「オッペンハイマー 中 原爆:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)
内容紹介:
2006年ピュリッツァー賞受賞作
「原爆の父」と呼ばれた一人の天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描くことで、人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何かを問う。全米で絶賛された傑作評伝が、待望の文庫化。
マンハッタン計画を主導、爆破実験の場(トリニティ)に参加し、広島、長崎に投下された二発の原爆を作り出した壮年時代(中巻「原爆」)。
ロスアラモス国立研究所でオッペンハイマーが指揮する原爆開発は、徹底した情報統制のもと進められた。ジョン・フォン・ノイマンの発見により爆縮というアイデアを得たチームは1945年7月16日、人類初の核実験を成功させる。そして「雲のある日は爆撃しないこと」というオッペンハイマーの言葉を守るように、日本時間8月6日午前8時14分、良く晴れた空から原子爆弾リトル・ボーイが広島に投下された。
2024年1月22日刊行、432ページ
著者について:
■著者略歴 カイ・バード/Kai Bird
1951年生まれ。歴史家・ジャーナリスト。スミソニアン航空宇宙博物館での原爆展中止の是非を問う『ヒロシマの影』の編著者。他の著作に、CIA史に残る重要な工作員の生涯を描いた The Good Spy: The Life and Death of Robert Ames や、カーター大統領の画期的な伝記 The Outlier: The Unfinished Presidency of Jimmy Carter など。ニューヨーク州立大学レオン・レヴィ伝記センター事務局長。アメリカ歴史家協会会員。
マーティン・J・シャーウィン/Martin J. Sherwin
1937年生まれ。タフツ大学(マサチューセッツ州)歴史学教授など歴任。広島・長崎への原爆投下に至る米国核政策をテーマにした『破滅への道程』で米歴史本賞受賞。他の著作に『キューバ・ミサイル危機』など。2021年没。
理数系書籍のレビュー記事は本書で491冊目。
上巻の紹介記事を書いてから2カ月が経っている。3月から母親の介護をしなければならなくなり、自分のために使える時間がほとんどなくなっているからだ。映画はその後も見れないまま時が過ぎ、すでに公開が終了してしまった。サブスクから配信されるのを待つしかない。少しずつ読み進んでいたため、とても間延びしてしまった。本は一気に読むのがよいのだが仕方がない。
中巻を読んでいた期間に、オッペンハイマーに関する重要なニュースが2つ飛び込んできた。
オッペンハイマーの孫 来日「原爆含む爆弾 使ってはならない」(2024年6月3日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240603/k10014469741000.html
【広島】“原爆の父”オッペンハイマーの孫 被爆者と面会
チャールズ・オッペンハイマーさん(「原爆の父」オッペンハイマー博士の孫)会見 2024.6.3
オッペンハイマー “涙流し謝った” 通訳証言の映像見つかる(2024年6月20日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240620/k10014486571000.html
“原爆の父” オッペンハイマー 繰り返した「ごめんなさい」 被爆者との面会で涙を流して謝罪 同席した通訳が証言した映像見つかる
原爆の父・オッペンハイマーが被爆者に涙を流し謝罪 なぜ今、証言映像が明らかに…関係者が語る
オッペンハイマーは1960年に1度だけ来日したが、被爆地広島を訪問することはなかった。そして今回得られた証言は1964年に被爆者などが証言を行うためにアメリカを訪問した際のものである。1967年にオッペンハイマーが亡くなる3年前のことだ。原爆開発を指揮したことを内心では悔いていたのだろうが、人生の最晩年に直接謝罪することができたのだ。
中巻ではロスアラモスでの人間関係を軸に、原爆が完成し爆発実験が行われるまで、そして広島・長崎への投下、戦後オッペンハイマーが核兵器の世界的組織による管理体制をするよう主張したこと、プリンストン高等研究所に就任し、この研究所に勤務する物理学者、数学者たちのどのように接していたかなどが紹介されている。
日本語版は3冊に分かれているが、英語の原書は1冊の本として刊行されている。
「オッペンハイマー 上 異才:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)(紹介記事)
「オッペンハイマー 中 原爆:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)
「オッペンハイマー 下 贖罪:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)
翻訳のもとになった英語版はこちらである。
「American Prometheus: The Inspiration for the Major Motion Picture OPPENHEIMER: Kai Bird, Martin J. Sherwin」(Kindle版)
映画『オッペンハイマー』の公式サイト
https://www.oppenheimermovie.jp/
【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー:YouTubeで再生
全員に見てほしい映画オッペンハイマー予習動画:YouTubeで再生
映画の英語版の脚本は、書籍として刊行されている。
「Oppenheimer: Christopher Nolan, Kai Bird, Martin J. Sherwin」(Kindle版)
本書の原作の日本語版が刊行される前に、ちくま学芸文庫からこの本が刊行されていた。合わせてお読みになるとよいだろう。
「ロバート・オッペンハイマー 愚者としての科学者:藤永茂」(Kindle版)
関連記事:
オッペンハイマー 上 異才:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3403afb70d590b867ac638abccbd10ff
原子爆弾 1938~1950年: ジム・バゴット
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0d741fd4e77316eaf05aef8daf865cd6
核兵器: 多田将
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fe84c7cd15d1b8ff7ed14de1fa356504
部分と全体: W.K. ハイゼンベルク
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b6e7d8da99e4b9e76f5cd9f7dbf7f959
番組告知: 映画「ひろしま(1953)」
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/13384a02216be844ab1681e8a4d1d92a
合本版 はだしのゲン①~⑦ (中公文庫コミック版)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75d56406860e23915579530c53bdba59
「オッペンハイマー 中 原爆:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)
第II部
第14章:シュバリエ事件
第III部
第15章:彼は非常な愛国者になっていた
第16章:あまりにも秘密主義
第17章:オッペンハイマーは、真実を言っている
第18章:自殺 原因不詳
第19章:彼女を養女に引き取ってくれない?
第20章:ボーアは神、オッピーはその預言者であった
第21章:ガジェットが文明におよぼす影響
第22章:とうとう、全員がこんちくしょうですね
第IV部
第23章:このかわいそうな人たち
第24章:手が血で汚れているように感じます
第25章:ニューヨークだって破壊できます
第26章:オッピーは発疹にかかったが、免疫ができた
第27章:知識人のホテル
解説:高橋昌一郎
内容紹介:
2006年ピュリッツァー賞受賞作
「原爆の父」と呼ばれた一人の天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描くことで、人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何かを問う。全米で絶賛された傑作評伝が、待望の文庫化。
マンハッタン計画を主導、爆破実験の場(トリニティ)に参加し、広島、長崎に投下された二発の原爆を作り出した壮年時代(中巻「原爆」)。
ロスアラモス国立研究所でオッペンハイマーが指揮する原爆開発は、徹底した情報統制のもと進められた。ジョン・フォン・ノイマンの発見により爆縮というアイデアを得たチームは1945年7月16日、人類初の核実験を成功させる。そして「雲のある日は爆撃しないこと」というオッペンハイマーの言葉を守るように、日本時間8月6日午前8時14分、良く晴れた空から原子爆弾リトル・ボーイが広島に投下された。
2024年1月22日刊行、432ページ
著者について:
■著者略歴 カイ・バード/Kai Bird
1951年生まれ。歴史家・ジャーナリスト。スミソニアン航空宇宙博物館での原爆展中止の是非を問う『ヒロシマの影』の編著者。他の著作に、CIA史に残る重要な工作員の生涯を描いた The Good Spy: The Life and Death of Robert Ames や、カーター大統領の画期的な伝記 The Outlier: The Unfinished Presidency of Jimmy Carter など。ニューヨーク州立大学レオン・レヴィ伝記センター事務局長。アメリカ歴史家協会会員。
マーティン・J・シャーウィン/Martin J. Sherwin
1937年生まれ。タフツ大学(マサチューセッツ州)歴史学教授など歴任。広島・長崎への原爆投下に至る米国核政策をテーマにした『破滅への道程』で米歴史本賞受賞。他の著作に『キューバ・ミサイル危機』など。2021年没。
理数系書籍のレビュー記事は本書で491冊目。
上巻の紹介記事を書いてから2カ月が経っている。3月から母親の介護をしなければならなくなり、自分のために使える時間がほとんどなくなっているからだ。映画はその後も見れないまま時が過ぎ、すでに公開が終了してしまった。サブスクから配信されるのを待つしかない。少しずつ読み進んでいたため、とても間延びしてしまった。本は一気に読むのがよいのだが仕方がない。
中巻を読んでいた期間に、オッペンハイマーに関する重要なニュースが2つ飛び込んできた。
オッペンハイマーの孫 来日「原爆含む爆弾 使ってはならない」(2024年6月3日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240603/k10014469741000.html
【広島】“原爆の父”オッペンハイマーの孫 被爆者と面会
チャールズ・オッペンハイマーさん(「原爆の父」オッペンハイマー博士の孫)会見 2024.6.3
オッペンハイマー “涙流し謝った” 通訳証言の映像見つかる(2024年6月20日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240620/k10014486571000.html
“原爆の父” オッペンハイマー 繰り返した「ごめんなさい」 被爆者との面会で涙を流して謝罪 同席した通訳が証言した映像見つかる
原爆の父・オッペンハイマーが被爆者に涙を流し謝罪 なぜ今、証言映像が明らかに…関係者が語る
オッペンハイマーは1960年に1度だけ来日したが、被爆地広島を訪問することはなかった。そして今回得られた証言は1964年に被爆者などが証言を行うためにアメリカを訪問した際のものである。1967年にオッペンハイマーが亡くなる3年前のことだ。原爆開発を指揮したことを内心では悔いていたのだろうが、人生の最晩年に直接謝罪することができたのだ。
中巻ではロスアラモスでの人間関係を軸に、原爆が完成し爆発実験が行われるまで、そして広島・長崎への投下、戦後オッペンハイマーが核兵器の世界的組織による管理体制をするよう主張したこと、プリンストン高等研究所に就任し、この研究所に勤務する物理学者、数学者たちのどのように接していたかなどが紹介されている。
日本語版は3冊に分かれているが、英語の原書は1冊の本として刊行されている。
「オッペンハイマー 上 異才:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)(紹介記事)
「オッペンハイマー 中 原爆:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)
「オッペンハイマー 下 贖罪:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)
翻訳のもとになった英語版はこちらである。
「American Prometheus: The Inspiration for the Major Motion Picture OPPENHEIMER: Kai Bird, Martin J. Sherwin」(Kindle版)
映画『オッペンハイマー』の公式サイト
https://www.oppenheimermovie.jp/
【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー:YouTubeで再生
全員に見てほしい映画オッペンハイマー予習動画:YouTubeで再生
映画の英語版の脚本は、書籍として刊行されている。
「Oppenheimer: Christopher Nolan, Kai Bird, Martin J. Sherwin」(Kindle版)
本書の原作の日本語版が刊行される前に、ちくま学芸文庫からこの本が刊行されていた。合わせてお読みになるとよいだろう。
「ロバート・オッペンハイマー 愚者としての科学者:藤永茂」(Kindle版)
関連記事:
オッペンハイマー 上 異才:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/3403afb70d590b867ac638abccbd10ff
原子爆弾 1938~1950年: ジム・バゴット
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0d741fd4e77316eaf05aef8daf865cd6
核兵器: 多田将
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/fe84c7cd15d1b8ff7ed14de1fa356504
部分と全体: W.K. ハイゼンベルク
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b6e7d8da99e4b9e76f5cd9f7dbf7f959
番組告知: 映画「ひろしま(1953)」
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/13384a02216be844ab1681e8a4d1d92a
合本版 はだしのゲン①~⑦ (中公文庫コミック版)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/75d56406860e23915579530c53bdba59
「オッペンハイマー 中 原爆:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン」(Kindle版)
第II部
第14章:シュバリエ事件
第III部
第15章:彼は非常な愛国者になっていた
第16章:あまりにも秘密主義
第17章:オッペンハイマーは、真実を言っている
第18章:自殺 原因不詳
第19章:彼女を養女に引き取ってくれない?
第20章:ボーアは神、オッピーはその預言者であった
第21章:ガジェットが文明におよぼす影響
第22章:とうとう、全員がこんちくしょうですね
第IV部
第23章:このかわいそうな人たち
第24章:手が血で汚れているように感じます
第25章:ニューヨークだって破壊できます
第26章:オッピーは発疹にかかったが、免疫ができた
第27章:知識人のホテル
解説:高橋昌一郎