、これら぀の倉数はどれも球面を取り囲む次元空間に存圚する䜍眮や長さを衚しおいる。けれども内圚幟䜕を䜿えば同じ球面をこれらの倉数を党く䜿わず、球面䞊の無限小の線玠(duやdv)や球面䞊の曲率、線玠どうしがなす角床などだけで衚すこずが可胜になるのだ。球面䞊だけに内圚する幟䜕孊的な量だけで圢が決たるので、次元空間は存圚しなくおもよくなる。あたり正確なものではないが、これが「内圚幟䜕」の説明だ。

ガりスが研究したのは次元の曲面たでの話。その埌、曲がった次元だけでなく䞀般の次元の曲がった空間を衚す数孊理論を研究したのがガりスの匟子であり、今日玹介する本の著者のベルンハルト・リヌマン(1826幎-1866幎である。リヌマン幟䜕孊、リヌマン倚様䜓の創始者だ。

本曞「幟䜕孊の基瀎をなす仮説に぀いお」は同じタむトルでリヌマンが1854幎にゲッティンゲン倧孊で行なった歎史的な蚘念講挔ゲッティンゲン倧孊ぞの就職講挔を冒頭のペヌゞに掲茉しおいる。この郚分は数匏がほずんどないので数匏が苊手なでも読むこずができる。亡くなる前幎にこの講挔を聎いたガりスは倧いに感銘を受けたず䌝えられおいる。

この講挔の内容は昭和17幎に菅原正巳先生1917-2011によっお和蚳、出版され、床々の重版を重ねられたのだが絶版になり、先月やっずちくた孊芞文庫から埩刊されたのだ。原本は金沢工業倧孊にも所蔵されおおり、解説を読むこずができる。

幟䜕孊の基瀎にある仮説に぀いお
ゲッティンゲン, 1867幎, 初版.
http://www.kanazawa-it.ac.jp/dawn/186701.html

本曞ではリヌマンの蚘念講挔のほか、ワむル1885-1955による序文ずリヌマン蚘念講挔の解説、蚳者の菅原先生による解説、ミンコフスキヌ1864-1909の「空間ず時間」ず題した講挔、これを蚳された菅原先生の解説などを読むこずができる。しかしリヌマンの蚘念講挔以倖は数匏満茉なので埮分幟䜕孊を孊んでからでないず読むこずができない。

リヌマンの蚘念講挔が行われたのは1854幎。圓時の日本は幕末で坂本韍銬は18歳。この幎は黒船来航の翌幎にあたり、韍銬が江戞での15カ月の剣術修行を終えお土䜐ぞ垰囜した幎だ。新島八重はただ9歳だった。

リヌマンの研究はその埌、テン゜ルの絶察埮分孊ずしおリッチ、レノィ・チビタなどによっお発展し、アむンシュタむンが特殊盞察論から重力堎の存圚を蚱した䞀般盞察論を導くために必芁な数孊的な道具ずなった。

さらにワむルやカルタンはより䞀般な接続の芳点から幟䜕孊をずらえ、クラむンの幟䜕を倉換矀から芋る立堎ずリヌマンのアむデアを統䞀した。たた曲面の幟䜕においお曲面党䜓にわたる倧域的な性質の研究、ポアンカレ、バヌコフ、モヌス、アダマヌルによる枬地線の研究、ホップによる定曲率空間、カルタンによる察称空間の研究を通しおリヌマン幟䜕孊は力孊系や倉分孊、䜍盞幟䜕孊ずも結び぀き、蚈量に関する曲率などの局所的な性質ず空間党䜓にかかわる倧域的性質の関連が必芁であるこずがわかっおきた。たた、倚様䜓の抂念が蚈量や接続ず切り離しお珟代数孊の蚀葉で定矩され、リヌマン幟䜕孊の基本的な諞抂念も敎備され、ホップずリノりによっおリヌマン空間の完備性が定矩され倧域的な抂念が明確になった。

リヌマンの蚘念講挔は䞀般盞察論によっお曲がった空間が提唱される62幎前のこずだ。リヌマン自身、珟実の空間が曲がっおいるなどずは予想もできないこずだず思う。けれどもこの講挔の最埌に、圌は量子力孊や玠粒子物理孊を予感させるようなこずを述べおいるのだ。量子力孊の誕生はこの講挔の70幎埌、玠粒子物理孊は80〜90幎埌のこずであるこずを考えるず、圌の掞察力には畏怖さえ感じさせられる。リヌマンは数孊者であっお物理孊者ではない。空間の性質の理解からどのようなむンスピレヌションでミクロの䞖界の物理孊を予感できたのだろうか以䞋、その郚分を掲茉しようず思ったが著䜜暩保護法違反になっおしたうのでやめおおく。本曞の33ペヌゞから35ペヌゞに曞かれおいるのでご自身で読んでいただきたい。


今幎は「倧栗先生の超匊理論入門」や「NHKスペシャル神の数匏」などのおかげで、䞀般の人が空間に぀いお考えたり想像をめぐらせるこずになった。10次元や26次元やコンパクトに巻き取られた䜙剰次元の存圚を私たちが玍埗できるたでにはしばらく時間がかかりそうだ。しかし空間ずいうものに「曲がる」ずいう性質があるこずを認めるこずで、超匊理論の䜙剰次元がコンパクトに巻き䞊げられるこずも少しは理解できるようになるのかもしれない。

私たちの垞識を超える空間の抂念を160幎も前の数孊者がすでにものにしおいたこずを知るこずのできる貎重な本を今回玹介させおいただいた。


関連曞籍曲がった空間やリヌマン幟䜕孊を孊びたい人のために。

数孊が苊手な䞀般読者にはこの本がよいだろう。今月発売されたばかりだ。

「䌞び瞮みする時間ず空間―光速床䞍倉の原理で理解する (Newton別冊)」解説ペヌゞ




䞀般盞察性理論を孊ぶためにリヌマン幟䜕孊を孊びたいのであれば、「EMANの盞察性理論」がよいのはもちろんであるが、本で孊ぶのであればこれらの教科曞がよい。

「盞察性理論ぞの数孊的第䞀歩 〜共倉埮分のやさしい説明〜」レビュヌ蚘事



「時空の幟䜕孊特殊および䞀般盞察論の数孊的基瀎」レビュヌ蚘事

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ずね日蚘賞の発衚幎 物理孊賞、数孊賞、他

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毎幎月日、スりェヌデンのストックホルムでアルフレッド・ノヌベルの誕生日に行われるノヌベル賞の授賞匏の日皋にあわせお、「ずね日蚘賞」ずいうのを発衚しおいる。今幎で回目だ。

これはその幎に僕が読んだ物理孊曞、数孊曞の䞭から自分のためになった本、この分野を勉匷しおいる孊生や瀟䌚人にお勧めする本を物理孊、数孊、工孊、啓発曞に分けおそれぞれ〜冊発衚する。今幎は講談瀟ブルヌバックス創刊呚幎だったのでその蚘念の賞も蚭け、あず莈り物にふさわしい本ずしおクリスマス賞ずいうのも蚭けおいる。

蚻䞀般向け曞籍に察しおは「啓蒙曞賞」を蚭けおいたが、啓蒙ずいう蚀葉に「䞊から教えおやる」ずいうニュアンスが感じられるので「啓発曞賞」ずいう名前にした。

たずえ名著ず蚀われる本であっおも僕が理解できなければ受賞できない。昚幎以前に読んだ本は自動的に遞考察象から倖されるし、どんなに良曞であっおも僕が読んでいなければ察象倖。今のずころ掋曞も察象倖。䜕より僕の孊習進床や理解床や奜みに圱響される。

メダルも賞金も授賞匏も晩逐䌚も舞螏䌚もないので、ありがたくも䜕ずもなく、䞻芳に満ちたアンフェアな賞だが、それでよいのだ。

- ずね日蚘物理孊賞
 物理孊の教科曞、専門曞から遞考。

- ずね日蚘数孊賞
 数孊の教科曞、専門曞から遞考。

- ずね日蚘工孊賞
 電子工孊など工孊系の教科曞、専門曞から遞考。

- ずね日蚘啓発曞賞
 物理、数孊の分野の䞀般向け曞籍から遞考。

- ブルヌバックス創刊呚幎蚘念賞
 今幎だけ蚭けた賞

- ずね日蚘新人賞
 科孊曞籍出版デビュヌを応揎する賞。

- ずね日蚘功劎賞
 科孊史ぞの貢献、ラむフワヌクを完結されたような本から遞考。

- ずね日蚘文孊賞
 ゞャンルを問わない小説、文孊曞から遞考。

- ずね日蚘ドラマ賞
 テレビドラマの䞭からいちばんよかったものを遞考。

- ずね日蚘クリスマス賞
 クリスマスプレれントにふさわしい本を遞考。

この幎で読んだ本は38冊で、次のような本を読んだ。参考「冊の理数系曞籍を読んで埗られたこず」

- 䜐藀文隆先生の量子力孊系の科孊思想史の本を冊
- 吉田䌞倫先生の量子重力理論入門
- 今この䞖界を生きおいるあなたのためのサむ゚ンス冊
- 熱力孊、䌝熱孊の本を冊
- 原子や電子の発芋ストヌリヌ本を冊
- 偏埮分方皋匏、フヌリ゚倉換、ラプラス倉換の本を数冊
- 䞀般向けの物理孊曞を数冊
- 倧栗博叞先生の䞀般向け物理孊の曞籍を冊
- 堎の量子論の入門的教科曞を冊
- 安田寿先生のマむコン郚䜜1970幎代のブルヌバックス
- 嶋正利先生の䞖界初のCPU開発ストヌリヌ本
- 「暙準暡型」の宇宙ブルヌス・シュヌム
- 前野昌匘先生の解析力孊の教科曞
- 超匊理論批刀系の本を冊
- 初玚講座 匊理論基瀎線、発展線
- 幟䜕孊の基瀎をなす仮説に぀いおベルンハルト・リヌマン


それでは発衚しよう。幎の「ずね日蚘賞」は次のずおりだ。曞籍名ず画像はそれぞれ玹介蚘事などにリンクさせおおいた。


 物理孊賞

文句なくこの本に授賞するこずにした。

「初玚講座匊理論 基瀎線B.ツノィヌバッハ」レビュヌ蚘事
「初玚講座匊理論 発展線B.ツノィヌバッハ」レビュヌ蚘事

 

受賞理由ずね日蚘が掲げる目暙のひず぀は超匊理論の理解だ。幎かかっおようやくその入口にたどり着いたずいう意味で、今幎は本曞に決定した。物理専攻の孊郚孊生でも理解できる超匊理論の日本語教科曞は、今のずころこの本しかない。

翻蚳の元になったのは2009幎1月に刊行された次の本で、これが第版でKindle版も出おいる。

「A First Course in String Theory: Barton Zwiebach」




 数孊賞

今幎はあたり数孊曞を読んでいないので遞択肢は少ないのだがこの冊に決めた。

「高校数孊でわかる統蚈孊竹内淳」レビュヌ蚘事



受賞理由分垃関数の導出手順が曞かれおいる統蚈孊の本は少ない。本曞は手ごろなボリュヌムで必芁なこずが網矅されおいる、統蚈孊に貢献した孊者のこずを玹介しおいる、Excelを䜿った解説がされおいるなど倚角的に孊べる優れた入門曞だ。

「高校数孊でわかるフヌリ゚倉換竹内淳」―フヌリ゚玚数からラプラス倉換たでレビュヌ蚘事



受賞理由フヌリ゚倉換ずラプラス倉換を順序立おお無理なく孊べる本だ。他の教科曞でくじけおしたった人でも、この本なら倧䞈倫。特にフヌリ゚倉換は物理孊を孊ぶ䞊でずおも重芁なので早い段階でマスタヌしおおきたい。


 工孊賞

今幎の工孊賞はこの冊に決定。

「マむクロコンピュヌタの誕生―わが青春の4004嶋正利」レビュヌ蚘事



受賞理由今ではのこずを意識しながらスマヌトフォンやパ゜コンを䜿っおいる人はほずんどいないだろう。けれども無しに珟代の情報瀟䌚はあり埗ない。本曞は䞖界初のがどように生たれたのか、その開発に倚倧な貢献をした著者の若き日の挑戊が熱く語られた本である。その埌、著者の嶋先生から盎接この蚘事に察しおお瀌のメヌルをいただいたこずは業界に身を眮いおいる僕にずっお今幎いちばんうれしかった出来事だった。

「安田寿明先生の「マむ・コンピュヌタ」郚䜜ブルヌバックス」レビュヌ蚘事

  

受賞理由1970幎代埌半の「マむコンブヌム」のきっかけずなった本だ。コンピュヌタずいうものに察する意識に倧倉革をもたらしたずいう意味で日本のコンピュヌタ文化史の原点に䜍眮する本である。あらゆる電気補品にマむコンが組み蟌たれるこずがこの本で予蚀されおいた。著者にずっおマむコンは趣味であっお本業ではない。仕事に远われる生掻の䞭で趣味のための時間を必死に確保し、マむコン䜜りに没頭する著者の姿がずおもいじらしい。


 啓発曞賞物理孊郚門

いろいろ迷ったあげく、この本にした。䞭孊生くらいから読める良曞だず思う。

「だれが原子をみたか(岩波珟代文庫)江沢掋」レビュヌ蚘事



受賞理由この䞖界が原子でできおいるこずは小孊生でも知っおいる。でもあなたはそれを順序立おお説明するこずができるだろうか原子の存圚はかなり昔から仮説ずしお受け入れられおいた。しかしそれを人類はどのような実隓を経お確蚌するに至ったのだろうかこの本は著者みずから実隓を行なっお原子の存圚を確認する過皋を高校生以䞊の読者を察象に解説した本である。筋道を立おお予想、怜蚌、理解するこずの倧切さずワクワク感をぜひ倚くの方に味わっおほしい。


 啓発曞賞数孊郚門

「改蚂版 関数のはなし〈䞊〉倧村平」玹介蚘事
「改蚂版 関数のはなし〈䞋〉倧村平」玹介蚘事
「改蚂版 埮積分のはなし〈䞊〉倧村平」玹介蚘事
「改蚂版 埮積分のはなし〈䞋〉倧村平」玹介蚘事

 

 

受賞理由数匏を䜿わない本ずいうのが䟋幎の啓発曞賞なのだが、今幎はこれら冊の本にした。関数、埮積分、埮分方皋匏にテヌマを絞っお䞭孊幎レベルから倧孊初幎床たでの数孊を楜しく理解しおしたえる超お勧め本。この意味でこれらは「啓発曞」なのだ。やり盎し系の数孊本で孊ぶのもよいが、この本ように「遊び心」のある本でモチベヌションを高めるのもありだず思う。䞭孊生、高校生はあらかじめ読んでおけば授業を受けるのがだいぶ楜になるはずだ。


 ブルヌバックス創刊呚幎賞

「倧栗先生の超匊理論入門倧栗博叞」レビュヌ蚘事



受賞理由超匊理論研究の第䞀人者のおひずりである倧栗先生による䞀般向けの本。NHKからタむミングよく「神の数匏」ずいう番組が攟送されおこの本の売り䞊げアップにも぀ながった。倧栗先生はこの番組にも協力されおいる。最先端の物理孊がどこたで進んでいるのかを正確に、短期間で知るこずのできる本だ。本曞は今幎創刊呚幎をむかえた講談瀟ブルヌバックスを蚘念しお出版された。


 新人賞

「統蚈デヌタをすぐに分析できる本䞭西達倫」



受賞理由科孊ブログ仲間の䞭西さんがお曞きになったビゞネス系統蚈分析の本だ。䞭西さんにずっおは「悩めるみんなの統蚈孊入門」に続く冊目の本なので「出版デビュヌ」ずいうわけではないのだが、たたたたタむミングよく12月13日に出版されるこずになったので授賞させおいただいた。䞭西さん、出版おめでずうございたす


 功劎賞

幎末近くになっおケプラヌ郚䜜が完結したので、結局これら冊に察しお授賞するこずにした。どちらも人類の科孊資産ずしお貎重な曞物である。

「熱の解析的理論ゞョれフ・フヌリ゚著、ガストン・ダルブヌ線纂」レビュヌ蚘事



受賞理由フヌリ゚展開、フヌリ゚倉換は数孊だけでなく物理孊、工孊に倚倧な圱響を䞎えた。この理論を考え出した19䞖玀のフランスの数孊者フヌリ゚がこの理論を䜿っお熱䌝導ずいう物理珟象を解析的に解いお発衚した本だ。歎史的な意味でも貎重なこの本を日本語版を読めるようにしおくださった竹䞋貞雄先生のご苊劎に察しお僭越ながら授賞させおいただいた。


ペハネス・ケプラヌ郚䜜

「宇宙の神秘 新装版ペハネス・ケプラヌ著、倧槻真䞀郎岞本良圊蚳」レビュヌ蚘事
「新倩文孊ペハネス・ケプラヌ著、岞本良圊蚳」玹介蚘事
「宇宙の調和ペハネス・ケプラヌペハネス・ケプラヌ著、岞本良圊蚳」

  

受賞理由惑星の運動の法則ケプラヌの法則を玹介したずおも貎重な本だ。この郚䜜が先月すべお日本語で読めるようになった。原兞は17䞖玀初頭にラテン語で出版された。翻蚳をしおいただいた岞本良圊先生には倧いに感謝したい。


 文孊賞

「8(゚むト)〈䞊〉キャサリン ネノィル」文庫版単行本
「8(゚むト)〈䞋〉キャサリン ネノィル」文庫版単行本

 

内容玹介
宇宙を叞るの公匏。その謎を秘めた黄金のチェスの駒を求め、争奪戊が繰り広げられる。
その昔、玀元䞖玀頃のこず。フランク王囜を治めおいた囜王シャルルマヌニュカヌル倧垝に察しお回教埒のバルセロナ総督から「モングラン・サヌノィスMontglane Service」ずいう倧きなチェス・セットが莈られた。これはアラビアの名匠の手によるもので、駒は金ず銀でできおおりルビヌやダむダモンド、サファむダなどがふんだんに散りばめられおいた。このチェス・セットは宇宙を動かすほどの力を秘めおいるずいう蚀い䌝えがあった。それから千幎の間、「モングラン・サヌノィス」はずある修道院で秘密裏に守られ続けた。そしお舞台は革呜の嵐吹きすさぶ18䞖玀末のフランスに移る。存亡の危機にた぀修道院では、この䌝説のチェス・セットを守るため、修道女たちが駒を手に旅にでた。 たた20䞖玀の䞖界を生きるコンピュヌタ専門家キャサリンは、巊遷されたアルゞェで「モングラン・サヌノィス」の秘密を握る人物を぀いに探し圓お、駒の圚り凊めざしお決死の砂挠瞊断を詊みる。䞖界じゅうに散逞した駒を求め、時を超えた壮絶な争奪戊が繰り広げられる!䞖玀の時間に隔おられた物語が䞀぀に溶け合うずき、意倖な結末が 。掚理・歎史・䌝奇・冒険などあらゆる芁玠がふんだんに盛り蟌たれた傑䜜。時空を超えおひろがる壮倧か぀スリリングな冒険ファンタゞヌ。

受賞理由日本語版が出版されたのは1991幎、文庫化されたのが1998幎だ。その埌絶版状態が続いおいるのでこの本のこずを知っおいる人は今では少ないず思う。英語のペヌパヌバック版は圓時40ヶ囜語に翻蚳されたずいう。僕はこのベストセラヌ小説を1991幎頃に読んだのだがこんなにすばらしい䜜品が普通に買えないの状態になっおいるのはずおも残念だ。この本を倚くの人に知っおもらいたい気持ちで授賞させおいただいた。䞭叀本は流通しおいるのでぜひ読んでみおほしい。埩刊リク゚ストに協力いただける方はこちらからお願いしたす。

翻蚳のもずになった英語版はこれだ。

「The Eight: Katherine Neville」




 ドラマ賞

「あたちゃん」、「半沢盎暹」が倧人気だったこずは蚀うたでもないが、これでは圓たり前すぎる。あたのじゃくな僕ずしおは今幎のドラマ賞をこれら぀のドラマに授賞するこずにした。

「斉藀さん」


「ダンダリン 劎働基準監督官」


受賞理由この぀のドラマに共通するのは「蚀うべきこずは蚀う。」ずいうこずである。今幎も「いじめによる自殺」や「ブラック䌁業」がクロヌズアップされた。安心しお暮らせる瀟䌚を取り戻したいずいう願いをこめおこれらのドラマに授賞させおいただくこずにした。芋お芋ぬふりをしおはならない。子䟛たちや若者が垌望を持っお生きられる瀟䌚を䜜るのは倧人の責任である。蚀うべきこずはきちんず䞻匵し続けるこずを忘れおはならない。もちろんこの぀のドラマは内容もよく、ずおも楜しむこずができた。


 クリスマス賞

「理系クン (文春文庫)高䞖えり子」玹介蚘事



受賞理由今幎も「笑う門には犏来る。」ずいうこずでプレれント向きの本を遞ばせおいただいた。泚文するずきはギフトラッピングをお忘れずにみなさん、楜しいクリスマスをお過ごしください。


最埌になりたしたが、今日ノヌベル物理孊賞を受賞されるヒッグス博士ずアングレヌル博士に心からお祝いを申し䞊げたす。

速報2013幎ノヌベル物理孊賞はヒッグス博士ずアングレヌル博士に決定
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e4c4d6d15d52e86a94caccd6da8edb5e


関連蚘事

ずね日蚘賞の発衚幎 物理孊賞、数孊賞、他
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ddc344204dec2ebd35c47a8699eb1389

ずね日蚘賞の発衚幎 物理孊賞、数孊賞、他
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(゚むト)キャサリン・ネノィル

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拡倧
「(゚むト)〈䞊〉キャサリン・ネノィル」文庫版単行本
「(゚むト)〈䞋〉キャサリン・ネノィル」文庫版単行本

内容玹介
宇宙を叞るの公匏。その謎を秘めた黄金のチェスの駒を求め、争奪戊が繰り広げられる。
その昔、玀元䞖玀頃のこず。フランク王囜を治めおいた囜王シャルルマヌニュカヌル倧垝に察しお回教埒のバルセロナ総督から「モングラン・サヌノィスMontglane Service」ずいう倧きなチェス・セットが莈られた。これはアラビアの名匠の手によるもので、駒は金ず銀でできおおりルビヌやダむダモンド、サファむダなどがふんだんに散りばめられおいた。このチェス・セットは宇宙を動かすほどの力を秘めおいるずいう蚀い䌝えがあった。それから千幎の間、「モングラン・サヌノィス」はずある修道院で秘密裏に守られ続けた。そしお舞台は革呜の嵐吹きすさぶ18䞖玀末のフランスに移る。存亡の危機にた぀修道院では、この䌝説のチェス・セットを守るため、修道女たちが駒を手に旅にでた。 たた20䞖玀の䞖界を生きるコンピュヌタ専門家キャサリンは、巊遷されたアルゞェで「モングラン・サヌノィス」の秘密を握る人物を぀いに探し圓お、駒の圚り凊めざしお決死の砂挠瞊断を詊みる。䞖界じゅうに散逞した駒を求め、時を超えた壮絶な争奪戊が繰り広げられる!䞖玀の時間に隔おられた物語が䞀぀に溶け合うずき、意倖な結末が 。掚理・歎史・䌝奇・冒険などあらゆる芁玠がふんだんに盛り蟌たれた傑䜜。時空を超えおひろがる壮倧か぀スリリングな冒険ファンタゞヌ。


本曞はひず぀前の蚘事で玹介した本で幎ぶりに読んでみたのだが、やはりめちゃくちゃ面癜かったので玹介蚘事ずしおあらためお曞いおおくこずにした。

䞊蚘の内容玹介だず神秘䞻矩や黒魔術系の本のような印象を持たれおしたうかもしれないし、「薔薇の名前(侊)(例)」や「ダノィンチ・コヌド」、「指茪物語ロヌド・オブ・ザ・リング」のようなむメヌゞを想像されるかもしれないが党く違う。ネタバレにならない皋床に、そしおこれから読む人の読曞の楜しみを損なわないように、もう少し補足しおおこう。

本曞は「䞖界史奜き特にフランスを䞭心ずしお近䞖ペヌロッパ史奜きな人」、「理数系奜きな人」、「バロック音楜奜きな人」、「時空を超えた物語が奜きな人」、「将棋やチェス奜きな人」にずっおは特に楜しめる本なのだ。

 䞖界史奜きな人にずっお

フランス革呜ずその埌のナポレオン垝政䞋が舞台になるだけでなく、圓時のロシアやむギリスも本曞の舞台ずなる。アマゟンのレビュヌ蚘事に「ロベスピ゚ヌル、ナボレオン、ダノィッド、ロシアの女垝゚カテリヌナなどの倧物が登堎人物ずしお出おくる。」ず曞かれおいるずおり、歎史䞊の倧物たちが次々ず登堎する。圌らはただ匕甚されるだけではなくこの物語に組み蟌たれ、等身倧の人物ずしお台詞を䞎えられた圢で登堎するのだ。フランス革呜やナポレオンのロシア遠埁など昔教科曞で孊んだ䞖界をたどり぀぀、その裏に䌝説のチェスセットをめぐる争奪戊が本圓にあったかのような劄想を抱きながら読み進んでいくうち、それが珟実におこったこずにように思えおくるのだ。

 理数系奜きな人、バロック音楜奜きな人にずっお

この本に登堎する歎史䞊の倧物たちはそれだけではない。レオンハルト・オむラヌ、レオナルド・フィボナッチ、アむザック・ニュヌトン、ペハネス・ケプラヌ、ゞョセフ・フヌリ゚たで登堎する。さすがにフィボナッチずケプラヌは時代が違うので「説明」にずどたっおいたが、オむラヌずニュヌトン、フヌリ゚は200幎前の䞖界でリアルタむムに掻躍する圹者で、䌝説のチェスセットに秘められた暗号を解いおいくのだ。ニュヌトンが錬金術を研究しおいたこずはよく知られおいる。私たちが「科孊」ず呌んでいるものは圓時の数孊者や科孊者の頭の䞭では数秘術や魔術的なものも含めたもっず広い孊問領域の䞀郚だった。ケプラヌの正倚面䜓宇宙論や惑星の公転運動が奏でる音楜などはピタゎラス孊掟の「䞇物は数」にその源流を芋出せるし、本曞で圹を䞎えられおいる老䜜曲家バッハもチェスボヌドに曞き蟌たれた数字を音皋や和音に倉換しお数字から音楜を玡ぎだしおいる。音楜や自然ず数の間に密接なかかわりがあるこずは、さたざたな䟋で確認するこずができる。たずえばクォヌク・モデルは八道説になぞらえお説明されおいる。

 時空を超えた物語が奜きな人にずっお

本曞は200幎前のフランス革呜の時代ず珟代の話が亀互に語られる圢で進行しおいく。その接点は北アフリカのアルゞェリアずいう砂挠地垯にある。぀の物語は少しず぀融合しおいき、終盀に向けおあるひず぀の話ずしお結び぀く。タむムマシンがでおくるわけではないのに時空を超えた぀の話の結び぀きはどのように埗られるのか200幎前の話だけでなく珟代の䞖界で繰り広げられる物語も息を぀かせない展開で進む。チェスの駒を求め探し続けるこずで䞻人公が遭遇する数々の事件の䞭で、誰が敵で誰が芋方かが明らかになっおいく。

 将棋やチェス奜きな人にずっお

この本にはチェスの起源や歎史も説明されおいるのでチェス愛奜家にずっおもお勧めだ。かずいっおチェスを知らなければ本曞が読めないわけでもない。チェスは理数系の人が奜みそうなボヌドゲヌムでもある。この本をきっかけに興味を持぀人も出おくるかもしれない。本曞の䞻な登堎人物にはチェスの駒の圹割が䞎えられおいるし、チェスのルヌルに沿った圢で解説が加えられおいる。チェスはスマヌトフォンやタブレット端末に無料アプリがあるし、おしゃれなチェスセットもアマゟンやダフオクで買うこずができる。正月䌑みに遊んでみおはいかただろうか。

最埌に本曞を蚳された村束朔氏による「蚳者あずがき」を匕甚しお、本曞の玹介を締めくくらせおいただこう。

蚳者あずがき

これは、か぀おシャルルマヌニュが持っおいたずされる䌝説的なチェス・セット「モングラン・サヌノィス」をめぐっお、ふた぀の時代の実圚、架空のさたざたな人物が繰り広げる壮倧な冒険=ファンタゞヌである。

赀毛の修道女ミレヌナは、革呜埌の動乱期のフランスにあっお、このチェス・セットを暩力の亡者から護るため、瞊暪無尜の掻躍をする。映画『薔薇の名前』を思わせる山のなかの修道院からパリの血生臭い恐怖政治の珟堎ぞ、フランスに反旗を掲げるコルシカから灌熱のサハラ砂挠ぞ、さらには女垝゚カチェリヌナの君臚する垝政ロシアの雪深いペテルブルグぞず、物語は次々に展開し、歎史䞊の実圚の人物がいたるずころに登堎する。ゞャン=ゞャック・ル゜ヌ、タレヌラン、スタヌル倫人、画家ダノィッド、マラヌ、ロベスピ゚ヌル、さらにはカザノヌノァや、若き日のナポレオン。1792幎、いわゆる「九月の虐殺」が行なわれたアベむ監獄で、額に汚いがろきれを巻き、顔にだらだら膿をしたたらせながら、貎族や叞祭たちに次々に死刑を宣告し、目の前で凊刑させるマラヌ。その虐殺の倜、パリから脱出しようずするミレヌナず出䌚っお、混乱するフランスを圌女ずいっしょに瞊断し、コルシカの実家に連れお行く、ただ初々しいナポレオンずその効゚リヌザ。チェスボヌドに曞き蟌たれた数字を音皋や和音に倉換し、数字から音楜を぀むぎだす䞍思議な老䜜曲家バッハ。レヌス刺繍をしながら、ノェネツィアで芋た奇怪な儀匏に぀いお語る晩幎のゞャン=ゞャック・ル゜ヌ -- 圌は玠朎な田園生掻を称揚しながら、なぜか腹の底に暩力ぞの野望を秘めおいるように芋える。こういう歎史の教科曞でおなじみの人物が、「モングラン・サヌノィス」の秘密に絡んで登堎し、それぞれ䞀癖ある玠顔を芋せお、がくらを楜したせおくれる。

䞀方、これず䞊行しお語られる珟代の物語は1970幎代前半、OPECが石油を歊噚に䞖界を揺るがそうずした時期に蚭定されおいる。ニュヌペヌクのコンピュヌタ技術者キャサリン・ノェリスは、ボスの呜什に埓わなかったためにアルゞェに巊遷され、思わぬこずから珟代におけるこのチェス・セットの争奪戊に巻き蟌たれる。圌女はカスバの迷路の奥に謎の女を蚪ね、ガビヌル山地の奥深く分け入り、サハラ砂挠ではに迷い蟌み、砂嵐の迫る砂挠をロヌルスロむスで駆け抜けお、なんずかめざすタッシリ高原の掞窟にたどり぀く。この間のスリリングなストヌリヌの展開は、䞻人公を女性に倉えたむンディ・ゞョヌンズの冒険を思わせる。しかも、圌女のたどる行皋は200幎ちかくたえ、飌い銎らしたタカが捕らえる獲物だけを唯䞀の食料ずしお、この砂挠を暪断したミレヌナの決死の旅に重なっおいるのである。

ふた぀の時代のふたりの矎女を䞻人公にしたこの二重構造の冒険小説は、スリリングなストヌリヌの展開ず痛快なアクションでがくらをぐんぐん匕っ匵っおいく。著者はこの倧仕掛けな物語を読みやすい読み物にするこずにいちばん苊心したず蚀うが、それはみごずに成功しおおり、この䜜品は䞍思議なほど長さを感じさせない。䞊行しお語られるふた぀の物語は、初めは䞖玀近い時間に隔おられた別々の話に思えるのだが、最埌には、意倖な結末があきらかにされ、ふた぀の物語がひず぀に融合する。

この䜜品が単なる冒険アクション小説ず䞀味違うものになっおいるのは、スピヌディなアクションの展開のほかにも、読者にさたざたな楜しみを提䟛しおくれおいるこずだろう。たずえば、占垫が残しおいった詩に隠されたメッセヌゞを解読する謎解き遊びもそのひず぀だし、たた、章のタむトルからもうかがえるように、党線がチェスのゲヌムになぞらえお構成され、登堎人物がじ぀は黒癜どちらかの陣営に属し、どんなチェスの駒の圹割を挔じおいるのかが次第にあきらかになっおいくずいう仕掛けになっおいる。問題のチェス・セットに秘められた公匏に぀いおも、哲孊的な議論が亀わされ、そのなかで本曞のタむトルでもある「」が浮かび䞊がっおくる。叀代ギリシャでは、数孊や哲孊や音楜や倩文孊はひず぀の孊問であり、この宇宙は厳密な数孊的秩序で構成されおいお、数の本質があきらかにできれば、自然や宇宙の構造が解明できるず考えられおいたずいう。本曞では、その構造の秘密を解く鍵ずしお「」ずいう数字が提起される。音階は八床䞊昇するず元の音に回垰し、元玠の呚期衚でも番目ごずに䌌た性質の元玠が珟れる。ニュヌトンが描いた春分点歳差を瀺す螺旋圢もの字だし、メビりスの茪や無限を瀺す蚘号も∞にほかならない。そしお、の枡で構成されおいるチェスのセットのなかに、この宇宙のあらゆる存圚の構造を解き明かす鍵になる公匏が隠されおいるずいうのである。そのほかにも、いろいろ小さな仕掛けや遊びがあっお、たずえば本曞に登堎する台詞のある人物は党郚で人--぀たり、チェスの枡目の数ず同じなのだ。


日本語版が出版されたのは1991幎、文庫化されたのが1998幎だ。その埌絶版状態が続いおいるのでこの本のこずを知っおいる人は今では少ないず思う。英語のペヌパヌバック版は圓時40ヶ囜語に翻蚳されたずいう。僕はこのベストセラヌ小説を1991幎頃に読んだのだがこんなにすばらしい䜜品が普通に買えないの状態になっおいるのはずおも残念だ。䞭叀本は流通しおいるのでぜひ読んでみおほしい。埩刊リク゚ストに協力いただける方はこちらからお願いしたす。


翻蚳のもずになった英語版はこれだ。

「The Eight: Katherine Neville」




関連リンク本曞やこの蚘事を通じおチェスに興味を持たれた方もいらっしゃるかもしれないので、リンクを匵っおおこう。

チェスをiPhoneアプリで怜玢しおみる
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チェスの入門曞をアマゟンで怜玢しおみる

日本チェス協䌚
http://www.jca-chess.com/

Shinのチェス入門
http://shinuesugi.web.fc2.com/introtochess/intro-to-chess.html

ルヌルから始めるチェス入門
http://rulechess.com/

Flashチェスゲヌム
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チェスゲヌム
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Play Chess Online
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䞊巻目次

防埡
ポヌンをクむヌンの四段目ぞ
クワむ゚ット・ムヌノ
フィアンケット
チェスのゲヌム
クむヌンの亀換
ナむトの車茪
ナむトのツアヌ
犠牲
フォヌク
ポヌンが前進する
盀の䞭倮
䞭盀戊
å³¶

䞋巻目次

局面の分析
砂挠の声
魔の山
城
王たちの死
黒のクむヌン
倱われた倧陞
ツヌクワンク
癜い土地
八段目
嵐のたえの静けさ
嵐
秘密
終盀戊゚ン・ゲヌム
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゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン

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「゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン」

内容玹介
本曞の䞻題である超ひも理論は、盞察性理論ず量子力孊の察立ずいう、物理孊最倧の難問を解決する。そればかりではない。宇宙の本圓の姿を映し出し、䞇物を説明し尜くす根本の理論、究極の理論であるず考えられおいる。䞖界は11次元のひもで出来おいる! この驚くべき前提から矎しい理論が立ち䞊がり、いたや宇宙の党おを説明し尜くそうずしおいる。宇宙の本圓の姿ずは?第䞀線の研究者である著者が、巧みな衚珟で描く超ひも理論の最新成果から、驚くべき宇宙の姿が明らかになる。

著者略歎
ブラむアン・グリヌン
超ひも理論研究者。ハヌノァヌド倧孊を卒業埌、オクスフォヌド倧孊で博士号取埗。珟圚はコロンビア倧孊物理孊・数孊教授。超ひも理論の暩嚁りィッテンから「珟圹ひも理論研究者のなかでも指折り」ずいう評䟡を受ける䞀方で、超ひも理論を普通の蚀葉でわかりやすく語れる数少ない物理孊者の䞀人でもあり、これたでに二〇ヵ囜以䞊で䞀般向けの講挔を行っお超ひも理論を解説、テレビ番組などぞの出挔も倚い

翻蚳者略歎
林䞀昭和薬科倧孊名誉教授
林倧東京倧孊卒業


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で239冊目。

「倧栗先生の超匊理論入門」の次にお読みになるずよい本。実をいうず僕はこの本を読んでいなかった。

本曞が出版されたのは2001幎。もう12幎も前のこずになる。瀟䌚人になっおから僕が物理孊にのめり蟌み出したのが2006幎だからこの本はその圓時に買っお読み始めおいた。「超匊理論の理解を目指す」ず宣蚀しおいながらも、圓時の僕にはこの本は受け付けられず、半分くらい読んでそのたた攟眮しおいた。その理由は次のようなものだ。

- 圓時の僕は本栌的に教科曞で物理孊を孊んでいず、これから順番にきちんず積み䞊げる圢で孊がうず思っおいた。だから超匊理論の次元の䞖界があたりにも突拍子もないものに思え、心理的に拒吊しおしたった。

- アメリカ人が曞いたポピュラヌサむ゚ンス系の本は文章が冗長で分厚いものがほずんどでこの本も570ペヌゞある。ブルヌバックスのようにもっず簡朔にたずめられた本のほうが奜みだった。

- ミチオ・カク博士の「パラレルワヌルド」にくらべお、本曞は「たずえ話」が倚い。その圓時の僕はたずえ話ではぐらかされおしたったような気分になり䞍快感を持っおしたった。


ずころがそれから7幎が経ち、物理孊をひずずおり孊んでみるず同じ本に察する印象が党く違ったものになったのだ。今幎は倧栗先生の超匊理論の講座を受講し、著曞も読たせおいただいたこず、そしお「初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ」ずいう教科曞で孊び、もっず詳しく知りたくなったからだず思う。

超匊理論は膚倧な理論䜓系であるし誕生しお間もないので倉化が激しい分野なので、研究者によっお取り䞊げるポむントやカバヌする範囲が違っおきおしたうものだ。本曞は日本で玹介された本の䞭では比范的早い時期のものであるこず、かなり深いレベルたで掘り䞋げお解説しおいるこず、カバヌしおいる範囲が広いのでこれたで孊んできたこずが超匊理論発展史の䞭でどのような䜍眮にあるのかを知るためには郜合がよい。

この䞖界は次元時空だずいう突拍子もない「仮説」に぀いおも、これたでさんざん読んだり聞いたりしおきたから幎前よりだいぶ抵抗感がなくなっおいる。

幎末幎始には科孊系の本を読んで過ごす人も倚いず思うので、ブラむアン・グリヌン博士やリサ・ランドヌル博士の曞いたポピュラヌ・サむ゚ンス系の本を読んで玹介するこずにした。それは僕自身にずっおも今埌の勉匷を進める䞊で、珟圚最先端の物理孊者たちが考えおいる䞖界を知っおおくこずは頭の敎理になるず思う。ただ知らないこずも芋぀かるかもしれない。幎前は半ばSFずしお、今は物理孊䞊の仮説ずしおきちんず受け止めるこずができるわけだ。


この分厚い本のすべおをここで解説するこずはできないので、これたでに僕が読んだ超匊理論に぀いおの本ず察比する圢でトピック別に玹介しよう。

盞察性理論、量子力孊に぀いお

䞀般向けに曞かれた物理孊の本は読者に前提知識を芁求しおはならなないので、盞察性理論や量子力孊の説明を含めざるを埗ない。その結果、僕たちは䜕床も䌌たような文章を読たされるこずになっおしたう。この぀の分野に぀いおは本曞よりももっずよい本がいくらでもあるので、本曞での説明は読み飛ばしおもよいず思った。

本曞に「たずえ話」が倚いこずはすでに述べたが、盞察性理論ず量子力孊の解説に割かれおいる郚分に぀いおも同様だ。䞊手に説明されおいるので、これらの分野の本を読んだこずがない方は、本曞で抂芁を知るのもよいだろう。ただし、もっず詳しく曞かれた本を読むのに越したこずはない。

なお、本曞では「特殊盞察論 vs 量子力孊」、「䞀般盞察論 vs 量子力孊」ずいう぀の取䞊げ方をし、超匊理論ぞ誘導しおいる。

カラビ-ダり空間に぀いお

本曞の特長はカラビ-ダり空間に぀いお倚くの説明がなされおいるこずだ。次元ある䜙剰空間のトポロゞヌのあり方は珟圚でもただ定説がない状況である。その䞭でカラビ-ダり空間はずおも耇雑なため䞀般向けの本や入門者甚の教科曞で詳しく解説するこずができない。実際「倧栗先生の超匊理論入門」や「初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ」でも、カラビ-ダり空間が図ずずもに玹介されおいるだけで、その内容には立ち入っおいない。

本曞ではカラビ-ダり空間も含めお超匊理論で扱われる空間のトポロゞヌが数倚くの図によっお瀺されるずずもに、詳しい解説がなされおいるずいう点で際立っおいる。これは他の本にはない特長だ。

超匊理論で芁請される次元数に぀いお

匊理論や超匊理論で芁請される時空次元が次元や次元になるこずはもちろん述べられおいるが、なぜそうなるかは解説されおいない。

空間の䜙剰次元、次元のコンパクト化に぀いお

空間の次元数がであるこずやコンパクト化に぀いおも解説が行なわれおいる。本曞の特長はどのようなメカニズムでコンパクト化が行われるのかずいう理由が仮説ずしお解説されおいるこずだ。

空間が裂けるこずに぀いお

「幟䜕孊の基瀎をなす仮説に぀いおベルンハルト・リヌマン」ずいう蚘事では、数孊的空間が曲がるだけでなく盞察性理論で導かれるように物理的な空間も曲がるこずに぀いお曞いた。

ずころが本曞には物理的な空間は曲がるだけでなく穎が開くこずもあるこずが曞かれおいる。連続的な空間に穎が開くためには、たず空間が裂けなくおはならない。本曞では空間が割け、修埩される過皋がカラビ-ダり空間で起こりえるこずが図を瀺しながら詳しく解説されおいる。これは「フロップ転移」ず呌ばれる著者のブラむアン・グリヌン博士ご自身が発芋した仮説であり、本曞でのみ知るこずができる。グリヌン博士にずっおこの䞖界は曲がったり裂けたりする次元の時空の織物なのだ。

超匊理論の研究手法に぀いお

超匊理論で扱われる空間の研究は高床なトポロゞヌや代数を䜿っお行なわれる。䞊蚘のカラビ-ダり空間や「空間が裂けるこず」はこの分野の第䞀人者゚ドワヌド・りィッテン博士によっおも数孊的に怜蚌された。しかし、グリヌン博士は数孊的な手法を同僚研究者の協力のもずコンピュヌタによる蚈算によっお裏付けたこずが玹介されおいる。このこずは僕にずっお目新しかった。物理孊者であれ、数孊者であれ、自分でプログラミングできるにこしたこずはない。

぀の超匊理論ず双察性に぀いお

超匊理論が぀でおきおしたうこずや、コンパクト化された次元の半埄ず巻き付く匊の巻き数の間の関係、぀たり超匊理論の双察性に぀いおずおも詳しく解説されおいる。さらに぀の超匊理論に぀いおの関係に぀いおの解説は本曞がいちばん詳しかった。ペヌゞ数がペヌゞ数だけに他の本ず比べるのは䞍公平かもしれないが。

理論、11次元超重力理論

぀の超匊理論は次元時空で成り立぀理論ずしおりィッテン博士が提唱したこずが詳しく解説されおいる。さらに本曞では次元超重力理論もこの枠組で説明されおいるのが他の本にはない特長だ。図瀺するずこのようになる。これは「双察性のりェブ」ず呌ばれおいる。



Dp-ブレむンに぀いお

「初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ」の感想ずしお「Dp-ブレむンずM理論や超匊理論の関係がよくわからない。」ず曞いたが本曞で理解するこずができた。䞊蚘の双察性のりェブの図はヒトデの圢をしおいるが、その「手」のずころに䜍眮する理論は「私たちの䞖界がそうであるような䜎゚ネルギヌの䞖界」で、ヒトデ型の䞭心に行くに埓っお「高゚ネルギヌの䞖界」なのだずいう。本曞には「Dp-ブレむンが存圚するのは高い゚ネルギヌ領域であるず予想される。」ず曞かれおいた。

等䟡な぀の物理法則の解釈に぀いお

超匊理論の持぀双察性ずいう性質によっお、぀の異なる物理法則が等䟡であり区別が぀かないずいうこずが導かれる。「倧栗先生の超匊理論入門」や「初玚講座匊理論 基瀎線、発展線B.ツノィヌバッハ」にもこのこずに぀いお解説があったのだが「぀の物理法則がある」ずいうこずの解釈が僕にはよくできおいなかった。それは぀の異なる物理的な䞖界が存圚するずいう意味なのか、それずも぀の異なる物理珟象が等䟡であり片䞀方を蚌明すれば他方も自動的に蚌明されるずいうこずなのかずいう぀の解釈だ。

本曞では空間のスケヌルをどんどん小さくしおいき、その極限ずしお想定されるプランク長よりも小さい䞖界に物理法則は存圚するのかずいう疑問を提瀺し、私たちにはプランク長より小さい䞖界を芋ようずするず、超匊理論の双察性によっお「長さの逆転珟象」が起きるため、芋るこずのできる䞖界には限界があるこずが瀺されおいる。぀たり本曞で玹介されおいる「぀の異なる物理法則」ずは同時に存圚しおいる぀の䞖界のうち垞に片䞀方しか私たちが認識できおいないずいうこずを意味しおいるこずになる。぀たり぀の物理法則ずは぀の物理珟象の裏ず衚なのだ。

双察性、鏡映察称性がもたらす恩恵に぀いお

超匊理論での問題解決は高床なトポロゞヌの蚈算が必芁になるため物理孊者ず数孊者の協力がずおも重芁だ。しかし双察性や鏡映察称性ずいう性質によっお、高床で耇雑な問題をそれず等䟡な問題に蚀い換えるこずができ、幞いなこずに元の問題よりも簡単に解くこずができるようになる。これは物理孊者にずっおも数孊者にずっおも研究を勧めおいく䞊で倧きなメリットである。

超察称性に぀いお

本曞は超察称性や超察称性を前提ずした重力理論に぀いお、きわめお肯定的で詳しい解説がされおいる。

摂動論的アプロヌチず非摂動論的アプロヌチに぀いお

玠粒子の暙準理論の成功は玠粒子どうしの盞互䜜甚を「摂動論」ずいう近䌌的な蚈算方法を䜿っお解くこずによっおもたらされた。盞互䜜甚のしやすさは「結合定数」によっおあらわされ、ファむンマン・ダむダグラムを䜿っお「あらゆる可胜性」を加味するこずで蚈算される。本曞ではそれを「匊の盞互䜜甚」ずしお拡匵する圢で説明されるのだが、摂動論的アプロヌチでは蚈算が発散しお解けない堎合があるこずが瀺される。そのために超匊理論ではより厳密な「非摂動論的アプロヌチ」が採られるこず、それが非垞に難しい数孊を必芁ずするこずが玹介されおいる。

ブラックホヌル、ホヌキング・パラドックスに぀いお

ブラックホヌルの熱力孊、゚ントロピヌ、情報問題に぀いおも詳しく解説されおいる。有名な「ブラックホヌルの情報問題」は結局ホヌキング博士の敗北で決着が぀いたが、本曞が曞かれたのはそれ以前のこずなので「決着はただ぀いおいない。」ず曞かれおいる。しかし前埌の文脈を読めば圌にずっお分が悪いこずが想像できるような蚘述になっおいる。

非可換幟䜕孊に぀いお

物理法則の非可換性は量子力孊以降の物理孊であらわれる性質だ。その本質は波動関数が耇玠数であるこずによる。たた以前曞いた「コンヌ博士の非可換幟䜕孊ぞはどうたどり着けばいいのだろう」ずいう蚘事では珟代の最先端の物理孊ず数孊に密接な関係性があるこずに觊れた。けれども僕にはこれら぀の文脈の぀ながりがよく理解できおいなかった。぀たり物理法則の非可換性がどうしお非可換幟䜕孊になるのかずいう疑問だ。

本曞には疑問を解決するヒントが曞かれおいた。プランク長より倧きい空間ではリヌマン幟䜕孊䞀般盞察論で成り立぀幟䜕孊が成り立ち、プランク長よりも小さい䞖界ではコンヌ博士が提唱するような非可換幟䜕孊が成り立぀可胜性があるのだそうだ。もちろん前述したようにそのような極埮の䞖界のこずを私たちが怜出したり芳枬したりするこずはできない。ブラックホヌルの䞭心の特異点はそのようなプランク長より小さい䞖界であり、超匊理論によっお問題が解決される可胜性があるこずが述べられおいる。

宇宙の始たり、倚宇宙、超匊理論の可胜性に぀いお

本曞もそうなのだが超匊理論に぀いおの本は宇宙論で締めくくられるこずがほずんどだ。極埮の䞖界の法則は巚倧な宇宙の法則ず同等ず芋なされるこず、宇宙のはじたりは極埮の䞖界であるこずは超匊理論のも぀双察性によっお自然に予想されるこずだからだ。たた無数のカラビ-ダり空間が導くものは無数の物理法則物理的な䞖界であり、これが倚宇宙の存圚する可胜性の理論的よりどころのひず぀ずなっおいる。しかし、ここたで話が膚らむず僕も含めお読者はちょっず぀いおいけなくなるのも事実だ。可胜性を蚀い出せばきりがない。

空間は幻想ずいうこずに぀いお

「倧栗先生の超匊理論入門」ではブラックホヌルの内郚の物理孊が次元の空間䞊の情報によっお完党に衚すこずができるこずから「空間は幻想である」ずいう䞻匵がされおいた。本曞でも「空間は幻想」ずいうこずが述べられおいるが、倧栗先生の本ずはたったく違う芳点からの説明だった。それは「宇宙の始たりより前」のこずなのだ。そこには時間も存圚しないから「前」ずいう抂念もないし、「空間」もない。そのような状況の䞭で「匊」だけは存圚するずいうのだ。匊が振動するこずによっお巻き取られた時空次元次元が生成するずいう仮説が述べられおいる。そのうち次元だけがコンパクトが解陀されお長く䌞びお私たちが認知しおいる空間になるそうだ。この意味で空間は匊がもたらした幻想であるずいうのが本曞での説明なのだ。

けれども匊の振動は「空間的」なものであるこずが超匊理論の前提であるから、これが矛盟に満ちた仮説であるこずをグリヌン博士は認めおいる。そこで博士は「矛盟」ずいうものも含めお私たち人間が理解する方法には「超えるこずのできない限界」があり、真実はそのような私たちの垞識を超えおいるのかもしれないずいう説を展開しおいる。

超匊理論はただ誕生したばかりだずいうこずに぀いお

本曞は埌半以降、超匊理論が生たれたばかりの理論であるこず、取りうる可胜性が無数にあるずいう蚘述が増えおいく。それはこの理論の持぀可胜性であるず同時に、信ぎょう性の意味においおただただ信甚できないずいうこずでもある。超匊理論によっお説明できないこずを具䜓的に述べおいる点は誠実性を感じるこずができた。

グリヌン博士はこの分野の研究者であるからもちろん肯定的に超匊理論をずらえおいる。しかし「〜の可胜性は吊定できない。」ずか「〜であるず蚌明できるようになるかもしれない。」ずいう文が特に本の最埌のほうでは倚くなるので、読者には博士の垌望が逆に働いおしたい「超匊理論はSFずほずんど倉わらないじゃないか」ずいうネガティブな印象を䞎えおしたうのだ。

本曞で觊れられおいない点に぀いお

本曞の英語版が出版されたのは1999幎なので、それ以降に発芋された事柄やそれ以前であっおも比范的新しい事柄は本曞では觊れられおいない。぀たり超匊理論を䜿っお暙準理論を構築するこず、AdS/CFT、重力のホログラフィヌ原理、クォヌク-グルヌオンプラズマ珟象の超匊理論による裏付けなどに぀いおは、たったく觊れられおいない。

巻末の「原泚」がずおもよいこず

本文で解説しきれなかった点を巻末で補っおいる。「数孊に興味のある方に〜」ずいう項目が倚く、より正確に理解したい読者、これから専門曞で孊んでみようず思っおいる読者にずっおはずおも有益なこずが曞かれおいる。本曞のこの郚分は玠晎らしいず思った。


本曞の翻蚳のもずになったのは「The Elegant Universe S.S.: Brian Greene」だ。

けれども2010幎に新版がでおいるので、英語でお読みになるのだったらこちらをお買い求めになるずよいだろう。Kindle版もでおいる。

「The Elegant Universe: Brian Greene」




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「゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン」



はじめに

第郚私たちはどこたで知っおいるのか

第章なぜひも理論は重芁なのか
- 珟代物理孊を぀くった぀の衝突
- 物質の根源に぀いお私たちが知っおいるこず
- 䞖界には皮類の力がある
- ひも理論の基本抂念
- ひも理論はすべおを説明し尜くす
- ひも理論の珟状

第郚盞察性理論 vs 量子力孊

第章空間、時間ず特殊盞察性理論
- 特殊盞察性理論は盎感のり゜をあばく
- 特殊盞察性理論の根拠その--盞察性原理
- 特殊盞察性理論の根拠その--光の速さ
- するずどういうこずが起こるのか
- 時間ぞの圱響その--同時性
- 時間ぞの圱響その--時間の遅れ
- 速く動けば長生きできる
- それにしおも、どちらが動いおいるのか
- 運動しおいる物䜓は短くなる
- 静止した物䜓は時間のなかを光速で進む

第章䞀般盞察性理論によるゆがみず重力
- ニュヌトンの重力芳ずは
- ニュヌトンの重力理論ず特殊盞察性理論は䞡立できない
- アむンシュタむンが考え぀いたこず
- 加速によっお空間ず時間はゆがむ
- 䞀般盞察性理論の基本
- 譊告をいく぀か
- これでニュヌトン理論の矛盟は解決するのか
- 時間のゆがみ再考
- 䞀般盞察性理論を実隓で立蚌するには
- 䞀般盞察性理論の予蚀--ブラックホヌルずビッグバン
- 䞀般盞察性理論は本圓に正しいか

第章量子力孊は誰にも理解できない
- 本圓に量子力孊を理解しおいる人はいない
- 量子力孊が生たれたきっかけ
- ゚ネルギヌには最小単䜍がある
- ゚ネルギヌがかたたりをなすずはどういうこずか
- 光は波なのか、それずも粒子なのか
- 物質の粒子は波でもある
- 波ずは䜕の波か
- もう䞀぀の解釈--ファむンマンの芖点
- さらに奇怪なふるたい--䞍確定性原理

第章䞀般盞察性理論 vs 量子力孊
- ミクロの䞖界では粒子が発生ず消滅をくり返す
- 重力以倖の力の量子堎理論
- 力を䌝えおいるのはメッセンゞャヌ粒子
- 重力の量子堎理論だけ芋぀かっおいない
- 䞀般盞察性理論 vs 量子力孊

第郚ひも理論はすべおを説明し尜くすか

第章超ひも理論の本質
- ひも理論小史
- ひもは叀代ギリシアのアトムか
- 粒子の性質はひもの振動のしかたで決たる
- ひもはずおもき぀く匵られおいる
- き぀く匵られたひもがもたらす぀の効果
- ひも理論は重力ず量子力孊の衝突を解決する
- 衝突の解決--倧雑把な答え
- ひもは本圓にひもなのか

第章超ひもの「超」の意味
- 物理法則の察称性ずはどういうこずか
- スピンずは䜕か
- 超察称性ずは䜕か
- 超察称性の根拠--ひも理論以前
- ひも理論における超察称性
- 倚ければいい、ずいうわけではない

第章目に芋えない次元がたくさんある
- この宇宙は本圓に次元か
- ホヌスの衚面に぀いお考える
- ホヌス状宇宙の䜏人たち
- 次元がたくさんあれば力の理論が統䞀される
- その埌のカルヌザ-クラむン理論
- ひも理論はさらに倚くの次元を必芁ずする
- いく぀かの玠朎な疑問
- 新たな次元にはどのような物理的意味があるか
- 巻き䞊げられた次元はどんな姿をしおいるのか

第章ひも理論の蚌拠は実隓で぀かめるか
- ひも理論をめぐる批刀の嵐
- ひも理論を実隓で確蚌するには
- すべおのカラビ-ダり図圢を怜蚌する
- スヌパヌパヌトナヌ粒子を探せ
- 分数の電荷を垯びた粒子が芋぀かれば
- 䞀発逆転でひも理論を確蚌する
- 評䟡

第郚超ひも理論ず時空

第章宇宙をあらわす新しい幟䜕孊
- 重力理論ずリヌマン幟䜕孊の栞心
- 宇宙が瞮むずしたら䜕が起きるか
- ひもが空間に巻き぀く
- 空間に巻き぀いたひもの物理孊
- 芋分けの぀かない぀の宇宙
- ぀の答えをめぐる論争
- ぀の疑問
- 宇宙はおそろしく小さい
- 宇宙はプランク長さより小さくはならない
- この結論はどれくらい䞀般的なのか
- 同じ物理を生み出すもの--鏡映察称性
- 鏡映察称性の物理孊ず数孊

第章空間を裂く--ワヌムホヌルの可胜性
- ワヌムホヌルをひも理論で考える
- 鏡映の芖点から空間の匕き裂きをながめる
- 蚌明に向けお少しず぀進む
- 戊略、珟れる
- 最高の物理孊者りィッテンずの競争
- 半ダヌスのビヌルず週末の仕事
- 決定的瞬間をむかえる
- りィッテンのアプロヌチ
- む゚ス、ワヌムホヌルは存圚する

第章ひもを超えお--理論を探す
- 第次超ひも理論革呜の芁玄
- 近䌌的方法ずはどのようなものか
- 摂動論がい぀もうたくいくずは限らない
- ひも理論ぞの摂動的アプロヌチ
- 近䌌が近䌌になっおいるのか
- ひも理論の正確な方皋匏
- 双察性、珟れる
- 察称性の嚁力
- ひも理論の双察性
- ここたでのたずめ
- 超重力理論にも双察性の兆候があった
- 理論のかすかな光
- 理論ず盞互関連の網
- 党䜓像を芋わたす
- ひも以倖の可胜性--ブレンの民䞻䞻矩
- これで、答えの出おいないひも理論の疑問が解決するのか

第章ブラックホヌルをひも/理論で考える
- ブラックホヌルず玠粒子は同じもの
- ひも理論は前進を可胜にするか
- 確信をもっお空間の織物を匕き裂く
- メヌルの措氎
- ブラックホヌルず玠粒子をふたたび考える
- 「溶ける」ブラックホヌル
- ブラックホヌル・゚ントロピヌ
- ブラックずはどのくらいブラックか
- ひも理論の登堎
- ブラックホヌルをめぐる謎

第章宇宙論をひも/理論で考える
- 暙準宇宙モデルずはどのようなものか
- ビッグバンの蚌拠はあるのか
- プランク時間からビッグバンの100分の1秒埌たで
- 暙準宇宙モデルで説明できない謎--地平線問題
- むンフレヌション宇宙モデルの登堎
- 超ひも理論が宇宙論にできるこず
- はじめにプランク・サむズのかたたりがあった
- なぜ次元だけが拡がったのか
- ビッグバン盎埌、カラビ-ダり図圢は激倉した
- はじたりの前
- 理論があらゆる力を融合させる
- 宇宙の存圚理由--倚宇宙、人間原理、そしお究極理論

第郚統䞀にむけお

第章ひも/理論の未来
- ひも理論の根本原理は䜕か
- 空間、時間ずは本圓は䜕か、そしお、なくおもすむのか
- ひも理論は量子力孊の再定匏化に぀ながるか
- ひも理論は実隓で怜蚌できるか
- 説明に限界はあるのか
- 人間の梯子

蚳者あずがき
掚薊図曞
原泚
甚語解説
玢匕
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番組告知NHK-BS1「神の数匏 完党版」党4回

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月日、日に攟送され、反響を呌んだNHKスペシャル「神の数匏」が回シリヌズの完党版ずしお攟送されるそうだ。再攟送ではなく月の攟送よりも詳しい内容ずなる。

録画予玄をお忘れなく

この番組のこずを教えおいただいた読者の方、ありがずうございたした


★ 番組情報 ★
NHK-BS1「神の数匏 完党版」党4回

12月24日火〜27金午埌7時00分〜7時50分

人類の思玢の歎史。それは、党宇宙の謎を解く唯䞀無二の“神の数匏”を远い求めた歎史でもあった。ニュヌトン、アむンシュタむン以来、科孊者たちは「あらゆる自然珟象は、最終的には䞀぀の数匏で説明できるはずだ」ず信じおきたのだ。そしおノヌベル賞を受賞したヒッグス粒子の発芋によっお、人類はその究極の数匏の茪郭を぀かもうずしおいる。月に攟送し倧きな反響を埗た番組を回シリヌズの「完党版」ずしお届ける。
【出挔】オゞェル・ノザキ【語り】小倉久寛

神の数匏 完党版
12月24日火午埌7:00〜7:49 第回 「この䞖は䜕からできおいるのか〜矎しさの远求 その成功」
12月25日氎午埌7:00〜7:49 第回 「“重さ”はどこから生たれるのか〜自発的察称性の砎れ」
12月26日朚午埌7:00〜7:49 第回 「宇宙はなぜ始たったのか〜残された“最埌の難問”〜」
12月27日金午埌7:00〜7:49 第回 「異次元宇宙は存圚するか〜超匊理論“革呜”〜」


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関連蚘事

番組告知NHKスペシャル「神の数匏」9月21日、22日
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1a809c46b31c32b3b3c84dc0be881ddc

NHKスペシャル「神の数匏」の感想
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a2368bbcee58771d16dbcb4613dc077d

解説NHKスペシャル「神の数匏」第回この䞖は䜕からできおいるのか
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5f0430e3fed08f6947d5efbe9559fbbd

解説NHKスペシャル「神の数匏」第回宇宙はどこから来たのか
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7ddecf5c37c9ef0e467bb5be8f168898
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ファむンマン物理孊英語版が党巻ネット公開されたした。

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「ファむンマン物理孊」の英語版が党巻ネット䞊で無料公開されたので告知蚘事ずしお投皿させおいただきたす

党䞖界の物理孊ファンぞのクリスマス・プレれントですね。


The Feynman Lectures on Physics カリフォルニア工科倧孊のサむト
http://www.feynmanlectures.caltech.edu/

The Feynman Lectures on Physics 「Read」ずいうメニュヌから読めたす。
http://www.feynmanlectures.info/


各巻の内容

Volume I: Mainly mechanics, radiation, and heat

物理孊ずいう孊問の䜍眮付けを解説した埌、゚ネルギヌの話からはじめお剛䜓たで力孊党般を扱う。その䞭で埮積分ずベクトルの説明があり、特殊盞察論も玹介される。続いお光孊、熱力孊、統蚈力孊ず進むが、途䞭で各分野を暪断する抂念ずしお振動、波動、線圢系などが説明される。たた二重スリット実隓を題材に量子力孊を玹介しおいる。I-5ずI-6はファむンマンの䞍圚䞭にサンズが代わっお行った講矩でファむンマンの講矩の流れを邪魔しないように補足的なトピックが遞ばれおいる。

Volume II: Mainly electromagnetism and matter

静電気孊から電磁波の茻射たで暙準的な電磁気孊のトピックがほが完党に含たれ、曎に特殊盞察論、物理光孊、ロヌレンツの電子論による物性論が扱われる。途䞭でファむンマンの口調を倚く残した圢で最小䜜甚の原理の特別講矩の章が入る。そのほかに連続䜓力孊ずしお匟性䜓ず流䜓力孊を取り䞊げ、最埌に䞀般盞察論が簡単に玹介される。この巻ではベクトル解析ずテン゜ルが導入される。たた、境界倀問題など高床な数孊が必芁なトピックでは蚈算過皋を省略しお結果だけが玹介される。

Volume III: Quantum mechanics

この巻はシュレディンガヌ方皋匏を解かなくおも議論ができる量子力孊的に単玔な系の議論を䞭心にした量子力孊入門である。Volume I の二重スリット実隓の章(I-37, I-38)を再収録し、曎に議論を進めお状態ベクトルず確率振幅が導入される。それ以埌は䞀貫しおブラ-ケット蚘法が䜿われる。これに続きスピン、二状態系英語版、結晶栌子内の電子の䌝播、角運動量を扱い、最埌は氎玠原子のシュレディンガヌ方皋匏ずその解の玹介である。曎にそのあずに番倖線ずしお「叀兞的状況のもずでのシュレディンガヌ方皋匏」の章が眮かれおいる。


関連蚘事

The Feynman Lectures on Physics: The New Millennium Edition
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cb58141ade509fb63952d49ef57c70c7

ファむンマン物理孊 英語版ずフランス語版
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1dbcd1e1b02616ef1363ced99a912072


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番組の感想NHK-BS1「神の数匏 完党版」

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今日から倜に枡っお攟送されるNHK-BS1「神の数匏 完党版」。番組を芋た埌の感想蚘事だ。毎晩攟送埌に曞き足しおいくこずにしよう。

月に攟送された番組から远加された箇所ず倉曎された箇所に぀いお、それぞれ良かった点、䞍満に思った点を曞き出すこずにした。

第回 「この䞖は䜕からできおいるのか〜矎しさの远求 その成功」

良かった点

- ヒッグス粒子の発芋、ヒッグス博士の玹介

番組冒頭でヒッグス粒子の発芋、月日にノヌベル物理孊賞を受賞したヒッグス博士が映像で玹介されおいた。

参考蚘事速報2013幎ノヌベル物理孊賞はヒッグス博士ずアングレヌル博士に決定
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e4c4d6d15d52e86a94caccd6da8edb5e

- 自発的察称性の砎れの持぀意味

倒れる鉛筆が意味するずころの自発的察称性の砎れが南郚陜䞀郎博士の発芋であるこずは月の番組でも玹介されおいたが、それがヒッグス粒子の発芋ず玠粒子の数匏の扉を開けるきっかけになったこずが明確に述べられおいた。

- 玠粒子の数匏の最初のの意味

玠粒子の数匏の最初のがこの䞖のすべおの数匏をあらわすずいう宣蚀であるこずが述べられおいた。このはラグランゞアン密床ず呌ばれる量であるが月の攟送では党く觊れられおいなかった。

- ポヌル・ディラックの嚘さん

ディラックの嚘さんが登堎し、ディラックの几垳面な性栌をうかがわせる逞話が玹介されおいた。

晩幎のディラック博士による量子力孊の講矩Paul Dirac: 1902-1984) 動画は途䞭から安定したす。



- 反粒子、反物質に぀いお

ディラック方皋匏から反粒子電子に察する陜電子の存圚も予蚀され、それが実隓で確認されおいたこずが玹介されおいた。

参考蚘事ディラックによる陜電子の予蚀幎
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0764eaa33a765ffff27bccee3e35b4f3

- 䞊進察称性に぀いお

䞊進察称性の䟋ずしお東京ずテキサスでは物理法則が同じであるこずが玹介されおいたこず。

- 戊時䞭の朝氞博士のこず

月の攟送では戊時䞭に朝氞博士が研究チヌムを率いお困難な状況の䞭で研究を続けおいたずいう説明だったが、今回の攟送では「軍から呜じられた研究を行ないながらも、同僚たちず協力しお密かに電磁気力の研究を進めおいた。」ず正確な説明がされおいたこず。

- くりこみ理論に぀いお

朝氞博士、ファむンマン博士、シュりィンガヌ博士がそれぞれ独立しお発芋した「くりこみ理論」のこずがきちんず「くりこみの手法」ずしお説明されおいたこず、皮類のくりこみの手法があるこずが玹介されおいた。月の攟送では「特殊な蚈算方法」ずいうあいたいな呌び方で玹介されおいた。

- ミルズ博士

ダン博士だけでなくミルズ博士も玹介され、非可換ゲヌゞ理論がお二人の業瞟であるこずが説明されおいた。月の攟送ではダン博士だけ玹介されおいた。

䞍満に思った点

- シュレヌディンガヌ方皋匏

ディラック方皋匏の元ずなったシュレヌディンガヌ方皋匏が玹介されおいたが、この方皋匏が量子力孊ずいうミクロの䞖界の基瀎方皋匏であるこずに蚀及しおほしかった。その意味を解説するには時間が足りないが、そのような玹介をするだけで玠粒子の数匏が量子力孊ずいう理論ず぀ながりがあるこずが芖聎者に䌝わるず思う。

- 非可換ゲヌゞ察称性

月の攟送では党く解説されおいなかったが、今回は陜子ず䞭性子の䟋を玹介しお説明を詊みおいたのは良かった。ただ、この説明だず「非可換」であるこずの意味合いが芖聎者に䌝わらない。ダン-ミルズ理論を説明するにはワむンバヌグ-サラム理論SU(2)×U(1)察称性やクォヌクの理論量子色力孊、SU(3)察称性を玹介すべきで、この番組で説明するのはずおも無理だが、あず〜分くらい時間をずれば「非可換な回転」ずいう意味だけでもある皋床䌝えるこずができたず思う。

非可換な回転に぀いおは、このペヌゞの説明がわかりやすい。

無限小回転1物理のかぎしっぜ
http://hooktail.sub.jp/mechanics/infinitesimalRot1/


参考図曞第回攟送分の内容をより深く理解したい方には次の本をお勧めしたい。

匷い力ず匱い力倧栗博叞
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06c3fdc3ed4e0908c75e3d7f20dd7177

ヒッグス粒子の発芋むアン・サンプル
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/46c46f676c631634b83fb9616161ec4d

物理法則はいかにしお発芋されたかR.P.ファむンマン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ab31086d3d97f72d800893033189592d

光ず物質のふしぎな理論―私の量子電磁力孊: R.P.ファむンマン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4b34cd4e7d077d037022e62734d1ee76


第回 「“重さ”はどこから生たれるのか〜自発的察称性の砎れ」

第回 「宇宙はなぜ始たったのか〜残された“最埌の難問”〜」

第回 「異次元宇宙は存圚するか〜超匊理論“革呜”〜」


★ 番組情報 ★
NHK-BS1「神の数匏 完党版」党4回

12月24日火〜27金午埌7時00分〜7時50分

人類の思玢の歎史。それは、党宇宙の謎を解く唯䞀無二の“神の数匏”を远い求めた歎史でもあった。ニュヌトン、アむンシュタむン以来、科孊者たちは「あらゆる自然珟象は、最終的には䞀぀の数匏で説明できるはずだ」ず信じおきたのだ。そしおノヌベル賞を受賞したヒッグス粒子の発芋によっお、人類はその究極の数匏の茪郭を぀かもうずしおいる。月に攟送し倧きな反響を埗た番組を回シリヌズの「完党版」ずしお届ける。
【出挔】オゞェル・ノザキ【語り】小倉久寛

神の数匏 完党版
12月24日火午埌7:00〜7:49 第回 「この䞖は䜕からできおいるのか〜矎しさの远求 その成功」
12月25日氎午埌7:00〜7:49 第回 「“重さ”はどこから生たれるのか〜自発的察称性の砎れ」
12月26日朚午埌7:00〜7:49 第回 「宇宙はなぜ始たったのか〜残された“最埌の難問”〜」
12月27日金午埌7:00〜7:49 第回 「異次元宇宙は存圚するか〜超匊理論“革呜”〜」


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関連蚘事

番組告知NHK-BS1「神の数匏 完党版」党4回
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宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン

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「宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン 」〜時間ず空間の正䜓

内容
ニュヌトン以来の謎、時間ず空間。その探究はいた、驚くべき段階に到達しおいる。物理孊によれば、私たちの時間ず空間に関する垞識的な感芚は、どうしようもないほど間違っおいる。たずえば、「時間は流れるもの」「歎史はひず぀のはず」「空っぜの空間ではなにも起こらない」ずいう垞識的な考え方は、どれも間違っおいるずいうのだ。物理孊は、いったいどのように私たちの「垞識」をく぀がえすのか?この䞖界の本圓の姿は、私たちの「垞識」から、どれほどかけ離れおいるのだろうか?『゚レガントな宇宙』の著者ブラむアン・グリヌンが、珟代物理孊のもたらす䞖界像を鮮やかに描き出す。党米ベストセラヌ「The Fabric of the Cosmos」埅望の翻蚳。

著者に぀いお
ブラむアン・グリヌン
物理孊者・超匊理論研究者。コロンビア倧孊物理・数孊教授。研究の第䞀線で掻躍する䞀方、超匊理論をはじめずする最先端の物理孊を、ごく普通の蚀葉で語るこずのできる数少ない物理孊者の䞀人である。
超匊理論を解説した前著『゚レガントな宇宙』は、各囜で翻蚳され、党䞖界で环蚈100䞇郚を超えるベストセラヌずなった。

翻蚳者に぀いお
青朚薫
1956幎、山圢県生たれ。京郜倧孊理孊郚卒業、同倧孊院修了。理孊博士。翻蚳家。蚳曞にサむモン・シン『フェルマヌの定理』『暗号解読䞊䞋』『宇宙創成䞊䞋』『以䞊、新朮瀟、・ハむれンベルク他『物理孊に生きお』筑摩曞房、・・ワト゜ン他『䞊䞋』講談瀟、・・クリヌス『䞖界でもっずも矎しいの科孊実隓』日経瀟、バラバシ『新ネットワヌク思考』出版、『宇宙が始たる前には䜕があったのか?』文藝春秋など。


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で240冊目。

時間ず空間に察する認識の倉遷を物理孊史に沿いながら深く考察した本。これたで䜕冊も科孊教逊曞を読んだこずのある方にもお勧めできる本である。

著者のブラむアン・グリヌン博士にずっお本曞は䞀般向けに曞いた本の冊目だ。前著「゚レガントな宇宙」では盞察性理論、量子理論のあらたしを述べた埌、超匊理論を詳しく解説し、それが宇宙のはじたりの謎を解く鍵になるずいう芋解を玹介しおいる。本曞では話を倧幅に膚らたせお物理孊の発展の歎史をニュヌトンの時代から珟代に至るたで詳现に説明しながら、それぞれの時代で物理孊者たちが時間ず空間をどのようにずらえおいたかが解説される。NHKの「神の数匏」の前半は玠粒子物理孊の芳点からこの䞖界を構成しおいる力の玠粒子ず物質の基本粒子の探求の歎史を玹介しおいた。぀たり物質ず力がテヌマだった。時間ず空間も物理孊で忘れおはならいない重芁な研究テヌマである。

前著ず同様、数匏はたったく䜿われずに前提知識のない読者でも読みずおせる本である。ずはいえ僕のブログを読たれるような方は、これたでにも盞察性理論や量子力孊の本はお読みになっおいるこずだろう。「たた、同じようなこずを読たされるのか。うんざりさせられるかもしれない。」ずお思いになる方もいらっしゃるこずだろう。それは僕にしおも同じこずだった。

ずころが読み始めおみるず、この本はずおも面癜いのだ。これだけ分厚い本なので䞀般向け曞籍でありながら、他曞では説明が及ばない詳しいずころたで、深い考察を盛り蟌たせながら本質を掘り䞋げ、読者に問いかけながら進行するからだ。この䞊巻で僕の印象に残った箇所は次のような事柄だ。


ニュヌトンの絶察空間、絶察時間に぀いお

宇宙のどこにいおも私たちは同じ空間ず時間を共有しおいる。これがニュヌトンが力孊の理論を構築する䞊で前提にした絶察空間ず絶察時間であるこずは高校物理で習うこずだし、空間や時間に察する私たちの日垞感芚ずも䞀臎する。

けれどもこれは圓たり前のこずずしお無条件に受け入れおよいこずだろうか

たずえば地球が絶察空間に察しお動いおいるこずは、どのようにしお確認すればよいのだろうかニュヌトンの時代、倪陜が銀河系の䞭心のたわりを回っおいたこずはただ知られおいなかったが、倪陜を絶察空間の基準点ずしお採甚できないこずはニュヌトン自身も気付いおいた。

それでは倩空の恒星を基準できるかずいうずこれも無理であるこずがわかる。地球の公転によっお芳枬されはずの「恒星の幎呚芖差」を怜出できるほど圓時の芳枬技術は発達しおいなかった。

぀の物䜓の「盞察速床」を考えればこの問題の本質を捉えるこずができるようになるのだろうかそれずも「加速床」を考えるこずがより本質的なこずなのだろうかニュヌトンが「絶察空間」や「絶察時間」を提瀺するたでには、かなり蟌み入った思考錯誀が必芁だったのだ。

本曞はペヌゞ数が倚いぶん、通垞の科孊教逊曞や教科曞では説明されおいない自然法則の解明に至るたでの思考プロセスが詳现に玹介されおいる。

ニュヌトン力孊ず異なる立堎をずった「マッハの力孊」やニュヌトンず同時代のラむプニッツ、そしおアむンシュタむンによる時間ず空間の抂念たでもが玹介され、者の間にどのような違いがあったかが比范、怜蚎される。


非局所性に぀いお

時間ずは䜕か空間ずは䜕かずいう問題の舞台は盞察性理論ず量子力孊の䞖界に移る。アむンシュタむンの特殊盞察性理論ず䞀般盞察性理論によっおニュヌトンの時間ず空間の抂念が倧倉革を遂げ「䌞び瞮みする時空」が時間ず空間の本質であるこずが認識されるようになったわけである。このあたりのこずは他の本で䜕床も読んで知っおいたこずだ。それは量子力孊にしおも同じこず。どんなに䞍思議なこず、奇劙なこずであっおも、䜕床も同じような話を読たされる新鮮な驚きはなくなり、読曞が退屈になっおくるものだ。

それでも我慢しお読んでみたずころ、本曞の説明はずおもワクワクさせられるものであるこずにすぐ気が぀いた。たずえば特殊盞察性理論によっお぀の出来事が同時であるずいうこずを互いい離れお盞察運動をする人の芳枬者が確認するこずはできないずいう「同時性の厩壊」がわかるのだが、その結果お互いの芳枬者にずっおの過去ず珟圚、未来はどのような関係になっおいるのかずいうこずが本曞では図を䜿っお解説されおいる。「珟圚」ずはいったい䜕なのだろうかそしお最終的に過去ず珟圚、未来の区別は幻想であるこずが導かれる。本曞の考察は通垞の科孊教逊曞だけでなく、数匏入りの教科曞で盞察性理論を孊んだこずのある読者にずっおも十分読み応えのある内容になっおいる。

量子力孊の解説をしおいる郚分に぀いおも同様だ。「非局所性」ずいうのは空間的に離れた぀の粒子の状態に盞関があるずいう事実で、量子力孊が瀺す䞍思議のうち特に際立った「量子゚ンタングルメント」ずいう性質だ。この性質を䜿っお量子テレポヌテヌションが実珟した。アむンシュタむンは「非局所性」を受け入れられずに「EPRパラドックス」の論文で反蚌を詊みたこずは有名である。それたで連続だず思っおいいた空間にそのような性質が備わっおいるこずで、空間に察する認識をふたたび改めなければならない。たた「同時に」ずいうこずは䜕事も光速を超えおはならないずいう因果埋を砎っおしたうのだろうか時間に぀いおも認識を改めなければならないのだろうか

本曞では量子テレポヌテヌションのように近幎の実隓で確認された珟象を玹介するだけでなく、量子の粒子性ず波動性、䞍確定性原理、二重スリット問題、枬定問題芳枬問題などを時間ず空間の抂念を意識させながら解説をしおいる。アむンシュタむンは未来は決たっおいるず䞻匵し、量子力孊は未来は決たっおいないず䞻匵する。この決定論ず非決定論の察立は時間ず空間の抂念ずどのような぀ながりがあるのだろうか

個別の内容をすでに知っおいたずしおも、本曞はその意味を問い続けるこずによっお読者を深い思玢の䞖界に導いおくれるのだ。


叀兞力孊で考える時間の矢ず゚ントロピヌ

そもそも時間ずは過去から未来に向かっお流れるものなのだろうか空間の方向に察称性があるのに時間の方向が察称的でないのはなぜだろうか

ニュヌトン力孊、電磁気孊から䞀般盞察性理論たでの叀兞物理孊の物理法則の数匏を芋るかぎりこの䞖界は時間に぀いおも察称的であるず結論づけられる。

熱力孊第法則、すなわち゚ントロピヌ増倧則がこの「時間の矢」の唯䞀の根拠ずなる物理法則であるこずを僕は「時枡蟺慧」ずいう蚘事で玹介したが、本曞を読むずそれがそう簡単に受け入れおはいけないこずがわかる。ショックだった。

゚ントロピヌは「乱雑さの床合い」を瀺す尺床であり、この䞖界は秩序ある状態から秩序のない乱雑な状態に倉化するように倉化するのが経隓的に正しいこずのように思える。しかしこの゚ントロピヌ増倧則を統蚈力孊を䜿っお導くにせよ、その根底にあるのは時間に぀いお察称的なニュヌトン力孊だ。理論的には過去ず未来の察称性に぀いお完璧な釣り合いがずれおいるのに、なぜその釣り合いは厩れおいるように私たちの目にはう぀るのだろう

乱雑な状態が秩序ある状態に倉化する確率はほずんどれロに等しい。しかしそれはれロではない。統蚈的なゆらぎはわずかながら存圚する。たずえ䞀瞬にせよ゚ントロピヌ増倧則は砎れるこずがあるのではないだろうか

たた、ニュヌトン力孊をベヌスずする叀兞統蚈力孊に埓えば珟圚から未来の方向で゚ントロピヌ増倧則が成り立぀ならば、時間に぀いお察称的な方皋匏を元に蚈算するのだから珟圚から過去ぞの時間経過に぀いおも゚ントロピヌは増倧するず予想される。ずころが珟実にはそうなっおいないのはなぜだろうか

このような疑問を出発点ずしお、同じテヌマを扱う他の本では知るこずができないほど深い考察が時間ず゚ントロピヌをテヌマに展開されおいる。


時間ず量子

叀兞物理孊では解決できない時間の矢の謎の問題は量子力孊に持ち越される。䞍確定性原理により未来は決たっおいないずいうのが量子力孊の立堎であるが、その基瀎方皋匏であるシュレヌディンガヌ方皋匏は時間に぀いお察称性を持っおいる。波動関数がどのように倉化するかは決定論的に決たっおいるのだ。確率論的にしか求められない未来ずいうのはそこからどのように生じるのだろうか

量子力孊の基瀎方皋匏が時間に぀いお察称であるのに、なぜ珟圚から過去に遡るずきに䞍確定性が生じないのだろうか぀たりなぜ過去はひず通りにきたっおいるのだろうか

たた波動関数の収瞮ずいう芳点で考える限り、それは䞍可逆過皋なので未来は非決定論的である。そしお゚ノェレットの倚䞖界解釈を採甚すれば未来は無数に分岐するが、それらの倚䞖界を総䜓ずしおずらえれば決定論的である。

ファむンマンの経路積分の考え方に埓えば、過去から未来ぞの可胜な無数の䞖界が未来ぞの道筋を぀に決定する。未来を倉曎するこずによっお過去を倉えるこずができるのだろうか

さたざたな考察や実隓結果を亀えお、過去から未来ぞ流れる「時間」の本質を捉えるこずがいかに難しいこずなのかを思い知らされるのだ。

そしお最埌に量子力孊から垰結されるいく぀かの仮説に基いお゚ントロピヌ増倧則ずの関係性が玹介される。


察称性ず時空

叀兞物理孊から考えおも、量子力孊から考えおも゚ントロピヌの考え方を数孊的に考えるず、未来にあおはめれば盎芳や経隓の正しさを裏付けおくれるが、過去にあおはめれば、盎芳や経隓ず真っ向から矛盟しおしたう。

この矛盟を解決するには過去にいくにしたがっお゚ントロピヌが少なくなる傟向にあるこずが瀺せればよいわけなのだが、ひず぀だけそれを裏付ける理由があるのだ。それは宇宙のはじたりが極めお゚ントロピヌが䜎い状態にあったこずである。

生物は食物ずしお゚ネルギヌを摂取するこず生呜を維持しおいる。それは同時に゚ントロピヌの䜎い秩序が倧きい食物ずいうものを取り入れおいるこずに察応する。このように゚ントロピヌの増倧ず゚ネルギヌの流れの向きは䞀臎しおいる。それでは食物の䜎い゚ントロピヌはどこからもたらされるのだろうかそれは倪陜からなのだ。倪陜の゚ントロピヌのほうがもっず䜎いのである。そしおその倪陜の䜎い゚ントロピヌはずいう問いが生じるわけだが、それは倪陜が誕生する前の星間ガスに起源をもっおいる。このような䜎い゚ントロピヌの連鎖を遡るこずによっお、最終的には「宇宙のはじたり」の゚ントロピヌにたで蟿り着くのである。宇宙の始たった瞬間の゚ントロピヌは極めお䜎いのだ。

時間の矢を゚ントロピヌ増倧則で裏付けるためには、初期宇宙のこずたで考える必芁だず珟代物理孊は芁請しおいるのである。

䞊巻の最埌の郚は「察称性ず時空」ずいうテヌマで最先端の宇宙論が展開される。膚匵する宇宙やビッグ番、むンフレヌション宇宙論、宇宙は均䞀なのかなどのテヌマを、玠粒子物理孊ずいう小さい䞖界ぞ向かっおいた珟代物理孊がなぜ取り扱わなければならなくなったかがよく理解できるようになる。


以䞊が䞊巻に曞かれおいるこずのあらたしだ。


「宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン 」
「宇宙を織りなすもの䞋ブラむアン・グリヌン 」

 


翻蚳のもずになった英語版はこちら。Kindle版もでおいる。

「The Fabric of the Cosmos: Brian Greene」




関連蚘事

゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/404c24b68f57609900bc3d7a030333d5


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「宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン 」〜時間ず空間の正䜓



はじめに

第郚空間ずは䜕か

第章宇宙の実像を求める旅路
- 空間ず時間叀兞物理孊による捉え方
- 空間ず時間盞察性理論による捉え方
- 空間ず時間量子力孊による捉え方
- 空間ず時間宇宙論による捉え方
- 空間ず時間統䞀理論による捉え方
- 物理孊ず人生の倧問題「時間の矢」
- 宇宙を知るこずず、人生の意味

第章バケツを䜿っお宇宙を探る
- アむンシュタむン以前にも「盞察論」はあった
- ニュヌトンのバケツ実隓ず絶察空間
- 「空間ずは䜕か」ずいう問題の歎史
- マッハによるニュヌトンぞの異議申し立お
- 物質があるから加速床があるマッハの芋解
- マッハ vs ニュヌトンの意倖な決着

第章盞察ず絶察
- 「からっぜの空間」は本圓にからっぜなのか
- アむンシュタむンが出した決定的な答え
- 特殊盞察性理論は本圓は難しくない
- バケツ問題にはどう答えたのか
- 「時空の断面」ずいう考え方
- 時空の断面の角床
- バケツ問題を時空で考えるずどうなるか
- 重力はなぜ䌝わるかずいう叀い問題ず、バケツ
- 重力ず加速床の等䟡性
- 重力ず加速床ず時空の湟曲
- 䞀般盞察性理論によるバケツ問題の答え
- 珟圚における時空の抂念

第章非局所性ず宇宙
- 量子力孊によればこの䞖界は  
- 量子力孊の「非局所性」ずはどういうこずか
- 二重スリット実隓の奇劙な結果
- 物理法則は根本から確率に支配されおいる
- アむンシュタむンず量子力孊
- ハむれンベルクの䞍確定性原理ずは䜕か
- アむンシュタむンが攻撃した量子力孊の「矛盟」
- 量子力孊支持者はどう察応したか
- スピンを䜿っおアむンシュタむンを論砎する
- 結果はあらかじめ決たっおいるのか
- 量子力孊が本圓に働いおいるかテストする
- ここたでのたずめず、実際の実隓結果
- 非局所性は特殊盞察性理論ず矛盟しない
- しかしただ問題は未解決だず考える人もいる
- 非局所性をどう受け止めればいいのか

第郚時間ずは䜕か

第章時間は流れない
- 日垞経隓の䞭で「時間」が瀺す性質
- 特殊盞察性理論はすべおの時刻を平等に扱う
- 「過去、珟圚、未来」ずいう区別は幻想である
- 科孊は「珟圚」の特別さを捉えられない

第章時間の矢ずいう問題
- 時間の矢の䜕が䞍思議なのか
- 「ものごずは逆向きにも生じうる」ず物理孊は䞻匵する
- 時間反転察称性ずはどういうこずか
- 「割れた卵も元通りになる」ず物理孊は䞻匵する
- 原理的には可胜、実際䞊は困難、ずいうこず
- ゚ントロピヌずは䜕か
- ゚ントロピヌず熱力孊第二法則、そしお時間の矢
- ゚ントロピヌずは時間の矢の問題を解決しない
- それずも私たちの蚘憶のほうが間違っおいる
- 今日の宇宙の゚ントロピヌは䜎すぎる
- 統蚈的ゆらぎでは説明できないこずが倚すぎる
- 䜎゚ントロピヌの起源はどこにあるか
- ゚ントロピヌの増倧傟向を最倧限に利甚する力、重力
- 秩序の起源はビッグバンにある
- ではなぜ宇宙は䜎゚ントロピヌではじたったのか

第章時間ず量子
- 量子力孊は過去をどう考えるか
- 同時に耇数の歎史が生じ、未来に圱響する
- 可胜な遞択肢のすべおが歎史に寄䞎する
- 歎史から遞択肢を取り去るずどうなるか
- 過去に圱響を䞎えるこずは可胜
- 過去の行為をなかったこずにできる
- 未来が過去を決定する
- 量子力孊が結果的に日垞䞖界ず矛盟しない理由
- 量子力孊の倧問題「枬定問題」ず時間の矢
- 枬定問題にたいするさたざたな解釈
- 「デコヒヌレンス」で枬定問題は解決する
- 量子力孊ず時間の矢

第郚時空ず宇宙論

第章察称性ず時空
- 察称性から物理法則は生たれる
- 時間の進み方は宇宙のどこでも同じ
- 「宇宙の膚匵」ずは䜕が膚匵したのか
- 宇宙の時間が均䞀なのは膚匵が察称的だから
- 膚匵宇宙を理解するずきのよくある間違い
- 私たちの「察称な膚匵宇宙」はどんな圢か
- 「察称な膚匵宇宙」の時空をむメヌゞしおみる
- 宇宙空間が無限の広がりをもっおいたずするず  
- 宇宙論は察称性によっお進展した

原泚
「ザ・シンプ゜ンズ」に぀いお
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新幎おめでずうございたす。

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 元旊

読者のみなさたぞ

新幎おめでずうございたす。昚幎は圓ブログをお読みいただきありがずうございたした。数えたずころ幎でちょうど本の蚘事を投皿しおいたした。

昚幎は月に「倧栗先生の超匊理論入門」が発売され、月ず月にはから「神の数匏」ずいう番組が攟送されたこずもあり、䞀般の人が物理孊の䞖界に関心をも぀機䌚ずなりよかったず思っおいたす。これほど専門的に掘り䞋げお解説した番組はこれたでありたせんでした。

ナヌキャンの流行語倧賞にはノミネヌトされたせんでしたが、物理孊の䞖界の昚幎のキヌワヌドが「ヒッグス粒子」だったこずは間違いありたせん。

今幎は物理孊、数孊の䞖界でどのような発芋や展開がなされるのか楜しみです。


たた、昚幎は僕にずっお電子曞籍端末デビュヌの幎でもありたした。日本語の科孊教逊曞が電子端末曞籍でいく぀か読めるようになったのが昚幎の出来事でした。今幎はさらに倚くの本が電子化されればず願っおいたす。そしお欲を蚀えば数匏で説明されおいる教科曞や専門曞も英語䞊みに電子化されるずいいですね。


これからも専門曞、䞀般向きに科孊教逊曞を織り亀ぜお玹介しおいきたす。

今幎もよろしくお願いいたしたす。楜しい正月をお過ごしください。


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宇宙を織りなすもの䞋ブラむアン・グリヌン

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「宇宙を織りなすもの䞋ブラむアン・グリヌン 」〜時間ず空間の正䜓

内容
ニュヌトン以来の謎、時間ず空間。その探究はいた、驚くべき段階に到達しおいる。物理孊によれば、私たちの時間ず空間に関する垞識的な感芚は、どうしようもないほど間違っおいる。たずえば、「時間は流れるもの」「歎史はひず぀のはず」「空っぜの空間ではなにも起こらない」ずいう垞識的な考え方は、どれも間違っおいるずいうのだ。物理孊は、いったいどのように私たちの「垞識」をく぀がえすのか?この䞖界の本圓の姿は、私たちの「垞識」から、どれほどかけ離れおいるのだろうか?『゚レガントな宇宙』の著者ブラむアン・グリヌンが、珟代物理孊のもたらす䞖界像を鮮やかに描き出す。党米ベストセラヌ「The Fabric of the Cosmos」埅望の翻蚳。2009幎刊行。

著者に぀いお
ブラむアン・グリヌン
物理孊者・超匊理論研究者。コロンビア倧孊物理・数孊教授。研究の第䞀線で掻躍する䞀方、超匊理論をはじめずする最先端の物理孊を、ごく普通の蚀葉で語るこずのできる数少ない物理孊者の䞀人である。
超匊理論を解説した前著『゚レガントな宇宙』は、各囜で翻蚳され、党䞖界で环蚈100䞇郚を超えるベストセラヌずなった。

翻蚳者に぀いお
青朚薫
1956幎、山圢県生たれ。京郜倧孊理孊郚卒業、同倧孊院修了。理孊博士。翻蚳家。蚳曞にサむモン・シン『フェルマヌの定理』『暗号解読䞊䞋』『宇宙創成䞊䞋』『以䞊、新朮瀟、・ハむれンベルク他『物理孊に生きお』筑摩曞房、・・ワト゜ン他『䞊䞋』講談瀟、・・クリヌス『䞖界でもっずも矎しいの科孊実隓』日経瀟、バラバシ『新ネットワヌク思考』出版、『宇宙が始たる前には䜕があったのか?』文藝春秋など。


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で241冊目。

䞋巻は宇宙論、超匊理論、テレポヌテヌション、タむムマシン理論から時空の正䜓を探る。

僕のように堎の量子論や超匊理論たで教科曞や専門曞を「かじった」こずのあるレベルの人がこの本のような䞀般向けの科孊教逊曞を読んでためになるのかず疑問に思う方がいらっしゃるかもしれない。

以前、僕もそのように感じおいた。数匏を䜿っお解説した本で理解できるならそれに越したこずはない。盞察性理論や量子力孊を教科曞で孊べるだけの玠逊がある人はぜひそうすべきだず思う。

特にグリヌン博士の著曞はただ怜蚌されおいない超匊理論の展望や無限の数の宇宙の話など、ずりずめのない話題に発散する傟向が匷い。䞀芋、UFOや地球倖生物の話ず同じくらいトンデモな本に思えお、これたで僕はグリヌン博士の本を受け付けるこずができなかった。超匊理論は生たれたばかりだし、それが瀺す可胜性はいくらでもある。予想される可胜性の䞊に、さらに怜蚌されおいない可胜性を積み重ねるこずで、ずんでもない宇宙像が次々ず描かれ、これはもはや科孊ではないず思えおしたうのだ。

空想するのは自由だが、怜蚌されおいないこずにこれだけ倚くの時間を割いお説明するこずに意味があるのだろうか怜蚌されおいるこずだけをきちんず孊びたいずいう意識が匷かった僕は、これたで博士の本を読みたいず思えなかったのだ。

今回ブラむアン・グリヌン博士の䞀般向けの本を遞んで読み始めたのは、科孊には興味があるけれども数匏は苊手な読者に最先端の物理孊の䞖界を玹介するためだった。ずころが読んでみるず予想ず党く違っおいた。僕自身ずおも楜しめたし、知らないこずがいく぀も曞かれおいたのだ。

それは぀たり、こういうこずなのだ。教科曞や専門曞で孊べるこずはせいぜい物理孊科の倧孊幎か倧孊院レベルたでの事柄だ。特殊・䞀般盞察論ず量子力孊、堎の量子論あたりたでは垂販されおいる教科曞で孊ぶこずができる。しかしこれらの理論は今もなお研究が進んでいるのだ。教科曞だけだず最先端の研究内容は知るこずができない。

それに察し科孊教逊曞は䞀流の物理孊者によっお曞かれ、最先端の研究内容やそこから予想される未来の理論や䞖界のこずが解説されおいる。これたで孊んできたこずの䞭で取りこがしおきた事柄もたくさん含たれおいるのだ。本曞を読みながらそのこずに気付かされた。

この䞋巻は、ビッグバン、むンフレヌション、超匊理論、テレポヌテヌションずタむムマシン、ブラックホヌルの゚ントロピヌなどのテヌマの解説に沿いながら時空の正䜓解明のための暡玢が進む。

本曞の内容党䜓に察しおはバランスを欠くが、僕にずっおは次のようなこずが目新しく、ためになった。


斥力ずしおの重力

重力には匕力しかないずずっず思っおいたのだが、この本には「斥力」ずしおの重力がどのようにしお生じるかに぀いおの解説がある。これは䞀般盞察性理論から予枬されおいるこずだ。アむンシュタむンが重力方皋匏に「宇宙定数」を取り入れたこずは知っおいたが、僕はその意味をよく考えたこずがこれたでなかった。「宇宙は静止しおいる」ずいう条件を成り立たせるために導入した宇宙定数は、「斥力ずしおの重力」をも前提ずする理論だった。そしおこの本にはどうしお斥力ずしおの重力が生じるかが明解に説明されおいる。重力は物理系のも぀質量だけでなく、その系のも぀「゚ネルギヌ」ず「圧力」によっおも生じる。圧力が負の堎合は斥力ずしおの重力が生じるのだ。たた本曞には「過冷华ヒッグス堎」は斥力の重力を生むずいう理論も玹介されおいる。


物䜓の回転に匕きずられおその呚囲の空間や時間が枊巻くこず

物䜓の質量によっおその呚囲の時間ず空間が歪むこずはもちろん知っおいたし、数匏を䜿った䞀般盞察性理論ずしおも僕は理解しおいた。しかし、それだけでなく物䜓を回転させるこずによっおその呚囲の時間ず空間が匕きずられる圢で枊を巻くこずを僕は知っおいたのだが忘れおしたっおいた。たるで時空に粘性があるような珟象だ。これも䞀般盞察性理論から導かれる物理珟象である。本曞でこのこずを思い出した。い぀か数匏を䜿った方法で理解したいず思う。

以前、次のような蚘事を曞いたこずがある。物䜓の回転による時空の枊巻き倉圢は2011幎にNASAの芳枬によっお実蚌されおいる。地球の自転によっおも呚囲の時空が匕きずられるのだ。

NASAの人工衛星が時空のゆがみを芳枬、アむンシュタむンの理論を実蚌する
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/62901739c9bca66e9579dbfb749a3707

そういえばゞョディ・フォスタヌ䞻挔の映画「コンタクト1997」にでおくる時空移動のための巚倧な装眮は倧きなリングを高速回転させるものだったこずを思い出した。




むンフレヌション宇宙論の詳现

宇宙が膚匵しおいるこずはりィル゜ン山倩文台で芳枬され、ハッブルの法則ずしお知られおいる事実である。ではなぜ宇宙は膚匵しおいるのだろうか宇宙誕生時のビッグバンの勢いが今でも続いおいるからずいうように単玔なこずではない。最新の芳枬結果によるず玄70億幎前から膚匵のスピヌドは加速しおいるそうだ。宇宙には物質が存圚し、その質量は匕力ずしおの重力を生じる。぀たり既存の力孊では宇宙は膚匵するずしおもその速床は小さくなっおいくはずなのだ。ではなぜ芳枬されおいるような加速的膚匵が芋られるのだろうか

暗黒゚ネルギヌによる宇宙膚匵の加速を確認
http://www.astroarts.co.jp/news/2010/04/02cosmic-acceleration/index-j.shtml

この珟象は宇宙は点から始たるずいうビッグバン宇宙論を土台にしお構築されたむンフレヌション宇宙論によっお理解できるようになる。本曞ではずおも詳しくむンフレヌション宇宙論が解説されおいる。それは宇宙の芳枬や既存の物理理論に裏打ちされた「信じるに足る理論」なのだ。宇宙論を語るのはただ時期尚早だず思っおいた僕にずっお倧きな収穫だった。

本曞を読めば宇宙が平坊であるこず、均質であるこず、銀河や銀河団など耇雑な構造が芋られるこずなどの理由が珟代物理孊の芖点から理解できるようになる。


既知の物質、暗黒物質、暗黒゚ネルギヌの割合の根拠

私たちがすでに知っおいる物質は党宇宙のたったパヌセントであり、そのほかは暗黒物質がパヌセント、暗黒゚ネルギヌがパヌセントであるこずは近幎明らかになり「倧栗先生の超匊理論入門」でも玹介されおいたが、暗黒物質や暗黒゚ネルギヌの正䜓がほずんどわかっおいないのに、どうしおそれらの占める割合がわかるのだろうかそれらの合蚈がきっちり100パヌセントになるのはなぜなのかそれは理論ず芳枬によっお明らかになったこずなのだ。僕は本曞でその根拠を初めお詳しく理解するこずができた。


未来からの野次銬芋物がなぜいないのかタむムマシン

タむムマシンの開発が珟実的には無理ずいうこずは、今ではほずんどの物理孊者が受け入れおいるこずであるが、その根拠のひず぀ずしお「未来から珟代にタむムマシンを䜿っお旅行する人が芋぀からない。」ずいうものがある。けれどもこの論理は十分なものではないのだ。本曞ではその「論理の隙間」を瀺すこずで、より深いタむムトラベルの論理や逆説を玹介しおいる。


超匊理論の背景独立な定匏化

超匊理論はもずもず時間ず空間の座暙を䜿っお構築されおいたが、むンフレヌション宇宙論や「倧栗先生の超匊理論入門」に曞かれおいるように空間はそしおおそらく時間も幻想であるずいうこずらしい。時間や空間の存圚を前提ずしない理論の構築が必芁になっおいるのだ。これを「超匊理論の背景独立な定匏化」ず呌んでいる。それがどのようなものかは党くずいっおいいほどわかっおいないが本曞ではそのような理論が必芁になるたでのいきさ぀が解説されおいる。


前著「゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン」ずの重耇に぀いお

「゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン」ずの重耇箇所が気になっおいる方が倚いこずだろう。結果から蚀うず䞋巻の超匊理論を説明した郚分はかなりの重耇があった。特に振動する匊が玠粒子をあらわすこず、巻き䞊げられた远加次元䜙剰次元の解説あたりは同じような説明が繰り返されおいる。けれども本曞には新たに次の぀のこずが加えられおいる。

- ブレヌンやブレヌンワヌルド
- AdS/CFT
- ホログラフィヌ原理
- 超匊理論を実隓で怜蚌できる可胜性


蚳者あずがきに぀いお

䞊巻、䞋巻合わせるず本曞はペヌゞくらいになる。実にさたざたな芖点から、冗長ずいえるほどおいねいに曞かれおいるので「朚を芋お森を芋ず。」になりがちだ。物理法則から予蚀される可胜性を次々に玹介しおいるため、ひず぀の答がほしい読者の䞭には混乱しおしたう方もいるだろう。

そのような方は䞋巻の最埌に挿入されおいる「蚳者あずがき」をじっくりお読みになるずよい。本曞を翻蚳された青朚薫氏は京倧理孊郚の倧孊院を卒業された方だ。䞊巻、䞋巻の内容をかみ砕いお解説しおくださっおいるのが党䜓のたずめがほしい読者にはずおもありがたい。


最埌になるが、䞊巻ず䞋巻からわかっおきた時間ず空間の本質を敎理するず次のようになる。

時間ず空間は䞀䜓で䞍可分。空間だけや時間だけの䞖界は存圚しない。特殊盞察性理論

時間や空間は物䜓の運動によっお䌞び瞮みする。特殊盞察性理論

時間や空間はその䞭にある物䜓の質量、゚ネルギヌ、圧力によっお䌞び瞮みする。䞀般盞察性理論

時間や空間はその䞭にある物䜓の回転に匕きずられお枊を巻くように倉圢する。䞀般盞察性理論

時間や空間はより小さい䞖界に行くに埓い「揺らぐ」ようになり、距離や長さを求められなくなる。量子論

時間や空間にはそれ以䞊分割できない限界がある。量子論、堎の量子論による仮説

䜕もない空っぜの空間ずいう意味での真空は存圚しない。さたざたな波動堎が共存し、粒子が生成・消滅するダむナミックな䞖界が真空なのだ。堎の量子論

空間は次元だけでなく小さく巻き䞊げられお芋えない次元の远加次元䜙剰次元がある。超匊理論による仮説

空間は裂けたり修埩されたりしおいるのかもしれない。超匊理論による仮説。「゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン」に解説がある。

宇宙の始たりには時間ず空間はすべお巻き䞊げられおいた。むンフレヌション宇宙論、超匊理論による仮説

空間はそしおおそらく時間も幻想である。空間ず時間は匊の振動によっお生たれる。超匊理論による仮説



この分量を読みきるのはかなり倧倉だが、時間を芋぀けおぜひ読んでみおほしい。


「宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン 」
「宇宙を織りなすもの䞋ブラむアン・グリヌン 」

 


翻蚳のもずになった英語版2004幎に出版された。Kindle版もでおいる。

「The Fabric of the Cosmos: Brian Greene」




関連蚘事

゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/404c24b68f57609900bc3d7a030333d5

宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9a33e8f5ee79057972cf86c7b20c5218


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「宇宙を織りなすもの䞋ブラむアン・グリヌン 」〜時間ず空間の正䜓



第郚時空ず宇宙論

第章ビッグバン盎埌
- 枩床が倉わるず察称性も倉化する
- 力の堎、物質の堎、ヒッグス堎
- 宇宙が冷えおヒッグスの海ができた
- ヒッグスの海が質量を生み出しおいる
- ヒッグスの海がない高枩䞋では力は統䞀される
- 倧統䞀理論の興奮ずその埌
- ヒッグスの海が存圚する蚌拠を探す
- ゚ントロピヌず時間

第章ビッグバンずむンフレヌション
- アむンシュタむンの「宇宙定数」ず斥力の重力
- 「過冷华ヒッグス堎」は斥力の重力を生む
- 過冷华ヒッグス堎ずむンフレヌション理論
- むンフレヌション理論に関する぀の泚意点
- むンフレヌションは地平線問題を解く
- むンフレヌションは平坊問題を解く
- 予枬される宇宙の密床ず芳枬倀の差
- 目に芋えない倧量の物質「暗黒物質」
- 「枛速パラメヌタ」で宇宙の物質総量を探る
- 暗黒゚ネルギヌで宇宙の膚匵は加速した
- 解かれた謎、新しい謎

第章倜空に残るむンフレヌションの痕跡
- むンフレヌション前の量子ゆらぎが銀河を䜜った
- マむクロ波背景攟射に残る量子揺らぎの痕
- 宇宙は最初、キログラムだった
- むンフレヌションが䜎゚ントロピヌ宇宙を䜜った
- 宇宙の膚匵過皋で゚ントロピヌは枛少したか
- むンフレヌション理論による時間の矢の説明
- ただ残る謎

第郚統䞀ずひも理論

第章宇宙は「ひも」でできおいるか
- 「真空」は量子ゆらぎで満ちおいる
- 量子ゆらぎは䞀般盞察性理論を砎綻させる
- それは問題なのか
- 解決の糞口を探る玆䜙曲折
- 第䞀次ひも理論革呜
- すべおの粒子はひもの振動から生たれる
- なぜひも理論はうたくいくのか
- ひもより小さいスケヌルを考える意味
- ひも理論でなければできないこず
- 粒子の性質はひもの振動パタヌンで決たる
- ひも理論は必芁以䞊の皮類の粒子を生む
- ひも理論はたくさんの空間次元を必芁ずする
- 远加された次元が隠れる堎所はあるのか
- 隠れた次元を予枬する理論
- 隠れた次元はどういう圢をしおいるか
- 远加次元の圢が物理法則を決める
- ひも理論が描き出す宇宙の基本構造

第章宇宙は「ブレヌン」のなかにあるか
- 第二次超ひも理論革呜--理論の登堎
- 五぀のひも理論間の翻蚳を䜿っお問題を解く
- 理論は次元の空間次元を必芁ずする
- ひもだけでなく膜もある可胜性
- ブレヌンワヌルド--私たちは膜のなかにいる
- ブレヌンにくっ぀いお振動するひも
- この宇宙がブレヌンワヌルドか、調べられる
- 短距離での重力の振舞いに手がかり
- 远加次元もひもも意倖ず倧きいかもしれない
- ひも理論を実隓で怜蚌できる可胜性
- ブレヌンワヌルド宇宙論の誕生
- サむクリック宇宙論--宇宙は生たれ倉わる
- サむクリック・モデルの長所ず短所
- 新しい時空芳がもたらされるか

第郚空間ず時間ぞの新たな挑戊

第章実隓ず芳枬による挑戊
- 回転物呚蟺で時空が枊巻くこずを怜蚌
- 重力波を怜出するさたざたな蚈画
- 远加次元を探す実隓の数々
- ヒッグスず超察称性ずひも理論の怜蚌
- 数ある宇宙論シナリオのどれが正しいか
- 暗黒物質ず暗黒゚ネルギヌの正䜓を探る芳枬
- 空間ず時間に関する思玢

第章テレポヌトずタむムマシン
- 量子力孊でテレポヌテヌションを考える
- 量子゚ンタングルメントを䜿えばテレポヌト可胜
- しかし珟実的なテレポヌテヌションは可胜か
- 時間旅行をめぐるパラドックス
- パラドックスは本圓は存圚しない
- 自由意思のパラドックスは倚䞖界解釈で解決
- 過去ぞの時間旅行を研究する物理孊者たち
- ワヌムホヌル・タむムマシンの䜜り方
- ワヌムホヌル・タむムマシン建造の問題点
- 未来からの野次銬芋物がなぜいないのか

第章時空は本圓に宇宙の基本構造か
- 空間ず時間は別の「䜕か」でできおいる
- 量子䞖界の平均像ずしおの時空
- 違う圢の空間が同じ意味をも぀
- ブラックホヌルの゚ントロピヌが瀺すヒント
- 宇宙はホログラムなのかもしれない
- 時空の存圚そのものを導く理論は可胜か
- やがお来る、時空の抂念を倉える発芋

蚳者あずがき

さくいん
原泚
「ザ・シンプ゜ンズに぀いお」
甚語解説
参考図曞

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隠れおいた宇宙䞊ブラむアン・グリヌン

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「隠れおいた宇宙䞊ブラむアン・グリヌン」

内容
量子力孊、超ひも理論、ランドスケヌプ宇宙、ホログラフィック理論  物理孊の先端をそれぞれに切り拓いた、あるいはいた切り拓き぀぀ある理論を各々突き詰めおいくず、䞍思議なこずに、必ずず蚀っおいいほど「私たちのいる宇宙から芋えないずころに別の倚くの宇宙がある」ずいう結論が導かれる。珟代はある意味で、「倚宇宙の䞖玀」なのだ。これらの芋えない宇宙を実隓で確かめるすべは、今はただない。しかし、これだけあちこちの科孊者から報告される倚宇宙倚䞖界䞊行䞖界を、私たちはどう考えるべきか 科孊的な芳枬事実の裏付けのないものはやはり、物理研究の察象ず芋なすべきではないのか いやむしろ、これだけ数孊の確固たる裏付けをずもなったものはリアルな、実圚のものず考えるべきではないのか  『゚レガントな宇宙』『宇宙を織りなすもの』で、普通の蚀葉で先端理論をわかりやすく解説するず定評のある、グリヌン埅望の本栌的科孊解説。2011幎刊行。

著者に぀いお
ブラむアン・グリヌン
物理孊者・超匊理論研究者。コロンビア倧孊物理・数孊教授。研究の第䞀線で掻躍する䞀方、超匊理論をはじめずする最先端の物理孊を、ごく普通の蚀葉で語るこずのできる数少ない物理孊者の䞀人である。
超匊理論を解説した前著『゚レガントな宇宙』は、各囜で翻蚳され、党䞖界で环蚈100䞇郚を超えるベストセラヌずなった。

翻蚳者に぀いお
倧田盎子
翻蚳家。東京倧孊文孊郚瀟䌚心理孊科卒。蚳曞にサックス『音楜嗜奜症』、リドレヌ『繁栄』共蚳、オレル『明日をどこたで蚈算できるか』共蚳、以䞊早川曞房刊、サトゥリス『埒歩で行く150億幎の旅』、メレディス『むンドず䞭囜』、ロオゞ゚『関係の法則』ほか倚数。

監修者に぀いお
竹内薫
1960幎東京生。科孊䜜家。1983幎東京倧孊教逊孊郚教逊孊科、1985幎同理孊郚物理孊科卒。マギル倧孊カナダ哲孊科・物理孊科修士課皋を経お、1992幎博士課皋修了。Ph.D高゚ネルギヌ物理孊専攻。䞀般読者にもわかりやすく手に取りやすい先端科孊の解説本には定評があり、近幎ではテレビやラゞオでも科孊解説者ずしお掻躍䞭。著曞に『シュレ猫がいく ブレヌンワヌルドぞの倧冒険』『「超ひも理論」ずはなにか』『れロから孊ぶ超ひも理論』『物質をめぐる冒険』『䞖界が倉わる珟代物理孊』『99.9は仮説』ほか倚数。蚳曞にテむラヌ『奇跡の脳』、ホヌガン『科孊の終焉』、マクスりェル『電気論の初歩』ほか倚数。


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で242冊目。

珟代物理孊の「SF化」が著しい。果たしおこれは科孊なのだろうか

私たちの䜏む宇宙の倧きさが無限かどうかもわかっおいないのに、そしお始たりの瞬間や終わりがどうなるかもわかっおいないのに「倚宇宙マルチバヌス」の研究が進んでいる。

科孊雑誌ニュヌトンで泡のような宇宙がいく぀も描かれ、そのひず぀が私たちの宇宙だずいう図版を目にした方もいるこずだろう。たたNHKの「神の数匏」の最埌の秒ほどで「宇宙は無数に存圚するずいう説もでおきた。」ず玹介されおいた。

泡宇宙




本曞はその最埌の郚分であっさりず語られた「倚宇宙論」を詳现に解説した本である。ブラむアン・グリヌン博士にずっおは冊めの科孊教逊曞だ。

䞊巻に登堎する倚宇宙は次の皮類。抂念図ずずもに玹介しよう。䞋の぀は超匊理論から予想されおいるものだ。


パッチワヌクキルト倚宇宙

わたしたちの宇宙ず同じ物理定数や物理法則を持぀宇宙が四方八方に無限個埋め尜くされおいる倚宇宙。ひず぀ひず぀の宇宙はハッブル䜓積宇宙膚匵の埌退速床が光速未満ずなる宇宙の䜓積をも぀。




むンフレヌション倚宇宙

むンフレヌション宇宙論を前提にした倚宇宙論。宇宙のむンフレヌションが巚倧ネットワヌクになり泡宇宙が無限に連鎖する。物理定数や物理法則はむンフレヌションの条件によっお違っおくるのでそれぞれの泡宇宙で異なる。むンフレヌション宇宙論が成立するためには、そもそもむンフラトン堎が存圚しおいなければならないが、この堎の存圚は仮説の段階だ。




ブレヌン倚宇宙

超匊理論のブレヌンワヌルドのシナリオが予想する倚宇宙。ブレヌンが異なる次元に無数存圚するずいう倚宇宙論。私たちの宇宙は぀の巚倧な次元のブレヌン-ブレヌンだずする。぀のブレヌン、぀たり぀の宇宙が衝突するずき莫倧な゚ネルギヌが発生し、これをビッグバンず考えるこずにより新たな宇宙が誕生する。




サむクリック倚宇宙

超匊理論で導かれる぀のブレヌン、぀たり぀の宇宙が衝突するずき莫倧な゚ネルギヌが発生し、これをビッグバンず考えるこずにより新たな宇宙が誕生する。これが繰り返されるこずにより時間的に䞊行するいく぀もの宇宙を生み出す。宇宙創成のサむクルはおよそ兆幎だずいう。




ランドスケヌプ倚宇宙

超匊理論ずむンフレヌション宇宙論を総合しお組み立おた倚宇宙論。䜙剰次元の様々な圢は様々な泡宇宙を生み出し、それら宇宙の物理定数や物理法則は異なる。




このような倚宇宙論を拒吊したり疑念を抱いおいる科孊者も倚い。たた真面目に研究しおいる科孊者がいるのも確かだ。むンフレヌション宇宙論に぀いおは着実に信頌床を䞊げおいるが、理論に必芁なむンフラトン堎が実隓で怜蚌されおいない。たた超匊理論は理論に発展し将来有望な䞇物の理論ずしお提唱されたが、肝心の䜙剰次元の圢の研究が進んでいない。これらの倚宇宙論は䞻にこれら぀の理論を土台にしおいるため、仮説の䞊に仮説を重ねた圢で構築されおいるのだ。

ずはいえ、実際に本曞を読んでみるずわかるのだが説明はずおもわかりやすく、理論の積み重ねも筋がずおっおいる。説埗されるずたではいかないたでも、話の筋道ずしおはそういう倚宇宙もあり埗るず思わざるを埗なくなるのだ。

宇宙がたくさんあるかもしれないずいうこずはNHKの「神の数匏」の最埌でほんの少しだけ玹介されおいた。しかしあたりにも短い玹介だったのでどのような理論を指しおいるのかわからなかった。超匊理論がテヌマだから、おそらく「ブレヌン倚宇宙」か「サむクリック倚宇宙」、「ランドスケヌプ倚宇宙」のこずだろう。

番組の内容から刀断するず、これはカラビ-ダり空間ずいう次元の䜙剰次元の取りうる圢がの乗ずいう膚倧な数になるから、それが蚘述しうる物理法則の数もそれず同じくらい膚倧になるずいうこずだ。月の攟送では「の乗ずいう数の宇宙がでおきおしたうずいう新たな問題もでおきた。」ずいう倚宇宙説に吊定的な衚珟がずられ、月の「完党版」では「の乗個の宇宙が今でも生たれたり消えたりしおいる。」ずいう倚宇宙説に肯定的な衚珟がずられおいた。

しかしの乗皮類ずいう可胜性はカラビ-ダり空間の取りうる数孊䞊の数であっお、珟実の物理的実圚宇宙の数ではない。だからこの文脈では月の攟送での衚珟のほうが正しいず僕は思うのだ。それでも本曞には異なる物理法則が成り立぀の乗皮類の宇宙が存圚するかもしれないず信じおいる科孊者かいるこずも玹介されおいる。

本曞には「〜の可胜性がある。」ずか「〜であるこずは吊定できない。」ずか「〜かもしれないのだ。」のような衚珟がずおも倚い。仮説の正しさに察しお「可胜性」ずいう蚀葉を口にするずき぀の盞反する受け取り方がある。「可胜性はれロではないが、ほずんど無いに等しい。」ずいう吊定的な受け取り方ず「可胜性があるので、きっず確信できるようになるだろう。」ずいう肯定的な受け取り方だ。本曞で取り䞊げられる倚宇宙はそれぞれ「存圚する可胜性がある」ものなので、解説を読んだ䞊でどちらの立堎をずるかはひずりひずりの刀断に委ねられおいる。


以䞋、僕が気になった箇所、今回孊んだ事柄、泚意点を述べおおこう。


ブレヌンの存圚は受け入れられるか

ブレヌン倚宇宙の説明が成り立぀ためにはブレヌンずいう存圚を認めなければならない。-ブレヌンだけなく-ブレヌンやその他の次元のブレヌンも含めおだ。そしお開いた匊の端はこれらのブレヌンに「接続しおいなければならない」こずも含めおだ。文章による解説だけではにわかに信じられないずいうのが僕の実感だった。あなたはこのようなものを物理的な実圚ずしお受け入れるこずができるだろうか

さらに本曞ではブレヌンの呚りには「ブレヌン堎」た存圚しおいるずいう。これは電子でいえば電堎のようなものだそうだ。そしお電堎を電気力線で衚珟するようにブレヌン堎に察しおは「流束」ずいうものがあるずいう。ブレヌン堎の匷さは流束の本数によっおあらわされ、その数は敎数倀をずるそうだ。

しかし先月はじめに読んだ「初玚講座匊理論 発展線B.ツノィヌバッハ」の第章「匊のチャヌゞず電荷」や第章「Born‐Infeld理論ずD‐ブレヌンの電磁堎」で僕はブレヌンの呚りのKalb-Ramon堎぀たりブレヌン堎や匊に流れるチャヌゞ荷量が-ブレヌンに電荷や電堎を生み出すこずを定量的に孊んでいた。このこずを思い出すず-ブレヌンの実圚性がだいぶ玍埗できるようになった。


の乗ずいう数はどこからくるか

カラビ-ダり空間の取りうる可胜性がこの数だずいう説明をしたが、実はもう少し事情は耇雑だ。本曞によるずカラビ-ダり空間の䞀郚はブレヌンによっお包たれ、䞊述の流束ブレヌン束によっお数珠぀なぎになっおいるずいう。カラビ-ダり空間が「ドレスアップ」するわけだ。あるカラビ-ダり空間に開いおいる領域が぀ある堎合、それを流束でドレスアップする方法が通りあっお、䜙剰次元の圢が新たに個生たれる。開いおいる領域が個あれば通りのドレスアップの圢が生たれる。超匊理論によればおよその開いおいる領域をも぀カラビ-ダり空間もあるので、ドレスアップされた䜙剰次元の圢はの乗皮類になる。この膚倧な数に察しお異なる物理法則が生たれるずいうのだ。


コペルニクス原理ず人間原理

地球は宇宙の䞭心ではなく、倪陜の呚りを回っおいる惑星のひず぀にすぎない。このように私たちの宇宙が唯䞀無二の存圚ではなく、同じような宇宙は他にもあるず考えるのが「コペルニクス原理」の考え方だ。これに察し、この宇宙の宇宙定数や物理パラメヌタが珟圚の倀になっおいるのはその条件が偶然すべお揃ったから銀河だけでなく倪陜系も地球も、そしお生物や人間も存圚できたのだずいうのが「人間原理」である。

科孊的な探究心に埓う限り、なぜ宇宙定数や物理パラメヌタがそのような倀になっおいるかずいうこずを解明したくなるものだ。しかし、そこに本質的な理由はない。なぜならその条件がたたたた私たちの銀河や生呜䜓を進化させたからだ。自然界の定数を玍埗できるように説明するには、その定数ずしおさたざたな倀をもっおいる皮々の宇宙がなくおはならない。この倚宇宙の状況ではじめお人間原理の論法によっお神秘が圓たり前のこずに成りうるのだ。


理論で芋぀かった番目の空間次元はなぜ芋萜ずされおいたか

超匊理論での空間は次元であるこずが蚈算で求められるのだが、その埌぀の超匊理論は理論ずいう぀の枠組みにたずめられた。しかし理論が芁請する空間は次元だずいう。そしお番目の次元は芋萜ずされおいたずいう説明があった。蚈算で次元ず求められたはずなのになぜ芋萜ずされたのだろう僕はこのこずが気になっおいたが、本曞にその答が曞かれおいた。

なぜかずいうず、これたで知られおいなかった番目の空間次元の倧きさは、匊の結合定数の倧きさで決たるからだ。研究者たちは摂動論を䜿うために結合定数を小さくするこずで、知らないうちにこの空間次元も小さくしお理論の数孊にずっおも芋えなくなっおしたっおいたのだ。


別の宇宙の存圚を確認する手段はあるのか

確認ずしおは間接的なものになっおしたうが手段はあるのだそうだ。それは次のような枬定による。

- 短い距離での重力の逆乗枬の砎れを怜出しお巻き䞊げられた䜙剰次元の存圚を間接的に確認し、さらに䜙剰次元に挏れる重力の量を枬定する。

- 重力波を怜出し粟密に枬定する。などの巚倧な斜蚭およびなどでの超ミクロなブラックホヌルの怜出

たた、宇宙の加速的膚匵やマむクロ波の背景攟射の粟密な枬定、むンフラトン堎の怜出、超察称性粒子の怜出、超匊理論の䜙剰次元の圢の決定など、むンフレヌション理論や倚宇宙論の土台ずなる芳枬や研究の発展も必芁だ。


「゚レガントな宇宙」や「宇宙を織りなすもの」ず重耇しおいる内容

「ブレヌンワヌルド宇宙論」ず「サむクリック宇宙論」は「宇宙を織りなすもの」でも解説されおいたが、本曞の説明のほうが圧倒的に詳しい。

たた超匊理論に぀いおは「゚レガントな宇宙」や「宇宙を織りなすもの」ず重耇しおいる。しかし、倚宇宙を解説する文脈の䞭で必芁になるこずなので、重耇しおいおもそれほど気にならない。

䞀般盞察性理論や量子力孊は、本曞ではほずんど解説されおいないので「゚レガントな宇宙」や「宇宙を織りなすもの」ずの重耇は気にしなくおよい。ただし「量子のゆらぎ」の説明は冊を通しお重耇しおいる。



䞋巻ではこのような倚宇宙の研究が果たしお科孊なのかずいう議論がなされるのず、他のタむプの倚宇宙も玹介されおいるそうだ。


単行本ず文庫版、そしおKindle版も出おいるのでぜひ読んでみおほしい。

単行本

「隠れおいた宇宙䞊ブラむアン・グリヌン」
「隠れおいた宇宙䞋ブラむアン・グリヌン」

 

文庫版

「隠れおいた宇宙䞊文庫版ブラむアン・グリヌン」
「隠れおいた宇宙䞋文庫版ブラむアン・グリヌン」

 


翻蚳のもずになった英語版20011幎に出版された。Kindle版もでおいる。

「The Hidden Reality: Brian Greene」




関連ペヌゞ

倚元宇宙論が怜蚌可胜にナショナルゞオグラフィック ニュヌス
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110810002



関連蚘事

゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/404c24b68f57609900bc3d7a030333d5

宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9a33e8f5ee79057972cf86c7b20c5218

宇宙を織りなすもの䞋ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e7d60b8a36b423ef5d42df59458804b7


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「隠れおいた宇宙䞊ブラむアン・グリヌン」



はじめに

第章珟実リアリティの境界--䞊行宇宙に぀いお
- 単䞀の宇宙ず耇数の宇宙
- 䞊行宇宙のさたざたなバリ゚ヌション
- 宇宙の秩序

第章終わりのないドッペルゲンガヌ--パッチワヌクキルト倚宇宙
- ビッグバンの父
- 䞀般盞察性理論
- 宇宙ずティヌポット
- 玍皎申告曞の重力
- 原初の原子
- モデルずデヌタ
- 私たちの宇宙
- 無限の宇宙のなかの実圚リアリティ
- 無限の空間ずパッチワヌクキルト
- 有限の可胜性
- 宇宙の繰り返し
- 単なる物理珟象
- これをどう考えるか

第章氞遠ず無限--むンフレヌション倚宇宙
- 熱い始たりの名残
- 原初の光子の䞍可解な䞀様性
- 光速より早く
- 広がる地平線
- 量子の堎
- 量子堎ずむンフレヌション
- 氞遠のむンフレヌション
- スむスチヌズず宇宙
- 芖点を倉える
- [むンフレヌション倚宇宙]を経隓する
- くるみの殻のなかの宇宙
- 泡宇宙のなかの空間

第章自然法則の統䞀--ひも理論ぞの道
- 統䞀の沿革
- 再説--量子堎
- ひも理論
- ひも、点、量子重力
- 空間の次元
- 倧いなる期埅
- ひも理論ず粒子の性質
- ひも理論ず実隓
- ひも理論、特異点、ブラックホヌル
- ひも理論ず数孊
- ひも理論の珟状

第章近所をうろ぀く宇宙--ブレヌン倚宇宙ずサむクリック倚宇宙
- 近䌌法を超えお
- 双察性
- ブレヌン
- ブレヌンず䞊行倚宇宙
- 粘着性のブレヌンず重力の觊手
- 時間、サむクル、そしお倚宇宙
- サむクリック宇宙の過去ず未来
- 流束のなかで

第章叀い定数に぀いおの新しい考え--ランドスケヌプ倚宇宙
- 宇宙定数の再来
- 宇宙の運呜
- 距離ず明るさ
- そもそも、それは䜕の距離なのか
- 宇宙の色
- 宇宙の加速
- 宇宙定数
- れロの説明
- 宇宙論における人間
- 生呜、銀河、自然に朜む数字
- 悪から善ぞ
- 最埌のステップを手短に
- ひも理論のランドスケヌプ
- ランドスケヌプにおける量子トンネル珟象
- あずの物理珟象は
- これは科孊か

原泚
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隠れおいた宇宙䞋ブラむアン・グリヌン

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「隠れおいた宇宙䞋ブラむアン・グリヌン」

内容
量子力孊、超ひも理論、ランドスケヌプ宇宙、ホログラフィック理論  物理孊の先端をそれぞれに切り拓いた、あるいはいた切り拓き぀぀ある理論を各々突き詰めおいくず、䞍思議なこずに、必ずず蚀っおいいほど「私たちのいる宇宙から芋えないずころに別の倚くの宇宙がある」ずいう結論が導かれる。珟代はある意味で、「倚宇宙の䞖玀」なのだ。これらの芋えない宇宙を実隓で確かめるすべは、今はただない。しかし、これだけあちこちの科孊者から報告される倚宇宙倚䞖界䞊行䞖界を、私たちはどう考えるべきか 科孊的な芳枬事実の裏付けのないものはやはり、物理研究の察象ず芋なすべきではないのか いやむしろ、これだけ数孊の確固たる裏付けをずもなったものはリアルな、実圚のものず考えるべきではないのか  『゚レガントな宇宙』『宇宙を織りなすもの』で、普通の蚀葉で先端理論をわかりやすく解説するず定評のある、グリヌン埅望の本栌的科孊解説。2011幎刊行。

著者に぀いお
ブラむアン・グリヌン
物理孊者・超匊理論研究者。コロンビア倧孊物理・数孊教授。研究の第䞀線で掻躍する䞀方、超匊理論をはじめずする最先端の物理孊を、ごく普通の蚀葉で語るこずのできる数少ない物理孊者の䞀人である。
超匊理論を解説した前著『゚レガントな宇宙』は、各囜で翻蚳され、党䞖界で环蚈100䞇郚を超えるベストセラヌずなった。

翻蚳者に぀いお
倧田盎子
翻蚳家。東京倧孊文孊郚瀟䌚心理孊科卒。蚳曞にサックス『音楜嗜奜症』、リドレヌ『繁栄』共蚳、オレル『明日をどこたで蚈算できるか』共蚳、以䞊早川曞房刊、サトゥリス『埒歩で行く150億幎の旅』、メレディス『むンドず䞭囜』、ロオゞ゚『関係の法則』ほか倚数。

監修者に぀いお
竹内薫
1960幎東京生。科孊䜜家。1983幎東京倧孊教逊孊郚教逊孊科、1985幎同理孊郚物理孊科卒。マギル倧孊カナダ哲孊科・物理孊科修士課皋を経お、1992幎博士課皋修了。Ph.D高゚ネルギヌ物理孊専攻。䞀般読者にもわかりやすく手に取りやすい先端科孊の解説本には定評があり、近幎ではテレビやラゞオでも科孊解説者ずしお掻躍䞭。著曞に『シュレ猫がいく ブレヌンワヌルドぞの倧冒険』『「超ひも理論」ずはなにか』『れロから孊ぶ超ひも理論』『物質をめぐる冒険』『䞖界が倉わる珟代物理孊』『99.9は仮説』ほか倚数。蚳曞にテむラヌ『奇跡の脳』、ホヌガン『科孊の終焉』、マクスりェル『電気論の初歩』ほか倚数。


理数系曞籍のレビュヌ蚘事は本曞で243冊目。

倚宇宙マルチバヌスの理論に぀いおは物理孊者の間でも刀断が倧きくわかれ、それを嫌悪し、反察の立堎をずる孊者もいる。䞀般の人にずっおも受け入れがたいこずは容易に想像が぀くし、僕も本曞を読みながら「䞻匵するのは勝手だけど、ずりずめもないそんな劄想を今の段階で議論しおも意味があるの」ずいう思いが䜕床も頭をもたげおきた。

これは科孊なのか怜蚌したり、䜕かを予枬するこずのできる理論なのかず問うこずすら時間の無駄に思えおならない。

けれども倚宇宙理論を肯定しおいるのは著者のグリヌン博士だけではない。倚くの科孊者が真面目にこの分野に取り組んでいるこずが玹介されおいる。数孊に裏付けられた珟代物理孊は、いく぀もの別のルヌトを蟿り、そのほずんどが行き着く先が、それぞれタむプは異なるのだが「倚宇宙」ずいう点で䞀臎しおいる。


䞋巻では新たに量子倚宇宙、ホログラフィック倚宇宙、シミュレヌション倚宇宙、究極の倚宇宙ずいう぀のタむプの倚宇宙が玹介されるのだが、猪突猛進する前に立ち止たっお次のような考察を読者に瀺しおいる。第章「科孊ず倚宇宙--掚論、説明、予枬」

- 仮説や理論が科孊ず呌べるためには䜕が必芁か
- 倚宇宙は芳枬䞍胜か
- 倚宇宙理論は䜕に立脚しおいるか
- 倚宇宙理論は䜕かを予枬し、意味のある圹割を果たせるのか

これらの点に぀いお詳现な説明ず議論が尜くされるのであるが、結論ずしお次のようになるず本曞では䞻匵されおいる。

- 仮説や理論が科孊ず呌べるための必芁条件に぀いおは意芋が分かれおいるが、䞀般的には「怜蚌可胜性」や「予枬可胜性」だず蚀われおいる。
- 倚宇宙は盎接芳枬䞍胜であるが、そのうちのいく぀かのタむプは間接的な圢でその存圚や性質を怜蚌するこずができる可胜性がある。
- 倚宇宙理論は、既存の物理孊ず数孊、そしお珟圚仮説段階の物理理論ず数孊的な掚論に立脚しおいる。
- 倚宇宙理論は私たちの宇宙や他の倚宇宙に぀いお䜕かを予枬できるようになる可胜性がある。

曞いおあるこずの理解はできたが、僕は机䞊の空論ずいうか砂䞊の楌閣の蚭蚈図が正しいこずを延々ず聞かされおいる気分になった。それでも著者は猪突猛進するのではなく、反察意芋を意識しながら研究をしおいるこずはわかったので、その埌を読み進もうずする気持ちの糞は぀ながったたたでいられるのだ。

そしお぀のタむプの倚宇宙の玹介が始たる。


量子倚宇宙

この倚宇宙は、いわゆる゚ノェレット䞖が波動関数の収瞮、芳枬問題ずいう量子力孊の解釈をめぐる困難を解消するために発案した「倚䞖界」のこずで、他のタむプの倚宇宙のように遠くにある宇宙ではない。それではどこにあるのかず聞かれおしたうず答には困っおしたうわけであるが。。。゚ノェレットの倚䞖界は提唱された圓時から反発を呌び、1980幎代には「トンデモ理論」ずしおのレッテルを貌られおいた。しかし、近幎の物理孊の発展によっおこの理論の信ぎょう性が浮䞊し、再び議論の舞台に浮䞊しおいるのだ。

僕自身はこの倚䞖界論のこずをタむムパラドックスを解決するずいう文脈で知ったが、そのずきの説明は短すぎお「トンデモ理論」だずいう印象を匷く持った。ずころが本曞での説明はずおも詳しく、ボルンの確率解釈や芳枬問題など䞀般的に受け入れられおいる量子力孊の解釈が抱える問題ず察比しお解説されおいるので、倚䞖界解釈を受け入れるこずが論理的には自然で矎しいのだずいうこずがよくわかる。


ホログラフィック倚宇宙

䞊巻、䞋巻を通じおこの箇所が僕にずっおいちばん有益だった。無限の圌方にある次元の面にある情報぀たりずのビットが私たちの次元宇宙ず等䟡であるずいうのが「ホログラフィヌ原理」であり、このこずは「倧栗先生の超匊理論」でも玹介されおいたが、本曞ではさらに詳しい解説がされおいる。

その発想の元はブラックホヌル衚面にある情報の問題である。ホヌキング攟射、ホヌキングパラドックスに぀いおずおも詳しく知るこずができたのがよかった。NHKの「神の数匏」で玹介されおいたように、ブラックホヌルの謎の熱の問題は超匊理論によっお解決されおいたのだが、これの詳现も解説されおいる。

この䞖界の本質が「情報」であるずいう考え方だけでも突飛であるのに、本質はむしろ「情報」のほうにあり、この䞖界のほうが幻圱だずいう考え方は衝撃的だ。この䞖界空間ず時間は連続だずいう考え方は量子の䞖界では倧いに怪しくなる。空間の最小䜓積は「プランク䜓積」ずいうものになり、その䜓積が保持できる情報の量がビットであるず予想されおいる。

垞識的に考えればブラックホヌルが蓄えるこずのできる情報量は䜓積に比䟋するず思われるがそうではない。䞍思議なこずに情報量はブラックホヌルの衚面積に比䟋しおいるのだ。

ある特定の䜓積の領域が保持できる情報量には限界があり、限界を超えるずその領域はブラックホヌルになっおしたうずいう説が特に興味深かった。

ホログラフィック宇宙の理論的根拠は超匊理論である。蓄える情報の違いにより無限の数の倚宇宙が生成されるず予想されおいるのだ。


シミュレヌション倚宇宙

この倚宇宙のこずが僕はいちばん受け入れがたかった。シミュレヌション倚宇宙ずはコンピュヌタによっお䜜られる「仮想珟実」のこずだ。映画「トヌタル・リコヌル」の䞖界である。コンピュヌタの䞭の仮想䞖界の䞭には私たちの䞖界ず同様の䞖界や、たったく異なる䞖界が存圚し、そこには意思を持぀生呜が「生きお」いる。その䞖界もコンピュヌタがあり、新たな仮想珟実の䞖界を生み出し、仮想䞖界生成の連鎖は無限に続く。

私たちは「仮想珟実でない䞖界」に生きおいるず信じおいるが、果たしおそう蚀い切れるだろうかこの䞖界が仮想でないずいう蚌拠を提瀺するこずができるだろうか

本曞のこの郚分では、このようにSFの䞖界そのもののような倚宇宙論が展開されるのである。

しかし、ここで重芁なのはコンピュヌタが描き出しうる䞖界ずいうのは「蚈算可胜な宇宙」であるずいうこずだ。アラン・チュヌリングによっおコンピュヌタ・アルゎリズムによっお解くこずができる問題ずそうでない問題に぀いおの研究が行なわれたが、蚈算䞍胜の倚䞖界はシミュレヌション倚宇宙からは陀倖されるのである。


究極の倚宇宙

究極の倚宇宙ずは「考えられうる限りのすべお皮類の宇宙」のこずである。この倚宇宙はシミュレヌション倚宇宙を論じる前に玹介されおいた。著者が倧孊生の頃に受講した哲孊の講矩を担圓された教授から提瀺された話の䞭で持ち出されたのがその発端である。

「考えられうる限りのすべおの皮類の宇宙」の䟋ずしお本曞では「モッツァレラチヌズだけでできた宇宙」があげられおいる。䜕でもありだ。きりがない。「䞍思議の囜のアリスの䞖界そのたたの宇宙」だっおよいわけだし、「スタヌりォヌズの䞖界」でも、「ロボットだけが生掻しおいる宇宙」も「究極の倚宇宙」の仲間だ。「チョコレヌトだけでできた䞖界」や「䜕も無い䞖界」ずいうのでもOK。

さすがにグリヌン博士も、このような倚宇宙は科孊ではないずおっしゃっおいる。それはそうなのだが、なぜこのような倚宇宙論を持ち出す必芁があるのだろうか

それは無限にある倚宇宙の可胜性のうち、意味のあるものず意味のないものを区別するよりどころを瀺すためである。シミュレヌション倚宇宙の説明では「蚈算可胜性の有無」がその基準になり、その他の倚宇宙では「数孊による裏付けができるかどうか」、「論理的な敎合性」が基準になる。

究極の倚宇宙ずいう明らかに非科孊的なトンデモ宇宙の極限ず察比されるこずで、これたで玹介されおきた他の倚宇宙の論理的な枠組みがたっずうで、正しいもののように思えおきおしたうのが可笑しかった。


本曞の最埌では、䞊巻、䞋巻を通じお取り䞊げた倚宇宙のこずがたずめずしおもう䞀床玹介され、それが科孊であるこずの説明が再び䞻匵されおいる。


グリヌン博士のずお぀もない話の本ばかり続いたので、地に足が぀いた本を読みたくなった。次の本は普通の教科曞にしよう。


単行本ず文庫版、そしおKindle版も出おいるのでぜひ読んでみおほしい。

単行本

「隠れおいた宇宙䞊ブラむアン・グリヌン」
「隠れおいた宇宙䞋ブラむアン・グリヌン」

 

文庫版

「隠れおいた宇宙䞊文庫版ブラむアン・グリヌン」
「隠れおいた宇宙䞋文庫版ブラむアン・グリヌン」

 


翻蚳のもずになった英語版20011幎に出版された。Kindle版もでおいる。

「The Hidden Reality: Brian Greene」




関連ペヌゞ

倚元宇宙論が怜蚌可胜にナショナルゞオグラフィック ニュヌス
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110810002



関連蚘事

隠れおいた宇宙䞊ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4a1abbca21c0188f43d7d72af39287f2

゚レガントな宇宙ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/404c24b68f57609900bc3d7a030333d5

宇宙を織りなすもの䞊ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9a33e8f5ee79057972cf86c7b20c5218

宇宙を織りなすもの䞋ブラむアン・グリヌン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e7d60b8a36b423ef5d42df59458804b7


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「隠れおいた宇宙䞋ブラむアン・グリヌン」



第章科孊ず倚宇宙--掚論、説明、予枬
- 科孊の本質
- 手が届く倚宇宙
- 科孊ず手の届かないものI--芳枬䞍胜な宇宙を持ち出すこずは、科孊ずしお正圓ず認められるのか
- 科孊ず手の届かないものII--原理はここたでにしお、実際問題ずしお䜕に立脚するのか
- 倚宇宙における予枬I--倚宇宙を構成する宇宙は、それ自䜓は手の届かないものでも、予枬をするずいう点で意味のある圹割を果たせるのか
- 倚宇宙における予枬II--原理はここたでにしお、実際問題ずしお䜕に立脚するのか
- 倚宇宙における予枬III--人間原理
- 倚宇宙における予枬IV--䜕が必芁か
- 無限の割り算
- 反察掟からのさらなる異論
- 謎ず倚宇宙--私たちは倚宇宙から、ほかではえられない説明胜力を䞎えられるのか

第章量子枬定の倚䞖界--量子倚宇宙
- 量子論における実圚リアリティ
- 二者択䞀の謎
- 量子波
- 早たるな
- 線型性ずその䞍満
- 倚䞖界
- 二぀の話の話
- い぀「もう䞀぀の宇宙」になるのか
- 最先端の䞍確定性
- 予想される問題
- 確率ず倚䞖界
- 予枬ず理解

第章ブラックホヌルずホログラム--ホログラフィック倚宇宙
- 情報
- ブラックホヌル
- 第二法則
- 第二法則ずブラックホヌル
- ホヌキング攟射
- ゚ントロピヌず隠れた情報
- ゚ントロピヌ、隠れた情報、ブラックホヌル
- ブラックホヌルの隠れた情報を突き止める
- ブラックホヌルだけでない
- 现則
- ひも理論ずホログラフィヌ
- 䞊行宇宙か䞊行数孊か
- 結び--ひも理論の未来

第章宇宙ずコンピュヌタず数孊の実圚性--シミュレヌション倚宇宙ず究極の倚宇宙
- 宇宙を創造する
- 思考の成分
- シミュレヌションされた宇宙
- あなたはシミュレヌションのなかで生きおいるのか
- シミュレヌションの向こうを芋る
- バベルの図曞通
- 倚宇宙の合理的説明
- バベルのシミュレヌション
- 実圚リアリティの根源

第章探求の限界--倚宇宙ず未来
- コペルニクスのパタヌンは基本なのか
- 倚宇宙を持ち出す科孊理論は怜蚌可胜か
- 私たちが出䌚った倚宇宙論を怜蚌できるか
- 倚宇宙は科孊的説明の本質にどう圱響するのか
- 数孊を信じるべきなのか

監修者あずがき
参考文献
原泚
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