「宇宙に「終わり」はあるのか:吉田伸夫」(Kindle版)
内容紹介:
今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。実は「138億年」の時の流れは、宇宙にとってはほんの一瞬だ。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」に及ぶ、想像を絶する未来を有する。そんな遠大な未来に、宇宙は「終わり」を迎えるのか? 答えは本書にある。宇宙に流れる「10の100乗年」の時間を眺め、人類の時間感覚とは全く異なる壮大な視点に立つ。
2017年2月刊行、281ページ。
著者について:
吉田伸夫
1956年、三重県生まれ。東京大学理学部卒業、東京大学大学院博士課程修了。理学博士。専攻は素粒子論(量子色力学)。科学哲学や科学史をはじめ幅広い分野で研究を行っている。ホームページ「科学と技術の諸相」(http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/)を運営。著書に『明解 量子重力理論入門』『明解 量子宇宙論入門』『完全独習相対性理論』(いずれも講談社)、『宇宙に果てはあるか』『光の場、電子の海』(いずれも新潮社)、『素粒子論はなぜわかりにくいのか』(技術評論社)など多数。(著書を検索)
理数系書籍のレビュー記事は本書で327冊目。
ブルーバックスを読んでも勉強したことにならないとか厳しい意見を言う人も世の中にはいる。物理学や数学を専攻する学生に対してならまっとうな考えだと僕も思う。けれども、ブルーバックスは科学の知らない分野のことを手っ取り早く知ったり、入門用の手始めとしての1冊として重宝するのは事実である。当たりはずれがあるというのももうひとつの事実だ。
このシリーズが生まれたのは50年以上前のこと。先日通算2000冊を超えたそうでこのところ勢いづいている。無料のKindle版書籍「ブルーバックス通巻2000番小冊子 」、「ブルーバックス解説目録 2016年版」は僕もダウンロードさせていただいた。このシリーズが科学の普及に大きな貢献をしてきたことは素晴らしいと思うし、これからも続いてほしい。
手軽に読めるからつい買ってしまう。Kindle版で買えるようになってからはなおさらだ。こうして専門書(教科書)の読書が後回しになってしまうのだ。本書もそのような1冊である。
宇宙の始まりについて解説した本がほとんどの中、宇宙の終わりに着目した本は珍しい。書店で見かけて気になっていた。「宇宙が始まる前には何があったのか?: ローレンス・クラウス」では宇宙の終わりはたしか2兆年後だと書いてあったと思う。ところが本書には「10の100乗年後」のことが書かれているらしい。文字通り桁外れなスケールだ。本書で解説される宇宙の終わりは10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000年後のことなのだ。
現在の宇宙は加速的膨張を続けている。このまま進めば宇宙の物質は希薄になる一方で、やがて暗黒と静寂が訪れて終焉を迎えるはずである。研究対象としてはつまらないと思っていた。
章立てをみると次のようにただ膨張、拡散するだけではないようである。暗黒物質や暗黒エネルギーのことがほとんどわかっていないのに、これほど詳細に未来の歴史が予想できるものなのか?好奇心が掻き立てられるのはこのようなところである。
〈第I部 過去編〉
第1章 不自然で奇妙なビッグバン――始まりの瞬間
第2章 広大な空間、わずかな物質――宇宙暦10分まで
第3章 残光が宇宙に満ちる――宇宙暦100万年まで
第4章 星たちの謎めいた誕生――宇宙暦10億年まで
第5章 そして「現在」へ――宇宙暦138億年まで
〈第II部 未来編〉
第6章 銀河壮年期の終わり――宇宙暦数百億年まで
第7章 消えゆく星、残る生命――宇宙暦1兆年まで
第8章 第二の「暗黒時代」――宇宙暦100兆年まで
第9章 怪物と漂流者の宇宙――宇宙暦1垓(10^20)年まで
第10章 虚空へ飛び立つ素粒子――宇宙暦1正(10^40)年まで
第11章 ビッグウィンパーとともに――宇宙暦10^100年、それ以降
終章 不確かな未来と確かなこと――残された謎と仮説
補遺 宇宙を統べる法則
年表 宇宙「10の100乗年」全史
宇宙はこのまま膨張し続けるかもしれないし、ある時点で膨張が止まるかもしれない。また膨張が収縮に転じて、再び1点に収れんする可能性だって残っている。現代の物理ではどの予想が正しいか決着がついていないのだ。図示すると次のようになる。
物理学より天文学や宇宙論のほうが関心ごととして裾野が広いので「物理は苦手だけど宇宙のことは好き。」という一般の方は多い。そのような方がブルーバックスだからと手を出してしまうと思いのほか難しいと感じるはずだ。数式が書かれていなくても本書は一定水準以上の読者を対象にしている。
ハードルが高めなのは、本書で解説される宇宙の未来の予測は物理学で裏付けられた事実をもとにしているからだ。相対論から量子物理学まで、現代物理学の知識が総動員される。とりあえず読み始めたけど難しいと思う方は、次のような本で前提知識を仕入れたほうがよい。
- 「宇宙が始まる前には何があったのか?: ローレンス・クラウス」
- 「重力とは何か:大栗博司」
- 「強い力と弱い力:大栗博司」
そしてさらに欲を言えば、著者の吉田先生がお書きになった2冊も(必須ではないが)本書の理解を助けることだろう。特にこの2冊は「中級レベルの科学教養書」としてお勧めしたいものだ。
- 「光の場、電子の海―量子場理論への道:吉田伸夫」
- 「素粒子論はなぜわかりにくいのか:吉田伸夫」
同じテーマで僕が本を書いたらどうなるだろう?現在のことまではこれまでに読んだ本の知識を使って何とか書けるかもしれない。しかし、未来についてはほとんど書くことができないだろう。吉田先生は未来の宇宙の様子を第6章から終章まで、尻すぼみさせることなく、前半と同じ「濃さと分量」で書き上げ、読者の興味をぐいぐいと引っ張ることに成功している。さすがだ。
これまでも吉田先生の著書は3冊読ませていただいたがどれにも感銘させられていた。「吉田先生の本だから読みたい」と思ったのが本書に手を出したもうひとつの理由だ。そして今回も期待は裏切られなかった。
宇宙は膨張するにつれて、銀河や星々、星間物質、原子、素粒子は減っていき、やがて消滅する。情報を蓄えるのは物質だから、(このブログ記事も含めて)人類が生きた痕跡はあとかたもなくなく消えてしまう。
何がどのような順番で宇宙という舞台から消え去っていくのだろうか?そして残された何もない空間で最後の主役を演じるのは何であろうか?それがブラックホールなのだ。
ブラックホールのエントロピーやホーキング放射の解説をしながら、最後の主役がどのように消えていくのか?量子重力理論や量子情報理論など、現在研究されている最先端の物理学が宇宙の幕引きの様子を解き明かしてくれる。
ぜひ一読することをお勧めしたい。
なお、吉田先生はすでに次の本をお書きになっている。4月13日発売予定。きっとこちらも素晴らしい本に違いない。
「量子論はなぜわかりにくいのか 「粒子と波動の二重性」の謎を解く (知の扉) 」
関連記事:
光の場、電子の海―量子場理論への道:吉田伸夫
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea4bc17a6b2c98c1073039d868223f02
素粒子論はなぜわかりにくいのか:吉田伸夫
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bcbaebb9f2a77b1bd63e3928f6bd6e9f
明解量子重力理論入門:吉田伸夫
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e0ab2fd9fafe3568c24ed358dd4ea92c
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「宇宙に「終わり」はあるのか:吉田伸夫」(Kindle版)
はじめに――なぜ「今」なのか?
本書で扱う数値に関する用語
2ページで語る宇宙全史
〈第I部 過去編〉
第1章 不自然で奇妙なビッグバン――始まりの瞬間【ビッグバン時代】
- 宇宙の始まりを科学する試み
- 第1の不自然さ――高度な一様性
- 一様性が不自然な理由
- 第2の不自然さ――異常な高温
- 第3の不自然さ――膨張の開始
- ビッグバンとは何だったか?
- 加速膨張するだけの宇宙
- マザーユニバースから生まれる宇宙――インフレーションとインフラトン場
- 暗黒エネルギー仮説の問題点
- ビッグバンの前には何があったのか?
第2章 広大な空間、わずかな物質――宇宙暦10分まで【物質生成時代】
- 場が物質を生み出す
- 消える素粒子、残る素粒子
- 物質の構成
- 元素はいかにして合成されたか?
- 安定性と多様性の起源
第3章 残光が宇宙に満ちる――宇宙暦100万年まで【第一次暗黒時代】
- 宇宙の晴れ上がり
- 背景放射の観測史
- 終止符を打たれた定常宇宙論
- 背景放射から何がわかるか?
- 天体からの背景放射
- 揺らぎと凝集の開始
第4章 星たちの謎めいた誕生――宇宙暦10億年まで【恒星誕生時代】
- 暗黒時代の終わり
- 最初の星の誕生
- 最初の星の最期
- 宇宙の再電離
- ライマンα線が明かす宇宙の姿
- 宇宙の再電離を進めたのは何か
第5章 そして「現在」へ――宇宙暦138億年まで【天体系形成時代】
- 重力による円盤の形成
- 原始惑星系円盤
- 海の誕生
- 化学進化の可能性
- 化学進化が起きる熱力学的な条件
- 化学進化とエントロピー
- 生物に宇宙が必要なわけ
〈第II部 未来編〉
第6章 銀河壮年期の終わり――宇宙暦数百億年まで【銀河壮年時代】
- 密集する銀河
- 形態による銀河の分類
- 遠方銀河に見られる特徴
- 銀河の成長と老化
- 天の川銀河の過去と未来
- なぜ100億年か?
第7章 消えゆく星、残る生命――宇宙暦1兆年まで【赤色矮星残存時代】
- 死に絶える星、生き残る星
- 星のエネルギー源
- 巨星化と恒星の死
- 小さな星の長い生涯
- 赤色矮星は生命をはぐくむか?
- 宇宙における生命の終焉
第8章 第二の「暗黒時代」――宇宙暦100兆年まで【第二次暗黒時代】
- 加速膨張の発見
- 暗黒エネルギーと宇宙の運命
- 孤立する銀河
- 宇宙の歴史が消える
- 暗黒時代再び
第9章 怪物と漂流者の宇宙――宇宙暦1垓(10^20)年まで【銀河崩壊時代】
- ブラックホールとな何か?
- 大質量星の最期
- 銀河中心のブラックホール
- 銀河とブラックホールの共進化
- 銀河の終焉
第10章 虚空へ飛び立つ素粒子――宇宙暦1正(10^40)年まで【物質消滅時代】
- 漂流天体を構成する物質
- 物質と反物質
- 反粒子はなぜ少なかったのか?
- 消えゆく物質
- 漂流天体の最期
第11章 ビッグウィンパーとともに――宇宙暦10^100年、それ以降【ビッグウィンパー時代】
- 「宇宙の熱死」とは?
- 重力と温度
- ブラックホールの熱力学
- ブラックホールは蒸発する
- ビッグウィンパー
終章 不確かな未来と確かなこと――残された謎と仮説
補遺 宇宙を統べる法則
(1) 宇宙空間が膨張する
(2) 凝集と拡散が進行する
年表 宇宙「10の100乗年」全史
内容紹介:
今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。実は「138億年」の時の流れは、宇宙にとってはほんの一瞬だ。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」に及ぶ、想像を絶する未来を有する。そんな遠大な未来に、宇宙は「終わり」を迎えるのか? 答えは本書にある。宇宙に流れる「10の100乗年」の時間を眺め、人類の時間感覚とは全く異なる壮大な視点に立つ。
2017年2月刊行、281ページ。
著者について:
吉田伸夫
1956年、三重県生まれ。東京大学理学部卒業、東京大学大学院博士課程修了。理学博士。専攻は素粒子論(量子色力学)。科学哲学や科学史をはじめ幅広い分野で研究を行っている。ホームページ「科学と技術の諸相」(http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/)を運営。著書に『明解 量子重力理論入門』『明解 量子宇宙論入門』『完全独習相対性理論』(いずれも講談社)、『宇宙に果てはあるか』『光の場、電子の海』(いずれも新潮社)、『素粒子論はなぜわかりにくいのか』(技術評論社)など多数。(著書を検索)
理数系書籍のレビュー記事は本書で327冊目。
ブルーバックスを読んでも勉強したことにならないとか厳しい意見を言う人も世の中にはいる。物理学や数学を専攻する学生に対してならまっとうな考えだと僕も思う。けれども、ブルーバックスは科学の知らない分野のことを手っ取り早く知ったり、入門用の手始めとしての1冊として重宝するのは事実である。当たりはずれがあるというのももうひとつの事実だ。
このシリーズが生まれたのは50年以上前のこと。先日通算2000冊を超えたそうでこのところ勢いづいている。無料のKindle版書籍「ブルーバックス通巻2000番小冊子 」、「ブルーバックス解説目録 2016年版」は僕もダウンロードさせていただいた。このシリーズが科学の普及に大きな貢献をしてきたことは素晴らしいと思うし、これからも続いてほしい。
手軽に読めるからつい買ってしまう。Kindle版で買えるようになってからはなおさらだ。こうして専門書(教科書)の読書が後回しになってしまうのだ。本書もそのような1冊である。
宇宙の始まりについて解説した本がほとんどの中、宇宙の終わりに着目した本は珍しい。書店で見かけて気になっていた。「宇宙が始まる前には何があったのか?: ローレンス・クラウス」では宇宙の終わりはたしか2兆年後だと書いてあったと思う。ところが本書には「10の100乗年後」のことが書かれているらしい。文字通り桁外れなスケールだ。本書で解説される宇宙の終わりは10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000年後のことなのだ。
現在の宇宙は加速的膨張を続けている。このまま進めば宇宙の物質は希薄になる一方で、やがて暗黒と静寂が訪れて終焉を迎えるはずである。研究対象としてはつまらないと思っていた。
章立てをみると次のようにただ膨張、拡散するだけではないようである。暗黒物質や暗黒エネルギーのことがほとんどわかっていないのに、これほど詳細に未来の歴史が予想できるものなのか?好奇心が掻き立てられるのはこのようなところである。
〈第I部 過去編〉
第1章 不自然で奇妙なビッグバン――始まりの瞬間
第2章 広大な空間、わずかな物質――宇宙暦10分まで
第3章 残光が宇宙に満ちる――宇宙暦100万年まで
第4章 星たちの謎めいた誕生――宇宙暦10億年まで
第5章 そして「現在」へ――宇宙暦138億年まで
〈第II部 未来編〉
第6章 銀河壮年期の終わり――宇宙暦数百億年まで
第7章 消えゆく星、残る生命――宇宙暦1兆年まで
第8章 第二の「暗黒時代」――宇宙暦100兆年まで
第9章 怪物と漂流者の宇宙――宇宙暦1垓(10^20)年まで
第10章 虚空へ飛び立つ素粒子――宇宙暦1正(10^40)年まで
第11章 ビッグウィンパーとともに――宇宙暦10^100年、それ以降
終章 不確かな未来と確かなこと――残された謎と仮説
補遺 宇宙を統べる法則
年表 宇宙「10の100乗年」全史
宇宙はこのまま膨張し続けるかもしれないし、ある時点で膨張が止まるかもしれない。また膨張が収縮に転じて、再び1点に収れんする可能性だって残っている。現代の物理ではどの予想が正しいか決着がついていないのだ。図示すると次のようになる。
物理学より天文学や宇宙論のほうが関心ごととして裾野が広いので「物理は苦手だけど宇宙のことは好き。」という一般の方は多い。そのような方がブルーバックスだからと手を出してしまうと思いのほか難しいと感じるはずだ。数式が書かれていなくても本書は一定水準以上の読者を対象にしている。
ハードルが高めなのは、本書で解説される宇宙の未来の予測は物理学で裏付けられた事実をもとにしているからだ。相対論から量子物理学まで、現代物理学の知識が総動員される。とりあえず読み始めたけど難しいと思う方は、次のような本で前提知識を仕入れたほうがよい。
- 「宇宙が始まる前には何があったのか?: ローレンス・クラウス」
- 「重力とは何か:大栗博司」
- 「強い力と弱い力:大栗博司」
そしてさらに欲を言えば、著者の吉田先生がお書きになった2冊も(必須ではないが)本書の理解を助けることだろう。特にこの2冊は「中級レベルの科学教養書」としてお勧めしたいものだ。
- 「光の場、電子の海―量子場理論への道:吉田伸夫」
- 「素粒子論はなぜわかりにくいのか:吉田伸夫」
同じテーマで僕が本を書いたらどうなるだろう?現在のことまではこれまでに読んだ本の知識を使って何とか書けるかもしれない。しかし、未来についてはほとんど書くことができないだろう。吉田先生は未来の宇宙の様子を第6章から終章まで、尻すぼみさせることなく、前半と同じ「濃さと分量」で書き上げ、読者の興味をぐいぐいと引っ張ることに成功している。さすがだ。
これまでも吉田先生の著書は3冊読ませていただいたがどれにも感銘させられていた。「吉田先生の本だから読みたい」と思ったのが本書に手を出したもうひとつの理由だ。そして今回も期待は裏切られなかった。
宇宙は膨張するにつれて、銀河や星々、星間物質、原子、素粒子は減っていき、やがて消滅する。情報を蓄えるのは物質だから、(このブログ記事も含めて)人類が生きた痕跡はあとかたもなくなく消えてしまう。
何がどのような順番で宇宙という舞台から消え去っていくのだろうか?そして残された何もない空間で最後の主役を演じるのは何であろうか?それがブラックホールなのだ。
ブラックホールのエントロピーやホーキング放射の解説をしながら、最後の主役がどのように消えていくのか?量子重力理論や量子情報理論など、現在研究されている最先端の物理学が宇宙の幕引きの様子を解き明かしてくれる。
ぜひ一読することをお勧めしたい。
なお、吉田先生はすでに次の本をお書きになっている。4月13日発売予定。きっとこちらも素晴らしい本に違いない。
「量子論はなぜわかりにくいのか 「粒子と波動の二重性」の謎を解く (知の扉) 」
関連記事:
光の場、電子の海―量子場理論への道:吉田伸夫
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea4bc17a6b2c98c1073039d868223f02
素粒子論はなぜわかりにくいのか:吉田伸夫
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bcbaebb9f2a77b1bd63e3928f6bd6e9f
明解量子重力理論入門:吉田伸夫
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e0ab2fd9fafe3568c24ed358dd4ea92c
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とね日記は長年放置されている科学ブログランキングの不正クリックに対し、次のランキングサイトには適切な運営を期待します。
「FC2自然科学ブログランキング」:不正の例1 例2(クリックしてからTwitterアプリで開くと画像は鮮明に見れます。)
(不正クリックブログの見分け方)
「宇宙に「終わり」はあるのか:吉田伸夫」(Kindle版)
はじめに――なぜ「今」なのか?
本書で扱う数値に関する用語
2ページで語る宇宙全史
〈第I部 過去編〉
第1章 不自然で奇妙なビッグバン――始まりの瞬間【ビッグバン時代】
- 宇宙の始まりを科学する試み
- 第1の不自然さ――高度な一様性
- 一様性が不自然な理由
- 第2の不自然さ――異常な高温
- 第3の不自然さ――膨張の開始
- ビッグバンとは何だったか?
- 加速膨張するだけの宇宙
- マザーユニバースから生まれる宇宙――インフレーションとインフラトン場
- 暗黒エネルギー仮説の問題点
- ビッグバンの前には何があったのか?
第2章 広大な空間、わずかな物質――宇宙暦10分まで【物質生成時代】
- 場が物質を生み出す
- 消える素粒子、残る素粒子
- 物質の構成
- 元素はいかにして合成されたか?
- 安定性と多様性の起源
第3章 残光が宇宙に満ちる――宇宙暦100万年まで【第一次暗黒時代】
- 宇宙の晴れ上がり
- 背景放射の観測史
- 終止符を打たれた定常宇宙論
- 背景放射から何がわかるか?
- 天体からの背景放射
- 揺らぎと凝集の開始
第4章 星たちの謎めいた誕生――宇宙暦10億年まで【恒星誕生時代】
- 暗黒時代の終わり
- 最初の星の誕生
- 最初の星の最期
- 宇宙の再電離
- ライマンα線が明かす宇宙の姿
- 宇宙の再電離を進めたのは何か
第5章 そして「現在」へ――宇宙暦138億年まで【天体系形成時代】
- 重力による円盤の形成
- 原始惑星系円盤
- 海の誕生
- 化学進化の可能性
- 化学進化が起きる熱力学的な条件
- 化学進化とエントロピー
- 生物に宇宙が必要なわけ
〈第II部 未来編〉
第6章 銀河壮年期の終わり――宇宙暦数百億年まで【銀河壮年時代】
- 密集する銀河
- 形態による銀河の分類
- 遠方銀河に見られる特徴
- 銀河の成長と老化
- 天の川銀河の過去と未来
- なぜ100億年か?
第7章 消えゆく星、残る生命――宇宙暦1兆年まで【赤色矮星残存時代】
- 死に絶える星、生き残る星
- 星のエネルギー源
- 巨星化と恒星の死
- 小さな星の長い生涯
- 赤色矮星は生命をはぐくむか?
- 宇宙における生命の終焉
第8章 第二の「暗黒時代」――宇宙暦100兆年まで【第二次暗黒時代】
- 加速膨張の発見
- 暗黒エネルギーと宇宙の運命
- 孤立する銀河
- 宇宙の歴史が消える
- 暗黒時代再び
第9章 怪物と漂流者の宇宙――宇宙暦1垓(10^20)年まで【銀河崩壊時代】
- ブラックホールとな何か?
- 大質量星の最期
- 銀河中心のブラックホール
- 銀河とブラックホールの共進化
- 銀河の終焉
第10章 虚空へ飛び立つ素粒子――宇宙暦1正(10^40)年まで【物質消滅時代】
- 漂流天体を構成する物質
- 物質と反物質
- 反粒子はなぜ少なかったのか?
- 消えゆく物質
- 漂流天体の最期
第11章 ビッグウィンパーとともに――宇宙暦10^100年、それ以降【ビッグウィンパー時代】
- 「宇宙の熱死」とは?
- 重力と温度
- ブラックホールの熱力学
- ブラックホールは蒸発する
- ビッグウィンパー
終章 不確かな未来と確かなこと――残された謎と仮説
補遺 宇宙を統べる法則
(1) 宇宙空間が膨張する
(2) 凝集と拡散が進行する
年表 宇宙「10の100乗年」全史