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新版 演習場の量子論:柏太郎

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新版 演習場の量子論:柏太郎

内容
場の理論事始め、経路積分法、有効作用と近似値、ゲージ場の量子論など、場の理論を基礎から解説したテキスト。練習問題つき。新しい問題および最近の参考文献を加える。2001年初版、2006年新版刊行。222ページ。

著者略歴
柏太郎:プロフィール
1978年名古屋大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。1979年九州大学理学部物理学科助手。1997年九州大学理学部物理学科助教授。1999年九州大学大学院理学研究院物理学部門助教授(改組による)。2002年愛媛大学理学部物質理学科教授。2006年愛媛大学大学院理工学研究科(理学系)数理物質科学専攻教授。専門、場の量子論、量子力学、素粒子論

出版社による本の紹介ページ
http://www.saiensu.co.jp/?page=book_details&ISBN=ISBN978-4-7819-1148-9&YEAR=2006


理数系書籍のレビュー記事は本書で230冊目。

6月の終わり頃から読み始め、やっと読み終えることができた。ここまで来るにはずいぶん長い道のりだったと思う。

計算手順をこれほど細かく示してくれている場の量子論の本は、これ以外にないだろう。先月6年ぶりに偶然再会した素粒子論専攻の友達は僕が読んでいる本書を見て「あ、この本はM1のときにやった。懐かしいな〜。」と言っていた。

章立ては次のとおりだ。

第1章 場の理論事始め
第2章 量子場入門
第3章 経路積分法
第4章 有効作用と近似法
第5章 ゲージ場の量子論

場の量子論の面倒な計算をこれほど詳しく書いた本はまず本書以外にないと思う。物理学科で学ぶ学生はもちろんのこと、僕のような独習者にはとてもありがたい本なのだ。

「演習書」なのでこのように数式が多いのは当然のことだ。それだけ導出手順が詳しいのでありがたいことである。

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本書での学習は僕にとてもためになった。自分で計算することが求められているので、少しずつではあるが実際に計算したりして読み進んだ。第3章までの理解度は9割ほど、第4章以降は8割ほどだったと思う。

それでもやはりファインマングラフやゲージ場、中西-ロートラップ場、BRST変換あたりはきつい。実際の計算方法をマスターすることが目的なのだから、「近道」や「直観的で分かりやすい解説」を探し求めても意味がないということも理解できた。どういうやり方をしても難しいものは難しいのだ。

著者の柏先生がお書きになっているように第4章の中の「くりこみ」についての説明は少なすぎる。この点はその後刊行された「演習 くり込み群:柏太郎」で補うのがよさそうだ。今年中に読みたいと思っている。アマゾンでは売り切れだが、出版社のページから買うことができる。

演習 くり込み群:柏太郎


なお「新版 演習場の量子論:柏太郎」については2010年10月あたりから2012年3月にかけてT_NAKAさんがとても詳しい記事を書いていらしゃるので参考にしていただきたい。

テーマ「演習 場の量子論」のブログ記事 (T_NAKAの阿房ブログ)
http://teenaka.at.webry.info/theme/facc7ac4b2.html


関連ページ:

ネット上で学んでみたい方は、これらのページをお読みください。

場の理論(東海大学、安江研究室)
http://phys.cool.coocan.jp/physjpn/field.htm

量子場の理論入門(前野先生によるPDF形式のテキスト)
http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/field.pdf

場の量子化と粒子の相互作用(名古屋大学、松原先生のHPの一部)
http://tmcosmos.org/cosmology/cosmology-web/node55.html

一般向け書籍レベルの本で学んでみたい方はこちらがお勧め。

「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa

光の場、電子の海―量子場理論への道:吉田 伸夫
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea4bc17a6b2c98c1073039d868223f02


関連記事:

場の量子論:坂井典佑
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a83afc332356c0fef65e6527ddd71af1

場の量子論〈第1巻〉量子電磁力学:F.マンドル、G.ショー
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/08726ab931904f76d9c26ff56d219e53

場の量子論〈第2巻〉素粒子の相互作用:F.マンドル、G.ショー
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/95d908cd752af642964cbff7ea7f0301

大著に挑む (ワインバーグの「場の量子論」)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/95ac4b64aa4eaf70608088006813cbf5


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新版 演習場の量子論:柏太郎


第1章 場の理論事始め
  1.1 調和振動子の物理
  1.2 特殊相対性理論の復習
  1.3 場の解析力学

第2章 量子場入門
  2.1 クライン−ゴルドン (Klein−Gordon) 場
  2.2 ド・ブロイ (de Broglie) 場
  2.3 ディラック (Dirac) 場
  2.4 マックスウェル (Maxwell) 場 ― 電磁場
  2.5 量子場の一般論

第3章 経路積分法
  3.1 経路積分入門
  3.2 フェルミオンの経路積分
  3.3 ユークリッド経路積分

第4章 有効作用と近似法
  4.1 摂動論とファインマングラフ
  4.2 生成母関数と有効作用
  4.3 WKB近似

第5章 ゲージ場の量子論
  5.1 ゲージ原理とゲージ場
  5.2 ゲージ場の量子化
  5.3 対称性の自発的破れとヒッグス (Higgs) 機構

練習問題の解答
参考文献
索引

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