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マンガでわかる超ひも理論:荒舩良孝著、大栗博司監修

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マンガでわかる超ひも理論:荒舩良孝著、大栗博司監修」(Kindle版

内容紹介:
超ひも理論って“難しい! "“よくわからない! "
とあきらめた人にこそ読んでもらいたい
とっておきの超入門本!!

重力、電磁気力、強い力、弱い力、この4つの力を統一し、宇宙のすべてを記述できる可能性を秘めた理論、それが本書で学ぶ超ひも理論です。ニュートン力学から相対性理論、量子力学をへて、超ひも理論がどのように誕生したのか、そしてその理論で解き明かせる宇宙の謎まで、マンガでわかりやすく解説します。
2015年3月刊行、224ページ。

著者:
荒舩良孝(あらふね よしたか):ホームページ:http://studioarafu.com/
1973年生まれ。科学ライター・保育士。東京理科大学在学中より科学ライターを始める。ニホンオオカミから宇宙論まで、幅広い分野で取材・執筆活動を行っている。おもな著書にサイエンス・アイ新書『宇宙の新常識100』、『宇宙がわかる本』(宝島社)、『5つの謎からわかる宇宙』(平凡社)、『思わず人に話したくなる地球まるごとふしぎ雑学』(永岡書店)、『大人でも答えられない!宇宙のしつもん』(すばる舎)などがある。
荒舩良孝さんの著書: Amazonで検索

イラスト担当:
倉田理音(くらた りね):ホームページ: http://kuratarine.com/
以下ホームページから引用
絵を描くのが好きです。学生時代から少しずつイラストのお仕事をさせていただくようになり、デザイン会社に勤め、現在は主にフリーランスでイラストレーターをしています。(活動情報)イラストのお仕事承っております。サイトのコンタクトフォームよりご相談ください。(コンタクトフォーム

監修者:
大栗博司(おおぐりひろし):ホームページ: http://ooguri.caltech.edu/japanese
カリフォルニア工科大学ウォルター・バーク理論物理学研究所所長、フレッド・カブリ冠教授、数学・物理・天文部門副部門長。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員も務める。1962年生まれ。京都大学理学部卒、東京大学理学博士。東京大学助手、プリンストン高等研究所研究員、シカゴ大学助教授、京都大学助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを歴任。専門は素粒子論。2008年アイゼンバッド賞(アメリカ数学会)、高木レクチャー(日本数学会)、09年フンボルト賞、仁科記念賞、12年サイモンズ研究賞授賞。アスペン物理学センター理事、アメリカ数学会フェロー。著書に『重力とは何か』『強い力と弱い力』(ともに幻冬舎新書)、『大栗先生の超弦理論入門』(ブルーバックス、講談社科学出版賞受賞)、『素粒子論のランドスケープ』(数学書房)、『数学の言葉で世界を見たら』(幻冬舎)がある。


理数系書籍のレビュー記事は本書で301冊目。

301冊目はどの本にしようか迷ったが、日本科学未来館もリニューアルオープンし、「9次元からきた男」も一般公開されたので、超弦理論に興味をもった一般の方に役立てていただこうと本書を選んだ。

未来館リニューアル式典(大栗博司のブログ)
http://planck.exblog.jp/25535580/


昨年発売され書店で書棚に収まっているのを見ていたのだが、全ページがマンガなのだろうと手に取って見ることもなかったのだ。ひと月ほど前に平積みされていたので大栗先生が監修されていることにやっと気が付き中身を確認することができた。よい本だとすぐわかったのでその場で購入。


ニュートン力学から超弦理論まですべて尽くされている。見開きで目次の項目のひとつづつに対応して説明してあるので読みやすい。



著者は僕より11歳年下で大学の後輩のようだ。中身もしっかりしていて文章の構成や説明の手際がよい。これなら中学生くらいから読むことができる。(理科好きなお子さんなら小学校高学年から読める。)イラストは倉田理音さんという方が担当され、可愛らしいアキバ系のタッチでいい感じ。

超弦理論のことを本書では「超ひも理論」と呼んでいる。大栗先生は超弦理論と表記してほしかったそうだが、著者と編集者の強い希望で超ひも理論と表記することになったそうだ。

とはいえ第6章では「トポロジカルな弦理論」という表記がとられている。(目次では「トポロジカルな紐理論」と誤記されてしまっているが。。)

章立てはこのとおり。

第1章:相対性理論と量子力学
第2章:素粒子の世界と元祖ひも理論
第3章:素粒子の標準理論の誕生
第4章:標準理論を超えた世界
第5章:超ひも理論登場
第6章:超ひも理論が解き明かす宇宙の謎

第1章だけでニュートン力学、相対性理論、量子力学を必要な事柄に限って手際よく説明しているのがよい。後で紹介するが同じシリーズで相対性理論と量子力学の本がそれぞれ刊行されているので、興味をもった方はそちらをお読みになればよい。

素粒子物理学(特に標準理論)と超弦理論にたくさんページを割いているのがこの本のよいところ。かなり詳しく、深いところまで解説している。

本書がカバーしている範囲を「ニュートン別冊」で揃えようとすると4~5冊くらいになってしまう。そして「NHK神の数式 完全版」の4回の放送よりも詳しく学べ、すっきり頭に入ってくる。それはこのブログ記事の最後に掲載した目次詳細をご覧いただければわかるだろう。それがたった1000円ちょっとの出費で学べるのだ。

特にこのように超入門者向けの本で「トポロジカルな弦理論」、「ホログラフィー原理」「ブラックホールの情報問題」、「5つのタイプのひも理論」、「M理論」、「Dブレーン」など超弦理論の新しいテーマをこれほど詳しく解説しているのは初めてのことだと思う。

素粒子物理学では2008年の小林先生、益川先生のノーベル物理学賞受賞に結びついた「CP対称性の破れ」や2013年のノーベル物理学賞の受賞理由「ヒッグス粒子の理論的予言と検出」、「2015年の梶田先生のノーベル物理学賞の受賞理由「ニュートリノの質量発見」の意味と意義が詳しく学べるのがよい。

読んで納得、見て楽しい本である。


最初の4分の1で解説される相対性理論と量子力学を、もっと知りたくなった方は同じシリーズのこの2冊をお読みになるとよい。ただし相対性理論のほうは特殊相対性理論についてだけ書かれていて、一般相対性理論(重力理論)が含まれていないのでご注意いただきたい。

マンガでわかる相対性理論:新堂進」(Kindle版
マンガでわかる量子力学:福江純」(Kindle版

 


関連ページ:

本書をお読みになってから大栗先生がお書きになった一般向けヒット作の3冊を上から順にお読みになるとよいだろう。より深い理解が得られるはずだ。

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f63cdcd45ec542fa62d535b4cc715d69

強い力と弱い力:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/06c3fdc3ed4e0908c75e3d7f20dd7177

大栗先生の超弦理論入門:大栗博司
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75dfba6307d01a5d522d174ea3e13863


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マンガでわかる超ひも理論:荒舩良孝著、大栗博司監修」(Kindle版



第1章:相対性理論と量子力学
- 宇宙のすべてを解き明かす理論
- 理論と実験の2本の足で進む
- パズルのような理論
- 日常感覚とは異なる宇宙の姿
- 観測と考察から地動説を支持したガリレオ
- ガリレオの相対性原理
- ニュートンの万有引力の法則
- 月は地球に向かって落ち続けていた
- ニュートンでも解けない重力の謎
- 見つかったニュートン力学の矛盾
- アインシュタインの登場
- 特殊相対性理論が示す宇宙
- 静の宇宙から動の宇宙へ
- 相対性理論が明かす宇宙の成り立ち
- 量子力学のあけぼの
- 太陽系型原子モデルの矛盾
- 量子の考え方で原子は存在できる
- 電子は粒であり、波?
- 物質波は確率の波?
- 神はサイコロがお好き?
- 不確実な部分が含まれている量子の世界

第2章:素粒子の世界と元祖ひも理論
- 原子核から見つかった中性子
- 陽子と中性子をくっつける力を探せ
- 新しい粒子の存在を予言した湯川秀樹
- 素粒子クォークの発見
- この世の中は素粒子からできている
- クォークとレプトンの共通点
- 宇宙に働く4つの力
- 原子核に働いている2つの力
- 重力はとっても小さな力だった
- 閉じ込められて取りだせないクォーク
- 陽子と中間子で起こる不思議な現象
- 元祖ひも理論の登場
- 閉じたひもから重力子?
- ミクロのレベルで重力が説明できる?
- 強い力の力線と量子力学
- クォークに色がついている?
- 太陽の核融合をゆっくりと進める弱い力

第3章:素粒子の標準理論の誕生
- 4つの力の統一という夢
- 統一のベースになった場の量子論
- ボソンのキャッチボールと2重スリット
- 粒子の通る確率を足し合わせたファインマン図
- 4つの力に共通するゲージ理論
- ゲージ理論の証拠となったアハラノフ-ボーム効果の実験
- 物質に質量を与えたヒッグス機構
- 電磁気力と弱い力の統一
- 標準模型の構築
- クォークが6種類あるという予言
- CP対称性とはなにか
- 謎の多い標準模型
- 30年間間違いのなかった理論

第4章:標準理論を超えた世界
- ニュートリノの重さを発見したスーパーカミオカンデ
- ニュートリノの変化が重さを示すカギ
- 陽子崩壊を見つけるためにつくられたカミオカンデ
- 観測できなかった陽子崩壊
- 大統一理論の可能性
- 大統一理論は実証できるか
- 大統一理論には超対称性が必要
- フェルミオンとボソンをつなげる超対称性
- 無限大がいっぱいの場の理論
- 無限大問題を解決したくりこみ理論
- くりこみができない重力
- 粒子の大きさは本当にゼロ?
- 重力を統一する切り札

第5章:超ひも理論登場
- この世界の素は粒子ではなく、ひもだった?
- ひもですべての粒子が表現できる
- 誕生直後の宇宙につながる超ひもの世界
- ばくだいな張力がかかっているひも
- 実はとっても思いひも
- ひもによって解決する無限大問題
- 10次元の世界を示す超ひも理論
- 4次元以外の次元はどこに消えた?
- 6次元以外は小さく折りたたまれている?
- 超ひも理論の5つのタイプ
- ヘテロティック型の超ひも理論
- 5つのタイプの理論を1つにまとめたM理論
- Dブレーンの発見
- Dブレーンは閉じたひもの塊
- M理論とDブレーン

第6章:超ひも理論が解き明かす宇宙の謎
- 私たちはブレーンの中にいる?
- 宇宙はたくさんある?
- 重力が弱いのは、高次元の世界に漏れているから?
- 6次元空間の計算を可能にしたトポロジー
- トポロジカルな弦理論の誕生
- トポロジカルな弦理論の応用
- ブラックホールの理論から宇宙のゆらぎを予測
- ブラックホールの蒸発が引き起こす大問題
- 問題解決のカギは状態の数
- Dブレーンと開いたひもで状態の数が計算できた
- 情報はブラックホールの表面に記録されていた
- ブラックホールの情報問題に隠された勝負
- ビッグバン直後はクォークのスープだった?
- 宇宙の始まりに潜む特異点問題
- 宇宙の始まりを知ることができない?
- たくさんあって絞り切れない超ひも理論から導かれる宇宙
- この宇宙は1つではない?
- インフレーション理論が予言するマルチバース
- 超ひも理論は実在するのか

参考文献
索引

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