左からメアリー、キャサリン、ドロシー
楽しみにしていた映画をようやく観ることができた。アメリカの初期の宇宙開発を「計算手」として支えた、黒人女性数学者たちの伝記作品である。原題は「Hidden Figures」、陰で支えた人たちという意味合いだ。
映画『ドリーム』オフィシャルサイト - 20世紀フォックス
http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/
映画を待ちきれずに、原作本「ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち」(Kindle版)を読み終えてしまっていたので、どのような映画かは知っていた。文庫本で460ページもある内容を、どのようにして2時間の映画にまとめたのか気になっていた。原作本の感想は後日、別記事として書くことにしよう。
待ち合わせ
映画マニアの友達と日比谷で待ち合わせる。午後3時半からの回にちょうどよいタイミングで間に合った。
上映開始
スクリーンを前にして後方左側に着席。CMや注意事項の映像をしばらく見てから本編が始まった。
冒頭のシーンは1926年。メガネをかけた黒人の女の子が教室で数学の問題を解いて解説している。彼女が解いてみせたのは高校1年レベルの代数方程式だ。その後、彼女はあまりにも優秀なので飛び級をすることが紹介された。
そして舞台はいきなり1961年に切り替わる。30代以上の黒人女性3人が勤務先のNASAのラングレー研究所に車で出勤中、エンストを起こして困っている。
ああ、そうなのか。映画では原作本の前半が丸ごとカットされている。ドロシー、キャサリン、メアリーの3人が計算手として最初に勤務したのはNASAの前身のNACA(アメリカ航空諮問委員会)だったからだ。
職場で彼女たちが受けた黒人差別、女性差別の多くは、原作本ではNACA勤務の頃のこととして書かれており、それをNASA勤務になってからのこととして描いていた。もちろんNASAになってからもそのような差別は続いていたが、NACAの頃よりは改善していたのだ。
黒人であり女性でもある彼女たちが、このような国家プロジェクトに参加できたのは、数学の知識のおかげである。宇宙開発プロジェクトを進めるためには、先日「惑星探査機の軌道計算入門: 半揚稔雄」で紹介したような軌道計算だけでなく、空気流体力学など幅広い物理理論の知識と、問題を解くための数学力、とりわけ映画では解析幾何学として紹介される微積分、微分方程式の知識が必要になるからだ。
さらに、彼女たちに要求されたのはこのような高度な方程式を実際の数値として得るための計算力である。計算は電気モーターで駆動する機械式計算機を数多くの計算手が分担して行っていた。彼女たちが計算手として大きな役割を果たしていたのはNACA勤務の頃なのである。
映画では機械式計算機も映されていた。FRIEDEN社製の計算機である。僕が持っているような手回し式の「タイガー計算機」ではない。
数学が苦手な方のためにおことわりしておくが、物理学の方程式はどんなに高度なものでも、最終的には数字を加減乗除して計算すれば答を求めることができるのだ。ただし、計算量は気が遠くなるほど膨大なものになる。
そして、ソ連が有人宇宙飛行をアメリカに先んじて成功させてしまう。東西冷戦はピークに達していて、米ソが互いに核による攻撃を警戒していた時代だ。宇宙開発のための技術は軍事技術に直結している。NASAは大きなプレッシャーを受けながら開発を急ぐことを余儀なくされる。
研究所の外の社会では、黒人差別がまかり通っている。けれどもNASAの内部では、彼女たちの才能と実力が徐々に認められ、白人のスタッフと一緒に働くことができるようになっていった。その背景にはプロジェクトを急いで進めるために、優秀な者なら人種や性別を問わず起用しなければならないという事情があったのだ。
無人宇宙飛行を成功させ、有人宇宙飛行を目指す段階になって、NASAには強力な道具が導入される。IBMのメインフレーム・コンピュータだ。映画で紹介されたのはIBM 7090。1秒間に2万4千回の掛け算ができるコンピュータとして紹介された。トランジスタ回路により構成されたマシンである。
ドロシーはこのコンピュータを使うために、図書館から持ち出したFORTRANの教科書を独学していた。
しかし、原作本にはこのプロジェクトのためにNASAに最初に導入されたのは、IBM 704という真空管式、5年前のコンピュータだと書かれている。実際にドロシーがFORTRANを使い始めたのは旧型のコンピュータだったのだ。映画を2時間に圧縮するためにIBM 704は省略されてしまった。
FORTRANやIBM 704、IBM 7090については、先日「FORTRAN入門、COBOL入門」という記事で実際のコンピュータの動画を含めて解説したので、ぜひお読みになっていただきたい。また次のページも参考になる。
NASAの宇宙計画とIBM〜映画『ドリーム』
https://www.ibm.com/blogs/systems/jp-ja/nasa_ibm/
技術の発展は新しい道具を生み、その道具を使いこなすために新しいスキルを身に着ける必要がある。それは現代でも同じことだ。
初の有人宇宙飛行、マーキュリー計画に導入されたIBMのコンピュータを使いこなすためには、FORTRANでプログラミングできるようなることが求められた。数学者、計算手として採用された多くの黒人女性たちがNASAで勤務し続けるには、プログラマーになることが必須条件になったのだ。適応できない者は退職させられることになる。
プログラマー以外にも生き残れるキャリアがあった。それは技術者になることだ。数学者からエンジニアへの転身である。これを成し遂げたのがメアリーだった。そのために彼女は上級の学校で授業を受けるという黒人女性では前例のない試練を乗り越えていた。
極端までに合理的なアメリカ流の労働環境を垣間見ることになった。物であれ人であれ、不要になったものは次々と新しい物や人に置き換えていく。映画や原作本には描かれていないが、ドロップアウトした黒人女性、そして白人の職員は数多くいたことだろう。勝ち残った人たちだけに与えられるから「ドリーム」なのだ。
原作本と映画の違い
原作本と映画でいちばん違うところは2つある。ひとつは映画に要求される娯楽性、もうひとつは「会話と報告」の違いである。
原作本には登場人物が交わす会話はまったく書かれていない。著者が実在の登場人物にインタビューして、それを報告、解説として紹介するスタイルをとっている。だから読者はハラハラしたり、ドキドキしたりすることがない。
これをそのまま映像にしたのでは、娯楽性が全くないドキュメンタリー映画になってしまう。映画にはナレーションによる解説はなく、すべて登場人物たちの演技と会話で成り立っている。そして、原作本にはない滑稽なシーン、ハラハラさせられるシーン、じんわりと感動するシーンなどを付け足していた。実際、僕の友達の隣の席で見ていた中年女性は、何度も鼻をズルズルすすって泣いていたそうだ。物理や数学がわからない人でも、ヒューマンドラマとして楽しめる要素がふんだんに盛り込まれている。
原作本には感動して泣くような箇所はひとつもないのだ。しかし、マーキュリー計画でロケットが打ち上げられてからの記述はかなりワクワクするので、本にはまた違う喜びがある。
設置したばかりのIBM 7090が起動せず、IBMの技術者が頭をひねっている間抜けなシーンも映画にだけ描かれていたことだ。研究所の責任者から「コンピュータが動かなければ、君たちは無給だ。」と叱責をくらう。彼らが出払ったあとドロシーが一人でコンピュータ室に入り、配線を1か所つなぎ変えてコンピュータは動き出した。実際にそんなことはなかっただろうから、映画を楽しく見れるように創作した逸話なのだと思う。
もうひとつの「Hidden Figures」
映画を見終わってから、もうひとつの「Hidden Figures」があっただろうなと僕は思った。それはソビエト連邦にいたはずの計算手たちのことである。
「スプートニク計画」で有人宇宙飛行を成し遂げるためにも、膨大な計算が行われていたはずだし、コンピュータだって使われていたはずだ。実際にどのような人たちが関わっていたか、どのようなコンピュータが使われていたかは、僕を含めほとんどの人が知らないと思う。
検索してみたところ、次のようなページが見つかった
BESM:1950年代から60年代に作られたソビエト連邦のメインフレーム・コンピュータの名称
https://ja.wikipedia.org/wiki/BESM
ソ連の宇宙開発で使われていたプログラミング言語は?
https://tech.a-listers.jp/2012/06/07/what-software-programming-languages-were-used-by-the-soviet-unions-space-program/
ソ連のコンピュータと裏切りの歴史
https://jp.rbth.com/science/2014/10/03/50475
映画館を後にして
映画館を出て、友達と僕は喫茶店に行った。映画マニアの彼女の感想は「きれいにまとめ過ぎている。」、「何度も見る映画ではないが、1度は見るべき映画だ。」というもので、その点は僕も同じだった。黒人差別、女性差別の実態はもっと過酷で嫌悪感や憎悪をかき立てるものだったはず。でもこの映画では差別を受けるシーンはあるものの、黒人女性用のトイレがないためにトイレの場所まで800メートル走る滑稽なシーンを何度も見せたり、白人職員からの嫌味は控えめに描かれていた。
確かに「きれいにまとめ過ぎていた」と思うが、帰宅してから、それはアメリカで上映されるからだと気がついた。現代でもアメリカには人種差別が根強く残っている。人種差別に対しては日本人よりアメリカ人のほうが過敏に反応するのだろう。実際におきていた差別の過激さを映像として見せて観客を刺激するのを避けたからに違いないと僕は思うのだ。
あと友達は、出演した俳優について僕に説明してくれた。僕のほうは、この記事に書いたことの一部を話したのと、映画に出てきた数学、物理学に関連する箇所を手短かに説明させていただいた。そして、少しでも数学に興味を持ってもらえたらと思って、発売されたばかりの「Newtonライト『微積のきほん』」と「数学の世界 増補第2版」をプレゼントした。
彼女がお気に入りの批評家による紹介記事は、このページで読めるそうだ。
町山智浩『ヒドゥン・フィギュアズ(邦題:ドリーム)』を語る
http://miyearnzzlabo.com/archives/42884
この映画の雰囲気はYouTubeでご確認いただきたい。(動画を検索)
とても楽しく、リラックスして過ごすことができた。今後、別の理数系がらみの映画が上映されることになったら、またご一緒させていただきたいと思った。
原作本の紹介、感想記事は、もっと掘り下げた形で近いうちに書かせていただこう。
関連記事:
FORTRAN入門、COBOL入門
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d4eefc13ed6f252102b8a9ee6ebdcea9
発売情報: 惑星探査機の軌道計算入門: 半揚稔雄
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a3aba0b87bff8a8ae54fb37ad1b04504
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楽しみにしていた映画をようやく観ることができた。アメリカの初期の宇宙開発を「計算手」として支えた、黒人女性数学者たちの伝記作品である。原題は「Hidden Figures」、陰で支えた人たちという意味合いだ。
映画『ドリーム』オフィシャルサイト - 20世紀フォックス
http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/
映画を待ちきれずに、原作本「ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち」(Kindle版)を読み終えてしまっていたので、どのような映画かは知っていた。文庫本で460ページもある内容を、どのようにして2時間の映画にまとめたのか気になっていた。原作本の感想は後日、別記事として書くことにしよう。
待ち合わせ
映画マニアの友達と日比谷で待ち合わせる。午後3時半からの回にちょうどよいタイミングで間に合った。
上映開始
スクリーンを前にして後方左側に着席。CMや注意事項の映像をしばらく見てから本編が始まった。
冒頭のシーンは1926年。メガネをかけた黒人の女の子が教室で数学の問題を解いて解説している。彼女が解いてみせたのは高校1年レベルの代数方程式だ。その後、彼女はあまりにも優秀なので飛び級をすることが紹介された。
そして舞台はいきなり1961年に切り替わる。30代以上の黒人女性3人が勤務先のNASAのラングレー研究所に車で出勤中、エンストを起こして困っている。
ああ、そうなのか。映画では原作本の前半が丸ごとカットされている。ドロシー、キャサリン、メアリーの3人が計算手として最初に勤務したのはNASAの前身のNACA(アメリカ航空諮問委員会)だったからだ。
職場で彼女たちが受けた黒人差別、女性差別の多くは、原作本ではNACA勤務の頃のこととして書かれており、それをNASA勤務になってからのこととして描いていた。もちろんNASAになってからもそのような差別は続いていたが、NACAの頃よりは改善していたのだ。
黒人であり女性でもある彼女たちが、このような国家プロジェクトに参加できたのは、数学の知識のおかげである。宇宙開発プロジェクトを進めるためには、先日「惑星探査機の軌道計算入門: 半揚稔雄」で紹介したような軌道計算だけでなく、空気流体力学など幅広い物理理論の知識と、問題を解くための数学力、とりわけ映画では解析幾何学として紹介される微積分、微分方程式の知識が必要になるからだ。
さらに、彼女たちに要求されたのはこのような高度な方程式を実際の数値として得るための計算力である。計算は電気モーターで駆動する機械式計算機を数多くの計算手が分担して行っていた。彼女たちが計算手として大きな役割を果たしていたのはNACA勤務の頃なのである。
映画では機械式計算機も映されていた。FRIEDEN社製の計算機である。僕が持っているような手回し式の「タイガー計算機」ではない。
数学が苦手な方のためにおことわりしておくが、物理学の方程式はどんなに高度なものでも、最終的には数字を加減乗除して計算すれば答を求めることができるのだ。ただし、計算量は気が遠くなるほど膨大なものになる。
そして、ソ連が有人宇宙飛行をアメリカに先んじて成功させてしまう。東西冷戦はピークに達していて、米ソが互いに核による攻撃を警戒していた時代だ。宇宙開発のための技術は軍事技術に直結している。NASAは大きなプレッシャーを受けながら開発を急ぐことを余儀なくされる。
研究所の外の社会では、黒人差別がまかり通っている。けれどもNASAの内部では、彼女たちの才能と実力が徐々に認められ、白人のスタッフと一緒に働くことができるようになっていった。その背景にはプロジェクトを急いで進めるために、優秀な者なら人種や性別を問わず起用しなければならないという事情があったのだ。
無人宇宙飛行を成功させ、有人宇宙飛行を目指す段階になって、NASAには強力な道具が導入される。IBMのメインフレーム・コンピュータだ。映画で紹介されたのはIBM 7090。1秒間に2万4千回の掛け算ができるコンピュータとして紹介された。トランジスタ回路により構成されたマシンである。
ドロシーはこのコンピュータを使うために、図書館から持ち出したFORTRANの教科書を独学していた。
しかし、原作本にはこのプロジェクトのためにNASAに最初に導入されたのは、IBM 704という真空管式、5年前のコンピュータだと書かれている。実際にドロシーがFORTRANを使い始めたのは旧型のコンピュータだったのだ。映画を2時間に圧縮するためにIBM 704は省略されてしまった。
FORTRANやIBM 704、IBM 7090については、先日「FORTRAN入門、COBOL入門」という記事で実際のコンピュータの動画を含めて解説したので、ぜひお読みになっていただきたい。また次のページも参考になる。
NASAの宇宙計画とIBM〜映画『ドリーム』
https://www.ibm.com/blogs/systems/jp-ja/nasa_ibm/
技術の発展は新しい道具を生み、その道具を使いこなすために新しいスキルを身に着ける必要がある。それは現代でも同じことだ。
初の有人宇宙飛行、マーキュリー計画に導入されたIBMのコンピュータを使いこなすためには、FORTRANでプログラミングできるようなることが求められた。数学者、計算手として採用された多くの黒人女性たちがNASAで勤務し続けるには、プログラマーになることが必須条件になったのだ。適応できない者は退職させられることになる。
プログラマー以外にも生き残れるキャリアがあった。それは技術者になることだ。数学者からエンジニアへの転身である。これを成し遂げたのがメアリーだった。そのために彼女は上級の学校で授業を受けるという黒人女性では前例のない試練を乗り越えていた。
極端までに合理的なアメリカ流の労働環境を垣間見ることになった。物であれ人であれ、不要になったものは次々と新しい物や人に置き換えていく。映画や原作本には描かれていないが、ドロップアウトした黒人女性、そして白人の職員は数多くいたことだろう。勝ち残った人たちだけに与えられるから「ドリーム」なのだ。
原作本と映画の違い
原作本と映画でいちばん違うところは2つある。ひとつは映画に要求される娯楽性、もうひとつは「会話と報告」の違いである。
原作本には登場人物が交わす会話はまったく書かれていない。著者が実在の登場人物にインタビューして、それを報告、解説として紹介するスタイルをとっている。だから読者はハラハラしたり、ドキドキしたりすることがない。
これをそのまま映像にしたのでは、娯楽性が全くないドキュメンタリー映画になってしまう。映画にはナレーションによる解説はなく、すべて登場人物たちの演技と会話で成り立っている。そして、原作本にはない滑稽なシーン、ハラハラさせられるシーン、じんわりと感動するシーンなどを付け足していた。実際、僕の友達の隣の席で見ていた中年女性は、何度も鼻をズルズルすすって泣いていたそうだ。物理や数学がわからない人でも、ヒューマンドラマとして楽しめる要素がふんだんに盛り込まれている。
原作本には感動して泣くような箇所はひとつもないのだ。しかし、マーキュリー計画でロケットが打ち上げられてからの記述はかなりワクワクするので、本にはまた違う喜びがある。
設置したばかりのIBM 7090が起動せず、IBMの技術者が頭をひねっている間抜けなシーンも映画にだけ描かれていたことだ。研究所の責任者から「コンピュータが動かなければ、君たちは無給だ。」と叱責をくらう。彼らが出払ったあとドロシーが一人でコンピュータ室に入り、配線を1か所つなぎ変えてコンピュータは動き出した。実際にそんなことはなかっただろうから、映画を楽しく見れるように創作した逸話なのだと思う。
もうひとつの「Hidden Figures」
映画を見終わってから、もうひとつの「Hidden Figures」があっただろうなと僕は思った。それはソビエト連邦にいたはずの計算手たちのことである。
「スプートニク計画」で有人宇宙飛行を成し遂げるためにも、膨大な計算が行われていたはずだし、コンピュータだって使われていたはずだ。実際にどのような人たちが関わっていたか、どのようなコンピュータが使われていたかは、僕を含めほとんどの人が知らないと思う。
検索してみたところ、次のようなページが見つかった
BESM:1950年代から60年代に作られたソビエト連邦のメインフレーム・コンピュータの名称
https://ja.wikipedia.org/wiki/BESM
ソ連の宇宙開発で使われていたプログラミング言語は?
https://tech.a-listers.jp/2012/06/07/what-software-programming-languages-were-used-by-the-soviet-unions-space-program/
ソ連のコンピュータと裏切りの歴史
https://jp.rbth.com/science/2014/10/03/50475
映画館を後にして
映画館を出て、友達と僕は喫茶店に行った。映画マニアの彼女の感想は「きれいにまとめ過ぎている。」、「何度も見る映画ではないが、1度は見るべき映画だ。」というもので、その点は僕も同じだった。黒人差別、女性差別の実態はもっと過酷で嫌悪感や憎悪をかき立てるものだったはず。でもこの映画では差別を受けるシーンはあるものの、黒人女性用のトイレがないためにトイレの場所まで800メートル走る滑稽なシーンを何度も見せたり、白人職員からの嫌味は控えめに描かれていた。
確かに「きれいにまとめ過ぎていた」と思うが、帰宅してから、それはアメリカで上映されるからだと気がついた。現代でもアメリカには人種差別が根強く残っている。人種差別に対しては日本人よりアメリカ人のほうが過敏に反応するのだろう。実際におきていた差別の過激さを映像として見せて観客を刺激するのを避けたからに違いないと僕は思うのだ。
あと友達は、出演した俳優について僕に説明してくれた。僕のほうは、この記事に書いたことの一部を話したのと、映画に出てきた数学、物理学に関連する箇所を手短かに説明させていただいた。そして、少しでも数学に興味を持ってもらえたらと思って、発売されたばかりの「Newtonライト『微積のきほん』」と「数学の世界 増補第2版」をプレゼントした。
彼女がお気に入りの批評家による紹介記事は、このページで読めるそうだ。
町山智浩『ヒドゥン・フィギュアズ(邦題:ドリーム)』を語る
http://miyearnzzlabo.com/archives/42884
この映画の雰囲気はYouTubeでご確認いただきたい。(動画を検索)
とても楽しく、リラックスして過ごすことができた。今後、別の理数系がらみの映画が上映されることになったら、またご一緒させていただきたいと思った。
原作本の紹介、感想記事は、もっと掘り下げた形で近いうちに書かせていただこう。
関連記事:
FORTRAN入門、COBOL入門
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d4eefc13ed6f252102b8a9ee6ebdcea9
発売情報: 惑星探査機の軌道計算入門: 半揚稔雄
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a3aba0b87bff8a8ae54fb37ad1b04504
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