Quantcast
Channel: とね日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 977

速報:2013年ノーベル物理学賞はヒッグス博士とアングレール博士に決定!

$
0
0
拡大

2013年のノーベル物理学賞はピーター・ヒッグス博士とフランソワ・アングレール博士のお二人に決定した!

Nobelprize.org
http://www.nobelprize.org/

おめでとうございます!


授賞理由:

"For the theoretical discovery of a mechanism that contributes to our understanding of the origin of mass of subatomic particles, and which recently was confirmed through the discovery of the predicted fundamental particle, by the ATLAS and CMS experiments at CERN's Large Hadron Collider."

翻訳:

亜原子粒子の質量の起源の理解に貢献するメカニズムの理論的発見、そして予想された基本粒子としてCERNのLHCにおいてなされたATLASおよびCMSの実験によって最近確認されたことに対して授賞する。」

発表時の映像はこちら。




ピーター・ヒッグス:ウィキペディアの記事(日本語)

フランソワ・アングレール:ウィキペディアの記事(英語)


ノーベル物理学賞 2013 一般向け説明(PDF)
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2013/popular-physicsprize2013.pdf

ノーベル物理学賞 2013 専門家向け説明(PDF)
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2013/advanced-physicsprize2013.pdf

受賞をもたらしたヒッグス博士、アングレール博士の論文(1964年)
http://www.aps.org/publications/apsnews/updates/nobel13.cfm

2012年7月4日:お二人が初めてCERNで会ったときの写真



なお、報道ではヒッグス粒子は「神の粒子」と伝えられているが、神の粒子などではない。報道の文脈での「神の粒子」は「偉大な粒子」とか「神の存在の証となる粒子」という意味だか、この呼び方はもともと「そんな粒子はあるはずがない。」という皮肉、蔑視の意味合いで使われることが多かった。

また「ヒッグス粒子が邪魔することにより素粒子に質量が生まれる。」と報道されることが多いが、これは完全に間違った説明である。

あと「ヒッグス粒子はすべての物質に質量を与える。」とか「ヒッグス粒子は物質の質量の起源を明らかにした。」という説明も誤りだ。ヒッグス粒子(ヒッグス機構)によって質量が与えられるのは「力を伝える粒子(ゲージ粒子:Wボソン、Zボソン)」や「フェルミオン(電子など)」だけである。すべての素粒子に質量を与えるわけではない。

物質の質量のうち素粒子の質量は1パーセントだけにすぎない。残りの99パーセントは原子核内の核力(強い力)のエネルギーによって説明される。アインシュタインの特殊相対性理論によりエネルギーが質量に換算されるからだ。

物質の質量=素粒子の質量+強い力のエネルギーによる質量

クリックで拡大


繰り返そう。物質の質量の起源の99パーセントはアインシュタインの理論によって解明済みで、残りの1パーセントの謎が昨年の夏に解明されたわけである。

詳しいことは「強い力と弱い力-ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く:大栗博司」の第1章の最後の2つの節で説明されている。


後日追記:

ヒッグス粒子(ヒッグス機構)による素粒子の質量の起源については、報道やネット上では不正確な説明がまことしやかに広まってしまっているが、前野先生のご説明が(僕が見た中では)いちばん正確だと思う。ぜひお読みいただきたい。

ヒッグス粒子ってなあに?(高校生以上向け版)
http://irobutsu.a.la9.jp/movingtext/HiggsHS/index.html


関連書籍:

ヒッグス粒子の発見 (ブルーバックス):イアン・サンプル」(レビュー記事



関連記事:

祝!:ヒッグス粒子発見
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f88350541542f732fec74af583a29e50

解説:NHKスペシャル「神の数式」第1回:この世は何からできているのか
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5f0430e3fed08f6947d5efbe9559fbbd

強い力と弱い力-ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06c3fdc3ed4e0908c75e3d7f20dd7177

「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa

2013年度ノーベル物理学賞(大栗先生のブログ)
http://planck.exblog.jp/20806670/


ノーベル物理学賞、ヒッグス博士ら2人に(読売新聞)

スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2013年のノーベル物理学賞を英エディンバラ大学名誉教授のピーター・ヒッグス博士(84)とベルギー・ブリュッセル自由大学名誉教授のフランソワ・アングレール博士(80)に贈ると発表した。

賞金800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)は、2人で分ける。

2人は、宇宙誕生後、物に質量(重さ)が生まれた仕組みの理論を1964年に相次ぎ発表。質量を生み出した粒子は、後にヒッグス粒子と呼ばれた。昨年7月、日本の16機関が参加したスイスの加速器実験で粒子の存在が確認され、受賞につながった。装置の開発にも日本企業が多く貢献した。


「南部博士の影響大」ノーベル賞・ヒッグス博士(読売新聞)

【エディンバラ(英北部)=石黒穣】2013年のノーベル物理学賞の受賞が決まった英エディンバラ大学名誉教授のピーター・ヒッグス博士(84)が11日、同大で記者会見を行った。

8日の発表の際に人前に姿を現さず、3日遅れの受賞会見となった。

ヒッグス博士は「南部陽一郎博士の研究から大きな影響を受けた」と明かした。

ヒッグス博士は1964年、物に質量を与えるヒッグス粒子の存在を予測し、今回の受賞が決まった。その基礎になる理論を提唱したのが、米シカゴ大名誉教授で、2008年の同賞受賞者の南部博士だ。ヒッグス博士は「1960年に研究の方向を見失っていたとき、南部博士の論文に興味をかきたてられた。彼の足跡をたどり、彼の理論で欠けていた要素を提供した」と語った。


応援クリックをお願いします!
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ 人気ブログランキングへ 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 977

Trending Articles