量子コンピュータの説明で使われている難しそうな数式
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「クラウド量子計算入門: 中山茂」の紹介記事を読んで、自分も「IBMの量子コンピュータ計算サービス」を使いながら量子コンピュータを学んでみたいと思っている方がいらっしゃると思う。
けれども説明には記事トップの画像のように、なにやら意味不明な数式ばかり書かれていて、これが理解できないと歯が立たないのだとあきらめてしまうわけだ。
そして量子力学が量子コンピュータの基礎理論だと聞き、数式を使わない入門書をひもといてもイメージがつかめるだけで、専門書のレベルにはほど遠いことがすぐわかる。
- では、数学IIIを学んだレベルの高校生はどうしたらよいのか?
- 大学レベルの物理と数学の教科書を初めから全部学ばないとならないのか?
そう思うと気が遠くなってしまうことだろう。
でも、あきらめるのはまだ早い。近道があるのだ。今日はそれをお伝えしておこう。
量子コンピュータと量子アルゴリズムを学ぶための前提は「量子力学」と「線形代数」である。理系の大学生にとって、これは当たり前の常識なのだけれど、これらを学んでいない高校生や一般の方の多くがそのことを知らない。理系大学生の常識は世間の常識とは違うことがある。
数式付きで解説されているブルーバックス本を5冊、なるべくわかりやすく、楽しみながら読める本を紹介させていただこう。特に最初の3冊が重要だ。
これらを読み終えれば専門の教科書や以下の関連動画で紹介した専門的な15回の講義が理解できるようになるはずだ。数式を使いながら理解するための最短ルートである。
前提知識がない今のあなたをたとえてみるならば、それは数式をぼんやり見て複数の可能性を同時に考えて混乱している「量子状態」のようなもの。前提知識を得た上で、迷わず焦らず一歩ずつ進める「古典状態」になろう。
以下、紹介する順番にお読みになっていただきたい。
1)量子力学の本
『高校数学でわかるシュレディンガー方程式』(Kindle版)(紹介記事)
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大学の物理学科のカリキュラムに沿って順に学ぼうというのならば、力学、電磁気学、解析力学を学んでからやっと量子力学を学び始めることになってしまう。しかし、この本であれば最初の3つを飛ばして量子力学の基礎を学ぶことができるのだ。複素数やオイラーの公式、三角関数や指数関数の微積分など初歩的なことから書かれている。まずこの本で量子の世界のイメージと数式を結び付けよう。量子コンピュータの原理で重要な「ケットベクトル」の意味や計算方法、量子状態の重ね合わせもカバーしている。
第1部 シュレディンガー方程式への旅
1 量子力学の誕生
2 波を表す式
3 シュレディンガー方程式
4 波動関数とは
第2部 原子の姿
1 波としての電子
2 量子数とはなにか
3 核と核分裂
4 エレクトロニクスと量子力学
第3部 シュレディンガー方程式を解く――計算編
1 解析的に解く
2 数値的に解く
3 外からの影響がある場合
『量子もつれとは何か 「不確定性原理」と複数の量子を扱う量子力学』(Kindle版)(紹介記事)
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量子コンピュータの計算で重要な量子の絡み合い(エンタングルメント、もつれ)は、この本で詳しく学ぼう。同じ著者の『「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!』(Kindle版)(紹介記事)もお勧めである。猫の生きている状態と死んでいる状態の「重ね合わせ状態」のようなことを光子を使って実現させることができたという話だ。「重ね合わせ」と「絡み合い(もつれ)」の違いはしっかり区別して理解してほしい。
『量子もつれとは何か』の章立て
序章 量子力学とは
第1章 テクノロジーの進歩と量子化の必要性
第2章 振り子の量子化
第3章 光の量子化
第4章 レーザー光と量子ゆらぎ
第5章 量子エンタングルメント
第6章 量子光学を用いてEPRペアを生成するための準備
第7章 量子光学を用いてEPRペアを生成
第8章 量子光学を用いた量子エンタングルメント検証実験
第9章 単一光子状態の生成
第10章 量子テレポーテーション
第11章 多量子間エンタングルメントと量子エラーコレクション実験
2)線形代数の本
『高校数学でわかる線形代数』(Kindle版)
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日ごろ数学を敬遠している人でも、上の量子力学の2冊を読み終える頃には線形代数を学ぶ必要性を感じ、モチベーションが高まっているはずだ。この本では固有値と固有ベクトルをはじめ線形代数の基礎的なことがらを学べる。量子コンピュータでは特に複素数の要素をもつ行列、エルミート行列、ユニタリー行列とそれらの計算手順が重要だ。これらをカバーしているのがこの本。読み終えるころには記事トップに掲載した画像の数式が理解できるはずだ。
第1章 行列は方程式を解くためのツール
第2章 単位行列と逆行列
第3章 行列式の登場
第4章 行列の数値計算
第5章 空間とベクトルの不思議な関係
第6章 固有値問題ってなに?
第7章 複素数を含む行列
第8章 量子力学との関わり
3)量子コンピュータの本
『量子コンピュータ―超並列計算のからくり』(Kindle版)
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本格的な専門書に取りかかる前に量子コンピュータ、量子アルゴリズムの全体像をおさえておくと、複雑な「計算の森」で迷子になることが防げる。手っ取り早く知りたいという方にお勧めな本。
第1章 量子計算でできること
第2章 「量子」とはなにか
第3章 量子の不思議
第4章 「量子」を使った計算機
第5章 量子アルゴリズム
第6章 実現にむけた挑戦
第7章 量子コンピュータの周辺に広がる世界と量子暗号
4)フーリエ変換の本
『高校数学でわかるフーリエ変換』(Kindle版)(紹介記事)
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量子アルゴリズムのひとつに「量子フーリエ変換」がある。だから「フーリエ変換」自体を知らなければ理解できるはずがない。それを学ぶための本だ。量子アルゴリズムの代表格の「ショアの素因数分解アルゴリズム」には量子フーリエ変換アルゴリズム(厳密にいえば逆量子フーリエ変換アルゴリズム)が利用されているので、フーリエ変換は必須項目だ。
第1章 フーリエ級数
第2章 複素形式への拡張
第3章 フーリエ変換への拡張
第4章 代表的な関数のフーリエ変換
第5章 フーリエ変換の性質
第6章 ラプラス変換
第7章 ラプラス変換を用いた演算子法
以上、5冊紹介させていただいた。焦らず、じっくり取り組んでほしい。
関連動画:
量子論、量子テレポーテーション、量子コンピュータ
量子の制御とコンピュータ(量子コンピュータの原理の概要説明)
量子コンピュータ授業 #1(15回の講義。本書で解説される量子ゲート、量子アルゴリズムのほとんどを学ぶことができる。)
15回の講義内容
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「クラウド量子計算入門: 中山茂」の紹介記事を読んで、自分も「IBMの量子コンピュータ計算サービス」を使いながら量子コンピュータを学んでみたいと思っている方がいらっしゃると思う。
けれども説明には記事トップの画像のように、なにやら意味不明な数式ばかり書かれていて、これが理解できないと歯が立たないのだとあきらめてしまうわけだ。
そして量子力学が量子コンピュータの基礎理論だと聞き、数式を使わない入門書をひもといてもイメージがつかめるだけで、専門書のレベルにはほど遠いことがすぐわかる。
- では、数学IIIを学んだレベルの高校生はどうしたらよいのか?
- 大学レベルの物理と数学の教科書を初めから全部学ばないとならないのか?
そう思うと気が遠くなってしまうことだろう。
でも、あきらめるのはまだ早い。近道があるのだ。今日はそれをお伝えしておこう。
量子コンピュータと量子アルゴリズムを学ぶための前提は「量子力学」と「線形代数」である。理系の大学生にとって、これは当たり前の常識なのだけれど、これらを学んでいない高校生や一般の方の多くがそのことを知らない。理系大学生の常識は世間の常識とは違うことがある。
数式付きで解説されているブルーバックス本を5冊、なるべくわかりやすく、楽しみながら読める本を紹介させていただこう。特に最初の3冊が重要だ。
これらを読み終えれば専門の教科書や以下の関連動画で紹介した専門的な15回の講義が理解できるようになるはずだ。数式を使いながら理解するための最短ルートである。
前提知識がない今のあなたをたとえてみるならば、それは数式をぼんやり見て複数の可能性を同時に考えて混乱している「量子状態」のようなもの。前提知識を得た上で、迷わず焦らず一歩ずつ進める「古典状態」になろう。
以下、紹介する順番にお読みになっていただきたい。
1)量子力学の本
『高校数学でわかるシュレディンガー方程式』(Kindle版)(紹介記事)
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大学の物理学科のカリキュラムに沿って順に学ぼうというのならば、力学、電磁気学、解析力学を学んでからやっと量子力学を学び始めることになってしまう。しかし、この本であれば最初の3つを飛ばして量子力学の基礎を学ぶことができるのだ。複素数やオイラーの公式、三角関数や指数関数の微積分など初歩的なことから書かれている。まずこの本で量子の世界のイメージと数式を結び付けよう。量子コンピュータの原理で重要な「ケットベクトル」の意味や計算方法、量子状態の重ね合わせもカバーしている。
第1部 シュレディンガー方程式への旅
1 量子力学の誕生
2 波を表す式
3 シュレディンガー方程式
4 波動関数とは
第2部 原子の姿
1 波としての電子
2 量子数とはなにか
3 核と核分裂
4 エレクトロニクスと量子力学
第3部 シュレディンガー方程式を解く――計算編
1 解析的に解く
2 数値的に解く
3 外からの影響がある場合
『量子もつれとは何か 「不確定性原理」と複数の量子を扱う量子力学』(Kindle版)(紹介記事)
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量子コンピュータの計算で重要な量子の絡み合い(エンタングルメント、もつれ)は、この本で詳しく学ぼう。同じ著者の『「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!』(Kindle版)(紹介記事)もお勧めである。猫の生きている状態と死んでいる状態の「重ね合わせ状態」のようなことを光子を使って実現させることができたという話だ。「重ね合わせ」と「絡み合い(もつれ)」の違いはしっかり区別して理解してほしい。
『量子もつれとは何か』の章立て
序章 量子力学とは
第1章 テクノロジーの進歩と量子化の必要性
第2章 振り子の量子化
第3章 光の量子化
第4章 レーザー光と量子ゆらぎ
第5章 量子エンタングルメント
第6章 量子光学を用いてEPRペアを生成するための準備
第7章 量子光学を用いてEPRペアを生成
第8章 量子光学を用いた量子エンタングルメント検証実験
第9章 単一光子状態の生成
第10章 量子テレポーテーション
第11章 多量子間エンタングルメントと量子エラーコレクション実験
2)線形代数の本
『高校数学でわかる線形代数』(Kindle版)
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日ごろ数学を敬遠している人でも、上の量子力学の2冊を読み終える頃には線形代数を学ぶ必要性を感じ、モチベーションが高まっているはずだ。この本では固有値と固有ベクトルをはじめ線形代数の基礎的なことがらを学べる。量子コンピュータでは特に複素数の要素をもつ行列、エルミート行列、ユニタリー行列とそれらの計算手順が重要だ。これらをカバーしているのがこの本。読み終えるころには記事トップに掲載した画像の数式が理解できるはずだ。
第1章 行列は方程式を解くためのツール
第2章 単位行列と逆行列
第3章 行列式の登場
第4章 行列の数値計算
第5章 空間とベクトルの不思議な関係
第6章 固有値問題ってなに?
第7章 複素数を含む行列
第8章 量子力学との関わり
3)量子コンピュータの本
『量子コンピュータ―超並列計算のからくり』(Kindle版)
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本格的な専門書に取りかかる前に量子コンピュータ、量子アルゴリズムの全体像をおさえておくと、複雑な「計算の森」で迷子になることが防げる。手っ取り早く知りたいという方にお勧めな本。
第1章 量子計算でできること
第2章 「量子」とはなにか
第3章 量子の不思議
第4章 「量子」を使った計算機
第5章 量子アルゴリズム
第6章 実現にむけた挑戦
第7章 量子コンピュータの周辺に広がる世界と量子暗号
4)フーリエ変換の本
『高校数学でわかるフーリエ変換』(Kindle版)(紹介記事)
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量子アルゴリズムのひとつに「量子フーリエ変換」がある。だから「フーリエ変換」自体を知らなければ理解できるはずがない。それを学ぶための本だ。量子アルゴリズムの代表格の「ショアの素因数分解アルゴリズム」には量子フーリエ変換アルゴリズム(厳密にいえば逆量子フーリエ変換アルゴリズム)が利用されているので、フーリエ変換は必須項目だ。
第1章 フーリエ級数
第2章 複素形式への拡張
第3章 フーリエ変換への拡張
第4章 代表的な関数のフーリエ変換
第5章 フーリエ変換の性質
第6章 ラプラス変換
第7章 ラプラス変換を用いた演算子法
以上、5冊紹介させていただいた。焦らず、じっくり取り組んでほしい。
関連動画:
量子論、量子テレポーテーション、量子コンピュータ
量子の制御とコンピュータ(量子コンピュータの原理の概要説明)
量子コンピュータ授業 #1(15回の講義。本書で解説される量子ゲート、量子アルゴリズムのほとんどを学ぶことができる。)
15回の講義内容
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