「『数学ガイダンス2017』数学セミナー増刊:日本評論社」(最新版を検索)
内容紹介:
大学に入り、初めて大学数学を学ぶ人や、大学で理系に進もうと考えている高校生向けの本です。
2017年3月刊行、175ページ。
理数系書籍のレビュー記事は本書で326冊目。
昨年通読して紹介した「『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社」の2017年版が本日発売された。今年も刊行されたことでこれから毎年恒例になるのかと期待させてくれる。
新入生は毎年入学してくるのだから、自分の入学年度の新品のを持っていたいというのが自然な気持ちだろう。
新年度を来月に控え、発売するにはよいタイミングだ。理数工系の学部、数学を必要とするその他の学部に入学する予定の人は、ぜひお買い求めになり、入学するまでにお読みになるとよいだろう。
2016年版と目次レベルで比べたところ、「巻頭インタビュー」と「1.新入生のためのブックガイド」のところがまったく新しく差し替えられていた。本編の「2.イントロダクション大学数学」は記述の順番こそ違うが、タイトルレベルの目次は同じ、「3.身につけておきたい理系マニュアル」も同様だ。
【巻頭インタビュー】
数学科出身のアーティスト真鍋大度氏(Rhizomatiks Research)が語る
「数学を勉強することの強み」とは
1.新入生のためのブックガイド
・大学初年級の講義の助けになる自習書は?
・数学の流れや広がり・考え方を知りたいときに読んでほしい啓蒙書は?
・意欲のある学生がもう少しだけ先のことを知りたいときに読んでほしい入門書・専門書は?
……ブックガイド執筆者:伊藤浩行・井ノ口順一・乙部巌己・狩野 裕・示野信一・竹内慎吾・八森正泰・藤田博司・山下 靖
・数学書の読み方……竹山美宏
そして2016年版の「3 就職ガイダンス」のほとんどの項目、すなわち以下のタイトルは2017年版の目次には見当たらない。この部分は2017年版で削除された。
数学科出身の先輩より
数学は社会に出て役に立つか?/佐々木尚史
数学との関わりの変化 /坂本健一
アクチュアリーとはどんな人たちで
大学では何を勉強するべきなのか/山内恒人
アクチュアリーの仕事の魅力
数学を活かすプロフェッショナル/河原崎純一
老後を支える年金制度を数学の力で守りたい/吉田興正
対談
アクチュアリーから見た「数学」と「社会」のつながり方
根岸秋男×浅野紀久男
いずれにせよ、本編の「2.イントロダクション大学数学」で解説される以下の項目は各分野の教科書を立ち読みするよりもずっと効率的かつ正確に内容を知ることができるので、新入生は必読だ。学生時代にこのような本があればよかったのになぁと僕は思うわけである。
・数学ランドについて……福井敏純
・大学での微積分──“無限”のワンダーランド……一樂重雄
・集合と論理……竹山美宏
・線形代数……市原一裕
・確率論/服部哲弥
・統計学──推論と予測のための基礎知識……金森敬文
・位相空間……逆井卓也
・曲線と曲面……石川剛郎
・位相幾何学と多様体論……森田茂之
・微分幾何学……小磯憲史
・群論……雪江明彦
・環・体・ガロア理論……角皆 宏
・常微分方程式……柳田英二
・偏微分方程式論──数学では何を学ぶのか……眞崎 聡
・複素関数論への招待……須川敏幸
・測度論・関数解析……曽布川拓也
・数理論理学(数学基礎論)……鈴木登志雄
ここまではネット上で公開されている話。実物を見ないで紹介するのはいけないと思い、地元の書店で本を買って2016年版と比較しながら読んでみた。
まず、巻頭インタビューは数学科出身のアーティスト真鍋大度氏である。メディアアーティストの方で、大学で数学と出会ったころの話、3Dを含めCG作品を手掛けるうえで数学を学んできたことの強み、変形していく映像に深層学習の理論が有効であることなどが語られている。
次にくるのが数学書の紹介。3つのカテゴリーに分けてそれぞれ1ページくらいずつ紹介がされている。このセクションが僕にはとてもありがたい。紹介されている数学書のタイトルを一覧にしたいところだが、本書の売り上げ減になりかねないのでやめておく。
1) 大学初年級の講義の助けになる自習書:9冊
2) 数学の流れや広がり・考え方を知りたいときに読んでほしい啓蒙書:10冊
3) 意欲のある学生がもう少しだけ先のことを知りたいときに読んでほしい入門書・専門書:
8冊
ここまでが2017年版で全面改訂、新規に執筆されたところである。
本編の「2.イントロダクション大学数学」と「3.身につけておきたい理系マニュアル」は2016年版とページ単位で比較したが、順番が違うだけで内容は全く同じだった。(誤植は訂正されているかもしれないが。)全体のページ数も2016年版とほぼ同じである。
2016年版がアクチュアリーについて記述を割く就職を意識したものだったが、新入生にとって就活は少し先の話である。さしあたり勉学に励んでほしいということで2017年版は新入生に寄り添う形に修正された。
関連記事:
『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/20e4c86d6279ba015ba36e0e79953bf5
大学で学ぶ数学とは(概要編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55
大学で学ぶ数学とは(実用数学編)
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/975ad3faa2f6fd558b48c76513466945
線形代数学入門のための教科書談義
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9d2ac30c9f5f620ad703304d710ed90b
解析学入門のための教科書談義
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/22c325e49cfd7c721679dbc2896b86a4
ちょっと気になる常微分方程式の本
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/779e59b0996c582373308c0a4facf16f
目次情報: スミルノフ高等数学教程 全12冊
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d26e1bf0916344802c90d785c535149f
東大教授が語る、東大新入生のための数学ブックガイド
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75ba1f671b226a46e2a31a85d4eb8f49
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【巻頭インタビュー】
数学科出身のアーティスト真鍋大度氏(Rhizomatiks Research)が語る
「数学を勉強することの強み」とは
1.新入生のためのブックガイド
・大学初年級の講義の助けになる自習書は?
・数学の流れや広がり・考え方を知りたいときに読んでほしい啓蒙書は?
・意欲のある学生がもう少しだけ先のことを知りたいときに読んでほしい入門書・専門書は?
……ブックガイド執筆者:伊藤浩行・井ノ口順一・乙部巌己・狩野 裕・示野信一・竹内慎吾・八森正泰・藤田博司・山下 靖
・数学書の読み方……竹山美宏
2.イントロダクション大学数学
・数学ランドについて……福井敏純
・大学での微積分──“無限”のワンダーランド……一樂重雄
・集合と論理……竹山美宏
・線形代数……市原一裕
・確率論/服部哲弥
・統計学──推論と予測のための基礎知識……金森敬文
・位相空間……逆井卓也
・曲線と曲面……石川剛郎
・位相幾何学と多様体論……森田茂之
・微分幾何学……小磯憲史
・群論……雪江明彦
・環・体・ガロア理論……角皆 宏
・常微分方程式……柳田英二
・偏微分方程式論──数学では何を学ぶのか……眞崎 聡
・複素関数論への招待……須川敏幸
・測度論・関数解析……曽布川拓也
・数理論理学(数学基礎論)……鈴木登志雄
3.身につけておきたい理系マニュアル
・大学で数学を学ぶ上で知っておいて欲しいこと……後藤四郎
・レポートを書くためのTEX超入門……阿部紀行
・メモやノートを取りましょう……西野哲朗
・数学記号とギリシャ文字について……間瀬 茂
・数学ソフトウェアのすすめ……濱田龍義
・eラーニングを活用しよう……高橋哲也
・セミナーの準備はここまでしておきたい!……河東泰之
・数学履修生のキャリアとそのデザイン……池川隆司
内容紹介:
大学に入り、初めて大学数学を学ぶ人や、大学で理系に進もうと考えている高校生向けの本です。
2017年3月刊行、175ページ。
理数系書籍のレビュー記事は本書で326冊目。
昨年通読して紹介した「『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社」の2017年版が本日発売された。今年も刊行されたことでこれから毎年恒例になるのかと期待させてくれる。
新入生は毎年入学してくるのだから、自分の入学年度の新品のを持っていたいというのが自然な気持ちだろう。
新年度を来月に控え、発売するにはよいタイミングだ。理数工系の学部、数学を必要とするその他の学部に入学する予定の人は、ぜひお買い求めになり、入学するまでにお読みになるとよいだろう。
2016年版と目次レベルで比べたところ、「巻頭インタビュー」と「1.新入生のためのブックガイド」のところがまったく新しく差し替えられていた。本編の「2.イントロダクション大学数学」は記述の順番こそ違うが、タイトルレベルの目次は同じ、「3.身につけておきたい理系マニュアル」も同様だ。
【巻頭インタビュー】
数学科出身のアーティスト真鍋大度氏(Rhizomatiks Research)が語る
「数学を勉強することの強み」とは
1.新入生のためのブックガイド
・大学初年級の講義の助けになる自習書は?
・数学の流れや広がり・考え方を知りたいときに読んでほしい啓蒙書は?
・意欲のある学生がもう少しだけ先のことを知りたいときに読んでほしい入門書・専門書は?
……ブックガイド執筆者:伊藤浩行・井ノ口順一・乙部巌己・狩野 裕・示野信一・竹内慎吾・八森正泰・藤田博司・山下 靖
・数学書の読み方……竹山美宏
そして2016年版の「3 就職ガイダンス」のほとんどの項目、すなわち以下のタイトルは2017年版の目次には見当たらない。この部分は2017年版で削除された。
数学科出身の先輩より
数学は社会に出て役に立つか?/佐々木尚史
数学との関わりの変化 /坂本健一
アクチュアリーとはどんな人たちで
大学では何を勉強するべきなのか/山内恒人
アクチュアリーの仕事の魅力
数学を活かすプロフェッショナル/河原崎純一
老後を支える年金制度を数学の力で守りたい/吉田興正
対談
アクチュアリーから見た「数学」と「社会」のつながり方
根岸秋男×浅野紀久男
いずれにせよ、本編の「2.イントロダクション大学数学」で解説される以下の項目は各分野の教科書を立ち読みするよりもずっと効率的かつ正確に内容を知ることができるので、新入生は必読だ。学生時代にこのような本があればよかったのになぁと僕は思うわけである。
・数学ランドについて……福井敏純
・大学での微積分──“無限”のワンダーランド……一樂重雄
・集合と論理……竹山美宏
・線形代数……市原一裕
・確率論/服部哲弥
・統計学──推論と予測のための基礎知識……金森敬文
・位相空間……逆井卓也
・曲線と曲面……石川剛郎
・位相幾何学と多様体論……森田茂之
・微分幾何学……小磯憲史
・群論……雪江明彦
・環・体・ガロア理論……角皆 宏
・常微分方程式……柳田英二
・偏微分方程式論──数学では何を学ぶのか……眞崎 聡
・複素関数論への招待……須川敏幸
・測度論・関数解析……曽布川拓也
・数理論理学(数学基礎論)……鈴木登志雄
ここまではネット上で公開されている話。実物を見ないで紹介するのはいけないと思い、地元の書店で本を買って2016年版と比較しながら読んでみた。
まず、巻頭インタビューは数学科出身のアーティスト真鍋大度氏である。メディアアーティストの方で、大学で数学と出会ったころの話、3Dを含めCG作品を手掛けるうえで数学を学んできたことの強み、変形していく映像に深層学習の理論が有効であることなどが語られている。
次にくるのが数学書の紹介。3つのカテゴリーに分けてそれぞれ1ページくらいずつ紹介がされている。このセクションが僕にはとてもありがたい。紹介されている数学書のタイトルを一覧にしたいところだが、本書の売り上げ減になりかねないのでやめておく。
1) 大学初年級の講義の助けになる自習書:9冊
2) 数学の流れや広がり・考え方を知りたいときに読んでほしい啓蒙書:10冊
3) 意欲のある学生がもう少しだけ先のことを知りたいときに読んでほしい入門書・専門書:
8冊
ここまでが2017年版で全面改訂、新規に執筆されたところである。
本編の「2.イントロダクション大学数学」と「3.身につけておきたい理系マニュアル」は2016年版とページ単位で比較したが、順番が違うだけで内容は全く同じだった。(誤植は訂正されているかもしれないが。)全体のページ数も2016年版とほぼ同じである。
2016年版がアクチュアリーについて記述を割く就職を意識したものだったが、新入生にとって就活は少し先の話である。さしあたり勉学に励んでほしいということで2017年版は新入生に寄り添う形に修正された。
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『数学ガイダンス2016』数学セミナー増刊:日本評論社
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ちょっと気になる常微分方程式の本
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東大教授が語る、東大新入生のための数学ブックガイド
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・位相空間……逆井卓也
・曲線と曲面……石川剛郎
・位相幾何学と多様体論……森田茂之
・微分幾何学……小磯憲史
・群論……雪江明彦
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