左から0次元、1次元、2次元、3次元の物体のつもり
はじめに
昨年のとある晴れた夏の朝、父がベランダで布団を干しているのを目にしました。起きたばかりで少し寝ぼけていた僕は、ぼんやりとその光景を見ていたのですが、しばらくするうちにハッとあることに気が付きました。
みなさんはイヤフォンやスマートフォンの充電ケーブルがこんがらがって、ほどくのに苦労した経験があると思います。僕が思い出したのはそのことなのです。ケーブルはこんがらがるのに、竿に干した布団はこんがらがりません。布団は竿に「ひっかかる」だけです。
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でも、それはなぜでしょう?
そんな疑問がムクムクと湧いてきました。
それ以来、僕は思い出すたびにこの一見あたりまえで日常的な布団干しとこんがらがったケーブルのことを考えてきたのですが、最近になってようやく納得がいく説明ができるようになりました。
ケーブルや「ひも」はいわば1次元の物体と言ってよいでしょう。ひもは自分自身だけでも絡まりやすいですし、ひもとひもも絡まりやすいですよね。
そしてそれより前に僕は「ひもが絡まってしまうのは3次元空間特有の現象だ。」ということを耳にして不思議に思っていました。
1本であっても2本であっても、ひもは3次元以外の空間では絡むことはないというわけです。それは本当でしょうか?もし本当だとして、それをわかりやすく説明することができるでしょうか?また、ひもが絡むことがわかったとして、それではなぜ「絡みやすい」のでしょう?そのあたりのことも説明します。
ひもが絡まり合う現象を研究する「結び目理論」という分野が数学にはありますが、そのように高度な数学を紹介しようとするわけではありません。結び目理論は僕もまだ勉強したことがありませんし、学ぶにしてもだいぶ先のことになりそうです。
ポケットに入れたイヤホンコードが絡まる理由が科学的に明らかに!!120種の複雑な結び目が形成されていた!!
http://matome.naver.jp/odai/2142323627141472101/2142323732842237903
ということで今日から書く連載記事で、その理由を可能な限りていねいに説明させていただきます。数式は一切使わないようにして、中学生や高校生のみなさんにも理解していただきたいと思います。けれども説明をわかりやすくするために「座標軸」の考え方だけは使わせていただきます。
また、この問題だけでなく私たちの住んでいる3次元の空間以外の多次元空間で、物体はどのように存在し、私たちの3次元空間からどのように見えるのかということについても解説する予定です。
だから連載記事のタイトルは「ひもとひもは~」ではなく「多次元空間へのお誘い」といたしました。
記事の舞台となる多次元空間は数学の言葉で言うと「N次元ユークリッド空間」のことです。相対性理論で使われる曲がった4次元時空ではありませんし、超弦理論で使われるコンパクトに丸められた余剰次元空間でもありません。ユークリッド空間は数学的にいちばんシンプルなものです。連載記事では6次元ユークリッド空間のことくらいまで説明させていただければと思います。
存在するとはとても思えない4次元以上のユークリッド空間を考えることに何の意味があるのか?とご批判される方がいるかもしれません。でも、数学は何次元の空間でも自由に考える学問です。たとえば微分位相幾何学で発見された「エキゾチックな球面」は8次元空間に浮かぶ球体の表面(7次元)の性質を述べた数学的な実体ですし、相対性理論では4次元の時空を、超弦理論では10次元もしくは11次元の空間の性質を研究しています。また多次元幾何学は「情報理論」や通信技術の発展に大いに貢献しました。
多次元の空間で成り立っている法則が、私たちの3次元の空間に影を落とし、何かの発見に役立つとしたら、それはそれで素敵なことではないでしょうか?
「影」は数学の言葉で言えば「写像」のことです。写像は物事の間の対応関係をあらわします、写像の考え方が大切な理由のひとつがここにあります。
ネタばれしない程度に、連載記事の流れを書くと次のようになります。2つの項目がひとつの記事になるかもしれませんし、書き進めていくうちに項目や順番を変更するかもしれません。
- 4次元空間での布団干し
- ひらめいたこと
- 多次元空間で絡み合うモノは?
- 絡まるとはどういうことか?
- ひもが絡まるのは3次元空間だけでおきる
- モノはどのように曲がる?
- 多次元空間にあるモノは低次元空間からどう見える?
- 多次元空間で絡まっているモノは低次元空間からどう見える?
- ひもはなぜ絡みやすいのか?
- 髪の毛の話
- 蕎麦とうどんの話
- DNAの二重螺旋構造の話
イラストを描くのが下手なので、100円ショップで買った物を写真に撮って説明に使います。記事トップの掲載写真のようなものを用意しました。
それではみなさん、しばらくの間、私の話にお付き合いください。
本編は次の記事から始まります。
数学に詳しい方へのお願いとご注意:
この連載記事は次々と「種あかし」をするような感じで書き進める予定です。ですのでコメント欄にはまだ解説していない内容について先走って解説を投稿されないようにお願いします。もちろんすでに公開している内容について、掘り下げてご説明やコメントをいただくことは問題ありませんし、むしろ歓迎します。先走った解説をコメントされた場合、いただいたコメントの公開を承認できないことがありますのでご注意ください。
関連記事:
多次元空間へのお誘い(2):4次元空間での布団干し
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/81fb8e0a7f148699fcda78486f868903
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はじめに
昨年のとある晴れた夏の朝、父がベランダで布団を干しているのを目にしました。起きたばかりで少し寝ぼけていた僕は、ぼんやりとその光景を見ていたのですが、しばらくするうちにハッとあることに気が付きました。
みなさんはイヤフォンやスマートフォンの充電ケーブルがこんがらがって、ほどくのに苦労した経験があると思います。僕が思い出したのはそのことなのです。ケーブルはこんがらがるのに、竿に干した布団はこんがらがりません。布団は竿に「ひっかかる」だけです。


でも、それはなぜでしょう?
そんな疑問がムクムクと湧いてきました。
それ以来、僕は思い出すたびにこの一見あたりまえで日常的な布団干しとこんがらがったケーブルのことを考えてきたのですが、最近になってようやく納得がいく説明ができるようになりました。
ケーブルや「ひも」はいわば1次元の物体と言ってよいでしょう。ひもは自分自身だけでも絡まりやすいですし、ひもとひもも絡まりやすいですよね。
そしてそれより前に僕は「ひもが絡まってしまうのは3次元空間特有の現象だ。」ということを耳にして不思議に思っていました。
1本であっても2本であっても、ひもは3次元以外の空間では絡むことはないというわけです。それは本当でしょうか?もし本当だとして、それをわかりやすく説明することができるでしょうか?また、ひもが絡むことがわかったとして、それではなぜ「絡みやすい」のでしょう?そのあたりのことも説明します。
ひもが絡まり合う現象を研究する「結び目理論」という分野が数学にはありますが、そのように高度な数学を紹介しようとするわけではありません。結び目理論は僕もまだ勉強したことがありませんし、学ぶにしてもだいぶ先のことになりそうです。
ポケットに入れたイヤホンコードが絡まる理由が科学的に明らかに!!120種の複雑な結び目が形成されていた!!
http://matome.naver.jp/odai/2142323627141472101/2142323732842237903
ということで今日から書く連載記事で、その理由を可能な限りていねいに説明させていただきます。数式は一切使わないようにして、中学生や高校生のみなさんにも理解していただきたいと思います。けれども説明をわかりやすくするために「座標軸」の考え方だけは使わせていただきます。
また、この問題だけでなく私たちの住んでいる3次元の空間以外の多次元空間で、物体はどのように存在し、私たちの3次元空間からどのように見えるのかということについても解説する予定です。
だから連載記事のタイトルは「ひもとひもは~」ではなく「多次元空間へのお誘い」といたしました。
記事の舞台となる多次元空間は数学の言葉で言うと「N次元ユークリッド空間」のことです。相対性理論で使われる曲がった4次元時空ではありませんし、超弦理論で使われるコンパクトに丸められた余剰次元空間でもありません。ユークリッド空間は数学的にいちばんシンプルなものです。連載記事では6次元ユークリッド空間のことくらいまで説明させていただければと思います。
存在するとはとても思えない4次元以上のユークリッド空間を考えることに何の意味があるのか?とご批判される方がいるかもしれません。でも、数学は何次元の空間でも自由に考える学問です。たとえば微分位相幾何学で発見された「エキゾチックな球面」は8次元空間に浮かぶ球体の表面(7次元)の性質を述べた数学的な実体ですし、相対性理論では4次元の時空を、超弦理論では10次元もしくは11次元の空間の性質を研究しています。また多次元幾何学は「情報理論」や通信技術の発展に大いに貢献しました。
多次元の空間で成り立っている法則が、私たちの3次元の空間に影を落とし、何かの発見に役立つとしたら、それはそれで素敵なことではないでしょうか?
「影」は数学の言葉で言えば「写像」のことです。写像は物事の間の対応関係をあらわします、写像の考え方が大切な理由のひとつがここにあります。
ネタばれしない程度に、連載記事の流れを書くと次のようになります。2つの項目がひとつの記事になるかもしれませんし、書き進めていくうちに項目や順番を変更するかもしれません。
- 4次元空間での布団干し
- ひらめいたこと
- 多次元空間で絡み合うモノは?
- 絡まるとはどういうことか?
- ひもが絡まるのは3次元空間だけでおきる
- モノはどのように曲がる?
- 多次元空間にあるモノは低次元空間からどう見える?
- 多次元空間で絡まっているモノは低次元空間からどう見える?
- ひもはなぜ絡みやすいのか?
- 髪の毛の話
- 蕎麦とうどんの話
- DNAの二重螺旋構造の話
イラストを描くのが下手なので、100円ショップで買った物を写真に撮って説明に使います。記事トップの掲載写真のようなものを用意しました。
それではみなさん、しばらくの間、私の話にお付き合いください。
本編は次の記事から始まります。
数学に詳しい方へのお願いとご注意:
この連載記事は次々と「種あかし」をするような感じで書き進める予定です。ですのでコメント欄にはまだ解説していない内容について先走って解説を投稿されないようにお願いします。もちろんすでに公開している内容について、掘り下げてご説明やコメントをいただくことは問題ありませんし、むしろ歓迎します。先走った解説をコメントされた場合、いただいたコメントの公開を承認できないことがありますのでご注意ください。
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多次元空間へのお誘い(2):4次元空間での布団干し
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/81fb8e0a7f148699fcda78486f868903
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