「コロボックル物語5 小さな国のつづきの話」
内容紹介:
図書館に勤める杉岡正子は、日本に伝わる小人・コロボックルのことを描いた本『だれも知らない小さな国』に出会う。そして、“私が見たのはコロボックルかも”と著者に手紙を書いた。正子とコロボックルの関係は、驚くべき新しい出会いにつながる。心洗われるコロボックルワールド完結篇。
1959年初版、2010年~2012年に文庫化。
著者について:
佐藤さとる(さとう さとる): ホームページ
1928年、神奈川県生まれ。『だれも知らない小さな国』で毎日出版文化賞・国際アンデルセン賞国内賞などを、『おばあさんのひこうき』で児童福祉文化賞・野間児童文芸賞を受賞。日本ファンタジー作家の第一人者で作品も多い。
村上 勉(むらかみ つとむ): ホームページ
1943年、兵庫県生まれ。1965年、『だれも知らない小さな国』(佐藤さとる作・講談社)の挿絵でデビュー。以来、挿絵、絵本、装幀など、出版美術界と深く関わってきた。主な作品に『おばあさんのひこうき』(小学館絵画賞受賞)、『おおきなきがほしい』、『きつね三吉』、『旅猫リポート』、「コロボックル」シリーズ他多数。
有川浩さんの「だれもが知ってる小さな国」を読んだのがきっかけで、小学生の時に読んだ佐藤さとる先生のコロボックル物語シリーズを第1巻の「だれも知らない小さな国: 佐藤さとる、村上勉」から読み直している。今回紹介するのはその5巻目だ。
第5巻が刊行されたのは1983年。僕が大学に入学した年だった。児童文学に触れる機会はほとんどなかったので、続刊がでていることに気が付いたのはかなり後になってから、30歳くらいになってからだったと思う。
第4巻までの本はすでに人気が定着しており、読者から本やコロボックルに対するファンレターがたくさん寄せられていたそうだ。そのほとんどが女性からのもので、このシリーズの読者は女性のほうが圧倒的に多いことを著者の佐藤さとる先生はお感じになっていた。
社会の雰囲気も70年代とは変わり、徐々にではあるが女性が社会で活躍し始め、テレビ番組やコマーシャルにも女性が登場することが多くなっていった。
そのような時代の変化を佐藤先生も、きっとお感じになっていたのであろう。第5巻では主役をはじめ、登場人物やコロボックルたちはほとんど女の子である。
主役は杉岡正子という若い図書館職員。高校卒業後、すぐに町の図書館に勤め始めた女性だ。そして彼女は高校時代の同級生の「チャムちゃん」という色白の美少女と親友だった。チャムちゃんは、せいたかさんの娘なのだ。高校卒業後、チャムちゃんは大学に進学したため、ほとんど会うことがなくなっていた。
杉岡正子
チャムちゃんには小学生の弟がいて、この物語では「ムックリくん」という名前で登場する。このムックリくんが正子の勤める図書館に通い始め、ムックリくんはコロボックル物語のことを正子に教え、物語はスタートを切るのだ。
ムックリくん
この頃までにはコロボックルの社会の掟もだいぶゆるいものになっていた。以前は人間とコロボックルの「トモダチ関係」は1対1に制限されていたが、本当に信頼できる人間に対しては1対多でも構わないということになったのだ。つまり審議の上で選ばれた人間は「みんなのトモダチ」になれるわけである。せいたかさんはもちろん、奥さんのママ先生、そして娘のチャムちゃんや息子のムックリくんは、すでにその資格を得ていた。
そしてコロボックルの存在にうすうす気づいていた図書館職員の正子も、この本の中で「ツクシンボ」と呼ばれているコロボックルの女の子とまず1対1のトモダチになる。その後、話がどのように展開していくかは、本書を読んでのお楽しみにしておこう。
人間とコロボックルの交流が拡がり、めでたしめでたしという感じで進むのかと思いきや以外な展開が起こる。正子のトモダチとして役割を果たしていたツクシンボが、数人の全く違ういで立ちをしたコロボックルと遭遇するのだ。彼らは忍者装束をまとっていて髪は紫色。はるか昔にコロボックル社会から分かれて生きることを選んだ別の種族だったのだ。その種族は「チィサコ族」と呼ばれていた。
チィサコ族
言い伝えとしてだけ聞いていたもうひとつの種族が実際に存在した。コロボックル国は大騒ぎになる。果たしてコロボックル国とチィサコ族は共存できるのだろうか?彼らとどのように付き合っていけばよいのだろうか?これも本書を読んでのお楽しみとしておこう。
さて、次に読むのは最終巻だ。読み続けてきた物語が終わってしまうのは、ちょっと寂しい気もする。
佐藤さとる版は僕が小学生の頃までに4巻まで、大学生の頃に第5巻と第6巻が単行本として刊行されていた。だから僕は第5巻と第6巻は読んでいない。
1959年:コロボックル物語1『だれも知らない小さな国』刊行
1962年:コロボックル物語2『豆つぶほどの小さないぬ』刊行
1965年:コロボックル物語3『星からおちた小さな人』刊行
1971年:コロボックル物語4『ふしぎな目をした男の子』刊行
1983年:コロボックル物語5『小さな国のつづきの話』刊行
1987年:コロボックル物語6『コロボックルむかしむかし』刊行
コロボックル物語特設ページ(講談社)
http://kodanshabunko.com/colobockle.html
講談社文庫版:佐藤さとる、村上勉:2010年から2012年に刊行
「コロボックル物語1 だれも知らない小さな国」(紹介記事)
「コロボックル物語2 豆つぶほどの小さないぬ」(紹介記事)
「コロボックル物語3 星からおちた小さな人」(紹介記事)
「コロボックル物語4 ふしぎな目をした男の子」(紹介記事)
「コロボックル物語5 小さな国のつづきの話」
「コロボックル物語6 コロボックルむかしむかし」
青い鳥文庫版は1980年から2005年に刊行された。
講談社青い鳥文庫版: Amazonで検索
単行本も新品で買うことができる。購入される方はここまたはここをクリックしていただきたい。
新イラスト版:佐藤さとる、村上勉:2015年に刊行
新イラスト版は第3巻までしかでていない。今後、続きが出るのかもしれないが。新イラスト版の判型は有川版と同じだ。
「コロボックル物語1 だれも知らない小さな国」
「コロボックル物語2 豆つぶほどの小さないぬ」
「コロボックル物語3 星からおちた小さな人」
新イラスト版: Amazonで検索
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「コロボックル物語5 小さな国のつづきの話」
第1章:小さな神さま
第2章:わたしはコロボックル
第3章:みんなのトモダチ
第4章:めぐりあい
第5章:思いがけないこと
あとがき(その1~その3)
解説:佐藤多佳子
以下は文庫版(佐藤さとる作)の帯に書かれたコロボックル物語ファンのメッセージ
有川版についている帯