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最新のグラフ電卓 CASIO fx-CG50 (2017)

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CASIO fx-CG50 (2017)拡大

レトロな算盤記事の次は最新型電卓の記事である。

5月に発売されたばかりの最新のグラフ電卓である。グラフ電卓は関数電卓、プログラム電卓の機能に加えグラフや表計算などビジュアルな表示機能を備えた高級電卓のこと。

fx-CG50は現時点でCASIOの最上位、フラッグシップ・モデルだ。日本では発売されていないのでアメリカ在住の友人に買ってもらい、一昨日届いたばかりだ。在庫がない状態が続いていたので注文してから友人宅に配送されるまで1カ月待つことになった。この友人には5年前、アポロ計画で司令船に搭載された小型計算尺「Pickett N600-ES」を入手するときにもお世話になっていた。

アメリカ在住だと、このページから注文することになる。

Graphing fx-CG50 PRIZM
http://www.shopcasio.com/product/graphing-fx-cg50-prizm

この電卓については今年の1月に「やすさん」が次の記事で紹介していらっしゃっていた。

楽屋裏 - カシオ グラフ関数電卓 fx-CG50 が2017年春登場
http://egadget.blog.fc2.com/blog-entry-579.html


CASIOの科学電卓は日本で販売されていないものが多い。それはおそらく日本の数学教育では電卓を使わないという状況が大きな理由だ。海外では関数電卓やグラフ電卓が積極的に数学教育で活用されている。電卓を購入してくれた友人も「この電卓、息子が学校で使っているのとよく似てる。」と言っていた。

このあたりの事情は次のページをお読みになるとよいだろう。長年、数学教育に携わってきた「数学の鉄則」シリーズで知られる「寺田文行先生」も1995年に「グラフ電卓で数学する」という本をお書きになっていた。

世界の数学教育・日本の数学教育
http://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/kosu/mathematics/sekai/nagasaki02.html


ツイッターで次のアンケートを開始した。(ここをクリックするとアンケートのツイートが開く。)




ともあれ無事届いたので記念撮影。最上位モデルの関数電卓 fx-JP900 のデザインを引き継いでいるのだ。JP900は小さい電卓ではないので、CG50はかなり大きいことがおわかりになるだろう。(写真クリックで拡大)




なお、この電卓はWindowsやMac用のエミュレータも利用可能だ。90日間は無料で使える。その後、有料になるのだが1年ライセンスは(約3300円)だ。

fx-CG Manager PLUS Subscription
https://edu.casio.com/products/classroom/fxcgm_plus/

これはエミュレータを使って作成されたfx-CG50の紹介動画だ。実機の紹介動画はこちらでご覧いただける。



操作ガイドは簡単なクイックガイドが付属しているだけなので、ネット上から詳しいことが書かれたPDFファイルをダウンロードする。またプログラミングについては「やすさん」がお書きになっている「e-Gadget - プログラム関数電卓」がいちばん詳しい。

製品マニュアルは英語なのだが、fx-CG50は日本でも販売されているfx-CG20の後継機種であるから日本語で読みたいときはCG20のを読めばよいわけである。CG50はCG20からCPUクロックが2倍になってメモリが4倍に増え、ソフト面ではCG20とほとんど同じである。CG50の英語マニュアルやCG20の日本語マニュアルは次のページからダウンロードできる。

CASIO電卓のマニュアルのダウンロード・ページ
http://world.casio.com/manual/calc/


表示する言語は英語のほか主なヨーロッパ言語、中国語から選べる。日本で発売されるかどうかは未定だが、発売されるとしても来年春以降であろう。そうなれば日本語も選べるようになるはずだ。


さて、fx-202P (1976)のときと同じ定積分の問題を同じアルゴリズムで計算させてみよう。長方形近似を使ってこの計算を行うわけだ。



この面積を求めるわけである。



現時点で最新、最上位モデルの関数電卓 fx-JP900 だとあっという間に高精度の答が表示される。




fx-CG50 (2017)での計算

プログラムはfx-71Fやfx-5800Pと同じ。言語はCasio Basicだ不必要な演算が一部含まれているが fx-202P でのプログラムと同じにするためなので気にしないでほしい。今回は電卓から直接入力したが、パソコンで入力して電卓に転送することも可能だ。



Casio Basicを学んでみたい方はブログ仲間の「やすさん」がお書きになっている「Casio Basic入門 -目次-」を参照されるとよい。電卓に付属しているマニュアルよりもはるかに詳しく解説されている。

このプログラムのコロン「:」の箇所を改行に置き換えて計算を行なっている。コロンもサポートされているが1つのコマンドとして解釈されるので改行を使ったほうが速度向上が見込めるそうだ。このことは「やすさん」からコメント欄を通じて教えていただいた。

計算結果



ループ1回につき9ミリ秒。fx-202Pよりも計算時間が378.3分の1、fx-5800Pよりも16.7分の1に短縮されている。

そして三角関数 sin と cos の箇所をスキップし、10000回の分割で計算すると52秒で終了した。つまり全計算のうち三角関数の計算が占めていた割合は43.4パーセント。

三角関数1回の計算にかかる時間は2ミリ秒ということになる。三角関数についてだけ言えばfx-202Pよりも計算時間が712.7分の1、fx-5800Pより22.4分の1に短縮されている。

なお、電卓についていろいろ教えていいただいているsentaroさんによると、fx-CG50のエミュレータでは1000回の分割に対しての計算時間は3.5秒ということだった。一般的に電卓の実機よりもパソコン上で動くエミュレータのほうが計算速度が速いそうである。


まとめ

fx-202Pの計算速度を1とし、各機種の速度改善を率(倍数)であらわすと次のようになった。いちばん下の2つはスマートフォンアプリである。




所有している電卓や電卓アプリ、エミュレータなどはこれまでにたくさん記事を書いているので、興味のある方は「iPhone、携帯、電卓」というカテゴリーからお読みいただきたい。


関連記事:

日本初のプログラム関数電卓: CASIO fx-201P (1976)、fx-202P (1976)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/55c4832a2ca95087960c2ec0e532b1e6

世界初の手帳型プログラム関数電卓 CASIO fx-502P (1979)、fx-602P (1981)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fdc21158802ddaef862956805b0195f2

現行のプログラム関数電卓 CASIO fx-71F (2006)、fx-5800P (2006)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/745d3cb41a88d8fd317bb6488ccf695c


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