4月から始まった「半分、青い」という朝ドラ。毎回録画で楽しんでいる。
NHK連続テレビ小説「半分、青い」
https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/
このドラマでヒロインの女の子は10歳で、左耳の聴力を完全に失うというところに興味を持った。というのも昨年「片耳イヤホン」という記事で書いたように、僕は生まれつき左耳の聴力がゼロだからである。ヒロインにこういう条件設定を与えるのは不自然だから、これは実話なのだろうと思って調べたら、このドラマの脚本を書いている北川悦吏子さんは数年前に片耳を失聴しているという。
興味をもったのは、ドラマのヒロインの女の子や北川さんのように、人生の途中で失聴した場合と僕のように生まれつき失聴している場合の違いである。「半分、青い」というドラマのタイトルは、雨が降っても失聴している側の雨音は聞こえないという意味だ。「あれ?僕には左右どちらも聞こえるんだけど。。」と思ったのがきっかけだ。
片耳聴覚の状態で生まれて育つうちに、僕の聴覚は両耳聴覚の人と違う能力を獲得しているはずだ。そしてこのドラマを見る限り途中から片耳聴覚になった人とも、どうも違うようである。
片耳聴覚の研究をしているお医者さんはいるかもしれないから、とりあえず僕の聞こえ方を生活のシーンに分けて書いておこう。両耳聴覚の人の聞こえ方は僕には想像がつかないが、僕が聴き取れない状況のいくつかは両耳聴覚の人でも同じということがあるかもしれない。
1)雨音の聞こえ方
ドラマのヒロインとは異なり、左側も右側も聞こえる。というか周囲全体で雨音がしているように聞こえる。だから僕の場合、雨の日は「全部、青くない」である。
2)テレビの音声のくる方向
目を開けていても閉じていても、テレビの音声がどのあたりから来るかはわかる。これもドラマのヒロインと違っている。
3)コンサートでの音楽の聞こえ方
クラッシック音楽のコンサートに行ったときに、すごく驚いたのだが、オーケストラのさまざまな楽器の音がそれぞれ分離でき、目を開いていても閉じていても左右のどのあたりから来るのかがよくわかる。ただし、その楽器が自分から見て奥なのか手前なのかはわからない。判別できるのは左右方向だけ。2チャンネルのステレオ音楽よりも、ずっと臨場感がある。
4)2チャンネル・ステレオコンポの聞こえ方
2チャンネル・ステレオだと音源が左右の2つあり、両耳聴覚の人はその真ん中あたりに仮想音源を感じ、左右の音の音量の変化によって仮想音源は左右に動くそうだが、僕の場合は左右それぞれの音源の位置をそれぞれ感じてしまう。真ん中に仮想音源があるとは感じない。また、2チャンネルの音楽と5.1サラウンドの音楽の違いも聴き分けられる。つまり音が前からくるか後ろからくるかも判別できる。さらに言えば音が上からくるか下からくるかも目を閉じていても判別できる。このあたりはドラマのヒロインと全く違う。
5)ステレオイヤホンでの聞こえ方
もちろん右耳からの音しか聞こえない。イヤホンでステレオ音楽を聴くのは無理。だから特殊な「片耳イヤホン」を使っているわけだ。
6)緊急車両のサイレン
屋外にいるときは、どの方向から聞こえてくるかはわかる。車の運転中は窓を閉じていても開けていても、音が聞こえてくる方向はわからない。
7)車の運転時の会話
右ハンドルの日本車を運転するとき、エンジン音が邪魔して助手席の人との会話は少し難しい。聞き返すことが多くなる。左ハンドル車は運転したことがないが、おそらく問題は生じない。
8)室内でする会議
全く問題なし。
9)繁華街で歩きながらする会話
友人と並んで歩くときは、聞こえる右耳が相手の側になるようにして歩く。反対側を歩くと周囲の雑音でかなり聞こえにくい。
10)教室で授業を受けるとき
教室が静かな時は先生の話を聞くのはどの位置からでも聞こえるが、ざわついているときは聞こえないので聞きやすい位置に席をとることにしている。高校までは聞きやすい席になるように、担任の先生に計らってもらっていた。
11)片足立ちでの平衡感覚
両目を開けると片足立ちは2分以上できるが、両目をつぶったままだと左右どちらの足で立っても2秒くらいで倒れてしまう。平衡感覚はほとんどない。
12)幅広階段での平衡感覚
武道館の外階段のように幅の広い階段の真ん中の位置での昇降については、昇るのは全く問題ないが、下りるときには平衡感覚を失うので、たいてい手すりにつかまって下りる。
13)通常階段での平衡感覚
駅の階段のような幅であれば、昇降にまったく問題はない。
14)歩行時の平衡感覚感覚
全く問題ない。ドラマでは聴覚を失いかけているとき、ヒロインは平衡感覚に問題があったようである。
15)走行時の平衡感覚
走ることについても全く問題ない。ドラマでは聴覚を失いかけているとき、ヒロインは平衡感覚に問題があったようである。
16)平均台の上を歩くとき
小中学生のとき、半分くらいまで歩いて落ちていた。でも、これは片耳聴覚による平衡感覚欠如ではなく、運動音痴が原因だと思う。
17)大きな石の上での平衡感覚
河原や海辺にある大きな石の上に登ると、ふわふわしたした感じがして落ちそうになる。
平衡感覚については、両耳聴覚の人でも運動音痴な人がいるわけで、どのあたりまで僕と同じなのか少し気になる。また、音源の分離についても両耳聴覚の人はどれくらいできているのかも僕にはわからない。(個人差はあるだろうけど。)
コメントをくださる方がいるかもしれないので、引用しやすいようにそれぞれ番号をつけておいた。
ドラマのヒロインは途中から失聴したので、泣いてしまうシーンがあったし、親が悲しむ気持ちもよくわかる。でも生まれつきの失聴の場合はその状態を自然に受け入れているわけだから、片耳聴覚であることには何の感情も持たず、ときどき聴こえにくいから不便だなぁと思う程度なのだ。だから僕の場合、片耳聴覚だからそれに負けずに生きていこうとする意識すら生まれない。せいぜい、聞こえるもう片方の耳を大切にしようと思うくらいである。(だからイヤホンで聞くときは音量に注意している。)
このヒロインも成長するにつれ、慣れていくのだろう。そのような点に注意してドラマを引き続き見ていこう。
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