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映画『花筐/HANAGATAMI(2017)』大林宣彦監督

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先日NHKのBS1で放送された『最後の講義「映画作家 大林宣彦」』を見た。早稲田大学で若者たちを相手行なった講義で、戦前戦後のアメリカやフランス映画、日本の映画のお話、それらを撮った名監督たちや大林さん自身がどのような想いで仕事をされていたか、そしてこれからの映画を担う若者たちへのメッセージをお話になっていた。

2016年に肺がんの宣告を受けて以来、闘病しながら映画を撮り続けている。見るからに衰えてしまったお姿を拝見し、痛々しかった。胸をうつ話、はっと気付かされる話の連続で放送時間の3時間は短く感じた。大林さんのあまりの説得力に会場の若者たちの唖然としながらも真剣に耳を傾けていた姿が印象的だった。諭すように話ができる大人は今ではほとんどいない。

この番組で紹介されていた映画『花筐/HANAGATAMI(2017)』をPrime Videoで見てみた。僕は1990年代から大林監督作品のファンである。代表作の「尾道三部作」、「新・尾道三部作」は、もちろんすべて見ているし、その中では『ふたり(1991)』と『あした(1995)』がお勧め。


『花筐/HANAGATAMI(2017)』は大林監督の渾身の作、佐賀県唐津を舞台に繰り広げられる若い男女の物語だ。日中戦争に突入していく不穏な時代背景の中、どう生きるか、何をすべきかを考える若者たち。肺の病におかされた少女とその姉を中心に据え、男女の若者が繰り広げる恋と友情、葛藤、対立を描いた作品だ。

映画『花筐/HANAGATAMI(2017)』オフィシャルサイト
http://hanagatami-movie.jp/

花筐/HANAGATAMI予告編 DVD/Blu-ray2019/3/8発売



映像表現と音楽がとにかく美しい。「唐津くんち」の祭りの光景が見事に活かされ、物語の「静」と祭りの「動」が調和していた。(参考:「佐賀県唐津市で注目のお祭り5選!」)色彩と光の魔術に魅了され、時折映されるモノクロの映像にリアリズムを感じる。大林監督らしさが現代の映像技術の助けを借りてパワーアップしていた。

幻想的に映される景色の中を日本兵が行進していく。戦争そのもの、戦闘そのものは描かず、亡霊のように忍び寄る歴史の暗い影を映すことで「もう戦争は絶対にしてはならない。」というメッセージを伝えている。

物語のネタばれはしたくないので、映画公開後のインタビューと第33回高崎映画祭の受賞式の映像を紹介しておく。特に受賞式での大林監督のお話、この映画にこめた想いは全部聞いてほしい。

『花筐/HANAGATAMI』大林宣彦監督、窪塚俊介、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、岡本太陽インタビュー


【大林宣彦のメッセージ】余命三ヶ月・大林監督「あと30年映画を作る。それには理由がある」第33回高崎映画祭



興行的にヒットする映画ではない。しかし日本の映画史に残る名作になると思う。ぜひご覧いただきたい。ブルーレイ、DVDは3月に発売されたばかりだ。

映画『花筐/HANAGATAMI(2017)』
[Blu-ray, DVD]、[Prime Video]、[YouTubeムービー]


映画『花筐/HANAGATAMI(2017)』関連動画: YouTubeで検索
大林監督映画、動画: YouTubeで検索 Prime Videoで検索 Amazonで検索

大林監督はなぜ唐津を舞台にしたのだろうか?これについてはNHKのラジオ深夜便「シネマと歩んだ人生」でお話になっている。(録音を聴いてみる


映画では小説が3つ取り上げられている。1冊はこの映画の原作だ。作家檀一雄(1912-1976)の処女短編集である。それぞれこの物語のシーン、背景を象徴している。(檀一雄は女優の檀ふみさんのお父さんである。)








映画をご覧になり、小説も読みたくなった方は、こちらからどうぞ。

花筐:檀一雄」(Kindle版


ポールとヴィルジニー:サン・ピエール」(Kindle版
女生徒:太宰治」(Kindle版
 


大林監督は、先輩の黒澤明監督からの遺言を託されている。こちらの動画で黒澤監督からのメッセージをお聞きいただきたい。

大林宣彦監督が伝えた巨匠・黒澤明の"遺言" / Nobuhiko Obayashi conveys the great filmmaker Akira Kurosawa’s last message.



関連ページ:

大林宣彦監督「戦争体験伝えたい」映画パリ『花筐』上映で常盤貴子さんら挨拶(2019年2月28日)
https://tokuhain.arukikata.co.jp/paris/2019/02/post_546.html

末期がんの大林監督、原爆を描く新作撮影 故郷でロケ(2018年7月8日)
https://www.asahi.com/articles/ASL714QKDL71PITB00F.html

大林宣彦監督、余命3カ月宣告から2年の決意を告白
「あと30本映画を撮る」(2019年03月25日)
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12268-153902/

NHK BS1『最後の講義「大林宣彦」』 3時間完全版が5月5日深夜放送
http://amass.jp/104414/

「最後の講義 大林宣彦編」80才の映画作家の情熱、かく語りき。“映像の魔術師”が若者たちに向けた、人生のラストメッセージとは?
https://www.tvguide.or.jp/column/cyokusoubin/20180310/01_cyokusoubin.html

尾道ロケ地巡り
http://gure-tinu-hitori.sakura.ne.jp/roketi_meguri_top.htm

大林宣彦映画 尾道ロケ地巡り (広島県尾道市)
http://gourmet-travelogue.doorblog.jp/archives/44109472.html

つばき、時跳び: 梶尾真治
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9c374a6866bf7270c986b07bf2fac800


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