トルコのクーデター未遂事件
フランスのニースで起きた痛ましいテロやトルコのクーデター未遂事件は、SNSやテレビを通じて知り、心を痛めていたのだが、日常生活とは別の「国際ニュース」としてとらえていた。
連休が始まり、いつものようにカフェで勉強して過ごしていたのだが、今日思わぬ形でトルコでの事件を意識することになった。
コーヒーを注文しようとレジで並んでいたところ、僕の2人前に30歳くらいの外国人男性が注文内容を伝えられずに困っているのが見えた。レジ担当の女性が英語でちゃんと対応できるのかなと思い、少しの間様子を見ていたのだが、彼が注文しているのは「さ湯(ぬるま湯)」だった。お湯はメニューになかったよなと思いつつ、僕は「ぬるま湯が欲しいと彼は言ってるんだけど。」と店員に伝えた。そして彼に「そのほかは?コーヒーとか紅茶とかは?」と」聞いたところ「カフェラテをお願いします。」という返事。
後でわかったのだが、店員は彼が言う「Warm water」のことを熱いお湯だと思って「Hot water?」と聞き返したものだから混乱が生じていたようだ。「No, Warm water, please.」と返されて「それ何?」という感じ。確かに彼の英語はアクセントが強くて理解しにくい。
店員が飲み物を用意している間に、彼にいくつか質問してみた。すると彼は観光で来日しているトルコ人だという。僕の背筋に緊張が走った。この場合何と言うべきなのだろう?とりあえず笑顔を真顔に戻して「お国は大変なことになってしまいましたね。」としか言えなかった。
トルコ政府がクーデターを鎮圧 民間人と軍人ら265人が死亡
http://news.livedoor.com/article/detail/11774212/
彼が飲み物を持って戻った席には金髪の女性が落ち込んだ様子で座っていた。奥さんなのか恋人なのかわからないけれど。僕はクーデター未遂のことで落ち込んでいるのかと思ったのだが、彼の説明によれば風邪をひいて体調が悪いとのこと。「さ湯」は彼女が飲むためのものだった。席の回りには転がすタイプのキャリーバッグが4つも置いてある。
すでに京都と大阪、東京の観光を終え今夜のフライトで帰国するそうだ。本当は昨日のフライトを予約していたのだが飛行機は飛ばなかったのだという。国がクーデターで騒然としていたから無理もない。
日本に発つ直前のトルコ情勢のことやクーデターのこと、難民問題のこと、トルコ国内のSNSの状況のことなど僕には聞きたいことがたくさんあったのだが、彼女の体調をおもんばかって彼らが必要としていることだけ話すにとどめた。
彼女はチーズが食べたいと言ったので、すぐ近くのスーパーマーケットに彼を連れていき、普通のプロセスチーズ(6Pチーズです)とパン、バナナを買ってカフェに戻ってきた。
今回のクーデター未遂について彼は「これは大統領が仕組んだことだ。反体制派を煽ってクーデター事件を起こさせ、それを鎮圧することで自身の権力を強化しようとしているのだ。」と僕に説明した。
トルコの国内情勢のことなどほとんど知らないから、彼の言っていることが正しいかどうか僕には全くわからない。彼がおかれている立場も知らないわけだし。でも、ひとりの市民がそのように主張していることだけは、ここに書き記しておきたいと思った。
荷物運びを手伝うために友達が新宿で待っているそうなので、彼女の食事が終わったあと僕は彼らをすぐ近くの駅の改札まで連れて行った。
長時間のフライトで彼女は大変だろうし、帰国してからも落ち着かない日々が続くのだろう。短い時間の出会いであったが、彼らの安全と幸福を願わずにいられなかった。
SNSやテレビ画面から覗いていた過酷な国際情勢がとつぜん目の前にあらわれたようなもので、僕は戦慄を覚えた。いつもの平凡な日常の中で起きた出来事である。
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フランスのニースで起きた痛ましいテロやトルコのクーデター未遂事件は、SNSやテレビを通じて知り、心を痛めていたのだが、日常生活とは別の「国際ニュース」としてとらえていた。
連休が始まり、いつものようにカフェで勉強して過ごしていたのだが、今日思わぬ形でトルコでの事件を意識することになった。
コーヒーを注文しようとレジで並んでいたところ、僕の2人前に30歳くらいの外国人男性が注文内容を伝えられずに困っているのが見えた。レジ担当の女性が英語でちゃんと対応できるのかなと思い、少しの間様子を見ていたのだが、彼が注文しているのは「さ湯(ぬるま湯)」だった。お湯はメニューになかったよなと思いつつ、僕は「ぬるま湯が欲しいと彼は言ってるんだけど。」と店員に伝えた。そして彼に「そのほかは?コーヒーとか紅茶とかは?」と」聞いたところ「カフェラテをお願いします。」という返事。
後でわかったのだが、店員は彼が言う「Warm water」のことを熱いお湯だと思って「Hot water?」と聞き返したものだから混乱が生じていたようだ。「No, Warm water, please.」と返されて「それ何?」という感じ。確かに彼の英語はアクセントが強くて理解しにくい。
店員が飲み物を用意している間に、彼にいくつか質問してみた。すると彼は観光で来日しているトルコ人だという。僕の背筋に緊張が走った。この場合何と言うべきなのだろう?とりあえず笑顔を真顔に戻して「お国は大変なことになってしまいましたね。」としか言えなかった。
トルコ政府がクーデターを鎮圧 民間人と軍人ら265人が死亡
http://news.livedoor.com/article/detail/11774212/
彼が飲み物を持って戻った席には金髪の女性が落ち込んだ様子で座っていた。奥さんなのか恋人なのかわからないけれど。僕はクーデター未遂のことで落ち込んでいるのかと思ったのだが、彼の説明によれば風邪をひいて体調が悪いとのこと。「さ湯」は彼女が飲むためのものだった。席の回りには転がすタイプのキャリーバッグが4つも置いてある。
すでに京都と大阪、東京の観光を終え今夜のフライトで帰国するそうだ。本当は昨日のフライトを予約していたのだが飛行機は飛ばなかったのだという。国がクーデターで騒然としていたから無理もない。
日本に発つ直前のトルコ情勢のことやクーデターのこと、難民問題のこと、トルコ国内のSNSの状況のことなど僕には聞きたいことがたくさんあったのだが、彼女の体調をおもんばかって彼らが必要としていることだけ話すにとどめた。
彼女はチーズが食べたいと言ったので、すぐ近くのスーパーマーケットに彼を連れていき、普通のプロセスチーズ(6Pチーズです)とパン、バナナを買ってカフェに戻ってきた。
今回のクーデター未遂について彼は「これは大統領が仕組んだことだ。反体制派を煽ってクーデター事件を起こさせ、それを鎮圧することで自身の権力を強化しようとしているのだ。」と僕に説明した。
トルコの国内情勢のことなどほとんど知らないから、彼の言っていることが正しいかどうか僕には全くわからない。彼がおかれている立場も知らないわけだし。でも、ひとりの市民がそのように主張していることだけは、ここに書き記しておきたいと思った。
荷物運びを手伝うために友達が新宿で待っているそうなので、彼女の食事が終わったあと僕は彼らをすぐ近くの駅の改札まで連れて行った。
長時間のフライトで彼女は大変だろうし、帰国してからも落ち着かない日々が続くのだろう。短い時間の出会いであったが、彼らの安全と幸福を願わずにいられなかった。
SNSやテレビ画面から覗いていた過酷な国際情勢がとつぜん目の前にあらわれたようなもので、僕は戦慄を覚えた。いつもの平凡な日常の中で起きた出来事である。
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