「ラッシュライフ (新潮文庫): 伊坂 幸太郎」(Kindle版)
内容紹介:
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
単行本は2002年刊行、文庫版は2005年刊行、469ページ。
著者について:
伊坂幸太郎(いさかこうたろう): HP: http://isakakotaro.corkagency.com/
1971(昭和46)年千葉県生れ。’95(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。’02年刊行の『ラッシュライフ』が各紙誌で絶賛され、好評を博す。’03年に発表した『重力ピエロ』は、ミステリファン以外の読者からも喝采をもって迎えられ、一気に読者層を広げた。また『重力ピエロ』で、七〇年代生れとしては、初の直木賞の候補となる。’04年に『チルドレン』、’05年には『グラスホッパー』が直木賞候補に。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。洒脱なユーモアと緻密な構成で読む者を唸らせ、近年希にみる資質の持ち主として注目を浴びている。
自分より若い世代の作家の小説も読んでみようと、通勤電車での読書に選んだのが本書である。人気作家らしいので期待して読み始めた。文庫で470ページほどある。
ところが50ページほど進んだところで「あ、こりゃだめだ。」と気が付いた。内容がとても薄っぺらい。ミステリー性がないし、ぐいぐい惹き付けられることもない。「群像劇」と呼ぶそうだが複数のストーリーが並行して進み、特定の主人公を設けず登場人物がすべて主人公というスタイル。最後のほうでストーリーのうちいくつかが交差するのだが、何のために交差させているのかわからない。リストラされた中年男が拳銃を持っていたり、マンションで泥棒と泥棒が鉢合わせし、その2人が同級生だったとか、無理して作り上げた「偶然」や「予想外の出来事」がわざとらしく感じられてしまう。
あと、人物に対する見方や描写が通り一遍で、浅過ぎる。リストラ男は文字通りイメージどおりだし、サッカー選手は予想を裏切らず馬鹿で単細胞な男として描かれている。著者は日ごろから周囲の人や他人を表面的にしか見ていないのだと思えてしまう。
そして作品を書くための取材や調査、参考文献の読み込みがほとんど行われていないことがよくわかる。絵画といえば「エッシャーの絵」だけだし、駅の階段はそのまま「駅の階段」である。事前に調査をしないから物事に対するディテールがほとんど書かれていないのだ。頭の中だけでこねくり回して作り上げた「お手軽小説」、「即席ラーメン小説」だと思った。
本書は著者が31歳のときに書いた作品だ。ファンも多いようだが、僕が高校時代に読んだ小説にくらべてはるかに見劣りがした。たまたま読んだ現代作家の1冊で全体を判断してはいけないと思うが、昭和や平成の前半に活躍した小説家やミステリー作家のほうが、(同年代に書かれた作品であっても)技量と気迫、準備にかけるエネルギーにおいて比較にならないほど優れているし、読み応えがあるという感を強く持った。
著者の人生経験の浅さと視野の狭さを露呈してしまった小説である。
この作品を気に入っている方が多いので、個人的な感想として紹介させていただいた。
なお、本書は映画化され「ラッシュライフ [DVD]」として見ることができるが、本書のファンさえも駄作だと言い切るほど残念な作品に仕上がってしまったようだ。
若いといっても著者は現在46歳。最近の本の評判はどうだろう?とアマゾンのレビューを読んでみたが、どれもイマイチである。
「ラッシュライフ (新潮文庫): 伊坂 幸太郎」(Kindle版)
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泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
単行本は2002年刊行、文庫版は2005年刊行、469ページ。
著者について:
伊坂幸太郎(いさかこうたろう): HP: http://isakakotaro.corkagency.com/
1971(昭和46)年千葉県生れ。’95(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。’02年刊行の『ラッシュライフ』が各紙誌で絶賛され、好評を博す。’03年に発表した『重力ピエロ』は、ミステリファン以外の読者からも喝采をもって迎えられ、一気に読者層を広げた。また『重力ピエロ』で、七〇年代生れとしては、初の直木賞の候補となる。’04年に『チルドレン』、’05年には『グラスホッパー』が直木賞候補に。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。洒脱なユーモアと緻密な構成で読む者を唸らせ、近年希にみる資質の持ち主として注目を浴びている。
自分より若い世代の作家の小説も読んでみようと、通勤電車での読書に選んだのが本書である。人気作家らしいので期待して読み始めた。文庫で470ページほどある。
ところが50ページほど進んだところで「あ、こりゃだめだ。」と気が付いた。内容がとても薄っぺらい。ミステリー性がないし、ぐいぐい惹き付けられることもない。「群像劇」と呼ぶそうだが複数のストーリーが並行して進み、特定の主人公を設けず登場人物がすべて主人公というスタイル。最後のほうでストーリーのうちいくつかが交差するのだが、何のために交差させているのかわからない。リストラされた中年男が拳銃を持っていたり、マンションで泥棒と泥棒が鉢合わせし、その2人が同級生だったとか、無理して作り上げた「偶然」や「予想外の出来事」がわざとらしく感じられてしまう。
あと、人物に対する見方や描写が通り一遍で、浅過ぎる。リストラ男は文字通りイメージどおりだし、サッカー選手は予想を裏切らず馬鹿で単細胞な男として描かれている。著者は日ごろから周囲の人や他人を表面的にしか見ていないのだと思えてしまう。
そして作品を書くための取材や調査、参考文献の読み込みがほとんど行われていないことがよくわかる。絵画といえば「エッシャーの絵」だけだし、駅の階段はそのまま「駅の階段」である。事前に調査をしないから物事に対するディテールがほとんど書かれていないのだ。頭の中だけでこねくり回して作り上げた「お手軽小説」、「即席ラーメン小説」だと思った。
本書は著者が31歳のときに書いた作品だ。ファンも多いようだが、僕が高校時代に読んだ小説にくらべてはるかに見劣りがした。たまたま読んだ現代作家の1冊で全体を判断してはいけないと思うが、昭和や平成の前半に活躍した小説家やミステリー作家のほうが、(同年代に書かれた作品であっても)技量と気迫、準備にかけるエネルギーにおいて比較にならないほど優れているし、読み応えがあるという感を強く持った。
著者の人生経験の浅さと視野の狭さを露呈してしまった小説である。
この作品を気に入っている方が多いので、個人的な感想として紹介させていただいた。
なお、本書は映画化され「ラッシュライフ [DVD]」として見ることができるが、本書のファンさえも駄作だと言い切るほど残念な作品に仕上がってしまったようだ。
若いといっても著者は現在46歳。最近の本の評判はどうだろう?とアマゾンのレビューを読んでみたが、どれもイマイチである。
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