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NHKニューヨーク白熱教室:第1回 アインシュタインの夢


NHKニューヨーク白熱教室(4回シリーズ)
毎週金曜日 Eテレ 午後11時から11時54分まで(2か国語放送)
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/newyork/index.html

ニューヨーク市立大学シティーカレッジ
ミチオ・カク 教授
超弦理論が専門で、世界で最もその名を知られている物理学者の一人。日系3世。物理学のみならず未来論についての啓蒙活動で知られる。コンピューターの驚異的発展、バーチャル世界の膨張、不老不死研究、心や意識の未来など、これまでにない全く新しい未来像を提示し続けている。最新の科学を一般の人向けにわかりやすく情熱的に伝える力量が世界で高く評価されている。


NHKニューヨーク白熱教室:第1回 アインシュタインの夢

科学の歴史は、“創造主の意思”ともいえるたった一つの自然法則を探求する道のりであった。17世紀、ニュートンは地上と天空の現象を統一的に説明する万有引力の法則を発見。19世紀には電気と磁石による現象が実は同一だという発見がなされた。そして21世紀、人類は全ての法則をわずか一行で説明する“万物の理論”へ肉薄しているという。最有力候補は超弦理論。異次元の存在を予言する奇妙な最先端理論への道のりをひもといていく。

昨夜放送開始のNHK白熱教室の新シリーズ。数々のポピュラー・サイエンス書や講演で知られているニューヨーク市立大学シティーカレッジの理論物理学者、ミチオ・カク先生による現代物理学講座だ。

この番組のことを知ったのは放送開始のわずか1分前だった。前もって告知記事を書くことができなかったのが悔しい。

このブログが理数系化したのも先生の著書「パラレルワールド」を読んだがひとつのきっかけだったし、超弦理論の教科書も邦訳された最初の本ということで昔から有名だったから番組を見逃すわけにはいかない。

始まってすぐ気がついたのは会場の受講者が少ないこと。「白熱教室」なのに空席が目立つ。受講者も大学生ばかりなので、おそらくこの講座は一般市民は対象になっていなかったのだと思った。

第1回は54分で2000年の科学史を総括するものだった。1955年にアインシュタインが死去したとき、世界中に紹介されたのが博士の机と黒板の写真。偉大な科学者がやり残した仕事とは何だったのか?カク先生はそれが何なのか知りたくなり、図書館へ向かったのだという。

カク先生の著作は「超弦理論」と「未来社会」の2つの結びつきを紹介するものがほとんどだ。その前段階として第1回の放送でこれまでの歴史をたどるものとなっていた。

- 古代における自然についての理解
- ハレー彗星の軌道、ニュートン力学の誕生
- ニュートン力学から熱力学が導かれ、産業革命を生み出した
- 電気による現象、磁気による現象がそれぞれ研究され実用に活かされた
- フランクリン、ファラデー、マクスウェルらの研究、実験による電磁気学の完成
- アインシュタインの相対性理論、そして果たせなかった万物の理論(統一場理論)への夢
- 量子力学、素粒子物理学、標準理論、そして果たせなかった重力理論との統一
- 超弦理論の紹介とそれが万物の理論の候補であることの説明

これだけのことを1時間足らずの間に解説するのだから、それぞれの論理関係を十分に掘り下げて説明することはできない。物理学はある程度詳しく説明しないと面白味が損なわれてしまうものだ。ふだん科学教養書を読み込んでいる人にとっては単なる知識の寄せ集めのように思った人が多かったと思う。2012年に放送されたNHKの「神の数式」のほうが面白いと思った人が多かっただろう。

それでもネットを検索したら多くの人が「この番組面白い!」とツイートされているのがわかった。物理学を世の中の人に知ってもらうためには、要約して簡単に説明する番組も必要なのだと、後になって僕は納得した。

あと気がついたのは、過去に放送された科学教養番組で科学史全体を総括するものがほとんどなかったことだ。とりわけ電磁気学の発展史は貴重だ。この意味で昨夜の放送は価値のあるものになったと思う。

フランクリン、ファラデー、マクスウェルらによる電磁気学の発展史は、以下の記事で紹介したドラマ仕立ての動画として見れるので、ご覧になるとよいだろう。

物理学、数学の動画: 相対性理論、量子論、電磁気学、超弦理論など)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/381f2242143b9804e25c95a948c8758f


カク先生の発言を問題視する物理学者は多い。話がトンデモな方向、SFの話に発散してしまい科学ではなくなるからだ。だから第2回以降の番組は気をつけて見なければならない。僕としても科学と非科学(空想)を明確に区別して紹介記事を書くつもりだ。


なお、昨夜の放送はすでにネット上に公開されてしまっている。見逃した方はここから検索してみるとよいだろう。(この記事を投稿した時点では「NHKオンデマンドの見逃し番組」からは見れるようになっていない。)


以下、ミチオ・カク先生の著書を刊行順に紹介しよう。

科学(?)教養書もしくは科学SF書: Kindle版がお買い得だ。

パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ:ミチオ・カク」(Kindle版)(紹介記事)- 2006年刊行

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内容
ブラックホールへの決死の旅や、タイムマシン、もうひとつの宇宙、そして多次元空間―本書は宇宙論の世界を席捲する革新的な宇宙の姿を鮮やかに描き出す。今日、ひも理論とその発展理論であるM理論は圧倒的な支持を得て、世界の名だたる物理学者や天文学者が、最先端の波検出器、重力レンズ、衛星、天体望遠鏡を動員し、多宇宙(マルチバース)理論の検証に取り組んでいる。もしパラレルワールドが存在するのなら、いつかこの宇宙が暗く凍ったビッグフリーズを迎えるとき、われわれの未来の先進文明は、次元の「救命ボート」によってこの宇宙を脱出し、パラレルワールドへと至る方法を見つけるであろう。

サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か:ミチオ・カク」(Kindle版)- 2008年刊行

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内容
今でも当たり前のGPSや携帯電話は、かつて想像の世界にしか存在しなかった。だとしたら、タイムトラベルやテレポーテーションも、実現できる日が来るかもしれない。『スター・トレック』や『透明人間』など、古今のSF作品に登場する「ありえない」テクノロジーは、いつ、どのように実現できるのか…。現代物理学界を代表するミチオ・カク博士も、昔はSF大好き少年だった!だれもが持つ「少年時代の夢」をかなえる最先端の科学理論をカク博士が熱く語った、全米ベストセラーのポピュラー・サイエンス書。

2100年の科学ライフ:ミチオ・カク」(Kindle版)- 2012年刊行

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内容
コンピュータ、人工知能、医療、ナノテクノロジー、エネルギー、宇宙旅行…近未来(現在~2030年)、世紀の半ば(2030年~2070年)、遠い未来(2070年~2100年)の各段階で、現在のテクノロジーはどのように発展し、人々の日常生活はいかなる形になるのか。世界屈指の科学者300人以上の取材をもとに物理学者ミチオ・カクが私たちの「未来」を描きだす。

フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する:ミチオ・カク」(Kindle版) - 2015年刊行

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内容
テレパシー・記憶の増強・AI…SFが現実になる!「心」をめぐる科学の最前線、そこから導かれる驚愕の未来図。NHK「NEXT WORLD私たちの未来」出演の理論物理学者が綴る第一級のサイエンス・ノンフィクション。

専門書: うかつに手を出してはいけない。

超弦理論 :ミチオ・カク」- 1989年刊行

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内容
過去50年もの間解けなかった、場の量子論と一般相対論の統一という問題を解決する超弦理論についての本格的入門書。2000年刊行の改訂版では省かれた「アティヤ=シンガーの指数定理」の証明が掲載されている。

超弦理論とM理論:ミチオ・カク」(購入リンク2)- 2000年刊行

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内容
過去50年もの間解けなかった、場の量子論と一般相対論の統一という問題を解決する超弦理論と、その最近の定式化であるM理論についての本格的入門書。1989年刊「超弦理論」の改題改訂。


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