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「蔵〈上〉 (角川文庫) : 宮尾登美子」(単行本)(Kindle版)
「蔵〈下〉 (角川文庫) : 宮尾登美子」(単行本)(Kindle版)
内容紹介:
新潟の旧家、蔵元の田乃内家に生まれようやく育った娘、烈。家族の愛と希望を一身にうけて成長していくが、小学校入学を前に、失明にいたる目の病を患っていることを知る。過酷な運命を背負う烈と祖母、父母、叔母たちが織りなす愛と悲しみの旅が始まった。
美しい全盲のひとり娘烈。巡礼の途中で病死する母賀穂。相つぐ不幸を打ち消すがごとく若い嫁をもらう父意造。烈を育て上げ一途に意造を慕う叔母佐穂。蔵元田乃内家をおそう数々の悲運にもめげず、気丈に成長した烈はやがて恋を知り、女ながら蔵元を継ごうと決意する。(ウィキペディア)
単行本は1993年刊行、357ページ、329ページ。文庫本は1998年刊行、410ページ、395ページ。
著者について:
宮尾登美子: ウィキペディア
1926(大正15)年、高知市生れ。
17歳で結婚、夫と共に満州へ渡り、敗戦。九死に一生の辛苦を経て1946(昭和21)年帰郷。県社会福祉協議会に勤めながら執筆した1962年の「連」で女流新人賞。上京後、九年余を費し1972年に上梓した「櫂」が太宰治賞、1978年の『一絃の琴』により直木賞受賞。2009(平成21)年文化功労者となる。他の作品に『序の舞』(吉川英治文学賞)『春燈』『朱夏』『寒椿』『宮尾本平家物語』『錦』など。2014年12月30日没。
宮尾登美子の著書: 書籍版 Kindle版
ウォーキングの途中で立ち寄った古書店の100円均一ワゴンセール。表紙に惹かれて購入していた。宮尾登美子さんの作品を読むのは初めて。購入した単行本は状態がよかったので、きれいなままとっておこうと結局Kindle版で読んだ。
越後の古い蔵元を舞台にした小説。1990年代初めに毎日新聞の連載小説として書かれたものだ。表紙の帯を読んで「おしん」のような話、視覚障碍という逆境にめげず蔵元を継いで懸命に生きていく女性を描いた作品だと勘違いしていた。
物語の詳細はウィキペディアの解説をお読みいただければわかることなので、あらためて書く必要はないだろう。本に書かれているのは主人公の「烈」が14歳になり蔵を継ぐ決心を父に打ち明けて、恋する男性と結婚するまでの話。そして最後の数ページでその後の烈や夫、息子の人生を手短かにまとめている。大正8年に生まれた烈は昭和40年代まで生きたという設定。
予想していたのとは違うストーリーだったが、どっぷり浸かることができた。芯の強い烈のひたむきさ、生涯に渡って烈の世話をすることになる叔母の佐穂、そして娘の烈を不憫に思い、なんとか幸せな人生を送ってほしいと願う父の意造。人間味にあふれた小説である。
しきたりや世間体、伝統を守ることが大事だったこの時代、家長として厳しくあらねばならぬ意造ではあるが、娘の将来を案じ、何をしてあげらればよいかと心を尽くして悩む姿は美しくもあり、滑稽でもあった。烈は小学校にあがる前に夜盲症であることがわかり、14歳になるまでに完全に失明する。
成長するにつれて、自分の考えや意見を父にしっかり伝えるようになり、そのたびに意造を驚かせ、意造自身も変わっていく。特に読み応えがあるのは14歳になって蔵を継ぎたいと烈が言い出したときのことだ。全盲の少女に何ができるのか?女人禁制の伝統は守り通さなければならない。頭ごなしに烈の意見を否定する意造であったが、烈は烈で引き下がらない。その後のことは読んでのお楽しみということにしておこう。
蔵元のモデルとなったのは小説の舞台となった新潟県新発田市にある日本酒の蔵元「市島酒造」だという。小説はまったくの創作らしいから、烈は架空の人物である。
新聞連載だからなのか、最後のほうの展開が早すぎる気がした。連載回数が前もって知らされていないとどうしてもそうなってしまう。本の最後で「その後の話」が手短かに付け加えられた感じになっているのは、そのためかもしれないと思った。
本は1998年に文庫化され、現在では文庫、単行本(中古)、Kindle版で読むことができる。
「蔵〈上〉 (角川文庫) : 宮尾登美子」(単行本)(Kindle版)
「蔵〈下〉 (角川文庫) : 宮尾登美子」(単行本)(Kindle版)
本やDVDを検索: ヤフオク メルカリ
1995年には烈を一色紗英さん、佐穂を浅野ゆう子さんが演じる映画『藏(1995)』が制作されたほか、同じ年には佐穂を檀ふみさん、烈を松たか子さんが演じるNHKのドラマが制作された。YouTubeではNHKで放送されたドラマがアップロードされているようだ。
動画検索: YouTube ニコニコ動画 NHKアーカイブス(無料) DVD検索
子供時代は井上真央さんが演じていて、ニコニコ動画やNHKアーカイブスで子役時代の彼女を見ることができる。今となっては貴重な映像だ。番組紹介としてはNHKアーカイブスの動画がいちばんわかりやすい。
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内容紹介:
新潟の旧家、蔵元の田乃内家に生まれようやく育った娘、烈。家族の愛と希望を一身にうけて成長していくが、小学校入学を前に、失明にいたる目の病を患っていることを知る。過酷な運命を背負う烈と祖母、父母、叔母たちが織りなす愛と悲しみの旅が始まった。
美しい全盲のひとり娘烈。巡礼の途中で病死する母賀穂。相つぐ不幸を打ち消すがごとく若い嫁をもらう父意造。烈を育て上げ一途に意造を慕う叔母佐穂。蔵元田乃内家をおそう数々の悲運にもめげず、気丈に成長した烈はやがて恋を知り、女ながら蔵元を継ごうと決意する。(ウィキペディア)
単行本は1993年刊行、357ページ、329ページ。文庫本は1998年刊行、410ページ、395ページ。
著者について:
宮尾登美子: ウィキペディア
1926(大正15)年、高知市生れ。
17歳で結婚、夫と共に満州へ渡り、敗戦。九死に一生の辛苦を経て1946(昭和21)年帰郷。県社会福祉協議会に勤めながら執筆した1962年の「連」で女流新人賞。上京後、九年余を費し1972年に上梓した「櫂」が太宰治賞、1978年の『一絃の琴』により直木賞受賞。2009(平成21)年文化功労者となる。他の作品に『序の舞』(吉川英治文学賞)『春燈』『朱夏』『寒椿』『宮尾本平家物語』『錦』など。2014年12月30日没。
宮尾登美子の著書: 書籍版 Kindle版
ウォーキングの途中で立ち寄った古書店の100円均一ワゴンセール。表紙に惹かれて購入していた。宮尾登美子さんの作品を読むのは初めて。購入した単行本は状態がよかったので、きれいなままとっておこうと結局Kindle版で読んだ。
越後の古い蔵元を舞台にした小説。1990年代初めに毎日新聞の連載小説として書かれたものだ。表紙の帯を読んで「おしん」のような話、視覚障碍という逆境にめげず蔵元を継いで懸命に生きていく女性を描いた作品だと勘違いしていた。
物語の詳細はウィキペディアの解説をお読みいただければわかることなので、あらためて書く必要はないだろう。本に書かれているのは主人公の「烈」が14歳になり蔵を継ぐ決心を父に打ち明けて、恋する男性と結婚するまでの話。そして最後の数ページでその後の烈や夫、息子の人生を手短かにまとめている。大正8年に生まれた烈は昭和40年代まで生きたという設定。
予想していたのとは違うストーリーだったが、どっぷり浸かることができた。芯の強い烈のひたむきさ、生涯に渡って烈の世話をすることになる叔母の佐穂、そして娘の烈を不憫に思い、なんとか幸せな人生を送ってほしいと願う父の意造。人間味にあふれた小説である。
しきたりや世間体、伝統を守ることが大事だったこの時代、家長として厳しくあらねばならぬ意造ではあるが、娘の将来を案じ、何をしてあげらればよいかと心を尽くして悩む姿は美しくもあり、滑稽でもあった。烈は小学校にあがる前に夜盲症であることがわかり、14歳になるまでに完全に失明する。
成長するにつれて、自分の考えや意見を父にしっかり伝えるようになり、そのたびに意造を驚かせ、意造自身も変わっていく。特に読み応えがあるのは14歳になって蔵を継ぎたいと烈が言い出したときのことだ。全盲の少女に何ができるのか?女人禁制の伝統は守り通さなければならない。頭ごなしに烈の意見を否定する意造であったが、烈は烈で引き下がらない。その後のことは読んでのお楽しみということにしておこう。
蔵元のモデルとなったのは小説の舞台となった新潟県新発田市にある日本酒の蔵元「市島酒造」だという。小説はまったくの創作らしいから、烈は架空の人物である。
新聞連載だからなのか、最後のほうの展開が早すぎる気がした。連載回数が前もって知らされていないとどうしてもそうなってしまう。本の最後で「その後の話」が手短かに付け加えられた感じになっているのは、そのためかもしれないと思った。
本は1998年に文庫化され、現在では文庫、単行本(中古)、Kindle版で読むことができる。
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1995年には烈を一色紗英さん、佐穂を浅野ゆう子さんが演じる映画『藏(1995)』が制作されたほか、同じ年には佐穂を檀ふみさん、烈を松たか子さんが演じるNHKのドラマが制作された。YouTubeではNHKで放送されたドラマがアップロードされているようだ。
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子供時代は井上真央さんが演じていて、ニコニコ動画やNHKアーカイブスで子役時代の彼女を見ることができる。今となっては貴重な映像だ。番組紹介としてはNHKアーカイブスの動画がいちばんわかりやすい。
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