左:CASIO fx-201P (1976), 右:fx-202P (1976)拡大
待ちに待ったfx-202P (1976)。ようやく落札することができた。fx-201P (1976)のほうは数年前に入手していたので、これで2つとも揃った。仲良く記念撮影。
何がポイントかというと「日本初のプログラム関数電卓」ということなのだ。これ以前にもプログラム電卓は出てはいたが関数付きではなかった。
201Pは電源を切ると自分で入力したプログラムは消えてしまう。202Pのほうはプログラム保護回路が入っているので消えない。
「世界初」、「日本初」といってもいろいろある。関数電卓、プログラム電卓について年代順にはこのようになる。
世界初の卓上プログラム電卓 CASIO AL-1000 (1967): 価格328,000円。12.3Kg。(詳細)
世界初の卓上プログラム関数電卓 HP-9100A (1968):価格5000ドル。(詳細)
世界初のポータブル関数電卓 HP-35 (1972):価格395ドル。(詳細)
日本初の卓上関数電卓 CASIO fx-1 (1972):価格32万5千円(詳細)
日本初のポータブル関数電卓 CASIO fx-10 (1974):価格24,800円。(詳細)
日本初のポータブル・プログラム関数電卓 CASIO PRO-101 (1976), CASIO fx-201P (1976), fx-202P (1976), CASIO PRO fx-1 (1976)
世界初の手帳型プログラム関数電卓 CASIO fx-501P (1979), fx-502P (1979):(紹介記事)
日本初のポータブル・プログラム関数電卓のところに4機種書いたのは、どれも同じ年に発売されたからだ。順番はこのページの次の写真を参考にした。
CASIO PRO-101 (1976):4万9800円。256ステップ。(詳細1、詳細2)
CASIO fx-201P (1976):2万9000円。127ステップ。電源を切るとプログラムも消えた。(詳細1、詳細2)
fx-202P (1976):3万9千円。fx-201Pにプログラム保護回路を内蔵したもの。(詳細)
厳密に言えばPRO-101が日本初なのだろうけど、これら4機種は同じ年に発売されたのでどれも日本発と言ってよいだろう。PRO-101は「プロフェッショナル」ではなく「プロトタイプ」なのかもしれないと僕は思っている。
サイズはこれくらい。
同じ年に発売されたfx-19 (1976)はプログラミング機能がない関数電卓だ。以前「70年代の関数電卓:CASIO fx-10 (1974)、fx-15 (1975)、fx-19 (1976)」という記事から動画付きで紹介している。この電卓はその後、近所に住んでいる知人に譲ってしまったのだが、写真を撮るために借りてきた。以下、写真をクリックすると拡大する。
デザインがよく似ていて左がfx-19だ。2の平方根を計算するとどちらも瞬時に表示される。有効桁数に違いがあるのがわかる。
次に2の立方根。どちらも0.5秒くらいで表示されるが有効桁数は8桁。指数・対数、べき乗関数の計算速度、有効桁数は同じだった。計算回路が同じだと思われる。
三角関数とその逆関数には大きな違いが見られた。fx-19では1秒かかり、fx-201Pでは1.5秒もかかる。有効桁数はfx-201Pのほうが1桁多い。写真はsin 35°の計算結果。
せっかくなので簡単なプログラムを作って計算速度を調べてみた。操作マニュアルはネットを探しても見つからないが、幸いなことにこの電卓をお持ちの方が、次のようなページで説明してくださっているから、プログラミングも含めて必要な操作方法は学ぶことができた。
CASIOの古いプログラム関数電卓 fx-201P
http://kyoro205.blog.fc2.com/blog-entry-496.html
fx-201Pでのプログラミング (1)
http://kyoro205.blog.fc2.com/blog-entry-499.html
fx-201Pでのプログラミング (2)
http://kyoro205.blog.fc2.com/blog-entry-500.html
カシオ CASIO fx-201P 修理 奇妙なプログラム言語
http://keikato.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/auto.html
実に奇妙なプログラム方法だ。プログラム言語というより、キーを押す手順をそのまま記録するマクロのようなもの。編集モードではキーステップの挿入や削除もできず、上書きされてしまうので、修正したいときはいったん全部消してから入力しなおすのがいちばん早い。それに7セグメント表示だと、何のキーのことが表示されているのかさっぱりわからない。
とりあえずベンチマークは長方形公式を使ったこの定積分計算をfx-202Pでしてみることにした。
この面積を求めるわけである。
現時点で最新、最上位モデルの関数電卓 fx-JP900 だとあっという間に高精度の答が表示される。
メモリー割り当てとアルゴリズムはこのようにした。
この電卓の流儀でプログラムするとこのようになる。最大128ステップ組めるのだが、これだけで68ステップ使ってしまった。
実行結果が表示されたところ。(10分割で計算した例)
分割数を変えて実行した結果がこちら。正確な値は0.738642998である。
とにかく遅い。1000分割では58分もかかっている。原因は三角関数の計算に時間がかかっているためだと思われる。
sinとcosの箇所をスキップ(計算省略)して100分割で実行したところ63秒で計算が終わってしまった。計算を省略しないときが348秒だったので、全計算時間の82パーセントが三角関数に使われていることになる。
1回のループでsinとcosの計算はそれぞれ1回ずつ行われている。sinの計算1回あたりにかかる時間は1.43秒だ。fx-19と比べたときマニュアル操作で測った時間とほぼ一致した。
今回のテストはこれでおしまいにするが、プログラム関数電卓は後継機をいくつか持っているので、近いうちに同じ計算をしてその後の技術発展を確認したい。
所有している電卓や電卓アプリ、エミュレータなどはこれまでにたくさん記事を書いているので、興味のある方は「iPhone、携帯、電卓」というカテゴリーからお読みいただきたい。
ブログ執筆のはげみになりますので、1つずつ応援クリックをお願いします。
待ちに待ったfx-202P (1976)。ようやく落札することができた。fx-201P (1976)のほうは数年前に入手していたので、これで2つとも揃った。仲良く記念撮影。
何がポイントかというと「日本初のプログラム関数電卓」ということなのだ。これ以前にもプログラム電卓は出てはいたが関数付きではなかった。
201Pは電源を切ると自分で入力したプログラムは消えてしまう。202Pのほうはプログラム保護回路が入っているので消えない。
「世界初」、「日本初」といってもいろいろある。関数電卓、プログラム電卓について年代順にはこのようになる。
世界初の卓上プログラム電卓 CASIO AL-1000 (1967): 価格328,000円。12.3Kg。(詳細)
世界初の卓上プログラム関数電卓 HP-9100A (1968):価格5000ドル。(詳細)
世界初のポータブル関数電卓 HP-35 (1972):価格395ドル。(詳細)
日本初の卓上関数電卓 CASIO fx-1 (1972):価格32万5千円(詳細)
日本初のポータブル関数電卓 CASIO fx-10 (1974):価格24,800円。(詳細)
日本初のポータブル・プログラム関数電卓 CASIO PRO-101 (1976), CASIO fx-201P (1976), fx-202P (1976), CASIO PRO fx-1 (1976)
世界初の手帳型プログラム関数電卓 CASIO fx-501P (1979), fx-502P (1979):(紹介記事)
日本初のポータブル・プログラム関数電卓のところに4機種書いたのは、どれも同じ年に発売されたからだ。順番はこのページの次の写真を参考にした。
CASIO PRO-101 (1976):4万9800円。256ステップ。(詳細1、詳細2)
CASIO fx-201P (1976):2万9000円。127ステップ。電源を切るとプログラムも消えた。(詳細1、詳細2)
fx-202P (1976):3万9千円。fx-201Pにプログラム保護回路を内蔵したもの。(詳細)
厳密に言えばPRO-101が日本初なのだろうけど、これら4機種は同じ年に発売されたのでどれも日本発と言ってよいだろう。PRO-101は「プロフェッショナル」ではなく「プロトタイプ」なのかもしれないと僕は思っている。
サイズはこれくらい。
同じ年に発売されたfx-19 (1976)はプログラミング機能がない関数電卓だ。以前「70年代の関数電卓:CASIO fx-10 (1974)、fx-15 (1975)、fx-19 (1976)」という記事から動画付きで紹介している。この電卓はその後、近所に住んでいる知人に譲ってしまったのだが、写真を撮るために借りてきた。以下、写真をクリックすると拡大する。
デザインがよく似ていて左がfx-19だ。2の平方根を計算するとどちらも瞬時に表示される。有効桁数に違いがあるのがわかる。
次に2の立方根。どちらも0.5秒くらいで表示されるが有効桁数は8桁。指数・対数、べき乗関数の計算速度、有効桁数は同じだった。計算回路が同じだと思われる。
三角関数とその逆関数には大きな違いが見られた。fx-19では1秒かかり、fx-201Pでは1.5秒もかかる。有効桁数はfx-201Pのほうが1桁多い。写真はsin 35°の計算結果。
せっかくなので簡単なプログラムを作って計算速度を調べてみた。操作マニュアルはネットを探しても見つからないが、幸いなことにこの電卓をお持ちの方が、次のようなページで説明してくださっているから、プログラミングも含めて必要な操作方法は学ぶことができた。
CASIOの古いプログラム関数電卓 fx-201P
http://kyoro205.blog.fc2.com/blog-entry-496.html
fx-201Pでのプログラミング (1)
http://kyoro205.blog.fc2.com/blog-entry-499.html
fx-201Pでのプログラミング (2)
http://kyoro205.blog.fc2.com/blog-entry-500.html
カシオ CASIO fx-201P 修理 奇妙なプログラム言語
http://keikato.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/auto.html
実に奇妙なプログラム方法だ。プログラム言語というより、キーを押す手順をそのまま記録するマクロのようなもの。編集モードではキーステップの挿入や削除もできず、上書きされてしまうので、修正したいときはいったん全部消してから入力しなおすのがいちばん早い。それに7セグメント表示だと、何のキーのことが表示されているのかさっぱりわからない。
とりあえずベンチマークは長方形公式を使ったこの定積分計算をfx-202Pでしてみることにした。
この面積を求めるわけである。
現時点で最新、最上位モデルの関数電卓 fx-JP900 だとあっという間に高精度の答が表示される。
メモリー割り当てとアルゴリズムはこのようにした。
この電卓の流儀でプログラムするとこのようになる。最大128ステップ組めるのだが、これだけで68ステップ使ってしまった。
実行結果が表示されたところ。(10分割で計算した例)
分割数を変えて実行した結果がこちら。正確な値は0.738642998である。
とにかく遅い。1000分割では58分もかかっている。原因は三角関数の計算に時間がかかっているためだと思われる。
sinとcosの箇所をスキップ(計算省略)して100分割で実行したところ63秒で計算が終わってしまった。計算を省略しないときが348秒だったので、全計算時間の82パーセントが三角関数に使われていることになる。
1回のループでsinとcosの計算はそれぞれ1回ずつ行われている。sinの計算1回あたりにかかる時間は1.43秒だ。fx-19と比べたときマニュアル操作で測った時間とほぼ一致した。
今回のテストはこれでおしまいにするが、プログラム関数電卓は後継機をいくつか持っているので、近いうちに同じ計算をしてその後の技術発展を確認したい。
所有している電卓や電卓アプリ、エミュレータなどはこれまでにたくさん記事を書いているので、興味のある方は「iPhone、携帯、電卓」というカテゴリーからお読みいただきたい。
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