Quantcast
Channel: とね日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 978

寺川奈津美の気象講座(朝日カルチャーセンター)

$
0
0
拡大

寺川奈津美の気象講座(朝日カルチャーセンター): 詳細

講師紹介:
寺川奈津美(てらかわなつみ)
公式ブログ:http://www.nhk.or.jp/news7-blog/150/
Twitter: @natumikann541
気象予報士、気象キャスター。
1983年、山口県下関市生まれ。慶応義塾大学理工学部応用化学科卒業。第5回矢上祭で行われた理系美人コンテスト『ミス矢上』で初代グランプリを獲得。塾講師を経て、2008年よりNHK鳥取放送局のキャスターを務める。同年、気象予報士資格を取得。
2011年4月より『NHKニュース7』の気象情報を担当。




10月31日の土曜日は朝日カルチャーセンター新宿教室で気象の講座を受講してきた。午後1時から1時間半の授業だ。9月27日には「超弦理論と観測宇宙」、10月21日には「「多様体」超入門:現代幾何学が解き明かす「曲がった空間」」を受講しているので、この秋はすっかり朝日カルチャーファンになっている。

この日は朝から大忙し。バイクのセルモーターが動かなくなったので午前9時に近所のバイク屋さんに行き、ヤフオクで買っておいた部品とバイクを渡した。その後、今週始めからスマホの調子がおかしくなったのでドコモショップ笹塚店に行って機種変更手続しに行ったわけ。バイクのほうはカルチャーセンターの授業が終わるころまでに修理完了するというスケジュール。バイクとスマホの件は、別記事に書いておいた。(バイク修理の記事スマホ機種変更の記事)

新宿の朝日カルチャーセンターに着いたのが12時くらい。前のほうの席をとろうと早めに着いたのだけど、休憩コーナーでパソコンを広げて用事をしているうちに、教室前にはいつの間にか列ができているのに気が付いた。ああ!せっかく早く来たのに。。。慌ててパソコンをしまって最後尾に並んだ。

とはいえ、結局僕がとれたのはいつもの物理学講座で座っているような最前列の席。どうしてなのかわからないけど、その席だけ空いていた。ラッキーである。

いつもの71番教室。100人以上入れるいちばん大きい部屋だ。集客力は抜群である。さすが寺川先生!(講師なので「寺川さん」ではない。)教室の入口に「本日はサイン会や握手会はありません。」と張り紙がしてあった。(そういうの期待して来る人もいるのだろうなー。)

開講時間が近づく頃には満席に。男性が9割以上というのは物理学や数学の講座のときと変わらないが、年齢層が少し若い気がした。(8月にイケメン気象予報士の斉田先生が講座をされたときは女性受講者が異様に多かったそうである。やはりそういうものなのだろう。)


スタッフの紹介に続き講義が始まった。テレビで見慣れている人が3Dで目の前にいるのは楽しいものだ。黒のとっくりのセーターに黒とグレーのチェス盤模様のスカート、そして黒のタイツという服装。シックに決めているなと思った。そして顔が小さい。。。

講義の大まかな流れは次のとおり。ご自身が作成したPowerPoint資料とホワイトボードを使っての解説。

- 気象キャスターとしての仕事の話、1日のスケジュール
- 趣味としてのランニングのこと
- 2015年はどんな天気だったか
- 2014年2月の大雪について
- 2013年の成人の日の大雪について
- 雪と雨を分ける要因
- 質疑応答
- 自著の紹介


気象キャスターとしての仕事の話、1日のスケジュール

今月からツイッターを始めていること、自分のアカウントのほかに「NHK生活・防災(@nhk_seikatsu)」でもツイートされていること。

天気キャスターとしての仕事は毎日2分間だけだが、ヒマではない。朝8~9時に気象して天気予報チェック。前日の予報がはずれたときは、なぜはずれたかを分析。午前中は趣味のランニングをする。NHKの周りや代々木公園を走る。

昼頃から空模様の解析、ブリーフィングを行う。ブリーフィングはその日の天気のポイントを関係者で共有する。ブリーフィングは若手の育成という目的もある。専門家の前で行うため緊張する。

ヘアメイクは女性の場合45分程度、男性の場合は5~10分程度。その間のメイク担当者、衣装担当者との会話は一般の方の天気や気候に関する感じ方を知ることができるのでとても大切な時間。

衣装は気象予報士の間で共有したりするので、いつも新品を着ているわけではない。そのための洋服のお直し担当の方がいるのだという。

本番前はアナウンサーと打ち合わせ。担当は2分間だが状況によって短縮されること、延長されることがある。(時間調整のことは「尺の調整」という言葉で表現されていた。)

原稿は自分で書いて記憶している。ただしどう見せるか、どう話すかはチームであらかじめ打ち合わせしている。


2015年はどんな天気だったか

新年の大雪。61年ぶりの積雪。実家(山口県)への帰省のために新幹線を利用しているが、新幹線は雪に影響されやすい。

新幹線が徐行するかどうかは雪の量と性質に影響を受ける。粉雪だと走行中に舞い上がり、車体に凍り付いた雪が落下して砂利を跳ね飛ばす。そのようなときは徐行運転になる。

春は穏やかだった。(春一番は発生しなかった。)気温は高め。

5月下旬から暑かった。5月31日の東京の気温は32.2度。

夏は始めが暑かった。真夏日は歴代7位。7月19日~8月16日は1876年観測開始以来の猛暑だった。

エルニーニョが発生すると冷夏になると言われているが、この表現には注意が必要。「過去のデータをみる限り、冷夏になるケースが多い。」というのが本当のところ。だから気象予報では「エルニーニョが発生するので冷夏になります。」と断定的に表現してはいない。(断定的な表現をしてはいけないことになっている。)

長期予報はさまざまな要因が絡んでいるので難しい。しかし精度は年々向上している。

今年の台風の発生数と接近数は例年と大差ない。

7月の台風11号: 四国に上陸、関東に局地的な大雨を降らせた。7月17日の朝、桶川で女子高生が通学途中で流されて死亡する痛ましい事故があった。休日を利用して寺川先生は現場を訪れ、付近の様子を写真で説明された。

8月の台風15号:石垣島で最大瞬間風速71メートル。これは史上1位。

9月の台風18号と17号:鬼怒川の堤防決壊による洪水。(9月9日~11日)台風から離れていても台風周辺の湿った空気が流れ込んだ。(バックビルディング)線状降水帯が鬼怒川に沿っていたから被害が拡大した。

災害から1か月たった10月10日に休日を利用して寺川先生は現場(三坂地区)を訪れ、住民に聞き取りをしたり、写真を撮影して、状況を解説された。

この大雨は予想されていて注意喚起がなされていたが、天気予報での伝え方が十分だったか寺川先生は疑問を持っていらっしゃるという。現状の天気予報では雨量の予測はできるが、場所の精度は十分でない。

このほか9月12日の大雨の際、茨城県常総市の水街道地区を訪れたときの写真も紹介。水害は時差(タイムラグ)があるので注意。

今年の冬は暖冬と予想されている。暖冬のとき関東は大雪になることが多い。南から湿った空気が流れ込むため。


2014年2月の大雪について

関東で記録的な大雪が降った。前橋を訪れたときの写真を紹介されていた。

この2月の大雪のことは僕もブログ記事で書いていた。

記録的な大雪と東京都知事選挙
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0f2a56e5f169576ff22e50ad50537599

渋谷駅のハチ公の隣に「雪ハチ」の雪像が作られたときの大雪もこの月だった。

バレンタインデー、再び大雪、ソチ・オリンピック2014
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2f9f2eb35d60ab9bd82ef2703c0c0fb6


2013年の成人の日の大雪について

寺川先生にとっていちばんつらい日だったのだそうだ。(予報をはずしたという意味で。)

気象予報士にとって大切なのは、気象庁の予報をそのまま伝えるのではなく「予報の幅を伝える」ことなのだそうだ。つまり気象庁の予報の「自信の有る無し」をくみとって伝えるの大切なこと。


雪と雨を分ける要因

ほんのちょっとの気温や湿度の差で雪になったり雨になったりするので予報するのは難しい。高層天気図や高層の風向、気温、湿度(地上相対湿度)も考慮する必要がある。

気温を下げる要因は次の3つ。

1)雨が蒸発する際、気化熱によって冷却効果
2)雪が融ける際の融解熱による冷却効果
3)北からの寒気の流入

関東は山に囲まれた地形なので「冷気ドーム」が形成されて降雪するのが特徴。

この年の成人の日に大雪になったのは、融解熱による冷却と来たからの湿った寒気の流入によることが後の分析でわかった。


質疑応答

最後の10分が質疑応答に割り当てられていたが質問者が多かったので10分延長になった。爆弾低気圧についての解説を希望される方がいらっしゃり、まさにタイムリーなトピックで解説が行われた。


感想

あっという間の1時間半。声もよくとおり、さすが「話のプロ」である。受講者からの質問に対して即座にお答えをされるあたりは日ごろから広く深く勉強されているのだろうなと思った。

プライベートの時間を使って災害現場に足を運んでいらっしゃることにも驚かされた。特に桶川で女子高生が亡くなった現場や、鬼怒川の洪水の現場について時間をとって詳しく解説され、その地域にお住まいの方のお話もうかがっていらっしゃることに、ご自身の役割についての模索を真剣に行っていしゃるのだと僕は感じた。

気象予報の報道の仕方によっては人の生死を分けることにもなるのだから責任は重大である。来月発売される寺川さんの著書「はれますように」というタイトルには「災害をもたらすような天気になりませんように」という意味がこめられているのかなと思った。気象予報士、気象キャスターの仕事はとてもやりがいのある仕事だと強調されていたのが印象的だった。

洪水のあった三坂地区へは災害の1か月後の写真をお見せいただいたのだが、その惨状がひどいことに僕は驚き「1か月??」と思わずつぶやいてしまったのだが、寺川先生に気づかれて「そう、1か月もたってるのですよ。」とおっしゃっていた。写真に写っていない悲惨な現場の様子も先生の脳裏にあったに違いない。

大雪や大雨など災害に結びつく気象の話が多かったわけだけれども、全体的には明るく楽しい感じで進行した。テレビではけして見ることができない表情が見れたのもよかった。(大笑いしているときの表情とか。)


質疑応答が終わって、最後に著書の紹介をされた。11月13日発売予定で、ネットでは予約受付中。寺川先生の写真集の小冊子も含まれているそうだ。本が届いたら、僕も読んで紹介記事を書かせていただこう。


気象キャスター寺川奈津美 はれますように~未来はきっと変えられる


内容紹介
人気の気象キャスターが初めて語る
気象予報士の仕事、そしてプライベート

NHK 『ニュース7』の気象キャスター(平日担当)として活躍する寺川奈津美さん。 6回目の受験でようやく合格した気象予報士試験の苦労談から、気象キャスターの仕事の魅力、プライベートまでを赤裸々に語ります。
寺川奈津美さんは慶応大学理工学部卒の、いわゆる“リケジョ"。卒業後、いったんは一般企業に就職しますが、仕事になじめず1年で退社。その後、故郷・山口県下関市に戻り、アルバイトをしながら気象予報士の試験勉強に専念するが…。
これから「気象予報士」を目指す人はもちろん、目標や夢を諦めずに追いかける人たちにエールを贈るエッセイ集です。
「自分には認めてもらえるものが何もない」

ダメダメな自分に終止符を打つべく
気象予報士試験に6度チャレンジ。

『とにかく自分に自信がほしかったのです。
難関といわれる資格を取れば、
「頑張った証」をもらえる気がしました。
ダメダメな自分に終止符を打ちたかった』


講座では紹介されていなかったけれども、こういうのも販売されている。2年たつとプレミアがつくようだ。

NHK気象予報士カレンダー




寺川先生、楽しく、そして深く考えさせられる講義をしていただき、ありがとうございました!


講座の後、僕はバイク屋さんに戻り、修理を終えたバイクに乗っていったん帰宅。その後、地元の商店街に出たのだけれど、ハロウィンの仮装をしている人をたくさん見かけた。

今日の寺川先生は黒づくめの服装だったわけだけれど、仮装の人たちを見ているうちに「あっ、もしかしたら後で仮装しやすいように黒一色の服装をされていたのかな?」と思いついた。当たっているかどうかは確認のしようがないわけだけれど。


関連記事:

知識ゼロからの異常気象入門:斉田季実治
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0294a67d1755964cb572b65f029624e4


応援クリックをお願いします!
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ 人気ブログランキングへ 

  

 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 978

Trending Articles