「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第1編 物体の運動」(Kindle版)
「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第2編 抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動」
内容紹介:
近代科学はここからはじまった! 運動の法則、万有引力の法則、天体の運行、……古典力学の基礎を築いた歴史的名著を新書化!
今日の物理学の原点ともいうべき「ニュートン力学」の根幹をなすもので、多くの物理学者、数学者、天文学者を魅了した真に独創的な著作とされる。第1、第2編では、諸物体の運動の形態が詳細に論じられ、第3編では、前2編で述べられた理論の応用例が議論されている。第3版の英訳をもとに原書を可能な限り正確かつ、今日の用語に置き換えて訳出。現代人が読んでもその発想の素晴らしさと、ニュートンの天才ぶりに改めて驚嘆させられる。今だからこそ読んでほしい古典の中の古典。1977年に出版された『プリンシピア 自然哲学の数学的原理』をブルーバックスから“復刊”。
第1編:2019年6月20日刊行、448ページ。
第2編:2019年7月18日刊行、384ページ。
著者について:
アイザック・ニュートン(1642-1727): ウィキペディア
ホームページ: Newton Papers
イングランドの自然哲学者、数学者、物理学者、天文学者、神学者。
主な業績としてニュートン力学の確立や微積分法の発見がある。1717年に造幣局長としてニュートン比価および兌換率を定めた。ナポレオン戦争による兌換停止を経て、1821年5月イングランド銀行はニュートン兌換率により兌換を再開した。
アイザック・ニュートンの『プリンキピア(自然哲学の数学的原理)』の日本語版が42年ぶりに、講談社ブルーバックスから復刊することになった。
10年前に書いた「日本語版「プリンキピア」が背負った不幸」という記事の中で、僕は次のような淡い期待を書いたことがある。
(日本語版プリンキピアを)ぜひ講談社には復刊してほしいところだ。(ラテン語の原書と)同じ体裁で復刊すると物価の違いから9千円くらいになりそうだから、できれば文庫本3冊くらいに分けてこの歴史の遺産を復活させてほしい。もちろん横書きで。表紙のデザインを本物に似せて出版し、新聞広告でも出せばきっと収益もでることだろう。読者数を見込める本ではないが、この本を常に現在のものとして入手可能にしておくことは「知的財産継承」という時代の持つ責任のひとつだと僕は思うのだ。
講談社がこの文章を読み、僕の願いをかなえてくれたのだろうか?もしそうならば、とても嬉しい。記事を書いた甲斐があったというものだ。
「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第1編 物体の運動」(Kindle版)
「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第2編 抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動」
全巻: 書籍版を検索 Kindle版を検索
すでに絶版になっている「1977年刊行の日本語版」(Kindle版)から42年が経っている。原書は全3巻だ。ブルーバックスも全3巻に合わせるのだろうか?表紙は原書の重厚感をかもしだしている。
表紙の色合いは、この写真の左側のラテン語版原書に合わせたのだと思われる。枠取りが白なのと背表紙もおそらく白だと思うから、原書に似せた革の特製カバーも発売してほしい。
拡大
原書の実物とは昨年「[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)」と「印刷博物館、企画展「天文学と印刷」(凸版印刷株式会社)」で対面している。
拡大: ニュートン『自然哲学の数学的原理(プリンキピア、1687年初版)』
原書ラテン語版閲覧 ウィキペディア 解説 日本語版 英語版閲覧
原書は何冊くらい印刷されたのだろう?そして現在、世の中には出回っているのだろうか?気になったので調べたところ、原書ラテン語版の第2版(1714年)のうちの1冊とおぼしき本をネットオークションで見つけた。これは本物だろうか?(ツイートを開く)
1714 Principia Mathematica ISAAC NEWTON
https://www.sekaimon.com/itemdetail/392300019106?country=US
今月発売されるのは第1編だけだ。第2編は7月18日に発売。第3編の発売予定日は、まだ発表されていない。ブルーバックスとしては異例の分厚さだ。そのまま立つからプリンキピアのミニチュア版は机の上に飾っておこう。
1977年刊行の中野猿人先生の翻訳が使われているから、第1編と第2編の章立ては次のようになると思われる。
ニュートン略伝
原著者の序文
定義
公理、あるいは運動の法則
第I編:物体の運動
第I章:以下の諸命題の証明に補助として用いられる諸量の最初と最後の比の方法
第II章:求心力の決定
第III章:離心円錐曲線上の物体の運動
第IV章:与えられた焦点から楕円軌道、放物線軌道および双曲線軌道を見出すこと
第V章:いずれの焦点も与えられないときに、どのようにして軌道を見いだしたらよいか
第VI章:与えられた軌道において、運動をどのようにして見いだしたらよいか
第VII章:物体の直線的上昇および下降
第VIII章:任意の種類の求心力に働かれつつ回転する物体の軌道の決定
第IX章:動く軌道上における物体の運動;および長軸端の運動
第X章:与えられた面での上での物体の運動;および物体の振動
第XI章:求心力をもって互いに作用し合う物体の運動
第XII章:球形物体の引力
第XIII章:球形でない物体の引力
第XIV章:ある極めて大きな物体の各部分へと向かう求心力の作用を受けるときの極めて微小な物体の運動
第II編:抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動
第I章:速度に比例して抵抗を受ける物体の運動
第II章:速度の自乗に比例して抵抗を受ける物体の運動
第III章:一部分は速度の比で、また一部分はその自乗の比で抵抗を受ける物体の運動
第IV章:抵抗媒質内における物体の円運動
第V章:抵抗媒質内における圧縮;流体静力学
第VI章:振子の運動および抵抗
第VII章:流体の運動、および投射体に働く抵抗
第VIII章:流体中を伝わる運動
第IX章:流体の円運動
日本語訳とはいえ、この本を読める人は滅多にいない。たくさん売れると思うが(僕も含めて)大方の人はコレクターだ。同じブルーバックスから刊行されているこちらの本で、ニュートンが『プリンキピア』でどのように取り組んだのかを知ることができる。プリンキピアのガイドブックである。合わせてお買い求めになるとよいだろう。
「プリンキピアを読む―ニュートンはいかにして「万有引力」を証明したのか? 」(Kindle版)
ところで、次の講座が今月開催される。申し込み締め切りは6月14日(金)だ。
2019年6月22日(土)
第11回「ニュートンは何を考え、何を語ったのか」
~運動の三法則をプリンキピア原典初版本から学ぶ~
(開催地:東京会場)
https://www.kanazawa-it.ac.jp/challengelab/books/20190622.html
関連記事:
日本語版「プリンキピア」が背負った不幸
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bff5ce90fca6b8b13d263d0ce6fc134e
Kindle版で復刊: 日本語版プリンキピア(自然哲学の数学的原理):アイザック・ニュートン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a5ce0252019a5d9b63c20200f019e199
[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/67cec3d33c33810b91d0f7591bfbc2ee
古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ:山本義隆
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e808487b7e9d668967f703396e32d80a
力学の誕生―オイラーと「力」概念の革新―: 有賀暢迪
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/39015937594a6282316377ae34a6a240
ニュートン著『プリンキピア』: eBayで買った?そんなわけないだろ。
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b78b1019f73b4105359862e954496b66
英国王立協会、ニュートンが4次元時空の着想を得ていたことを発表
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5bcf405938c7ab3cfee8f06f14c2e4a1
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「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第1編 物体の運動」(Kindle版)
「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第2編 抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動」
第1版への著者の序文
古代の人びとは(パップスがいうように)自然の事物の研究において力学(機械学)を最も重要視した。また近代の人びとは、実体的形相と超自然性とを排して、自然現象を数学の諸法則に従わせようと努めてきた。それで私はこの論述において、哲学に関係のある範囲内で数学を発展させてきたのである。古代の人びとは力学を二つの方面において考察した。すなわち、証明によって厳密に進める合理的方面と実用的方面である。すべての手工芸は実用的力学に属し、そこから機械学という名前が出てきた。ところが、職人たちは完全な正確さをもって仕事をするわけではないから、力学は幾何学と区別されるようになり、完全に正確なものは幾何学的といわれ、それほど正確でないものは機械的といわれるようになった。けれども、落度は技術にあるのではなくて、技術者にあるのだ。正確に仕事をやれない人は不完全な技術者であるし、完全な正確さをもって仕事をできる人ならば、その人は完璧な技術者といわれるべきである。なぜならば、幾何学の土台をなしている直線や円を描くことは機械学(力学)の領分に属するからである。
幾何学はわれわれにこれらの線の引きかたを教えるものではなくて、それらの線がすでに引かれていることを要求するものである。すなわち、学習者は幾何学に入る前に、まずそれらの線を正確に描くことを習得する必要があり、そうした上で、幾何学はこれらの運用によって問題がどのように解かれるかを示すものである。直線や円を描くことは問題ではあるが、幾何学的問題ではない。これらの問題を解くことは機械学から要求されることで、幾何学ではそれらが解かれたときに、それらの用法が示されるのである。そして、外部からもたらされたそれら少数の原理から、これほど多くのことがらをうみ出しうるということは、幾何学の誇りである。
それゆえ、幾何学は機械的実地技術に基礎をおくものであり、精確な測定技術を提供し証明する一般力学の一部分にほかならないのである。けれども、手工業的技術はおもに物体を動かす場合に使われるから、幾何学は通常それら物体の大きさに関するものであり、力学はそれら物体の運動に関するものだということになったのである。この意味において、合理的な力学は、たとえどのような力にせよ、それから生ずる運動の学問であり、またどのような運動にせよ、およそ精確に提示され証明される運動を生ずるに必要な力の学問だということになる。力学のこの部分は、手工技術に関連する五つの力の範囲内では、古代の人びとによって開発されたが、かれらは重力(それは手先の力ではない)を、それらの力によって重いものを動くかす場合のほかは考えなかった。
しかし、私は技芸よりもむしろ哲学を考え、また手先の力ではなくて自然の力について書き、また重さ、軽さ、弾力、流体の抵抗、その他同類の力、すなわち引っぱる力でも押す力でもよいが、そういうすべての力に関係することがらをおもに考えるのである。それゆえ私はこの著作を哲学の数学的原理として提出する。というのは、哲学のむずかしさはすべて次の点にあると思われるからである。すなわち、いろいろな運動の現象から自然界のいろいろな力を研究し、つぎにそれらの力から他の諸現象を論証することである。
第I編および第II編における一般的な諸命題はこの目的のために述べられたものである。第III編ではそれの実例が、世界体系の解明ということにおいて与えられている。すなわち、前2編で数学的に証明された諸命題により、第III編ではいろいろな天体現象から、物体が太陽から各惑星へと向かわされる重力というものが導きだされている。つぎにそれらの力から、同じく数学的な他の諸命題により、惑星、彗星、月および海の運動が導きだされている。
私は他の自然現象も力学の諸原理から同種類の推論によって導きだされるのではないかという希望をもっている。というのは、私は多くの理由から、それらの現象もすべて、ある種の力に依存するものではないのか、その力によって物体の各微小部分は、まだ知られていない原因により、あるいはたがいに相手方へと押しやられて規則正しい形に凝集したり、あるいは反発して遠ざかったりするのではないかと想像させられるからである。これらの力がまだ知られていないために、哲学者たちはこれまで自然の研究を企てたが、失敗に終わったのである。しかし私は、ここに述べられた諸原理が、手具学のこの方法あるいはより正しい他の方法に対してなんらかの光明を与えるであろうことを望むものである。
この著作の公刊にあたっては、最も明敏かつ博識なエドマンド・ハレー氏が、印刷の校正や図表の作製で私を助けられたばかりでなく、もともと本書が公刊されるに至ったのは、同士の懇請によるものである。すなわち、同氏は私から天体の軌道の形についての私の証明を聞かれたときに、それを王立協会に送るようにしきりに求められ、後にこの協会のかたがたの懇篤な励ましと要請とによって、私は公刊しようという気になったのである。ところが、私はすでに月の運動の不等について考察し始めていたし、また重力、その他の力の法則とその量とに関する他のいくつかのことがらや、与えられた法則に従って引かれる物体が描く図形とか、数個の物体のそれら相互間における運動とか、抵抗媒質内における諸物体の運動とか、媒質の力、密度、および運動とか、彗星の運動などといったようないくつかのことがらに立ち入っていたので、これらのことがらについての研究をすまし、全体をまとめて公表しうるまでその出版を延期したのであった。
月の運動に関することがらは(不完全であるが)命題66の系に全部ひとまとめにされている。それは、そこに含まれているいくつかのことがらを、主題が必要とするより以上に冗長な仕方で提出したり、別々に証明したりして、他の命題の系列を中断することを避けるためである。また後になって思い出されたいくつかのことがらは、命題の番号や引用文を変えるよりも、あまり適当と思われない場所へでもそれを挿入するというゆきかたをとった。ここに述べられたことがらすべて寛容をもって読まれるよう、またこの困難な主題における私の労苦が、それらの欠陥を責めるというものではなく、むしろそれらを救うという見かたで検討されることを心から願うものである。
1686年5月8日 ケンブリッジ、トリニティー・カレッジにて
アイザック・ニュートン
第2版への著者の序文
この『プリンキピア』第2版では多数の校訂といくつかの追加とがなされた。第I編、第II章では、物体を与えられた軌道に沿って回転させる力を見いだすことが具体的に示され、かつ拡張がなされた。第II編、第VI章では流体の抵抗の理論がさらにくわしく調べられ、新しい実験によって確かめられた。第III編では月の理論と分点の歳差運動とがその原理からさらに完全に導きだされた。また彗星の理論は、より高い精度で計算されたより多くの彗星軌道の実例によって確かめられた。
1713年3月28日 ロンドンにて
アイザック・ニュートン
第3版への著者の序文
この第3版はこれらのことがらにきわめて熟達されたヘンリー・ペンバートン医学博士のお世話でできたものであるが、この版では第II編の媒質の抵抗についてのいくつかのことがらが前よりもいくぶん包括的に取り扱われ、空気中を落下する重い物体の抵抗に関する新しい実験がつけ加えられた。第III編では、月が重力によってその軌道上に保たれることを証明する議論がさらに完全に述べられた。また木星の両直径の相互の比に関するパウンド氏の新しい観測がつけ加えられた。
また1680年に現れた彗星についてのいくつかの観測もつけ加えられている。これはカーク氏により11月ドイツでなされたもので、最近私の手に入ったものである。これらの助けにより、彗星の運動がきわめて放物線に近い軌道を示すことが知られた。この彗星の軌道は、ハレー博士の計算により前よりもいくぶん精密に決定されたが、その結果それは一つの楕円ということになった。そしてこの楕円軌道上を彗星は九つの天宮を通る進路をとって進むことが、ちょうど惑星が天文学で与えられた楕円軌道上を運行するのと同じ程度の精度をもって示された。1723年に現れた彗星の軌道もつけ加えられている。これはオックスフォードの天文学教授ブラッドレー氏の計算になるものである。
1726年1月12日 ロンドンにて
アイザック・ニュートン
「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第2編 抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動」
内容紹介:
近代科学はここからはじまった! 運動の法則、万有引力の法則、天体の運行、……古典力学の基礎を築いた歴史的名著を新書化!
今日の物理学の原点ともいうべき「ニュートン力学」の根幹をなすもので、多くの物理学者、数学者、天文学者を魅了した真に独創的な著作とされる。第1、第2編では、諸物体の運動の形態が詳細に論じられ、第3編では、前2編で述べられた理論の応用例が議論されている。第3版の英訳をもとに原書を可能な限り正確かつ、今日の用語に置き換えて訳出。現代人が読んでもその発想の素晴らしさと、ニュートンの天才ぶりに改めて驚嘆させられる。今だからこそ読んでほしい古典の中の古典。1977年に出版された『プリンシピア 自然哲学の数学的原理』をブルーバックスから“復刊”。
第1編:2019年6月20日刊行、448ページ。
第2編:2019年7月18日刊行、384ページ。
著者について:
アイザック・ニュートン(1642-1727): ウィキペディア
ホームページ: Newton Papers
イングランドの自然哲学者、数学者、物理学者、天文学者、神学者。
主な業績としてニュートン力学の確立や微積分法の発見がある。1717年に造幣局長としてニュートン比価および兌換率を定めた。ナポレオン戦争による兌換停止を経て、1821年5月イングランド銀行はニュートン兌換率により兌換を再開した。
アイザック・ニュートンの『プリンキピア(自然哲学の数学的原理)』の日本語版が42年ぶりに、講談社ブルーバックスから復刊することになった。
10年前に書いた「日本語版「プリンキピア」が背負った不幸」という記事の中で、僕は次のような淡い期待を書いたことがある。
(日本語版プリンキピアを)ぜひ講談社には復刊してほしいところだ。(ラテン語の原書と)同じ体裁で復刊すると物価の違いから9千円くらいになりそうだから、できれば文庫本3冊くらいに分けてこの歴史の遺産を復活させてほしい。もちろん横書きで。表紙のデザインを本物に似せて出版し、新聞広告でも出せばきっと収益もでることだろう。読者数を見込める本ではないが、この本を常に現在のものとして入手可能にしておくことは「知的財産継承」という時代の持つ責任のひとつだと僕は思うのだ。
講談社がこの文章を読み、僕の願いをかなえてくれたのだろうか?もしそうならば、とても嬉しい。記事を書いた甲斐があったというものだ。
「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第1編 物体の運動」(Kindle版)
「プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第2編 抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動」
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表紙の色合いは、この写真の左側のラテン語版原書に合わせたのだと思われる。枠取りが白なのと背表紙もおそらく白だと思うから、原書に似せた革の特製カバーも発売してほしい。
拡大
原書の実物とは昨年「[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)」と「印刷博物館、企画展「天文学と印刷」(凸版印刷株式会社)」で対面している。
拡大: ニュートン『自然哲学の数学的原理(プリンキピア、1687年初版)』
原書ラテン語版閲覧 ウィキペディア 解説 日本語版 英語版閲覧
原書は何冊くらい印刷されたのだろう?そして現在、世の中には出回っているのだろうか?気になったので調べたところ、原書ラテン語版の第2版(1714年)のうちの1冊とおぼしき本をネットオークションで見つけた。これは本物だろうか?(ツイートを開く)
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今月発売されるのは第1編だけだ。第2編は7月18日に発売。第3編の発売予定日は、まだ発表されていない。ブルーバックスとしては異例の分厚さだ。そのまま立つからプリンキピアのミニチュア版は机の上に飾っておこう。
1977年刊行の中野猿人先生の翻訳が使われているから、第1編と第2編の章立ては次のようになると思われる。
ニュートン略伝
原著者の序文
定義
公理、あるいは運動の法則
第I編:物体の運動
第I章:以下の諸命題の証明に補助として用いられる諸量の最初と最後の比の方法
第II章:求心力の決定
第III章:離心円錐曲線上の物体の運動
第IV章:与えられた焦点から楕円軌道、放物線軌道および双曲線軌道を見出すこと
第V章:いずれの焦点も与えられないときに、どのようにして軌道を見いだしたらよいか
第VI章:与えられた軌道において、運動をどのようにして見いだしたらよいか
第VII章:物体の直線的上昇および下降
第VIII章:任意の種類の求心力に働かれつつ回転する物体の軌道の決定
第IX章:動く軌道上における物体の運動;および長軸端の運動
第X章:与えられた面での上での物体の運動;および物体の振動
第XI章:求心力をもって互いに作用し合う物体の運動
第XII章:球形物体の引力
第XIII章:球形でない物体の引力
第XIV章:ある極めて大きな物体の各部分へと向かう求心力の作用を受けるときの極めて微小な物体の運動
第II編:抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動
第I章:速度に比例して抵抗を受ける物体の運動
第II章:速度の自乗に比例して抵抗を受ける物体の運動
第III章:一部分は速度の比で、また一部分はその自乗の比で抵抗を受ける物体の運動
第IV章:抵抗媒質内における物体の円運動
第V章:抵抗媒質内における圧縮;流体静力学
第VI章:振子の運動および抵抗
第VII章:流体の運動、および投射体に働く抵抗
第VIII章:流体中を伝わる運動
第IX章:流体の円運動
日本語訳とはいえ、この本を読める人は滅多にいない。たくさん売れると思うが(僕も含めて)大方の人はコレクターだ。同じブルーバックスから刊行されているこちらの本で、ニュートンが『プリンキピア』でどのように取り組んだのかを知ることができる。プリンキピアのガイドブックである。合わせてお買い求めになるとよいだろう。
「プリンキピアを読む―ニュートンはいかにして「万有引力」を証明したのか? 」(Kindle版)
ところで、次の講座が今月開催される。申し込み締め切りは6月14日(金)だ。
2019年6月22日(土)
第11回「ニュートンは何を考え、何を語ったのか」
~運動の三法則をプリンキピア原典初版本から学ぶ~
(開催地:東京会場)
https://www.kanazawa-it.ac.jp/challengelab/books/20190622.html
関連記事:
日本語版「プリンキピア」が背負った不幸
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Kindle版で復刊: 日本語版プリンキピア(自然哲学の数学的原理):アイザック・ニュートン
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[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/67cec3d33c33810b91d0f7591bfbc2ee
古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ:山本義隆
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e808487b7e9d668967f703396e32d80a
力学の誕生―オイラーと「力」概念の革新―: 有賀暢迪
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/39015937594a6282316377ae34a6a240
ニュートン著『プリンキピア』: eBayで買った?そんなわけないだろ。
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b78b1019f73b4105359862e954496b66
英国王立協会、ニュートンが4次元時空の着想を得ていたことを発表
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5bcf405938c7ab3cfee8f06f14c2e4a1
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第1版への著者の序文
古代の人びとは(パップスがいうように)自然の事物の研究において力学(機械学)を最も重要視した。また近代の人びとは、実体的形相と超自然性とを排して、自然現象を数学の諸法則に従わせようと努めてきた。それで私はこの論述において、哲学に関係のある範囲内で数学を発展させてきたのである。古代の人びとは力学を二つの方面において考察した。すなわち、証明によって厳密に進める合理的方面と実用的方面である。すべての手工芸は実用的力学に属し、そこから機械学という名前が出てきた。ところが、職人たちは完全な正確さをもって仕事をするわけではないから、力学は幾何学と区別されるようになり、完全に正確なものは幾何学的といわれ、それほど正確でないものは機械的といわれるようになった。けれども、落度は技術にあるのではなくて、技術者にあるのだ。正確に仕事をやれない人は不完全な技術者であるし、完全な正確さをもって仕事をできる人ならば、その人は完璧な技術者といわれるべきである。なぜならば、幾何学の土台をなしている直線や円を描くことは機械学(力学)の領分に属するからである。
幾何学はわれわれにこれらの線の引きかたを教えるものではなくて、それらの線がすでに引かれていることを要求するものである。すなわち、学習者は幾何学に入る前に、まずそれらの線を正確に描くことを習得する必要があり、そうした上で、幾何学はこれらの運用によって問題がどのように解かれるかを示すものである。直線や円を描くことは問題ではあるが、幾何学的問題ではない。これらの問題を解くことは機械学から要求されることで、幾何学ではそれらが解かれたときに、それらの用法が示されるのである。そして、外部からもたらされたそれら少数の原理から、これほど多くのことがらをうみ出しうるということは、幾何学の誇りである。
それゆえ、幾何学は機械的実地技術に基礎をおくものであり、精確な測定技術を提供し証明する一般力学の一部分にほかならないのである。けれども、手工業的技術はおもに物体を動かす場合に使われるから、幾何学は通常それら物体の大きさに関するものであり、力学はそれら物体の運動に関するものだということになったのである。この意味において、合理的な力学は、たとえどのような力にせよ、それから生ずる運動の学問であり、またどのような運動にせよ、およそ精確に提示され証明される運動を生ずるに必要な力の学問だということになる。力学のこの部分は、手工技術に関連する五つの力の範囲内では、古代の人びとによって開発されたが、かれらは重力(それは手先の力ではない)を、それらの力によって重いものを動くかす場合のほかは考えなかった。
しかし、私は技芸よりもむしろ哲学を考え、また手先の力ではなくて自然の力について書き、また重さ、軽さ、弾力、流体の抵抗、その他同類の力、すなわち引っぱる力でも押す力でもよいが、そういうすべての力に関係することがらをおもに考えるのである。それゆえ私はこの著作を哲学の数学的原理として提出する。というのは、哲学のむずかしさはすべて次の点にあると思われるからである。すなわち、いろいろな運動の現象から自然界のいろいろな力を研究し、つぎにそれらの力から他の諸現象を論証することである。
第I編および第II編における一般的な諸命題はこの目的のために述べられたものである。第III編ではそれの実例が、世界体系の解明ということにおいて与えられている。すなわち、前2編で数学的に証明された諸命題により、第III編ではいろいろな天体現象から、物体が太陽から各惑星へと向かわされる重力というものが導きだされている。つぎにそれらの力から、同じく数学的な他の諸命題により、惑星、彗星、月および海の運動が導きだされている。
私は他の自然現象も力学の諸原理から同種類の推論によって導きだされるのではないかという希望をもっている。というのは、私は多くの理由から、それらの現象もすべて、ある種の力に依存するものではないのか、その力によって物体の各微小部分は、まだ知られていない原因により、あるいはたがいに相手方へと押しやられて規則正しい形に凝集したり、あるいは反発して遠ざかったりするのではないかと想像させられるからである。これらの力がまだ知られていないために、哲学者たちはこれまで自然の研究を企てたが、失敗に終わったのである。しかし私は、ここに述べられた諸原理が、手具学のこの方法あるいはより正しい他の方法に対してなんらかの光明を与えるであろうことを望むものである。
この著作の公刊にあたっては、最も明敏かつ博識なエドマンド・ハレー氏が、印刷の校正や図表の作製で私を助けられたばかりでなく、もともと本書が公刊されるに至ったのは、同士の懇請によるものである。すなわち、同氏は私から天体の軌道の形についての私の証明を聞かれたときに、それを王立協会に送るようにしきりに求められ、後にこの協会のかたがたの懇篤な励ましと要請とによって、私は公刊しようという気になったのである。ところが、私はすでに月の運動の不等について考察し始めていたし、また重力、その他の力の法則とその量とに関する他のいくつかのことがらや、与えられた法則に従って引かれる物体が描く図形とか、数個の物体のそれら相互間における運動とか、抵抗媒質内における諸物体の運動とか、媒質の力、密度、および運動とか、彗星の運動などといったようないくつかのことがらに立ち入っていたので、これらのことがらについての研究をすまし、全体をまとめて公表しうるまでその出版を延期したのであった。
月の運動に関することがらは(不完全であるが)命題66の系に全部ひとまとめにされている。それは、そこに含まれているいくつかのことがらを、主題が必要とするより以上に冗長な仕方で提出したり、別々に証明したりして、他の命題の系列を中断することを避けるためである。また後になって思い出されたいくつかのことがらは、命題の番号や引用文を変えるよりも、あまり適当と思われない場所へでもそれを挿入するというゆきかたをとった。ここに述べられたことがらすべて寛容をもって読まれるよう、またこの困難な主題における私の労苦が、それらの欠陥を責めるというものではなく、むしろそれらを救うという見かたで検討されることを心から願うものである。
1686年5月8日 ケンブリッジ、トリニティー・カレッジにて
アイザック・ニュートン
第2版への著者の序文
この『プリンキピア』第2版では多数の校訂といくつかの追加とがなされた。第I編、第II章では、物体を与えられた軌道に沿って回転させる力を見いだすことが具体的に示され、かつ拡張がなされた。第II編、第VI章では流体の抵抗の理論がさらにくわしく調べられ、新しい実験によって確かめられた。第III編では月の理論と分点の歳差運動とがその原理からさらに完全に導きだされた。また彗星の理論は、より高い精度で計算されたより多くの彗星軌道の実例によって確かめられた。
1713年3月28日 ロンドンにて
アイザック・ニュートン
第3版への著者の序文
この第3版はこれらのことがらにきわめて熟達されたヘンリー・ペンバートン医学博士のお世話でできたものであるが、この版では第II編の媒質の抵抗についてのいくつかのことがらが前よりもいくぶん包括的に取り扱われ、空気中を落下する重い物体の抵抗に関する新しい実験がつけ加えられた。第III編では、月が重力によってその軌道上に保たれることを証明する議論がさらに完全に述べられた。また木星の両直径の相互の比に関するパウンド氏の新しい観測がつけ加えられた。
また1680年に現れた彗星についてのいくつかの観測もつけ加えられている。これはカーク氏により11月ドイツでなされたもので、最近私の手に入ったものである。これらの助けにより、彗星の運動がきわめて放物線に近い軌道を示すことが知られた。この彗星の軌道は、ハレー博士の計算により前よりもいくぶん精密に決定されたが、その結果それは一つの楕円ということになった。そしてこの楕円軌道上を彗星は九つの天宮を通る進路をとって進むことが、ちょうど惑星が天文学で与えられた楕円軌道上を運行するのと同じ程度の精度をもって示された。1723年に現れた彗星の軌道もつけ加えられている。これはオックスフォードの天文学教授ブラッドレー氏の計算になるものである。
1726年1月12日 ロンドンにて
アイザック・ニュートン