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第56回 神田古本まつり、第26回 神保町ブックフェスティバル

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一昨日から神保町で神田古本まつりが開催されている。今日行ってきたので何を買ってきたか記録として残しておこう。

第56回 東京名物神田古本まつり 2016年10月28日(土)~11月6日(日)
http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html

同じ地域で今日と明日は「神保町ブックフェスティバル」も開催されている。出版社ごと出店の路上のワゴンセールと露店で賑うイベントだ。古本まつりと両方楽しむのだったらこの土日に行くべきだろう。

第26回 神保町ブックフェスティバル 2016年10月29日(土)、30日(日)
http://jimbou.info/news/book_fes.html


買ったのはこの3冊。左の2冊は明倫館書店の店舗内での買い物になった。左の2冊は合計6,000円。右のライプニッツの伝記は神保町ブックフェスティバルのワゴンセールで買った。こちらは2,000円。どれもアマゾンの中古本のいちばん安いのよりも安く買えた。




加群十話―代数学入門: 堀田良之



内容: 一般に、足し算や、掛け算などの演算を備えた体系を代数系といい、なかでも、群や環とよばれるものが重要である。特に、環の研究が大切であって、通常、数学で代数的手法と言われているものは大抵この形態をとる。それぞれの分野に従って、いろいろな環があり、それぞれ独自の方法が編み出されている。この本は、そのような研究方法の切れ端でも紹介してみようか、というつもりで書いたものである。対象とする読者は、数学に興味をもつ高校生や初年級の大学生、あるいは、代数学を勉強したいが、本格的な教科書を開いても講義を聴いても、いま一つポイントがつかめずに今困っている方々である。

僕のコメント: 以前から読みたいと思っていた本だ。高校生から読めるというのは少し言い過ぎで、超優秀な高校生から読めるというのが本当のところだ。


物理学におけるリー代数―アイソスピンから統一理論へ: ジョージァイ



内容: 本書は、S.Glashowと共にSU(5)に基づく素粒子の大統一理論を初めて構築した著者H.Georgi自身が、その研究の苦闘の中から体得した豊富な実践的知識にもとづいて、リー群の全貌を平易な物理学者の言葉で解説したものである。簡単な量子力学系からアイソスピン、そしてSU(5)やSO(10)に基づく大統一理論に至るまで、物理学からの豊富な実例を上げながら、リー代数とその表現論を説明してゆく手際は見事である。読者は量子力学の初等的知識さえあれば、三次元回転群SO(3)から、一般の古典群SO(n)、SU(n)、Sp(n)、そして例外群までを容易に理解でき、最後にはそれら全ての単純群を本当に身近な道具として使えるようになるだろう。

僕のコメント: これも以前から読みたいと思っていた本なので迷わず購入。


ライプニッツの普遍計画―バロックの天才の生涯: E・J・エイトン



内容: 17世紀のドイツの哲学者にして数学者。歴史学、神学に通じ、政治家、外交官としても活躍した天才の生涯を丹念に描く。微積分の発見、二進法の考案、計算器の発明と多彩な業績も紹介。

僕のコメント: ライプニッツの伝記本。彼の人物像は知らなかったのでアマゾンで中古価格を調べてから購入。よさそうな本である。


あと明倫館書店の歩道上に置かれた本棚に今年3月に逝去された寺田文行先生の「数学の鉄則シリーズ」があったので買っておいた。



それぞれ300円である。この写真の3冊のほか「確率・統計」も買ったのだが表紙のデザインが違うので写真は3冊だけでの記念撮影ということにした。「数学の鉄則シリーズ」や大学受験のときにお世話になった寺田文行先生のことは来年の命日にブログ記事で紹介するつもりだ。


神保町に行くとたいてい水道橋まで歩いて行って尾道ラーメンを食べるのだが、今年は時間が押していたので「さぼうる2」の前の格安中華店で手っ取り早く食事を済ませた。麻婆豆腐丼+ミニラーメンで550円。




歩道の上の明倫館書店の棚の写真を載せておく。屋外に出された本は特に安い。これからいらっしゃる方は参考にしていただきたい。クリックすると拡大するようにしておいた。












関連記事:

第56回 神田古本まつり
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e6f8747520c13a604be12dc5c9fdfd2c

第25回 神保町ブックフェスティバル
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2d423e662d49ff313acec5c991b6399e

第51回 神田古本まつり
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c8b3a07e28fd98a1f3f7feb852e1d2b1

とねの本棚 (蔵書目録)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2949d01bf2f786f7d788c7f191fc3daa


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マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン

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マーミン相対論―新しい発想で学ぶ:デヴィッド マーミン

内容紹介:
マーミン博士は、本書のなかで、常識からすればきわめて不思議にみえる相対論について、科学に興味をもつ学生たちが理解しやすいように、新しい発想にもとずいた展開を試みている。全編を通じて明快さと機知が溢れ、いままで分からなかったことが霧が晴れるかのように見えてこよう。その他、「対数の面白さ」など“数の神秘”についての話や、偉大な物理学者ランダウに対する素直な思いを綴ったエッセイなどを収載。
1994年9月刊行、196ページ。

著者について:
デヴィッド・マーミン(ウィキペディアホームページ
コーネル大学名誉教授(物理学)。米国物理学会のリリエンフェルト賞および米国物理教育学会のクロプステッグ賞を受賞。米国科学アカデミー、米国芸術科学アカデミーの会員。この数十年の間に、量子論の基礎的な問題に関する多くの著作を執筆しており、科学の啓蒙に関する明瞭さと機知には定評がある。

訳者について:
町田茂(まちだ しげる)
1926生まれ。京都大学名誉教授。理学博士。1949年東京大学卒業。広島大学講師,立教大学助教授,同教授を経て京都大学教授,現在京都大学名誉教授。主な研究分野は素粒子論,量子力学の基礎。著書に『現代科学と物質概念』(共著,青木書店),『量子論の新段階』(丸善),『基礎量子力学』(丸善),『量子力学の反乱』(学研)がある。


理数系書籍のレビュー記事は本書で320冊目。

アインシュタインの特殊相対性理論はとっくの昔に学び終えたと思っていたのだが、あながちそうではなかった。本書のことはT_NAKAさんから教えてもらったのだが、「光なしの相対性理論」を解説しているユニークな本なのである。

みなさんご存知のとおり、特殊相対性理論はアインシュタインが16歳のときに「手鏡で顔を見ながら光速で飛べたとしたら、鏡に自分の顔は映るのだろうか?」と疑問を抱いたことから始まった理論だ。1905年、彼が26歳のときに発表した「運動している物体の電気力学について」という論文も電磁気学のマクスウェル方程式に特殊相対性理論を適用させる電気力学についての論文である。

たいていの入門書ではアインシュタインが考えたのと同じ方法で説明がされているから、「光速度不変の原理」はいちばん大切で、光(電磁波)の存在なしにこの理論は導けないのだと思っている人が多い。僕もそのひとりだった。聖書の「神は言われた「光あれ」こうして光があった。」とはよく言ったものだと僕は思っていた。特殊相対性理論によってニュートンの絶対空間は修正され、ローレンツ変換であらわされる伸縮する4次元の時空の概念を私たちは獲得することができたのである。

ところがこの本によれば光は必要なかったのである。光のように運動するどの系(観測者)から見ても同じ速度に見える「不変速度」があることや、その不変速度はこの世界の最大速度であること、ローレンツ変換のような時空が光の存在を使わなくても導けてしまうのである。この理論には「光なしの(特殊)相対性理論」という名前が与えられた。そして1910年には最初の論文が発表されていたのである。

ツイッターでアンケートをとってみたところ8割ほどの人がご存知ないようだ。



本書は相対性理論を詳しく解説しているような印象のタイトルだが、相対性理論は最初の5章だけで、残りはすべて相対性理論以外のテーマである。そして最初の5章についても一般相対性理論は含まれず、特殊相対性理論だけである。著者のマーミンは相対性理論だけ解説した「It's About Time: Understanding Einstein's Relativity」や「Space and Time in Special Relativity」をお書きになっているが、この2冊は邦訳されていない。

光なしの相対性理論のことは後述するとして、まず本書の全体の構成を述べておこう。

第6章以降はエッセイ集、物理学よもや話のようなもので2ページほどの短い章もあれば、10ページ以上続く長い章もある。全体的に「寄せ集め感」が否めない。


第1章:すばらしい多色相対性エンジン

学生に特殊相対性理論を教えるための著者のアイデアである。名付けて「相対性理論エンジン」だ。もともと機械仕掛けで教材を考案したのだが、パソコンソフトで実現するイメージで解説されている。次のようなイメージだ。



しかし、書かれたのがキャラクタ端末のパソコンを使っていた頃で、今となっては時代遅れだ。説明も複雑で僕にはかえってわかりにくいものに感じた。

第2章:光速度一定から導く相対論的な速度の加法則

ローレンツ変換を使わないばかりでなく、長さの収縮も時間の遅れも、そして同時刻の相対性も使わずに相対論的な速度の加法則を導く。初歩的な代数計算で導くことができる。



第3章:光なしの相対論

詳細は後述する。

第4章:E=mc^2

アインシュタインの思考実験では、エネルギー含量の変化は光の放出によって生じ、電磁波のエネルギーに対する変換則に基づいてE=mc^2を求めている。この章では純粋に力学的に、ひとつの非弾性過程を考えるという方法で同じ式を導出している。でてくる数式は高校数学程度であるが、導出過程は複雑なので大学初年度以降の学生向きだ。

第5章:相対論の悲喜劇

相対性理論を題材にした寸劇の脚本。僕には意味がよくわからなかった。

第6章:「対数!」の面白さ

いろいろな自然数を低にもつ対数の値を概算で計算するテクニックを紹介している。関数電卓やパソコンが自由に使える現代では興味を引く話題ではないが、著者がこの本を出版した1984年でも関数電卓は安く手に入っていた。昔はこのようにして計算していたということを知っておくのもよいかもしれない。

第7章:スターリングの公式

スターリングの公式の値を求めるために近似式を使うわけだが、より早く収束する級数を段階的に紹介する。プログラム電卓やポケットコンピュータを使い始めた時代に書かれた文章だ。

第8章:空に浮かぶパイ

ラマヌジャンが発見した円周率(π)の驚異的な近似式を紹介し、それがなぜすごい式なのかを説明した文章。

第9章:力学と量子論における変分原理

1952年に出版された「力学と量子論における変分原理」という本の第3版に対するマーミンの感想が書かれている。学生にとってはとても有益な本なのだそうだ。

第10章:新語をつくりたがる物理学者

マーミンは超流動ヘリウム3に見られるある現象に対して「ブージャム」という新語を科学の国際語にしようとしたことがあった。この章はこの用語がなかなか受け入れられず、彼が苦労したことを書き綴ったかなり長い文章である。

第11章:卒業式での挨拶

サンタフェにあるセントジョンズ・カレッジの卒業式での挨拶をマーミンが依頼されたことにまつわる文章。僕はあまり面白いと思えなかった。

第12章:一人の偉大な物理学者…そして偉大な人格

アンナ・リヴァノーヴァ著『ランダウ--優れた物理学者にして教師』という本に対するマーミンの書評である。

第13章:ランダウと共に過ごした日々

「ランダウと共に過ごした日々」というタイトルで行われたランダウ追悼会議での講演内容である。物理学者としてマーミンは数え切れないほどの恩恵、借りがあるとおっしゃっている。


翻訳の元になった原書はこちら。1990年に出版された。目次を見ると26章から構成されており、日本語版では半分しか翻訳されていないこと、章の順序がまるで違うことがわかる。

Boojums All the Way through: Communicating Science in a Prosaic Age: N. David Mermin」(Kindle版




「光なしの相対性理論」について

さて本題に移ろう。まず私たちが普通に学ぶ特殊相対性理論の簡単な復習だ。次のような(等速直線運動をする)2つの慣性系を考える。



すると2つの系の間には次のローレンツ変換であらわされる関係が成り立つ。cは光の速度で、vは左の慣性系に対する右の慣性系の相対速度だ。光速度不変の原理によりcはどちらの慣性系から見ても一定値であることを要請している。



そして速度の合成(速度の加法)について、小学校以来慣れ親しんでいるニュートン力学の世界、ガリレイの相対性原理の世界では次のようになる。



ところが特殊相対性理論、ローレンツ変換をもとに計算する現実の世界での式は次のようなものになっているわけだ。



ちなみにEMANの相対論では「ローレンツ変換の求め方」や「なぜ光速を越えられないのか」のページでローレンツ変換や速度の合成が解説されている。


本書の第3章「光なしの相対論」では、速度の加法則(速度の足し算)の式を導出してから3つの慣性系を使って「不変速度」が存在することを導出している。高校数学レベルの数式とはいえ、とても込み入っていてわかりにくい。

T_NAKAさんは「光なしの相対論」という記事で本書のことを紹介されているが、実際にご自分で5回の記事に分けて計算を示されている。(記事)疑問に思うことはとことん自力で確認してみる方で、大ざっぱに理解して済ましてしまう僕は頭が下がる思いがする。

本書の導出手順が難解であることはT_NAKAさんもおっしゃっていて、「「光無しの相対論」はこんなに簡単」という記事の中で「連載<相対論>」というページの中の「特殊相対性理論2」というPDF資料のほうがずっとわかりやすいと述べている。みなさんもこのPDF資料で学ばれるとよい。

実はこのPDF資料で紹介されている導出手順は、次の本で紹介されているものだ。中古本があったので購入して読んでみた。(僕が中古で残っていた最後の1冊を買ってしまった。読者の方ごめんなさい。)

相対性理論のパラドックス―タキオンの物理: Ya.P.テルレッキー



この本の原書(ロシア語)の初版は1966年に刊行されており、上の日本語版は1966年のロシア語版の不備をなおして翻訳し、1989年に刊行されたものだ。(1966年にも日本語版が刊行されていたので1989年版は増補新版と表記されている。)章立ては次のとおり。

序論
第1章:相対性理論の名称と内容
第2章:アインシュタインの要請とローレンツ変換
第3章:運動学的パラドックス
第4章:相対論的力学のパラドックス
第5章:光速度を超える速度は可能か?
第6章:負と虚の固有質量
第7章:星の集団の熱力学的安定性について

第2章の中に「光速度不変の原理を用いないローレンツ変換の導き方」がある。負の質量をもつ「ネガトン」や虚の質量をもち超光速で運動する「タキオン」などの粒子の物理を計算で示しながら解説した本だ。特殊相対性理論の本としてはかなり特異な内容である。

この本は英語版も2013年に刊行された。日本のアマゾンだと絶版で中古価格は1万円するが、米国アマゾンだと新品が99ドルで買える。(見てみる

Paradoxes in the Theory of Relativity: Yakov Terletskii




上記のPDF資料でもテルレッキーのこの本でも同じことだが、「光なしの相対性理論」のこわかりやすい導出手順は、次の3つのことを前提としている。

1)空間の等方性(すべての空間方向の同等性、つまり対称性)
2)空間と時間の一様性(空間・時間の性質が基準系の原点の選択に依存しないこと)
3)相対性原理(すべての慣性基準系の完全な同等性)

これだけである。「光なしの相対性理論」が興味深いのは光や電磁波という物理的な実在を考えなくても時間と空間を幾何学的に考えるだけで不変速度の存在や、それが最大速度であることが導けてしまうところにある。

その不変速度が0のときは私たちが慣れ親しんだガリレオ変換が成り立つ世界、0より大きいときはローレンツ変換が成り立つ特殊相対性理論の世界になる。この理論だけでは不変速度の値は具体的には求められない。実験によって光が不変速度cをもち、それが自然界の最大速度であることが明らかになったため、「光なしの相対性理論」で導出された不変速度が光速であると考えられているわけである。

しかし物理学者のパウリは「群論的な仮定(つまり対称性の仮定)からは、変換式の一般形を導くことができるだけで、その物理的内容を導くことはできない」と言っている。たしかに「光なしの相対性理論」は数学的(幾何学的)議論に終始するわけだから、物理的内容がでてくるはずはない。それにも関わらず、この理論を考えることには十分な意義があると思えるのだ。

「光なしの相対性理論」は「Relativity without light: a further suggestion」という英語のPDF資料でも導出手順が示されている。この資料によると、理論が最初に示されたのは1905年のアインシュタインによる発表のわずか5年後の1910年だったようだ。現在に至るまで、マーミンを含めて次のような科学者によって論文が書かれている。(論文の発表年の順)

Ignatowski (1910, 1911a, 1911b)
Frank and Rothe (1911, 1912)
Pars (1921)
Kaluza (1924)
Lalan (1937)
Dixon (1940)
Weinstock (1965)
Mitavalsky (1966)
Terletskii (1968)
Berzi and Gorini (1969)
Gorini and Zecca (1970)
Lee and Kalatos (1975)
Levy-Leblond (1976)
Srivastava (1981)
Mermin (1984)
Schwartz (1984, 1985)
Singh (1986)
Sen (1994)
Field (1997)
Coleman (2003)
Pal (2003)
Sonego and Pin (2005)
Gannett (2007)
Silagadze (2007)
Certik (2007)
Feigenbaum (2008)


重力(波)の速度

1916年に発表された一般相対性理論によると重力、重力波の伝わる速度も光速に等しいことが導かれている。これは「 [A8] 重力波について(1918年)」という論文に書かれているし、EMANの相対論では「重力波」のページで具体的に計算手順が示されている。

光と重力波はまったく別物なのに、どちらも自然界の最高速度で伝わるというのも不思議な気がする。

しかし重力波の速度はまだ観測されたことがない。アインシュタイン最後の宿題として「重力波の初観測」が今年の2月に発表されたばかりだ。

重力子(グラビトン)の質量がゼロであるから重力も光速で伝わるということらしいが、重力子にしても観測されてるわけではない。そもそもアインシュタインは重力子など知っていたはずがない。

ウィキペディアの「Speed of gravity」を見ると、いちばん下の「Direct measurements of gravitational waves(重力波の直接観測)」のところには次のような記述がある。



これによると重力子の質量はゼロより大きい可能性があり、この場合、重力(波)の伝わる速さは光速より遅くなるわけだ。

私たちが生きている間に重力子が観測され、その質量も明らかになるのかは予想がまったくつかないが、近年のLHCやLIGOをはじめとする観測装置のもたらした成果を思うと、もしかすると。。。という気持ちになってくるわけである。


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マーミン相対論―新しい発想で学ぶ:デヴィッド マーミン



訳者まえがき
日本語版への序

第1章:すばらしい多色相対性エンジン
第2章:光速度一定から導く相対論的な速度の加法則
第3章:光なしの相対論
第4章:E=mc^2
第5章:相対論の悲喜劇
第6章:「対数!」の面白さ
第7章:スターリングの公式
第8章:空に浮かぶパイ
第9章:力学と量子論における変分原理
第10章:新語をつくりたがる物理学者
第11章:卒業式での挨拶
第12章:一人の偉大な物理学者…そして偉大な人格
第13章:ランダウと共に過ごした日々

注および文献

タイム・シップ:スティーヴン・バクスター

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タイム・シップ:スティーヴン・バクスター」(Kindle版

内容紹介:
1891年、時間航行家は再び未来へ旅立った。タイム・マシンを発明した時間航行家は、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救うためマシンを再起動し、西暦80万2701年の未来をめざした。だが、彼がたどり着いたのは高度な知性を有するモーロック族が支配する異なる時間線の未来であった。H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ、英米独日四カ国のSF賞を受賞した量子論SFの傑作。英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞受賞。
2015年12月刊行。736ページ

著者について:
1957年、リバプール生まれ。ケンブリッジ大学で数学の学位を取得後、サウサンプトン大学で工学博士号を取得。学生時代からSFを執筆し、1987年〈インターゾーン〉誌掲載の短篇「ジーリー・フラワー」でデビューした。この短篇に始まる壮大な宇宙年代記〈ジーリー〉シリーズは、長篇第1作『天の筏』(91)、『時間的無限大』(92)、『虚空のリング』(93)などが発表され、新世代のハードSF作家として注目を集めた。バクスターは巨匠アーサー・C・クラークの後継者と目される存在で、長篇『過ぎ去りし日々の光』(00)、『時の眼』(03)に始まる〈タイム・オッデセイ〉三部作をクラークと共作している。本書『タイム・シップ』(95)は、H・G・ウエルズの古典的名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して、ウエルズの遺族の公認を受けて執筆された。英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞という英米独日の四カ国のSF賞を受賞した傑作である。

訳者について:
中原尚哉
1964年生、1987年東京都立大学人文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家


H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ、英米独日四カ国のSF賞を受賞した量子論SFの傑作。

2年前にH・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』を読んだときに、いつもコメントをくださるhirotaさんから「続編も面白いですよ。」と教えてもらった。その後、中古で購入していたのだが昨年Kindle化されていることに気が付いて読んでみた。通勤時の読書である。電車で片道30分で、週に2回しかオフィスに行かないので、700ページ以上ある本書は読み終えるまでずいぶん日数がかかった。(読み始めたのはたしか9月の中旬だったと思う。)

この続編は1995年に出版されたもの。H・G・ウエルズの子孫から正式にお墨付きがついている作品である。名作の続編を書くのは並大抵のことではない。ヒットしなければ作家としてのキャリアに与えるダメージは相当あると思うし、元の作品を大切に思っているコアな読者から批判の対象にされかねない。何より元の作品の雰囲気や良さを引き継ぎつつ、新しい話を創り出さなければならない。

このような意味で本書は成功しているのかな?と疑いを持ちつつ読み始めたのだ。これからお読みになる方のためにネタバレはしたくないので、あらすじは書かないことにする。

『タイム・マシン』が相対性理論に基づくタイムトラベルをもとに話を進めているのに対し、『タイム・シップ』はタイムトラベルだけでなく量子論が描き出す世界像を取り入れている。その結果、ふたたび未来に戻った時間旅行者は、前に戻ったときと別の世界を目撃する。タイムトラベルするとういう行為自体が、時間の流れを大きく狂わせてしまったのだ。

『タイム・マシン』の話のほうで行ったのは80万年後の世界である。『タイム・シップ』では今回もその世界に行き、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救おうとしたのだが、80万年後の世界にはたどり着けず60万年後の世界に「不時着」してしまった。そこは前回の旅では存在していなかった高度な文明が栄えた世界だった。

『タイム・マシン』では1往復しかしなかった時間旅行も本書のほうでは、何度も繰り返される。また60万年後の未来で知り合う「相棒」も登場し、最後までよき友として時間旅行者と行動をともにする。

本書の面白さは、タイムトラベルによって着いた先々の世界の描写が予想を超えたスケールであることだ。よくもまあこんな世界を思いつけるなあと感心させられる。未来旅行するだけでなく、とてつもない過去にも行くことになる。そして過去への旅として「究極の目的地」が設定される。それがどこなのかは書かないでおくことにしよう。

このように話はどんどん膨らんで続いていくから、とりとめがなくなるものだ。最後はどのように結ぶのかと気になりながら読み進むと「ああ、なるほど!」という結びでこの長編小説は締めくくられる。心地よい読後感だった。

「科学的にこれはあり得ないだろ。」とツッコミを入れたくなる箇所はいくつもあるし、降りかかった難題が都合よく解決してしまうところも多い。けれどもSF作品なのだし、壮大な話をこれだけ楽しませてもらっているのだからそういった箇所も許せてしまうのだ。


『タイム・マシン』を読んだ人は、ぜひこの作品もお読みになってほしい。hirotaさん、面白い本を紹介していただきありがとうございました。


2015年に刊行された「合冊版」はこちら。

タイム・シップ:スティーヴン・バクスター」(Kindle版




格安の中古本をお求めの方は、こちらがよいだろう。

タイム・シップ〈上〉:スティーヴン・バクスター
タイム・シップ〈下〉:スティーヴン・バクスター

 


原書でお読みになりたい方は、こちらをどうぞ。ハードカバーのは高いのでKindle版がお勧め。

The Time Ships: Stephen Baxter」(Kindle版




関連記事:

タイム・マシン(創元SF文庫):H.G.ウェルズ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8da7aa290936e09141fb075eb9e6af31


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家族の逝去の件

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「家族」というのは他家へ嫁いだ僕の妹のことなのですが、本日午後3時45分、療養中の自宅で家族に見守られながら静かに息をひきとりました。享年50歳です。

とても悲しいですが、苦しむこともなく、これほど穏やかに最期のときを迎えられたことに胸をなでおろしています。

8年におよぶ闘病生活の後、今年の7月には危篤状態に陥ったのですが、奇跡的な回復をみせて8月13日に退院し、療養生活のための新居で再スタートを切っていました。

家族と一緒のリハビリ生活は妹には幸せで、とても貴重な3カ月間を過ごすことができました。その間、家事もこなしていましたし、長男と2人の娘の母親としての役割も立派につとめ上げました。ママ友の数はとても多く、毎年花見会を企画、準備をして大活躍。参加者が75人に達する年もありました。あの手際のよさはどこで学んだのか僕にはわかりません。

7月から8月にかけて入院したときも、あまりにも多い見舞客にナースステーションでは有名人になっていました。「~さんって、もしかして本当の有名人なのかしら?」と噂されていたようです。ごく普通の専業主婦なのですけれどね。(翌日追記: 葬儀には200人以上の方が参列してくださることになりそうです。)

病院で重篤のとき妹はLINEもできなかったので、僕は見舞いに来てくれた妹の同級生にときどきLINEで容態を連絡するようになっていました。やがて妹は回復し自分でLINEをできるようになりました。ある日僕が妹の友達にいつものように連絡をすると、しばらくして妹が怒って電話をしてきました。「何でお兄ちゃん、勝手に私の友達と連絡とってるのよ!やめてよね!」 何十年かぶりに妹の怒りを買ってしまい僕はびっくりしましたが、むしろそこまで回復した妹をすごく嬉しく思いました。


10月上旬に下腹部に鈍い痛みを感じて痛み止めを飲んで過ごしていました。11月の第1週には車椅子を押してもらって買い物にも出かけていました。

先日の日曜の夜に容態は急に悪化。月曜の午前中に僕は妹の家族から連絡を受け重篤な状態であることを知り、仕事を切り上げて妹の家に向かいました。(妹の家は僕の家からバイクで15分のところにあります。)

以来、昼夜張り詰めた気持ちで妹を見守り、ときどき自宅に戻って休養したり、本業の仕事をしてから妹の家に戻るという生活を今日まで続けていました。高齢の両親の送迎も何度かしていました。

この8年間、妹は病魔にめげず、明るく前向きに過ごしてきました。今日まで本当によく頑張りました。われながらすごい奴だと思います。

月曜からの5日間、僕はいろいろなことを妹に話しかけてきました。最初の日はときどき目を開けていたものの返事ができる状態ではありませんでしたが、すべて僕の本心だからしっかり胸にきざんで旅立ってほしいです。

今夜は妹と過ごした日々を思い出しながら、LINEで交わしてきた会話を順に読みながら酒を飲んで過ごしたいと思います。


妹の希望により、病名や名前はネットには公開しないことにいたします。

勉強やブログの執筆は、葬儀が終わってから再開する予定です。


関連記事:

ご連絡: 1週間ほどインターネットから離れます。
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発売情報: 経済数学の直観的方法: 長沼伸一郎

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経済数学の直観的方法 マクロ経済学編:長沼伸一郎」(Kindle版
経済数学の直観的方法 確率・統計編:長沼伸一郎

内容紹介:
理系学生伝説の参考書『物理数学の直観的方法』の著者による、画期的な経済数学の入門書。

現代の経済学は、物理学に基づく高度な数学を取り入れているため、難解なイメージがあります。本書では、理系と文系の中央位置から、双方を視野に入れる独自のアプローチを取っているため、直観的な理解の道を拓くことができます。

経済数学の二大難解理論である「動学的マクロ均衡理論」「ブラック・ショールズ理論」。この2つの理論の頂上部分を直観的に理解することで、今まで難物だった他のこまごまとした数学技法を、ちょうど一番高い2つの山からそれより低い山を見下ろす要領で、精神的に呑んでかかって楽に理解できるようにします。

「マクロ経済学編」では、二大難解理論の一方で、経済学の最重要理論である「動学的マクロ均衡理論」を一気に理解することを可能にします。

「確率・統計編」では、現代の金融工学の礎となる「ブラック・ショールズ理論」を身につけます。70点に及ぶ図・グラフを中心に、「正規分布曲線が生まれるメカニズム」「標準偏差、分散の意味」「最小2乗法の基本思想」「中心極限理論の不思議」「確率過程とランダム・ウォーク」「ブラウン運動とブラック・ショールズ理論」「伊藤のレンマと確率微分方程式」「測度とルベーグ積分」など、重要テーマの本質的理解を試み、教養としてのブラック・ショールズ理論を身につけていきます。

本書では、専門課程の学生のための本格的な数学的部分を後半部分に集中させることで、前半部分は一般読者でも読めるように工夫されています。そのため経済学部の学生が本書を数学の難所突破の特効薬として使うのはもちろん、一般読者の方々も、本書を数少ないこれらの一般向けの解説書として使うこともできます。

2016年9月、11月刊行。

著者について:
長沼伸一郎(ながぬましんいちろう): http://pathfind.motion.ne.jp/
1961年東京生まれ。1983年早稲田大学理工学部応用物理学科(数理物理)卒業、1985年同大学院中退。1987年、『物理数学の直観的方法』の出版により、理系世界に一躍名を知られる。「パスファインダー物理学チーム」代表。


あの伝説の書の著者、長沼伸一郎さんが30年ぶりに本格的な本をお出しになった。今回はなんと経済数学の本である。経済学部の学生はもちろん、経済学には興味のない物理学徒であっても読みたくなる気持ちが僕にはよくわかる。物理数学の難所を克服するための『物理数学の直観的方法』で学生を救ったのと同じスタイルで、今度は数学に苦しむ経済学部の学生に救いの手を差し伸べたのだ。

そもそも長沼さんがなぜ経済数学の本をお書きになったのかは、長沼さんによる説明をお読みいただきたい。

難解な「経済数学」を直観的に理解できるスゴい本が現れた!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49722

この2冊で上級経済学で、もっとも難解とされる2つの理論「動学的マクロ均衡理論」、「ブラック・ショールズ理論」を攻略してしまおうというわけだ。

経済学を網羅的に学ぶための本ではないし、経済数学全般が学べるわけではない。それらを学びたいのであればアマゾンで「経済学入門」や「経済数学入門」のキーワードで検索してヒットする本をお読みになったほうがよい。


経済数学の直観的方法 マクロ経済学編:長沼伸一郎」(Kindle版)(正誤表



第1章 初級編
1.経済学は物理の思想からどう影響を受けて発達したか
2.「二大難解理論」以前のケインズ経済学
3.米国の経済思想と動的マクロ理論の登場

第2章 中級編
1.フェルマーの原理に隠された動的理論の本質
2.「最速降下線」によるさらに高度な部分の理解

第3章 上級編
1.動的マクロ理論の各モデル
2.各モデルの具体的内容
3.ラグランジュ乗数とハミルトニアンの関連性

第4章 経済学部で知っておくべき微分方程式の基本思想

第5章 固有値の意味

第6章 位相・関数解析

発売から2カ月しか経っていないにもかかわらず、アマゾンには15件ものカスタマーレビューが投稿されている。レビュー記事やこのブログ記事にいただいたコメントによると、長沼さんは本書を書くにあたって「上級マクロ経済学:デビッド・ローマー」をメインに「現代マクロ経済学:加藤涼」、脇田成先生の「マクロ経済学の本」を参考にされたようだ。同じ分野の本では「マクロ経済学―動学的一般均衡理論入門: 林貴志」もよさそうである。

物理数学の直観的方法』は発売された当時は異端とみなされていた。経済学に詳しい方のレビューを読むと、本書は異端とまではいかなくてもこれまでに出版された経済学書と一線を画した内容を含んでいることがわかるだろう。


経済数学の直観的方法 確率・統計編:長沼伸一郎」(正誤表



第1章 初級編
1.確率統計を理解するための根本思想
2.われわれの世界の確率統計はどう成立したか
3.補足的な基礎知識

第2章 中級編
1.最小2乗法の本質
2.中心極限定理の不思議
3.ブラウン運動とブラック・ショールズ理論
4.教養としてのブラック・ショールズ理論

第3章 上級編
1.伊藤のレンマと確率微分方程式
2.実際のブラック・ショールズ理論

第4章 測度とルベーグ積分

こちらはミクロ経済学の本だ。ブラック・ショールズ理論にフォーカスしているが、僕がこれまで読んできた本では「増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式:石村貞夫、石村園子」と「Excelで学ぶデリバティブとブラック・ショールズ:藤崎達哉」がお勧めである。

Kindle版もじきに発売されるだろうし、経済学を学ばれた方がどのようなカスタマーレビューをアマゾンにお書きになるか楽しみだ。


関連記事:

物理数学の直観的方法 第2版
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3f0691787cd4b47a715f3d0e2c409f76

物理数学の直観的方法〈普及版〉 (ブルーバックス):長沼伸一郎
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ab9396e295687179ac3a71553b8165a1

世界一やさしい金融工学の本です:田渕直也
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fb8ba61b788ced32e58b826d6f0b8c73

増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式:石村貞夫、石村園子
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4601dda9ae0833c273d5d04aa83424d7

Excelで学ぶデリバティブとブラック・ショールズ:藤崎達哉
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0ba1e4ccd6d4c416090d4ec7f1e473ac

確率論:伊藤清
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/676542cb57c5c67ec511257b44c73c82

ルベーグ積分入門:伊藤清三
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/686a82d413fe6668cb776488820b1b39

ルベグ積分入門:吉田洋一
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b48ebd53c2e741330526f5d3ff71586f


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重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル

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重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル

内容紹介:
最小限の数学で学べる一般相対性理論の画期的教科書!
本書は「世界天文年2009日本委員会公認」書籍に選ばれました。
アインシュタインの一般相対性理論は、現代物理学に欠かせない基礎である。それは、ブラックホール、曲がった時空、重力波、宇宙論などの豊かな話題を提供し、学ぶものすべてを魅了する。しかしこの学習には、微分幾何学の知識を身に付け,アインシュタイン方程式を導入しなければならない大きな壁があった。
本書は、学部のカリキュラムに一般相対性理論を取り入れ、物理専攻の可能性を持つすべての学生がこの基礎理論を学べるようにした、画期的な教科書である。高名な相対性理論物理学者のジェームス・ハートルは、科目へのアプローチとして「まずは物理を!」をかかげ、複雑な数学は最小限ですませながら物理現象への理論適用を説明し、一般相対性理論を取り組みやすいものしている。学生にとっては、学ぼうとしている重力物理学から始められ、難しい数学でつまずくことがなく理論を身につけられる。
2016年6月刊行、上巻350ページ、下巻343ページ。

著者について:
ジェームズ・B・ハートル
カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授

訳者について:
牧野伸義
1966年生まれ。1994年、広島大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、大分工業高等専門学校一般科理系教授。理学博士。


理数系書籍のレビュー記事は本書で321冊目。

今月26日に開催される日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」を受講するので、予習のつもりで読んでみた。この2週間は時間がとれず全く勉強できなかったのだが、なんとか上巻を読了。

特殊相対論の部分はさておき、一般相対論の教科書なので難しいのを覚悟して読み始めたわけだが、意外なほど易しくてとっつきやすい。図版が豊富で「新しい教科書」の雰囲気に満ちている。思わず「ファインマン物理学の第1巻、力学並みに易しい。」とツイートしてしまったくらいだ。でも易しいのは第6章あたりまでである。第7章からは適度に難しくなり、自分にはちょうどよい感じに思えてきた。

この本の最大の特徴は、一般相対性理論の要となる「アインシュタインの重力場方程式」を下巻の最後のほうにもってきたことである。その結果、上巻は特殊相対論と一般相対論が予言する物理現象の記述と計算、幾何学が主になるわけだが、できる限り難しい数学を抑えて物理現象そのものを描き出すことによって、古典力学と解析力学、線形代数と微積分、ベクトル解析をマスターしたばかりの大学2、3年生でも余裕で学習できる難易度に抑えているのだ。

多くの一般相対性理論の教科書ではまず共変微分や難解なリーマン幾何の4階テンソルの計算をして重力場の方程式を導いた後に、惑星の歳差運動や光線の湾曲、ブラックホールなどの解を求めていくわけだが、学生のほとんどは重力場の方程式にたどり着くはるか前の段階でくじけてしまう。本書では厳密な証明をかなり省略することで上に述べたような易しい解説を実現している。一般相対性理論にテーマを限定した宇宙論寄りの教科書ともいえる。

この意味で数学科の学生向けに書かれた(彼らにとっては易しく感じられる)「時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎」と好対照をなしている。また、数学についてだけ言えば「趣味で相対論(EMANの物理学)」よりもずっと易しい。

なぜそのように易しい数式だけですむのかというと、曲った時空の線素や測地線方程式、計量など数学的に比較的に易しい数式をもとにして解説と計算の導出をしているからなのだ。一般相対性理論の核となる重力場の方程式の導出をしないのは、いちばん重要で、本質的なところ、美味しいところを食べそこなう気持ちがしないでもない。しかし、苦労せずに一般相対性理論の応用例が理解できるのなら、それはそれでいいのではないかという気になってくる。

具体的には次のような事がらが解説されている。

特殊相対性理論:

- 時間の遅れと双子のパラドックス
- ローレンツブースト

一般相対性理論:

- GPS
- 測地線
- 重力赤方偏移
- ニュートン・ポテンシャルと相対論的ポテンシャルの違い
- 粒子の近日点移動
- 光線軌道(円軌道、散乱軌道、突入軌道)
- 光の曲がりと時間の遅れ
- 水星の近日点移動
- 重力レンズ効果
- コンパクト天体の周りの降着円盤
- 連星パルサー
- 重力崩壊とブラックホール
- シュワルツシルトブラックホール
- ブラックホールへの崩壊(ブックホール内部と外部の物理)
- クルスカル-スゼッケル座標
- 非球対称重力崩壊

上巻の章立てはこのとおり。

第I部 ニュートン物理学と特殊相対論における空間と時間

第1章 重力物理学
第2章 物理としての幾何学
第3章 ニュートン物理学の空間と時間,重力
第4章 特殊相対性理論の原理
第5章 特殊相対論的力学

第II部 一般相対性理論の曲がった時空

第6章 幾何学としての重力
第7章 曲がった時空の表し方
第8章 測地線
第9章 球対称星外部の幾何学
第10章 一般相対性理論の太陽系実験
第11章 実際の相対論的重力
第12章 重力崩壊とブラックホール
付録A 単位

これだけ多くの現象、応用例が学べるのが素晴らしいと思う。「苦労せずに一般相対性理論の応用例が理解できるのなら、それはそれでいいのではないか。」という気持ちになる理由はここにある。

上巻で取り上げられるのは「静的な時空」に限定される。ブラックホールも回転していない。シュワルツシルトブラックホールは球対称で回転していないので質量Mによってのみで特徴づけられるブラックホールだ。単純な設定に少々物足りなさを感じたが、基礎を学ぶという意味では大切である。理解しているからと読み飛ばさないほうがよいと思うのだ。

下巻では重力波や回転するブラックホールなど、動的な時空、近年ホットな話題が取り上げられるので、上巻を読んでいる間でも期待感やモチベーションは否応なしに高まってくる。発表されてから100年がたつ一般相対性理論だが、コラムでは1970年以降に行われた理論の検証方法や結果などが紹介され、今もなお研究が進められているのだということが実感できる教科書である。

趣味で相対論」も入門書としておススメだが、まったく違う雰囲気をもち他書との重複が少ない本書もいいものだなと思った。

さて下巻に取り掛かることにしよう。


翻訳のもとになった原書は2002年に発売された革新的な教科書である。Kindle版は固定レイアウトなのでご注意いただきたい。

Gravity: An Introduction to Einstein's General Relativity: James B. Hartle」(Kindle版




特設ページ:

本書英語版の正誤表や補足事項、Mathematicaのプログラムは著者による次の特設ページで公開されている。

GRAVITY: An Introduction to Einstein's General Relativity James B. Hartle
http://web.physics.ucsb.edu/~gravitybook/


ちなみにシュッツの「A First Course in General Relativity」の初版は1985年、第2版は2009年刊行である。日本語版はこちらで購入できる。


関連講座:

日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」
http://www.jps.or.jp/public/koukai/koukai-2016-11-26.php

内容: 1916年にアインシュタインが発表した重力波の理論から今年でちょうど100年。その間の目覚ましい科学技術の進展により、去る2月、アメリカのLIGOグループがアインシュタインですら困難と考えていた重力波の直接検出に成功し、大きな話題となりました。新たな重力波の世紀が幕を開けたいま、第一線で活躍されている研究者による「重力波研究の歴史」「重力波の理論とシミュレーション」「重力波の観測」などのお話で、はるか彼方、宇宙の出来事を奏でる波に思いを馳せてみませんか?

期日: 2016年11月26日(土)13:00~16:45
会場: 東京大学本郷キャンパス 伊藤謝恩ホール(赤門の右隣)
参加費: 無料(要事前申込。)
定員: 350名(申込先着順で定員になり次第締め切らせていただきます。)-> 定員に達しました。


関連記事:

発売情報: 重力(上)(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c195a49914a852b1c73049bb7b9743e0

重力波の直接観測に成功!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a8439e8e4d81d7873422737d7bd1640d

一般相対性理論に挑戦しよう!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0

趣味で相対論(EMANの物理学)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/90aa60383b600ff4e4fd7bea6589deaa

重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f838b8f6c2554000933187df89e08013

アインシュタイン選集(2): 一般相対性理論および統一場理論
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3d0869ab3911e84845b5b121bd1aa3e

時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ffc643a688ce45dec7460d107fe1392e

マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6e47253b0622e867f57fb15b88d18149


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重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
重力(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル

 

上巻

第I部 ニュートン物理学と特殊相対論における空間と時間

第1章 重力物理学

第2章 物理としての幾何学
2.1 重力は幾何学だ
2.2 幾何学の実験
2.3 いろいろな幾何学
2.4 幾何学を決める
2.5 座標と線素
2.6 座標と不変性

第3章 ニュートン物理学の空間と時間,重力
3.1 慣性系
3.2 相対性原理
3.3 ニュートン重力
3.4 重力と慣性質量
3.5 ニュートン力学の変分原理

第4章 特殊相対性理論の原理
4.1 速度の加法則とマイケルソン-モーレーの実験
4.2 アインシュタインの革命とその成果
4.3 時空
4.4 時間の遅れと双子のパラドックス
4.5 ローレンツブースト
4.6 単位系

第5章 特殊相対論的力学
5.1 4 元ベクトル
5.2 特殊相対論的運動学
5.3 特殊相対論的力学
5.4 自由粒子の運動の変分原理
5.5 光線
5.6 観測者と観測

第II部 一般相対性理論の曲がった時空

第6章 幾何学としての重力
6.1 重力質量と慣性質量の等価のテスト
6.2 等価原理
6.3 重力場中の時計
6.4 GPS
6.5 時空は曲がっている
6.6 時空のことばで表したニュートン重力

第7章 曲がった時空の表し方
7.1 座標系
7.2 計量
7.3 総和規約
7.4 局所慣性系
7.5 光円錐と世界線
7.6 対角計量のときの長さと面積,体積,4元次体積
7.7 埋め込み図とワームホール
7.8 曲がった時空中のベクトル
7.9 4次元時空中の3次元曲面

第8章 測地線
8.1 測地線方程式
8.2 対称性と保存則による測地線方程式の解法
8.3 ヌル測地線
8.4 局所慣性系と自由落下系

第9章 球対称星外部の幾何学
9.1 シュワルツシルト幾何学
9.2 重力赤方偏移
9.3 粒子軌道-近日点移動
9.4 光線軌道-光の曲がりと時間の遅れ

第10章 一般相対性理論の太陽系実験
10.1 重力赤方偏移
10.2 PPN パラメータ
10.3 PNN パラメータγの測定
10.4 PPN パラメータβの測定-水星の近日点移動

第11章 実際の相対論的重力
11.1 重力レンズ効果
11.2 コンパクト天体の周りの降着円盤
11.3 連星パルサー

第12章 重力崩壊とブラックホール
12.1 シュワルツシルトブラックホール
12.2 ブラックホールへの崩壊
12.3 クルスカル-スゼッケル座標
12.4 非球対称重力崩壊

付録A 単位
A.1 単位の一般論
A.2 本書で使われる単位


下巻

第13章 宇宙物理学的ブラックホール
13.1 X 線連星のブラックホール
13.2 銀河中心のブラックホール
13.3 ブラックホールの量子的蒸発--ホーキング放射

第14章 少しの回転
14.1 慣性系の回転的引きずり
14.2 曲がった時空のジャイロスコープ
14.3 測地的歳差
14.4 ゆっくり回転する球対称物体外部の時空
14.5 ゆっくり回転する物体の時空中のジャイロスコープ
14.6 ジャイロと自由落下系

第15章 回転するブラックホール
15.1 宇宙検閲官
15.2 カーブラックホール
15.3 回転ブラックホールの地平
15.4 赤道面における軌道
15.5 エルゴ球

第16章 重力波
16.1 線形重力波
16.2 重力波の検出
16.3 重力波の偏極
16.4 重力波干渉計
16.5 重力波のエネルギー

第17章 観測された宇宙
17.1 宇宙の構成物
17.2 膨張宇宙
17.3 宇宙の地図

第18章 宇宙モデル
18.1 一様,等方時空
18.2 宇宙論的赤方偏移
18.3 物質と放射,真空
18.4 平坦FRW モデルの進化
18.5 ビッグバンと宇宙の年齢と大きさ
18.6 空間的に曲がったロバートソン--ウォーカー計量
18.7 宇宙の力学

第19章 どの宇宙、そして、なぜ?
19.1 宇宙の探査
19.2 宇宙の説明

第III部 アインシュタイン方程式

第20章 少しだけ数学
20.1 ベクトル
20.2 双対ベクトル
20.3 テンソル
20.4 共変微分
20.5 再び自由落下系

第21章 曲率とアインシュタイン方程式
21.1 潮汐重力
21.2 測地線偏差の式
21.3 リーマン曲率
21.4 真空のアインシュタイン方程式
21.5 線形重力

第22章 曲率の発生源
22.1 密度
22.2 エネルギー運動量の保存
22.3 アインシュタイン方程式
22.4 ニュートン極限

第23章 重力波放射
23.1 発生源のある線形アインシュタイン方程式
23.2 発生源のある波動方程式の解法
23.3 線形重力の一般解
23.4 弱い重力波の発生
23.5 連星からの重力波
23.6 重力波によるエネルギー損失の四重極公式
23.7 連星パルサーで検出された重力波の効果
23.8 強い波源への期待

第24章 相対論星
24.1 パウリ原理の威力
24.2 相対論的静水圧平衡
24.3 星のモデル
24.4 基底状態の物質
24.5 安定性
24.6 中性子星の最大質量の限界

付録B
付録C
付録D

番組告知:「原爆誕生 科学者たちの“罪と罰”」、「水爆 裏切りと欲望の核融合」

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今週木曜日に原爆についての番組と水爆についての番組が放送されることに気がついたので告知しておこう。科学の闇の部分から目をそらさないことは大事だと思う。

原爆開発、実験、投下の経緯は比較的多くの方がご存知だろうが、水爆開発、実験の詳細を知っている人は少ないと思う。原爆のほうは今年5月の番組の再放送だ。

特に夜9時からの水爆だけに焦点を当てた番組の放送はNHKと民放のテレビ放送が始まって以来、初めてのことだと思う。

来年1月以降、水爆も含めて核のボタンはドナルド・トランプの手もとにあるのだということを念頭に、この2つの番組を見たいと思う。

さらに詳しく知りたい方は「原子爆弾 1938~1950年: ジム・バゴット」をお読みになるとよいだろう。原爆と水爆の両方をカバーしている。


フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿「原爆誕生 科学者たちの“罪と罰”」

2016年11月24日(木) 午後5時00分~午後6時00分 (再放送) BSプレミアム

人類に功も罪ももたらす「科学」。その知られざる姿とは?今回は、第2次世界大戦中、原子爆弾を誕生させた巨大プロジェクト“マンハッタン計画”のリーダー「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーを中心に、核兵器開発に携わった科学者たちの「罪と罰」に迫る。ナチスドイツに先を越されてはならないと始まった開発が、なぜドイツ降伏後も続けられ、広島・長崎に投下されたのか?科学者たちは何を考え、どう行動したのか?

ホームページ:
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/3442/2071002/



フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿「水爆 裏切りと欲望の核融合」

2016年11月24日(木) 午後9時00分~午後10時00分 BSプレミアム

人類に功も罪ももたらす「科学」。その知られざる姿に迫る。今回は人類史上最悪兵器「水爆」の父、エドワード・テラー。原爆を生み出した「マンハッタン計画」の科学者たちの多くが後悔の念を抱いて晩年を送ったのに対し、ひとりテラーは水爆の「無限の破壊力を実現する」欲望に突き進む。邪魔する者には容赦なく、かつての仲間さえ裏切った。水爆完成後も更なる大量破壊兵器開発に生涯をささげた、狂気の天才物理学者の闇に迫る!

とね追記: 1982年、当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガンよりアメリカ科学界最高峰の栄誉とされるアメリカ国家科学賞がエドワード・テラーに贈られた。2003年9月、カリフォルニア州スタンフォードで死去。95歳だった。水爆を開発したことに関しては、生涯肯定的な言動を行い、悔いることはなかった。

ホームページ:
http://www4.nhk.or.jp/P3442/x/2016-11-24/10/30262/2071008/


関連記事:

原子爆弾 1938~1950年: ジム・バゴット
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0d741fd4e77316eaf05aef8daf865cd6

部分と全体: W.K. ハイゼンベルク
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b6e7d8da99e4b9e76f5cd9f7dbf7f959


関連ページ:

“原爆の父”オッペンハイマーは原爆投下による悲劇を予期することはできなかったのか
http://ddnavi.com/news/291372/a/

【まじヤバい破壊力!】水爆は原爆の何倍の威力あるのか調べてみた
http://sasuke25.com/society/suibaku-2567/

Ground Zero:原爆、水爆の被害半径をシミュレーションするページ
http://www.carloslabs.com/node/16

水素爆弾『ツァーリ・ボンバ(Tzar Bomba)』が炸裂する映像(1961年10月30日)





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都心で積雪、11月は初めて…23区で2センチ

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11月の積雪は気象観測を始めた1875年以来初めてなのだという。記録としてブログに残しておこう。

今年は1月18日にも雪が降り、母が転倒してしまい膝の皿に入ったヒビが治るまで2カ月もかかった。(参考記事:「昨日の降雪と母の転倒」)さすがに今日は「ウォーキングに行かない。」と母は言っている。



今年の2月に買った日時計も、今日はこんな感じ。




寺川奈津美さんの【テラカワのお天気マニア】:

あすの気温は大幅ダウン! 東京では初雪も!?
http://blog.fujitv.co.jp/goody/E20161122002.html


読売新聞の記事より:

気象庁は24日、関東各地で初雪を観測したと発表した。

東京都心では、気象観測を始めた1875年以来初めて、11月に積雪が確認された。都心のほか横浜、甲府両市で、1962年以来54年ぶりの11月の降雪となり、転倒によるけが人や一部で鉄道ダイヤの乱れがあった。

前線を伴った低気圧が南の海上を通過していることに加え、関東の上空を真冬並みの寒気が南下し、雨が雪に変わった。東京都千代田区の気象庁で午前6時15分頃、初雪を観測した。さらに午前11時、同区北の丸公園の観測地点で、芝生がうっすらと雪をかぶったことを同庁職員が確認し、都心での積雪を発表した。

気温も急激に下がり、最低気温は東京都心で午前9時過ぎに0・9度となるなど、各地で今季最低を記録した。雪は24日昼過ぎまで降る可能性があり、予想される最大降雪量は、関東北部山沿いと甲信で15センチ、神奈川・箱根から東京・多摩、埼玉・秩父にかけて10センチ、平野部で5センチ、東京23区で2センチ。

東京での初雪は平年(1月3日)よりも40日早く、昨冬(同12日)よりも49日早い。関東各地の11月の降雪は、千葉市では初めて、宇都宮、水戸両市では85年以来31年ぶり、前橋市、埼玉県熊谷市では2002年以来14年ぶり。

雪の影響で、東京都小平市やさいたま市などで転倒して骨折するけが人が出た。鉄道ダイヤも乱れ、JR青梅線や中央線の一部区間で運転を見合わせたほか、首都圏を走る私鉄各線や地下鉄などで遅れが出た。


関連記事:

雪の東京(2006年1月21日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/58ae1909a808f788372829ff74f817f0

記録的な大雪と東京都知事選挙(2014年2月9日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0f2a56e5f169576ff22e50ad50537599

バレンタインデー、再び大雪、ソチ・オリンピック2014(2014年2月15日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2f9f2eb35d60ab9bd82ef2703c0c0fb6

昨日の降雪と母の転倒(2016年1月18日)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1a1df300663a0fce4b588e0587728795

寺川奈津美の気象講座 秋の気象と台風(朝日カルチャーセンター)- 2016年9月
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/eb9ab40025ffeb53d6b5f9b9fc91e94e

寺川奈津美の気象講座(朝日カルチャーセンター)- 2015年10月
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/960f1e03a34fd2e3727b65252ea96159

知識ゼロからの異常気象入門:斉田季実治
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0294a67d1755964cb572b65f029624e4

気象キャスター寺川奈津美 はれますように~未来はきっと変えられる
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bd5b4615a4468919445a010183866934


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発売情報: 現象を解き明かす微分方程式の定式化と解法: 小中英嗣

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現象を解き明かす微分方程式の定式化と解法: 小中英嗣

内容:
理学・工学・経済学などの基礎教養である常微分方程微分方程式は、どこでどのように役立っているのか――『定式化→解法』の順番で学んでいけば、その答えがみえてくる。一味違った切り口の入門書。

◇定式化によって現象を数式で表そう◇
物体の落下や人口の増加など、さまざまな現象に対して『定式化』を行います。
現象を数式で表すにはどうしたらよいか、数式で表すと何がわかるのか。微分方程式のもつ意味や効果を知ることができます。

◇解法を身につけ、現象の動きを明らかにしよう◇
変数分離法や定数変化法からラプラス変換まで、微分方程式の『解法』を一通り解説します。
微分方程式を解くことで、現象の特徴を理解できたり、これからどのようにふるまうか予測することができます。

数学がどこでどのように役立っているのかを知りたい数学ファンから、微分方程式を実際に使って研究をする学生やエンジニアまで、幅広い方々におすすめの一冊です。
2016年12月1日刊行、256ページ。

著者について:
小中英嗣 (こなかえいじ)
工学博士(名古屋大学)。名古屋大学大学院 博士後期課程電子情報学専攻修了。名城大学理工学部情報工学科准教授。専門分野:システム理論、制御理論(特に、ハイブリッドシステム論とその応用)
教員情報のページ: http://www-ie.meijo-u.ac.jp/staff/KonakaEiji.html
小中先生のブログ: http://www.plus-blog.sportsnavi.com/konakalab/


昨年5月に「ちょっと気になる常微分方程式の本」という記事で微分方程式の入門用教科書をいくつかピックアップしたが、読後の紹介記事としては1冊も書いていない。物理学科向けの本も読みたいし、数学科の専門課程で学ぶ微分方程式論のような本も読んでみたい。電子工学にも興味があるから工学部向けの教科書も読んでおきたい。それでいて内容の重複をなるべく避けたいと思うから最初の1冊になかなか手を出せないでいるわけだ。(もちろん学生時代に僕は解法をひと通り学んでいるので急いで読む必要がないということもある。)

このようなニーズをすべて満たしているのは結局「自然科学者のための数学概論 増訂版改版:寺沢寛一」だと気づき、その730ページもあるボリュームに学ぼうとする意欲が粉砕され、「この本は無理だ。」と振り出しに戻ってしまう。

本書は僕が抱えている「選択の悩み」を解決してくれるわけではないが、工学部系のニーズはすべて満たしてくれるという意味ではとても良い選択なのだ。そして物理学専攻、数学専攻の学生にとっても「手ごろ」で「役に立つ」本である。


12月1日に森北出版から発売。工学部の学生、特に制御工学や電子回路を専門にしたい方にお勧め。解法集の色合いが濃い教科書でラプラス変換を使った解法が詳しいのが特色。章立ては次のとおり。

Chapter0 はじめに
Chapter1 動きと微分
Chapter2 微分方程式で現象を表す
Chapter3 微分方程式の解き方
Chapter4 ラプラス変換を用いた微分方程式の解法
Chapter5 まとめ

まだ通読はしていないが、ざっと読んだ限りで僕が感じた特長を述べておこう。


バランスがよい

問題の設定や解説、定式化のしかた、解き方の3つの側面についてバランス良く書かれている。

設定されている例は物理学のものがいちばん多く、生物学、人口推移、預金と利息など実用的なものばかりだ。


使いやすい、紙面が有効に使われている

標準的な教科書のサイズで分量も256ページと手ごろ。1年間の講義のための教科書としてちょうどよい分量である。余白を狭くして大き目の文字で印刷されているから読みやすい。ページを見たときの印象は大切である。小さい文字でごちゃごちゃ書かれている本は内容がよくても学ぶ意欲を削いでしまうものだから。本書は各章の最終ページも下まで記述が占められていて、紙面が最大限有効に使われている。

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解法例、例題が豊富で検索しやすい

ページ数、ページサイズの制限があるにもかかわらず、余白を狭くしたことで解法例、例題をたくさん紹介することに成功している。それでもなお通読可能な分量であるし、解法事典のように必要なときだけ参照するという使い方もしやすい。


ラプラス変換を使った解法例が豊富で詳しい

工学部用の教科書にはラプラス変換を使った解法をぜひ含めていただきたいものだ。本書はこの要件を満たすだけでなく、電子工学や制御理論では重要な「一定時間のみ電圧がかかる」ような状況や「パルス波という一瞬だけ電圧がかかる」ような状況の場合も微分方程式をたて、ラプラス変換で解くことを多くの例題を紹介しながら解説している。僕はここがいちばん気に入った。

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高校の範囲の微分・積分が解説されている

「Chapter1 動きと微分」と「補遺」で高校の範囲の微分・積分のおさらいをし、意欲的な高校生が学びやすくなるような配慮がされている。


本書がカバーしていない部分についても述べておこう。

工学部の学生に対して

フーリエ解析、フーリエ変換、そしてこれを使った微分方程式の解法は本書に含まれていない。これだけ別に学ぶのもよいし、偏微分方程式の教科書でフーリエ変換を使った解法を含めて解説したものがあるので、そういった本で学ぶのがよいだろう。

工学部でも材料系など量子力学を学ぶ必要のある学生、また流体力学を学ぶ必要がある学生であれば、フーリエ変換、ベルヌーイの微分方程式、ダランベール(ラグランジュ)の微分方程式、オイラーの微分方程式、エルミートの微分方程式、ルジャンドルの微分方程式、ベッセルの微分方程式なども学んでおいたほうがよい。これらがどのようなものかは「EMANの物理数学」の「微分方程式」の箇所をご覧いただきたい。


物理学専攻の学生に対して

フーリエ変換、ベルヌーイの微分方程式、ダランベール(ラグランジュ)の微分方程式、オイラーの微分方程式、エルミートの微分方程式、ルジャンドルの微分方程式、ベッセルの微分方程式なども学んでおいたほうがよい。これらがどのようなものかは「EMANの物理数学」の「微分方程式」の箇所をご覧いただきたい。


数学専攻の学生に対して

物理学専攻の学生が学ぶ内容に加えて、微分方程式がなぜ解けるのかという視点から「常微分方程式:坂井秀隆」をお読みになるとよいだろう。この本の目次は「ちょっと気になる常微分方程式の本」に書いておいたので参考にしてほしい。


今回は発売情報として大まかに立ち読みレベルで紹介したが、通読してから別途紹介記事を書くことにしよう。


関連ページ:

常微分方程式の考え方や解法をネットで学びたい方は、次のページでどうぞ。

微分方程式を図解する(前野昌弘先生のページ)
http://irobutsu.a.la9.jp/mybook/ykwkrMC/sim/DE.html

微分方程式解法ノート
http://www.tsuyama-ct.ac.jp/matsuda/d-eq/bibun0.htm

微分方程式の解き方
http://www.geocities.jp/tc205ki/dfdata/dfeq.html

微分方程式演習
http://brain.cc.kogakuin.ac.jp/~kanamaru/lecture/difeq/


関連記事:

ちょっと気になる常微分方程式の本
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/779e59b0996c582373308c0a4facf16f

大学で学ぶ数学とは(概要編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55

大学で学ぶ数学とは(実用数学編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/975ad3faa2f6fd558b48c76513466945

線形代数学入門のための教科書談義
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9d2ac30c9f5f620ad703304d710ed90b

解析学入門のための教科書談義
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/22c325e49cfd7c721679dbc2896b86a4

自然科学者のための数学概論 増訂版改版:寺沢寛一
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3cd107d2f6575cccc88dee06aa4b03ab

増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式:石村貞夫、石村園子
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4601dda9ae0833c273d5d04aa83424d7

なっとくする偏微分方程式:斎藤恭一
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/16d054ebc14ad1c4336f2b9f997eb00c

高校数学でわかるフーリエ変換:竹内淳
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/aa1e79d97684f88319d9d4e96e6a89a3

熱の解析的理論:ジョゼフ・フーリエ著、ガストン・ダルブー編纂
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5bcc7bc3efc16463743cd01d3c989622



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現象を解き明かす微分方程式の定式化と解法: 小中英嗣



Chapter0 はじめに
0.1 全体の流れ
0.2 学習にあたって
0.2.1 本書の使い方
0.2.2 その他の分野とのかかわり

Chapter1 動きと微分
1.1 速度と微分
1.1.1 速度の計算
1.1.2 速度を式で表す
1.1.3 瞬間の速度を求める
1.1.4 微分の定義
1.1.5 変化率と微分
1.1.6 加速度と高階微分
1.2 さまざまな関数の微分
1.3 速度と積分
1.3.1 面積と定積分
1.3.2 定積分,不定積分と微分
1.3.3 さまざまな関数の不定積分
1.3.4 速度と積分
1.4 本章のまとめ
章末問題

Chapter2 微分方程式で現象を表す
2.1 運動方程式
2.1.1 物体の落下・投げ上げ
2.1.2 ばね・重り系
2.1.3 振り子
2.1.4 円運動
2.2 電気回路
2.2.1 基本的な電気回路
2.2.2 抵抗・コイル・コンデンサの特性
2.3 仕事とエネルギー
2.4 放射性元素の崩壊
2.5 生物の増減
2.5.1 より現実に近づけるには?
2.5.2 食うか食われるか捕食者・被食者モデル
2.5.3 感染症の流行
2.6 預金と金利
2.7 曲線の表現
2.8 本章のまとめ
章末問題

Chapter3 微分方程式の解き方
3.1 微分方程式を「解く」とは?
3.2 単純な積分による解法
3.3 一階微分方程式と変数分離
3.3.1 変数分離法の基本
3.3.2 複雑な変数分離法
3.4 斉次系・非斉次系と定数変化法
3.4.1 一階微分方程式の分類
3.4.2 定数変化法
3.5 指数関数と特性方程式
3.5.1 定数係数線形微分方程式とその解の形式
3.5.2 特性方程式を用いた解法
3.5.3 物理現象としての解釈
3.5.4 特性方程式と解の収束(二階微分方程式の場合)
3.6 未定係数法
3.6.1 特殊解を得るための複素法と電気回路論
3.6.2 高階微分方程式に対する定数変化法
3.7 連立微分方程式
3.8 本章のまとめ
章末問題

Chapter4 ラプラス変換を用いた微分方程式の解法
4.1 ラプラス変換
4.1.1 ラプラス変換の定義
4.1.2 ラプラス変換と微積分
4.2 ラプラス変換を用いた微分方程式の解法
4.2.1 展開定理
4.2.2 ラプラス変換を利用した電気回路の解法
4.3 本章のまとめ

Chapter5 まとめ

補遺
A.1 三角関数,指数関数,対数関数
A.2 さまざまな関数の微分
A.2.1 多項式,分数関数
A.2.2 和,差,積,商の微分
A.2.3 合成関数の微分
A.2.4 三角関数,対数関数,指数関数の微分
A.3 さまざまな関数の積分
A.4 定義,定理,法則など
A.5 次元(単位)解析

参考文献
索引

日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」

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昨日の土曜日はこのような講座を受講してきた。東大の赤門は今年8月の「グラショー博士(1979年ノーベル物理学賞)一般公開講演会」で訪れたばかりだ。


日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」
http://www.jps.or.jp/public/koukai/koukai-2016-11-26.php

内容: 1916年にアインシュタインが発表した重力波の理論から今年でちょうど100年。その間の目覚ましい科学技術の進展により、去る2月、アメリカのLIGOグループがアインシュタインですら困難と考えていた重力波の直接検出に成功し、大きな話題となりました。新たな重力波の世紀が幕を開けたいま、第一線で活躍されている研究者による「重力波研究の歴史」「重力波の理論とシミュレーション」「重力波の観測」などのお話で、はるか彼方、宇宙の出来事を奏でる波に思いを馳せてみませんか?

期日: 2016年11月26日(土)13:00~16:45
会場: 東京大学本郷キャンパス 伊藤謝恩ホール(赤門の右隣)
参加費: 無料(要事前申込。)
定員: 350名(申込先着順で定員になり次第締め切らせていただきます。)-> 定員に達しました。




今回の講座のことはYoshYさんから教えていただき早々と申し込みを済ませていたので僕の受付番号は93番。日頃、このようなイベントのチェックが甘い僕としてはとてもありがたい。YoshYさん、ありがとうございます。






登壇されるのは一般相対論をご専門にされる大先生ばかり。物理学徒のひとりとしては見逃すことができない。会場は350名収容の大ホール。前のほうの数列席は机付きなので前から3列目に着席した。通路をはさんで僕の左側には関係者席が設けられている。開会前に僕から見て左前の席に近いほうから須藤先生、柴田先生、梶田先生、藤井先生が横一列に着席された。

物理学講座でいつもご一緒しているメンバーも着席した。僕の隣には271828さん、そして離れた席にはYoshYさん、たけのやさん、Iさん、Yさんがいる。

今回の公開講座は後に日本物理学会のHPから動画として一般公開されるそうなので、この記事では概略と感想を書いておくことにしよう。(参考:講座の内容と動画

受付で配布資料をいただいた。日本物理学会の歴史や活動内容が書かれた資料と登壇される3人の先生方の講義内容、スライドが光沢のある紙に印刷された立派な冊子である。そして日本物理学会特製のクリアファイルはとてもうれしい。

クリックで拡大


全体の進行役を務めたのは山形大学の安田淳一郎先生。ひと通りの注意事項を説明された後、日本物理学会会長の藤井先生を紹介。


開会挨拶 藤井保彦(日本物理学会 会長)

今年は日本物理学会が創立されてから140年、設立されてから70年という節目の年であることをご説明された。創立と設立という言葉を使い分けているそうである。詳細は日本物理学会のホームページの「沿革」をご覧いただけるとわかる。ホームページの整備にも力を入れているそうで、「物理学70の不思議」というページを紹介された。

一般市民向けに毎年行っている公開講座は「公開講座(高校生・大学生・一般向け)」でご覧いただける。この公開講座の運営や配布資料などにかかる費用は科研費からでているそうだ。その申請期限が1年前なので、今回の講座の内容も1年前に決まっていたのだという。

重力波の直接観測の発表が今年の2月であるから、こういう偶然もあるのかと驚いてしまった。観測が成功したかもしれないという噂が日本の研究者に伝わったのは1月に入ってからだ。(そのことはサイエンスZEROの「世紀の観測!重力波?~アインシュタイン最後の宿題~」で述べられていた。)

藤井先生の著書: Amazonで検索


「一般相対論と天文学」須藤靖(東京大学大学院理学系研究科 教授)

須藤先生は次の項目に従って説明をされた。

- はじめに(一般相対論は根源的な「法則の中の法則」である)
- 水星の近日点移動:1859年
- エディントンと光の湾曲: 1919年
- マンドルと重力レンズ: 1936年
- 重力レンズ天文学: 1979年
- 重力波: 2015年

特に印象に残ったのは一般相対論のどこがすごいかを浮き彫りにしていただいた点である。一般相対論は教科書ですでに学んでいたので、上にあげた項目は目新しいものではない。しかし須藤先生のご説明は一般相対論以前のニュートン力学のものすごい予言力があったことを思い起こさせてくれた。

ニュートン力学における太陽の周りの水星の楕円軌道公転運動
- 他の惑星がなければこの楕円は変化しない
- ただし、他の惑星の重力のために、この楕円の軸が100年間に531秒角だけずれる(水星の近日点移動)
- 観測値は574秒角、すなわち100年に43秒角だけの差が謎→一般相対論で解決

つまりニュートン力学の驚異的な予言力と天文観測の驚異的な精度と信頼性をもってはじめて一般相対論による水星の近日点移動の量が検証可能になった。

また重力マイクロレンズによる増光の解説も興味深かった。この効果を利用することにより系外惑星の探査が可能になり、この方法を用いて現在まで50個程度の系外惑星が見つかっているそうだ。

須藤先生は笑いをとることも忘れていなかった。ご出身の高知県の新聞に寄稿するために準備していたノーベル物理学賞についての「幻の高知県新聞2016年10月8日朝刊」の話、恩師の佐藤勝彦先生の出身地香川県の四国新聞のトップ記事が重力波ではなく「かけうどんの値上げ」だったことなど。

僕はいま「重力 アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル」の下巻を勉強中だが、講演を機に須藤先生の教科書を注文しておいた。

一般相対論入門:須藤靖
もうひとつの一般相対論入門:須藤靖

 

須藤先生の著書: Amazonで検索


「重力波の源」柴田大(京都大学基礎物理学研究所 教授)

柴田先生も一般相対論の研究者として有名な方だ。特に数値相対論と重力波を研究されていて先生のホームページには数値相対論による計算結果やアニメーションが数多く掲載されている。先生は「一般相対論の世界を探る―重力波と数値相対論」という本をお書きになっている。次の順番でお話しをしてくださった。

- はじめに: 重力波とは
- 重力波の源
- 数値相対論: 重力波の波形を予言する
- 重力波の初検出: GW150914
- 重力波天文学の可能性
- まとめ

数値相対論のことは特に気になっていたのでとても興味深くお話を聞くことができた。お見せいただいたアニメーションは初めて見るものもあり、またブラックホール連星だけでなく、中性子連星の合体やそのときの波形を音声化して聞かせてくださったりした。その周波数は偶然人間の耳が聞くことができる周波数帯に一致しているから聞くことができるわけである。

鉄より重い元素(重元素)の起源がわかっていないことも僕は知らなかった。連星中性子星の合体が重元素の起源であるとする仮説が最近注目を引いているのだという。一般相対論や重力波とは一見関係ないことが、このような説を派生させているのが面白い。

柴田先生の著書: Amazonで検索


「KAGRAプロジェクトと重力波天学」梶田隆章(東京大学宇宙線研究所 教授)

昨年ノーベル物理学賞を受賞された梶田先生の講演である。(参考記事:「2015年 ノーベル物理学賞は梶田隆章先生、アーサー・マクドナルド先生に決定!」)開始直前まで先生は持ち込んだノートPCでスライドを修正されていた。今回の3つの講演はどれも一般相対論と重力波がテーマなので、内容が被ってしまうのを避けるためだ。真摯で誠実な先生だと僕は思った。先生は次のように話を進められた。

- はじめに
- LIGOによる重力波の初観測
- KAGRAプロジェクト
-- KAGRAプロジェクトまでの道のり
-- KAGRAの特徴
-- KAGRAプロジェクトの現状と予定
- 重力波天文学の展望
-- 世界の状況
- 今後の重力波天文学
- まとめ

僕がいちばん知りたかったのがKAGRAのことである。特にLIGOとの違いについてだ。観測精度を上げるためにどのような工夫をされているかを先生は詳しく説明してくださった。それは次の点にまとめられる。

- 地面振動の小さな地下に設置する
- 鏡の熱雑音を抑えるために絶対温度20Kの極低温鏡を用いる
- 鏡を吊るす、多重振子にして振動を低減させる
- 間に半透明の鏡を設置しレーザー光を何往復もさせ有効長を長くする
- 光の揺らぎを抑えるために強力なレーザー光を使う

LIGOに比べてKAGRAの予算や研究者の人数はとても小さいのだという。LIGOと同程度(もしくはそれ以上の)精度を得るためには、日本の高い技術力と知恵が必要だということがよくわかった。特に装置全体をクリーンブースに入れたり、レーザー光を何往復もさせるので要求される鏡面の精度は非常に高くなるのだ。

梶田先生の著書: Amazonで検索


質疑応答

先生方の講演の最後にはそれぞれ10分間の質疑応答の時間が設けられた。1人ひとつまで質問することができる。たくさんの方がそれぞれ素晴らしい質問をされ、先生方は的確かつとても親切にお答えになっていた。

僕は梶田先生の枠で「頻発する震度1以下の地震は観測に影響を与えるのか?震度7以上の激震がおきたときKAGRAは大丈夫なのか?」という質問をさせていただいた。

先生のお答えによると「微弱な地震は観測に影響を与えない。大地震に対してKAGRAには安全対策がほどこされいる。たとえば鏡を吊しているケーブルが切れても大丈夫なように作っている。」ということだった。知恵と労力を結集し、多額の費用を投じて作り上げる装置なので地震で壊れてしまったら大変である。先生のご説明を聞いて安心することができた。


3つとも刺激に満ちた講演で充実した数時間を過ごすことができた。須藤先生、柴田先生、梶田先生、貴重なお時間とお手間を割いていただき、ありがとうございました!


閉会挨拶 川村光(日本物理学会 副会長)

川村先生による閉会の挨拶をもって、この日の講演はすべて終了した。

川村先生の著書: Amazonで検索


オフ会

物理学講座の後は、仲間とオフ会をする習慣が続いている。しかしいつものメンバーはほとんど参加できず、271828さんだけ参加可能だった。どうしようか考えていると、たけのやさんが僕に紹介したい人がいると話をされた。それは僕のブログを読んでいただいている方々で「物理数学勉強会」のメンバーだった。この勉強会に僕は一度も参加したことがないのだが「「物理数学勉強会」のご紹介」という記事に書いたような経緯で、主催者の「おーにしさん」と連絡をとっていた。

ということで昨日のオフ会は271828さんと物理数学勉強会のメンバー5名(うち女性1名)、そしてその日飯田橋で別の物理講座を受講していたTさんが合流して、1次会を赤門近くのサイゼリヤで、2次会を本郷三丁目駅前の居酒屋で行った。Tさんが受講した講座も重力波についてだったそうである。いつもそうだが同じ趣味をもった仲間との酒盛りはとても楽しいものだ。

今回の講演会の受講者は老若男女のバランスがとれていたのを僕は不思議に思っていた。これまで受講してきた朝日カルチャーセンターの一般市民向け物理学講座だと圧倒的に年配の受講者が多く、ほとんどが男性である。メンバーに話したところ「それは無料だからじゃないかなぁ。」という意見が多かった。たしかにそう言われてみればそうだ。高校生だと数千円出すのはちょっときついだろうし、大学生でもよほど物理好きでないとその金額を支払ってまで受講しようとは思わないことだろう。


271828さんからはお手製のジャムをいただいた。今回は紅玉を使ったリンゴジャムである。271828さん、ありがとうございました。



2次会で行った居酒屋にはこのような「健康十訓」が壁にかけてあったので載せておこう。クリックで拡大する。




関連記事:

重力波の直接観測に成功!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a8439e8e4d81d7873422737d7bd1640d

一般相対性理論に挑戦しよう!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0

発売情報: 重力(上)(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c195a49914a852b1c73049bb7b9743e0

趣味で相対論(EMANの物理学)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/90aa60383b600ff4e4fd7bea6589deaa

重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f838b8f6c2554000933187df89e08013

アインシュタイン選集(2): 一般相対性理論および統一場理論
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3d0869ab3911e84845b5b121bd1aa3e

時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ffc643a688ce45dec7460d107fe1392e

マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6e47253b0622e867f57fb15b88d18149


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ぴよぴよストーンのライブ@下北沢 (PEACE$TONEのメンバー)

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上野での路上ライブの様子(左:ayumiさん、右:えっちゃん)
写真の引用元のページ

路上ライブの記事を書くのはほぼ9年ぶりのこと。日が変わってしまったので昨日の土曜のことになる。

午後から笹塚のいつものカフェで読書。「真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話: 佐々木閑、大栗博司」(Kindle版)を読み終えたのが夜7時くらいのことだ。そのままウォーキングしてから帰宅後、その日のうちに紹介記事を書き上げてしまおうと思っていた。(この本の紹介記事を書き終えることができた。)


下北沢の駅近くの一番街入口にはゲートがある。道幅が広く見晴らしがよいので、いつも一休みするスポットだ。道の反対側に女の子2人が路上ライブの準備をしていることに気が付いた。少しだけ聴いてからウォーキングに戻ろうと思ったが、結局最後まで聴いてしまった。ハーモニーがとても美しい女性のユニット「ぴよぴよストーン」。掲載写真は上野で路上ライブをしたときのものである。(下の動画を見るとメンバーにはもうひとりayaさんがいるらしいが、この日に路上ライブをしていたのはお二人だけだった。)

歌っていたayumiさんとえっちゃんはPEACE$TONE(ピースストーン:ウィキペディアの記事)というグループの中の新人メンバーだそうで、4月から路上ライブをしながらCDを100枚売るという目標に向かって活動していたそうだ。そして今月11日に新人卒業という意味での正式ライブをするのだという。つまりぴよぴよストーンとしては最初で最後のライブとなるわけで、卒業後はPEACE$TONEの正式メンバーとなるそうだ。

「ぴよぴよストーン」CD100枚達成の軌跡


【MV】パークタウン/PEACE$TONE [公式]->路上ライブで歌われていた曲



12/11(日)下北沢BREATH
http://breath335.com/
OPEN/12:30 START/13:00 (¥2000 +1 D)
出演:Yousuke/OKAPY/いんこぐせっしょん!/THEFOWLS/オオハライチ/ファジーバブル/大沢良太/CADILLAC CLASS/ぴよぴよストーン/etc…

歌声が心地よかったのでCDを買わせていただいた。(アマゾンでは販売されていない。)



公式HP: http://peacestoneofficial.com/
公式ブログ: http://ameblo.jp/peacestoneofficial
公式Twitter: @PEACESTONE_info


お二人にサヨナラしてから、僕はウォーキングを再開。そこまではよかった。。。

10分後、僕は一番街の端のゲート、商店街から住宅地に入る出口に差しかかった。ふと見ると歯科医院の前に倒れている人を介抱している女性がいる。

よく見ると倒れているのも女性で、あたりには血のりが見える。介抱している女性もたまたま通りがかっただけのようだ。

さらによく見ると倒れている女性は酔っぱらっていて見たところ60~65歳。しかも白髪交じりの髪を金髪に染め、金属のアクセサリーをたくさんあしらった黒のジャケットを身に着けたロックバンド系だ。けれども側頭部からの出血が激しい。通行人の女性がもう一人介抱に加わる中、僕は救急車を呼んだ。

女性は起き上がり、なんとか喋れる状態だが酔っぱらっているのでろれつが回らないし、なかなか言うことをきいてくれない。年齢を聞くと160歳だというご返事。。。

怪我さえしていなければ救急車を呼ぶこともなかったのだが、介抱している2人の女性と相談して呼ぶことにしたわけ。

しばらくして救急車が到着。僕が誘導する方向とは反対側の路地に停車した。ああ、なるほど。赤色灯のピカピカで酔っぱらっている患者を興奮させないための配慮なのだなと思った。

担架を引いて救急隊員が3名来たが、住所や電話番号を尋ねても酔っ払いの女性はなかなかまともに返事を返してくれない。

そうこうしているうちに少し落ち着いてきて、救急車での搬送を受け入れてそうなので僕も含めて介抱していた3人は「解放」してもらえることになった。

笹塚まで戻ってきて、知り合いの女の子と偶然に会い、少し立ち話してからやっと帰宅できたわけである。


ま、このように予期せぬ大きな出来事が2つあったので読み終えた本の紹介記事は翌日回しになってしまったわけである。(翌日書き終えた紹介記事


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真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話: 佐々木閑、大栗博司

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真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話: 佐々木閑、大栗博司」(Kindle版

内容紹介:
人生に生きる意味はない。
大いなる叡智が告げる、この世界の真実
心の働きを微細に観察し、人間の真理を追究した釈迦の仏教。自然法則の発見を通して、宇宙の真理を追究した近代科学。アプローチこそ違うが、この世の真理を求めて両者が到達したのは、「人生の目的はあらかじめ与えられているものではなく、そもそも生きることに意味はない」という結論だった。そのような世界で、人はどうしたら絶望せずに生きられるのか。なぜ物事を正しく見ることが必要なのか。当代一流の仏教学者と物理学者が、古代釈迦の教えから最先端の科学まで縦横無尽に語り尽くす。
2016年11月30日刊行、257ページ。

著者について:
佐々木 閑(ささきしずか): http://www.hanazono.ac.jp/education/teacher/s-sasaki.html
花園大学文学部仏教学科教授。文学博士。一九五六年、福井県生まれ。京都大学工学部工業化学科および文学部哲学科仏教学専攻卒業。同大学院文学研究科博士課程満期退学。専門は仏教哲学、古代インド仏教学、仏教史。九二年日本印度学仏教学会賞、二〇〇三年鈴木学術財団特別賞受賞。著書に『出家とはなにか』『インド仏教変移論』(ともに大蔵出版)、『日々是修行』(ちくま新書)、『「律」に学ぶ生き方の智慧』(新潮選書)、『仏教は宇宙をどう見たか』(DOJIN選書)、『ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか』(NHK出版新書)、『出家的人生のすすめ』(集英社新書)、『科学するブッダ』(角川ソフィア文庫)、『ブッダ100の言葉』(監修・翻訳、宝島社)等。佐々木先生の著書: Amazonで検索

理科系から文転し、仏教学を科学的に立証する
佐々木閑氏 (花園大学文学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4026

大栗 博司(おおぐりひろし): https://ooguri.caltech.edu/japanese
米国カリフォルニア工科大学理論物理学研究所所長、フレッド・カブリ冠教授。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員と米国アスペン物理学センター所長も務める。一九六二年生まれ。京都大学理学卒業、東京大学理学博士。シカゴ大学助教授、京都大学数理解析研究所助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを歴任したのち現職。専門は素粒子論。アメリカ数学会アイゼンバッド賞、フンボルト賞、仁科記念賞、サイモンズ賞、中日文化賞などを受賞。アメリカ芸術科学アカデミー会員。著書に『重力とは何か』、『強い力と弱い力』(ともに幻冬舎新書)、『大栗先生の超弦理論入門』(ブルーバックス、講談社科学出版賞受賞)、『数学の言葉で世界を見たら』(幻冬舎)、『素粒子論のランドスケープ』(数学書房)など。監修を務めた科学映像作品『9次元からきた男』(日本科学未来館)は国際プラネタリウム協会の最優秀教育作品賞を受賞。大栗先生の著書: Amazonで検索


理数系書籍のレビュー記事は本書で322冊目。(科学と仏教の本だが理数系書籍に分類しておく。)

本書は名古屋の中日文化センターで3回にわたって行われた「宇宙物理学と仏教の対話」という講座の内容をまとめたものである。この講座は仏教学者の佐々木閑先生と理論物理学者の大栗博司先生という、一見とんでもない組合せに見えるお二人によって行われた。

佐々木先生のことを僕はまったく存じ上げなかったから、この講座の案内を大栗先生のツイッターで見たとき「ありゃ~、先生大丈夫なのかな?」と心配していた。科学に無知な仏教の先生と論点のすれ違った不毛な討論になってしまうのではと危惧していたのだ。でも大栗先生のことだからこの話を引き受けるにあたって慎重に検討されたにちがいない。とても気になったので受講したかったのだが遠方なので申し込みには至らなかった。

受講者による参加報告を検索してもブログ記事が見つからない。どんな講座だったのか気にしながらもやもや感をもっていたところ講座が2回、3回と開催されたことを知り、内容はわからないけれどうまくいったのだとわかってきた。だから本書でどのような対話が行われたのか知ることができ、もやもやを来年に持ち越さずにすんでスッキリできたわけだ。

科学と宗教が相容れないことはガリレオの異端審問裁判で強く印象づいていたし、中世キリスト教が科学の発展を阻害していたこと、日本で生まれたいくつもの新興宗教のあり様を見ていて、宗教からなるべく遠ざかっていたいという考えを僕は持っている。仏教は檀家としての行事に参加したり最低限の役割を果たしているだけで、信仰しているわけではない。

そもそも仏教について僕はほとんど知らない。高校の世界史で学ぶ程度の仏教史と小学生のときにマンガで読んだ「おしゃかさま」という伝記の知識で終わっている。あとはいろいろな宗派の名前を知っているくらいでそれらの違いはわかっていない。

一般教養レベルでいいから仏教や仏教史を学ぶとしたらと思いついてAmazonで検索すると、どれを選んでよいのかわからなくなるほどたくさんの本が見つかる。科学に無知な人が思いったって科学教養書を検索しても同じようなことになるのだろうなと思った。もちろん大栗先生の本がベストだと思うわけだが、本書を読んでみて仏教については差し当たり佐々木先生の本から読んでみるのがよいと納得できた。

読み始めてすぐわかることだが、佐々木先生は京大工学部(化学系)を卒業された理数系マインドを理解されている方である。ご実家が寺であったことと、化学向きではないことが学生時代にわかったため、文学部(仏教系)に転身されたのである。詳細は「理科系から文転し、仏教学を科学的に立証する佐々木閑氏 (花園大学文学部教授)」というページでお読みいただける。

大栗先生が安心して講座をお引き受けになったのはこういうことか!と僕は理解できた。そしてお二人ともお互いの著書を読んだ上で講座に臨まれたのである。京大工学部を卒業できたレベルの佐々木先生ならば科学教養書は楽々読み解けていたはずだ。最先端の超弦理論の入門書にしても同じことである。

このようなわけで僕は安心して読み進めることができた。そして次に気になってきたのが仏教で説かれている世界と科学が明らかにした世界の間の矛盾がどのように討論され、お二人の間でどのように決着されるのか(あるいは決着されないのか)だった。

本書の章立ては次のとおり。この流れで仏教と科学の両面にわたって解説と対談が紹介されている。

序 心のフィルターを外す営み―仏教と物理学の接点 佐々木閑
第1部 宇宙の姿はどこまで分かったか―大栗博司/聞き手 佐々木閑
第2部 生きることはなぜ「苦」なのか―佐々木閑/聞き手 大栗博司
第3部 「よく生きる」とはどういうことか―佐々木閑x大栗博司
特別講義1 「万物の理論」に挑む―大栗博司
特別講義2 大乗仏教の起源に迫る―佐々木閑

佐々木先生のご研究の中心は次のように古代仏教と大乗仏教の成立史である。

- アビダルマ哲学の歴史的研究
- インド仏教僧団における戒律の研究
- 大乗仏教の成立史
- 科学と仏教の関係性の研究

日本に伝わったのは大乗仏教で、もともと釈迦が創始した仏教とは正反対のものだという。釈迦が説いた仏教はずっと緩いもので全面的に信じるか信じないかの2択をせまるものではなく、人が生きていく中で心の中に生まれる「老・病・死」などの苦を取り除くための教えであり、個人的な心の持ち方を教えてくれる「病院のようなもの」なのだそうだ。科学と相容れない教えは信じても信じなくてもよいということらしい。佐々木先生ご自身も「輪廻」や「業」は信じていらっしゃらないということを読み、大栗先生と同様僕も驚いた。それほど自由が許されている宗教だったのかと。僕にとって輪廻とは三島由紀夫の「豊饒の海」に描かれている世界であり、あってほしいと願っているもののうちのひとつだ。

日本以外の国で僧侶はサンガと呼ばれる組織で集団生活をするのだという。日本の僧侶はそのようなことはないから例外中の例外というわけである。また大乗仏教が日本に取り入れられていった過程を知ったとき、僕は日頃仏教やその行事に対して感じていた疑問や違和感の理由がわかった気がした。

その疑問や違和感は先月妹を亡くしたばかりのときにも感じたものだ。(参考:その日に書いた記事)葬儀にかかる費用の明細、寺へのお布施や戒名にかかる金額を知ったとき、日ごろ本業の仕事で見積書を厳しくチェックしている僕としては唖然とすることばかり。慌ただしい中で葬儀を決めなければならないから相見積もりをとる時間的猶予は与えられず、いわば「相場」や「言いなり」の金額で費用がほぼ自動的に決められてしまう。市場の競争原理が働いていないことがよくわかった。その状況の大もとの原因は、仏教が本来教えていたことに根差していたのではなく、日本独自のスタイルで受け入れられていった大乗仏教に起因する寺および葬儀、そして葬儀ビジネスのあり方にあったのだと思った。(ご注意:佐々木先生がそのようにお書きになっているのではなく、僕がそう感じただけである。)

若いお坊さんが葬儀でお経をあげてくださったときにも違和感をもった。生前の妹のことをほとんどご存知ないのに、お経をあげてもらっても僕としては「この人はいったい何?」と思ってしまうわけだ。罰当たりには違いないけど。でも妹は僕と正反対で世間体や常識をとても大事にするやつだったから、こういう形式張りの葬儀を喜んでいたに違いないと思って納得することにした。


佐々木先生が担当された解説は、最初のうちは仏教用語に慣れていないので読み解くのに時間がかかったが、次第にペースを上げて読むことができるようになった。科学に不慣れな読者が大栗先生が担当された部分をお読みになるときもきっと同じようなことになるのだろう。

キリスト教やイスラム教が絶対的な神の存在を前提としているのに対し、仏教には神に対応する絶対的な存在がないという説明も僕の偏見を解いてくれた。「仏」がそうなのだと誤解していたわけなので。釈迦の教えの中にもある死後の霊魂の存在も信じていらっしゃらない佐々木先生は仏教者としては異色の存在なのかもしれないとも思った。他の仏教入門書を読むときに参考のために覚えておこう。

大栗先生が担当された科学の解説は、これまでの著書で知っていることがほとんどだった。僕のブログの読者はおそらく著書を読んでいらっしゃるはずだから、詳しい説明は省かせていただく。ただしこれまでの著書には書かれていなかった、ブラックホールの防火壁問題、大栗先生が仏教や宗教をどのように考えているか、社会における問題をどのように思っていらっしゃるか、外国人と話すとき宗教についてはどのような点に注意すべきか、などを知ることができる。これらの点が僕にはとても興味深かった。

対談にあてられている第3部 「よく生きる」とはどういうことか、が本書のいちばんの読みどころだ。科学が示す事実を共有できるお二人であるが、対立を避けるために無難で遠慮がちな対話が繰り広げられたわけではない。共通の認識や相互の信頼関係を確信したうえで、率直な疑問、質問を大栗先生はいくつも投げかけられている。特に僕が強烈だと思ったのは「単刀直入にお聞きします。釈迦の教えを宗教として信じていらっしゃいますか。」という質問である。聞いてみたいが、はばかられるこのようにストレートな質問が、その後の対話を大いに膨らませてくれているのだ。本書の面白さはこのようなところにもある。


本書の最後は大栗先生、佐々木先生それぞれによる特別講義。先生の『「万物の理論」に挑む』はカラビ-ヤウ空間のオイラー数の一般化(超弦理論の質量公式を与える公式)がラマヌジャンが導いた公式と密接に関連していたという話が僕には新しい知識で特に印象に残った。

佐々木先生の「大乗仏教の起源に迫る」は本書の途中から僕も疑問に思っていたことを解き明かしてくださったので、読後感が爽快だ。釈迦が説いた仏教と正反対の大乗仏教がなぜ生まれたのか?本書を読んだ誰もが不思議に思っていたことだろう。人為的な意図のもとに書かれた歴史書ではなく、自然な形に残された原著や「アショーカ王碑文」を科学的な視点から分析、歴史的な事実を発見されたことに、他の仏教学者には(おそらく)備わっていない佐々木先生の独自性と今後のご研究がもたらすものの大きさと価値が見えたような気がした。


僕には目新しかった佐々木先生ご担当の部分が中心の紹介記事になってしまったが、本書は理数系の方はもとより、科学に関心がない方、仏教にたずさわっている多くの方にも読んでいただきたいと思う。科学にしても仏教にしても、自分の考え方、心の持ち方の指針を与えてくれる本である。


関連記事:

まず、大栗先生が本書についてブログに書かれた紹介記事をふたつ。

『真理の探究』
http://planck.exblog.jp/26156451/

出家的な生き方 → 大栗先生がお書きになった本書の「あとがき」をお読みいただける。
http://planck.exblog.jp/26187718/

佐々木先生の著作は本書以外読んだことがないので、これまでに書いた大栗先生の著書の紹介記事をリストアップさせていただく。

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f63cdcd45ec542fa62d535b4cc715d69

強い力と弱い力:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06c3fdc3ed4e0908c75e3d7f20dd7177

大栗先生の超弦理論入門:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75dfba6307d01a5d522d174ea3e13863

数学の言葉で世界を見たら: 大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8ffea17402dcf34e5991b154acef39d9


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真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話: 佐々木閑、大栗博司」(Kindle版



序 心のフィルターを外す営み―仏教と物理学の接点 佐々木閑
- 人は生まれながらにして偏見・先入観が刷り込まれている
- 「宇宙の真ん中に自分がいる」という思い込み
- 釈迦と物理学が教える「世界の正しい見方」

第1部 宇宙の姿はどこまで分かったか―大栗博司/聞き手 佐々木閑
- 科学とはそもそも何か
- 宇宙には「始まり」があった!
- 「時間と空間の常識」が覆される

第2部 生きることはなぜ「苦」なのか―佐々木閑/聞き手 大栗博司
- 釈迦は宇宙の法則の発見者
- 仏教とはそもそも何か
- 仏教が広まった二つのルート
- 神秘性ゼロの哲学「アビダルマ」の世界観
- 大乗仏教はなぜ生まれたのか

第3部 「よく生きる」とはどういうことか―佐々木閑x大栗博司
- 世界を正しく見るということ
- 「人生の意味」はどこにある?

特別講義1 「万物の理論」に挑む―大栗博司

特別講義2 大乗仏教の起源に迫る―佐々木閑

とね日記賞の発表!(2016年): 物理学賞、数学賞、他

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毎年12月10日、スウェーデンのストックホルムでアルフレッド・ノーベルの命日に行われるノーベル賞の授賞式の日程にあわせて「とね日記賞」を発表している。今年で7回目。

ノーベル賞を僕がもらう見込みはどうもなさそうだ。それならば自分で賞を作って「あげる側」になってしまえ!という思いつきだ。

「とね日記賞」はその年に僕が読んだ物理学書、数学書の中から自分のためになった本、この分野を勉強している学生や社会人にお勧めする本を物理学、数学など各分野に分けてそれぞれ1~2冊発表する。あとテレビドラマ賞や贈り物にふさわしい本としてクリスマス賞というのも設けている。

たとえ名著と言われる本であっても僕がその価値を理解できなければ受賞できない。昨年以前に読んだ本は自動的に選考対象から外されるし、どんなに良書であっても僕が読んでいなければ対象外。今のところ洋書も対象外。何より僕の学習進度や理解度や好みに影響される。

メダルも賞金も授賞式も晩餐会も舞踏会もないから、ありがたくも何ともなく、主観に満ちたアンフェアな賞である。

今年は次の賞を設けることにした。

- 物理学賞
 物理学の教科書、専門書から選考。

- 数学賞
 数学の教科書、専門書から選考。

- 教養書賞
 一般向け書籍から分野別に選考。

- ベストカップル賞
 読み合わせると理解がより深まる2冊の本。

- 異文化交流賞
 異なる2つの分野を含んでいる本から選考。

- 新人賞
 書籍出版デビューを果たしたアマチュアが書いた本から選考。

- 文学賞
 ジャンルを問わない小説、文学書から選考。

- テレビドラマ賞
 テレビドラマの中からいちばんよかったものを選考。

- クリスマス賞
 クリスマスプレゼントにふさわしい本を選考。


この1年で読んだ本は33冊で、次のような本である。通算289冊~322冊目。(参考:「300冊の理数系書籍を読んで得られたこと」)

- 圏論の歩き方(日本評論社)
- 古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ:山本義隆
- 微分積分学の史的展開 ライプニッツから高木貞治まで:高瀬正仁
- 微分積分学の誕生 デカルト『幾何学』からオイラー『無限解析序説』まで:高瀬正仁
- 定本 解析概論:高木貞治
- 磁力と重力の発見〈1〉古代・中世:山本義隆
- 磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス:山本義隆
- 磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり:山本義隆
- ブラックホール・膨張宇宙・重力波 一般相対性理論の100年と展開:真貝寿明
- なっとくする複素関数:小野寺嘉孝
- すごい! 磁石: 宝野和博、本丸諒
- マンガでわかる超ひも理論:荒舩良孝著、大栗博司監修
- 超対称性理論とは何か:小林富雄
- 『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社
- 高校数学でわかるマクスウェル方程式:竹内淳
- 高校数学でわかるシュレディンガー方程式:竹内淳
- 高校数学でわかるボルツマンの原理:竹内淳
- 科学の発見: スティーブン・ワインバーグ
- リーマン--人と業績: D.ラウグヴィッツ
- 現代思想 2016年3月臨時増刊号 総特集◎リーマン -リーマン予想のすべて-
- 重力波は歌う:アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち:ジャンナ ・レヴィン
- 人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの: 松尾豊
- 脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす:甘利俊一
- 死ぬまでに学びたい5つの物理学: 山口栄一
- 相対論的量子力学 (量子力学選書): 川村嘉春
- 原子爆弾 1938~1950年: ジム・バゴット
- 数学する精神―正しさの創造、美しさの発見: 加藤文元
- 部分と全体: W.K. ハイゼンベルク
- 量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突:マンジット・クマール
- 線型代数[改訂版]: 長谷川浩司
- マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン
- 重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
- 真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話: 佐々木閑、大栗博司

それでは2016年の「とね日記賞」を発表しよう。(書籍名と画像は本の購入ページにリンクさせておいた。)


* 物理学賞

今年は次の2つに授賞させていただくことにした。

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世:山本義隆
磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス:山本義隆
磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり:山本義隆

  

授賞理由: 本書は一般読者向けに書かれた科学教養書なのだが難解で、大学初年度の物理学を学んだ人でないと真の価値を理解することができないと思う。したがって専門書として授賞させていただいた。単なる科学史の本ではない。文化史あるいは思想史を含む壮大な歴史ドラマである。磁力の本質が見極められるまで、人類はどれほどの長い間の紆余曲折を経てきたか、ニュートンによる万有引力の発見が成し遂げられるまでに、1000年以上に渡って哲学者や科学者が考えてきた磁力、そして力や運動についての妄想や見当はずれな説がけして無駄なものではなかったことがわかる。自然魔術が科学へ転換していく過程を追体験できる著作なのだ。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世:山本義隆
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75ef1fc1216c255471fdbf65cc3a0c49

磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス:山本義隆
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/16b61843d410a867f942f3f8aef13865

磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり:山本義隆
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/196ce202408dd250728dad303dac89f3


マーミン相対論―新しい発想で学ぶ:デヴィッド マーミン



授賞理由: 物理学を学ぶ者にとって1905年に発表されたアインシュタインの特殊相対論は、高校レベルの数式で記述される比較的やさしい理論で、時間と空間が4次元時空として一体であることや等速運動による空間の縮みや時間の遅れが発見された。そして理論が導かれるためにはまず「光速度不変の原理」を使う。けれども本書で紹介されているのは「光速度不変の原理」を使わない「光なしの相対論」だ。ツイッターでアンケートをとったところおよそ8割の方がこの理論を知らないことがわかった。空間の等方性、時空の一様性、相対性原理(すべての慣性系の同等性)の3つを前提とすることで、不変速度の存在やローレンツ変換に類する慣性系どうしの変換式が導かれてしまう。これには驚かされた。本書を紹介してくれたT_NAKAさんに感謝したい。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6e47253b0622e867f57fb15b88d18149


* 数学賞

今年は3冊に対して授賞させていただくことにした。

線型代数[改訂版]:長谷川浩司



定本 解析概論:高木貞治



『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社



授賞理由: 今年は理数工学系の大学1年生を応援する気持ちで線形代数と解析学の教科書を読んで紹介記事を書いてみた。僕が学生の頃にはなかった優れた教科書が多い中、あえて古い「解析概論」もお勧めしたい。長谷川先生の線形代数の教科書は物理学科の学生には特にお勧め。至れり尽くせりの本である。そして数学科の学生、数学科に入ろうかと考えている受験生のために4年間のカリキュラムが手に取るようにわかるガイダンス本をお勧めしたい。2017年版も春までに刊行されることだろう。(最新版を検索する。)

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

線型代数[改訂版]: 長谷川浩司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2ef742e3bfe4561bea2b6994bc16909c

定本 解析概論:高木貞治
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cf579e91cb873cda1126e70a6bd3def2

『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/20e4c86d6279ba015ba36e0e79953bf5


* 教養書賞(物理学部門)

この2冊に授賞させていただくことにした。

ブラックホール・膨張宇宙・重力波 一般相対性理論の100年と展開:真貝寿明 (光文社新書)」(Kindle版



授賞理由: 今年2月の「重力波初観測の発表」は衝撃的だった。その後も何冊か関連する科学教養書が刊行されている。(アマゾンで検索してみる。)けれども僕が読んだものに限ればこの本がいちばんよかった。中性子星やブラックホールの研究の歴史、観測装置やその仕組みだけでなく、重力波についての解説、数値シミュレーションについてなどバランスよく、そして丁寧にわかりやすく書かれた本だ。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

ブラックホール・膨張宇宙・重力波 一般相対性理論の100年と展開:真貝寿明
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/88bf1600687ece47464c862fefe53103


量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突:マンジット・クマール



授賞理由: 量子力学系では「量子革命」がよいだろう。量子力学前史から前期量子論、ボーアとアインシュタインの対決から晩年まで。そして「ベルの不等式」や「アスペの実験」のことまで書かれている。まさに「完全版」とでも呼ぶにふさわしい本である。アインシュタインの死後7年経ってボーアは亡くなるのだが、死の前日までアインシュタインが提示した思考実験のことを考えていたという話に胸が熱くなった。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突:マンジット・クマール
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/19d16104cb20787443c84b8692b0424b


* 教養書賞(数学部門)

数学する精神―正しさの創造、美しさの発見:加藤文元」(Kindle版



授賞理由: 高校レベルで学ぶ数式だけで、数学のもつ深淵な世界、異なる分野に現れる不思議なつながりを伝えてくれる好書である。高校生だけでなく大学以上の数学を学んだ人でも興味をもって読んでいただける。著者の数学に対する真摯な姿勢、哲学を知ることができ他の著書も読んでみたいという気持になった。今後、どのような本をお書きになるか楽しみである。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

数学する精神―正しさの創造、美しさの発見: 加藤文元
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4d706bf3aeba7eb5fe876b55b8a8496c


* ベストカップル賞

読み合わせのよい本として、この2冊に授賞させていただくことにした。

古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ:山本義隆



微分積分学の史的展開 ライプニッツから高木貞治まで:高瀬正仁」(Kindle版



授賞理由: 「古典力学の形成」には物理学賞を授賞したかったのだが「磁力の発見」をどうしても授賞対象に含めたかったのでベストカップル賞を設けたのだ。「古典力学」は万有引力をニュートンが発見しケプラーの法則を証明してから200年以上をかけて何人もの科学者、数学者が研究をし、発展させ、ラグランジュやラプラスの天体力学によってようやく完成した。その間、ガウスやオイラーによってなされた貢献も重要な役割を果たしている。ニュートン力学、古典力学が完成するまでの壮大な歴史を解説した名著である。そしてそのためには微積分学の発展が不可欠であった。「微積分学の史的展開」は古典力学の発展、完成に貢献した科学者、数学者によって微積分の方法がどのように洗練されていったかを解説した本である。物理と数学という2つの眼鏡をとおして同じ時代の科学史を見ることで、より深い理解を得ることができる。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ:山本義隆
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e808487b7e9d668967f703396e32d80a

古典力学の形成: 山本義隆―続きの話
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b5904a574fd4c4e276da496bd2c1821b

微分積分学の史的展開 ライプニッツから高木貞治まで:高瀬正仁
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/33cc90c177cd44601d92cc256acc2de2


* 異文化交流賞

真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話: 佐々木閑、大栗博司」(Kindle版



授賞理由: 科学と仏教という一見矛盾する2つの分野の先生による対談を書籍化した本。本の帯にある「人生に生きる意味はない。 」は「人生に目的や幸せはもともと存在しない。」という意味だ。だからこそ人が意味のある人生を送るために、みずから目的を探し自分の幸福は自分で見つけることが大切だということを本書は教えてくれる。世界や宇宙は科学によってどのように理解できるようになったのか。釈迦が説いた本来の仏教はどのようなもので、彼は世界や宇宙をどのように考えていたか。最先端科学と仏教についての知見が得られるだけでなく、きわめて頭脳明晰なお二人の先生の間で交わされる対話、解説や特別講義を通して私たちがどのように生きていくべきか深く考えさせられる本である。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話: 佐々木閑、大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6df5d9f8790904322b7e4db5e688fb39


* 新人賞

先祖の足跡を辿れ 幕末から昭和を生き抜いた山路家の人々:佐藤昭・ゆり



授賞理由:

理数系書籍ではないが、この本に授賞させていただくことにした。著者の佐藤さんとは今年思いがけない形で知り合った。定年退職後の生活を奥様とご先祖様探しをしながら大いに楽しまれている。本を書くのは初めてということだそうだ。さぞご苦労も多かったことだろうと想像しながら、本書を楽しませていただいた。お祝いの気持をこめて授賞である。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

先祖の足跡を辿れ 幕末から昭和を生き抜いた山路家の人々:佐藤昭・ゆり
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1d58bbefa02793bec150b3abb11fe249


* 文学賞

薔薇の名前〈上〉:ウンベルト・エーコ
薔薇の名前〈下〉:ウンベルト・エーコ
イタリア語版)(英語版)(フランス語版

 

授賞理由: ショーン・コネリー主演で映画化された小説。日本では1987年に公開され僕にとっては忘れることができない映画だ。僕が本の紹介記事を投稿したのは今年の2月7日なのだが、著者のウンベルト・エーコは奇しくもその12日後の2月19日に生涯を閉じている。訃報を聞いて戦慄を覚えたことを覚えている。暗い中世キリスト教社会の中で科学がどのように扱われていたのか。同じ時期に「磁力と重力の発見」を読んでいたので、リアリティに満ちた急ピッチで展開されるストーリーを楽しみながら、秘蹟ではなく知性を信じるウィリアム修道士の活躍を楽しんだ。小説のほうが映画より断然よい。作品の素晴らしさに加えて、著者への追悼の気持ちから授賞させていただいた。他の小説も読んでみたいと思う。

紹介記事は次のリンクからお読みいただきたい。

薔薇の名前: ウンベルト・エーコ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9394d36fbda1679f649edb0c0e078040


* テレビドラマ賞

今年もたくさんのドラマを楽しんだ。このページでどのようなドラマが放送されていたかを確認できる。僕が毎回楽しく見ていたのは「真田丸」、「重版出来!」、「ゆとりですがなにか」、「世界一難しい恋」、「お迎えデス」、「神の舌を持つ男」、「営業部長吉良奈津子」、「家売るオンナ」、「グ・ラ・メ!」、「仰げば尊し」、「砂の塔」、「逃げるは恥だが役に立つ」、「地味にスゴイ!」、「ドクターX」、「キャリア」、「レディ・ダ・ヴィンチの診断」、「最後のレストラン」などである。そして「奇跡の人」は毎回感動していたドラマだった。


次の2つに授賞させていただくことにした。

石川五右衛門



授賞理由: 文句なしに楽しめた。市川海老蔵さんのクールな男っぷりが最高だ。撮影は6月24日にクランクアップしていたようだが放送は10月クールである。海老蔵さんが奥様の病気のことを公表したのは6月9日のことである。奥様を少しでも楽しませようとこの仕事を引き受けたのかもしれないと思った。その後、マスコミに対しての苦言を11月1日ご自身のブログにお書きになっている。そして12月10日、すなわち今日ファンクラブを結成されたばかり。ドラマはもちろん面白かったが、海老蔵さんと奥様への応援の気持ちをこめて授賞させていただくことにした。


お義父さんと呼ばせて



授賞理由: 1月クールのドラマ。中年男と若い女の子との間で繰り広げられる恋愛事情をテーマにした、いわゆる「恋愛妄想オヤジ系ドラマ」だ。現実には絶対おこらないシチュエーション。だからせめて空想の中だけでもときめいていたい。そんなオヤジなあなたのハートにジャストミート。キモイと言われようが、ダサイと言われようが構わない。世代感覚、生活習慣のギャップが引き起こすすれ違いやドタバタ劇がドラマの見どころである。外苑前の銀杏並木で撮影された第1話の冒頭シーンのロケに僕はたまたま出くわしていた。並木道を全力疾走する主演の遠藤憲一さんを見て「また刑事かヤクザ役で出演するのかな?」と思っていた。でもそれは親子ほどの年齢差がある若い婚約者の誤解をはやく解かなければと必死で走る中年男の情けないシーンだったのである。まさかのキャスティングに吹き出してしまった。同じ時期に「東京センチメンタル」という同じような欲求を満たしてくれるドラマも放送されていた。なんとこちらは正月にスペシャルドラマとして新作が放送されるそうだ。万歳!!

【番組概要】
タイトル   :「東京センチメンタルSP」
放送日時   :2017年1月3日(火)夜11時30分~0時55分
放 送 局    :テレビ東京(他未定)
出  演   :吉田鋼太郎 高畑充希 片桐仁 /福士誠治 鈴木杏(友情出演)/小栗旬


* クリスマス賞

コロボックル物語1 だれも知らない小さな国」(紹介記事
コロボックル物語2 豆つぶほどの小さないぬ」(紹介記事
コロボックル物語3 星からおちた小さな人」(紹介記事
コロボックル物語4 ふしぎな目をした男の子」(紹介記事
コロボックル物語5 小さな国のつづきの話」(紹介記事
コロボックル物語6 コロボックルむかしむかし」(紹介記事

  

  

だれもが知ってる小さな国:有川 浩、村上 勉」(紹介記事



授賞理由: いま爆発的に売れているシリーズ最新作「ハリー・ポッターと呪いの子」に授賞しようかと一瞬考えたが、クリスマスに「呪い」をプレゼントするのはやはりよくないと思い、コロボックル物語シリーズのほうにした。クリスマスはほっこりした気分になる本がよい。プレゼントするなら佐藤さとる作のほうの最初の1、2冊だけでもよいし、この物語を受け継いだ有川浩作の続編1冊でもよいと思う。太っ腹の方は全巻どうぞ。文庫版だけでなく単行本や新版、旧版などいろいろ出ているので紹介記事をお読みになってからお買い求めいただきたい。売り上げ300万部のベストセラー、3世代に渡って読み継がれている日本初のファンタジー小説である。

紹介記事はそれぞれ上の書名の横の(紹介記事)からお読みいただきたい。また、本書以外の本をプレゼントしたい方は昨年以前の「とね日記賞」のクリスマス賞を参考にしていただきたい。


関連記事:

とね日記賞の発表!(2010年): 物理学賞、数学賞、他
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ddc344204dec2ebd35c47a8699eb1389

とね日記賞の発表!(2011年): 物理学賞、数学賞、他
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/27bc2b5eafa9334dae11d92e90c69b0d

とね日記賞の発表!(2012年): 物理学賞、数学賞、他
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b4ce3d8c7d90d5b95bf6ab826cc7d93f

とね日記賞の発表!(2013年): 物理学賞、数学賞、他
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/35a258d08776ca6964cc70764cc1f5a8

とね日記賞の発表!(2014年): 物理学賞、数学賞、他
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/03d734929be66990cd8d25d7131a523a

とね日記賞の発表!(2015年): 物理学賞、数学賞、他
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d1c27e18d9b072311f715394439d0d9d


最後になりますが、本日ストックホルムでのノーベル賞授賞式に望まれる大隅良典先生、おめでとうございます!


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宮沢賢治童話集(岩波書店、1963年)

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先日家の掃除をしていたら、子供の頃に読んでいた本を見つけた。

銀河鉄道の夜 宮沢賢治童話集 II、岩波書店

1972年に買ったもので初版が刊行されたのは1963年。小学生当時、学校の図書館には必ずこの単行本があった。

最近はこういう立派な装丁の児童文学書がほとんど見当たらない。そういえばピンク色の表紙の「風の又三郎」もあったっけと思い、古書を探して買い足しておいた。

宮沢賢治の小説には現代の児童文学や小説にはない、どこか物悲しく静かで心に響く作品が多い。いまどきの子供に理解できるのだろうかと思いつつ、やはり読んでほしいという気持ちにさせられる。

風の又三郎  宮沢賢治童話集 I、岩波書店(1963)
銀河鉄道の夜 宮沢賢治童話集 II、岩波書店(1963)

 

日本の古本屋のサイト: 検索する
ヤフオク: 検索する

表紙2 挿絵1 挿絵2


‪風の又三郎 宮沢賢治童話集 I (1963) 岩波書店‬

雪渡り
よだかの星
どんぐりと山ねこ
狼森と笊森、盗森
注文の多い料理店
からすの北斗七星
水仙月の四日
かしわばやしの夜
鹿踊りのはじまり
シグナルとシグナレス
ざしき童子のはなし
祭りの晩
虔十公園林
なめこと山のくま
オッペルとぞう
北守将軍と三人兄弟の医者
セロ弾きのゴーシュ
風の又三郎

‪銀河鉄道の夜 宮沢賢治童話集 II (1963) 岩波書店‬

やまなし
ふたごの星
貝の火
ツェねずみ
月夜のけだもの
気のいい火山弾
土神ときつね
カイロ団長
洞熊学校を卒業した三人
雁の童子
銀河鉄道の夜
グスコーブドリの伝記


賢治の作品はすべて著作権が切れているので「青空文庫」で読めるわけだが、やはり市販本で読みたいという方もいるだろう。僕のお勧めは次のとおり。

新編 風の又三郎 (新潮文庫) 」(Kindle版
新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)」(Kindle版

 

参考: 「銀河鉄道の夜」の新潮文庫版角川文庫版の違いはこの表で確認できる。

宮沢賢治の作品: Amazonで検索


そして次はKindle版でしかでていないのだが、大量の作品を読める。しかもたった200円。

『宮沢賢治全集・283作品⇒1冊』【直筆水彩画・関連作品つき】




ちなみに宮沢賢治は現岩手大学農学部に首席で入学しているので理数系である。そして法華信者でもある。

【 あの人の人生を知ろう~宮沢賢治 】
http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/kenji.html

宮沢賢治記念館(岩手県花巻市)
http://www.city.hanamaki.iwate.jp/bunkasports/501/miyazawakenji/p004116.html


朗読サイト:

作品を朗読してくれるサイトを3つ紹介しておこう。

宮沢賢治作品の朗読
http://www.kitagawatakurou.net/roudoku/

青空文庫(朗読)
http://aozoraroudoku.jp/kensaku/kensaku-02.html#magyo

宮沢賢治全作品朗読
http://www.haizara.net/~shimirin/radio/kenji/

宮沢賢治の作品朗読: YouTubeで検索


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文系の読者にお勧めする理数系書籍リスト

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文系、理系という区分けは好きではないのだが、検索に引っかかりやすくするためこのタイトルにした。

数学や数式が苦手な方の中にも、現代物理学や数学の最近の動向が気になっている人はいるだろうし、相対性理論や量子力学、超弦理論がどのようなものか教養としておさえておきたいという人もいることだろう。

政治家の中にも最先端科学への興味をもっていらっしゃる方がいる。前国土交通大臣の太田昭宏さんもそのおひとりだ。(京大工学部修士卒なので理系的素養をお持ちの方である。)ブログを見てわかるように、太田さんはものすごい読書家である。

【私の読書録】(太田昭宏衆議院議員のブログ)

超弦理論入門 大栗博司著 講談社(紹介記事
https://www.akihiro-ohta.com/blog/2014/05/post-828.html

宇宙は何でできているのか 村山斉著 幻冬舎(Amazon
https://www.akihiro-ohta.com/blog/2010/11/post-284.html

宇宙はなぜこんなにうまくできているのか 村山斉著 集英社インターナショナル(Amazon
https://www.akihiro-ohta.com/blog/2012/10/post-601.html


高校生にお勧めする30冊の物理学、数学書籍」という記事を書いたが、これは将来数式を使って理解できるようになりたい人向けなので「文系読者」には少々ハードルが高い。

そこで数式なし、もしくは数式が書かれていても少しだけという条件をつけてお勧めの科学教養書をリストアップしてみた。ただしニュートンムック(Newton別冊)は眺めただけでわかった気になってしまうおそれがあるかもしれないし、値段が張るので除外しておく。(もちろんニュートンムックの中にはお勧めしたい本はたくさんあるわけだが。)

読者の皆様にもコメント欄からお勧め本を紹介していただきたいし、お勧めいただいた本は追記していこうと考えているので「~へお勧めする〇〇冊」とはせず「文系の読者にお勧めする理数系書籍リスト」としておこう。

次のような基準で選んで一覧にしてみた。

- 物理学系の本は数式なし、もしくは数式が書かれていてもごくわずかなもの。
- 数学系の本は数式が書かれていても高校レベルの数式までにとどめる。
- 難易度が同じレベルの本は、内容になるべく重複がないように選ぶ。
- 各分野の関連性、論理的なつながりがわかりやすくなるように本を順番に並べる。
- 価格が手ごろで入手しやすい本を紹介する。(絶版であっても中古価格が安い本。)

僕がすでに読んだ本には紹介記事へのリンクを、読んでいない本にはAmazonへのリンクをつけておいた。特にお勧めな本は「とね日記賞」という記事の中の教養書のカテゴリーで授賞させていただいている。


入門者向け

大栗先生の超弦理論入門:大栗博司(紹介記事
重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る:大栗博司(紹介記事
強い力と弱い力:大栗博司(紹介記事

NHK「100分de名著」ブックス アインシュタイン 相対性理論(Amazon)(YouTube
[図解]相対性理論とブラックホール:佐藤勝彦(Amazon
[図解]量子論がみるみるわかる本(愛蔵版):佐藤勝彦(Amazon

マンガでわかる超ひも理論:荒舩良孝著、大栗博司監修(紹介記事
超ひも理論をパパに習ってみた:橋本幸士(紹介記事

光と電磁気 ファラデーとマクスウェルが考えたこと 電場とは何か? 磁場とは何か?:小山慶太(Amazon
光と重力 ニュートンとアインシュタインが考えたこと 一般相対性理論とは何か:小山慶太(Amazon
エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学:鈴木炎(Amazon
新装版 マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ:都筑卓司(Amazon
新装版 不確定性原理―運命への挑戦:都筑卓司(Amazon
量子力学が語る世界像―重なり合う複数の過去と未来:和田純夫(Amazon
場の量子論とは何か―統一理論へ近づくための根本原理:和田純夫(Ammazon

宇宙が始まる前には何があったのか?: ローレンス・クラウス(紹介記事)(番組
ブラックホール・膨張宇宙・重力波 一般相対性理論の100年と展開:真貝寿明(紹介記事
重力波とはなにか 「時空のさざなみ」が拓く新たな宇宙論:安東正樹(Amazon

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉(紹介記事
ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉(紹介記事
困ります、ファインマンさん(紹介記事

歴史を変えた100の大発見 数学 新たな数と理論の発見史(紹介記事
無限をつかむ: イアン・スチュアートの数学物語(紹介記事
数学する精神―正しさの創造、美しさの発見: 加藤文元(紹介記事
理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書):高橋昌一郎(Amazon
悩めるみんなの統計学入門:中西達夫(紹介記事


中級者向け

だれが原子をみたか(岩波現代文庫):江沢洋(紹介記事
新版 電子と原子核の発見(ちくま学芸文庫):S.ワインバーグ(紹介記事
鏡の中の物理学 (講談社学術文庫):朝永振一郎(Amazon
量子のからみ合う宇宙:アミール・D・アクゼル(紹介記事
量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突:マンジット・クマール(紹介記事
ハイゼンベルクの顕微鏡:石井茂(紹介記事
そして世界に不確定性がもたらされた―ハイゼンベルクの物理学革命:デイヴィッド リンドリー(Amazon
シュレーディンガーと量子革命 天才物理学者の生涯 :ジョン・グリビン(Amazon
量子の海、ディラックの深淵―天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯(Amazon
ヒッグス粒子の発見:イアン・サンプル(紹介記事
質量はどのように生まれるのか:橋本省二(紹介記事
ニュートリノで探る宇宙と素粒子:梶田隆章(Amazon
量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語: レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル(Amazon
重力波は歌う:アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち:ジャンナ ・レヴィン(紹介記事
科学の発見: スティーブン・ワインバーグ(紹介記事
宇宙創成(新潮文庫):サイモン・シン(Amazon

エレガントな宇宙:ブライアン・グリーン(紹介記事)- 超弦理論の詳しい入門書
宇宙を織りなすもの(上):ブライアン・グリーン(紹介記事
宇宙を織りなすもの(下):ブライアン・グリーン(紹介記事
隠れていた宇宙(上):ブライアン・グリーン(紹介記事
隠れていた宇宙(下):ブライアン・グリーン(紹介記事

数学の大統一に挑む:エドワード・フレンケル(紹介記事)(番組
フェルマーの最終定理 (新潮文庫):サイモン・シン(Amazon
完全なる証明―100万ドルを拒否した天才数学者 (文春文庫):マーシャ・ガッセン(Amazon
ポアンカレ予想 (新潮文庫) :ドナル・オシア(Amazon
素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~:ジョン・ダービーシャー(Amazon)(番組
代数に惹かれた数学者たち:ジョン・ダービーシャー(Amazon


上級者向け

光と物質のふしぎな理論―私の量子電磁力学 (岩波現代文庫) :リチャード・P. ファインマン(紹介記事
物質のすべては光―現代物理学が明かす、力と質量の起源:フランク・ウィルチェック(Amazon
光の場、電子の海―量子場理論への道:吉田伸夫(紹介記事
素粒子論はなぜわかりにくいのか:吉田伸夫(紹介記事
クォーク 第2版:南部陽一郎(紹介記事
「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム(紹介記事
見えざる宇宙のかたち:シン=トゥン・ヤウ、スティーヴ・ネイディス(紹介記事
対称性―レーダーマンが語る量子から宇宙まで(Amazon
もっとも美しい対称性:イアン・スチュアート(Amazon
宇宙創成はじめの3分間 (ちくま学芸文庫):S. ワインバーグ(紹介記事

エキゾチックな球面:野口廣(紹介記事
シンメトリーの地図帳:マーカス デュ・ソートイ(Amazon)(番組
素数の音楽 (新潮文庫):マーカス デュ・ソートイ(Amazon)(番組


樺沢宇紀先生のお勧め本

・R. P. ファインマン(江沢洋訳)『物理法則はいかにして発見されたか』(岩波現代文庫2001年)(紹介記事
・A. J. レゲット(高木伸訳)『物理学のすすめ』(紀伊国屋書店1990年)(Amazon
・湯川秀樹『物理講義』(講談社学術文庫1977年)(Amazon
・高林武彦『素粒子論の開拓』(みすず書房1987年)(Amazon
・高内壮介『湯川秀樹論』(第三文明社1993年)(Amazon
・F. ダイソン(鎮目恭夫訳)『宇宙をかき乱すべきか-ダイソン自伝』(ちくま学芸文庫2006年)(Amazon
・W. ハイゼンベルク他(青木薫訳)『物理学に生きて-巨人たちが語る思索の歩み』(ちくま学芸文庫2008年)(Amazon
・福井謙一『学問の創造』(朝日文庫1987年)(Amazon
・広中平祐『生きること学ぶこと』(集英社文庫1984年)(Amazon


おがわけんたろうさんのお勧め本

青の物理学―空色の謎をめぐる思索:ピーター・ペジック(Amazon
雪の結晶はなぜ六角形なのか:小林禎作(Amazon
これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義:ウォルター ルーウィン(紹介記事
物理の散歩道:ロゲルギスト(Amazon
「アイザック・アシモフの科学エッセイ」シリーズ:(Amazon


なかみつさんのお勧め本

現代物理学の世界―フロンティアを拓いた人びと:久保謙一(Amazon
新しい物性物理―物質の起源からナノ・極限物性まで:伊達宗行(Amazon
物理学者はマルがお好き (ハヤカワ文庫・NF) :ローレンス・クラウス:(Amazon


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重力(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル

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重力(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル

内容紹介:
最小限の数学で学べる一般相対性理論の画期的教科書!
本書は「世界天文年2009日本委員会公認」書籍に選ばれました。
アインシュタインの一般相対性理論は、現代物理学に欠かせない基礎である。それは、ブラックホール、曲がった時空、重力波、宇宙論などの豊かな話題を提供し、学ぶものすべてを魅了する。しかしこの学習には、微分幾何学の知識を身に付け,アインシュタイン方程式を導入しなければならない大きな壁があった。
本書は、学部のカリキュラムに一般相対性理論を取り入れ、物理専攻の可能性を持つすべての学生がこの基礎理論を学べるようにした、画期的な教科書である。高名な相対性理論物理学者のジェームス・ハートルは、科目へのアプローチとして「まずは物理を!」をかかげ、複雑な数学は最小限ですませながら物理現象への理論適用を説明し、一般相対性理論を取り組みやすいものしている。学生にとっては、学ぼうとしている重力物理学から始められ、難しい数学でつまずくことがなく理論を身につけられる。
2016年6月刊行、上巻350ページ、下巻343ページ。

著者について:
ジェームズ・B・ハートル
カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授

訳者について:
牧野伸義
1966年生まれ。1994年、広島大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、大分工業高等専門学校一般科理系教授。理学博士。


理数系書籍のレビュー記事は本書で323冊目。

上巻の紹介記事では「『時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎』と好対照をなしている。また、数学についてだけ言えば「趣味で相対論(EMANの物理学)」よりもずっと易しい」と書いたが下巻になるとそうも言っていられなくなった。手応えはじゅうぶんあり、読んだ甲斐があった。

下巻の章立ては次のとおりである。

第13章 宇宙物理学的ブラックホール
第14章 少しの回転
第15章 回転するブラックホール
第16章 重力波
第17章 観測された宇宙
第18章 宇宙モデル
第19章 どの宇宙、そして、なぜ?

第III部 アインシュタイン方程式

第20章 少しだけ数学
第21章 曲率とアインシュタイン方程式
第22章 曲率の発生源
第23章 重力波放射
第24章 相対論星
付録B
付録C
付録D

第13章で3つのタイプのブラックホールの解説が行われる。すなわち観測で明らかになってきた「X線連星のブラックホール」、「銀河中心のブラックホール」、そして宇宙背景放射から予想されている「原初ブラックホール」である。古典的一般相対論だけでなくホーキング放射(量子的蒸発)についても解説してあり、ブラックホールの寿命が見積もられる。

第14章と第15章では「物体の回転」が引き起こす時空の引きずり効果の計算が紹介される。

水を入れたバケツにゴムボールを浮かべ、そのゴムボールを回転させると周囲の水が引きずられて渦を巻く。それはゴムボール表面と水の間に働く摩擦力や水がもつ粘性のためにおこる現象だ。これが空間に浮かんだ物体でも起こるのだそうだ。つまりボールを回転させると周囲の「時空」が引きずられて渦を巻くというのだ。初めてこれを聞いたときは信じられなかった。空間は真空なので物体との間に摩擦力はないはずだ。

本書で紹介されるのは回転が遅い場合と回転が速い場合の2つである。回転が遅い場合の例として地球の自転による時空の引きずり効果が導出される。この現象は2011年に「NASAの人工衛星が時空のゆがみを観測、アインシュタインの理論を実証する」として予想が正しいことが確認されている。この不思議な現象のしくみを定性的に理解できたのと、引きずりの量を計算によって確認できたのがうれしかった。

2つ目の回転が速い例として紹介されるのが「カー・ブラックホール」という高速で回転するブラックホールによる時空の引きずり効果である。引きずられた時空はブラックホールの周囲を運動する物体(テスト粒子)や光線の軌道を計算することで示される。つまり静止したシュワルツシルト・ブラックホールのときと測地線の方程式は違ってくる。運動がブラックホールの回転と同じ方向と逆の方向の場合で状況は異なり、安定な円軌道を描いたり不安定な円軌道を描いたりすることが導かれる。

第16章と第23章では重力波、重力波放射を計算によって導出する。第16章の段階ではまだアインシュタイン方程式は解説されていないので、線形近似による波動方程式としての取り扱いだ。重力波の偏極の計算、LIGOの重力波検出器の紹介と解説、そして本書(日本語版のみ)では訳者注としてLIGOで初観測された重力波の波形が掲載されている。kこの新しい話題を3ページの解説として出版ぎりぎりに盛り込むことができたのが素晴らしい。(参照:「重力波の直接観測に成功!」)

第23章の重力波放射のほうは発生源のある重力波について、アインシュタイン方程式を使った解説と計算が示される。連星パルサーから放射される弱い重力波やその四重極公式、放射によるエネルギーの現象など。最後に「強い波源への期待」という節でブラックホールの合体やそのエネルギーの評価が示されているが、これはすでに私たちが今年のニュースとして驚いた事がらなので、とても興味深く読むことができた。

第17章から第19章はいわゆる宇宙論の解説にあてられている。宇宙の構成物、膨張宇宙、宇宙の地図、宇宙モデル、一様,等方時空、宇宙論的赤方偏移、物質と放射,真空、平坦FRW モデルの進化、ビッグバンと宇宙の年齢と大きさ、空間的に曲がったロバートソン--ウォーカー計量、宇宙の力学などのキーワードで概要がおわかりになるだろう。「宇宙が始まる前には何があったのか?: ローレンス・クラウス」や「ワインバーグの宇宙論(上)(下)」のエッセンスをまとめた感じである。

第III部からお待ちかねのアインシュタイン方程式が導出される。数式アレルギーがない人であってもこの方程式の導出が第1章にあると挫折しかねない。苦手なものは後回しにしようという本書の流儀に従った章の配置である。

第20章でベクトルと双対ベクトル、テンソルと基底の変換、共変微分、曲3次元空間での勾配、発散、回転など基礎的な数学を学んで準備完了。

第21章から第23章でアインシュタイン方程式の導出が行われる。一般相対論のほとんどの教科書では計算ばかり続くのが普通であるが、本書では物理現象とのつながりを強く意識している。導出のそれぞれの過程で具体的な例を引き合いにして計算を進めているのだ。つまり地球潮汐、測地線偏差、ニュートン重力との比較、電磁気の場合と一般相対論の線形重力の場の比較、エネルギー-運動量密度やその保存などである。読者は知らず知らずのうち、アインシュタイン方程式にたどり着くという印象を持つだろう。

テンソル計算を厳密に進めながら学びたいという読者には不満が残るかもしれない。導出過程の一部は省略されているし、長い計算が必要なところは本書の特設ページで公開されているMathematicaのプログラムに任せているからだ。プログラムの解説や実行方法は本書の付録で紹介されている。

GRAVITY: An Introduction to Einstein's General Relativity James B. Hartle
http://web.physics.ucsb.edu/~gravitybook/

Mathematicaを持っていない僕としては、少々不満が残った。このプログラムのためだけに購入するのもコスパが悪いし、この例の他に用途があるとも思えない。無料のMaximaで代用できないかと思うわけである。検索すると次のようなページが見つかった。時間が取れたら調べてみよう。

The Maxima computer algebra system
https://www.vttoth.com/CMS/projects/61-the-maxima-computer-algebra-system

General Relativity in Maxima and Mathematica
http://dau.itep.ru/sn/node/116

Tensor manipulation in GPL Maxima
https://arxiv.org/pdf/cs/0503073.pdf

Maxima 5.39.0 Manual: 26. ctensor
http://maxima.sourceforge.net/docs/manual/maxima_26.html
http://eagle.cs.kent.edu/MAXIMA/maxima_30.html

アインシュタイン方程式の導出をできるだけ省略のない手順で学びたい方もいるだろう。僕がこれまでに読んだ本では「時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎」と「趣味で相対論(EMANの物理学)」がお勧めだ。

第24章のタイトルは「相対論星」。この言葉は知らなかった。この章は「ブラックホール・膨張宇宙・重力波 一般相対性理論の100年と展開:真貝寿明」の第4章の前半で紹介される白色矮星や中性子星の発見に至る理論的裏付けとなっている。

ほとんどの星は重力の崩壊力に対して高温ガスの圧力で星自身を支えている。定常状態において放射によるエネルギーの損失は、原子核が結合してエネルギーを解放する熱核反応によって供給されている。そのエネルギーを使い果たすと星は2つの末路をたどることになる。

1)ブラックホールに至る重力崩壊
2)非熱的圧縮源によって重力を支える星(白色矮星や中性子星)

これらを理解するためには一般相対論だけでなく物理学のほとんどすべての知識が必要になる。本書でそのすべてを解説するのは不可能なので、非熱的圧縮源の例として「パウリの排他原理」に基づいた量子統計力学的計算を取り上げている。また重力の圧縮力とそれに抗する圧力にある相対論星の性質を決める構造方程式を求める。そして星の内部にもシュワルツシルト計量を適用し、計量と星の内部の物質についてアインシュタイン方程式を解くのである。その結果、白色矮星や中性子星の進化の過程、密度の変化、安定性、中性子星の最大質量の限界値などが求められる。


このように一般相対論の入門用教科書としては、とても現代的でかつユニークな本だという印象を持った。必読書のひとつと言ってよいだろう。


翻訳のもとになった原書は2002年に発売された革新的な教科書である。Kindle版は固定レイアウトなのでご注意いただきたい。

Gravity: An Introduction to Einstein's General Relativity: James B. Hartle」(Kindle版




特設ページ:

本書英語版の正誤表や補足事項、Mathematicaのプログラムは著者による次の特設ページで公開されている。

GRAVITY: An Introduction to Einstein's General Relativity James B. Hartle
http://web.physics.ucsb.edu/~gravitybook/


ちなみにシュッツの「A First Course in General Relativity」の初版は1985年、第2版は2009年刊行である。日本語版はこちらで購入できる。



関連記事:

発売情報: 重力(上)(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c195a49914a852b1c73049bb7b9743e0

重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d45a93d43478a133c6a514c980572632

重力波の直接観測に成功!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a8439e8e4d81d7873422737d7bd1640d

一般相対性理論に挑戦しよう!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0

趣味で相対論(EMANの物理学)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/90aa60383b600ff4e4fd7bea6589deaa

重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f838b8f6c2554000933187df89e08013

アインシュタイン選集(2): 一般相対性理論および統一場理論
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3d0869ab3911e84845b5b121bd1aa3e

時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ffc643a688ce45dec7460d107fe1392e

マーミン相対論―新しい発想で学ぶ: デヴィッド マーミン
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6e47253b0622e867f57fb15b88d18149


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重力(上) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル
重力(下) アインシュタインの一般相対性理論入門: ジェームズ・B・ハートル

 

上巻

第I部 ニュートン物理学と特殊相対論における空間と時間

第1章 重力物理学

第2章 物理としての幾何学
2.1 重力は幾何学だ
2.2 幾何学の実験
2.3 いろいろな幾何学
2.4 幾何学を決める
2.5 座標と線素
2.6 座標と不変性

第3章 ニュートン物理学の空間と時間,重力
3.1 慣性系
3.2 相対性原理
3.3 ニュートン重力
3.4 重力と慣性質量
3.5 ニュートン力学の変分原理

第4章 特殊相対性理論の原理
4.1 速度の加法則とマイケルソン-モーレーの実験
4.2 アインシュタインの革命とその成果
4.3 時空
4.4 時間の遅れと双子のパラドックス
4.5 ローレンツブースト
4.6 単位系

第5章 特殊相対論的力学
5.1 4 元ベクトル
5.2 特殊相対論的運動学
5.3 特殊相対論的力学
5.4 自由粒子の運動の変分原理
5.5 光線
5.6 観測者と観測

第II部 一般相対性理論の曲がった時空

第6章 幾何学としての重力
6.1 重力質量と慣性質量の等価のテスト
6.2 等価原理
6.3 重力場中の時計
6.4 GPS
6.5 時空は曲がっている
6.6 時空のことばで表したニュートン重力

第7章 曲がった時空の表し方
7.1 座標系
7.2 計量
7.3 総和規約
7.4 局所慣性系
7.5 光円錐と世界線
7.6 対角計量のときの長さと面積,体積,4元次体積
7.7 埋め込み図とワームホール
7.8 曲がった時空中のベクトル
7.9 4次元時空中の3次元曲面

第8章 測地線
8.1 測地線方程式
8.2 対称性と保存則による測地線方程式の解法
8.3 ヌル測地線
8.4 局所慣性系と自由落下系

第9章 球対称星外部の幾何学
9.1 シュワルツシルト幾何学
9.2 重力赤方偏移
9.3 粒子軌道-近日点移動
9.4 光線軌道-光の曲がりと時間の遅れ

第10章 一般相対性理論の太陽系実験
10.1 重力赤方偏移
10.2 PPN パラメータ
10.3 PNN パラメータγの測定
10.4 PPN パラメータβの測定-水星の近日点移動

第11章 実際の相対論的重力
11.1 重力レンズ効果
11.2 コンパクト天体の周りの降着円盤
11.3 連星パルサー

第12章 重力崩壊とブラックホール
12.1 シュワルツシルトブラックホール
12.2 ブラックホールへの崩壊
12.3 クルスカル-スゼッケル座標
12.4 非球対称重力崩壊

付録A 単位
A.1 単位の一般論
A.2 本書で使われる単位


下巻

第13章 宇宙物理学的ブラックホール
13.1 X 線連星のブラックホール
13.2 銀河中心のブラックホール
13.3 ブラックホールの量子的蒸発--ホーキング放射

第14章 少しの回転
14.1 慣性系の回転的引きずり
14.2 曲がった時空のジャイロスコープ
14.3 測地的歳差
14.4 ゆっくり回転する球対称物体外部の時空
14.5 ゆっくり回転する物体の時空中のジャイロスコープ
14.6 ジャイロと自由落下系

第15章 回転するブラックホール
15.1 宇宙検閲官
15.2 カーブラックホール
15.3 回転ブラックホールの地平
15.4 赤道面における軌道
15.5 エルゴ球

第16章 重力波
16.1 線形重力波
16.2 重力波の検出
16.3 重力波の偏極
16.4 重力波干渉計
16.5 重力波のエネルギー

第17章 観測された宇宙
17.1 宇宙の構成物
17.2 膨張宇宙
17.3 宇宙の地図

第18章 宇宙モデル
18.1 一様,等方時空
18.2 宇宙論的赤方偏移
18.3 物質と放射,真空
18.4 平坦FRW モデルの進化
18.5 ビッグバンと宇宙の年齢と大きさ
18.6 空間的に曲がったロバートソン--ウォーカー計量
18.7 宇宙の力学

第19章 どの宇宙、そして、なぜ?
19.1 宇宙の探査
19.2 宇宙の説明

第III部 アインシュタイン方程式

第20章 少しだけ数学
20.1 ベクトル
20.2 双対ベクトル
20.3 テンソル
20.4 共変微分
20.5 再び自由落下系

第21章 曲率とアインシュタイン方程式
21.1 潮汐重力
21.2 測地線偏差の式
21.3 リーマン曲率
21.4 真空のアインシュタイン方程式
21.5 線形重力

第22章 曲率の発生源
22.1 密度
22.2 エネルギー運動量の保存
22.3 アインシュタイン方程式
22.4 ニュートン極限

第23章 重力波放射
23.1 発生源のある線形アインシュタイン方程式
23.2 発生源のある波動方程式の解法
23.3 線形重力の一般解
23.4 弱い重力波の発生
23.5 連星からの重力波
23.6 重力波によるエネルギー損失の四重極公式
23.7 連星パルサーで検出された重力波の効果
23.8 強い波源への期待

第24章 相対論星
24.1 パウリ原理の威力
24.2 相対論的静水圧平衡
24.3 星のモデル
24.4 基底状態の物質
24.5 安定性
24.6 中性子星の最大質量の限界

付録B
付録C
付録D

難聴サポート・グッズ

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高齢の母の難聴は少しずつ進んでいる。そしてついに父までも。。。先日、家の裏で板か何かを割ろうと父は金槌で叩いていたそうだ。大きな音を長時間聞いていたせいか「騒音性難聴」になってしまったのだという。耳鼻科の先生は「そのうち治るでしょう。」とおっしゃっていたそうだが、今のところ治る気配はない。

ネットで調べると「長期間の音響暴露で生じた内耳や中耳の損傷による騒音性難聴を現在の医療で治すことはできない。」と書かれている。聴力はいちど低下してしまうと回復させるのは難しいようだ。イヤホンで大音量の音楽を聴くのはやめようと思った。

今のところ父の難聴は軽度で音が少しこもって聞こえるくらいなので生活に支障はないそうだ。でも、これからは十分気を付けてもらおう。

問題は母のほうだ。これまで「骨伝導電話機」や「補聴器タイプの集音器」を買って解決してきたが、いくつかの理由で対応しきれなくなってきた。さらなる問題解決をということで、最近次のような3つの対策を講じたので紹介する。

- 電話の音声増幅
- 補聴器タイプの集音器の変更
- 電子メモパッド


電話の音声増幅

補聴器をつけながらだと電話の声がよく聞こえない。骨伝導電話機で聞こえるようになり問題解決はしたのだが、音質が悪いので母はあまり使いたがらなかった。

さらに悪いことに電話機本体が故障してしまい、父がその日のうちにPanasonic製の新し電話機を買ってきて取り替えてしまったのだ。おかげでこれまで使っていた骨伝導の子機は使えなくなってしまった。Panasonic製の骨伝導対応子機はあるのだが値段が高いし、母には使ってもらえそうもない。

そこで、電話の音声をイヤホンで聞けるようにすればよいと思いつき、アマゾンで商品を探した。しかしそれに見合う商品は見つからなかったので、仕方なく次のような商品を組み合わせて目的を果たすことにした。

まず必要なのが音声を外部に分岐させる装置。電話の会話をICレコーダーなどで録音したいときに使うための装置である。(Amazonで同様の商品を検索

Asahi Denki ELPA ICレコーダー録音キット ADK-KIT200



この装置にイヤホンをつけても音量は小さすぎた。アンプで増幅したらいいと思い、小型のヘッドホンアンプを探したところ値段も手ごろなこの製品が見つかった。常時つけっぱなしで使うので
ACアダプター付きがよい。(Amazonで同様の商品を検索

Andoer HA400 4チャンネル ヘッドフォンアンプ オーディオ ステレオ 電源アダプタ付き楽器・音響機器



このアンプに先ほどの電話録音キットとイヤホンをつなぐためには変換プラグが必要になる。格安の2個セットが見つかった。(Amazonで同様の商品を検索

VCE【2個セット】3.5mm to 6.35mm ステレオ標準プラグ→ステレオミニプラグ 交換アダプタ オス-メス 金メッキ 2個入り



そして、これらの商品を次のように接続して完成。実際に両親が使う電話機に取り付けたのが記事トップの掲載写真である。

クリックで拡大


母に使ってみてもらったところ、すこぶる調子がよい。音量はじゅうぶん大きくできるしボリューム調節可能。そして音量を上げても音質がよい。電話がかかってきたときはまず受話器で受け、聞こえづらいようだったら(補聴器をはずして)イヤホンをつけてもらうことにした。


補聴器タイプの集音器の変更

次は補聴器である。母は昔、20万円する有名メーカーの補聴器を買って1週間後に水没させダメにした過去があるので補聴器にはトラウマがあった。そこで昨年から格安の「かんたんラクラク耳穴集音器DX」を使ってもらっていた。

しかしながらこの製品は小さいため、何かのはずみで落としたりして母はよく失くしてしまう。この1年半の間に4セット買う羽目になった。製品自体に全く問題はない。

そこで「落ちにくいこと」、「失くしにくいこと」を優先して探したところ、この商品にたどり着いた。いまはこれを両耳につけて使ってもらっている。このタイプだとハウリングがおこらないのがよい。さらによいのが低価格なことだ。これまで使っていた製品の半額ちょっとである。ボタン電池はLR44を使う。

補聴器タイプの集音器 イヤホンキャップ大小3種類/快音くん




電子メモパッド

筆談も有効な手段だ。とはいえ電子式のは値段が高いのだろうと諦めつつ検索したところ、ものすごく安い商品が見つかった。使ってみたところコントラストがもう少しあったほうがよいと思ったが、意思伝達を目的にするだけならばこれで十分である。電池の持ちもよいし、必要なときにすぐ使えるのが便利だと思った。各社からさまざまなタイプの商品が販売されているが、以下のものがコストパフォーマンスがいちばん優れている。(Amazonで同様の商品を検索

HOMESTEC 電子パッド 電子メモ帳 8.5インチ




難聴とは関係ないが、先日は母が使っている杖のゴムを500円で買って交換した。(Amazonで検索)専門店を頼りにせず自分で工夫すればコストをかなり抑えることができることはいくらでもある。老いるに従って身体機能の低下や不調は誰にでもおとずれることだ。いずれ自分もそうなることを心にとめながら、これからも両親のサポートをしていこう。


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喪中につき

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喪中につき年末年始のご挨拶を遠慮させて頂きます

新年のご挨拶を申し上げるべきところではございますが
亡き妹の喪中につき失礼させていただきます
本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに
明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます

平成28年12月
とね日記


本年11月に妹が死去いたしましたが、その後2度ほど妹の夢を見ました。2度目の夢は次のようにとてもリアルなものでした。


部屋でくつろいでいたところベランダ側のサッシが開いたので、ふと見ると妹が入ってきました。それは10年ほど前、病気になる前の元気な姿で、いつものモスグリーンのジャンパーを着てニコニコ笑っています。

「いったいどうしたの!死ななくてすんだの??」と僕。
「うん、そうなんだって。どうしてかわかんないんだけど、神様に許してもらったからまた生きられるみたい。」
「じゃ、死んだのは覚えてる?葬式もやったんだよ。」
「覚えてるよ。みんな来てくれてたし。でもすごい豪華な葬式だったよね。お金大丈夫だったのかな?」と主婦らしいことを言いました。

「不思議なことがあるもんだね。で、いまは幽霊なわけ?それとも生き返ったわけ?」
「ふつうに生きているような気がするけど。」と妹は両手をバイバイのように振って見せました。

でも、それって生きていることの証明になるのかなと思いましたが、妹らしいやり方なのと他によい方法を思いつかなかったので、とりあえず納得しました。

「10月クールのテレビドラマも目ぼしいのは録画してあるから見たいのがあったら連絡して。」妹は生前「砂の塔」と「逃げ恥」、「ドクターX」が面白そうだと言っていたのを思い出しました。
「うん、あとでメールする。どれも最初のほうしか見れてないから。」

「あ、そうそう。渡さなきゃと思っていたものあるからちょっと待ってて。」

僕は妹へのクリスマスプレゼントがあったことを思い出し、別の部屋に取りに行きました。

妹はピンク色の物が好きでした。だからクリスマスにこのピンクの腕時計を渡して「この時計が動いている間は、絶対に生き続けるんだぞ。」と約束してもらうつもりでした。電波ソーラーだから半永久的に止まらないはずです。でも結局、渡すことができずそのまま持っていました。

詳細は写真をクリック


やっと渡すことができたのでひと安心。

「お兄ちゃん、こんなのもらっていいの?でも可愛いやつだね。」

妹はさっそく腕につけていました。病気も治っているようだから何も言わずに、ただ渡すだけにしておこう。

そして妹は何か思い出したらしく、部屋から出てベランダを歩いていき視界から見えなくなりました。どこへ行ったのだろう?

ベランダに出てみると、あたりには水面が広がっています。まるで家が厳島神社になってしまったかのようです。そして水面の向こう、ベランダの端から20メートルほど離れたところにお寺の本堂が建っていて、嫁ぎ先の親戚らしき人と話している妹の姿が見えました。「ああ、これは現実ではないぞ。」と思ったとき、僕は夢から覚めていつもの朝を迎えたわけです。

今日は妹の四十九日です。ピンクの腕時計は妹が生きるはずだった時を刻み続けます。


妹の死をきっかけに般若心経を覚え始めました。仏間にはほとんど行きませんが、自分の部屋でときどき諳んじています。

般若心経 - 唱えてみよう!



般若心経はNHKの「100分de名著:般若心経」として放送されました。講師は「真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話」で大栗博司先生と対談された佐々木閑先生です。

100分de名著「般若心経 最強の262文字」:テキスト:「NHK「100分de名著」ブックス 般若心経




皆様にはよいお年をお迎え下さいますようお祈りいたします。


関連記事:

家族の逝去の件
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/902c7306b4d4e85a5b19be9ff372afd2

宮沢賢治童話集(岩波書店、1963年)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c194c863cb8b8c84dd76ab3298679a54


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今年もありがとうございました!

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ブログの読者のみなさまへ

今年の大晦日はは久しぶりにNHK紅白歌合戦を見ながら、のんびり過ごしています。

この1年間、とね日記を応援いただきありがとうございました。

年明けの最初の記事は一般書の紹介から始まる予定です。

みなさま、良い年をお迎えください。


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発売情報: 回収率を上げる競馬脳の作り方 (扶桑社新書) : TARO

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回収率を上げる競馬脳の作り方 (扶桑社新書) : TARO

内容:
予想上手の馬券下手からの脱却!
競馬記者の経験もなし、競馬関係の仕事に就いたこともなし、予想に用いるのはほぼスポーツ紙の情報のみ……それでいて2年連続回収率130%超を達成した競馬予想家・TARO。まぐまぐ! 有料メルマガ・ギャンブル部門の読者数1位を誇る若き競馬予想家の予想メソッドを完全解説。
競馬で儲けたいと考える全ての競馬ファンに捧げる、競馬脳を鍛えるための教科書である。
2016年12月24日刊行、231ページ。

著者について:
TARO
1984年生まれ。人気ブログ『TAROの競馬』主宰の競馬予想家。立命館大学卒業後、サラリーマンの傍ら、競馬記者歴ゼロで予想家デビュー。2015年の有馬記念ではデビュー時からGI級と見抜いていたゴールドアクターに本命を打ち的中させるなど、馬の潜在能力を見抜く予想には定評がある。メルマガ『TAROの競馬ノート』は有料読者数がまぐまぐ! ギャンブル部門で1位。


新年最初の投稿はギャンブル本の発売情報記事。縁起を担いでいるわけである。そして今年は攻めの姿勢でいくという決意表明でもある。

いつも利用しているカフェで3年前に友達になった「カフェ友のTAROくん」が書いた2冊目の本だ。昨年のクリスマスイブに発売されたばかり。1冊目は2009年発売の「ラッキーゲート:TARO&「競馬最強の法則」取材班」という本である。

競馬はおろかギャンブルは一度もしたことがないので彼のことは全く知らなかった。何のはずみか忘れてしまったが、いつもカフェでブログを書いているのを見て気がついたときは「ブログ友達」のような感じになっていた。その後、ブログの内容を知ってびっくり。競馬の世界では人気ブロガーのTAROくんだったのだ。

どのような世界であれ、有名になれるというのはすごいことで、かなりの努力と忍耐の末に獲得できる地位である。そして何より継続することが大事だ。TAROくんはすでに脱サラをしていて、競馬関連の活動だけで身をたてている。


TAROの競馬~現代競馬は枠で決まる!ラッキーゲートで穴馬発掘競馬予想ブログ~
http://blog.livedoor.jp/yamamototaro/

人気ブログランキング(趣味・ホビー:ギャンブル:競馬(1012人))で9位!
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今回発売した本の章立ては次のとおり。

第1章 「現代競馬」は素人でも玄人に勝てる
第2章 競馬の基礎脳 勝つために絶対に覚えておくべき7つの法則
第3章 現代競馬の投資脳 いかにして儲かる馬券を選択するか?
第4章 現代競馬の心理脳 儲けるためには心を鍛えよ
第5章 現代競馬の思考法 “角度"を変えれば、収支は劇的に改善する


新年早々、TAROくんにお会いしたので紹介記事を書かせていただくことにした。でもAmazonで売れ行きを見てみたところ、僕が紹介するまでもないようである。



ギャンブルの売れ筋ランキング: 1位
新書全体での売れ筋ランキング: 6位


TAROくん、2冊目の本の出版おめでとうございます!たくさん売れるといいですね。


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回収率を上げる競馬脳の作り方 (扶桑社新書) : TARO



【目次】
第1章 「現代競馬」は素人でも玄人に勝てる
●「競馬脳」を作ることが勝利へのカギ
●玄人が圧倒的に有利だった「20年前の競馬」
●5年前までは必勝法が存在した
●素人が玄人に勝てる「現代競馬」
●「一点買い」は本当にカッコイイのか
●玄人は的中自慢ほど当てにならないものはない
●周囲の意見・目に流された者が負ける

第2章 競馬の基礎脳 勝つために絶対に覚えておくべき7つの法則
法則1:強い馬より儲かる馬を買う――儲かる馬は生まれつき決まっている
法則2:勝利の方程式「シゲル・マイネル・ミルファーム」
法則3:「人気・実力」より「枠順」を優先
法則4:騎手は“乗る機械"と考える
法則5:インサイダー情報は無視
法則6:情報過多の落とし穴――日刊と東スポさえあれば十分
法則7:予想上手の馬券下手は一生勝てない

第3章 現代競馬の投資脳 いかにして儲かる馬券を選択するか?
●“オッズの盲点"は必ずある
●「面倒くさい」からこそチャンスがある
●「単勝一点買い」の常識を疑う
●「強いけれど勝てない馬」と「たまにしか好走しないけれど勝つ馬」
●3番人気馬の複勝が6・5倍もつく理由
●複勝を買うべきシチュエーションと大衆心理
●2強対決は馬連で流せ! /裏目千両――馬単最強説
●ワイドは精神安定剤
●「馬を買う」のではなく「レースを買う」という発想
●一攫千金なら3連複&3連単!
●3連単は“当てる"よりも“当たる"券種

第4章 現代競馬の心理脳 儲けるためには心を鍛えよ
●馬の調教を見る前に、まず自分の心を調教せよ
●「負けに不思議の負けなし」という真理
●戦う相手を間違えるな、ライバルは隣のオジサンだ
●福永をヤジりだしたら負け組の兆候
●競馬は「打率」より「得点圏打率」
●競馬ばかりやっていると勝てなくなる
●「UMAJO」はなぜ当たるのか?
●貫ける者が勝つ

第5章 現代競馬の思考法 “角度"を変えれば、収支は劇的に改善する
●競馬は「かけっこ」ではない
●競馬はセコイほうが出世できる?
●ダイワスカーレットはなぜウオッカに勝てたのか
●「派手=強い」ではなく「派手=危険」
●“負けて強し"は信用するな
●恵まれるのも実力のうち
●スタート巧者を簡単に見極める

[コラム]
●読みやすいトップジョッキーたち
●海外馬券発売はビッグチャンス

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