Quantcast
Channel: とね日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 976

ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう:スティーヴン・ホーキング

$
0
0
ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう:スティーヴン・ホーキング」(Kindle版

内容紹介:
ホーキング、最後の書き下ろし
NHK「クローズアップ現代+」"ホーキングの遺言"(2019年3月6日放送)で話題!
天才物理学者が生涯をかけて紡いだ希望のメッセージとは?

なぜビッグ・クエスチョンを問うべきなのか
私は、本書に取り上げたビッグ・クエスチョンを考えると胸が躍るし、それらを探究することに情熱を傾けている。
その興奮と情熱を、みなさんに伝えたい。私たちが向かう未来を、誰もが行きたいと思うような未来にするために、力を合わせようではないか。スティーヴン・ホーキング

「世界でもっともすぐれた科学者」と名高いホーキング博士が生涯をかけて挑んだのは、誰も解き明かしていない究極の問いだった。「宇宙の始まりとは?」「人類は地球に住み続けるべきか?」「AIは人間を超えるか?」など10の難問に、ウイットを交えながら明快に答える。地球温暖化が進み、核の脅威が増し、人工知能が人間を脅かす時代に、私たちはどのように考え、未来を形作っていけばよいのか――。今を生きる私たちへのメッセージが詰まった、博士からの最良の贈り物。

2019年3月14日刊行、256ページ。(原書は2018年10月16日刊行)

著者について:
スティーヴン・W・ホーキング(Stephen W. Hawking)
1942年、イギリスのオックスフォード生まれ。アインシュタイン以来の最も優秀な理論物理学者の一人と言われる。1963年、ケンブリッジ大学の大学院生だった21歳のときに、運動ニューロン疾患を発症し、余命2年と告げられる。しかし、その宣告を覆して優秀な研究者となり、かのアイザック・ニュートンも就任したルーカス教授職を30年にわたり務めた。王立協会フェロー、全米科学アカデミー会員であったほか十数個の名誉学位を持ち、1989年には名誉勲位を授けられた。ケンブリッジ大学理論宇宙論センターに研究責任者として在籍中の2018年3月に死去。著作に『ホーキング、宇宙を語る』『ホーキング、未来を語る』『ホーキング、宇宙と人間を語る』など。

ホーキング博士の著書: 日本語版 英語版


理数系書籍のレビュー記事は本書で406冊目。

4月10日に公表された史上初のブラックホールの画像を、ホーキング博士に見てもらいたかったと思ったのは僕だけではなかっただろう。そしてこの画像についてお考えをうかかいたかった。あと1年と少し長生きしていただければよかったのにと。

史上初!ブラックホールを撮影し、その存在を証明
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a3bdd0676cf497a9731a729d3a0da5a4

本書は先週のうちに読み終えていた。原書と日本語訳を1章ずつ交互に読んだ。博士のお書きになる科学教養書は易しい英語で書かれているから、読解練習、英語慣れをするのにちょうどよい。Kindle Paperwhiteを使うようになってから洋書をたくさん読むようになっている。

昨年3月14日に逝去されたホーキング博士。本書の原書は博士の没後7ヶ月経ってから刊行された。博士から読者への最後のメッセージ、遺作である。亡くなるまでに書き終えていなかったのだが、娘さんのルーシー・ホーキングさんと協力者によって完成し、出版にこぎつけたのだ。



そして日本語版を翻訳されたのが、数々の科学書の翻訳を手がけている青木薫さんだ。いつもながらの名訳で安心して読むことができる。日本語版の刊行日は博士の命日、お亡くなりになってからちょうど1年たった3月14日である。


博士の人生を描いた映画『博士と彼女のセオリー(2014)』(Prime Video)をご覧になった方も多いだろう。



この映画でホーキング博士訳を演じた俳優エディ・レッドメインさんが、本書の「はじめに」をお書きになっている。次のようなビッグ・クエスチョンに対して博士がお考えをお書きになっている。ブラックホールに関するクエスチョンにも1章をあてている。

なぜビッグ・クエスチョンを問うべきなのか?
1. 神は存在するのか?
2. 宇宙はどのように始まったのか?
3. 宇宙には人間のほかにも知的生命体は存在するのか?
4. 未来を予言することはできるのか?
5. ブラックホールの内部には何があるのか?
6. タイムトラベルは可能なのか?
7. 人間は地球で生きていくべきなのか?
8. 宇宙には植民地を建設すべきなのか?
9. 人工知能は人間より賢くなるのか?
10.より良い未来のために何ができるのか?

そして巻末には、公私に渡ってホーキング博士と長年お付き合いされた理論物理学者のキップ・S・ソーン博士が「解説---スティーブン・ホーキングの思い出とともに」という文章を寄稿されている。(原書では巻末ではなく巻頭に挿入されている。)

ビッグ・クエスチョンに対して博士がどのように回答されたかは、ここで明かさないほうがよいだろう。博士からのメッセージをお一人ずつが直接受け取ってほしいと思うからだ。


翻訳のもとになった原書は、こちらである。

Brief Answers to the Big Questions: the final book from Stephen Hawking」(Kindle版


表紙を横にしてみると、今回公表されたブラックホール画像に少し似ていると思った。表紙の考案に博士が関わったのかどうかはわからないが、ホーキング博士にはブラックホールの姿が見えていたのかもしれない。



ツイッターでアンケートをとってみることにした。
https://twitter.com/ktonegaw/status/1117302900990959616

アンケートをさせてください。4月10日に公開されたブラックホールの画像は、画像解析の結果、生成されたものです。あなたはこの画像がブラックホールの存在を証明していると思いますか?

- 証明していると思う。
- 証明していないと思う。
- わからない。


なお、次の本が出版されている。「最後の本はこちらじゃないの?」という方がいらっしゃるかもしれないが、ちょっと違う。刊行されたのは2018年7月。これはホーキング博士の最終論文:『永久インフレーションからの滑らかな離脱?』を翻訳し、解説をつけた日本語版独自の本である。これに対応する英語の書籍は存在しない。専門家向けの論文なので、一般の方が読んで理解できるかは疑問である。アマゾンの読者レビューを参考にしていただきたい。

ホーキング、最後に語る:多宇宙をめぐる博士のメッセージ」(Kindle版


1 はじめに
- 永久インフレーションの描く宇宙?
- インフレーションと一般相対性理論
- ブラックホールとホーキング
- 宇宙とホーキング
- ホーキングの選択
- ブラックホールからホログラフィーへ

2 宇宙の波動関数と無境界仮説
- 宇宙の始まりと量子宇宙論
- 量子論
- 径路積分法
- 無境界波動関数

3 インフレーション
- インフレーションの提唱
- 宇宙の地平線問題
- モノポール問題
- スローロール
- 宇宙の大規模構造
- 永久インフレーション

- 4 超ひも理論の発展ーーブレーンとホログラフィー
- 量子重力と超ひも理論
- ブラックホールエントロピー試験
- ホログラフィー
- ベッケンシュタイン=ホーキング公式から笠=高柳公式へ

5 無境界波動関数とホログラフィーとインフレーション
- M理論
- 準古典近似の破綻
- ホログラフィーの援用
- 宇宙の形の分布
- 多宇宙
- 残された課題

6 さいごに


翻訳と解説の元になった論文はこちらである。2017年7月24日に投稿された。

A Smooth Exit from Eternal Inflation?
https://arxiv.org/abs/1707.07702

なお、ホーキング博士は共著として2017年10月3日にこの論文を投稿している。本当の最後の論文はこちらということになるのだろう。

Black Hole Entropy and Soft Hair
https://arxiv.org/abs/1810.01847


今週のコズミック フロント☆NEXTはホーキング博士

たまたまであるが、今秋放送されるコズミック フロント☆NEXTはホーキング博士の特集だ。しかも本書の内容に沿っている。お見逃しなく!

コズミック フロント☆NEXT 宇宙の"冒険者" ~ホーキング博士ラストメッセージ~
NHKBSプレミアム 4月18日(木)午後10時00分~午後11時00分(再放送は4月24日(水)午後11時45分~)

番組ホームページ:
https://www4.nhk.or.jp/cosmic/x/2019-04-18/10/12340/2120246/



内容: 2018年、76才で亡くなった宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士。宇宙の始まり、ブラックホール蒸発、タイムトラベル…。常識外れの理論を次々と打ち出し究極の謎に挑んできた。NHKは、晩年の博士を密着取材。難病ALSを患いながら、なぜ危険も顧みずに世界中を旅したのか?なぜ最後の著書で、環境問題やAIの脅威など「人類の未来」に警告を発したのか?友人たちの証言をまじえ、人間・ホーキングの素顔に迫る。


関連記事:

ホーキング、宇宙を語る:スティーヴン・W. ホーキング
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1e3dbc9b3d10d4a9b6518b6b32429e22

ホーキング、ブラックホールを語る:BBCリース講義
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6fb5c3578db1c26382c831983fd44e04

ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/76795b03e7dc89cd08dac67dc25b73ab

ブラックホール戦争:レオナルド・サスキンド
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c8ad22de70df7be8e51a066ca8354106

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論:小林晋平
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f4401f2ce79451070b7b9c089f304315

ホーキング博士の訃報に接し (Stephen Hawking passed away)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/63860b8ac08b47f1fc9c5cbac3f9ca8f

史上初!ブラックホールを撮影し、その存在を証明
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a3bdd0676cf497a9731a729d3a0da5a4

巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る: 本間希樹
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c847e0b9662e20720b9e6acf5cd4f370

ゼロからわかるブラックホール: 大須賀健
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3f08c2ddb0f6168b502dac4a70f3a7e


応援クリックをお願いします。
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ 人気ブログランキングへ 

 

 

ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう:スティーヴン・ホーキング」(Kindle版


刊行にあたって
はじめに(俳優 エディ・レッドメイン)

なぜビッグ・クエスチョンを問うべきなのか?
- ビッグ・クエスチョンに駆り立てられて
- ブラックホール研究の黄金時代
- 本を通して伝えたいこと

1. 神は存在するのか?
- 自然法則と神の役割
- 宇宙を創る三つの要素
- 宇宙はただで手に入る
- ビッグバンとともに時間が始まった

2. 宇宙はどのように始まったのか?
- 宇宙に始まりがあることの証明
- 量子ゆらぎが私たちの宇宙を作った
- 別の宇宙は存在するのか?

3. 宇宙には人間のほかにも知的生命体は存在するのか?
- 宇宙はなぜ生命誕生に適していたのか?
- 生命誕生は起こりにくいできごとなのか?
- 人類は進化の新しい段階に入った
- 宇宙に広まるのは機械的生命なのか?
- なぜ知的生命はいまだ訪れないのか?

4. 未来を予言することはできるのか?
- 量子的なふるまいはなぜ重要なのか?
- 量子力学が告げる未来の予測不可能性

5. ブラックホールの内部には何があるのか?
- 星の重力崩壊
- ブラックホールに落ちると何が起きるか?
- ブラックホールは外からわからない多くの情報を持つ
- ミニブラックホールは発電可能か?
- ブラックホールには毛は何本?

6. タイムトラベルは可能なのか?
- 光よりも早い宇宙船があれば・・・
- 時空を大きく歪めることはできるか?
- タイムトラベルを防ぐ時間順序保護仮説とは?

7. 人間は地球で生きていくべきなのか?
- 危機に直面する地球
- 今こそ宇宙に乗り出すとき
- 「スター・トレック」の未来は来ない
- 次の千年間に何が起きるのか?
- 人間が心と身体を改良する時代へ

8. 宇宙には植民地を建設すべきなのか?
- 宇宙旅行の興奮と驚きを伝えたい
- 植民の可能性---火星から太陽系外まで
- 新しい宇宙時代のための三つのミッション

9. 人工知能は人間より賢くなるのか?
- AIがもたらすほんとうの危険
- AI時代の人間の役割

10.より良い未来のために何ができるのか?
- 「科学に興味なし」ではすまされない

あとがき(ルーシー・ホーキング)
謝辞
解説---スティーブン・ホーキングの思い出とともに(キップ・S・ソーン)
訳者あとがき

Viewing all articles
Browse latest Browse all 976

Trending Articles