上「電脳はん」、下「背高はん」拡大
「#くだらな過ぎてごめんなさい」とタグ付けしたくなるような記事タイトルである。今回は「無駄」がテーマだ。
「開平と開立(第4回): オリジナル算盤」という記事で算盤を擬人化して「パチパチはん」、「開平はん」、「開立はん」を算盤3兄弟として紹介したから、同じ流れでこうなってしまった。
つまり算盤3兄弟には兄が2人もいたのだ。父親が長年秘密にしていた腹違いの隠し子である。これで5兄弟になった。開立法の解説が前回の記事で一区切りついた。次の解法に進む前にいくつか別記事を書きたいので2人の兄に登場してもらうことにした。(解法一覧はこのページ)
電脳はん(13桁、8桁電卓付き)
![電卓付きの算盤]()
いわゆる「ソロカル」として知られるシャープ株式会社が1978年から1984年にかけて発売した電卓付きソロバンだ。この動画で紹介されている。
僕がヤフオクで購入したのはその最終モデル、太陽電池付き。電卓部分は8桁で√キー付き。
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現在の物理学ではタイムトラベルはできないことがわかっているわけだが、将来タイムマシンが発明されて江戸時代に行くことがひょっとしたらできるようになるかもしれない。電池が買えない江戸時代でもこのソロカルなら大丈夫。関孝和先生や伊能忠敬先生へのお土産にぴったりなのだ。
ソロカルが発売されたのはアナログからデジタルへの移行期のこと。CDの生産が開始されたのが1982年、CDの販売数がLP(アナログレコード)を抜いたのが1986年である。
電卓付きソロバンなのか、ソロバン付き電卓なのか頭をひねってしまうこの商品を発売したのはシャープだけだ。その頃までに電卓は普通に使われるようになっていたし、いまさらなぜソロバンなの?と当時の人たちも首をかしげた。目のつけどころがシャープだったのかは今も不明だ。遊び心にしては何機種も開発していたわけだし、開発チームは真面目に取り組んでいたのだと思う。(ヤフオクでソロカルを検索する。)
せっかく手に入れたから、この連載記事に活かしてみよう。次回からはソロカルを使った計算例をいくつか紹介しよう。
数学者の森毅先生は「無駄が人生にとってゆとりを生み出す」とおっしゃっている。ソロカルもそうだが、このようなソロバンや電卓は見ているだけで楽しい。動画の最後は算盤と電卓の対決である。
背高はん(27桁)
![黒枠の算盤]()
これまで紹介してきた開平、開立の解法は根が自然数になるものばかりだ。今後、根が無理数のときの解法例を紹介する際、小数点以下をなるべく長い桁数で求めたいと思ってヤフオクで買っておいた27桁の「雲州そろばん」である。
そもそも前回の記事に書いたたように、根がたかだか4桁の開立でも18桁必要で、23桁の算盤だと根が5桁までしか求められない。27桁あれば開立の根を7桁まで計算できるのだ。(開平なら根が10桁まで計算できる。)
算盤5兄弟の長男の名前は佐藤さとる先生の「だれも知らない小さな国」の主人公の「せいたかさん」から名前をお借りして「背高はん」とさせていただこう。
ところで兵庫県小野市の市立大部小では児童ら約90人が2005年10月にとても長い算盤を製作している。これは「播州そろばん」で、地元の播州算盤工芸品協同組合の協力により実現したものだ。
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長さ10.1メートルで、通常の約30倍。736桁あり、生徒約30人が1列に並んで同時に計算できる。分散コンピューティングだ。強度を高めるため木製の台に固定されており、長すぎて簡単には動かせない。これを開立法に使えば根が230桁くらいまで計算できるはずだ。
2006年にギネスブックに認定されたそうである。名前をつけるとしたら「ギネスはん」かな?
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その後、2009年にギネスブックの記録は塗り替えられてしまい、大部小の算盤は今は「日本一」ということになる。(現在の世界一は天2珠、地5珠の中国式算盤。ただギネスブックの記録は「長さ」で決まる。中国式算盤は珠が大きいので570桁しかない。桁数では大部小の算盤のほうが勝っている。)
ギネスブックの記録を確認する: 世界最長の算盤 世界最大の算盤
いずれにせよ、この算盤は文字通り「無用の長物」だ。けれどもギネスブックに世界一と認定されたことで、製作に参加した子供たちにはかけがえのない思い出として生涯ずっと残ることだろう。無駄もここまでくれば立派である。
子供たちは小学3年生から6年生くらいに見えるから現在22~24歳になっている。彼らの巨大そろばんは大部小学校のホームページに書かれているように、今も校内に保管されているようだ。
今回の記事も無駄と言ってしまえばそれまでである。
関連記事:
目次:算盤による平方根、立方根の計算(開平、開立)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb0449f357398a2c24026f33af7f70ee
ファインマン v.s. 算盤の達人: ファインマン先生に立方根計算の雪辱を果たそう
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/89a0b907577f03ef6132cf9664bdcddb
武士の家計簿:磯田道史
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/38e15f47cba2eaed5f1787c30b09eb7c
計算尺ノスタルジア (コンサイス計算尺、ヘンミ計算尺)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b91ae7814c1830a9aaf7da77aadf88a8
アポロに搭載された計算尺(Pickett N600-ES)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3898318d7f4b3e84900d9ae2cb80d816
機械式計算機ノスタルジア(タイガー計算器)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/226dd92e17d66ac624b7279776aa77f6
五桁ノ 對數表 及 三角函數表:えふ.げい.がうす著
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8d90de27b13365139c25bbffd9c4f04b
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「#くだらな過ぎてごめんなさい」とタグ付けしたくなるような記事タイトルである。今回は「無駄」がテーマだ。
「開平と開立(第4回): オリジナル算盤」という記事で算盤を擬人化して「パチパチはん」、「開平はん」、「開立はん」を算盤3兄弟として紹介したから、同じ流れでこうなってしまった。
つまり算盤3兄弟には兄が2人もいたのだ。父親が長年秘密にしていた腹違いの隠し子である。これで5兄弟になった。開立法の解説が前回の記事で一区切りついた。次の解法に進む前にいくつか別記事を書きたいので2人の兄に登場してもらうことにした。(解法一覧はこのページ)
電脳はん(13桁、8桁電卓付き)
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いわゆる「ソロカル」として知られるシャープ株式会社が1978年から1984年にかけて発売した電卓付きソロバンだ。この動画で紹介されている。
僕がヤフオクで購入したのはその最終モデル、太陽電池付き。電卓部分は8桁で√キー付き。
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現在の物理学ではタイムトラベルはできないことがわかっているわけだが、将来タイムマシンが発明されて江戸時代に行くことがひょっとしたらできるようになるかもしれない。電池が買えない江戸時代でもこのソロカルなら大丈夫。関孝和先生や伊能忠敬先生へのお土産にぴったりなのだ。
ソロカルが発売されたのはアナログからデジタルへの移行期のこと。CDの生産が開始されたのが1982年、CDの販売数がLP(アナログレコード)を抜いたのが1986年である。
電卓付きソロバンなのか、ソロバン付き電卓なのか頭をひねってしまうこの商品を発売したのはシャープだけだ。その頃までに電卓は普通に使われるようになっていたし、いまさらなぜソロバンなの?と当時の人たちも首をかしげた。目のつけどころがシャープだったのかは今も不明だ。遊び心にしては何機種も開発していたわけだし、開発チームは真面目に取り組んでいたのだと思う。(ヤフオクでソロカルを検索する。)
せっかく手に入れたから、この連載記事に活かしてみよう。次回からはソロカルを使った計算例をいくつか紹介しよう。
数学者の森毅先生は「無駄が人生にとってゆとりを生み出す」とおっしゃっている。ソロカルもそうだが、このようなソロバンや電卓は見ているだけで楽しい。動画の最後は算盤と電卓の対決である。
背高はん(27桁)
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これまで紹介してきた開平、開立の解法は根が自然数になるものばかりだ。今後、根が無理数のときの解法例を紹介する際、小数点以下をなるべく長い桁数で求めたいと思ってヤフオクで買っておいた27桁の「雲州そろばん」である。
そもそも前回の記事に書いたたように、根がたかだか4桁の開立でも18桁必要で、23桁の算盤だと根が5桁までしか求められない。27桁あれば開立の根を7桁まで計算できるのだ。(開平なら根が10桁まで計算できる。)
算盤5兄弟の長男の名前は佐藤さとる先生の「だれも知らない小さな国」の主人公の「せいたかさん」から名前をお借りして「背高はん」とさせていただこう。
ところで兵庫県小野市の市立大部小では児童ら約90人が2005年10月にとても長い算盤を製作している。これは「播州そろばん」で、地元の播州算盤工芸品協同組合の協力により実現したものだ。
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長さ10.1メートルで、通常の約30倍。736桁あり、生徒約30人が1列に並んで同時に計算できる。分散コンピューティングだ。強度を高めるため木製の台に固定されており、長すぎて簡単には動かせない。これを開立法に使えば根が230桁くらいまで計算できるはずだ。
2006年にギネスブックに認定されたそうである。名前をつけるとしたら「ギネスはん」かな?
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その後、2009年にギネスブックの記録は塗り替えられてしまい、大部小の算盤は今は「日本一」ということになる。(現在の世界一は天2珠、地5珠の中国式算盤。ただギネスブックの記録は「長さ」で決まる。中国式算盤は珠が大きいので570桁しかない。桁数では大部小の算盤のほうが勝っている。)
ギネスブックの記録を確認する: 世界最長の算盤 世界最大の算盤
いずれにせよ、この算盤は文字通り「無用の長物」だ。けれどもギネスブックに世界一と認定されたことで、製作に参加した子供たちにはかけがえのない思い出として生涯ずっと残ることだろう。無駄もここまでくれば立派である。
子供たちは小学3年生から6年生くらいに見えるから現在22~24歳になっている。彼らの巨大そろばんは大部小学校のホームページに書かれているように、今も校内に保管されているようだ。
今回の記事も無駄と言ってしまえばそれまでである。
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http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bb0449f357398a2c24026f33af7f70ee
ファインマン v.s. 算盤の達人: ファインマン先生に立方根計算の雪辱を果たそう
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/89a0b907577f03ef6132cf9664bdcddb
武士の家計簿:磯田道史
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/38e15f47cba2eaed5f1787c30b09eb7c
計算尺ノスタルジア (コンサイス計算尺、ヘンミ計算尺)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b91ae7814c1830a9aaf7da77aadf88a8
アポロに搭載された計算尺(Pickett N600-ES)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3898318d7f4b3e84900d9ae2cb80d816
機械式計算機ノスタルジア(タイガー計算器)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/226dd92e17d66ac624b7279776aa77f6
五桁ノ 對數表 及 三角函數表:えふ.げい.がうす著
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8d90de27b13365139c25bbffd9c4f04b
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