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【ワシントン共同】米国の重力波望遠鏡「LIGO(ライゴ)」と、欧州の重力波望遠鏡「VIRGO(バーゴ)」のチームは共同で、時空が揺れる重力波を検出したと27日、発表した。欧州の望遠鏡での重力波観測は初めて。重力波の検出は通算では4度目。
米南部ルイジアナ州と西部ワシントン州にあるLIGOの2台の望遠鏡に加え、イタリア・ピサ近郊で今年稼働したVIRGOの望遠鏡が8月14日に重力波の信号を検出した。3台で観測することで、重力波の発生場所がより正確に分かるようになり、今回はLIGOの2台だけの場合に比べ、発生領域を10分の1ほどに絞り込めたという。
昨夜の発表は、重力波天文学が現実のものになりつつあること、そのためには国際協力が必要であることを、まざまざと感じさせた。ノーベル物理学賞の発表を来週火曜日に控え、すばらしいプレゼントである。記録として記事に残しておこう。
まずは、昨夜の発表をご覧いただきたい。
Update on Gravitational Wave Science from the LIGO-Virgo Scientific Collaborations
Gravitational waves from a binary black hole merger observed by LIGO and Virgo
https://www.ligo.caltech.edu/news/ligo20170927
論文はこちら:
https://tds.virgo-gw.eu/GW170814
https://journals.aps.org/prl/accepted/69074Y64W381ce5618c199a889597e6e32e431e9e
Advanced Virgo
今回の観測では、LIGOだけによる観測にVirgoの観測が加わったことで、発生領域が10分の1ほどに狭まったことがわかる。画像はクリックで拡大。
今回は4例目の重力波観測となるが、3回までのLIGOだけの観測では発生領域が絞り込まれていないことがわかる。帯状に広がっている領域のどこかが発生領域なのだ。
重力波の関連では我妻一博先生(@Agachuma)のツイートがとても詳しい。ぜひお読みになっていただきたい。昨夜の発表に対しては次のように投稿されている。
(1) 2017年8月14日にLIGO(2台)とVirgoが同時観測
(2) 雑音の偶然一致確率(FAR: BH合体モデル)は約2.7万年に1回
(3) SNRは全体で18(各々はL_H:7.3, L_L:13.7, V:4.4)
(4) 31太陽質量と25太陽質量のBHが合体して53太陽質量のBHが生成、差分の3太陽質量分が重力波に
(5) 合体イベントの距離は540Mpc(z=0.11):18億光年
(6) FAR(モデル無し)はLIGOだけで300年に一回、Virgoが加わり5700年に一回に改善
(7) Virgoで不明雑音(1分間に2回程度ある)が検出の50ms後をかすめたが幸い影響なし
(8) 重力波の飛来方向同定範囲はLIGOだけで1160 deg^2、Virgoが加わることで60 deg^2に大幅改善
(9) 重力波源までの距離決定精度もVirgoが加り改善
(10) 解析された重力波の偏波は、一般相対論から予想されるテンソルに一致(純粋なベクトルやスカラーである可能性は低い)
関連記事:
重力波の直接観測に成功!(2016年2月)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a8439e8e4d81d7873422737d7bd1640d
2回目の重力波観測の発表で公開されたスライド(2016年6月)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/088e0cb4e3661cdb4555015be7b6df22
中性子星の合体による重力波観測か?(LIGOとVirgo)(2017年8月)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/82784e11bf2c22d96e8ad27ad0b0393a
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【ワシントン共同】米国の重力波望遠鏡「LIGO(ライゴ)」と、欧州の重力波望遠鏡「VIRGO(バーゴ)」のチームは共同で、時空が揺れる重力波を検出したと27日、発表した。欧州の望遠鏡での重力波観測は初めて。重力波の検出は通算では4度目。
米南部ルイジアナ州と西部ワシントン州にあるLIGOの2台の望遠鏡に加え、イタリア・ピサ近郊で今年稼働したVIRGOの望遠鏡が8月14日に重力波の信号を検出した。3台で観測することで、重力波の発生場所がより正確に分かるようになり、今回はLIGOの2台だけの場合に比べ、発生領域を10分の1ほどに絞り込めたという。
昨夜の発表は、重力波天文学が現実のものになりつつあること、そのためには国際協力が必要であることを、まざまざと感じさせた。ノーベル物理学賞の発表を来週火曜日に控え、すばらしいプレゼントである。記録として記事に残しておこう。
まずは、昨夜の発表をご覧いただきたい。
Update on Gravitational Wave Science from the LIGO-Virgo Scientific Collaborations
Gravitational waves from a binary black hole merger observed by LIGO and Virgo
https://www.ligo.caltech.edu/news/ligo20170927
論文はこちら:
https://tds.virgo-gw.eu/GW170814
https://journals.aps.org/prl/accepted/69074Y64W381ce5618c199a889597e6e32e431e9e
Advanced Virgo
今回の観測では、LIGOだけによる観測にVirgoの観測が加わったことで、発生領域が10分の1ほどに狭まったことがわかる。画像はクリックで拡大。
今回は4例目の重力波観測となるが、3回までのLIGOだけの観測では発生領域が絞り込まれていないことがわかる。帯状に広がっている領域のどこかが発生領域なのだ。
重力波の関連では我妻一博先生(@Agachuma)のツイートがとても詳しい。ぜひお読みになっていただきたい。昨夜の発表に対しては次のように投稿されている。
(1) 2017年8月14日にLIGO(2台)とVirgoが同時観測
(2) 雑音の偶然一致確率(FAR: BH合体モデル)は約2.7万年に1回
(3) SNRは全体で18(各々はL_H:7.3, L_L:13.7, V:4.4)
(4) 31太陽質量と25太陽質量のBHが合体して53太陽質量のBHが生成、差分の3太陽質量分が重力波に
(5) 合体イベントの距離は540Mpc(z=0.11):18億光年
(6) FAR(モデル無し)はLIGOだけで300年に一回、Virgoが加わり5700年に一回に改善
(7) Virgoで不明雑音(1分間に2回程度ある)が検出の50ms後をかすめたが幸い影響なし
(8) 重力波の飛来方向同定範囲はLIGOだけで1160 deg^2、Virgoが加わることで60 deg^2に大幅改善
(9) 重力波源までの距離決定精度もVirgoが加り改善
(10) 解析された重力波の偏波は、一般相対論から予想されるテンソルに一致(純粋なベクトルやスカラーである可能性は低い)
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重力波の直接観測に成功!(2016年2月)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a8439e8e4d81d7873422737d7bd1640d
2回目の重力波観測の発表で公開されたスライド(2016年6月)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/088e0cb4e3661cdb4555015be7b6df22
中性子星の合体による重力波観測か?(LIGOとVirgo)(2017年8月)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/82784e11bf2c22d96e8ad27ad0b0393a
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