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理論物理学の最前線の研究を知るためのまたとない機会である。昨日12月6日に2019年度仁科記念講演会で行われた高柳匡先生と大栗博司先生の講演を聴講してきた。高柳先生は、2006年にエンタングルメント公式(笠-高柳公式)を発表したことで知られている。
2019年度仁科記念講演会
https://nishina-mf.sakura.ne.jp/project/lecture/
朝日カルチャーセンターのように一般市民向けに行われる講座と違い、今回は物理学専攻の大学生から研究者に向けた講演である。難易度はとびきり高いことは言うまでもない。一般市民ならば「大栗先生の超弦理論入門:大栗博司」をお読みになるのががいちばんよい。)
単なる物理学マニアに過ぎない僕のような者が聞いてもすべて理解できるはずがないから、おおまかなところだけでも吸収できればよいと、ゆったりとした気持ちで聴講させていただいた。
事前登録なし、先着順200名までということだったので、開始1時間前に到着したところ、すでに20名ほどの人が席をとっていた。
予定時刻までに会場は満席になり、2008年にノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生も最前列にお見えになっていた。(参考記事:「興奮!!:ノーベル物理学賞を日本人の科学者3人が独占」)
進行役は「日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」」のときに講演を聞かせていただいた須藤靖先生だ。このときの講演動画もすでに公開されている。
大栗先生も会場に到着され「お久しぶりです。」と挨拶させていただくとともに、先月の紫綬褒章受章についても「受賞おめでとうございます!」と忘れずに申し上げた。先生に最後にお目にかかったのは2016年3月の「「9次元からきた男」ブロガー特別試写会」のときだったから3年9カ月ぶりである。
講演内容で理解できたところだけでも、この記事で解説しようと思っていたが、理解がまったく及ばず頭を抱えていた。
ところが、すでに講演動画が公開されている。これをご覧いただくのがいちばんである。まさか翌日に公開されるとは思っていなかった。
2019/12/06 仁科記念講演会 東京大学 量子重力
講演1:高柳先生の講演: YouTubeで再生(動画再生開始から14分0秒後)
講演2:大栗先生の講演: YouTubeで再生(動画再生開始から1時間16分0秒後)
プログラム
挨拶
小林 誠(仁科記念財団理事長)
山本 智(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻専攻長)
講演1 「量子ビットの幾何学から重力へ」
高柳 匡(京都大学基礎物理学研究所教授)
講演2 「重力の条件」
大栗博司(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構機構長、カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授)
講演はもちろん僕には難し過ぎたわけだが、AdS/CFTと量子情報理論がどのように結びついているのかは理解できた。お二人の先生の説明の中に「極小曲面」がでてきたのが興味深かった。(参考記事:「ストッキングを使った極小曲面、最小面積曲面の実験」)
量子重力理論の歴史は次のとおり。
1970年:ハドロンの弦理論(南部、サスキンド、ニールセン)
1974年:弦理論が重力の理論を含む(米谷、シャーク、シュワルツ)
1976年:ホーキングの情報喪失(情報パラドックス):「ホーキング、宇宙を語る」
1988年:ループ量子重力
1997年:AdS/CFT対応、ホログラフィック原理による量子重力理論の定義(マルダセナ)
2002年:ホログラフィックQCD
2006年:エンタングルメント公式(笠-高柳公式)
2008年:ホログラフィック超伝導
2009年:量子重力創発条件
2015年:量子エラー訂正符号による空間創発
2017年:創発空間のアインシュタイン方程式の導出
2019年:量子重力には対称性はないことを大栗博司、ダニエル・ハーロウが証明(参考記事)
しかし、量子情報による時空の創発については、橋本幸士先生がされている深層学習を使ったご研究(参考記事:「深層学習と時空:橋本幸士先生 #MathPower」)や堀田昌寛先生が「量子情報と時空の物理 第2版: 堀田昌寛」でお書きになっている内容と、どのように関係しているのかが、僕にはよくわからなかった。
ともあれ、知的刺激に満ちた数時間を過ごさせていただいた。高柳先生、大栗先生、ありがとうございました。
最後に会場に到着するまでに、東大構内で撮影した写真を載せておこう。安田講堂を仰ぎ見たのは初めてだった。
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関連記事:
大栗博司先生がKavli IPMU機構長に就任
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/afb0f086ed0b1a75972b7f70cf568576
量子重力には対称性はない ― 大栗機構長らが証明
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f3873800958a91cedc050075c14d303c
日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d39ec747fb47e0c8418e7e167e2f60c4
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理論物理学の最前線の研究を知るためのまたとない機会である。昨日12月6日に2019年度仁科記念講演会で行われた高柳匡先生と大栗博司先生の講演を聴講してきた。高柳先生は、2006年にエンタングルメント公式(笠-高柳公式)を発表したことで知られている。
2019年度仁科記念講演会
https://nishina-mf.sakura.ne.jp/project/lecture/
朝日カルチャーセンターのように一般市民向けに行われる講座と違い、今回は物理学専攻の大学生から研究者に向けた講演である。難易度はとびきり高いことは言うまでもない。一般市民ならば「大栗先生の超弦理論入門:大栗博司」をお読みになるのががいちばんよい。)
単なる物理学マニアに過ぎない僕のような者が聞いてもすべて理解できるはずがないから、おおまかなところだけでも吸収できればよいと、ゆったりとした気持ちで聴講させていただいた。
事前登録なし、先着順200名までということだったので、開始1時間前に到着したところ、すでに20名ほどの人が席をとっていた。
予定時刻までに会場は満席になり、2008年にノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生も最前列にお見えになっていた。(参考記事:「興奮!!:ノーベル物理学賞を日本人の科学者3人が独占」)
進行役は「日本物理学会2016年度公開講座 「一般相対性理論と宇宙 -重力波研究の最前線-」」のときに講演を聞かせていただいた須藤靖先生だ。このときの講演動画もすでに公開されている。
大栗先生も会場に到着され「お久しぶりです。」と挨拶させていただくとともに、先月の紫綬褒章受章についても「受賞おめでとうございます!」と忘れずに申し上げた。先生に最後にお目にかかったのは2016年3月の「「9次元からきた男」ブロガー特別試写会」のときだったから3年9カ月ぶりである。
講演内容で理解できたところだけでも、この記事で解説しようと思っていたが、理解がまったく及ばず頭を抱えていた。
ところが、すでに講演動画が公開されている。これをご覧いただくのがいちばんである。まさか翌日に公開されるとは思っていなかった。
2019/12/06 仁科記念講演会 東京大学 量子重力
講演1:高柳先生の講演: YouTubeで再生(動画再生開始から14分0秒後)
講演2:大栗先生の講演: YouTubeで再生(動画再生開始から1時間16分0秒後)
プログラム
挨拶
小林 誠(仁科記念財団理事長)
山本 智(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻専攻長)
講演1 「量子ビットの幾何学から重力へ」
高柳 匡(京都大学基礎物理学研究所教授)
講演2 「重力の条件」
大栗博司(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構機構長、カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授)
講演はもちろん僕には難し過ぎたわけだが、AdS/CFTと量子情報理論がどのように結びついているのかは理解できた。お二人の先生の説明の中に「極小曲面」がでてきたのが興味深かった。(参考記事:「ストッキングを使った極小曲面、最小面積曲面の実験」)
量子重力理論の歴史は次のとおり。
1970年:ハドロンの弦理論(南部、サスキンド、ニールセン)
1974年:弦理論が重力の理論を含む(米谷、シャーク、シュワルツ)
1976年:ホーキングの情報喪失(情報パラドックス):「ホーキング、宇宙を語る」
1988年:ループ量子重力
1997年:AdS/CFT対応、ホログラフィック原理による量子重力理論の定義(マルダセナ)
2002年:ホログラフィックQCD
2006年:エンタングルメント公式(笠-高柳公式)
2008年:ホログラフィック超伝導
2009年:量子重力創発条件
2015年:量子エラー訂正符号による空間創発
2017年:創発空間のアインシュタイン方程式の導出
2019年:量子重力には対称性はないことを大栗博司、ダニエル・ハーロウが証明(参考記事)
しかし、量子情報による時空の創発については、橋本幸士先生がされている深層学習を使ったご研究(参考記事:「深層学習と時空:橋本幸士先生 #MathPower」)や堀田昌寛先生が「量子情報と時空の物理 第2版: 堀田昌寛」でお書きになっている内容と、どのように関係しているのかが、僕にはよくわからなかった。
ともあれ、知的刺激に満ちた数時間を過ごさせていただいた。高柳先生、大栗先生、ありがとうございました。
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