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通信速度制限

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外出時に使っているワイモバイルのPocket WiFiの契約が先月2年の満期をむかえ、それと同時にPocket WiFi使い放題キャンペーンも終了してしまった。つまり7ギガバイトで通信速度制限がかかる状態になった。



機種変更するのは面倒だから、そのまま使い続けることにしよう。

スマホはdocomoのAndroidとSoftBankのiPhoneの2台を使っているから、それぞれ7ギガバイトまでテザリングでしのぐことができる。

いちばんよく利用するカフェでの電波の受信状態はdocomoがいちばん良く、次にSoftBank、いちばん悪いのがワイモバイルのPocket WiFiだ。

7 x 3 = 21ギガバイトあれば、なんとか毎月通常の速度でパソコンを使えると思う。さしあたり契約はそのままにしておこう。


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コホモロジー: 安藤哲哉

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コホモロジー: 安藤哲哉

内容紹介:
本書は平成13年10月13日、20日に千葉大学で開催された公開講座「コホモロジー」をもとに加筆したもので、20世紀半ばに登場したコホモロジーという新しい道具を、新しい計算手段として、わかりやすく社会人や高校生等に解説しようとするものである。
2002年7月刊行(復刻)、187ページ。

著者について:
安藤哲哉(あんどうてつや): ホームページ:http://www.math.s.chiba-u.ac.jp/~ando/
1959年愛知県瀬戸市生まれ。1982年東京大学理学部数学科卒業。同大学院を経て、現在、千葉大学理学部情報・数理学科助教授。理学博士(東京大学)。専門/代数幾何学。


理数系書籍のレビュー記事は本書で338冊目。

トポロジーを学び始めてホモトピーとホモロジーを学んでいたが、コホモロジーっていうのもあるのかと気が付いたのが7年ほど前のこと。

その後、いろいろな数学書で学んでいくうちにときどき目にしていたのだが、どうもすっきりわからない。ベクトル空間があれば双対ベクトル空間があるのだが、コホモロジーというのはホモロジーの双対の概念らしい。こういう難しそうな概念はなるべくやさしめの本で取り掛かったほうがよさそうだ。このようなわけで本書は7年ほど前に買ったまま放置していたものだ。


本書は千葉大学で開催された公開講座をまとめ、加筆したものだ。第5章まで読んだ頃、ツイッターで「本書はやさしい」とツイートしたが、言葉どおりに受け取らないでいただきたい。

まず、本書の内容紹介にある「社会人や高校生等に解説しようとするものである。」は言い過ぎである。「社会人」はともかく「高校生」は「数学オリンピックにチャレンジするレベルの高校生」、「大学レベルの数学を先取りして学んでいる高校生」だとお考えいただきたい。

前提として高校3年までの数学はもちろん、線形代数、微積分、常微分方程式、初歩的な群論、位相は教科書レベルの本の理解が必要になる。多様体についても「現代数学への招待:多様体とは何か:志賀浩二」くらいは読んでおいたほうがよいだろう。

あとトポロジー、そして単体分割やホモロジーは本書の最初の2章で解説されるが、もっと易しい本、たとえば「トポロジー万華鏡〈1〉:小竹義朗、瀬山士郎、村上斉」で学んでおくと本書を読むのが楽になる。


章立てはこのとおり。

第1章 オイラーの法則から単体分割によるホモロジーまで
第2章 位相多様体のホモロジー・コホモロジー
第3章 可微分多様体とド・ラームコホモロジー
第4章 可換環上の加群のコホモロジー
第5章 ケーラー多様体のホッジ理論とスキーム理論
第6章 数論におけるコホモロジー
第7章 佐藤超関数
第8章 D‐加群とコホモロジー

第2章まではトポロジー(位相幾何学)の世界の単体分割を使ったホモロジーとコホモロジーの解説。基本的な事柄をまずおさえてホモロジー群やコホモロジー群の計算方法を学ぶ。オイラー数、ベッチ数、q次元サイクル、胞体分割、マイヤー・ヴィートリス完全系列、ポアンカレ双対性、レフシェッツ数などをしっかり理解しよう。

第3章から現代数学の各分野の数学概念の中でコホモロジーの構造がどのようにあらわれるかが紹介される。各章それぞれ証明を入れながら書けば1冊の教科書が書ける事柄なので、概念や考え方だけを知ることができるという意味では「お得感たっぷり」なのだ。

第3章は可微分多様体。ここまでは(理系の)大学1、2年の人でもじゅうぶん理解できるレベル。ド・ラームの定理、ド・ラームコホモロジーはこの章で学ぶ。

第4章から少しずつ難しくなる。可換環上の加群ということで代数学の世界。導来関手やテンソル積、スペクトル系列の計算例を理解することになる。

第5章は複素多様体。リーマン計量、ケーラー計量の定義を紹介した後、複素多様体、ホッジ理論、複素代数多様体、層、層係数コホモロジー、スキーム、因子、リーマン・ロッホの定理となる。なんとかついていけるレベル。まとめてこれらの概念をおさえておけば、専門書を読むときに役立つだろう。

第6章はかなりきつい。数論にあらわれるコホモロジー。代数多様体、有限体、楕円曲線まではよいとして、ヴェイユ予想、エタール・コホモロジー、モチーフとなってくると、ちょっとついていけない。それでも何が語られ、どのような概念なのか、概念と概念がどのように関連しているのかはくみとれる。

第7章もきつさで言えば同じくらい。佐藤超函数だ。ここにもコホモロジーがあらわれるのかと不思議に思いながら、この解析学の世界を理解しようとして進む。1変数の超関数は楽勝なのだけど、多変数の超関数から難しさは数段上がる。

第8章も解析の世界。D-加群とコホモロジー。常微分方程式や偏微分方程式と代数の世界のつながりの中であらわれるコホモロジーである。前の2章よりは読みやすい。(得意分野は人それぞれかもしれないけれど。)


本書全体を通じて「解説すること」に重点がおかれているので「証明」は省かれている。また第6章は「解説すらしない専門的な概念や定理」もいくつかでてくるので、もともとすべてを理解してもらおうという本ではないことがわかる。公開講座なのだしすべてを語り尽くすのは無理なことだ。

「やさしい」とツイートしたが100パーセント理解できるという意味ではない。コホモロジーとは何かということと、それぞれの分野でコホモロジーがどのように使われるかという2つを理解するだけならば「やさしい」のである。

読み進めていくうちに、次々と抽象的で新しい概念の意味を知ることができる良書だと思った。もともと幾何の世界に起源をもつ概念が、代数や解析の世界にでてくるのも不思議な気がするし、それだけ「群」や「環」が幅を利かせている世界が広いのだという理解のしかたもある。半ばから急に難しくなるので、少しずつわかる部分だけを吸収して次の本へチャレンジする足掛かりととしてお読みいただきたい。


コホモロジーに特化した本を3冊紹介して今回の記事を終えよう。最初の本は本書と同じく「コホモロジーのこころ」を伝える本だが、本書とは若干違う視点で書かれていることが「公開されている紹介記事(PDF)」をお読みになるとわかる。

コホモロジーのこころ: 加藤五郎」(オンデマンド版



内容:
現代数学にとって必須の概念とされるコホモロジー。整数論をはじめ、代数幾何、代数解析などを含む、数学の幅広い分野でますます応用が広がる。位相幾何学やホモロジー理論を経由せず、集合や群など代数の基礎だけを前提に、この概念のもつ本質を理解できるように工夫した。カテゴリー論から、グロタンディエックのスペクトル系列まで、徹底的にかみくだいて説明した意欲作である。


次の2冊は専門書なので、立ち読みしてから購入の判断をしたほうがよい。特に2冊目は手ごわいのでご注意。

層のコホモロジー: ビルガー・イヴァセン



内容:
本書は、層のコホモロジーをアーベル圏のホモロジー代数の枠組みで扱い、導来圏を用いて一般的な双対定理を証明している。主にチェックコホモロジーを扱い、豊富な例を図式と共に紹介し、初学者が少しでも馴染みやすいように工夫がこらされている。代数的トポロジー・微分幾何学・複素解析学・代数幾何学・代数解析学など多方面にわたる数学の各分野への関連が考慮され、研究に必要不可欠な基本概念が身につけられる好著である。


代数的サイクルとエタールコホモロジー



内容:
代数的サイクルの理論は、19世紀の複素関数論におけるリーマン面上の関数と因子の研究に起源を発し、様々な分野と交錯しながら発展してきた。一方、20世紀半ばにグロタンディークにより創始されたエタールコホモロジーの理論は、ドリーニュによるヴェイユ予想の解決をもたらした。どちらも今日の代数幾何学および数論幾何学において重要な役割を果たしている理論である。本書の目標はこの2つの理論を、代数幾何の初歩を学んだ者を読者に想定しながら、解説することである。特にエタールコホモロジーに関する種々の基本定理を用いて代数的サイクルに関する魅力ある定理を導くことに重点を置いた。


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コホモロジー: 安藤哲哉



第1章 オイラーの法則から単体分割によるホモロジーまで
 …稲葉尚志
 1 はじめに
 2 2つの図形をいつ同じと見るか
 3 オイラー数
 4 ホモロジー

第2章 位相多様体のホモロジー・コホモロジー
 …久我健一
 1 位相多様体
 2 2次元位相多様体のいろいろなグループ分け
 3 代数学からの準備
 4 単体と向き、境界の対応
 5 単体分割とホモロジー群
 6 ホモロジー群の計算例
 7 位相空間のホモロジー群
 8 コホモロジー環
 9 基本ホモロジー類とポアンカレ相対性
 10 オイラー数とレフシェッツ数

第3章 可微分多様体とド・ラームコホモロジー
 …杉山健一
 1 可微分多様体
 2 曲線上での微分
 3 曲面上の微分形式
 4 向きづけ可能性
 5 ストークスの定理
 6 3次元可微分多様体上の微分形式
 7 n次元可微分多様体上の微分形式
 8 多様体上の不定積分
 9 ド・ラームコホモロジー
 10 実数係数ホモロジー群
 11 ホモロジー上での微分形式の積分
 12 ド・ラームの定理
 13 いくつかのド・ラームコホモロジーの例

第4章 可換環上の加群コホモロジー
 …西田康二
 1 環・体・加群
 2 複体
 3 完全系列
 4 半完全関手
 5 導来関手
 6 導来関手Ext
 7 テンソル積と導来関手
 8 導来関手の計算方法
 9 2重複体とスペクトル系列
 10 おわりに

第5章 ケーラー多様体のホッジ理論とスキーム理論
 …安藤哲哉
 1 リーマン計量
 2 複素多様体とケーラー計量
 3 複素多様体上の微分形式
 4 ホッジ理論
 5 複素代数多様体
 6 座標環
 7 局所環
 8 層
 9 層係数コホモロジー
 10 スキーム
 11 コホモロジーの基本公式
 12 因子
 13 リーマン・ロッホの定理
 14 アンプル因子
 15 消滅定理
 16 スペクトル系列

第6章 数論におけるコホモロジー
 …大坪紀之
 1 はじめに
 2 代数多様体
 3 有限体
 4 楕円曲線
 5 ヴェイユ予想
 6 スキーム
 7 エタール・コホモロジー
 8 例
 9 モチーフ

第7章 佐藤超関数
 …石村隆一
 1 一般化関数
 2 1変数の超関数
 3 正則関数の層と層係数のコホモロジー
 4 多変数の超関数
 5 被覆のコホモロジーと超関数
 6 多変数の超関数の例
 7 環の層Dx

第8章 D-加群とコホモロジー
 …岡田靖則
 1 はじめに
 2 ニュートンの力学
 3 数理物理の偏微分方程式
 4 典型的な常微分方程式
 5 D-加群
 6 微分方程式とD-加群
 7 D-加群のコホモロジー
 8 最後に

索引

Cube root 5,735,339 using abacus (Triple-root method 9)

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[Set 5,735,339 on Mr. Cube root]Zoom

[Japanese]

Today's example is also about actual solution of Cube root using abacus. The calculation becomes more complicated than previous example.

Today's example is simple - basic Triple-root method, root is 3-digits case and requires excessive root modification. Please check the Theory page for your reference.

Cube root methods: Triple-root method, constant number method, 3a^2 method, 1/3-division method, 1/3-multiplication table method, 1/3-multiplication table alternative method, Multiplication-Subtraction method, 3-root^2 method, Mixing method, Exceed number method, Omission Method, etc.


Abacus steps to solve Cube root of 5,735,339
(Answer is 179)

"1st group number" is the left most numbers in the 3-digits groups of the given number for cube root calculation. Number of groups is the number of digits of the Cube root.

5,735,339 -> (5|735|339): 5 is the 1st group number. The root digits is 3.


Step 1: Set 5735339. First group is 5.


Step 2: Cube number smaller than 5 is 1=1^3. Place 1 on E as 1st root.


Step 3: Place 5-1=4 on I. ( -a^3)


Step 4: Place Triple root 3x1=3 on B.


Step 5: Repeat division by triple root 3 until 4th digits next to 1st root. (/3a)


Step 6: 4/3=1 remainder 1. Place 1 on G.


Step 7: Place remainder 1 on I.


Step 8: 17/3=5 remainder 2.


Step 9: Place 5 on H.


Step 10: Place remainder 02 on IJ.


Step 11: 23/3=7 remainder 2.


Step 12: Place 7 on I.


Step 13: Place remainder 02 on JK.


Step 14: Place 8 on F as 2nd root according to the calculation rule.


Step 15: Divide 15 on GH by 2nd root. 15/8=1 remainder 7.


Step 16: Place 07 on GH.


Step 17: Subtract 2nd root^2 from 77 on HI. ( -b^2)


Step 18: It means place 77-8^2=13 on HI.


Step 19: Multiply triple root=3 by remainder 13 on HI. 3X13=39


Step 20: Set 00 on HI.


Step 21: Add 39 to 0002 on HIJK. 39+2=41


Step 22: It means place 0041 on HIJK.


Step 23: Cannot subtract 8^3 from 415 on JKL. 8 is excessive root. Subtract 1 from 8. Place 7 on F.


Step 24: Give back 10+8+7=25 on HI.


Step 25: Multiply triple root=3 by remainder 25 on HI. 3X25=75


Step 26: Set 00 on HI.


Step 27: Add 75 to 041 on IJK.


Step 28: It means place 041+75=116 on IJK.


Step 29: Subtract 2nd root^3 from 1165 on IJKL. 1165-7^3=822 ( -b^3)


Step 30: Place 0822 on IJKL.


Step 31: Add 3x2nd root to triple root 30. Place 30+21=51 on BC.


Step 32: Repeat division by triple root 51 from J.


Step 33: 82/51=1 remainder 31. Place 1 on H. Place remainder 31 on JK.


Step 34: 312/51=6 remainder 6. Place 6 on I.


Step 35: Place remainder 006 on JKL.


Step 36: 63/51=1 remainder 12. Place 1 on J.


Step 37: Place remainder 12 on LM.


Step 38: 123/51=2 remainder 21. Place 2 on K.


Step 39: Place remainder 021 on LMN.


Step 40: Divide 161 by current root 17. 161/17=9 remainder 8.


Step 41: Place 9 on G as 3rd root.


Step 42: Place remainder 008 on HIJ.


Step 43: Subtract 3rd root^2 from 82. 82-9^2=1 ( -c^2)


Step 44: Place 01 on JK.


Step 45: Multiply triple root=51 by remainder 01 on JK. 51X1=51


Step 46: Set 00 on JK.


Step 47: Add 51 to 21 on MN. 21+51=72.


Step 48: Place 72 on MN.


Step 49: Subtract 3rd root^3 from 729 on MNO. ( -c^3)


Step 50: Place 729-9^3=000 on MNO.


Step 51: Cube root of 5735339 is 179.


Final state: Answer 179

Abacus state transition. (Click to Zoom)




Next article is also about Cube root calculation (Triple-root method).


Related articles:

How to solve Cube root of 1729.03 using abacus? (Feynman v.s. Abacus man)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cff5d6e7ecaa07230b9cc7af10b23aed

Index: Square root and Cube root using Abacus
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f62fb31b6a3a0417ec5d33591249451b


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開平と開立(第25回):5,735,339の算盤による開立(3根法9)

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開立はん」に5,735,339を置いたところ拡大

[English]

前回に続き今回も算盤での開立の手順を解説する。

今回は3根法で根が3桁で過大根を還元(修正)する場合だ。理論編も参考にしていただきたい。

開立(立方根):3根法(3倍根法、3商法)、定数法、3a^2法、三除九九、三分九九法、三分九九法別法、乗減法(変商法)、3根^2法、折衷法、過大数開立、省略開立など


算盤による5,735,339の3乗根の解法(答は179)

第1群の数とは立方根を求める数を3桁ずつ区切り、いちばん大きい(いちばん左)の3桁のことである。群の数が根の桁数となる。

5,735,339 -> (5|735|339): 5が第1群の数、根の桁数は3。


手順1: 5735339を置く。第1群は5。


手順2: 5以下の立方数は1=1^3。1を初根としEに立てる。


手順3: 5-1=4をIに置く。( -a^3)


手順4: 3倍根(3×初根)、3x1=3をBに置く。


手順5: 3倍根=3でI以降を初根の次4桁目(定位置)に商が立つまで割る。( ÷3a)


手順6: 4÷3=1余り1。 商1をGに置く。


手順7: 余り1をIに置く。


手順8: 17÷3=5余り2。


手順9: 商5をHに置く。


手順10: 余り02をIJに置く。


手順11: 23÷3=7余り2。


手順12: 商7をIに置く。


手順13: 余り02をJKに置く。


手順14: 算則により8を次根としてFに置く。


手順15: GHの15を次根8で割る。15÷8=1余り7。


手順16: 余り07をGHに置く。


手順17: HIの77から次根^2を引く。( -b^2)


手順18: つまり77-8^2=13をHIに置く。


手順19: 3倍根3と平方減の余りHIの13を掛け、39を得る。(3根乗)


手順20: HIの13を00にする。


手順21: HIJKの0002に39を足す。


手順22: つまり0021+39=0041をHIJKに置く。


手順23: JKLの415から8^3=512は引けないから次根8は過大根。よって次根から1を引く。つまり7をFに置く。


手順24: 10+8+7=25をHIに還元する。


手順25: 3倍根(B)と25を掛けて75を得る。3x25=75。(3根乗)


手順26: HIの25を00にする。


手順27: IJKの041に75を足す。


手順28: つまり041+75=116をIJKに置く。


手順29: IJKLの1165から次根^3=343を引く。1165-7^3=822 ( -b^3)


手順30: IJKLに0822を置く。


手順31: 3倍根30に3x次根を足す。30+21=51をBCに置く。


手順32: 3倍根=51でJ以降を定位置に商が立つまで割る。


手順33: 82÷51=1余り31。商1をHに置く。余り31をJKに置く。


手順34: 312÷51=6余り6。商6をIに置く。


手順35: 余り006をJKLに置く。


手順36: 63÷51=1余り12。商1をJに置く。


手順37: 余り12をLMに置く。


手順38: 123÷51=2余り21。商2をKに置く。


手順39: 余り021をLMNに置く。


手順40: 161を既根17で割る。161÷17=9余り8。


手順41: 商9を第3根としてGに置く。


手順42: 余り008をHIJに置く。


手順43: 82から第3根^2を引く。82-9^2=1 ( -c^2)


手順44: 01をJKに置く。


手順45: 3倍根(AB)とJKの01を掛けて51を得る。51x1=51。(3根乗)


手順46: JKに00を置く。


手順47: MNの21に51を足す。21+51=72


手順48: 72をMNに置く。


手順49: 第3根^3をMNOの729から引く。 ( -c^3)


手順50: 729-9^3=000をMNOに置く。


手順51: 立方根は179と求まる。


最終状態: 答 179


珠の状態推移を表にすると次のようになる。(クリックで拡大)




第26回も開立法(3根法)である。


関連記事:

ファインマン v.s. 算盤の達人: ファインマン先生に立方根計算の雪辱を果たそう
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/89a0b907577f03ef6132cf9664bdcddb

目次:算盤による平方根、立方根の計算(開平、開立)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb0449f357398a2c24026f33af7f70ee


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複素解析: 小平邦彦

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複素解析: 小平邦彦

内容紹介:
現代数学の基礎を感覚的にわかりやすく解説することを目標に編集された岩波講座「基礎数学」。本選書は、この中から、学部程度の学習内容に相当するものを選んで、新たに問題の解答・ヒントを付し、編集しなおした。
本書は一貫して位相幾何学的アプローチにより、複素関数論を現代数学の視点から構築しなおしている。Cauchyの定理、等角写像、解析接続、Riemannの写像定理、Riemann面、閉Riemann面上の解析関数。教科書レベルの本で複素関数論をひととおり学んだ数学科の学生向け。
1991年6月刊行、451ページ。

著者について:
小平邦彦(こだいらくにひこ):
詳細ページ:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/research/alumni/kodaira.html
1915‐97年。東京生まれ。1938年東京大学理学部数学科卒業、1941年同物理学科卒業。ジョンズ・ホプキンス大学、スタンフォード大学、東京大学、学習院大学教授などを務める。1954年、日本人で初めて「数学のノーベル賞」といわれるフィールズ賞を受賞。1957年文化勲章受章。


理数系書籍のレビュー記事は本書で339冊目。

アマゾンをはじめ、ネット上に内容紹介が記載されているページがなかったので、僕は次のように本書を紹介しておいた。

本書は一貫して位相幾何学的アプローチにより、複素関数論を現代数学の視点から構築しなおしている。Cauchyの定理、等角写像、解析接続、Riemannの写像定理、Riemann面、閉Riemann面上の解析関数。教科書レベルの本で複素関数論をひととおり学んだ数学科の学生向け。

つまり、本書は一般的に物理学科、工学部で使われる複素関数論の教科書のような本ではない。章のタイトルだけ見て勘違いしないようご注意いただきたい。具体的な関数形を与えて、留数やその応用として実関数の定積分を計算させたりするような例は見当たらない。本書は物理の問題を解けるようにするための複素関数論の教科書ではないのだ。

解析概論:高木貞治」も複素関数論を含んでいるが、これよりもはるかに抽象度が高い。岩波講座「基礎数学」は「現代数学の基礎を感覚的にわかりやすく解説することを目標に編集された」とあるが、本書についてはその限りではない。

可能な限り一般性を満たす(抽象度が高い)条件で、定理や補題とその厳密な証明を積み重ねながら複素関数論の世界を構築していく。証明した定理が次の定理の証明に使われるから1冊全体としての見通しがよい。数学書とはこういうものだとわかっていても、読み進んでいくには相当の忍耐力が要求される。

章立てはこのとおり。

第1章:正則関数
第2章:Cauchyの定理
第3章:等角写像
第4章:解析接続
第5章:Riemannの写像定理
第6章:Riemann面
第7章:Riemann面の構造
第8章:閉Riemann面上の解析関数

第1章で位相幾何学的にシンプルな場合についてCauchyの積分公式を証明し、それに基づいて正則関数の基本的な性質を導く。

第2章で一般の場合のCauchyの定理と積分公式を証明する。証明に必要な位相幾何学的考察は閉領域の細胞分割によるアプローチを用いている。章末に関数 f(z) が微分可能ならば導関数 f'(z) は必ず連続であることを証明して、正則関数の定義が結局普通の定義と一致することになるのだ。

第3章では等角写像の基本的性質を述べる。

第4章は解析接続で、巾級数展開による解析接続、曲線に沿った解析接続、積分による解析接続を詳しく解説し、これに関連して曲線のホモトピーとホモロジー(そしてコホモロジー)について述べている。

第5章ではRiemannの写像定理の伝統的な証明を紹介、そして鏡像の原理と応用が述べられている。

第6章から第8章で、一般のRiemann面について、調和微分形式とDirichletの原理、単葉なRiemann面の構造、コンパクトなRiemann面上の有理型関数に関するRiemann-Rochの定理とAbelの定理などについて証明を与えている。

特に13ページにおよぶDirichletの原理の証明は追うのが大変だった。これの証明はWeylによる直交射影の方法を使えば比較的簡単にできるそうなのだが、本書の全体との調和を乱すおそれがあるため、本書では直交射影の方法をとらずに微分形式を用いた証明を与えている。


厳密な証明を与える骨太の数学書の割に、図版が多いのも本書の特長だ。これらの図版無しには証明を追うのが相当困難になると思われる。それだけ証明が込み入っているということでもある。

ページ数が多く、数学科といえども1年間の授業のカリキュラムでこなせる分量ではない。雰囲気をお伝えするために第6章と第7章の図版があるページと第4章「閉Riemann面上の解析関数」の導入部分をサンプルとして載せておこう。画像はクリックで拡大する。










最初の4章あたりの証明までには前著「解析入門: 小平邦彦」で証明した定理や補題も使われている。「完結性」にこだわるのであれば「解析入門」を終えてから本書に取り組むのがよいだろう。つまりこの2冊で1セットである。

解析入門: 小平邦彦
複素解析: 小平邦彦

 


「解析入門」のほうはソフトカバーの2分冊として購入することもできる。

軽装版 解析入門〈1〉: 小平邦彦
軽装版 解析入門〈2〉: 小平邦彦

 


今回の読書は重過ぎでたいていの方には敷居が高いあ。とても濃い時間を過ごすことができたが「味わう」とか「楽しむ」、「感動する」というレベルには達することができなかった。次に読むとしたらもう少し軽めの本にしたい。たとえば次のような本が有力候補だ。


最近新装版として名著が復刊した。この2冊はおがわけんたろうさん(@KentaroOgawa)から教えていただいたものだ。東大教養学部で使われた名教科書が復活!ということである。2冊セットでどうぞ。

新しい解析入門コース[新装版]:堀川穎二」(詳細
複素関数論の要諦[新装版]:堀川穎二」(詳細

 

これらの教科書の感想、紹介は次の記事でお読みいただける。

堀川先生三部作とキング・クリムゾンの頃
http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20150904/1441393304

読者に優しい数学書を書く技術
http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/touch/20101025/1288006574


関連記事:

解析学入門のための教科書談義
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/22c325e49cfd7c721679dbc2896b86a4

複素関数:松田哲
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/de895908dc5ec348ed677346fa37e840

なっとくする複素関数:小野寺嘉孝
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/de4d9ea37c56d434505002d35e0132bf

ヴィジュアル複素解析
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2f47e7b748d4ca7022dc53305388a00b


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複素解析: 小平邦彦



刊行にあたって
まえがき

第1章:正則関数
- 正則関数
- 巾級数
- 積分
- 正則関数の性質

第2章:Cauchyの定理
- 区分的に滑らかな曲線
- 細胞分割
- Cauchyの定理
- 微分可能性と正則性

第3章:等角写像
- 等角写像
- Riemann球面
- 1次変換

第4章:解析接続
- 解析接続
- 曲線に沿った解析接続
- 積分による解析接続
- Cauchyの定理(つづき)

第5章:Riemannの写像定理
- Riemannの写像定理
- 境界の対応
- 鏡像の原理

第6章:Riemann面
- 微分形式
- Riemann面
- Riemann面上の微分形式
- Dirichletの原理

第7章:Riemann面の構造
- 単葉型のRiemann面
- コンパクトなRiemann面

第8章:閉Riemann面上の解析関数
- 第1種Abel微分
- 第2種および第3種Abel微分
- Riemann-Rochの定理
- Abelの定理

解答・ヒント
索引

Cube root 12,895,213,625 using abacus (Triple-root method 10)

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[Set 12,895,213,625 on Mr. Cube root]Zoom

[Japanese]

Today's example is also about actual solution of Cube root using abacus. The calculation becomes more complicated than previous example.

Today's example is simple - basic Triple-root method, root is 4-digits case. Please check the Theory page for your reference.

Cube root methods: Triple-root method, constant number method, 3a^2 method, 1/3-division method, 1/3-multiplication table method, 1/3-multiplication table alternative method, Multiplication-Subtraction method, 3-root^2 method, Mixing method, Exceed number method, Omission Method, etc.


Abacus steps to solve Cube root of 12,895,213,625
(Answer is 2,345)

"1st group number" is the left most numbers in the 3-digits groups of the given number for cube root calculation. Number of groups is the number of digits of the Cube root.

12,895,213,625 -> (12|895|213|625): 12 is the 1st group number. The root digits is 4.


Step 1: Set 12895213625. First group is 12.


Step 2: Cube number smaller than 12 is 8=2^3. Place 2 on E as 1st root.


Step 3: Place 12-8=04 on HI. ( -a^3)


Step 4: Place Triple root 3x2=6 on B.


Step 5: Repeat division by triple root 6 until 4th digits next to 1st root. ( /3a)


Step 6: 48/6=8 remainder 0. Place 8 on G.


Step 7: Place remainder 00 on IJ.


Step 8: 9/6=1 remainder 3.


Step 9: Place 1 on I.


Step 10: Place remainder 3 on K.


Step 11: Divide 0 on F by current root 2.


Step 12: Get 3 as 2nd root and place it on F.


Step 13: Place 8-2x3=2 on H.


Step 14: Subtract 2nd root^2 from 21 on HI. ( -b^2)


Step 15: Place 21-3^2=12 on HI.


Step 16: Multiply triple root 6 by remainder 12 on HI. 6X12=72


Step 17: Replace 12 by 00 on HI.


Step 18: Add 72 to 03 on JK.


Step 19: It means place 03+72=75 on JK.


Step 20: Subtract 2nd root^3 from 755 on JKL. ( -b^3)


Step 21: It means place 755-3^3=728 on JKL.


Step 22: Add 3x2nd root to triple root on BC.


Step 23: Place 60+3x3=69 on BC.


Step 24: Repeat division by triple root 69 until fixed position.


Step 25: 72/69=1 remainder 3. Place 1 on H.


Step 26: Place remainder 03 on JK.


Step 27: 38/69=0 remainder 38


Step 28: Place 0 on I. Place remainder 38 on KL.


Step 29: 382/69=5 remainder 37


Step 30: Place 5 on J.


Step 31: Place remainder 037 on JKL.


Step 32: 371/69=5 remainder 26


Step 33: Place 5 on K.


Step 34: Place remainder 026 on LMN.


Step 35: Divide 105 on HIJ by current root 23. 105/23=4 remainder 13


Step 36: Place 4 on G as 3rd root.


Step 37: Place remainder 013 on HIJ.


Step 38: Subtract 3rd root^2 from 135 on IJK. ( -c^2)


Step 39: Place 135-4^2=119 on IJK.


Step 40: Multiply triple root 69 by remainder 119 on IJK. 69X119=8211


Step 41: Replace 119 by 000 on IJK.


Step 42: Add 8211 to 0026 on KLMN.


Step 43: It means place 0026+8211=8237 on KLMN.


Step 44: Subtract 3rd root^3 from 73 on NO. ( -c^3)


Step 45: Place 73-4^3=09 onNO.


Step 46: Add 3x3rd root to triple root on BCD.


Step 47: Place 690+3x4=702 on BCD.


Step 48: Repeat division by triple root 702 until fixed position.


Step 49: 823/702=1 remainder 121. Place 1 on I.


Step 50: Place remainder 121 on KLM.


Step 51: 1210/702=1 remainder 508


Step 52: Place 1 on J.


Step 53: Place remainder 0508 on KLMN.


Step 54: 5089/702=7 remainder 175


Step 55: Place 7 on K.


Step 56: Place remainder 0175 on LMNO.


Step 57: 1756/702=2 remainder 352


Step 58: Place 2 on L.


Step 59: Place remainder 0352 on MNOP.


Step 60: 3522/702=5 remainder 12


Step 61: Place 5 on M.


Step 62: Place remainder 0012 on NOPQ.


Step 63: Divide 1172 on JKLM by current root 234. 1172/234=5 remainder 2


Step 64: Place 5 on G as 4th root.


Step 65: Place remainder 0002 on IJKL.


Step 66: Subtract 4th root^2 from 25 on LM. ( -d^2)


Step 67: Place 25-5^2=00 on LM.


Step 68: Subtract 4th root^3 from 125 on PQR. (-d^2)


Step 69: Place 125-5^3=000 on PQR.


Step 70: Cube root of 12895213625 is 2345.


Final state: Answer 2345

Abacus state transition. (Click to Zoom)





Related articles:

How to solve Cube root of 1729.03 using abacus? (Feynman v.s. Abacus man)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cff5d6e7ecaa07230b9cc7af10b23aed

Index: Square root and Cube root using Abacus
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f62fb31b6a3a0417ec5d33591249451b


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開平と開立(第26回):12,895,213,625の算盤による開立(3根法10)

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開立はん」に12,895,213,625を置いたところ拡大

[English]

前回に続き今回も算盤での開立の手順を解説する。

今回は3根法で根が4桁の場合だ。理論編も参考にしていただきたい。

開立(立方根):3根法(3倍根法、3商法)、定数法、3a^2法、三除九九、三分九九法、三分九九法別法、乗減法(変商法)、3根^2法、折衷法、過大数開立、省略開立など


算盤による12,895,213,625の3乗根の解法(答は2,345)

第1群の数とは立方根を求める数を3桁ずつ区切り、いちばん大きい(いちばん左)の3桁のことである。群の数が根の桁数となる。

12,895,213,625 -> (12|895|213|625): 12が第1群の数、根の桁数は4。


手順1: 12895213625を置く。第1群は12。


手順2: 12以下の立方数は8=2^3。2を初根としてEに立てる。


手順3: 12-8=04をHIに置く。 ( -a^3)


手順4: 3倍根(3×初根)、3x2=6をBに置く。


手順5: 3倍根=6でI以降を初根の次4桁目(定位置)に商が立つまで割る。


手順6: 48÷6=8余り0。 商8をGに置く。


手順7: 余り00をIJに置く。


手順8: 9÷6=1余り3。


手順9: 商1をIに置く。


手順10: 余り3をKに置く。


手順11: Fの0を既根2で割る。


手順12: 次根3を得てFに置く


手順13: 8-2x3=2をHに置く。


手順14: HIの21から次根^2を引く。 ( -b^2)


手順15: つまり21-3^2=12をHIに置く。


手順16: 3倍根6と平方減の余りHIの12を掛け、72を得る。(3根乗)


手順17: HIに00を置く。


手順18: JKの03に72を加える。


手順19: つまり03+72=75をJKに置く。


手順20: JKLの755から次根^3を引く。 ( -b^3)


手順21: つまり755-3^3=728をJKLに置く。


手順22: 次根^2をBCの3倍根に加える。


手順23: つまり60+3x3=69をBCに置く。


手順24: 3倍根=69でJ以降を定位置に商が立つまで割る。


手順25: 72÷69=1余り3。商1をHに置く。


手順26: 余り03をJKに置く。


手順27: 38÷69=0余り38。


手順28: 商0をIに置く。余り38をKLに置く。


手順29: 382÷69=5余り37。


手順30: 商5をJに置く。


手順31: 余り037をJKLに置く。


手順32: 371÷69=5余り26。


手順33: 商5をKに置く。


手順34: 余り026をLMNに置く。


手順35: HIJの105を既根の23で割る。105÷23=4余り13。


手順36: 商4を第3根としGに置く。


手順37: 余り013をHIJに置く。


手順38: 第3根^2をIJKの135から引く。 ( -c^2)


手順39: 135-4^2=119をIJKに置く。


手順40: 3倍根69と平方減の余りIJKの119を掛け、8211を得る。(3根乗)


手順41: IJKに000を置く。


手順42: KLMNの0026に8211を加える。


手順43: つまり0026+8211=8237をKLMNに置く。


手順44: NOの73から第3根^3を引く。 ( -c^3)


手順45: つまり73-4^3=09をNOに置く。


手順46: 3x第3根をBCDの3倍根に加える。


手順47: つまり690+3x4=702をBCDに置く。


手順48: 3倍根=702でK以降を定位置に商が立つまで割る。


手順49: 823÷702=1余り121。商1をIに置く。


手順50: 余り121をKLMに置く。


手順51: 1210÷702=1余り508。


手順52: 商1をJに置く。


手順53: 余り0508をKLMNに置く。


手順54: 5089÷702=7余り175。


手順55: 商7をKに置く。


手順56: 余り0175をLMNOに置く。


手順57: 1756÷702=2余り352。


手順58: 商2をLに置く。


手順59: 余り0352をMNOPに置く。


手順60: 3522÷702=5余り12。


手順61: 商5を第4根としてMに置く。


手順62: 余り0012をNOPQに置く。


手順63: JKLMの1172を既根の234で割る。1172÷234=5余り2。


手順64: 商5をHに置く。


手順65: 余り0002をIJKLに置く。


手順66: 第4根^2をLMの25から引く。 ( -d^2)


手順67: 25-5^2=00をLMに置く。


手順68: 第4根^3をPQRの125から引く。 ( -d^2)


手順69: 125-5^3=000をPQRに置く。


手順70: 立方根は2345と求まる。


最終状態: 答 2345


珠の状態推移を表にすると次のようになる。(クリックで拡大)





関連記事:

ファインマン v.s. 算盤の達人: ファインマン先生に立方根計算の雪辱を果たそう
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/89a0b907577f03ef6132cf9664bdcddb

目次:算盤による平方根、立方根の計算(開平、開立)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb0449f357398a2c24026f33af7f70ee


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開平と開立(第27回): 隠し子がいた!

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上「電脳はん」、下「背高はん」拡大

「#くだらな過ぎてごめんなさい」とタグ付けしたくなるような記事タイトルである。今回は「無駄」がテーマだ。

開平と開立(第4回): オリジナル算盤」という記事で算盤を擬人化して「パチパチはん」、「開平はん」、「開立はん」を算盤3兄弟として紹介したから、同じ流れでこうなってしまった。

つまり算盤3兄弟には兄が2人もいたのだ。父親が長年秘密にしていた腹違いの隠し子である。これで5兄弟になった。開立法の解説が前回の記事で一区切りついた。次の解法に進む前にいくつか別記事を書きたいので2人の兄に登場してもらうことにした。(解法一覧はこのページ


電脳はん(13桁、8桁電卓付き)

電卓付きの算盤

いわゆる「ソロカル」として知られるシャープ株式会社が1978年から1984年にかけて発売した電卓付きソロバンだ。この動画で紹介されている。




僕がヤフオクで購入したのはその最終モデル、太陽電池付き。電卓部分は8桁で√キー付き。




現在の物理学ではタイムトラベルはできないことがわかっているわけだが、将来タイムマシンが発明されて江戸時代に行くことがひょっとしたらできるようになるかもしれない。電池が買えない江戸時代でもこのソロカルなら大丈夫。関孝和先生や伊能忠敬先生へのお土産にぴったりなのだ。


ソロカルが発売されたのはアナログからデジタルへの移行期のこと。CDの生産が開始されたのが1982年、CDの販売数がLP(アナログレコード)を抜いたのが1986年である。

電卓付きソロバンなのか、ソロバン付き電卓なのか頭をひねってしまうこの商品を発売したのはシャープだけだ。その頃までに電卓は普通に使われるようになっていたし、いまさらなぜソロバンなの?と当時の人たちも首をかしげた。目のつけどころがシャープだったのかは今も不明だ。遊び心にしては何機種も開発していたわけだし、開発チームは真面目に取り組んでいたのだと思う。(ヤフオクでソロカルを検索する。)

せっかく手に入れたから、この連載記事に活かしてみよう。次回からはソロカルを使った計算例をいくつか紹介しよう。

数学者の森毅先生は「無駄が人生にとってゆとりを生み出す」とおっしゃっている。ソロカルもそうだが、このようなソロバンや電卓は見ているだけで楽しい。動画の最後は算盤と電卓の対決である。





背高はん(27桁)

黒枠の算盤

これまで紹介してきた開平、開立の解法は根が自然数になるものばかりだ。今後、根が無理数のときの解法例を紹介する際、小数点以下をなるべく長い桁数で求めたいと思ってヤフオクで買っておいた27桁の「雲州そろばん」である。

そもそも前回の記事に書いたたように、根がたかだか4桁の開立でも18桁必要で、23桁の算盤だと根が5桁までしか求められない。27桁あれば開立の根を7桁まで計算できるのだ。(開平なら根が10桁まで計算できる。)

算盤5兄弟の長男の名前は佐藤さとる先生の「だれも知らない小さな国」の主人公の「せいたかさん」から名前をお借りして「背高はん」とさせていただこう。


ところで兵庫県小野市の市立大部小では児童ら約90人が2005年10月にとても長い算盤を製作している。これは「播州そろばん」で、地元の播州算盤工芸品協同組合の協力により実現したものだ。



長さ10.1メートルで、通常の約30倍。736桁あり、生徒約30人が1列に並んで同時に計算できる。分散コンピューティングだ。強度を高めるため木製の台に固定されており、長すぎて簡単には動かせない。これを開立法に使えば根が230桁くらいまで計算できるはずだ。

2006年にギネスブックに認定されたそうである。名前をつけるとしたら「ギネスはん」かな?
 


その後、2009年にギネスブックの記録は塗り替えられてしまい、大部小の算盤は今は「日本一」ということになる。(現在の世界一は天2珠、地5珠の中国式算盤。ただギネスブックの記録は「長さ」で決まる。中国式算盤は珠が大きいので570桁しかない。桁数では大部小の算盤のほうが勝っている。)

ギネスブックの記録を確認する: 世界最長の算盤 世界最大の算盤

いずれにせよ、この算盤は文字通り「無用の長物」だ。けれどもギネスブックに世界一と認定されたことで、製作に参加した子供たちにはかけがえのない思い出として生涯ずっと残ることだろう。無駄もここまでくれば立派である。

子供たちは小学3年生から6年生くらいに見えるから現在22~24歳になっている。彼らの巨大そろばんは大部小学校のホームページに書かれているように、今も校内に保管されているようだ。


今回の記事も無駄と言ってしまえばそれまでである。


関連記事:

目次:算盤による平方根、立方根の計算(開平、開立)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb0449f357398a2c24026f33af7f70ee

ファインマン v.s. 算盤の達人: ファインマン先生に立方根計算の雪辱を果たそう
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/89a0b907577f03ef6132cf9664bdcddb

武士の家計簿:磯田道史
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/38e15f47cba2eaed5f1787c30b09eb7c

計算尺ノスタルジア (コンサイス計算尺、ヘンミ計算尺)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b91ae7814c1830a9aaf7da77aadf88a8

アポロに搭載された計算尺(Pickett N600-ES)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3898318d7f4b3e84900d9ae2cb80d816

機械式計算機ノスタルジア(タイガー計算器)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/226dd92e17d66ac624b7279776aa77f6

五桁ノ 對數表 及 三角函數表:えふ.げい.がうす著
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8d90de27b13365139c25bbffd9c4f04b


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シュンポシオン: 倉橋由美子

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シュンポシオン: 倉橋由美子」(Kindle版)(単行本

内容紹介:
ギリシア・ローマ古典学の教授宮沢明(数年前に交通事故で、妻を失っている)は、避暑地で会った知的な和泉聡子に強くひかれ、二人は美しく愛しあっている。そして、現役を退いた老カップルやユニークな学生ペアのそれぞれの愛のかたち…。21世紀に入って10年がすぎた夏の日の避暑地=半島の海辺にある別荘に集う数組の男女の優雅な〈饗宴(シュンポシオン)〉と〈愛(エロス)〉の時間を描く長編恋愛小説。

単行本:1985年11月刊行、394ページ。旧かな遣い
文庫:1988年12月刊行、462ページ。現代かな遣い

著者について:
倉橋由美子(くらはしゆみこ): ウィキペディアの記事
1935(昭和10)年、高知県生まれ。1956(昭和31)年、日本女子衛生短期大学別科卒業、明治大学文学部フランス文学科入学。1960(昭和35)年、明治大学学長賞に応募した「パルタイ」の受賞が決まり、選者の平野謙が「毎日新聞」の文芸時評で推奨、文学的出発となる。同年、大学卒業、大学院に進む。1961(昭和36)、『パルタイ』により女流文学者賞を受賞。1962(昭和37)年、大学院中退。田村俊子賞受賞。「パルタイ」以降、日本の伝統的文学風土から自由な、独自の文学的世界が文壇内外から注目を浴びることとなる。代表作に『アマノン国往還記』(泉鏡花文学賞)等。2005年6月没。


大学生のとき「大人のための残酷童話:倉橋由美子」を読んで面白かったので著者に興味がわき、次いで発売された本書を買ったのだ。以来、30年以上積読のまま本棚に置かれていた。なくさずによく持っていたものだと思う。

2005年に著者が亡くなったときにも読んでみようと思ったが、手に取ることもなく。積読状態が続いた。さすがに気になってきたので、ようやく32年を経て取り掛かることができた。


アマゾンの内容紹介を読まずに家で単行本から読み始めた。ちょっと驚いたのは「旧かな遣い」で書かれていること。1985年に発売された本だから、描写されている時代はいつ頃なのかと思った。おそらく戦前から昭和30年頃なのだとあたりをつけて読み進める。ところが途中で「テレビ電話」がでてくる。「あれっ?」と思って本の内容紹介を確認すると、本の舞台は「21世紀に入って10年がすぎた夏の日の避暑地」なのだそうだ。「ああ、近未来小説なのか。」だとしたら旧かな遣いは変だ。

通勤電車で読もうと思ってKindle版を購入。続きを読み始めて再び「あれっ?」と思った。現代かな遣いで書かれているのだ。「これじゃ、原作の良さが台無しだな。なんでこんなことするのだろう。」と思った。文庫版を底本としているので、念のために単行本から3年たって刊行された文庫版を取り寄せてみた。するとこちらも現代かな遣いなのである。不思議だ。著者みずから2種類のかな遣いで出版していたとは。。。なぜそうしたかはどこにも書かれていなかった。

単行本はこちら。(クリックで拡大)

 

本の出だしはこのとおり。旧かな遣いと現代かな遣い。(クリックで拡大)

 


さて、中身はどうだったかというと残念ながら全く期待外れだった。アマゾンでは5つ星をつけている人が多いので、あくまで僕の好みではなかったということにしよう。主観的な感想として以下に述べることにする。

これまでの人生で読んだ本の中でいちばん退屈だった。あと少し読み進めれば面白くなるのかと思いながら読み進んだのだが、退屈は最後のページまで徹底して続いていた。

ひと夏を海辺の別荘で一緒に過ごす老若男女。彼らはみなお金に不自由しない上流階級の人間たちだ。食事や音楽、海水浴、散歩などをして優雅に過ごす。ただそれだけの話である。何か特別な事件や関心をひく出来事がおこるわけでもなく、物語はだらだらと続く。本の帯には核戦争や核兵器のことが書かれているが、それは本書のごく2~3か所に世間話の中で語られているに過ぎない。

そもそも彼らが交わす会話をうっとうしく感じた。それぞれ専門領域がある文化人だ。ギリシア・ローマ古典学の教授、ピアノを弾き、クラシック音楽に詳しい女性、現役を退いた老カップル(このうち老紳士は元総理大臣という設定なのだが)中国の古典に通じている。彼らが交わす会話は食べ物から文学、思想、信条、恋愛などあらゆることに及ぶわけだが、いちいち専門的な事柄が引用される。

上流階級といっても、専門領域や経験は人それぞれだし、食べ物をいちいちフランス文学に出てくる何かと比較したところで、それは知識のひけらかしと感じるだけで、他の人と共感できる何にはならない。ギリシア・ローマ文学のサークル内の会話なら納得できるが、日常会話としてはあり得ないよなぁ、と延々と続く文化人気どりの会話にうんざりしてしまった。(こういう知的な会話が好きな方には申し訳ないけれど。)

「章」と呼んでよいかわからないが、文章は適当な分量で区切りが設けられ番号がつけられている。最初の章と最終章を固定しておけば、あとの章はどのような順番に並べても影響はなさそうだと思った。


あと不自然に感じたのは近未来小説として外してしまっていること。本書が執筆されたのは1980年代前半なので、致し方ないことだが、2010年を経験済みの僕には次のようなことが「ちぐはぐ」に思えた。

- 登場人物たちが米ソによる核戦争を話題にしていること。

執筆時点で著者はゴルバチョフのペレストロイカやソ連邦の崩壊を知らないから無理もないことだが、現代の世界情勢や核戦争を懸念する理由が全く異なっていることを知っている僕としては「なんだかなー。」と思ってしまう。

- 登場人物たちの通信手段はテレビ電話だ。

テレビ電話は実現したが、実際のところ日常生活には普及していない。未来を読み間違えている点が妙に可笑しい。

- ワープロ専用機が使われている。

登場する女性の中に小説を書いている人物がいるのだが、彼女が使っているのは音声認識付きのワープロ専用機である。執筆時点ではパソコンは普及していなかったから仕方がない。ワープロ専用機は2000年頃に発売されなくなってしまったわけで。。。

- 「ディスク」という媒体

登場人物たちは音楽を聴くとき「ディスク」を再生する。またワープロ専用機の記録媒体も「ディスク」だ。CDの生産が開始されたのが1982年、CDの販売数がLP(アナログレコード)を抜いたのが1986年である。ディスクには違いないが、記録媒体をCDやCD-Rと呼んでいる私たちには「ディスク」という言葉が浮いてしまう。

- 自動車電話

執筆時点ではPHSや携帯電話は発売されていない。自動車電話はごく一部の人の間ですでに使われていた時代である。登場人物たちが離れ小島に遊びに行ったとき天候悪化によって戻ってこれなくなるくだりがあるのだが「自動車電話が使えないから救助を呼べない。」というセリフがあった。著者が描く2010年に携帯電話やスマートフォンは存在のかけらもない。

どれも執筆された時期を考慮すれば仕方がないことだ。しかし、近未来小説としては「外してしまったなぁ。」と僕は思うわけである。


30年以上積読して温めてきたわりには残念な読書体験になってしまった。倉橋由美子の作品を読むとしたら初期の頃のものを読んだほうがよいのかなと思う。


それでも読んでみたいと思う方は、こちらからどうぞ。

シュンポシオン: 倉橋由美子」(Kindle版)(単行本




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マグネット将棋を購入(大久保碁盤店)

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磁石将棋(左:ハンディー、右:ポケット)拡大


将棋セットを先月購入したことは「将棋セット購入」という記事で紹介した。詰将棋を盤面に並べたり、藤井四段の対局を再現したりして遊んでいたのだが、ふだんくつろいでいるソファーと将棋盤を置いてある机は離れているので何かと不便に思うようになってきた。より楽なほう、ものぐさなほうに流れようとするのが人間の性(さが)である。マグネット将棋ならソファでくつろいだまま将棋ができる。

昨年買ったマグネット将棋(MS-25)を取り出してみたが、いくつか不満な点がある。どうせなら気持ちよく遊びたいものだ。

- 文字が潰れている駒がある
- 文字が中心からずれている駒がある
- 駒の側面の仕上げが雑
- 磁力が弱い
- 駒が小さくて厚みがあるので指しにくい
- ケースを2つ折りにしたときに分厚くてかさばる

以来、満足できるマグネット将棋セットはないものかと、このひと月あまりアマゾンやヤフオクで探していた。プロが対局で使う駒のように裏が黒のマグネット将棋は少ない。小額商品だからネットショップには全体写真しか掲載されていないことがほとんどで、駒の詳細は実際に手に取ってみないとわからない。いくつか無駄な買い物をした挙句、たどり着いたのが今回紹介する商品なのだ。


購入したのは東京四谷にある大久保碁盤店のネットショップで売られていた「磁石将棋(ハンディー)」と「磁石将棋(ポケット)」を1つずつ。

大久保碁盤店
http://igo-shogi.game.coocan.jp/


以下、駒が写っている写真はクリックすると拡大するようにしておいた。

このような箱に入れられている。磁石将棋(ポケット)の箱は外に持ち運ぶときに使えるので捨てないでおこう。




磁石将棋(ハンディー)の駒。この駒がとてもよい感じ。裏面は樹脂製のシールが貼られ、文字はシールに印刷されている。このシールで磁石を固定しているので、磁石は盤面に近い位置にあるから盤面にしっかり着く。駒が成って裏返しになると磁石は盤面から少し離れることになるが、磁力はじゅうぶん効いている。銀将だけ印刷がかすれているのが少し残念。



磁石将棋(ポケット)の駒。MS-25をはじめ、よく見かけるマグネット将棋の駒と同じタイプ。文字が潰れていたり、中心からずれていたりする場合が多い。駒は表と裏が半分ずつのパーツを合わせて駒の中心に磁石を固定している。磁力がじゅうぶん効いていないのはそのためだ。




横から見ると違いがよくわかる。こちらは磁石将棋(ハンディー)の駒。厚さがちょうどよく、指しやすい。



そしてこちらは磁石将棋(ポケット)の駒。




広げると盤面はどちらも同じサイズだが、磁石将棋(ポケット)のほうは折りたためる。



ということで家では磁石将棋(ハンディー)を使い、外では磁石将棋(ハンディー)の駒を磁石将棋(ポケット)に入れて使うのがよさそうだ。このように駒はちょうどよく収まる。左右の盤面は蝶番ではなく銀色の薄い金属テープで接着されている。剥がれて左右ばらばらになってしまうこともなさそうだ。




標準サイズの将棋盤との比較はこちら。



標準サイズの駒と磁石将棋(ハンディー)の駒との比較。



標準サイズの駒と磁石将棋(ポケット)の駒との比較。




磁石将棋(ポケット)の盤は2つ折りにして駒のケースになるわけだが、強度が心配なときは他のマグネット将棋セットのケースを代用してもよいだろう。写真は左が「MS-25」である。MS-25は今回紹介した2つのマグネット将棋セットの盤面とサイズがほぼ同じ。



右のはアマゾンでは売られていないが、ヤフオクではときどき見かけるこの商品だ。商品名やメーカーはよくわからないのだが、強度があり盤面は多少大きめで薄いから携帯性がよいと思う。ただし、この商品の駒は磁石の効きがとても弱い。(MS-25の駒より磁力が弱い。)




今回はよい買い物ができてよかった。大久保碁盤店からしか買えない商品のようだ。店に確認したところ「磁石将棋(ハンディー)」と「磁石将棋(ポケット)」は主力商品ではないが、今後も販売は続けるということだ。店に在庫を問い合わせてから購入されるとよいと思う。


関連記事:

将棋セット購入
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9f6ae58f79977e31a09fe5247a94bd3b

将棋ソフト(Bonanza、GPS将棋、Apery)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9c39fa7ba13e6b9f06728f9d26097191

購入: 羽生善治の将棋入門 ジュニア版
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c8d84e3474ea5d68e4352a76bf3a197e

藤井四段、29連勝! 30年ぶり記録更新
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3a06df510b43cfdaf30d60bf9fe9da23


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物質のすべては光: フランク・ウィルチェック

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物質のすべては光: フランク・ウィルチェック」(文庫版

内容紹介:
磁力や重力を思い出せばわかるとおり、物体のあいだに働く力はふつう、互いに離れるほど弱くなる。離れるほど引きあう力が強くなる、そんな作用を考えるなんて馬鹿げていると皆は言ったが、その「漸近的自由性」を実際に見つけた本書の著者は素粒子物理学を大きく前進させることとなった。素粒子物理学の最先端では、常識を超えた考え方が往々にして現実化する。その世界の第一人者であるウィルチェック博士が、物質の質量の起源などホットかつ根源的な話題をさまざまに盛り込んで語る本書を読むことは、理論物理学者の天才的な発想を垣間見つつ、宇宙のもっとも基礎的な階層の秘密に分け入ることにほかならない。彼が開いてみせるめくるめくヴィジョンは、「否定されたはずのエーテルに満たされ、物質と光の区別のない宇宙」だ……2004年度のノーベル物理学賞をはじめとしてさまざまな賞に輝く理論物理学者が、大胆かつユーモラスに先端科学を説く
2009年12月刊行、365ページ。

著者について:
フランク・ウィルチェック
1951年、ニューヨーク生まれ。1974年にプリンストン大学より博士号を取得。弱冠21歳の時に行なった「強い相互作用の理論における漸近的自由性の発見」により2004年、ノーベル物理学賞をデイヴィッド・グロス、デイヴィッド・ポリツァーとともに受賞した。現在、マサチューセッツ工科大学ヘルマン・フェッシュバッハ物理学教授。先端科学をユーモア溢れる軽やかな筆致で紹介する一般読者向けの科学解説でも定評がある。


理数系書籍のレビュー記事は本書で340冊目。

本書はクォークの漸近的自由性の発見により2004年にノーベル物理学賞を受賞したウィルチェック博士がお書きになったもので、英語版は2008年に、日本語版は2009年に刊行された。日本語版は吉田三知世さんという京都大学理学部物理系を卒業され、英日・日英の翻訳業をされている方による。

副題は「現代物理学が明かす、力と質量の起源」だ。物質の質量のうち95パーセントは「強い力」が起源となることがわかっており、強い力とはクォークとクォークを引き付けるグルーオンによるものだ。つまり素粒子物理学の中の「量子色力学(QCD)」の研究によって解明されたことがらである。原子を構成する電子と光子の働きは「量子電磁力学(QED)」で解明されたが、本書の中心テーマは原子核の中が舞台だ。

量子電磁力学(QED: Quantum Electrodynamics): ウィキペディアの解説
量子色力学(QCD: Quantum Chromodynamics): ウィキペディアの解説


2013年暮れにNHK BSで放送された「神の数式 完全版」(動画検索)は好評を博し、その第2回では「動きにくさ」によって質量の95パーセントが生じるという解説がされていた。そして番組で映されていたのはクォークを球体であらわした粒子的描像にもとづいていた。



また2014年6月にNHK Eテレで放送された「宇宙白熱教室」(動画検索)も好評を博したわけだが、その第1回で紹介されたクォークとクォークの間で働いている強い力のエネルギーは、このようにもやもやしたものだった。これは本書で詳しく解説されている「グリッド」、「格子ゲージ理論」を使って描き出したグルーオン場のCGである。(この画像はアニメーションGIFなのでパソコンだと動いている様子がわかる。解説はこのページ。)




また、科学雑誌Newtonや素粒子物理の入門書でよく紹介されるのは、こようなイメージである。



もやもや(波動的)イメージと古典的(粒子的)イメージを合わせると、次のような描像となるだろう。



説明の都合でそれぞれ違うイメージを紹介するから初心者は戸惑ってしまう。どれがいったい本当なの?となるのだ。事の本質は量子力学は原子レベルだけでなく、原子核内部でも成り立っているため、波動的描像と粒子的描像が両立しているからなのだ。そして量子力学の不確定性原理による揺らぎも原子核の中では無視することができない。

そしてアインシュタインが特殊相対論によって導いた E=mc^2 は物体の静止エネルギーと質量が等価であることを意味している。原子核を構成する陽子や中性子の中に強い力(強い相互作用)のエネルギーがあれば、それは陽子や中性子が質量を持つということになる。

そして陽子や中性子はクォークとグルーオンで構成されている。そのことはCERNのLHC加速器が建設される前、LEP (The Large Electron-Positron Collider)という装置だったときに行われた実験によって明らかになっていた。この2つの実験結果は量子色力学(QCD)によって解釈可能になっていたのだ。

2ジェット・イベント


3ジェット・イベント


クォークは陽子や中性子、そして中間子などの中に閉じ込められているから単独では観測できない。漸近的自由性がある強い力によって引き付けられているからだ。漸近的自由というのは近づけば近づくほど弱くなる力、離れれば離れるほど強くなるという不思議な力である。この力がグルーオンを介在して発生している。

しかしクォークどうしを結びつけるグルーオンはバネのように物質としてくっついているわけではない。バネならばフックの法則のように漸近的自由性にも納得がいくのだが、バネではないのだからこのような力が働いているのは不思議なのだ。

大事なことは陽子や中性子の質量の起源は、それらの中にあるクォークやグルーオンの質量ではないということだ。

クォークとグルーオンの間の物理学はこのようにとてもわかりにくい。量子力学的な条件、特殊相対論的な条件、クォークがもっている色価とフレーバーという性質、グルーオンがもっている色価という性質をどのように組み立てて理解すればよいのか。

本書の前半ではこのように難しい量子色力学(QCD)のからくりを、日常的な言葉と図版だけで見事に解説しているのだ。そのために3つの段階を経て、160ページあまりが費やされている。そしてその中ではさらに弱い力、量子電磁力学(QED)との違いを浮き彫りにしながら理解が深まるように工夫されている。

さらに量子電磁力学(QED)と量子色力学(QCD)は標準理論(本書ではコア理論と呼んでいる)にまとめ上げられるまでの解説もされている。その解説は時に詩的でもあり、引用されるたとえ話もセンスがよいものばかりなのだ。

本書で解説されているクォークとグルーオンの物理の説明は、実験的には上に掲載した2ジェット・イベント、3ジェット・イベントの観測結果であり、理論的にはグリッド(格子ゲージ理論)をスパコンで計算して得たもやもやのエネルギー(グルーオン場)の影響を考慮して解釈できる素粒子の衝突実験なのだ。


第2部と第3部が本書の後半である。第2部は標準理論とは相いれない重力の話。電磁気力や強い力、弱い力とくらべてとても小さく見える重力なのだが、理論は重力が弱いということを示していない。重力はむしろ強いと言えるのだそうだ。

第3部からは標準理論が示しているU(1)、SU(2)、SU(3)などのゲージ対称性の話から始まる。U(1)、SU(2)、SU(3)はそれぞれ電磁気力、弱い力、強い力に対応し、「リー群」という対称性をもった数学的表現であらわされる。これらの対称性を含むより大きな対称性が見つかるのだろうか?重力理論をも含む「超対称性」を見つけることができるのだろうか?この点については(本書執筆時点では稼働していない)CERNのLHC (The Large Hadron Collider)への期待が語られている。ご存知のようにこの実験施設では「ヒッグス粒子」が検出され、2012年7月4日に発表され標準理論の正しさが裏付けられ、質量の起源の残りの部分が解明された。(参考記事:「祝!:ヒッグス粒子発見」)

ツイッターでアンケートをとってみたところ、現在はこのような結果になっている。(アンケートはこちら。)



その後、本書ではダークマターやダークエネルギーについての解説が行われている。ダークマターの候補としては「アクシオン」(本書ではアキシオンと表記)という未知の素粒子があげられているが、この名前を付けたのは本書の著者である。


本書の邦題「物質のすべては光」は、一般の人にはわかりにくいかもしれない。原題は「The Lightness of Being」(存在の軽さ)である。Lightness(軽さ)とLight(光)をかけていること、そして原題は「The Unbearable Lightness of Being」(「存在の耐えられない軽さ」)という小説をもじったものである。

オヤジのダジャレ好きは日本固有ではないようだ。


翻訳のもとになった原書はこちら。

The Lightness of Being: Mass, Ether, and the Unification of Forces: Frank Wilczek」(Kindle) (Hardcover)




関連記事:

強い力と弱い力:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06c3fdc3ed4e0908c75e3d7f20dd7177

「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa

超対称性理論とは何か:小林富雄
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/365372dbf8716d6f57b67f58fbaf8722

番組告知:NHK-BS1「神の数式 完全版」全4回
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d763b4d8161efae445f37e05ab23f1e6

番組告知:NHK宇宙白熱教室(ローレンス・クラウス教授)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fdcf3a5173e9f55fc37c9b8d85f4128b


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物質のすべては光: フランク・ウィルチェック」(文庫版



第1部:質量の起源

第1章:「これ」に取り組む
第2章:ニュートンの第ゼロ法則
第3章:アインシュタインの第二法則
第4章:物質にとって重要なこと
第5章:内側にいたヒドラ
第6章:物質のなかのビット
第7章:具現化した対称性
第8章:グリッド(エーテルは不滅だ)
第9章:物質を計算する
第10章:質量の起源
第11章:グリッドの音楽―二つの方程式のなかの音楽
第12章:深遠な単純さ

第2部:重力の弱さ

第13章:重力は弱いのだろうか?実際にはそうだ
第14章:重力は弱いのか?理論的にはノーだ
第15章:ほんとうにすべき質問
第16章:美しい答

第3部:美は真なるか?

第17章:統一―セイレーンの歌
第18章:統一―ガラスを通して、ぼんやりと
第19章:擁護可能性
第20章:統一SUSY
第21章」新しい黄金時代の予感

量子物理学の発見: レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル

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量子物理学の発見: レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル」(Kindle版

内容紹介:
ギリシャ以来、物質の最小の構成単位への人類の探求は、原子核とそれをまわる電子というモデルまでいきつく。しかし、1912年のある日、物理学者のニールス・ボーアは気がつく。なぜ、電子は原子核に墜落しないのか?まったく新しい物理学が誕生した瞬間だった。人類の極小を探る旅は、加速器というものさしを得て進歩する。それは宇宙の始まりを解き明かす旅になった。アメリカのフェルミ研究所で加速器を使い、極小の世界を追い求めたノーベル賞物理学者が、この新しい物理学の誕生から現在そして未来を綴る。
2016年9月刊行、308ページ。

著者について:
レオン・レーダーマン
1922年、アメリカ生まれ。実験物理学者。ミューニュートリノの発見でレプトンの二重構造を実証し、1988年ノーベル物理学賞。1979年から1989年までフェルミ国立加速器研究所の所長を務め、半世紀にわたり、加速器実験によるアメリカの素粒子物理学を主導してきた。コロンビア大学教授、イリノイ工科大学教授などを歴任し、2012年に引退。著書を検索する

クリストファー・ヒル
1951年、アメリカ生まれ。理論物理学者。シカゴ大学、オックスフォード大学客員研究員などを経て、フェルミ国立加速器研究所理論物理学部長を2012年まで務める。

翻訳者について:
青木薫
翻訳家。1956年、山形県生まれ。京都大学理学部卒業、同大大学院博士課程修了。理学博士。訳書を検索する


理数系書籍のレビュー記事は本書で342冊目。

ひとつ前の記事で紹介した「物質のすべては光: フランク・ウィルチェック」が書かれたのはCERNのLHCがまだ無かった頃のこと。

そして2012年にヒッグス粒子が発見されて、その発表のことは「祝!:ヒッグス粒子発見」に書いておいた。

その後、LHCはパワーアップして稼働しているわけだが、つい先日「光子-光子散乱」の発表がなされたばかりだ。

CERN、光子・光子散乱をLHCアトラス検出器で観測 - 80年前のQED予言を実証
http://news.mynavi.jp/news/2017/08/17/080/

その他の素粒子の検出はその後どのように進んでいるのだろう?近いうちにまた大きな発見がなされるのだろうか?ヒッグス粒子発見から5年経っているので、その後の経過や今後の見込みを知っておきたいと思うのは僕だけではないだろう。

このような気持ちで昨年9月に刊行された本書を読んでみた。(英語版は2013年10月刊行)「物質のすべては光: フランク・ウィルチェック」と読み合わせるのにちょうどよい。本書を書いたのも実験系の素粒子物理学者で、ノーベル賞を1988年に授賞している。CERNのLHCのことも書かれているが、本書の中心テーマは次のような事がらだ。

- フェルミ研究所のSSCの中止(1993年)
- 素粒子物理の発展史(概要)
- パリティ対称性、カイラル対称性
- 質量獲得のメカニズム(ミュー粒子、W+,W-,Z0粒子)
- 弱い力
- ヒッグス粒子による質量獲得のメカニズム(ヒッグス機構)
- ニュートリノの質量獲得のメカニズム
- フェルミ研究所で現在進行中の計画
- LHCで現在進行中の計画

のようになる。「物質のすべては光: フランク・ウィルチェック」のほうが強い力、量子色力学を基軸とした陽子や中性子などの質量獲得を解説していたのに対し、本書は弱い力、ヒッグス機構による質量獲得の解説なので、ちょうどうまい具合に分かれている。ちなみにヒッグス粒子の質量は126GeVだということが観測されたわけだが、その質量獲得のメカニズムは解明されていないそうだ。

章立てはこのとおり。

第1章:宇宙の始まりを探る旅
第2章:その時、ニュートン物理学は崩れた
第3章:世界は右巻きか左巻きか
第4章:相対性理論の 合法的な抜け道
第5章:初めに質量あれ
第6章:何もないところになぜ何かが生まれたのか?
第7章:星が生まれた痕跡
第8章:加速器は語る
第9章:ヒッグス粒子を超えて


第1章から第3章までは知っていることばかりで面白くなかった。「強い力と弱い力:大栗博司」をお読みになった方なら、斜め読みしてよいと思う。本書でも詳しい解説は既刊の自著を読んでほしいと、その都度「対称性―レーダーマンが語る量子から宇宙まで」や「詩人のための量子力学―レーダーマンが語る不確定性原理から弦理論まで」を紹介している。本書と合わせてお読みになるとよいだろう。

面白く感じ始めたのは第4章からで、第6章から僕は気合いが入ってきた。パリティ対称性、カイラル対称性の説明は詳しいし、質量を獲得させるためのヒッグス機構についてはこれまでに見聞きしていた説明のどれとも違う。いちばんわかりやすい説明だと思う。(不評だった「水飴」によるたとえ話を思い出した。)本書の中で素晴らしい箇所なので、実際にお読みになってほしい。

質量獲得メカニズムのポイントとなるのはヒッグス粒子が弱い力の「弱荷」をもっていて空間を満たしてヒッグス場となっていること、そしてそれによって質量を獲得する粒子はヒッグス場と「弱荷」をやり取りしながら高速微細振動(ツィッターベヴェーグング)するということによる。電子もヒッグス機構により質量を獲得するわけだが、そのツィッターベヴェーグングもつい先日実験で観測されたばかりだ。(参考記事:「サクライ上級量子力学〈第1巻〉輻射と粒子:J.J.サクライ」)

電子の「震え現象」を検証、新たな揺らぎ現象を発見(東京大学)
https://research-er.jp/articles/view/61738


そして、現在フェルミ研究所で進行中なのが「プロジェクトX」である。適当な名前が思いつかないのでそのような名前になっているそうだ。LHCでは衝突させる陽子のエネルギーを大きくしていくわけだが、プロジェクトXでは陽子のビームの強さを増やす、つまり陽子の個数を増やすということで新発見できる確率を増やすそうだ。専門的には陽子のルミノシティを増やすことで、コストを抑えて実験をすることができるのだという。また、ニュートリノ振動を詳しく調べるための「NOvA」という計画も進行中である。それぞれホームページを載せておこう。

Fermilab | PIP-II | Home (Project X)
https://pip2.fnal.gov/

Fermilab | NOvA Neutrino Experiment | Home
https://www-nova.fnal.gov/

前回の「物質のすべては光: フランク・ウィルチェック」も今回の「量子物理学の発見: レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル」(Kindle版)も実験物理学者が書いたものだ。ウィルチェック博士のほうは超対称性の可能性について(時代的背景があるかもしれないが)意欲的だったが超弦理論についてはさほど積極的には書いていなかった。

そしてレーダーマン博士は超対称性や超弦理論については触れていなかった。それどころか素粒子実験によって「宇宙の誕生の瞬間を解明する」とか「余剰次元の証拠を見つける」などという誤解を招きかねない説明を慎むべきだと書いている。過去の地道な実験の歴史を熟知していること、予算を獲得するのがどれほど大変で慎重に事を進めなければならないかを身をもって知っているから、そのようにおっしゃるわけである。理論物理学者と実験物理学者の違いを著作を通じて知ることができた。


トランプ政権になってから科学予算が削られるというニュースを先月読んだばかりだ。素粒子物理学の予算はどうなるのだろうか?日本も科学予算が削られているそうなのでATLASKAGRAその先の計画はどうなるのだろうか?と気になっている。


翻訳のもとになった原書はこちら。

Beyond the God Particle: Leon M. Lederman, Christopher T. Hill」 (Kindle)




関連記事:

物質のすべては光: フランク・ウィルチェック
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d592b55383ccecae76959446c0292d7b

強い力と弱い力:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06c3fdc3ed4e0908c75e3d7f20dd7177

「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa

質量はどのように生まれるのか:橋本省二
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b0090a747cf0543c3b535fe175d76885

ヒッグス粒子の発見:イアン・サンプル
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/46c46f676c631634b83fb9616161ec4d

超対称性理論とは何か:小林富雄
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/365372dbf8716d6f57b67f58fbaf8722

番組告知:NHK-BS1「神の数式 完全版」全4回
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d763b4d8161efae445f37e05ab23f1e6

番組告知:NHK宇宙白熱教室(ローレンス・クラウス教授)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fdcf3a5173e9f55fc37c9b8d85f4128b


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量子物理学の発見: レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル」(Kindle版



第1章:宇宙の始まりを探る旅
2012年に世界の新聞の一面を飾った「ヒッグス粒子」の発見。本書では、その発見にいたるまでの人類の歴史を、ノーベル賞量子物理学者が綴る。それは、この世界の極小の構成単位を探る旅でもあり、同時に宇宙の始まりを探る旅でもあった。

第2章:その時、ニュートン物理学は崩れた
ギリシャ以来、物質の最小の構成単位への人類の探求は、原子核とそれをまわる電子というモデルまでいきつく。しかし、1912年のある日、物理学者のニールス・ボーアは気がつく。なぜ、電子は原子核に墜落しないのか? 全く新しい物理学の誕生。

第3章:世界は右巻きか左巻きか
水の分子を鏡に写しても左右対称で変わらない。しかし、変わってしまう分子もある。例えば、われわれの世界の食べ物は右旋体の糖でできている。さてでは物理法則はどうだろうか? その対称性が破れていることを発見したのがこの本の著者だった。

第4章:相対性理論の 合法的な抜け道
エネルギーは光速の自乗にそのものの質量をかけたものに等しい。E=mc²。アインシュタインは、物質の質量はエネルギーに転換できることを示した。しかし、光に質量はないはずだ。とすれば、光はエネルギーに転換できないのか?

第5章:初めに質量あれ
宇宙が始まった時、すべてのものは無であり、質量はなかった。完全な対称性がなりたつ世界だった。その対称性が崩れ去る引き金をひいたものがいる。それが「ヒッグス粒子」だ。「ヒッグス粒子」が質量を生み出し、宇宙を生み出すことになった。

第6章:何もないところになぜ何かが生まれたのか?
ではどのようにして何もないところからヒッグス粒子が生まれ質量が生まれるのか?
10の マイナス25乗の非常に短い時間では不変と思われたエネルギー保存則がなりたたない瞬間がある。その「量子ゆらぎ」とよばれる時間のことから説明しよう。

第7章:星が生まれた痕跡
宇宙誕生時にできた原子星の内部で、炭素、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、鉄などの重い元素がつくられる。しかし、これらの元素があまねく宇宙に行き渡るためには、崩壊による解放が必要だ。その痕跡がいまもふりそそぐ「ニュートリノ」という粒子だ。

第8章:加速器は語る
著者らのフェルミ研究所は、標準理論のその先を探索する新加速器「プロジェクトX」を進めている。それは高エネルギー追求から転換してコストは抑え、膨大な数の粒子を観測して珍しい現象を探す新たなアプローチだ。

第9章:ヒッグス粒子を超えて
量子物理学はまだ道半ばだ。ヒッグス粒子は物質に質量を与えるが、それ自身の質量がどこから来るかはわかっていない。宇宙のほとんどを占める暗黒物質も検出できていない。未知の物理現象を求める実験は続く。

中性子星の合体による重力波観測か?(LIGOとVirgo)

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合体する中性子星から放出される重力波(想像図)

当事者が発表すると、噂はそれ以上のものになる。でも正式な詳細報告はまだだ。楽しみにして待つことにしよう。

すでにツイッター上で噂が飛び交っているので、ご存知の方が多いはずだ。どうやら今度は中性子星どうしの合体による重力波が初観測されたらしい。そして昨日8月25日、観測している当事者のひとつLIGOが次のようなニュースを発表した。

A very exciting LIGO-Virgo Observing run is drawing to a close August 25
25 August 2017 -- The Virgo and LIGO Scientific Collaborations have been observing since November 30, 2016 in the second Advanced Detector Observing Run ‘O2’ , searching for gravitational-wave signals, first with the two LIGO detectors, then with both LIGO and Virgo instruments operating together since August 1, 2017. Some promising gravitational-wave candidates have been identified in data from both LIGO and Virgo during our preliminary analysis, and we have shared what we currently know with astronomical observing partners. We are working hard to assure that the candidates are valid gravitational-wave events, and it will require time to establish the level of confidence needed to bring any results to the scientific community and the greater public. We will let you know as soon we have information ready to share.

日本語訳(by とね)
LIGOとVirgoによる非常にエキサイティングな観測が終わりに近づく(8月25日)
2017年8月25日 -- 2016年11月30日からLIGOとVirgoでは科学的な協力をして観測を行ってきました。そして「O2」と呼んでいる2回目のAdvanced LIGO検出器による観測、つまり重力波の探索をするために、まずLIGOの2つの検出器で、そして次に2017年8月1日にはLIGOとVirgoの装置を一緒に稼働させました。その後、予備解析をしている段階でLIGOとVirgoの双方で重力波と考えられるいくつかの候補が検出されてきました。そして私たちは現在までに知り得たことを複数の天体観測パートナーと共有したところです。現在、これらの「候補」が確かに重力波の発生であるということを確認している最中です。科学コミュニティおよび広く一般の方に結果をお伝えするための確証を得るまでには、もう少し時間が必要です。皆さまと情報を共有する準備が整い次第、お知らせいたします。


LIGOはアメリカ大陸の離れた2か所に建設された観測施設、そしてVirgoはイタリアのピサ郊外に建設された観測施設である。(参考:Virgoを訪ねるサイエンスツアー

LIGOホームページ:
https://www.ligo.caltech.edu/

Virgoウェブサイト:
http://www.virgo-gw.eu/

けれどもこのプレスリリースに「中性子星」という言葉はでてこない。しかし、少なくとも重力波は観測されたようである。昨年2月の「ブラックホール合体による重力波の初観測」以来、3回観測されたことが発表されているから、今回あえて「発表する」と告知したことで、ブラックホールの合体以外による重力波だと期待されているのだ。そして、今回の重力波検出と同時に、別の天文台で電磁波が観測されたということも、噂の信ぴょう性を高めている。

どのような噂が流れているについては、次のページをお読みいただきたい。

新しい種類の重力波の噂が広まっていることを確認(ネイチャー誌)
中性子星の衝突が検出された可能性があるというゴシップに天文学者たちが慌てている
http://www.nature.com/news/rumours-swell-over-new-kind-of-gravitational-wave-sighting-1.22482

この記事の中では、今回の重力波はこの写真の中、左に写っているぼやけた星の方向から来ていると書かれている。(このぼやけた星のように見えるのは、うみへび座のNGC 4993という銀河だ。)



記事によると噂はこのようにして広まったそうだ。

On 18 August, astronomer J. Craig Wheeler of the University of Texas at Austin began the public rumour mill when he tweeted, “New LIGO. Source with optical counterpart. Blow your sox off!” An hour later, astronomer Peter Yoachim of the University of Washington in Seattle tweeted that LIGO had seen a signal with an optical counterpart (that is, something that telescopes could see) from a galaxy called NGC 4993, which is around 40 million parsecs (130 million light years) away in the southern constellation Hydra. “Merging neutron-neutron star is the initial call”, he followed up. Some astronomers who do not want to be identified say that rumours had been privately circulating before Wheeler’s and Yoachim’s tweets.

日本語訳(by とね)
8月18日、オースティンのテキサス大学の天文学者のJ.Craig Wheelerは、次のようにツイートして噂を広め始めた。「新生LIGO。発生源は光学的なカウンターパート(観測された対象ともとれる)。まったく驚かされる!」1時間後、シアトルのワシントン大学の天文学者のPeter Yoachimが「うみへび座の中の南側に位置するNGC 4993と呼ばれている4000万パーセク(1.3億光年)離れた銀河から光学的に見える対象(つまり天体望遠鏡で観測可能な何か)のシグナルをLIGOが観測した。」とツイートした。そして彼は「中性子星どうしの合体の知らせは初めてだ。」と補足。個人を特定されたくない他の何人かの天文学者たちの間でもWheelerとYoachimのツイートが発せられる前に、この噂は個人的なツイートとして回っていた。

その後、WheelerとYoachimはコメントを取り下げ、Wheelerは「Right or wrong, I should not have sent that tweet. LIGO deserves to announce when they deem appropriate. Mea culpa,(それが正しかろうが間違いであろうが、私はあのようなツイートをすべきでなかった。適切だと判断した段階で、LIGOから発表するのが正しいことだ。謝罪させていただきます。)」とツイートしている。

Wheeler博士のホームページ: http://www.as.utexas.edu/~wheel/
Wheeler博士のツイッター: @ast309

Yoachim博士のホームページ: http://staff.washington.edu/yoachim/
Yoachim博士のツイッター: @peteryoachim


このように「中性子星による合体」だという正式発表はまだされていない。今後の報告を楽しみに待つことにしよう。


ところで、そもそも「重力波って何?」という方はまず「重力波の直接観測に成功!」という記事をお読みいただきたい。昨年2月に発表されたこの100年でいちばん大きな科学ニュースである。そしてこれはブラックホールどうしの合体によって起きた重力波だ。

このようなイメージである。



これが中性子星どうしの合体だとすると、このようなイメージになる。






重力波の発生原因がブラックホールなのか中性子星なのかは、重力波の波形を比べることでわかる。この波形は重力理論(一般相対論)に基づき、スパコンでシミュレーションして得られる。(解説はこちらでどうぞ。)




噂は期待感によって増幅され、すでに十分広まっている。僕がわざわざ記事にする必要はないのかもしれないが、ツイッターを使っていない人もいるから、記事にさせていただいた。


関連記事:

重力波の直接観測に成功!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a8439e8e4d81d7873422737d7bd1640d

ブラックホール・膨張宇宙・重力波 一般相対性理論の100年と展開:真貝寿明
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/88bf1600687ece47464c862fefe53103

重力波は歌う:アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち:ジャンナ ・レヴィン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1cb9b432d55f420797c4f00d02246b6e

日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d39ec747fb47e0c8418e7e167e2f60c4


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How to calculate N-th root using calculator with [SQRT] key

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Mr.Calculator

[Japanese]

Do you know we can calculate 3rd root, 5th root using standard calculator with Square Root key [SQRT]? Following is the method how to do it

This is the calculator of the Mr.Calculator abacus.



As shown above, Memory Clear is assigned to [CM] key and Memory Read (Recall) key is assigned to [RM] key. In this article we use [MC] and [MR] respectively as used by the standard calculator.

Some calculator has [MRC] key instead of [MC] and [MR] key. If you press [MRC] key once, it means [MR] and If you press [MRC] key twice, it means [MC].



For example, 4th root is calculated by Square root twice and 6th root is calculated by multiplication of square root and cube root. It is enough to know the calculation method of N-th root where N is prime number greater than 2.


3rd root of A (Cube root of A)

[MC] A [M+] [SQRT] [SQRT]
[x] [MR] [=] [SQRT] [SQRT]
[x] [MR] [=] [SQRT] [SQRT]
Repeat until convergence.

5th root of A

[MC] A [M+] [SQRT] 3 times
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] [SQRT] 3 times
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] [SQRT] 3 times
Repeat until convergence.

7th root of A

[MC] A [M+] [SQRT] 3 times
[x] [MR] [=] [SQRT] 3 times
[x] [MR] [=] [SQRT] 3 times
Repeat until convergence.

11th root of A

[MC] A [M+] [SQRT] 4 times
[x] [=] 4 times [x] [MR] [=] [SQRT] 4 times
[x] [=] 4 times [x] [MR] [=] [SQRT] 4 times
Repeat until convergence.

13th root of A

[MC] A [M+] [SQRT] 4 times
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] [SQRT] 4 times
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] [SQRT] 4 times
Repeat until convergence.


Let's confirm the methods with actual value. I show you only value transition and the value calculated with iPhone's scientific calculator.


3rd root of 10





5th root of 10





7th root of 10





11th root of 10





13th root of 10






As a matter of fact, we can calculate N-th root using calculator WITHOUT [SQRT] key. I'll show you the method in the next article.


Related articles:

How to solve Cube root of 1729.03 using abacus? (Feynman v.s. Abacus man)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cff5d6e7ecaa07230b9cc7af10b23aed

Index: Square root and Cube root using Abacus
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f62fb31b6a3a0417ec5d33591249451b


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開平と開立(第28回): ルート付き電卓でのN乗根の計算方法

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電脳はん

[English]

100円ショップで売っているようなルート付きの電卓で3乗根や5乗根などを計算できることをご存知だろうか?

今日は「電脳はん」についている電卓を使ってN乗根を計算する方法を紹介する。



ただ、電脳はんではメモリー消去キーは[CM]、メモリー読み込みキーは[RM]と表記されているので、この記事での解説は現在普及している電卓でのそれぞれの表記[MC]、[MR]を使う。

なお電卓によってはこの2つのキーをひとつにまとめて[MRC]としているものもある。この場合、このキーを1回押せば[MR]と同じ働きをし、2回押せば[MC]と同じ働きをする。つまり以下の説明で[MC]となっている箇所は[MRC][MRC]と読み替えていただきたい。




4乗根は√を2回、6乗根は2乗根(√)と3乗根の積で計算できることからわかるように、N乗根のNが3以上の素数のときだけを紹介すればじゅうぶんだ。


Aの3乗根(立方根)

[MC] A [M+] √ √
[x] [MR] [=] √ √
[x] [MR] [=] √ √
を数値が変わらなくなるまで繰り返す。

Aの5乗根

[MC] A [M+] √を3回
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] √を3回
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] √を3回
を数値が変わらなくなるまで繰り返す。

Aの7乗根

[MC] A [M+] √を3回
[x] [MR] [=] √を3回
[x] [MR] [=] √を3回
を数値が変わらなくなるまで繰り返す。

Aの11乗根

[MC] A [M+] √を4回
[x] [=]を4回 [x] [MR] [=] √を4回
[x] [=]を4回 [x] [MR] [=] √を4回
を数値が変わらなくなるまで繰り返す。

Aの13乗根

[MC] A [M+] √を4回
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] √を4回
[x] [=] [=] [x] [MR] [=] √を4回
を数値が変わらなくなるまで繰り返す。


実際に計算してみよう。数値の推移とiPhoneの関数電卓で求めた結果を載せておく。

10の3乗根(立方根)





10の5乗根





10の7乗根





10の11乗根





10の13乗根






以上である。


実をいうと√キーがない四則電卓でもN乗根は計算できるのだ。次回はその手順を説明しよう。


関連記事:

目次:算盤による平方根、立方根の計算(開平、開立)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb0449f357398a2c24026f33af7f70ee

ファインマン v.s. 算盤の達人: ファインマン先生に立方根計算の雪辱を果たそう
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武士の家計簿:磯田道史
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計算尺ノスタルジア (コンサイス計算尺、ヘンミ計算尺)
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アポロに搭載された計算尺(Pickett N600-ES)
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機械式計算機ノスタルジア(タイガー計算器)
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五桁ノ 對數表 及 三角函數表:えふ.げい.がうす著
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How to calculate N-th root using calculator WITHOUT [SQRT] key

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Mr.Calculator

[Japanese]

I explained how to calculate N-th root using calculator with [SQRT] key in the previous article. You can also calculate N-th root using calculator WITHOUT [SQRT] key. Following is the method how to do it

This is the calculator of the Mr.Calculator abacus.



As shown above, Memory Clear is assigned to [CM] key and Memory Read (Recall) key is assigned to [RM] key. In this article we use [MC] and [MR] respectively as used by the standard calculator.

Some calculator has [MRC] key instead of [MC] and [MR] key. If you press [MRC] key once, it means [MR] and If you press [MRC] key twice, it means [MC].



For example, 4th root is calculated by Square root twice and 6th root is calculated by multiplication of square root and cube root. It is enough to know the calculation method of N-th root where N is prime number greater than 1.

Note that [/] is the Division key in the explanation below.


2nd root of A (Square root)

Input approximate value of 2nd root of A.
[MC][M+]A
[/][MR] Enter 1 time.
[=]
[+][MR] Enter 1 time
[=][/][2][=]
Repeat from the line [MC] until value does not change.

3rd root of A (Cube root)

Input approximate value of 3rd root of A.
[MC][M+]A
[/][MR] Enter 2 times
[=]
[+][MR] Enter 2 times.
[=][/][3][=]
Repeat from the line [MC] until value does not change.

5th root of A

Input approximate value of 5th root of A.
[MC][M+]A
[/][MR] Enter 4 times.
[=]
[+][MR] Enter 4 times.
[=][/][5][=]
Repeat from the line [MC] until value does not change.

7th root of A

Input approximate value of 7th root of A.
[MC][M+]A
[/][MR] Enter 6 times.
[=]
[+][MR] Enter 6 times.
[=][/][7][=]
Repeat from the line [MC] until value does not change.

11th root of A

Input approximate value of 11th root of A.。
[MC][M+]A
[/][MR] Enter 10 times.
[=]
[+][MR] Enter 10 times.
[=][/][11][=]
Repeat from the line [MC] until value does not change.

13th root of A

Input approximate value of 13th root of A.
[MC][M+]A
[/][MR] Enter 12 times.
[=]
[+][MR] Enter 12 times.
[=][/][13][=]
Repeat from the line [MC] until value does not change.

You can apply to all N where N is the natural numbers greater than 1.

N-th root of A

Input approximate value of N-th root of A.
[MC][M+]A
[/][MR] Enter N-1 times.
[=]
[+][MR] Enter N-1 times.
[=][/][N][=]
Repeat from the line [MC] until value does not change.


Let's confirm the methods with actual value. I show you only value transition and the value calculated with iPhone's scientific calculator.

2nd root of 10 (Square root of 10)





3rd root of 10 (Cube root of 10)





5th root of 10





7th root of 10





11th root of 10





13th root of 10






This method is simple and value converges fast.


Related articles:

How to solve Cube root of 1729.03 using abacus? (Feynman v.s. Abacus man)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cff5d6e7ecaa07230b9cc7af10b23aed

Index: Square root and Cube root using Abacus
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f62fb31b6a3a0417ec5d33591249451b


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開平と開立(第29回): ルート無し電卓でのN乗根の計算方法

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電脳はん

[English]

前回の記事では100円ショップで売っているようなルート付きの電卓で3乗根や5乗根などを計算する手順を紹介したが、今回はルートのキーが無い電卓でN乗根を計算する手順を紹介する。

「電脳はん」にはルートキーが付いているが、あえてこの機能は使わない。



ただ、電脳はんではメモリー消去キーは[CM]、メモリー読み込みキーは[RM]と表記されているので、この記事での解説は現在普及している電卓でのそれぞれの表記[MC]、[MR]を使う。

なお電卓によってはこの2つのキーをひとつにまとめて[MRC]としているものもある。この場合、このキーを1回押せば[MR]と同じ働きをし、2回押せば[MC]と同じ働きをする。つまり以下の説明で[MC]となっている箇所は[MRC][MRC]と読み替えていただきたい。



また電卓に[Min]というキーがあるときは、手順の中の[MC][M++]を[Min]ひとつで代用することができる。


4乗根は2乗根を2回、6乗根は2乗根(√)と3乗根の積で計算できることからわかるように、N乗根のNが2以上の素数のときだけを紹介すればじゅうぶんだ。


Aの2乗根(平方根)

Aの2乗根の概数を適当に入力する。
[MC][M+]A
[÷][MR]を1回入力する。
[=]
[+][MR]を1回入力する。
[=][÷][2][=]
数値が変わらなくなるまで[MC]の行から繰り返す。

Aの3乗根(立方根)

Aの3乗根の概数を適当に入力する。
[MC][M+]A
[÷][MR]を2回入力する。
[=]
[+][MR]を2回入力する。
[=][÷][3][=]
数値が変わらなくなるまで[MC]の行から繰り返す。

Aの5乗根

Aの5乗根の概数を適当に入力する。
[MC][M+]A
[÷][MR]を4回入力する。
[=]
[+][MR]を4回入力する。
[=][÷][5][=]
数値が変わらなくなるまで[MC]の行から繰り返す。

Aの7乗根

Aの7乗根の概数を適当に入力する。
[MC][M+]A
[÷][MR]を6回入力する。
[=]
[+][MR]を6回入力する。
[=][÷][7][=]
数値が変わらなくなるまで[MC]の行から繰り返す。

Aの11乗根

Aの11乗根の概数を適当に入力する。
[MC][M+]A
[÷][MR]を10回入力する。
[=]
[+][MR]を10回入力する。
[=][÷][11][=]
数値が変わらなくなるまで[MC]の行から繰り返す。

Aの13乗根

Aの13乗根の概数を適当に入力する。
[MC][M+]A
[÷][MR]を12回入力する。
[=]
[+][MR]を12回入力する。
[=][÷][13][=]
数値が変わらなくなるまで[MC]の行から繰り返す。

この方法はNについて一般的に使うことができる。つまりNが2以上のすべての自然数でN乗根を計算できるのだ。

AのN乗根

AのN乗根の概数を適当に入力する。
[MC][M+]A
[÷][MR]をN-1回入力する。
[=]
[+][MR]をN-1回入力する。
[=][÷][N][=]
数値が変わらなくなるまで[MC]の行から繰り返す。


実際に計算してみよう。数値の推移とiPhoneの関数電卓で求めた結果を載せておく。

10の2乗根(平方根)





10の3乗根(立方根)





10の5乗根





10の7乗根





10の11乗根





10の13乗根






以上である。これは覚えやすく収束も早いので、とても良い方法だ。


関連記事:

目次:算盤による平方根、立方根の計算(開平、開立)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb0449f357398a2c24026f33af7f70ee

ファインマン v.s. 算盤の達人: ファインマン先生に立方根計算の雪辱を果たそう
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/89a0b907577f03ef6132cf9664bdcddb

武士の家計簿:磯田道史
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/38e15f47cba2eaed5f1787c30b09eb7c

計算尺ノスタルジア (コンサイス計算尺、ヘンミ計算尺)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b91ae7814c1830a9aaf7da77aadf88a8

アポロに搭載された計算尺(Pickett N600-ES)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3898318d7f4b3e84900d9ae2cb80d816

機械式計算機ノスタルジア(タイガー計算器)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/226dd92e17d66ac624b7279776aa77f6

五桁ノ 對數表 及 三角函數表:えふ.げい.がうす著
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8d90de27b13365139c25bbffd9c4f04b


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東京公演!Queeness ”You Want It All?” Japan Tour 2017

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フレディ・マーキュリーがもし生きていれば71歳。昨夜は友達を誘ってQueenessの東京公演を楽しんできた。

Queenessは数百あるというQueenのトリビュート・バンドの中ではいちばん有名なバンドだ。ボーカルをつとめるフレディ・エトウは実をいうと僕が勤務している会社の元同僚で1990年代初めに日本法人の立ち上げ時期を一緒に過ごした大切な友達でもある。

Queenessはアナログテレビの時代にバラエティ番組でも紹介されたことがある。「本家が認めた」という点が重要だ。番組ではエトウさんのユニークなオヤジぶりを強調しているが、Queenessの音楽性、芸術性の高さは聴く者を魅了する。

本家が認めたニセクイーン(QUEENESS)




Queeness公式HP
http://queeness.jp/
メンバー:http://queeness.jp/profile.html



東京公演!Queeness ”You Want It All?” Japan Tour 2017
日時: 2017年9月2日 (土) Open 17:00 Start 18:00
会場: 新宿ReNY (アイランドホール)

ベースを担当している山村隆一さんと僕は別のところでつながっている。山村さんは2006年2月「稲葉社子さんのJazzライブ」に行ったときに知り合った方だ。

不思議なことがあるものだ。そしてなんと山村さんはエトウさんの高校の後輩なのだという。世間は狭いものだとあらためて驚かされたのだ。

誘った友達はフレディが亡くなってから生まれた世代なのだが、小学生時代にお兄さんの影響でQueenにハマった女性である。Queenに関しては僕よりずっと詳しくて誘うのならこの人しかいない。今回で3回目である。

前回エトウさんのライブを聴いたのは2014年9月のこと。「Queeness フレディ・マーキュリー生誕祭 @ 渋谷duo MUSIC EXCHANGE」でこの日はとても蒸し暑かった。その前は2008年5月の「フレディ・エトウさんのライブ@横浜」という個人ライブでQueenessとしてのライブではなかった。

心配していた台風15号は予報よりも海上沖合いを進んだため、日差しがでてきて涼しく午後は心地よい風が吹いていた。



今回の会場は西新宿の新宿ReNYという収容人数800人という大きなライブハウス。

新宿ReNY (アイランドホール)
http://ruido.org/reny/

オールスタンディングだが、毎晩ウォーキングで鍛えているので僕の足腰は大丈夫である。昔一緒に仕事した元同僚の友達が2人きていたのでプチ同窓会のようなことにもなった。

友達はその日、銀座での仕事が長引いて待ち合わせ場所につくのが開場30分前になったが、全く問題ない。会場への道すがら、そして開演までお互いの近況を話して過ごした。

彼女と知り合って10年になる。細く長く友達関係が続いていて、お互いいろいろなことがあったなぁと話題にしない事にも頭をめぐらせていた。話し忘れたことがたくさんあったなと後になって思った。また今度会うときに話そう。

夕方6時に始まりおよそ30曲ノンストップでライブは盛り上がる。終わったのは午後8時半過ぎだった。友達は全曲知っていたそうだが、僕が知っている曲は半分くらいだった。友達は前回のライブ「ロジャーの声はかなり似ていてビックリ!」と言っていたが、今回は「ロジャーの人は声だけじゃなく顔も良く似ていて、よくもまあピッタリな人が見つかったものだ。」と言っていた。

彼女は大の映画通。最近見た「ベイビー・ドライバー」の最後の山場でQueenの「ブライトンロック」が爆音でかかるそうで、この曲も演奏されるといいなと言っていた。たしか前回のライブでは演奏されなかったが、今回はライブの真ん中あたりでこの曲が始まったので満足そうだった。

間のMCでフレディはブライアンの掛け合いで今後の展望を語る。ブライアンは英語で話すフレディの通訳だ。「今日いらしてくださった皆さんがひとり50人ずつお客さんを集めてください。そうすれば武道館ライブが実現します!その際はみなさんのチケット代を無料にします。」と英語で訴えかけるフレディ。「そんなネズミ講みたいなことを通訳するの嫌ですよ。」といいつつ日本語にしてしまうブライアンである。


ライブはフラッシュを焚かない限り写真や動画の撮影は自由。ただし、ネットに載せてよいのは写真だけである。動画をご覧になりたい方はYouTubeで検索して見てほしい。

YouTubeでQueenessの動画を: 検索する

写真はクリックで拡大する。












物販コーナーで買ったCD。全国ツアーのライブの中からお勧めの演奏を集めてアルバムにしたもの。ライブに来たお客さんだけしか買えない限定版だ。




関連記事:

Queeness フレディ・マーキュリー生誕祭 @ 渋谷duo MUSIC EXCHANGE(2014年9月6日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a1cffd50e7aa38b46d544537f0aae927

フレディ・エトウさんのライブ@横浜(2008年5月19日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a5f915509c85b3d6e0ce8c68bec0a704

稲葉社子さんのJazzライブに行ってきました。(2006年2月4日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/aec6b6638f5d06d7fafecded5a2d979d


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Live in Tokyo: Queeness -You Want It All?- Japan Tour 2017

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[Japanese]

If Freddie Mercury is alive, he is 71 years old. I enjoyed the Queeness Live in Tokyo with my friend last Saturday.

Original Queen are a British rock band that formed in London in 1970 and made a great sucess in England, the U.S., Japan and all over the world. But I found many young people do not know the band. Some of them know only their music.

This is why I introduce original Queen at first.

Queen: Wikipedia entry

Queen (Official page in English)
http://www.queenonline.com/

Queen (Official page in Japanese)
http://www.universal-music.co.jp/queen/

Queen (Official video): Open YouTube

The "Queeness" is the most famous tribute band of Queen. Its leader Freddie Eto (Vocal) is one of my important friend I worked together in early 1990 in the company I work now.

Queeness is introduced in the next video - Japanese TV variety show several years ago. In the video, Brian May (of original Queen) sent a letter to Queeness and said "Thank you very much for succeeding our music." - It means Queeness is admitted by original Queen. Apart from Freddie Eto's unique personality, Queeness music attracts audiences so strong by their excellent sound and performance.

Fake Queen admitted by original Queen



Queeness Official HP
http://queeness.jp/
Member: http://queeness.jp/profile.html



Live in Tokyo!: Queeness ”You Want It All?” Japan Tour 2017
Date: September 2nd (Sat), Open 17:00 Start 18:00
Place: Shinjuku ReNY (Island Hall)

Ryuichi Yamamura (Jazz musician) as John Deacon is another friend of mine. I came to know him when I went to the "Jazz live played by Takako Inaba" on Feb 2006.

This is coincidence and surprising. Mr. Yamamura is the junior fellow of Freddie Eto during his high school and I didn't know that Mr. Yamamura is a member of Queeness.

The friend I invited to the live was born beyond the Queen's prime. She was devoted to Queen when she was in elementary school by her elder brother's influence. She knows almost everything about Queen. I think this is the only person I can invite to the live. This is the 3rd time invitation.

The last live with her was on Sep 2014 "Queeness Freddie Mercury Birthday Festival @ Shibuya duo MUSIC EXCHANGE" (YouTube Mix List) and it was very hot and humid day. The first live was on May 2008 "Freddie Eto Live @ Yokohama" and this is his personal live.


We were worried about big typhoon No.15 and fortunately it changed direction to off-island of Japan. Weather recovered and we could receive soft sunlight and fresh air in the afternoon.




The music live house - Shinjuku ReNY is very big and its capacity is 800 audiences.

Shinjuku ReNY (Island Hall)
http://ruido.org/reny/

We have to keep standing from begin to end. I don't care about it because I walk every night for training. I met 2 old-friends in the live house.


The time of my friend's arrival was unpredictable. She had a job in Ginza and came to the appointment spot 30 minutes before the hall open. No problem! We could talk recent events and future plan until the live start.

10 years have passed since I got to know her. Long and fine friendship made us think about what had happened to each of us during the years we didn't have a chance to talk. There are many things to tell, but I could not bring back to memory in a short period of time. I will tell her next time.

Live started at 6pm and we enjoyed about 30 songs. It ended around 8:30pm. My friend knows all songs and I know only half of them. She said after the previous live that "Roger's voice is almost same as original singer." and "Not only his voice, but also his looking is same as Roger." she said this time.

She is a great cinema maven. She likes Queen's "Brighton Rock" which was used for the catastasis at the end of the movie "Baby Driver". She expects the song is in the
playlist which was not played in the live in 2014. She was satisfied to the song started in the middle
of the live.

Between the songs, Freddie Eto tells his dream to hold a Queeness live in the big and most famous Budokan Hall and he requests audiences in English. "I ask you each of you here to take 50 friends for the Budokan live! Then your ticket is free!" He asked Brian for Japanese translation. "I don't want to translate about such pyramid style selling to the audiences." said Brian. But he finished translation at the next moment.


We were aloud to take photos and movies without flash. But we can upload only photos to internet. If you want to watch Queen movie, search from YouTube.

Queeness movie in YouTube: SearchMix List of the 2014 Queeness live

Click photos to zoom.












CD's are available only in the live house. This is a collection of live musics of the Queeness Japan Tour.




I realized at many parents and children in the live house compared with the previous live in 2014. I am sure that the great Queen's music is inherited to next generation. Next videos are the kids and elders reaction to Queen's music.

KIDS REACT TO QUEEN


ELDERS REACT TO QUEEN



Related articles (in Japanese):

Queeness Freddie Mercury Birthday Live @ Shibuya duo MUSIC EXCHANGE Sep 6th, 2014 (YouTube Mix List)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a1cffd50e7aa38b46d544537f0aae927

Freddie Eto Live @ Yokohama, May 19th, 2008
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a5f915509c85b3d6e0ce8c68bec0a704

Takako Inaba's Jazz live, Feb 4th, 2006
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/aec6b6638f5d06d7fafecded5a2d979d


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自然法則: 量子力学による古典物理学の謎の解明

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昨日から今日にかけてTwitterで流れていた2つのニュース。自然法則の根幹にかかわる事がらなので、どちらもゾクゾクさせられる。ひとつは「解明への大きな一歩」そしてもうひとつは「解明」である。

最初に紹介する成果は熱力学第二法則を量子力学から導出、2つめに紹介する成果は古典電磁気学での問題を量子力学で解明したというもの。どちらも量子力学による古典物理学の謎の解明、自然現象をより深いレベルで理解できたという成果なのだ。

あとでじっくり論文を読んで理解しておきたい。自分のためのメモとして記事にしておこう。


量子力学から熱力学第二法則を導出することに成功 ~「時間の矢」の起源の解明へ大きな一歩 ~:物理工学専攻 伊與田英輝助教、金子和哉さん(D1)、沙川貴大准教授



プレスリリース:
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_201709061614152431248138.html

論文(英語)
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.119.100601

arXiv
https://arxiv.org/abs/1603.07857

東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の伊與田英輝助教、金子和哉大学院生、沙川貴大准教授は、マクロ(巨視的)な世界の基本法則で、不可逆な変化に関する熱力学第二法則を、ミクロな世界の基本法則である量子力学から、理論的に導出することに成功しました。これは、極微の世界を支配する「量子力学」と、私達の日常を支配する「熱力学」という、二つの大きく隔たった体系を直接に結び付けるものです。本研究では、量子多体系の理論に基づき、単一の波動関数(注4)で表される量子力学系において、熱力学第二法則を理論的に導きました。従来の研究とは異なり、カノニカル分布などの統計力学の概念を使うことなく、多体系の量子力学に基づいて第二法則を導出したことが、本研究の大きな特徴です。さらに、ゆらぎの定理と呼ばれる熱力学第二法則の一般化を、同様の設定で証明することにも成功しました。本研究の成果は、量子力学だけに基づいて不可逆性の起源を理解する大きな一歩となるのみならず、冷却原子気体など高度に制御された量子多体系の非平衡ダイナミクスの理解にもつながると期待されます。


以下は本件について伊與田英輝先生がツイートされた文面である。

共著者の沙川から伝言です。「量子力学から第二法則を導出」の意味を、少し詳しく(プロ向きに)説明させてください。

「量子力学から」は「(等重率の原理などの)統計力学の仮定を使わずに」という意味です。カノニカル分布などは確率モデル(つまりマクロな物理量を計算するための処方箋)であり、実際のミクロな量子状態がそうなっている保証はありません(詳しくは田崎さんの『統計力学』などを参照)。

この研究では熱浴がカノニカル分布であると仮定せず、単一のエネルギー固有状態の性質として、第二法則を証明しています。エネルギー固有状態は純粋に量子力学の概念なので、「量子力学から」と言えます。ここから、固有状態の重ね合わせや混合についても第二法則が示せます。

第二法則を満たさない例外的な固有状態もありえますが、その数が少ないことも証明しています。これはdisorderのない量子多体系の性質として証明できます(弱い形のETH)。(等重率の原理の強い表現である)ヒルベルト空間のtypicalityとは全く異なるものです。

「第二法則を」の部分は、「ゆらぎの定理」と呼ばれる熱ゆらぎの性質まで導出した点、つまり熱力学第二法則の背後にある構造も含めて量子力学から出ることを示した点が重要です。Random waiting timeと呼ばれる先行研究の手法では、これを示すことはできませんでした。

ちなみにこの「量子力学から第二法則を導く」という方向性は、早くも2000年ごろに田崎さん @Hal_Tasaki が言い始めて、最近になってようやく世界的に重要性が認知されてきた話です。今回の結果はこの方向性で初めて満足のいくものだと(僭越ながら)思っています。

余談:小学生女子が「量子力学から熱力学第二法則を導出」という東大工学部の発表をRTするのがTwitter
https://togetter.com/li/1148275


ファインマンも解けなかった問題を解明 ~ファラデーの電磁誘導の法則とローレンツ力はなぜ同じ起電力を与えるのか~(筑波大学)



プレスリリース:
https://research-er.jp/articles/view/62558

国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター小泉裕康准教授は、磁場を横切る導線に生じる誘導起電力が「ファラデーの電磁誘導の法則」と「ローレンツ力」という2つの本質的に異なる方法で求めることができるのはなぜかを明らかにしました。この誘導起電力を求める問題は高等学校の物理の教科書にも載っており、馴染み深い問題です。しかしそれにもかかわらず、2つの本質的に異なる方法で結果がなぜ一致するのか、これまで明らかにされていませんでした。

1. 磁場を横切る導線に生じる誘導起電力が2つの本質的に異なる方法、「ファラデーの電磁誘導の法則」と「ローレンツ力」で求めることができるのはなぜかを明らかにしました。

2. 電子の運動を量子力学的な波動関数で記述すると同時に、電磁場をゲージ場とし、電場、磁場の代わりにゲージポテンシャルを用いることにより、この問題を解きました。

3. 高等学校の物理の教科書にも記載されていた奇妙な一致に対する理論的な回答が得られると同時に、量子コンピュータの開発にも貢献する成果です。


「ファインマンも解けなかった奇妙な一致」については無料公開されている「英語版のファインマン物理学」ではVolume II、Mainly Electromagnetism and Matterの「Chapter 17: The Laws of Induction」の冒頭に書かれている。また日本語版では「第3巻:電磁気学」の「第17章: 誘導法則」の最初の3ページに書かれている。

  

この中でファインマンは次のように書いている。

We know of no other place in physics where such a simple and accurate general principle requires for its real understanding an analysis in terms of two different phenomena. Usually such a beautiful generalization is found to stem from a single deep underlying principle. Nevertheless, in this case there does not appear to be any such profound implication. We have to understand the “rule” as the combined effects of two quite separate phenomena.

われわれは物理学のほかの所ではどこにも、このように単純で正確な一般法則がほんとうの理解のために二つのちがった現象による分析を必要とする場合を知らない。普通にはこのような美しい一般化は唯一の深い、基礎原理から導かれることがわかる。しかるに、今の場合にはこのような深い意味は見られない。われわれは“規則”を二つの全く別の現象を結び合わせた効果と理解するより仕方がない。


この奇妙な一致の謎は、もちろんファインマンだけでなく、誰にも解けていなかった。

樺沢宇紀先生によると「古典電磁気学で見られた2つの本質的に異なる方法での奇妙な一致は、電子の量子状態を表す波動関数の位相因子の2重性により繋がっていた結果」だということである。


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