「基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春」
内容紹介:
本書は、基礎物理の知識と物理数学の手法を動員してゲージ理論を理解し、素粒子の標準模型の全体像を把握することを目標としている。その根幹となる“素粒子の標準数式”を暗号になぞらえ、その解読に挑むというスタイルを採っている。また、付録に設けた物理数学の内容を充実させることにより、初学者にも読めるように配慮した。
2017年12月刊行、223ページ。
著者について:
川村嘉春
1961年滋賀県生まれ。1985年名古屋大学理学部物理学科卒業。1990年金沢大学大学院自然科学研究科物質科学専攻修了、学術博士、信州大学理学部物理学科助手。1999年信州大学理学部物理科学科助教授。2006年同教授。専攻は素粒子物理学。
川村先生の著書: Amazonで検索
理数系書籍のレビュー記事は本書で359冊目。
昨年末から少しずつ読み進めて、ようやく読了した。大学1年の力学から順番に学び、素粒子の標準模型の理解までたった1冊で終えてしまおうという意欲に満ちたテキストである。
素粒子の標準模型の数式はNHK「神の数式 完全版」全4回で取り上げられた。(動画検索)
新学期を来月に控え、最近はTwitterで #新入生に勧める数学書2018 や #新入生に勧める物理学書2018 というタグで教科書を勧めるのが流行っている。
数学書で僕がお勧めしたいのは、田崎先生が無料で公開している『数学:物理を学び楽しむために』というPDF文書と『数学ガイダンス2018』だ。この2冊で大学で学ぶ数学をほぼ網羅する形で知ることができる。
「数学ガイダンス2018 数学セミナー増刊」(詳細)
そして物理学専攻の新入生にお勧めしたいのが「基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春」なのだ。物理学科で学ぶ基礎物理学の内容をほとんど紹介している。本書で学べるのは次のような項目だ。
ニュートン力学、解析力学、量子力学、特殊相対性理論、相対論的量子力学、場の量子論、電磁気学、量子電磁力学、ヤン・ミルズ理論、電弱理論、量子色力学、標準模型
あと本書で足りない基礎物理学の分野は、次の3つ。これらは他の本で学ぶとよいだろう。
熱力学、統計力学(古典統計、量子統計)、一般相対性理論
またそれぞれの分野を個別に学び終えている人には知識の整理に役立つし、院試対策のためにも有効だ。
本書の「まえがき」は出版社のページでご覧いただける。
臨時別冊・数理科学2017年12月
「基礎物理から理解するゲージ理論」~ ”素粒子の標準数式”を読み解く ~
http://www.saiensu.co.jp/index.php?page=book_details&ISBN=4910054701272&YEAR=2017
220ページあまりの本にもかかわらず、とても丁寧に解説している。文章と数式の割合は半分くらいずつ。数式の導出も省略されていない。しかし、まったくの初学者がこれ1冊で大学の基礎物理をすべて学んでしまおうというのには無理がある。「学問に王道なし」であるのは間違いなく、世の中そう甘くはない。
新入生の方は書店でご覧になってからお買い求めになるのがよいだろう。
関連記事:
素粒子標準模型入門: W.N.コッティンガム、D.A.グリーンウッド
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/522960c6eb852df961348fee76463852
「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa
超弦理論への最短ルート: 40冊の物理学、数学書籍
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d8deb00ae3b5b9e0e9a04f3c3ecfb11e
超弦理論に至る100冊の物理学、数学書籍
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d37fe65a84df23cca2af7ecebb83cfc6
相対論的量子力学 (量子力学選書): 川村嘉春
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/df0329251637a27bc5545d435a598ab3
大学で学ぶ数学とは(概要編)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55
ブログ執筆のはげみになりますので、1つずつ応援クリックをお願いします。
「基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春」
第1章 素粒子の標準数式
1.1 素粒子の標準数式とは
1.2 解読の手順
1.3 本書の目的をもう一度
第2章 古典物理学
2.1 ニュートン力学
2.2 解析力学
2.3 場の解析力学
2.4 特殊相対性理論
2.5 振り返りと見通し
第3章 量子物理学
3.1 量子力学
3.2 相対論的量子力学
3.3 場の量子論
3.4 振り返りと見通し
第4章 電磁相互作用の理論
4.1 電磁気学
4.2 量子電磁力学
4.3 振り返りと見通し
第5章 ゲージ理論
5.1 ゲージ原理
5.2 量子電磁力学の導出
5.3 ヤン・ミルズ理論
5.4 ゲージ場の一般論
5.5 振り返りと見通し
第6章 弱い相互作用の理論
6.1 物質粒子のプロフィール
6.2 弱い相互作用
6.3 弱い相互作用を記述するゲージ群
6.4 ヒグス機構
6.5 電弱理論
6.6 振り返りと見通し
第7章 強い相互作用の理論
7.1 強い相互作用
7.2 量子色力学
7.3 漸近的自由性
7.4 クォークの閉じ込め
7.5 カイラル対称性の破れ
7.6 振り返りと見通し
第8章 素粒子の標準模型
8.1 標準模型
8.2 小林・益川模型
8.3 ニュートリノの物理
8.4 標準模型の謎
8.5 展望
付録A 本書の理解を助ける物理数学
A.1 ベクトル
A.2 微積分
A.3 関数
A.4 テンソル
A.5 線形代数
A.6 ベクトル解析
A.7 群論
A.8 ファイバー束の幾何学
付録B ギリシア文字と専門用語
参考文献
索引
内容紹介:
本書は、基礎物理の知識と物理数学の手法を動員してゲージ理論を理解し、素粒子の標準模型の全体像を把握することを目標としている。その根幹となる“素粒子の標準数式”を暗号になぞらえ、その解読に挑むというスタイルを採っている。また、付録に設けた物理数学の内容を充実させることにより、初学者にも読めるように配慮した。
2017年12月刊行、223ページ。
著者について:
川村嘉春
1961年滋賀県生まれ。1985年名古屋大学理学部物理学科卒業。1990年金沢大学大学院自然科学研究科物質科学専攻修了、学術博士、信州大学理学部物理学科助手。1999年信州大学理学部物理科学科助教授。2006年同教授。専攻は素粒子物理学。
川村先生の著書: Amazonで検索
理数系書籍のレビュー記事は本書で359冊目。
昨年末から少しずつ読み進めて、ようやく読了した。大学1年の力学から順番に学び、素粒子の標準模型の理解までたった1冊で終えてしまおうという意欲に満ちたテキストである。
素粒子の標準模型の数式はNHK「神の数式 完全版」全4回で取り上げられた。(動画検索)
新学期を来月に控え、最近はTwitterで #新入生に勧める数学書2018 や #新入生に勧める物理学書2018 というタグで教科書を勧めるのが流行っている。
数学書で僕がお勧めしたいのは、田崎先生が無料で公開している『数学:物理を学び楽しむために』というPDF文書と『数学ガイダンス2018』だ。この2冊で大学で学ぶ数学をほぼ網羅する形で知ることができる。
「数学ガイダンス2018 数学セミナー増刊」(詳細)
そして物理学専攻の新入生にお勧めしたいのが「基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春」なのだ。物理学科で学ぶ基礎物理学の内容をほとんど紹介している。本書で学べるのは次のような項目だ。
ニュートン力学、解析力学、量子力学、特殊相対性理論、相対論的量子力学、場の量子論、電磁気学、量子電磁力学、ヤン・ミルズ理論、電弱理論、量子色力学、標準模型
あと本書で足りない基礎物理学の分野は、次の3つ。これらは他の本で学ぶとよいだろう。
熱力学、統計力学(古典統計、量子統計)、一般相対性理論
またそれぞれの分野を個別に学び終えている人には知識の整理に役立つし、院試対策のためにも有効だ。
本書の「まえがき」は出版社のページでご覧いただける。
臨時別冊・数理科学2017年12月
「基礎物理から理解するゲージ理論」~ ”素粒子の標準数式”を読み解く ~
http://www.saiensu.co.jp/index.php?page=book_details&ISBN=4910054701272&YEAR=2017
220ページあまりの本にもかかわらず、とても丁寧に解説している。文章と数式の割合は半分くらいずつ。数式の導出も省略されていない。しかし、まったくの初学者がこれ1冊で大学の基礎物理をすべて学んでしまおうというのには無理がある。「学問に王道なし」であるのは間違いなく、世の中そう甘くはない。
新入生の方は書店でご覧になってからお買い求めになるのがよいだろう。
関連記事:
素粒子標準模型入門: W.N.コッティンガム、D.A.グリーンウッド
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/522960c6eb852df961348fee76463852
「標準模型」の宇宙:ブルース・シューム
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/25297abb5d996b0c1e90b623a475d1aa
超弦理論への最短ルート: 40冊の物理学、数学書籍
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d8deb00ae3b5b9e0e9a04f3c3ecfb11e
超弦理論に至る100冊の物理学、数学書籍
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d37fe65a84df23cca2af7ecebb83cfc6
相対論的量子力学 (量子力学選書): 川村嘉春
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/df0329251637a27bc5545d435a598ab3
大学で学ぶ数学とは(概要編)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55
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「基礎物理から理解するゲージ理論: 川村嘉春」
第1章 素粒子の標準数式
1.1 素粒子の標準数式とは
1.2 解読の手順
1.3 本書の目的をもう一度
第2章 古典物理学
2.1 ニュートン力学
2.2 解析力学
2.3 場の解析力学
2.4 特殊相対性理論
2.5 振り返りと見通し
第3章 量子物理学
3.1 量子力学
3.2 相対論的量子力学
3.3 場の量子論
3.4 振り返りと見通し
第4章 電磁相互作用の理論
4.1 電磁気学
4.2 量子電磁力学
4.3 振り返りと見通し
第5章 ゲージ理論
5.1 ゲージ原理
5.2 量子電磁力学の導出
5.3 ヤン・ミルズ理論
5.4 ゲージ場の一般論
5.5 振り返りと見通し
第6章 弱い相互作用の理論
6.1 物質粒子のプロフィール
6.2 弱い相互作用
6.3 弱い相互作用を記述するゲージ群
6.4 ヒグス機構
6.5 電弱理論
6.6 振り返りと見通し
第7章 強い相互作用の理論
7.1 強い相互作用
7.2 量子色力学
7.3 漸近的自由性
7.4 クォークの閉じ込め
7.5 カイラル対称性の破れ
7.6 振り返りと見通し
第8章 素粒子の標準模型
8.1 標準模型
8.2 小林・益川模型
8.3 ニュートリノの物理
8.4 標準模型の謎
8.5 展望
付録A 本書の理解を助ける物理数学
A.1 ベクトル
A.2 微積分
A.3 関数
A.4 テンソル
A.5 線形代数
A.6 ベクトル解析
A.7 群論
A.8 ファイバー束の幾何学
付録B ギリシア文字と専門用語
参考文献
索引