「Multilingual Experience 外国人戦略のためのWEB多言語化: 上森久之」(Kindle版)
内容紹介:
10兆円市場を見逃すな!!日本の成長のカギは外国人戦略にあった!インバウンド(訪日外国人)、在留外国人、グローバル対応…日本の未来を創る多言語化SaaSとは?
インターネット上で使われる日本語の割合は約3%、それ以外の外国語は97%だと言われています。日本語だけの情報発信では世界の97%の方々に情報を届けられません。情報伝達は、紙の時代から、膨大な情報を取り扱うインターネットの時代となりました。これまでとは次元の違う「量とスピード」で多言語化が求められています。
現在、インバウンドと在留外国人を合わせて10兆円規模の市場があります。この大きな市場の存在とともに、外国人対応は日本が抱える社会課題でもあります。
本書ではインバウンドと在留外国人向けWEB多言語化の実態と重要性、具体的な事例と導入方法について解説します。
2019年10月1日刊行、232ページ。
著者について:
上森 久之(うえもり ひさゆき): Twitter: @hisayuki_uemori
Wovn Technologies株式会社取締役副社長・COO。公認会計士。2007年より、大手監査法人にて米国大手物流企業や欧州大手小売メーカーの会計監査、J‐SOX監査などを担当。その後、大手コンサルティングファームにて新規事業/オープンイノベーションのコンサルティング、M&A関連業務などに従事。海外企業の日本ローカライズ支援や海外展開支援アドバイザリーを実施。海外外務省主催テクノロジーアワードや、経済産業省によるグローバル展開支援事業の審査員などを歴任。また、米国スタートアップ企業で日本代表を務め、日本・アジアでのサービス展開・ブランディングを実施。Wovn Technologies株式会社では、様々な業種・業界にて300社以上のクライアントに対し、WEB多言語化を支援。
Wovn Technologies株式会社
https://wovn.io/ja/
本業にかかわることは、ブログには書かない方針でこれまで進めてきた。IT系の翻訳プロジェクト管理は僕の本業である。とはいえ、本書はプライベートでも関心がある「語学系」であること、「英語教育の危機 (ちくま新書):鳥飼玖美子」を読んでから続いている「日本社会と外国語、外国人への関心」というマイブームの流れから、ぜひ紹介したいと思ったので読ませていただいた。著者の上森さんは僕の友人でもあるし、彼の会社で少しだけ仕事のお手伝いをしたことがある。
視点が変わると課題が変わる
本書を読んで、まず感じたのは「視点が変わると課題が変わる」ということだった。
鳥飼先生の「英語教育の危機 (ちくま新書)」では、日本政府が押し進めている「グローバル人材育成戦略」に基づいた英語教育が財界からの要請に基づくもので、その実情は大学教育においては「和製グローバル人材育成」でしかなく、なおかつ小中高では「英会話力」だけを重視した結果、教育現場で混乱と歪みをもたらし、英語力のいちじるしい低下をもたらしていると批判している。
また、財界や政府が掲げる「グローバル人材育成」とは英語一辺倒であるため、鳥飼先生はこれからの日本に必要とされるのは英語だけでなく、ヨーロッパ評議会で提唱されている「複言語主義」であるべきだと第4章でお考えを述べている。複言語主義とは個人の中で複数の言語を共在させ関連づけることで、豊かなコミュニケーション力を培うこと。母語以外に2つ以上の言語を学び、相互の豊かさと理解へ転換するというものだ。これには多大な教育的な努力が必要である。
複言語主義の必要性は、鳥飼先生の本の次に読んだ「英語と日本軍 知られざる外国語教育史:江利川春雄」でも、著者の江利川先生が強調されていた。そして先生は「企業が求める人材育成は、本来的には企業の責務である。」とお考えになっている。
僕はたまたま英語とフランス語を使いこなせるようになったが、これはほとんど自力での勉強によるものであって、会話や実用という意味で学校教育での恩恵はほとんど受けていない。外国語教育の問題は一朝一夕には解決せず、時間をかけて取り組むべき課題だ。
ここまでは教育に視点を置いた外国語学習の話である。ところが視点を日本社会、日本経済に移してみると取り組むべき課題が一変する。
日本は少子化が進み、人口が減少しつつある。これまでと同じやり方を企業が続けている限り日本経済は衰退の一途をたどることだろう。人口減少、労働力減少を食い止めるために、日本政府は規制を緩和して外国人労働者を積極的に受け入れる政策をとり始めた。
また、中国人旅行者による「爆買い」のブームは終わってしまった。そのため外国人観光客(インバウンド)に日本国内でより多くの買い物や消費行動をしてもらうことで、新たな需要の創出が求められるようになった。また、海外からの投資も増やす必要がある。
このような時代の変化によって求められてくるのが外国人に対するビジネス戦略、これまでのグローバル戦略とは違った「多言語化戦略」なのである。これが本書がノウハウを提案している主要テーマだ。
日本経済を衰退させてはならない。危機を乗り越えて、むしろ経済発展させようではないか。日本社会、経済活動という視点に切り替えると、外国語教育からの視点とはまったく異なる、新たな課題とチャレンジが私たちに突き付けられてくるのだ。
「まだ結婚できない男」に映し出される日本の姿
僕は今月から始まった阿部寛さん主演のテレビドラマ「まだ結婚できない男」を毎週楽しく見ている。イケメンでリッチな建築士-桑野信介(阿部寛)が主役のこのドラマは2006年に放送された「結婚できない男」の続編だ。旧作の放送から13年経っている。
主役の桑野は相変わらず独身で、少子化問題の象徴そのものだ。(その原因は桑野自身のひねくれた性格によるものだから社会問題とは関係ない。)そして今回の新作では2006年の放送にはなかったスマートスピーカーに話しかける桑野の姿が映され、哀愁をかもしだしている。その背景にあるのは、音楽や映像コンテンツのネット配信を楽しむ生活、13年前とは異なるGAFA(アメリカ合衆国に本拠を置く、Google、Amazon.com、Facebook、Apple Inc. の4つの主要IT企業)の日本社会への浸透である。旧作で映されたレンタルビデオ店に桑野はもう行っていない。(ちなみに2006年の放送でロケ地となったレンタルビデオ店は、僕の家の近くの丸ノ内線方南町駅の交差点にあった。現実の世界でもすでに店はなくなり、方南駅に新設された出入口になっている。参考:旧作のロケ地)これは日本企業の衰退の一例だ。
桑野が利用するコンビニのレジにも変化がおきていた。旧作で映っていたレジにいたのは、フリーターらしき若い男性店員やギャルっぽい女の子である。ところが新作の第1回でレジにいたのは手際よく仕事をこなす外国人の女の子(おそらくフィリピン人)だった。そして第2回でレジにいたのは頭の禿げた高齢者の日本人男性である。おそらく会社をリストラされたのだろう。レジの操作がわからず、もたもたして桑野をいら立たせてしまった。他の店員に助けを求めると、でてきたのは第1回で登場した外国人の女の子だ。「これ、前にも説明しましたよね!」と男は外国人の女の子からきつく叱責されてしまうのである。このシーンは日本経済の衰退によるリストラ、外国人労働者の増加という現代の日本社会を象徴している。たった13年の変化なのだ。旧作で働いていた若い男性店員やギャルっぽい女の子はどこへ行ってしまったのだろうという疑問を新作では持ち出さないが、これも気にとめておくべき社会問題だと思った。
少子化による人口減少(GDPの減少)、経済活動の衰退、高齢者の雇用問題は、政府や行政だけでなく、国民あげて取り組むべき重要な課題である。その解決策として重要になるのが「外国人労働者の採用」、「在留外国人の消費拡大」、「訪日外国人(インバウンド)の消費拡大」、「海外投資家の投資拡大」である。その鍵を握るのは「WEBシステムの多言語化」なのだ。
本書について
前置きが長くなったが、本書について解説しよう。著者はWovn Technologies株式会社で取締役副社長・COOを務める上森さんだ。この会社は企業のホームページやECサイトを始めとするあらゆるWEBシステムを効率的に多言語化するシステムを開発し、顧客企業のビジネスを多言語化する支援を事業としている。多言語化といっても「ただ翻訳するだけ」ではない。その言語や国特有の事情を考慮し、その国の人に使いやすいWEBシステムを実現するという点で、既存の「グローバル化」や「WEBページの翻訳」を超えている。
僕は上森さんと直接面識があるのだが、彼はこの事業に大きな期待と夢をお持ちで超多忙な日々を送られている。そしてものすごい勉強家なのだ。ビジネス書を中心に本を読み漁っている。本書の出版を知ったとき「よくもまあ、本を書く時間をとれたものだなぁ。」と驚いた。一読して、これまでの読書経験が活かされ、「伝えたい、共感してもらいたい」という気持ちがよく伝わってきた。もちろん僕は本書が勧めている「WEB多言語化」という企業戦略に大賛成である。
出版元の日経BP社の紹介ページはこちらだ。
Multilingual Experience 外国人戦略のためのWEB多言語化(日経BPブックナビ)
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/19/274120/
そして、章立てはこのとおりである。
2000文字ダイジェスト: 母国語でインターネットを
第1章: 10兆円「外国人市場」戦略のすすめ
第2章: 多言語体験(MX)が新市場攻略のカギ
第3章: 訪日客3000万人、拡大続くインバウンド
第4章: 在留外国人は約5兆円の市場を生んでいる
第5章: 9割の日本企業にグローバル展開が必須になる
第6章: インターネット多言語対応の難しさ
第7章: 多言語対応の最適解はSaaS
おわりに: 社会課題としての多言語時代対応はチャンス
上森さんはもともと公認会計士であり、僕とは違うジャンルの背景をもっている人だ。そのために僕とはまったく違う視点で同じ課題を見ていることが新鮮だった。(COOなのだから当然ではあるが)つまり、上森さんは数字に強いし、分類して分析するのが得意ということだ。刊行されたばかりの本だから統計データも新しい。「外国人労働者や観光客をよく見るようになったな。」とか「ああ、この会社はこんなにリストラしたのか。」、「中国はなぜこんなに発展しているのだろう。」と日頃感じていることが、具体的かつ鮮明に浮かび上がり、なぜそのように推移していったのかがよくわかるのだ。数値化することで問題点はクリアになり、問題点をチャンスに変えるための課題と戦略、行動が見えてくる。
海外展開をしている日本企業が抱える問題を上森さんは熟知している。本書には書かれていないことだが、大手外資系企業の日本法人についても同じ問題を抱えていることに僕は気がついた。海外展開に必要なのは「翻訳」であるが、やみくもに翻訳すればよいというものではない。同じ会社であっても事業部や部門ごとに必要な翻訳をしているのが現状である。横のつながりがないため同じような翻訳を重複して外注することになり、無駄な翻訳コストが生じてしまっているのである。日本企業での状況は想像しやすいが、グローバル化が進んでいる外資系企業でもそれは同じなのだ。
外資系企業についていえば、海外支社(たとえば日本)の事業部は本社の事業部の直轄に置かれることが多く、総じて本社のガバナンスが強いものだ。本社の事業部で使っている資料やWEBページをそのまま事業部ごとに翻訳して国内でのビジネスに利用している。もし、日本支社全体の翻訳対象をひとつの部門に集約することができれば、翻訳に必要なテクノロジーを共通に利用でき、翻訳にかかるコスト、時間を大幅に減らすことができる。しかし、日本企業と同様、外資系企業でもこれが行われていないのが現状である。外資系企業が「グローバル化」の名のもとに行っているのは極論すれば「本社の流儀を全世界の支社に適用すること。」に過ぎない。
英語ではなく日本語を元の言語として、その会社のビジネスに必要な言語をどのように選択するか、そして翻訳すべき言語が複数あるとき、どのようにすればコストと手間をかけずにWEBシステムを多言語化することができるのか。これが本書で解説されていることである。
上森さんが日本語をとても大切にされていることも本書を読んで気がついた。専門用語を使うときは初出のときに説明を加えていること、なるべく日常的に使われている用語を使って執筆されている。カタカナ用語が使われがちなIT業界のビジネス書に慣れていない読者でもわかるように配慮しているのだ。IT系の人には説明不要な「SIer」という用語にも「システム・インテグレーター」ではなく「システム開発者」という説明を付けているほどの親切さである。このあたりの言語感覚は、日頃の読書だけでなく、さまざまな企業のトップへのコンサルティング、バラエティに富んだ背景をもつ社内の社員との打ち合わせを経験された中で身に付けられたのだろうと思った。(上森さんの会社の社員の多数は外国人である。)
本書が提案しているWEBシステムの多言語化は、企業のホームページ(社内向けと社外向け)やECサイトだけにとどまらない。国や地方自治体、そして「組織」と名の付くあらゆる団体のホームページに対して適用されるべきものだ。労働だけでなく衣・食・住を含めて外国人労働者が日本で快適に過ごすことができるようにすることが長い目で日本社会の将来を見据えたときに大切なことなのだ。在留外国人・訪日外国人は主にモバイルサイトを利用するから、PCサイトだけでなくモバイルサイトを使いやすくすることも重要だ。そして、WEBシステムの多言語化は、そのために支払わなければならないコストではなく、莫大な利益と企業の成長をもたらす投資なのだと視点を切り替えるべきである。
ところで、頻繁に更新されるWEBシステムに対して、多言語化したWEBシステムはどのように対応すべきかという点もも本書で解説されている。要求されるスピードと量に対応するためには、ニューラルネットワークにより進化した(Google翻訳を代表とする)機械翻訳の利用が欠かせない。とはいえ、上森さんは現在の機械翻訳の品質を手放しで楽観しているわけではない。機械翻訳の問題点を熟知され、MTPE(Machine Translation Post-Editing)、すなわち機械翻訳+翻訳後の編集が必要であることを述べている。MTPEは業界、業種、翻訳対象の特質に大きく依存するため個別に分類して戦略を立てる必要がでてくる。
また、WEBシステムの多言語化は翻訳だけの課題にとどまらない。多言語化することによるレイアウトの崩れ、言語ごと、国ごとに異なる対応が必要なケースがでてくる。本書ではこのあたりのノウハウを国内企業での成功例を紹介しながら、解説をしている。僕の印象に残ったのは、外食チェーンの「ガスト」、外国人に大人気の天然とんこつラーメン専門店の「一蘭(いちらん)」、「セブン銀行」での成功例である。セブン銀行の取り組みは特に素晴らしく、本書の第4章に書かれている「利益率30%、多文化・多言語の先進企業、セブン銀行」や「1週間かかった海外送金を5分で実現」をお読みいただきたい。日本で働く外国人労働者の本国への送金が5分でできるようにしたという実績の詳細を読むことができる。
これらの会社のサイトはすでに多言語化されている。
ガスト(すかいらーくグループ):日本語、英語、簡体中国語、繁体中国語、韓国語
https://www.skylark.co.jp/gusto/
一蘭(天然とんこつラーメン専門店):日本語、英語、簡体中国語、繁体中国語、韓国語
https://ichiran.com/
セブン銀行:日本語、英語
https://www.sevenbank.co.jp/
Wovn Technologies株式会社や上森さんが目指すのはビジネスや社会の多文化共生だ。外国語教育における複言語主義の実践は、まだまだ先の話になるが、多文化共生と複言語主義の2つがもたらす将来の日本の姿がおぼろげながら見えてきた気がした。
日本はまだまだ行けるじゃん!と元気になれる一冊だ。企業の経営者だけでなく、グローバル化、グローバル人材という言葉が気になる方、職場で外国人従業員を見かけるようになった方、翻訳会社や翻訳者の方、日本の行く末が気になっている方は、ぜひお読みになっていただきたい。
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「Multilingual Experience 外国人戦略のためのWEB多言語化: 上森久之」(Kindle版)
2000文字ダイジェスト: 母国語でインターネットを
第1章: 10兆円「外国人市場」戦略のすすめ
- 10年分の成長に相当する、10兆円「外国人市場」戦略のすすめ
第2章: 多言語体験(MX)が新市場攻略のカギ
- 10兆円市場攻略のカギは多言語体験(MX)
- インバウンド消費は「単価UP×人数UP」、在留外国人消費は「単価×人数UP」
- 外国人向けビジネスのカギを握る多言語体験(MX)とは
- イントラネットとJ-SOX統制環境
- おもいやりに欠ける外国人に対するサービス
- 「住民票」は「JUMINHYO」?投資対象として注目
- 多言語体験(MX)の必要性
- MXは多言語化を3フェーズに整理
- 何でも翻訳すればいいわけじゃない
- 情報を読む人と発信する人
第3章: 訪日客3000万人、拡大続くインバウンド
- 人口・GDP減少時代の成長施策「外国人戦略」
- モノからコト、工業製品からサービス産業へ
- インバウンド消費額は個人消費増加額の4年分
- 45年ぶりにインバウンドがアウトバウンドを上回る
- 世界の海外旅行が倍増、人口の2割が海外旅行を経験
- 観光サービスは次世代の基幹産業と政府は期待
- 1年で結果を出すために3年先の数字を掲げる
- コスパのいい日本の自動車
- 安さからプレミアムへ---エクスクルーシブに商機
- 四季豊かな地域のブランド力を活かす
- 「モノ」ではなく「コト」を買う外国人観光客
- 言語ごとにデザインを最適化し体験を演出する
- ECサイトの多言語化で店舗接客にも対応
- ROIを最大化するWEB多言語化システムでメリハリをつけた運用を
コラム:SaaSの金融効果
第4章: 在留外国人は約5兆円の市場を生んでいる
- 外国人労働者の受け入れで労働人口を確保する
- 過去の制作の失敗を活かして在留外国人に対応する
- 外国人労働者銘柄が投資対象として注目
- 経済成長の鍵は労働人口
- 過去最高を更新し増え続ける在留外国人。ベトナム・ネパールが中心
- 改正入管法で約35万人の在留外国人が増加
- 外国人が多い先進地域の情報収集はWEBが中心
- 銀行口座の開設をスムーズにする「WEB×多言語化」
- 利益率30%、多文化・多言語の先進企業、セブン銀行
- 1週間かかった海外送金を5分で実現
- 多言語メンバーが一元管理
- 外国人対応の施策は多言語メンバーの高いモチベーションから
- SDGs/CSRとしての多文化共生
第5章: 9割の日本企業にグローバル展開が必須になる
- 9割の日本企業に海外展開が必須
- グローバル化と国際化
- 日本は越境ECの成長余地が4倍ある
- 越境ECの留意点、モバイル対応
- 越境ECの留意点、法規制
- 国際間取引・越境取引はアービトラージ
- 機能が大切な「文明商品」と雰囲気が大切な「文化商品」
- 自国では手に入らない商品・サービスの購入
- ブランドやメーカーはBtoBからDTCへ(代理店から直販へ)
- 多文化と法務の慣習
- 多文化と公用語
- 日本はアジアの翻訳大国、アジア平均の20倍!
- 海外子会社の必要性
- グローバルな戦いで政府は頼れない
- 求められる海外機関投資家への対応
- マニュアルで現地の人材を徹底教育
- 日本のグローバル化に必要なブランド戦略
- ブランド戦略には徹底したマーケティングを
第6章: インターネット多言語対応の難しさ
- 情報伝達のほとんどはインターネット
- 大昔から機械翻訳の開発に取り組んできた
- ニューラルネットワークが機械翻訳を変えた
- ファッションの「ワンピース」が漫画の「海賊王」に
- 機械翻訳の限界を人が補う「MTPE」
- WEB多言語化では、テキスト翻訳はごく一部分
- テキストの翻訳でWEBサイトのデザインが崩壊
- 革新的技術の導入は大手企業から始まる
- いよいよ大企業の多言語対応への投資が始まった
第7章: 多言語対応の最適解はSaaS
- 世界的に拡大する翻訳市場
- WEBサイトの翻訳には手間がかかる
- 言語を増やすたびにまた最初から開発?
- エンジニアじゃなくても、多言語サイトのデザインができる
- 「動的ページ」の多言語化は難易度が高い
- フロント制御でデータベースの再構築が不要
- SIer(システム開発会社)はイチから作る演繹的アプローチ
- スタートアップだからできる帰納的アプローチ
- どんなWEBサイトでもOK、高い柔軟性
- 枯れた技術で信頼性と安定性を確保
コラム:コーパスは資産になる
おわりに: 社会課題としての多言語時代対応はチャンス
- 制約は創造を生む---世界初の課題はチャンスだ!
- 多言語化を先んじた企業が世界で生き残る
- パラダイムシフトを起こす地図を作る
参考文献
内容紹介:
10兆円市場を見逃すな!!日本の成長のカギは外国人戦略にあった!インバウンド(訪日外国人)、在留外国人、グローバル対応…日本の未来を創る多言語化SaaSとは?
インターネット上で使われる日本語の割合は約3%、それ以外の外国語は97%だと言われています。日本語だけの情報発信では世界の97%の方々に情報を届けられません。情報伝達は、紙の時代から、膨大な情報を取り扱うインターネットの時代となりました。これまでとは次元の違う「量とスピード」で多言語化が求められています。
現在、インバウンドと在留外国人を合わせて10兆円規模の市場があります。この大きな市場の存在とともに、外国人対応は日本が抱える社会課題でもあります。
本書ではインバウンドと在留外国人向けWEB多言語化の実態と重要性、具体的な事例と導入方法について解説します。
2019年10月1日刊行、232ページ。
著者について:
上森 久之(うえもり ひさゆき): Twitter: @hisayuki_uemori
Wovn Technologies株式会社取締役副社長・COO。公認会計士。2007年より、大手監査法人にて米国大手物流企業や欧州大手小売メーカーの会計監査、J‐SOX監査などを担当。その後、大手コンサルティングファームにて新規事業/オープンイノベーションのコンサルティング、M&A関連業務などに従事。海外企業の日本ローカライズ支援や海外展開支援アドバイザリーを実施。海外外務省主催テクノロジーアワードや、経済産業省によるグローバル展開支援事業の審査員などを歴任。また、米国スタートアップ企業で日本代表を務め、日本・アジアでのサービス展開・ブランディングを実施。Wovn Technologies株式会社では、様々な業種・業界にて300社以上のクライアントに対し、WEB多言語化を支援。
Wovn Technologies株式会社
https://wovn.io/ja/
本業にかかわることは、ブログには書かない方針でこれまで進めてきた。IT系の翻訳プロジェクト管理は僕の本業である。とはいえ、本書はプライベートでも関心がある「語学系」であること、「英語教育の危機 (ちくま新書):鳥飼玖美子」を読んでから続いている「日本社会と外国語、外国人への関心」というマイブームの流れから、ぜひ紹介したいと思ったので読ませていただいた。著者の上森さんは僕の友人でもあるし、彼の会社で少しだけ仕事のお手伝いをしたことがある。
視点が変わると課題が変わる
本書を読んで、まず感じたのは「視点が変わると課題が変わる」ということだった。
鳥飼先生の「英語教育の危機 (ちくま新書)」では、日本政府が押し進めている「グローバル人材育成戦略」に基づいた英語教育が財界からの要請に基づくもので、その実情は大学教育においては「和製グローバル人材育成」でしかなく、なおかつ小中高では「英会話力」だけを重視した結果、教育現場で混乱と歪みをもたらし、英語力のいちじるしい低下をもたらしていると批判している。
また、財界や政府が掲げる「グローバル人材育成」とは英語一辺倒であるため、鳥飼先生はこれからの日本に必要とされるのは英語だけでなく、ヨーロッパ評議会で提唱されている「複言語主義」であるべきだと第4章でお考えを述べている。複言語主義とは個人の中で複数の言語を共在させ関連づけることで、豊かなコミュニケーション力を培うこと。母語以外に2つ以上の言語を学び、相互の豊かさと理解へ転換するというものだ。これには多大な教育的な努力が必要である。
複言語主義の必要性は、鳥飼先生の本の次に読んだ「英語と日本軍 知られざる外国語教育史:江利川春雄」でも、著者の江利川先生が強調されていた。そして先生は「企業が求める人材育成は、本来的には企業の責務である。」とお考えになっている。
僕はたまたま英語とフランス語を使いこなせるようになったが、これはほとんど自力での勉強によるものであって、会話や実用という意味で学校教育での恩恵はほとんど受けていない。外国語教育の問題は一朝一夕には解決せず、時間をかけて取り組むべき課題だ。
ここまでは教育に視点を置いた外国語学習の話である。ところが視点を日本社会、日本経済に移してみると取り組むべき課題が一変する。
日本は少子化が進み、人口が減少しつつある。これまでと同じやり方を企業が続けている限り日本経済は衰退の一途をたどることだろう。人口減少、労働力減少を食い止めるために、日本政府は規制を緩和して外国人労働者を積極的に受け入れる政策をとり始めた。
また、中国人旅行者による「爆買い」のブームは終わってしまった。そのため外国人観光客(インバウンド)に日本国内でより多くの買い物や消費行動をしてもらうことで、新たな需要の創出が求められるようになった。また、海外からの投資も増やす必要がある。
このような時代の変化によって求められてくるのが外国人に対するビジネス戦略、これまでのグローバル戦略とは違った「多言語化戦略」なのである。これが本書がノウハウを提案している主要テーマだ。
日本経済を衰退させてはならない。危機を乗り越えて、むしろ経済発展させようではないか。日本社会、経済活動という視点に切り替えると、外国語教育からの視点とはまったく異なる、新たな課題とチャレンジが私たちに突き付けられてくるのだ。
「まだ結婚できない男」に映し出される日本の姿
僕は今月から始まった阿部寛さん主演のテレビドラマ「まだ結婚できない男」を毎週楽しく見ている。イケメンでリッチな建築士-桑野信介(阿部寛)が主役のこのドラマは2006年に放送された「結婚できない男」の続編だ。旧作の放送から13年経っている。
主役の桑野は相変わらず独身で、少子化問題の象徴そのものだ。(その原因は桑野自身のひねくれた性格によるものだから社会問題とは関係ない。)そして今回の新作では2006年の放送にはなかったスマートスピーカーに話しかける桑野の姿が映され、哀愁をかもしだしている。その背景にあるのは、音楽や映像コンテンツのネット配信を楽しむ生活、13年前とは異なるGAFA(アメリカ合衆国に本拠を置く、Google、Amazon.com、Facebook、Apple Inc. の4つの主要IT企業)の日本社会への浸透である。旧作で映されたレンタルビデオ店に桑野はもう行っていない。(ちなみに2006年の放送でロケ地となったレンタルビデオ店は、僕の家の近くの丸ノ内線方南町駅の交差点にあった。現実の世界でもすでに店はなくなり、方南駅に新設された出入口になっている。参考:旧作のロケ地)これは日本企業の衰退の一例だ。
桑野が利用するコンビニのレジにも変化がおきていた。旧作で映っていたレジにいたのは、フリーターらしき若い男性店員やギャルっぽい女の子である。ところが新作の第1回でレジにいたのは手際よく仕事をこなす外国人の女の子(おそらくフィリピン人)だった。そして第2回でレジにいたのは頭の禿げた高齢者の日本人男性である。おそらく会社をリストラされたのだろう。レジの操作がわからず、もたもたして桑野をいら立たせてしまった。他の店員に助けを求めると、でてきたのは第1回で登場した外国人の女の子だ。「これ、前にも説明しましたよね!」と男は外国人の女の子からきつく叱責されてしまうのである。このシーンは日本経済の衰退によるリストラ、外国人労働者の増加という現代の日本社会を象徴している。たった13年の変化なのだ。旧作で働いていた若い男性店員やギャルっぽい女の子はどこへ行ってしまったのだろうという疑問を新作では持ち出さないが、これも気にとめておくべき社会問題だと思った。
少子化による人口減少(GDPの減少)、経済活動の衰退、高齢者の雇用問題は、政府や行政だけでなく、国民あげて取り組むべき重要な課題である。その解決策として重要になるのが「外国人労働者の採用」、「在留外国人の消費拡大」、「訪日外国人(インバウンド)の消費拡大」、「海外投資家の投資拡大」である。その鍵を握るのは「WEBシステムの多言語化」なのだ。
本書について
前置きが長くなったが、本書について解説しよう。著者はWovn Technologies株式会社で取締役副社長・COOを務める上森さんだ。この会社は企業のホームページやECサイトを始めとするあらゆるWEBシステムを効率的に多言語化するシステムを開発し、顧客企業のビジネスを多言語化する支援を事業としている。多言語化といっても「ただ翻訳するだけ」ではない。その言語や国特有の事情を考慮し、その国の人に使いやすいWEBシステムを実現するという点で、既存の「グローバル化」や「WEBページの翻訳」を超えている。
僕は上森さんと直接面識があるのだが、彼はこの事業に大きな期待と夢をお持ちで超多忙な日々を送られている。そしてものすごい勉強家なのだ。ビジネス書を中心に本を読み漁っている。本書の出版を知ったとき「よくもまあ、本を書く時間をとれたものだなぁ。」と驚いた。一読して、これまでの読書経験が活かされ、「伝えたい、共感してもらいたい」という気持ちがよく伝わってきた。もちろん僕は本書が勧めている「WEB多言語化」という企業戦略に大賛成である。
出版元の日経BP社の紹介ページはこちらだ。
Multilingual Experience 外国人戦略のためのWEB多言語化(日経BPブックナビ)
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/19/274120/
そして、章立てはこのとおりである。
2000文字ダイジェスト: 母国語でインターネットを
第1章: 10兆円「外国人市場」戦略のすすめ
第2章: 多言語体験(MX)が新市場攻略のカギ
第3章: 訪日客3000万人、拡大続くインバウンド
第4章: 在留外国人は約5兆円の市場を生んでいる
第5章: 9割の日本企業にグローバル展開が必須になる
第6章: インターネット多言語対応の難しさ
第7章: 多言語対応の最適解はSaaS
おわりに: 社会課題としての多言語時代対応はチャンス
上森さんはもともと公認会計士であり、僕とは違うジャンルの背景をもっている人だ。そのために僕とはまったく違う視点で同じ課題を見ていることが新鮮だった。(COOなのだから当然ではあるが)つまり、上森さんは数字に強いし、分類して分析するのが得意ということだ。刊行されたばかりの本だから統計データも新しい。「外国人労働者や観光客をよく見るようになったな。」とか「ああ、この会社はこんなにリストラしたのか。」、「中国はなぜこんなに発展しているのだろう。」と日頃感じていることが、具体的かつ鮮明に浮かび上がり、なぜそのように推移していったのかがよくわかるのだ。数値化することで問題点はクリアになり、問題点をチャンスに変えるための課題と戦略、行動が見えてくる。
海外展開をしている日本企業が抱える問題を上森さんは熟知している。本書には書かれていないことだが、大手外資系企業の日本法人についても同じ問題を抱えていることに僕は気がついた。海外展開に必要なのは「翻訳」であるが、やみくもに翻訳すればよいというものではない。同じ会社であっても事業部や部門ごとに必要な翻訳をしているのが現状である。横のつながりがないため同じような翻訳を重複して外注することになり、無駄な翻訳コストが生じてしまっているのである。日本企業での状況は想像しやすいが、グローバル化が進んでいる外資系企業でもそれは同じなのだ。
外資系企業についていえば、海外支社(たとえば日本)の事業部は本社の事業部の直轄に置かれることが多く、総じて本社のガバナンスが強いものだ。本社の事業部で使っている資料やWEBページをそのまま事業部ごとに翻訳して国内でのビジネスに利用している。もし、日本支社全体の翻訳対象をひとつの部門に集約することができれば、翻訳に必要なテクノロジーを共通に利用でき、翻訳にかかるコスト、時間を大幅に減らすことができる。しかし、日本企業と同様、外資系企業でもこれが行われていないのが現状である。外資系企業が「グローバル化」の名のもとに行っているのは極論すれば「本社の流儀を全世界の支社に適用すること。」に過ぎない。
英語ではなく日本語を元の言語として、その会社のビジネスに必要な言語をどのように選択するか、そして翻訳すべき言語が複数あるとき、どのようにすればコストと手間をかけずにWEBシステムを多言語化することができるのか。これが本書で解説されていることである。
上森さんが日本語をとても大切にされていることも本書を読んで気がついた。専門用語を使うときは初出のときに説明を加えていること、なるべく日常的に使われている用語を使って執筆されている。カタカナ用語が使われがちなIT業界のビジネス書に慣れていない読者でもわかるように配慮しているのだ。IT系の人には説明不要な「SIer」という用語にも「システム・インテグレーター」ではなく「システム開発者」という説明を付けているほどの親切さである。このあたりの言語感覚は、日頃の読書だけでなく、さまざまな企業のトップへのコンサルティング、バラエティに富んだ背景をもつ社内の社員との打ち合わせを経験された中で身に付けられたのだろうと思った。(上森さんの会社の社員の多数は外国人である。)
本書が提案しているWEBシステムの多言語化は、企業のホームページ(社内向けと社外向け)やECサイトだけにとどまらない。国や地方自治体、そして「組織」と名の付くあらゆる団体のホームページに対して適用されるべきものだ。労働だけでなく衣・食・住を含めて外国人労働者が日本で快適に過ごすことができるようにすることが長い目で日本社会の将来を見据えたときに大切なことなのだ。在留外国人・訪日外国人は主にモバイルサイトを利用するから、PCサイトだけでなくモバイルサイトを使いやすくすることも重要だ。そして、WEBシステムの多言語化は、そのために支払わなければならないコストではなく、莫大な利益と企業の成長をもたらす投資なのだと視点を切り替えるべきである。
ところで、頻繁に更新されるWEBシステムに対して、多言語化したWEBシステムはどのように対応すべきかという点もも本書で解説されている。要求されるスピードと量に対応するためには、ニューラルネットワークにより進化した(Google翻訳を代表とする)機械翻訳の利用が欠かせない。とはいえ、上森さんは現在の機械翻訳の品質を手放しで楽観しているわけではない。機械翻訳の問題点を熟知され、MTPE(Machine Translation Post-Editing)、すなわち機械翻訳+翻訳後の編集が必要であることを述べている。MTPEは業界、業種、翻訳対象の特質に大きく依存するため個別に分類して戦略を立てる必要がでてくる。
また、WEBシステムの多言語化は翻訳だけの課題にとどまらない。多言語化することによるレイアウトの崩れ、言語ごと、国ごとに異なる対応が必要なケースがでてくる。本書ではこのあたりのノウハウを国内企業での成功例を紹介しながら、解説をしている。僕の印象に残ったのは、外食チェーンの「ガスト」、外国人に大人気の天然とんこつラーメン専門店の「一蘭(いちらん)」、「セブン銀行」での成功例である。セブン銀行の取り組みは特に素晴らしく、本書の第4章に書かれている「利益率30%、多文化・多言語の先進企業、セブン銀行」や「1週間かかった海外送金を5分で実現」をお読みいただきたい。日本で働く外国人労働者の本国への送金が5分でできるようにしたという実績の詳細を読むことができる。
これらの会社のサイトはすでに多言語化されている。
ガスト(すかいらーくグループ):日本語、英語、簡体中国語、繁体中国語、韓国語
https://www.skylark.co.jp/gusto/
一蘭(天然とんこつラーメン専門店):日本語、英語、簡体中国語、繁体中国語、韓国語
https://ichiran.com/
セブン銀行:日本語、英語
https://www.sevenbank.co.jp/
Wovn Technologies株式会社や上森さんが目指すのはビジネスや社会の多文化共生だ。外国語教育における複言語主義の実践は、まだまだ先の話になるが、多文化共生と複言語主義の2つがもたらす将来の日本の姿がおぼろげながら見えてきた気がした。
日本はまだまだ行けるじゃん!と元気になれる一冊だ。企業の経営者だけでなく、グローバル化、グローバル人材という言葉が気になる方、職場で外国人従業員を見かけるようになった方、翻訳会社や翻訳者の方、日本の行く末が気になっている方は、ぜひお読みになっていただきたい。
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「Multilingual Experience 外国人戦略のためのWEB多言語化: 上森久之」(Kindle版)
2000文字ダイジェスト: 母国語でインターネットを
第1章: 10兆円「外国人市場」戦略のすすめ
- 10年分の成長に相当する、10兆円「外国人市場」戦略のすすめ
第2章: 多言語体験(MX)が新市場攻略のカギ
- 10兆円市場攻略のカギは多言語体験(MX)
- インバウンド消費は「単価UP×人数UP」、在留外国人消費は「単価×人数UP」
- 外国人向けビジネスのカギを握る多言語体験(MX)とは
- イントラネットとJ-SOX統制環境
- おもいやりに欠ける外国人に対するサービス
- 「住民票」は「JUMINHYO」?投資対象として注目
- 多言語体験(MX)の必要性
- MXは多言語化を3フェーズに整理
- 何でも翻訳すればいいわけじゃない
- 情報を読む人と発信する人
第3章: 訪日客3000万人、拡大続くインバウンド
- 人口・GDP減少時代の成長施策「外国人戦略」
- モノからコト、工業製品からサービス産業へ
- インバウンド消費額は個人消費増加額の4年分
- 45年ぶりにインバウンドがアウトバウンドを上回る
- 世界の海外旅行が倍増、人口の2割が海外旅行を経験
- 観光サービスは次世代の基幹産業と政府は期待
- 1年で結果を出すために3年先の数字を掲げる
- コスパのいい日本の自動車
- 安さからプレミアムへ---エクスクルーシブに商機
- 四季豊かな地域のブランド力を活かす
- 「モノ」ではなく「コト」を買う外国人観光客
- 言語ごとにデザインを最適化し体験を演出する
- ECサイトの多言語化で店舗接客にも対応
- ROIを最大化するWEB多言語化システムでメリハリをつけた運用を
コラム:SaaSの金融効果
第4章: 在留外国人は約5兆円の市場を生んでいる
- 外国人労働者の受け入れで労働人口を確保する
- 過去の制作の失敗を活かして在留外国人に対応する
- 外国人労働者銘柄が投資対象として注目
- 経済成長の鍵は労働人口
- 過去最高を更新し増え続ける在留外国人。ベトナム・ネパールが中心
- 改正入管法で約35万人の在留外国人が増加
- 外国人が多い先進地域の情報収集はWEBが中心
- 銀行口座の開設をスムーズにする「WEB×多言語化」
- 利益率30%、多文化・多言語の先進企業、セブン銀行
- 1週間かかった海外送金を5分で実現
- 多言語メンバーが一元管理
- 外国人対応の施策は多言語メンバーの高いモチベーションから
- SDGs/CSRとしての多文化共生
第5章: 9割の日本企業にグローバル展開が必須になる
- 9割の日本企業に海外展開が必須
- グローバル化と国際化
- 日本は越境ECの成長余地が4倍ある
- 越境ECの留意点、モバイル対応
- 越境ECの留意点、法規制
- 国際間取引・越境取引はアービトラージ
- 機能が大切な「文明商品」と雰囲気が大切な「文化商品」
- 自国では手に入らない商品・サービスの購入
- ブランドやメーカーはBtoBからDTCへ(代理店から直販へ)
- 多文化と法務の慣習
- 多文化と公用語
- 日本はアジアの翻訳大国、アジア平均の20倍!
- 海外子会社の必要性
- グローバルな戦いで政府は頼れない
- 求められる海外機関投資家への対応
- マニュアルで現地の人材を徹底教育
- 日本のグローバル化に必要なブランド戦略
- ブランド戦略には徹底したマーケティングを
第6章: インターネット多言語対応の難しさ
- 情報伝達のほとんどはインターネット
- 大昔から機械翻訳の開発に取り組んできた
- ニューラルネットワークが機械翻訳を変えた
- ファッションの「ワンピース」が漫画の「海賊王」に
- 機械翻訳の限界を人が補う「MTPE」
- WEB多言語化では、テキスト翻訳はごく一部分
- テキストの翻訳でWEBサイトのデザインが崩壊
- 革新的技術の導入は大手企業から始まる
- いよいよ大企業の多言語対応への投資が始まった
第7章: 多言語対応の最適解はSaaS
- 世界的に拡大する翻訳市場
- WEBサイトの翻訳には手間がかかる
- 言語を増やすたびにまた最初から開発?
- エンジニアじゃなくても、多言語サイトのデザインができる
- 「動的ページ」の多言語化は難易度が高い
- フロント制御でデータベースの再構築が不要
- SIer(システム開発会社)はイチから作る演繹的アプローチ
- スタートアップだからできる帰納的アプローチ
- どんなWEBサイトでもOK、高い柔軟性
- 枯れた技術で信頼性と安定性を確保
コラム:コーパスは資産になる
おわりに: 社会課題としての多言語時代対応はチャンス
- 制約は創造を生む---世界初の課題はチャンスだ!
- 多言語化を先んじた企業が世界で生き残る
- パラダイムシフトを起こす地図を作る
参考文献