オフィシャルサイト
注意:この記事はほとんどネタバレはさせていません。
映画『TENET テネット』オフィシャルサイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/index.html
GACKT&LiLiCo登場!『TENET テネット』公開記念LIVE配信イベント【アーカイブ配信】: プレイリスト
映画公開の2日目の9月19日(土)に、いま話題の映画を観てきた。クリストファー・ノーラン監督作品の『インセプション(2010)』と『インターステラー(2014)』はAmazon Prime Videoで観たが、今回は映画通の友達と池袋の「グランドシネマサンシャイン池袋IMAXレーザーGTグランドシート」の環境でこの映画を堪能した。座席が広く、リクライニングがついている。前の人の頭が見えることもなく視界がスクリーンのみ。音が4DX並みに響くので爆音好きにもオススメだ。このような視聴環境は国内に2か所しかないそうだ。
『インセプション』は夢の世界と現実がかかわりを持っていたら、というテーマで進行する映画だ。空間が曲がったり時間の進みが変わる相対性理論を思い出させるし、夢と現実はパラレルワールド、そして夢の中の場所が切り替わるのはテレポーテーションを思い起こさせる。
『インターステラー』はワームホールを経由してブラックホール行くという映画。これはもろに一般相対性理論(重力理論)を主題とし、この分野の第一人者のキップ・ソーン博士(2017年、ノーベル物理学賞を受賞)が科学的な視点から監修をしている。
そして今回の『TENET テネット』では、時間の逆行が映画で重要な役割を果たす。熱力学の「エントロピー」や素粒子物理学の「反粒子」が映画のセリフで使われていることを事前に聞いていた。これら2つは時間の順行と逆行を理解するのに必要な物理概念なのである。
もちろん僕は理解しているが、科学映画ライターのJoshuaさんが書いてくださった「【ネタバレなし予習】『TENET テネット』の背景にある物理学的概念を解説 ─ クリストファー・ノーランの科学〈完結編〉」を読んだり、YouTubeで行なってくださった「『TENET テネット』鑑賞前のネタバレなし予習講座」を観ておいた。(現在も録画で視聴できる。)そして昨年9月、「時間は存在しない: カルロ・ロヴェッリ」を読んで以来、時間に関する本を何冊も読んで紹介したり、メルマガにも書いているので、僕にとって時間はホットなテーマなのだ。
物理学的な結論から言うと、時間の逆行は素粒子などミクロの世界の限られた領域に注目したときに起きることが確認されている現象で、私たちが生活しているマクロの世界、物事に因果関係がある世界では決しておきない現象だ。もし、マクロの世界で時間の逆行がおきたら、映画を逆再生したような世界を見ることになる。
だから今回のは、時間が逆行する様子を楽しむ映画なのだなと勝手に思い込んでいた。映画の紹介記事も物理学の説明を中心に書こうと思っていたのだ。ところが、まったく違っていた。。。
映画に誘ってくれた友達と池袋で待ち合わせたのは15時だ。上映開始の18時15分まではたっぷり時間があるからエントロピーと反粒子の説明しようと思っていた。けれども、こちらも当てが外れてしまった。彼女はネタバレしそうなことは一切シャットアウトしていて、前々日あたりから「ツイッター断ち」をし、この映画に関する情報は絶対に目にしないと固く決めていたのだ。だから、ネタバレしない物理学の話も頑として聞いてくれない。最初はまっさらな頭と心で映画を観るのが彼女の流儀なのだ。
映画の予告編を見てうすうす感じていたことだが、ものすごく奇妙な映像に圧倒される。映画の逆再生どころではない。通常の時間の流れ、つまり順再生した映像と時間逆行の逆再生した映像が、同じシーンで映される。スクリーン全体は未来に向かって進んでいるのだろうか?それとも過去に向かって進んでいるのだろうか?目に映るいろいろな物や人が、それぞれ順方向、逆方向の時間に従って動いている。それらが離れているのならまだわかる。しかし、時間を逆に進んでいる2人が取っ組み合いをする光景が目にできるとは思わなかった。まったく意味がわからなくなる。振り子やヘリコプターの羽根の回転などは、順行しているのか逆行しているのかわからないから混乱はさらに深まる。
嫌な予感は的中した。映画はロシアにある満員のオペラ劇場を、テロリストが襲撃するシーンから始まる。そして、それを制圧する別の集団が劇場に突入して戦闘が始まる。このシーンは果たしてこの物語の「始まり」なのだろうか?映画の始まりであることは明らかだが、もしかするとこれはストーリーの「途中」ではないだろうか。ふつうに順方向の時間が進む、このシーンで感じた嫌な予感は、映画がかなり進んでから的中した。
タイムトラベルではない。時間を逆行して未来から現在に進みながら攻めてくる敵との闘いは、想像を絶する。そして、自分たちもまた時間を逆行し、過去のシーンに戻りながら、時間を順行している敵との闘いに挑むのだ。そのような状況で過去から未来へ進む世界と未来から過去へ進む世界は、ひとつの世界の中で整合性を保っている。(らしい。。。)
物事には因果関係がある。原因があって、その後に結果がもたらされる。この映画のように、時間をさかのぼりながら場面が切り替わる状況で、何の次に何が起きているのか、次に起きることは、もしかしたら「前」に起きたことなのではないか?時間を逆行していくと、そこにはもう一人の自分がいる。もう一人の自分と接触するのはご法度だ。粒子と反粒子が衝突すると対消滅してしまうからだ。というより、どちらがどの自分なのかわからなくなってしまうことのほうが僕には問題だった。
話の展開は急ピッチで、何が何だかわからない。これはエントロピーや反粒子を理解していることとは、まったく別の問題。ストーリーを理解しようとする間に映画は次々と進み、未消化のままエンドロールを迎えることになる。
ああ、これは何だったのか。世界滅亡は避けられたようだから、おそらくハッピーエンドなのだろう。それだけはわかったが、それにしたって確信できているわけではない。主演男優はほっとした顔をしているからハッピーなのがわかるという情けない理解だ。ハッピーエンドなのか、ハッピービギニングなのか自信が持てない。
物理学の視点からツッコミを入れようと思えば、いくらでもできる。時間が逆行している状況では物は見えないはずだし、会話は理解できなくなる。そもそも音は聞こえないはずだ。しかし、この映画でそのようなツッコミを入れるのは野暮である。これは奇妙な世界でのアクションと音響を楽しむ映画、複雑に入り組んだストーリーを解き明かすチャレンジをするための映画なのだ。だから、紹介記事でエントロピーや反粒子を始め、時間の謎について長々と解説するのはやめておくことにした。
旅客機がゆっくりと建物に突っ込むシーンを含め、CGは使っていないという。いったいどうやって撮影したのだろうか?脚本はどのように書かれているのだろうか?取っ組み合いのシーンを役者はどのように演じたのだろうか?(まさか、逆再生のように演じた?)など、映画を理解できるようになったとしても、知りたいことがたくさんでてくるのだろう。
パンフレットには詳しく解説されているらしい。映画を観た日には混んでいて買えなかったので、翌日映画館のもう一度行った友達に買っておいてもらった。パンフレット無しには、絶対に理解できない。10回観ないとわからないと書いてあるサイトもあった。
この映画のノベライズは、ほぼ不可能である。もしノベライズを可能にしてくれる作家は誰かと聞かれれば、僕は20世紀の奇書の最高峰『フィネガンズ・ウェイク』を書いたジェイムズ・ジョイス、そしてこれを和訳した翻訳の天才、柳瀬尚紀くらいしか思い浮かばない。しかし、2人とも故人である。
近いうちに、この映画はもう一度チャレンジすることにしよう。
以下は、当日撮った写真の一部。ぜひ「グランドシネマサンシャイン池袋IMAXレーザーGTグランドシート」でご覧いただきたい。
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関連ページ(一般):
【ネタバレなし】『TENET テネット』解説 ─ 鑑賞前に知っておきたいポイント、キャラクター&キャスト紹介
https://theriver.jp/tenet-guide/
難解すぎる!?「TENET テネット」を読み解くための7つのポイント
https://note.com/federico71/n/n5011128ab06e
町山智浩『TENET テネット』を語る
https://www.monkey1119.com/entry/tenet-movie
映画「テネット/TENET」感想ネタバレあり解説 言葉の意味と謎がいよいよ明らかに!
https://www.monkey1119.com/entry/tenet-movie
【ネタバレ】ノーラン新作『TENET テネット』の全貌を解説!逆行する世界で何が起きていた?
https://ciatr.jp/topics/311708
[図解]映画TENETの中核原理を予想してみた - マクスウェルの悪魔とシーン描写の4パターン
https://note.com/federico71/n/n5011128ab06e
関連ページ(物理学解説):
【ネタバレなし予習】『TENET テネット』の背景にある物理学的概念を解説 ─ クリストファー・ノーランの科学〈完結編〉
https://fansvoice.jp/2020/09/17/nolan-tenet-science/
『TENET テネット』鑑賞前のネタバレなし予習講座|Fan's Voice Live: YouTubeで開く
そもそも時間には、この映画で描かれる「時間の矢」や「逆行」のほか、いくつもの謎がある。物理学が発展していくにつれて、その不思議な性質が明らかになってきた。現象の不可逆性や因果関係と時間との関係の理解、そして相対性理論では時間は遅くなることがわかり、量子力学によって時間はもしかすると不連続である可能性がでてきた。またそもそも時間は幻想にすぎない、時間は存在していないのかもしれないという仮説もある。『TENET テネット』の範囲を超えて、時間について深く知りたいという方は、以下の「関連記事(時間に関する物理学教養書):」で紹介した一般の人でも読める科学教養書や、「週刊とね日記マガジン」の第60号以降をお読みいただきたい。また、反粒子の時間の逆行については「ディラックによる陽電子の予言(1928年)」や「QED: The Strange Theory of Light and Matter: Richard P. Feynman」をお読みいただきたい。洋書の紹介記事だが、記事は日本語で書いておいた。
関連記事(映画):
映画『インセプション(2010)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0206700ad5e4731e0eb6a29cf3eb9c94
映画『インターステラー(2014)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/58711fc5335ca00f51a5d22df3f6cc58
関連記事(時間に関する物理学教養書):
時間は存在しない: カルロ・ロヴェッリ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/55f4ffc2e5f45add46dea97086bb3aed
時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体: 松浦壮
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/30e586091ba9dda356e9a0d2d3a0e815
時間はどこから来て、なぜ流れるのか? : 吉田伸夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5bc8d145f76b637ece8d2de8eaa7e81d
時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて: 高水裕一
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c14a3269ad7ef2f8f11702ef584e7d3c
時:渡辺慧
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d149cf16bb9dd319f572e4228fdfe241
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映画公開の2日目の9月19日(土)に、いま話題の映画を観てきた。クリストファー・ノーラン監督作品の『インセプション(2010)』と『インターステラー(2014)』はAmazon Prime Videoで観たが、今回は映画通の友達と池袋の「グランドシネマサンシャイン池袋IMAXレーザーGTグランドシート」の環境でこの映画を堪能した。座席が広く、リクライニングがついている。前の人の頭が見えることもなく視界がスクリーンのみ。音が4DX並みに響くので爆音好きにもオススメだ。このような視聴環境は国内に2か所しかないそうだ。
『インセプション』は夢の世界と現実がかかわりを持っていたら、というテーマで進行する映画だ。空間が曲がったり時間の進みが変わる相対性理論を思い出させるし、夢と現実はパラレルワールド、そして夢の中の場所が切り替わるのはテレポーテーションを思い起こさせる。
『インターステラー』はワームホールを経由してブラックホール行くという映画。これはもろに一般相対性理論(重力理論)を主題とし、この分野の第一人者のキップ・ソーン博士(2017年、ノーベル物理学賞を受賞)が科学的な視点から監修をしている。
そして今回の『TENET テネット』では、時間の逆行が映画で重要な役割を果たす。熱力学の「エントロピー」や素粒子物理学の「反粒子」が映画のセリフで使われていることを事前に聞いていた。これら2つは時間の順行と逆行を理解するのに必要な物理概念なのである。
もちろん僕は理解しているが、科学映画ライターのJoshuaさんが書いてくださった「【ネタバレなし予習】『TENET テネット』の背景にある物理学的概念を解説 ─ クリストファー・ノーランの科学〈完結編〉」を読んだり、YouTubeで行なってくださった「『TENET テネット』鑑賞前のネタバレなし予習講座」を観ておいた。(現在も録画で視聴できる。)そして昨年9月、「時間は存在しない: カルロ・ロヴェッリ」を読んで以来、時間に関する本を何冊も読んで紹介したり、メルマガにも書いているので、僕にとって時間はホットなテーマなのだ。
物理学的な結論から言うと、時間の逆行は素粒子などミクロの世界の限られた領域に注目したときに起きることが確認されている現象で、私たちが生活しているマクロの世界、物事に因果関係がある世界では決しておきない現象だ。もし、マクロの世界で時間の逆行がおきたら、映画を逆再生したような世界を見ることになる。
だから今回のは、時間が逆行する様子を楽しむ映画なのだなと勝手に思い込んでいた。映画の紹介記事も物理学の説明を中心に書こうと思っていたのだ。ところが、まったく違っていた。。。
映画に誘ってくれた友達と池袋で待ち合わせたのは15時だ。上映開始の18時15分まではたっぷり時間があるからエントロピーと反粒子の説明しようと思っていた。けれども、こちらも当てが外れてしまった。彼女はネタバレしそうなことは一切シャットアウトしていて、前々日あたりから「ツイッター断ち」をし、この映画に関する情報は絶対に目にしないと固く決めていたのだ。だから、ネタバレしない物理学の話も頑として聞いてくれない。最初はまっさらな頭と心で映画を観るのが彼女の流儀なのだ。
映画の予告編を見てうすうす感じていたことだが、ものすごく奇妙な映像に圧倒される。映画の逆再生どころではない。通常の時間の流れ、つまり順再生した映像と時間逆行の逆再生した映像が、同じシーンで映される。スクリーン全体は未来に向かって進んでいるのだろうか?それとも過去に向かって進んでいるのだろうか?目に映るいろいろな物や人が、それぞれ順方向、逆方向の時間に従って動いている。それらが離れているのならまだわかる。しかし、時間を逆に進んでいる2人が取っ組み合いをする光景が目にできるとは思わなかった。まったく意味がわからなくなる。振り子やヘリコプターの羽根の回転などは、順行しているのか逆行しているのかわからないから混乱はさらに深まる。
嫌な予感は的中した。映画はロシアにある満員のオペラ劇場を、テロリストが襲撃するシーンから始まる。そして、それを制圧する別の集団が劇場に突入して戦闘が始まる。このシーンは果たしてこの物語の「始まり」なのだろうか?映画の始まりであることは明らかだが、もしかするとこれはストーリーの「途中」ではないだろうか。ふつうに順方向の時間が進む、このシーンで感じた嫌な予感は、映画がかなり進んでから的中した。
タイムトラベルではない。時間を逆行して未来から現在に進みながら攻めてくる敵との闘いは、想像を絶する。そして、自分たちもまた時間を逆行し、過去のシーンに戻りながら、時間を順行している敵との闘いに挑むのだ。そのような状況で過去から未来へ進む世界と未来から過去へ進む世界は、ひとつの世界の中で整合性を保っている。(らしい。。。)
物事には因果関係がある。原因があって、その後に結果がもたらされる。この映画のように、時間をさかのぼりながら場面が切り替わる状況で、何の次に何が起きているのか、次に起きることは、もしかしたら「前」に起きたことなのではないか?時間を逆行していくと、そこにはもう一人の自分がいる。もう一人の自分と接触するのはご法度だ。粒子と反粒子が衝突すると対消滅してしまうからだ。というより、どちらがどの自分なのかわからなくなってしまうことのほうが僕には問題だった。
話の展開は急ピッチで、何が何だかわからない。これはエントロピーや反粒子を理解していることとは、まったく別の問題。ストーリーを理解しようとする間に映画は次々と進み、未消化のままエンドロールを迎えることになる。
ああ、これは何だったのか。世界滅亡は避けられたようだから、おそらくハッピーエンドなのだろう。それだけはわかったが、それにしたって確信できているわけではない。主演男優はほっとした顔をしているからハッピーなのがわかるという情けない理解だ。ハッピーエンドなのか、ハッピービギニングなのか自信が持てない。
物理学の視点からツッコミを入れようと思えば、いくらでもできる。時間が逆行している状況では物は見えないはずだし、会話は理解できなくなる。そもそも音は聞こえないはずだ。しかし、この映画でそのようなツッコミを入れるのは野暮である。これは奇妙な世界でのアクションと音響を楽しむ映画、複雑に入り組んだストーリーを解き明かすチャレンジをするための映画なのだ。だから、紹介記事でエントロピーや反粒子を始め、時間の謎について長々と解説するのはやめておくことにした。
旅客機がゆっくりと建物に突っ込むシーンを含め、CGは使っていないという。いったいどうやって撮影したのだろうか?脚本はどのように書かれているのだろうか?取っ組み合いのシーンを役者はどのように演じたのだろうか?(まさか、逆再生のように演じた?)など、映画を理解できるようになったとしても、知りたいことがたくさんでてくるのだろう。
パンフレットには詳しく解説されているらしい。映画を観た日には混んでいて買えなかったので、翌日映画館のもう一度行った友達に買っておいてもらった。パンフレット無しには、絶対に理解できない。10回観ないとわからないと書いてあるサイトもあった。
この映画のノベライズは、ほぼ不可能である。もしノベライズを可能にしてくれる作家は誰かと聞かれれば、僕は20世紀の奇書の最高峰『フィネガンズ・ウェイク』を書いたジェイムズ・ジョイス、そしてこれを和訳した翻訳の天才、柳瀬尚紀くらいしか思い浮かばない。しかし、2人とも故人である。
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https://fansvoice.jp/2020/09/17/nolan-tenet-science/
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そもそも時間には、この映画で描かれる「時間の矢」や「逆行」のほか、いくつもの謎がある。物理学が発展していくにつれて、その不思議な性質が明らかになってきた。現象の不可逆性や因果関係と時間との関係の理解、そして相対性理論では時間は遅くなることがわかり、量子力学によって時間はもしかすると不連続である可能性がでてきた。またそもそも時間は幻想にすぎない、時間は存在していないのかもしれないという仮説もある。『TENET テネット』の範囲を超えて、時間について深く知りたいという方は、以下の「関連記事(時間に関する物理学教養書):」で紹介した一般の人でも読める科学教養書や、「週刊とね日記マガジン」の第60号以降をお読みいただきたい。また、反粒子の時間の逆行については「ディラックによる陽電子の予言(1928年)」や「QED: The Strange Theory of Light and Matter: Richard P. Feynman」をお読みいただきたい。洋書の紹介記事だが、記事は日本語で書いておいた。
関連記事(映画):
映画『インセプション(2010)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/0206700ad5e4731e0eb6a29cf3eb9c94
映画『インターステラー(2014)』
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/58711fc5335ca00f51a5d22df3f6cc58
関連記事(時間に関する物理学教養書):
時間は存在しない: カルロ・ロヴェッリ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/55f4ffc2e5f45add46dea97086bb3aed
時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体: 松浦壮
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/30e586091ba9dda356e9a0d2d3a0e815
時間はどこから来て、なぜ流れるのか? : 吉田伸夫
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時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて: 高水裕一
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時:渡辺慧
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