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視覚障害者が読める理数系書籍や学習環境について(リンク集)

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数式点字(Nemeth点字)の例


大学の数学科入学を目指して勉強している視覚障害者の高校3年生と今月に入ってからツイッターで知り合い、メッセージのやりとりをしている。

その数学少年はiPhoneからツイートしていて、アップルの読み上げ機能の「VoiceOver」を使い、漢字の読みを確かめながら入力しているそうだ。(このページによるとiOS7以降では、VoiceOverを使った数式入力(Nemeth点字)に対応しているのだという。)


高校までの教科書はすべて点字で学べるようになっていることは知っていたが、理数系の学生にとって大学以上の教科書、科学教養書はどのくらい点字やオーディオブックで読めるようになっているのだろうか?

点訳のボランティア・サークルは全国にたくさんあるが、数式点字や図形点字(点図)を入力できる人はごく限られている。気になったので調べてみることにした。

またパソコンやインターネットが発達している今日、点字のシステム化はどれほど進んでいるのだろうか?このあたりも調べてみた。


歴史上の大数学者の中にも視覚障害者は何人もいる。レオンハルト・オイラーは晩年失明していたし、位相群論、連続群論を発表したロシアの大数学者レフ・ポントリャーギンは14歳で失明している。現代数学、抽象数学の世界を切り開くためには視覚を持っていることによる先入観はむしろ研究の邪魔になることがあるかもしれないと僕は思った。

参考ページ:「意思のあるところに方法がある(Where there's a will, there's a way)その2」 田中仁さん(1982年卒業) 東京大学数理科学研究科 拠点形成特任研究員
http://www.obihiro-sb.hokkaido-c.ed.jp/sotugyo/sotugyono41.html

The World of Blind Mathematicians (PDFファイル)
http://www.ams.org/notices/200210/comm-morin.pdf


とりあえずこれまでの調査結果を記事にしたが、今後も新しい情報が得られ次第、更新する予定なので、役立ちそうな情報を見つけたらコメント欄やブログのメッセージ投稿欄からお寄せいただきますようお願いします。


1) 点字で入手可能な自然科学書籍

点訳リスト【自然科学】(つつじ点訳友の会)
物理学系の「なっとくする~シリーズ」がお勧め。
http://www.tutuji.org/shizen.html

点訳リスト【数学】(つつじ点訳友の会)
結城浩さんの「数学ガール」シリーズ、志賀浩二先生の「数学が育っていく物語」シリーズ、吉田武さんの「オイラーの贈物」、大学の数学教科書がお勧め。
http://www.tutuji.org/sugaku.html

科学へジャンプ・点字図書ライブラリー(サクセスネット)
志賀浩二先生の「数学30講シリーズ」や各種数学教養書がお勧め。点字データとして無料ダウンロード。点字データにはhEBK、BSE(BASE)、BES、標準(NABCC)形式などのファイル形式がある。このサイトでダウンロードできるのはBASE版とBES版。
http://www.sciaccess.net/BBLib/

数学と理科の本 点字版 理科のはなし(日本ライトハウス)
大栗博司先生の「重力とは何か」など、科学教養書が多数。
http://www.eonet.ne.jp/~tecti/tecti/ichiran/rika.html

数学と理科の本 点字版 総合&算数・数学のはなし(日本ライトハウス)
アイザック・アシモフの「科学発見シリーズ」がお勧め。
http://www.eonet.ne.jp/~tecti/tecti/ichiran/sansuu.html

点訳完成 図書リスト(情報・理数系点訳ネットワーク)
コンピュータやプログラミング、数学書が充実。将来、自然科学の論文を書くのであればLaTeXやMathMLは学んでおいたほうがよい。また高木貞治の「解析概論 第3版」は必読。
http://www.ntut-braille-net.org/finished.php

点字データ検索・ダウンロード(サピエだけでなく国会図書館を含めて検索できる。会員登録すれば点字データをダウンロードできる。)
志賀浩二先生の「数学が生まれる物語」シリーズ、桜井進先生の「面白くて眠れなくなる数学」、結城浩さんの「数学ガール」シリーズ、統計学の教科書が見つかった。瀬山士郎、藤原正彦、飯高茂、森毅、中村亨、矢野健太郎などの著者名で検索するとよい。またブルーバックスも充実しているのでタイトルに「ブルーバックス」と入力して検索するとよい。高校までの参考書、問題集も充実している。
サピエのサイトへのリンクは「ゲストページ」が入口で、ここに「お知らせ」など重要なことが書かれている。また書籍は「点字データ検索」のリンクをクリックして検索ページを開いていただきたい。
https://library.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1MN1?S00101=J01SCH01

ちなみに点字ビューアというWindows版無料ソフトで、志賀浩二先生の「解析入門30講」の点字ファイル(BSE形式)を開き、表示させてみるとこうなる。画像はクリックで拡大する。視覚障害者はこのようなイメージで数学を学んでいるのだ。(この文章を投稿した日に「点字点字ビューア」の作者の方からコメントをいただきました。数学記号の表示には対応していないということでした。対応していない箇所が点字として残って表示されているのだと僕は理解しました。)

晴眼者が読める表示


点字だけの表示


参考:
LaTeX: ウィキペディアの記事
MathML: ウィキペディアの記事
MathJax: ウィキペディアの記事
ePub: ウィキペディアの記事


2) オーディオブック

「重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る:大栗博司」(紹介記事
http://www.febe.jp/product/144944

「宇宙は何でできているのか:村山斉」
http://www.febe.jp/product/106039

「NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影:春日真人」
http://www.febe.jp/product/77596

「99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方:竹内薫」
http://www.febe.jp/product/20339


3) ネット上で無料で学べる点字入門サイト(晴眼者用)

点字の1文字は6つの点で表される。ASCII文字の8ビットよりも少ない6ビットだ。これで五十音と句読点や各種括弧や記号だけでなく、英数字、数式が表現できるのはどういうことなのか?世界各国の言語で6点による点字が使われていることは僕にとって脅威的である。どのような体系になっているのか、日本語だけでなく外国語について調べてみるのも面白いだろう。

とほほの点字入門
http://www.tohoho-web.com/tenji.htm

点字入門
http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/braille/BR/chap2/2-7/2-7.html

青眼者のための点字入門
http://tenji.dohow.jp/

今日からできるパソコン点訳
http://www7a.biglobe.ne.jp/~EDEL-plus/kyou/index.html

エーデルをはじめよう!(点字・点図編集ソフト):ソフトのダウンロードサイトはここ
http://www.ntut-braille-net.org/EDEL-Web/index.html

「みずほ流」点訳入門教室
http://www7.plala.or.jp/mizuhotennyaku/kyohshitsu/

岩倉点字くすのきの会 点字って何だろう(動画)
http://www.youtube.com/watch?v=bIMxXyRbRl0

音点字 点字の配列
http://www.youtube.com/watch?v=qWLi2pnrGf4


4) 数式点字(ネメス点字)についての情報(晴眼者用)

ネメス点字(Nemeth Braille)とは
http://en.wikipedia.org/wiki/Nemeth_Braille

Nemeth Tutorial(お勧め)
http://tech.aph.org/nemeth/

Nemeth Braille Code for Mathematics and Science 1972 Revision
http://www.gh-mathspeak.com/examples/NemethBook/

Math Education and Nemeth Code
http://www.tsbvi.edu/nemeth-code

Nemeth Braille(PDFによる詳細例)
http://www.brailleauthority.org/mathscience/nemeth1972.pdf

Handbook for Spoken Mathematics
http://s22318.tsbvi.edu/mathproject/appB.asp?MV=exact&Pg=1&s=10

The Nemeth Braille Code for Mathematics and Scientific Notation(動画)
http://www.youtube.com/playlist?list=PL1CE33A64B05C4461


5) 点字入門セット(晴眼者用)

小学生から学べる!点字入門セット: アマゾンで確認

新装版 点字・点訳基本入門: アマゾンで確認

N632小型点字器6行×32マス: アマゾンで確認

点字用紙(100枚入): アマゾンで確認


6) 点字処理システム、ソフトウェア(晴眼者用)

点字自動翻訳システム(双方向):Web版なのでインストール不要
http://muzik.gr.jp/tenji/default.asp

点字に自動翻訳するサーバー(点字ファイル(BSE形式)が出力できる。英語点字にも対応。):Web版なのでインストール不要
http://ebraille.med.kobe-u.ac.jp/

点字メーカー:Web版なのでインストール不要
http://jsdo.it/nullkal/9Gjs

点訳ソフト一覧
http://j7p.net/soft/braille.html

Vector(障害者用プログラム-主に視覚障害者用)
http://www.vector.co.jp/vpack/filearea/dos/personal/handicap/

点字ビューア
http://hp.vector.co.jp/authors/VA049672/viewer.html

情報・理数点訳ネットワーク、無料ダウンロード
http://www.ntut-braille-net.org/free_download.php

点字・点図編集ソフト「エーデル」
http://www7a.biglobe.ne.jp/~EDEL-plus/

点訳ソフト
http://www7a.biglobe.ne.jp/~EDEL-plus/kyou/index.html

Infty Project(数理科学情報処理システム研究プロジェクト)
http://www.inftyproject.org/jp/software.html

点字編集システム6
http://www.ttools.co.jp/product/eyes/BES/

T-Editor Version 4
http://t-editor.sakura.ne.jp/

ブレイルスター for Windows
http://www.nbs.co.jp/bsw.htm

点字入門サイトと点字アプリ
http://matome.naver.jp/odai/2137915145489475801

数式の音声出力(MathML、LaTeX、Nemethコード)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/it/NCAM/math.html


7) 点訳ネットワーク、技術支援(視覚障害者、晴眼者用)

情報・理数点訳ネットワーク
http://www.ntut-braille-net.org/index.php

Infinity Project(数理科学情報処理システム研究プロジェクト)
http://www.inftyproject.org/jp/index.html

サクセスネット (sAccessNet)
http://www.sciaccess.net/jp/


8) 視覚障害者、点字図書館、福祉施設で使われている製品

ブレイルセンスU2日本語版(視覚障害者のために開発された携帯情報端末。)
http://www.extra.co.jp/sense/bsu2.html

ブレイルセンスオンハンドU2ミニ日本語版(その小型版)
http://www.extra.co.jp/sense/bso_u2mini.html

ブレイルセンスU2の説明動画
http://www.youtube.com/watch?v=d7MBm8TIJDE

(有)エクストラ:自動点訳ソフトウェアEXTRA for Windowsの開発・販売元
http://www.extra.co.jp/

点字プリンタ(日本テレソフト)
http://www.nippontelesoft.com/menu/pri.html

点字プリンタ(Amedia)
http://www.amedia.co.jp/product/embossers.html

点字プリンタ、点字製本機(株式会社 ジェイ・ティー・アール)
http://www.jtr-tenji.co.jp/products/

点字タイプライター
http://yougu.nittento.or.jp/category134_80.html

音声点字タイプライター BraiTalker
http://rabbit-tokyo.co.jp/braitalker

点字ディスプレイ(日本テレソフト)
http://www.nippontelesoft.com/menu/disp.html

点字ディスプレイ(Amedia)
http://www.amedia.co.jp/product/bdisplay.html

点字関連製品
http://www.iccb.jp/salon/goods/braille/


ヤフオクでブレイルセンスを: 探してみる

ヤフオクで点字タイプライターを: 探してみる

ヤフオクで点字プリンターを: 探してみる

ヤフオクで点字関連製品を: 探してみる


9) 視覚障害者と数式入りの文章をやり取りする方法

調査して後日追記する予定。(ご存知の方は教えていただきたい。)

個人的には次のようなやり方が実現すればスマートだと思っている。

- 晴眼者が読めるLaTeXファイル、MathMLファイル、MathJaxファイル、ePubファイルと視覚障害者が読める点字データ(BSE、BES、標準(NABCC)形式)の相互変換
- オンラインLaTeX数式エディタ(例えばcodecogs)のようなサイトからの点字データ(BSE、BES)の出力
- LaTeX、MathML、MathJax、ePubファイルの音声読み上げ、音声ファイルの生成

晴眼者から視覚障害者への一方向の数式入り文章の伝達については、次の記事が参考になるかもしれない。これらのブログ記事中の数式を音声読み上げソフトやiPhoneのVoiceOverが、ちゃんと読んでくれるようになるかどうかが要になると思う。以下は試行錯誤のためのリンク。

はてなブログの LaTeX 数式表示がデフォルトで MathJax 化された
http://auewe.hatenablog.com/entry/2014/05/10/050403

ブログで数式を表示させる方法:Online LaTeX Equation Editorを利用
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1c47cdc6446b40dbe1f02284ec86da59

ブログで数式を表示させる方法: @WIKIを利用
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ec73b1097a19f12527d1f23cba0432e5

MathPlayer: MathMLの数式を読み上げしてくれる。これは使えるかもしれない。ただし出力される音声は英語だ。
http://www.dessci.com/en/products/mathplayer/

MathJax-docs: List of math enabled screen readers
https://github.com/mathjax/MathJax-docs/wiki/List-of-math-enabled-screen-readers

MathML in DAISY Resources
http://www.daisy.org/daisypedia/mathml-in-daisy-resources

MathJax/MathMLを使った数式表示
http://rlated.net/mathjaxmathmlを使った数式表示/

Webに数式を書こう MathJax MathML 数式
http://moshaspot.hatenadiary.jp/entry/2014/04/19/075900

英語版ファインマン物理学(MathJax):このようなサイトを視覚障害者が点字で読んだり音声で聞いたりできるようになれればよいわけだ。
http://www.feynmanlectures.caltech.edu/


ということでiPhoneのVoiceOver機能を試してみた。視覚障害者のために画面を音声で読み上げてくれる機能です。

ホームページやブログの日本語はほぼ間違えることなく自然な感じで読んでくれる。英語の文章はいかにも日本人っぽい発音で読んでくれる。ジャパニーズイングリッシュだ。(笑)

オンラインで無料公開されている英語版ファインマン物理学のページを読ませると、数式の箇所も読んでくれる。ただしギリシャ文字やいくつかの数学記号は無視するので実用にはならない。添え字も読まない。積分記号は読んでくれた。ラプラシアンのことは「ベクトル記号」と発音していた。

iPhoneのVoiceOver機能で遊ぶと面白い。ただしロックスクリーンになってしまうとパスワード入れてロック解除するのが大変なのでご注意!事前に説明をネットで読んでからやらないと、いつもの設定に戻すのも苦労する。でも一度は体験してみるとよい。とてもよくできていることがわかる。

そもそも日本語では複雑な数式を正確に読み上げる規則って完成してるのだろうか?英語だと数式読み上げソフトというのがあるから読み上げ規則が出来上がっているのかもしれない。つまり日本語で数学の教科書を朗読して視覚障害者に正確に伝えることができるかどうかということだ。

VoiceOver機能の使い方
http://www.kaigian.co.jp/taka/vo/


その後、調査を続けたところ2014年10月の時点では、以下のソフトの組合せがいちばんよさそうだ。志賀浩二先生の「数学30講シリーズ」の点字ファイルもこのシステムで作られている。ただ肝心の点訳ソフトがリリース中断しているのは残念だ。

数式文書を作成ソフト(視覚障害者だけでなく晴眼者が使う目的のソフト)
Infty Editor - 6,264円(30日間無料)
http://www.sciaccess.net/jp/InftyEditor/index.html

点訳ソフト
Infty Braille-上記Infty Editorのplug-inソフト(無料、ただし上記のInfty Editorが必要)
現在、大幅な見直し作業中するために、リリースを中断しています。 しばらく、お待ち下さい。(2008.6.29)
http://www.sciaccess.net/download/InftyBraille.html

音声読み上げ付き数学文書用エディタ
Chatty Infty2, 3 (ChattyInfty2は41,040円、ChattyInfty3は86,400円)
http://www.sciaccess.net/jp/ChattyInfty/index.html


参考:
LaTeX: ウィキペディアの記事
MathML: ウィキペディアの記事
MathJax: ウィキペディアの記事
ePub: ウィキペディアの記事


あと製本された点字本の複製や電子化のために、点字OCRソフトやスマートフォンアプリが開発されればいいのにとも思っている。手書き文字に比べて点字の点々の影を読み取ってコード化するのはたやすいことだと思うのだ。そう思って検索したら、次のページが見つかった。

墨字/点字OCR・拡大読書ソフト
http://store.shopping.yahoo.co.jp/kilalinet/cbcfbbfaa1.html
http://www.kilali.net/shop/amazon/menu103.htm

ラビット商品サイト(OCRソフト)
http://kabu-rabbit.sakura.ne.jp/shop1308/category/item/itemgenre/2software/softcategory/ocrsoft/


関連ページ:

日本点字図書館
http://www.nittento.or.jp/

サピエ(視覚障害者情報総合ネットワーク)
https://www.sapie.or.jp/

青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/

点字、点訳関連リンク集:
http://www17.plala.or.jp/otenchan/link/linkshuu.htm


おことわり: 本来は「視覚障がい者」もしくは「視聴覚障碍者」と表記すべきなのだが、ネットでは「視覚障害者」の表記で検索する人のほうが多いので、この記事のタイトルと本文の表記は「視覚障害者」とさせていただきました。


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