「ホンのひととき 終わらない読書: 中江有里」(Kindle版)
内容紹介
ああ、もっと読みたい。
偏読、雑読、併読、積ん読――楽しみ方いろいろあります。
年間300冊の本を読み、読書家で知られる女優の初エッセイ
子ども時代の読書体験、児玉清さんとの出会い――いつも、そこに「本」があった。
遠藤周作、東野圭吾、村上春樹、山本文緒など、大好きな「物語」の世界で想像の翼を広げ、ときに「今を生き抜く」ヒントが詰まった話題のノンフィクション、ビジネス書など、実用書の数々を手に取り、現実をかみしめる。
本書は毎日新聞本紙連載された読書エッセイと「週刊エコノミスト」に連載された3年半に及ぶ読書日記を中心に、選りすぐりの約100冊の本への想いを綴った。
女優であり、作家、脚本家として物語を紡ぐ、著者の感性と日常がみずみずしい。
「読書」という営みからあぶり出される女優の素顔が詰まった珠玉の初エッセイ。
2014年5月刊行、224ページ
著者について
中江有里(なかえ・ゆり)
ホームページ:http://www.yuri-nakae.com/
Twitter: @yurinbow
1973年生まれ。大阪府出身。女優・作家。
89年芸能界デビュー。2002年「納豆ウドン」で第23回「BKラジオドラマ脚本懸賞」で最高賞を受賞。読書家としても知られ、NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年司会を務めた。現在、NHK「ひるまえほっと」で本の紹介を担当するほか新聞、Webに読書エッセイを連載中。NHK高校講座「国語表現」でMCを担当。著書に『結婚写真』(小学館文庫)『ティンホイッスル』(角川書店)『いくつわかる? 名作のイントロ』(明治書院)。
理数系ブログを書いている手前、読む本が偏るのは仕方がない。たまには他のジャンルの本を読むよう心がけているのだが、選ぶのはどうしても自分の好きな本だけになってしまう。
世の中には僕が手にとらない種類の本が山ほどある。馴染みのない世界の知見を広めたり、小説に没頭して時間が経つのを忘れてみたい。そのような思いで本屋に行ってみる。ところがあまりに多すぎてどれを選んでよいのか途方に暮れる。老眼が進んでからは試し読みするのも難しくなってきた。理数系の本をたくさん読みたいから、それ以外の本を乱読する余裕はない。読んでよかったと思える本だけを選びたいのだ。
そのように迷える子羊のような心境の僕に救いの手を差し伸べてくれたのが本書だった。(「中年男に子羊はないだろう。」というブーイングが聞こえてきそうだけど。)
著者は中江有里さん。僕の世代には好感度ナンバー1(僕はそう思っている)の女優・作家だ。中江さんは年間300冊以上を読破する超読書家である。
女優、作家として活躍されるほか、NHK高校講座「国語表現」でMCを担当され、NHKの「ひるまえほっと」では「中江有里のブックレビュー」というコーナーを担当されている。ソフトで落ち着いた語り口が彼女の魅力だと思う。
彼女が読書好き(というより「本の虫」)であることを僕が知ったのはアナログテレビ時代の1991年に放送が始まったNHK BS「週間ブックレビュー」を見たときだ。(中江さんは2004年 - 2012年3月の期間、司会を務めている。)
「週間ブックレビュー」は21年続いた数少ないテレビの書評番組だった。豊富な読書経験を穏やかに語る児玉清さんが司会をされていたのは1993年度~2010年度(週替わりで担当)である。このような良質な番組が無くなってしまったのは、ものすごく残念だ。
けれどもNHKでは2013年4月から月1回のペースで「中江有里のブックレビュー」というコーナーを放送している。毎回3~4冊紹介しているので、バックナンバーを開けばかなりの数のお勧め本情報が得られる。これは貴重だ。このコーナーはずっと続けてほしい。
中江さんのお勧め本をまとめた本書は次のような3部構成である。
I ホンのひととき(エッセイ)
II 読書日記 2011~2014
III 書評の本棚
I部では中江さんはご自身のこと、どのようにして本好きになっていったか、人生の先輩として尊敬していた児玉清さんへの想い、本を読むことの楽しみなどを語っている。
II部とIII部はこれまで読んだ本の紹介と感想が書かれている。小説に限らず、あらゆるジャンルの本をお読みになっていることに驚かされた。科学分野では「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」という本が紹介されていた。巻末の「掲載書籍一覧」を数えてみたところ、本書全体で紹介れている本は111冊もある。
知識を得たり物事を理解するための読書は大切だ。けれども、それ以外のジャンルの読書をしないと、人は自然に自分の考え方、感じ方に凝り固まってしまいがちなものである。小説やエッセイ、評論などを読むことで、ふだん自分の意識にのぼらない世界を知り、自分とは全く違う著者の考え方、感じ方を疑似体験することができる。著者や本の中の登場人物に共感したり反感をもったりしながら、自分の感性の位置づけを再確認できると思う。
本書の中でいちばん僕の心に残ったのは、中江さんが同じ本を読むことの大切さについて語った次の言葉だ。
「同じ本を何度も繰り返し読むこともお勧めします。同じ本ならいくら読んでも内容は変わりません。だからこそ、読み手である自分の変化に敏感になるのです。- 中江有里」
作家として中江さんは小説もお書きになっている。児玉清さんがお書きになった本とともに、検索リンクを張っておこう。
中江有里さんがお書きになった本を: Amazonで検索する
児玉清さんがお書きになった本を: Amazonで検索する
一見、寄り道だと思える本の中には、他人と関わりながら生きていく自分の人生をより豊かにする養分がたくさん含まれていると思うのだ。
中江さんのテレビ出演情報:
直近で中江さんが出演されるテレビ番組を紹介しておこう。今週は次の2つの番組に出演予定なので、ぜひご覧いただきたい。
5月13日(水)午前11時05分~ NHK総合(関東地域のみ)「ひるまえほっと」’中江有里のブックレビュー’に出演します。
5月15日(金)午前8時15分~ NHK総合「あさイチ」”特選エンタ”のコーナーに出演します。
余談: 今読んでいる「固体物理の基礎 上・2 固体のバンド理論: アシュクロフト、マーミン」は、ようやく半分あたりを過ぎた。読み終えるまでにはあともう少しかかりそうだ。
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I ホンのひととき(エッセイ)
II 読書日記 2011~2014
III 書評の本棚
内容紹介
ああ、もっと読みたい。
偏読、雑読、併読、積ん読――楽しみ方いろいろあります。
年間300冊の本を読み、読書家で知られる女優の初エッセイ
子ども時代の読書体験、児玉清さんとの出会い――いつも、そこに「本」があった。
遠藤周作、東野圭吾、村上春樹、山本文緒など、大好きな「物語」の世界で想像の翼を広げ、ときに「今を生き抜く」ヒントが詰まった話題のノンフィクション、ビジネス書など、実用書の数々を手に取り、現実をかみしめる。
本書は毎日新聞本紙連載された読書エッセイと「週刊エコノミスト」に連載された3年半に及ぶ読書日記を中心に、選りすぐりの約100冊の本への想いを綴った。
女優であり、作家、脚本家として物語を紡ぐ、著者の感性と日常がみずみずしい。
「読書」という営みからあぶり出される女優の素顔が詰まった珠玉の初エッセイ。
2014年5月刊行、224ページ
著者について
中江有里(なかえ・ゆり)
ホームページ:http://www.yuri-nakae.com/
Twitter: @yurinbow
1973年生まれ。大阪府出身。女優・作家。
89年芸能界デビュー。2002年「納豆ウドン」で第23回「BKラジオドラマ脚本懸賞」で最高賞を受賞。読書家としても知られ、NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年司会を務めた。現在、NHK「ひるまえほっと」で本の紹介を担当するほか新聞、Webに読書エッセイを連載中。NHK高校講座「国語表現」でMCを担当。著書に『結婚写真』(小学館文庫)『ティンホイッスル』(角川書店)『いくつわかる? 名作のイントロ』(明治書院)。
理数系ブログを書いている手前、読む本が偏るのは仕方がない。たまには他のジャンルの本を読むよう心がけているのだが、選ぶのはどうしても自分の好きな本だけになってしまう。
世の中には僕が手にとらない種類の本が山ほどある。馴染みのない世界の知見を広めたり、小説に没頭して時間が経つのを忘れてみたい。そのような思いで本屋に行ってみる。ところがあまりに多すぎてどれを選んでよいのか途方に暮れる。老眼が進んでからは試し読みするのも難しくなってきた。理数系の本をたくさん読みたいから、それ以外の本を乱読する余裕はない。読んでよかったと思える本だけを選びたいのだ。
そのように迷える子羊のような心境の僕に救いの手を差し伸べてくれたのが本書だった。(「中年男に子羊はないだろう。」というブーイングが聞こえてきそうだけど。)
著者は中江有里さん。僕の世代には好感度ナンバー1(僕はそう思っている)の女優・作家だ。中江さんは年間300冊以上を読破する超読書家である。
女優、作家として活躍されるほか、NHK高校講座「国語表現」でMCを担当され、NHKの「ひるまえほっと」では「中江有里のブックレビュー」というコーナーを担当されている。ソフトで落ち着いた語り口が彼女の魅力だと思う。
彼女が読書好き(というより「本の虫」)であることを僕が知ったのはアナログテレビ時代の1991年に放送が始まったNHK BS「週間ブックレビュー」を見たときだ。(中江さんは2004年 - 2012年3月の期間、司会を務めている。)
「週間ブックレビュー」は21年続いた数少ないテレビの書評番組だった。豊富な読書経験を穏やかに語る児玉清さんが司会をされていたのは1993年度~2010年度(週替わりで担当)である。このような良質な番組が無くなってしまったのは、ものすごく残念だ。
けれどもNHKでは2013年4月から月1回のペースで「中江有里のブックレビュー」というコーナーを放送している。毎回3~4冊紹介しているので、バックナンバーを開けばかなりの数のお勧め本情報が得られる。これは貴重だ。このコーナーはずっと続けてほしい。
中江さんのお勧め本をまとめた本書は次のような3部構成である。
I ホンのひととき(エッセイ)
II 読書日記 2011~2014
III 書評の本棚
I部では中江さんはご自身のこと、どのようにして本好きになっていったか、人生の先輩として尊敬していた児玉清さんへの想い、本を読むことの楽しみなどを語っている。
II部とIII部はこれまで読んだ本の紹介と感想が書かれている。小説に限らず、あらゆるジャンルの本をお読みになっていることに驚かされた。科学分野では「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」という本が紹介されていた。巻末の「掲載書籍一覧」を数えてみたところ、本書全体で紹介れている本は111冊もある。
知識を得たり物事を理解するための読書は大切だ。けれども、それ以外のジャンルの読書をしないと、人は自然に自分の考え方、感じ方に凝り固まってしまいがちなものである。小説やエッセイ、評論などを読むことで、ふだん自分の意識にのぼらない世界を知り、自分とは全く違う著者の考え方、感じ方を疑似体験することができる。著者や本の中の登場人物に共感したり反感をもったりしながら、自分の感性の位置づけを再確認できると思う。
本書の中でいちばん僕の心に残ったのは、中江さんが同じ本を読むことの大切さについて語った次の言葉だ。
「同じ本を何度も繰り返し読むこともお勧めします。同じ本ならいくら読んでも内容は変わりません。だからこそ、読み手である自分の変化に敏感になるのです。- 中江有里」
作家として中江さんは小説もお書きになっている。児玉清さんがお書きになった本とともに、検索リンクを張っておこう。
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一見、寄り道だと思える本の中には、他人と関わりながら生きていく自分の人生をより豊かにする養分がたくさん含まれていると思うのだ。
中江さんのテレビ出演情報:
直近で中江さんが出演されるテレビ番組を紹介しておこう。今週は次の2つの番組に出演予定なので、ぜひご覧いただきたい。
5月13日(水)午前11時05分~ NHK総合(関東地域のみ)「ひるまえほっと」’中江有里のブックレビュー’に出演します。
5月15日(金)午前8時15分~ NHK総合「あさイチ」”特選エンタ”のコーナーに出演します。
余談: 今読んでいる「固体物理の基礎 上・2 固体のバンド理論: アシュクロフト、マーミン」は、ようやく半分あたりを過ぎた。読み終えるまでにはあともう少しかかりそうだ。
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I ホンのひととき(エッセイ)
II 読書日記 2011~2014
III 書評の本棚