「ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン」―アインシュタインのとんでもない遺産
内容紹介:
2017年ノーベル物理学賞受賞!
キップ・ソーンを一躍有名にした全米ベストセラー!
ブラックホールの内部はどうなっているのか? 特異点とは何か? 時間旅行は可能なのか?
宇宙物理学の最高権威が15年をかけて書き上げ、スティーヴン・ホーキングも絶賛した現代宇宙論の決定版。
映画『インターステラー(2014)』原案。
何も抜け出せないのに蒸発していくブラックホール、時間が消滅し空間が泡になる特異点、謎に満ちたワームホール―歴史・理論・逸話が奇跡のように融合したスリリングな物語。
著者は、カリフォルニア工科大学(カルテク)の理論物理学教授。1960年代初めから、プリンストンのホイーラーのもとで天体物理学の研究を始めた。ホイーラー、マイスナーと共に著した大著『重力理論(Gravitation)』(1973年刊)は、一般相対性理論と宇宙論の教科書として名高い。
本書は重力理論、特にブラックホールと宇宙論の本流を歩んできた学者による一般向けの読み物だが、内容に妥協はない。1970年代以降のほぼすべてのエピソードと真実が盛り込まれている。原題は『Black Holes & Time Warps: Einstein’s Outrageous Legacy』。邦訳は「時空の歪み」となっているが、もとは「Time Warps(タイムマシン)」の話である。
歴史はアインシュタインから始まる。彼がブラックホール(当時はまだその名はなく、後にホイーラーが命名)を終生認めなかったのはよく知られているが、命名者ホイーラー自身も当初は懐疑的であったのはおもしろい。ホイーラーに対峙していたのはオッペンハイマーで、彼らはいずれも大戦当時、原爆・水爆開発を主導した物理学者である。戦後、2人は大挙して重力理論と星の研究にやってきて、今にいたる刮目(かつもく)すべき宇宙論の展開を生んだ。
本書は、教科書『重力理論(Gravitation)』を「陽」とすれば、「陰」の位置にある。ソーンが個人的に知り得た歴史が綿々と織りなされている。ランダウ、ゼリドヴィッチ、サイアマのほか、おなじみペンローズやホーキングなども登場し、重力理論の英雄列伝でもある(もっとも日本人は2名しか出てこない。両佐藤巨匠はどうしたのか)。部分的には『重力理論(Gravitation)』より詳しく、過激な内容、未解決の問題にも踏み込んでいる。物理を学ぶ者は両者を併せ読むとおもしろいだろう。ブラックホールの蒸発、タイムワープなど高度な内容を第一人者がわかりやすく解説しているのはありがたい。
1997年7月1日刊行、552ページ。
著者について:
キップ・ステファン・ソーン(Kip Stephen Thorne、1940年6月1日-): ウィキペディアの記事
アメリカ合衆国の理論物理学者。ジョン・ホイーラーの弟子で重力の理論や、相対論的宇宙論の分野に貢献した。重力理論、ブラックホール、宇宙論の歴史と理論を解説した一般向けの著書『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』(原題:Black Holes and Time Warps: Einstein's Outrageous Legacy)によって有名になった。2017年ノーベル物理学賞受賞。映画『インターステラー(2014)』を科学的立場から監修した。
ブラックホール関連の本: Amazonで検索
理数系書籍のレビュー記事は本書で401冊目。
これほど話題になった本なのに、本書のことを知ったのは先日「量子と情報 ―量子の実在と不確定性原理―: 小澤正直」を読んでのことだった。2015年9月に「初めて重力波を直接観測」した巨大な重力波検出器LIGOにレーザー光線の干渉による方式が採用されるきっかけとなったのが量子力学の不確定性原理による測定限界だったという話が書かれており、その元ネタが「ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン」で解説されていたという話。
重力波はアインシュタインが1916年に発表した重力場の方程式から導きだされる現象で、一般相対性理論という宇宙や天体など大きな世界を記述する数式だ。超ミクロな世界を記述する量子力学、不確定性原理と関連をもっていることに驚き、本書を読んでみることにしたわけだ。
著者は生涯を一般相対性理論、ブラックホールの研究に捧げてきた2017年ノーベル物理学賞を受賞した超有名なキップ・ソーン博士である。LIGOの建設への貢献をしただけでなく、ブラックホールの最新研究成果を活かして映画『インターステラー(2014)』を科学的立場から監修されている。
2015年9月に直接観測されたの重力波は、2つのブラックホールの合体によって生じたもので、この結果はブラックホールの存在を直接観測したということでもある。アインシュタイン方程式からブラックホールの存在を初めて理論的に導出したのは「シュバルツシルト解(1916)」によるものであった。その後「ライスナー・ノルドシュトロム解(1916、1918)」、「カー解(1963)」、「カー・ニューマン解(1965)の順に発見されていった。
シュバルツシルト解(電荷を持たず、角運動量も持たない解)
ライスナー・ノルドシュトロム解(電荷を持ち、角運動量を持たない解)
カー解(電荷を持たず、角運動量を持つ解)
カー・ニューマン解(電荷を持ち、角運動量も持つ解)
参考:「ブラックホールの種類」
1965年までに発見されたのは「数式上」であることにご注意いただきたい。この分野のパイオニアのひとりホイーラー博士がブラックホールという名称を考え出したのは1967年のことであり、ブラックホールの存在が白鳥座X-1の観測により間接的に検証されたのが1971年のことだ。2015年になるまでブラックホールの存在は確定的ではなかった。だから1916年から1971年までブラックホールはSF的な存在だったのである。
そもそもアインシュタイン方程式を発表したアインシュタイン博士自身は、ブラックホールのような存在を否定し、1916年以降、量子力学も受け入れず、一般相対性理論と電磁気学の統一(統一場理論)の研究に生涯を捧げた。
このように存在に確信が持てない対象を研究対象に選ぶのは、科学者にとって身を立てられない危険をはらんだものだったことを忘れてはならない。一般相対性理論がGPS衛星に必須となり、軍事的、経済的な利益をもたらしたのは1993年、本書の原書が書かれていた頃のことである。
ブルーバックスを始め、手軽に読める科学教養書にもブラックホールについて書かれたものがたくさんある。しかし、本書のように分厚い本がもたらす感動は比べ物にならない。その道の第一人者が数式を使わず、ブラックホールのありのままの姿をリアルに解説する本は、ほかには存在しないだろう。
冒頭のプロローグでは質量がまったく異なる3種類のブラックホールに接近していくとどう見えるか、SF仕立てで科学的解説を交えながら読者の心を一気につかんでいく。そして2015年に直接観測された2つのブラックホールが合体するような現場に突入するとどのように観測されるかが解説されている。しかも、2つのブラックホールの質量まで実際に観測されたのとほぼ同じ状況なのだ。原書は1994年に刊行されていたのである。
章立ては次のとおりだ。
プロローグ:ホール巡りの旅
第1章:空間と時間の相対性
第2章:空間と時間のワープ
第3章:ブラックホールの発見と否認
第4章:白色矮星の謎
第5章:避けられない爆縮
第6章:爆縮の果てに何が?
第7章:黄金時代
第8章:探索
第9章:掘り出し物
第10章:時空湾曲のさざ波
第11章:時空は本当に湾曲しているのか平坦か?
第12章:ブラックホールの蒸発
第13章:ブラックホールの内部
第14章:ワームホールとタイムマシン
エピローグ:アインシュタインの遺産、その過去と未来の概観と、何人かの主人公の後日談。
数式上の存在、空想上の存在だったブラックホールの現実の天体とのつながりがおぼろげながらわかってきたのは、恒星の終焉に関する研究が進んできたからだ。これも最初は数式上の研究である。質量が大きな恒星ほど、その生涯を閉じるときに小さく密度が大きい状態になり、質量を支えきれずに限界まで小さくなっていく。白色矮星、中性子星などはその研究過程で理論的に予測され、その後発見されていった。
しかし、もっと質量が大きいときはどうなるのか?その後おきた第二次世界大戦と戦後に研究・開発された原爆、特に水爆で使われる「爆縮」という現象がカギを握っていた。超巨大質量を持つ恒星は最期に爆縮をおこし、ブラックホールとなるのである。理論上求められていたブラックホールが現実の物理現象と結びついたのが1960年代で、終戦をきっかけにブラックホール研究の黄金時代が訪れた。著者のソーン博士が大学院生になったのが1960年代半ばである。
1950年頃までは、白色矮星や中性子星、ブラックホールの研究はアインシュタイン方程式から解析的、つまり紙と鉛筆そして手回し計算機を使って行われていた。方程式が非線形連立微分方程式であるから、とてつもない計算量である。1950年以降、ようやくコンピュータが利用できるようになり、1960年代の黄金時代に数多くの(理論的)発見がもたらされた。
ブラックホール探索は少しずつ始まっていたが、科学者のほとんどはまったく気にもかけていない時期が長く続いた。その最初の転換となったのが、わずか直径9メートルほどの電波望遠鏡で観測した銀河系の電波強度分布である。その2か所からとてつもないエネルギーの電磁波が放出されていることが観測された。これが後に太陽質量の数百万倍という超巨大ブラックホールによるものであることがわかるのである。光学望遠鏡だけでなく電波望遠鏡、X線望遠鏡の精度が向上するにつれて、遠方宇宙で常識外れの天体現象がおきていることわかってきた。
ブラックホール研究に長い時間がかかったのは、この分野がとても幅広い領域で専門知識が必要だったことによる。一般相対性理論の計算を専門にする科学者、天体物理学者、観測天文学者、原子核物理学者、観測装置に携わる電子工学者など、それぞれの分野の交流が行われ始めたのは黄金時代以降のことである。そして何より障害となったのは、数式が予測するブラックホールのあり様が、とてつもなく現実離れし、その時々で受け入れられていた物理法則を破るものであったことだ。計算は真実を示しているのに、無意識にそれを排除したり、他の研究者の発見を否定することがたびたび起こっていた。本書で描かれている人間ドラマは白色矮星の質量限界を予測したチャンドラセカール博士の話から、1980年代のホーキング博士のことまで、ソーン博士が実際に見聞きしたことを織り交ぜてとてもリアルに紹介されている。
ブラックホール研究の第一人者、ホーキング博士が活動し始めたのは1970年以降である。博士の「ホーキング、宇宙を語る」は昨年秋に読んだが、ソーン博士の本ではホーキング博士の業績をより詳しく解説し、さらにホーキング博士のご病状の変化を公私に渡る交流を通じて感じた体験としてお書きになっている。あらゆるモノが外に抜け出すことができないとされていたブラックホールから電磁波の放射が行われるというホーキング放射も、後に観測によって確認されることになった。
特にこの放射と関連するのが、量子力学と一般相対性理論の融合である。本当の真空というものはあり得ず、ミクロな時空の揺らぎの中で仮想粒子が対生成・対消滅しているというのが現代物理学(場の量子論)から得られた実際の姿であり、これは現在発売中の「Newton(ニュートン) 2019年 05 月号」(詳細)の特集記事「無とは何か」や「ニュートン別冊 無(ゼロ)の科学」(詳細)で解説されている。仮想粒子は存在しないので「無」である。
しかし、この仮想粒子をブラックホールの地平に向かって自由落下する加速系から見ると、実際の粒子として観測されることが本書の第11章で解説されている。同じ事象が見る立場(異なる系)で「無」になったり「有」になったりすることに、特に興味を持った。(専門的には「ウンルー効果」と呼ばれている。)
まだほとんどわかっていないブラックホールの内部について、詳しく書かれているのも本書の特長だ。量子物理学と一般相対性理論が予測する、大きな湾曲によって生じる時空の泡やブラックホール中心に存在するかもしれない特異点の姿を描き出す。そして内部に入った我々が見るであろう世界が第13章で語られる。
第14章はワームホールとタイムマシンである。ソーン博士ご自身もこのタイトルで論文を発表して痛い目にあったことがあるそうだ。同僚からは白い目で見られ、マスコミからは「タイムマシンを信じる科学者」として大袈裟に書かれたために恥ずかしい想いをされた。その後、この話題で論文を書くとき、マスコミ関係者には理解できない専門的な表現を使うようにされているそうである。現在はまだSF(そして博士が監修された映画『インターステラー』のメインテーマであるわけだが)でしか取り上げられていないワームホールとタイムマシンであるが、この2つは一般相対性理論から導出される、それぞれの解であることを強調しておこう。
2016年2月に発表された重力波初観測のニュースは記憶に新しい。当時の興奮はすさまじいものだった。アインシュタイン最後の宿題が解決されたと新聞が書きたて、ニュース番組ではCGを使った解説が何度も放送された。科学教養書もたくさん出版された。しかし、そのほとんどでアインシュタイン以降100年のことが抜けてしまっている。
その100年の間に恒星や銀河の天文学、ブラックホール研究の分野で何がおきていたのかを詳しく知ることで、重力波観測のニュースがいかに素晴らしい成果であったのかを再認識することができる。LIGO関係者だけでなく、ソーン博士を初めとする一般相対性理論の数理的な研究に携わってきた科学者には、想像もできないほど大きな感動、達成感を与えたことだろう。
本書にはLIGO以外に、すでに欧州で稼働しているVirgoのこと、そしてまだ名前がつけられていない日本の観測施設(KAGRA)のことも紹介し、今後発見されるブラックホールの位置の精度が向上することを述べている。
本書は登場する科学者の数が多く、年代も何度か前後する。巻末の「登場人物/年表」は全体を読み通した後に読むと知識が整理されるので、とても助かる。
アインシュタインが残した遺産は、このようにとてつもなく大きなものだった。今後、一般相対性理論の研究はますます重要になり、ブラックホールの研究は一般相対性理論、量子物理学、量子情報理論を統合すべく物理学者、数学者、天文学者の緊密な連携が必須となっていく。
本書は重力波初観測を思い出しつつ、その価値を再認識するために最もふさわしい本である。一度読んだだけでは吸収し尽くせないので、折に触れて何度も読み直してみたい。
ちょうどタイミングよく、次のニュースが今月飛び込んできた。ブラックホールはますます当たり前のものになりつつあるようだ。
愛媛大、約130億光年離れた宇宙に83個の「巨大ブラックホール」を発見
https://gunosy.com/articles/aHIWe
翻訳の元にされた原書は1994年に刊行された。本書の記述で「最新」とされるのは1993年時点である。
「Black Holes and Time Warps: Einstein's Outrageous Legacy: Kip S. Thorne 」(ハードカバー)(Kindle版)
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関連記事:
重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
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「ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン」―アインシュタインのとんでもない遺産
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序文:宇宙でもっとも神秘的な対象ブラックホールをめぐる魅力あふれる物語:S・ホーキング
緒言:一般相対性理論の未確認の予測を信じる勇気を:F・ザイツ
まえがき:この本には何が書いてあり、どう読んでほしいのか
プロローグ:ホール巡りの旅
ここで読者が出会うのはSFのブラックホールとあらゆる不思議だ。それも1990年代半ばの最新の。
- 冥府
- サギッタリオ
- ガルガンチュア
- 故郷
第1章:空間と時間の相対性
アインシュタインの理論は空間と時間は絶対的というニュートンの考えを壊す。
- ニュートンと絶対空間と時間、およびエーテル
- アインシュタインの相対論的空間と絶対的な光速
- 物理法則の本性
第2章:空間と時間のワープ
空間と時間をミンコフスキーは統合し、アインシュタインはワープする。
- ミンコフスキーの絶対時空
- ニュートンの重力の法則と、それを相対論と娶らせようとするアインシュタインの第一歩
- 潮汐重力と時空の湾曲
第3章:ブラックホールの発見と否認
アインシュタインの時空ワープの法則はブラックホールを予測した。なのに、彼自身は否認した。
第4章:白色矮星の謎
重い星の死をめぐるエディントンとチャンドラセカールの師弟の争い。死ぬときには星は収縮してブラックホールを作るのか?:量子力学がそれを救うのか?
- 量子力学と白色矮星の中身
- 最大質量
- 戦い
第5章:避けられない爆縮
力の中でもっとも強いあの核力でさえ、重力の押しの強さに潰される。
- ツヴィッキー
- ランダウ
- オッペンハイマー
- ホイーラー
第6章:爆縮の果てに何が?
理論物理学のあらゆる武器を用いても、爆縮がブラックホールを作るという結論は避けられない。
- ブラックホールの誕生=最初の一瞥
- 核の間奏曲
- ブラックホールの誕生=より深い理解
第7章:黄金時代
ブラックホールがスピンして脈動していることがわかり、エネルギーを蓄え、放出し、頭髪のないことも判明した。
- 指導教授=ホイーラー、ゼリドヴィッチ、サイアマ
- ブラックホールにはヘアがない
- ブラックホールはスピンし脈動する
第8章:探索
この大空に漆黒の穴を見つけ出す方法を提案し追求し、(たぶん)成功に導いてみせる。
- 方法
- 探索
第9章:掘り出し物
思いがけない掘り出し物のおかげで、天文学者は突然、銀河の中心に太陽の100万倍の重さのブラックホールが(たぶん)あると結論することを強いられた。
- 電波銀河
- クェーサー
- 巨大ブラックホール
第10章:時空湾曲のさざ波
重力波はその中にブラックホール衝突の交響曲を暗号化して地球に運び、そして物理学者は波を検出する装置を工夫してこの交響曲を解読する。
- 交響曲
- バー
- LIGO
第11章:時空は本当に湾曲しているのか平坦か?
時空は日曜には湾曲し月曜には平坦であり、地平は日曜には真空であり月曜には電荷でできているが、日曜にも月曜にも実際は細部まで完全に一致する。
第12章:ブラックホールの蒸発
ブラックホールの地平は放射と熱い粒子の大気に覆われ、それがゆっくり蒸発してホールは縮み、やがて爆発する。
- ブラックホールは成長する
- エントロピー
- ブラックホールは放射する
- ブラックホールは収縮し爆発する
第13章:ブラックホールの内部
物理学者はアインシュタイン方程式と取り組みブラックホールの中の秘密を探ろうとする。もう一つの宇宙に通じる通路か?:無限大の潮汐重力を秘めた特異点か?:時空が終焉し量子の泡が誕生する場所か?
- 特異点と他の宇宙
- ペンローズ革命
- 最良の推測
第14章:ワームホールとタイムマシン
著者はつぎのように尋ね、物理法則への洞察を求める。高度文明は星間旅行のために超空間を通り抜けるワームホール、時間を遡るタイムマシンが作れるか?
- ワームホールとエキゾチックな物質
- タイムマシン
- 母親殺しのパラドックス
- クロノロジー保護?
エピローグ:アインシュタインの遺産、その過去と未来の概観と、何人かの主人公の後日談。
謝辞/登場人物/年表/用語解説/訳者あとがき/補註/参考文献/事項索引/人名索引
内容紹介:
2017年ノーベル物理学賞受賞!
キップ・ソーンを一躍有名にした全米ベストセラー!
ブラックホールの内部はどうなっているのか? 特異点とは何か? 時間旅行は可能なのか?
宇宙物理学の最高権威が15年をかけて書き上げ、スティーヴン・ホーキングも絶賛した現代宇宙論の決定版。
映画『インターステラー(2014)』原案。
何も抜け出せないのに蒸発していくブラックホール、時間が消滅し空間が泡になる特異点、謎に満ちたワームホール―歴史・理論・逸話が奇跡のように融合したスリリングな物語。
著者は、カリフォルニア工科大学(カルテク)の理論物理学教授。1960年代初めから、プリンストンのホイーラーのもとで天体物理学の研究を始めた。ホイーラー、マイスナーと共に著した大著『重力理論(Gravitation)』(1973年刊)は、一般相対性理論と宇宙論の教科書として名高い。
本書は重力理論、特にブラックホールと宇宙論の本流を歩んできた学者による一般向けの読み物だが、内容に妥協はない。1970年代以降のほぼすべてのエピソードと真実が盛り込まれている。原題は『Black Holes & Time Warps: Einstein’s Outrageous Legacy』。邦訳は「時空の歪み」となっているが、もとは「Time Warps(タイムマシン)」の話である。
歴史はアインシュタインから始まる。彼がブラックホール(当時はまだその名はなく、後にホイーラーが命名)を終生認めなかったのはよく知られているが、命名者ホイーラー自身も当初は懐疑的であったのはおもしろい。ホイーラーに対峙していたのはオッペンハイマーで、彼らはいずれも大戦当時、原爆・水爆開発を主導した物理学者である。戦後、2人は大挙して重力理論と星の研究にやってきて、今にいたる刮目(かつもく)すべき宇宙論の展開を生んだ。
本書は、教科書『重力理論(Gravitation)』を「陽」とすれば、「陰」の位置にある。ソーンが個人的に知り得た歴史が綿々と織りなされている。ランダウ、ゼリドヴィッチ、サイアマのほか、おなじみペンローズやホーキングなども登場し、重力理論の英雄列伝でもある(もっとも日本人は2名しか出てこない。両佐藤巨匠はどうしたのか)。部分的には『重力理論(Gravitation)』より詳しく、過激な内容、未解決の問題にも踏み込んでいる。物理を学ぶ者は両者を併せ読むとおもしろいだろう。ブラックホールの蒸発、タイムワープなど高度な内容を第一人者がわかりやすく解説しているのはありがたい。
1997年7月1日刊行、552ページ。
著者について:
キップ・ステファン・ソーン(Kip Stephen Thorne、1940年6月1日-): ウィキペディアの記事
アメリカ合衆国の理論物理学者。ジョン・ホイーラーの弟子で重力の理論や、相対論的宇宙論の分野に貢献した。重力理論、ブラックホール、宇宙論の歴史と理論を解説した一般向けの著書『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』(原題:Black Holes and Time Warps: Einstein's Outrageous Legacy)によって有名になった。2017年ノーベル物理学賞受賞。映画『インターステラー(2014)』を科学的立場から監修した。
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理数系書籍のレビュー記事は本書で401冊目。
これほど話題になった本なのに、本書のことを知ったのは先日「量子と情報 ―量子の実在と不確定性原理―: 小澤正直」を読んでのことだった。2015年9月に「初めて重力波を直接観測」した巨大な重力波検出器LIGOにレーザー光線の干渉による方式が採用されるきっかけとなったのが量子力学の不確定性原理による測定限界だったという話が書かれており、その元ネタが「ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン」で解説されていたという話。
重力波はアインシュタインが1916年に発表した重力場の方程式から導きだされる現象で、一般相対性理論という宇宙や天体など大きな世界を記述する数式だ。超ミクロな世界を記述する量子力学、不確定性原理と関連をもっていることに驚き、本書を読んでみることにしたわけだ。
著者は生涯を一般相対性理論、ブラックホールの研究に捧げてきた2017年ノーベル物理学賞を受賞した超有名なキップ・ソーン博士である。LIGOの建設への貢献をしただけでなく、ブラックホールの最新研究成果を活かして映画『インターステラー(2014)』を科学的立場から監修されている。
2015年9月に直接観測されたの重力波は、2つのブラックホールの合体によって生じたもので、この結果はブラックホールの存在を直接観測したということでもある。アインシュタイン方程式からブラックホールの存在を初めて理論的に導出したのは「シュバルツシルト解(1916)」によるものであった。その後「ライスナー・ノルドシュトロム解(1916、1918)」、「カー解(1963)」、「カー・ニューマン解(1965)の順に発見されていった。
シュバルツシルト解(電荷を持たず、角運動量も持たない解)
ライスナー・ノルドシュトロム解(電荷を持ち、角運動量を持たない解)
カー解(電荷を持たず、角運動量を持つ解)
カー・ニューマン解(電荷を持ち、角運動量も持つ解)
参考:「ブラックホールの種類」
1965年までに発見されたのは「数式上」であることにご注意いただきたい。この分野のパイオニアのひとりホイーラー博士がブラックホールという名称を考え出したのは1967年のことであり、ブラックホールの存在が白鳥座X-1の観測により間接的に検証されたのが1971年のことだ。2015年になるまでブラックホールの存在は確定的ではなかった。だから1916年から1971年までブラックホールはSF的な存在だったのである。
そもそもアインシュタイン方程式を発表したアインシュタイン博士自身は、ブラックホールのような存在を否定し、1916年以降、量子力学も受け入れず、一般相対性理論と電磁気学の統一(統一場理論)の研究に生涯を捧げた。
このように存在に確信が持てない対象を研究対象に選ぶのは、科学者にとって身を立てられない危険をはらんだものだったことを忘れてはならない。一般相対性理論がGPS衛星に必須となり、軍事的、経済的な利益をもたらしたのは1993年、本書の原書が書かれていた頃のことである。
ブルーバックスを始め、手軽に読める科学教養書にもブラックホールについて書かれたものがたくさんある。しかし、本書のように分厚い本がもたらす感動は比べ物にならない。その道の第一人者が数式を使わず、ブラックホールのありのままの姿をリアルに解説する本は、ほかには存在しないだろう。
冒頭のプロローグでは質量がまったく異なる3種類のブラックホールに接近していくとどう見えるか、SF仕立てで科学的解説を交えながら読者の心を一気につかんでいく。そして2015年に直接観測された2つのブラックホールが合体するような現場に突入するとどのように観測されるかが解説されている。しかも、2つのブラックホールの質量まで実際に観測されたのとほぼ同じ状況なのだ。原書は1994年に刊行されていたのである。
章立ては次のとおりだ。
プロローグ:ホール巡りの旅
第1章:空間と時間の相対性
第2章:空間と時間のワープ
第3章:ブラックホールの発見と否認
第4章:白色矮星の謎
第5章:避けられない爆縮
第6章:爆縮の果てに何が?
第7章:黄金時代
第8章:探索
第9章:掘り出し物
第10章:時空湾曲のさざ波
第11章:時空は本当に湾曲しているのか平坦か?
第12章:ブラックホールの蒸発
第13章:ブラックホールの内部
第14章:ワームホールとタイムマシン
エピローグ:アインシュタインの遺産、その過去と未来の概観と、何人かの主人公の後日談。
数式上の存在、空想上の存在だったブラックホールの現実の天体とのつながりがおぼろげながらわかってきたのは、恒星の終焉に関する研究が進んできたからだ。これも最初は数式上の研究である。質量が大きな恒星ほど、その生涯を閉じるときに小さく密度が大きい状態になり、質量を支えきれずに限界まで小さくなっていく。白色矮星、中性子星などはその研究過程で理論的に予測され、その後発見されていった。
しかし、もっと質量が大きいときはどうなるのか?その後おきた第二次世界大戦と戦後に研究・開発された原爆、特に水爆で使われる「爆縮」という現象がカギを握っていた。超巨大質量を持つ恒星は最期に爆縮をおこし、ブラックホールとなるのである。理論上求められていたブラックホールが現実の物理現象と結びついたのが1960年代で、終戦をきっかけにブラックホール研究の黄金時代が訪れた。著者のソーン博士が大学院生になったのが1960年代半ばである。
1950年頃までは、白色矮星や中性子星、ブラックホールの研究はアインシュタイン方程式から解析的、つまり紙と鉛筆そして手回し計算機を使って行われていた。方程式が非線形連立微分方程式であるから、とてつもない計算量である。1950年以降、ようやくコンピュータが利用できるようになり、1960年代の黄金時代に数多くの(理論的)発見がもたらされた。
ブラックホール探索は少しずつ始まっていたが、科学者のほとんどはまったく気にもかけていない時期が長く続いた。その最初の転換となったのが、わずか直径9メートルほどの電波望遠鏡で観測した銀河系の電波強度分布である。その2か所からとてつもないエネルギーの電磁波が放出されていることが観測された。これが後に太陽質量の数百万倍という超巨大ブラックホールによるものであることがわかるのである。光学望遠鏡だけでなく電波望遠鏡、X線望遠鏡の精度が向上するにつれて、遠方宇宙で常識外れの天体現象がおきていることわかってきた。
ブラックホール研究に長い時間がかかったのは、この分野がとても幅広い領域で専門知識が必要だったことによる。一般相対性理論の計算を専門にする科学者、天体物理学者、観測天文学者、原子核物理学者、観測装置に携わる電子工学者など、それぞれの分野の交流が行われ始めたのは黄金時代以降のことである。そして何より障害となったのは、数式が予測するブラックホールのあり様が、とてつもなく現実離れし、その時々で受け入れられていた物理法則を破るものであったことだ。計算は真実を示しているのに、無意識にそれを排除したり、他の研究者の発見を否定することがたびたび起こっていた。本書で描かれている人間ドラマは白色矮星の質量限界を予測したチャンドラセカール博士の話から、1980年代のホーキング博士のことまで、ソーン博士が実際に見聞きしたことを織り交ぜてとてもリアルに紹介されている。
ブラックホール研究の第一人者、ホーキング博士が活動し始めたのは1970年以降である。博士の「ホーキング、宇宙を語る」は昨年秋に読んだが、ソーン博士の本ではホーキング博士の業績をより詳しく解説し、さらにホーキング博士のご病状の変化を公私に渡る交流を通じて感じた体験としてお書きになっている。あらゆるモノが外に抜け出すことができないとされていたブラックホールから電磁波の放射が行われるというホーキング放射も、後に観測によって確認されることになった。
特にこの放射と関連するのが、量子力学と一般相対性理論の融合である。本当の真空というものはあり得ず、ミクロな時空の揺らぎの中で仮想粒子が対生成・対消滅しているというのが現代物理学(場の量子論)から得られた実際の姿であり、これは現在発売中の「Newton(ニュートン) 2019年 05 月号」(詳細)の特集記事「無とは何か」や「ニュートン別冊 無(ゼロ)の科学」(詳細)で解説されている。仮想粒子は存在しないので「無」である。
しかし、この仮想粒子をブラックホールの地平に向かって自由落下する加速系から見ると、実際の粒子として観測されることが本書の第11章で解説されている。同じ事象が見る立場(異なる系)で「無」になったり「有」になったりすることに、特に興味を持った。(専門的には「ウンルー効果」と呼ばれている。)
まだほとんどわかっていないブラックホールの内部について、詳しく書かれているのも本書の特長だ。量子物理学と一般相対性理論が予測する、大きな湾曲によって生じる時空の泡やブラックホール中心に存在するかもしれない特異点の姿を描き出す。そして内部に入った我々が見るであろう世界が第13章で語られる。
第14章はワームホールとタイムマシンである。ソーン博士ご自身もこのタイトルで論文を発表して痛い目にあったことがあるそうだ。同僚からは白い目で見られ、マスコミからは「タイムマシンを信じる科学者」として大袈裟に書かれたために恥ずかしい想いをされた。その後、この話題で論文を書くとき、マスコミ関係者には理解できない専門的な表現を使うようにされているそうである。現在はまだSF(そして博士が監修された映画『インターステラー』のメインテーマであるわけだが)でしか取り上げられていないワームホールとタイムマシンであるが、この2つは一般相対性理論から導出される、それぞれの解であることを強調しておこう。
2016年2月に発表された重力波初観測のニュースは記憶に新しい。当時の興奮はすさまじいものだった。アインシュタイン最後の宿題が解決されたと新聞が書きたて、ニュース番組ではCGを使った解説が何度も放送された。科学教養書もたくさん出版された。しかし、そのほとんどでアインシュタイン以降100年のことが抜けてしまっている。
その100年の間に恒星や銀河の天文学、ブラックホール研究の分野で何がおきていたのかを詳しく知ることで、重力波観測のニュースがいかに素晴らしい成果であったのかを再認識することができる。LIGO関係者だけでなく、ソーン博士を初めとする一般相対性理論の数理的な研究に携わってきた科学者には、想像もできないほど大きな感動、達成感を与えたことだろう。
本書にはLIGO以外に、すでに欧州で稼働しているVirgoのこと、そしてまだ名前がつけられていない日本の観測施設(KAGRA)のことも紹介し、今後発見されるブラックホールの位置の精度が向上することを述べている。
本書は登場する科学者の数が多く、年代も何度か前後する。巻末の「登場人物/年表」は全体を読み通した後に読むと知識が整理されるので、とても助かる。
アインシュタインが残した遺産は、このようにとてつもなく大きなものだった。今後、一般相対性理論の研究はますます重要になり、ブラックホールの研究は一般相対性理論、量子物理学、量子情報理論を統合すべく物理学者、数学者、天文学者の緊密な連携が必須となっていく。
本書は重力波初観測を思い出しつつ、その価値を再認識するために最もふさわしい本である。一度読んだだけでは吸収し尽くせないので、折に触れて何度も読み直してみたい。
ちょうどタイミングよく、次のニュースが今月飛び込んできた。ブラックホールはますます当たり前のものになりつつあるようだ。
愛媛大、約130億光年離れた宇宙に83個の「巨大ブラックホール」を発見
https://gunosy.com/articles/aHIWe
翻訳の元にされた原書は1994年に刊行された。本書の記述で「最新」とされるのは1993年時点である。
「Black Holes and Time Warps: Einstein's Outrageous Legacy: Kip S. Thorne 」(ハードカバー)(Kindle版)
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重力理論 Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ
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「ブラックホールと時空の歪み: キップ・S. ソーン」―アインシュタインのとんでもない遺産
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序文:宇宙でもっとも神秘的な対象ブラックホールをめぐる魅力あふれる物語:S・ホーキング
緒言:一般相対性理論の未確認の予測を信じる勇気を:F・ザイツ
まえがき:この本には何が書いてあり、どう読んでほしいのか
プロローグ:ホール巡りの旅
ここで読者が出会うのはSFのブラックホールとあらゆる不思議だ。それも1990年代半ばの最新の。
- 冥府
- サギッタリオ
- ガルガンチュア
- 故郷
第1章:空間と時間の相対性
アインシュタインの理論は空間と時間は絶対的というニュートンの考えを壊す。
- ニュートンと絶対空間と時間、およびエーテル
- アインシュタインの相対論的空間と絶対的な光速
- 物理法則の本性
第2章:空間と時間のワープ
空間と時間をミンコフスキーは統合し、アインシュタインはワープする。
- ミンコフスキーの絶対時空
- ニュートンの重力の法則と、それを相対論と娶らせようとするアインシュタインの第一歩
- 潮汐重力と時空の湾曲
第3章:ブラックホールの発見と否認
アインシュタインの時空ワープの法則はブラックホールを予測した。なのに、彼自身は否認した。
第4章:白色矮星の謎
重い星の死をめぐるエディントンとチャンドラセカールの師弟の争い。死ぬときには星は収縮してブラックホールを作るのか?:量子力学がそれを救うのか?
- 量子力学と白色矮星の中身
- 最大質量
- 戦い
第5章:避けられない爆縮
力の中でもっとも強いあの核力でさえ、重力の押しの強さに潰される。
- ツヴィッキー
- ランダウ
- オッペンハイマー
- ホイーラー
第6章:爆縮の果てに何が?
理論物理学のあらゆる武器を用いても、爆縮がブラックホールを作るという結論は避けられない。
- ブラックホールの誕生=最初の一瞥
- 核の間奏曲
- ブラックホールの誕生=より深い理解
第7章:黄金時代
ブラックホールがスピンして脈動していることがわかり、エネルギーを蓄え、放出し、頭髪のないことも判明した。
- 指導教授=ホイーラー、ゼリドヴィッチ、サイアマ
- ブラックホールにはヘアがない
- ブラックホールはスピンし脈動する
第8章:探索
この大空に漆黒の穴を見つけ出す方法を提案し追求し、(たぶん)成功に導いてみせる。
- 方法
- 探索
第9章:掘り出し物
思いがけない掘り出し物のおかげで、天文学者は突然、銀河の中心に太陽の100万倍の重さのブラックホールが(たぶん)あると結論することを強いられた。
- 電波銀河
- クェーサー
- 巨大ブラックホール
第10章:時空湾曲のさざ波
重力波はその中にブラックホール衝突の交響曲を暗号化して地球に運び、そして物理学者は波を検出する装置を工夫してこの交響曲を解読する。
- 交響曲
- バー
- LIGO
第11章:時空は本当に湾曲しているのか平坦か?
時空は日曜には湾曲し月曜には平坦であり、地平は日曜には真空であり月曜には電荷でできているが、日曜にも月曜にも実際は細部まで完全に一致する。
第12章:ブラックホールの蒸発
ブラックホールの地平は放射と熱い粒子の大気に覆われ、それがゆっくり蒸発してホールは縮み、やがて爆発する。
- ブラックホールは成長する
- エントロピー
- ブラックホールは放射する
- ブラックホールは収縮し爆発する
第13章:ブラックホールの内部
物理学者はアインシュタイン方程式と取り組みブラックホールの中の秘密を探ろうとする。もう一つの宇宙に通じる通路か?:無限大の潮汐重力を秘めた特異点か?:時空が終焉し量子の泡が誕生する場所か?
- 特異点と他の宇宙
- ペンローズ革命
- 最良の推測
第14章:ワームホールとタイムマシン
著者はつぎのように尋ね、物理法則への洞察を求める。高度文明は星間旅行のために超空間を通り抜けるワームホール、時間を遡るタイムマシンが作れるか?
- ワームホールとエキゾチックな物質
- タイムマシン
- 母親殺しのパラドックス
- クロノロジー保護?
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